ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-01-18 Fri 18:57
大学サッカー決勝:早稲田×法政
両チームとも攻守に渡って似たようなチームだったと思う。攻撃ではショートパス中心の組み立て、守備では1つ1つの忠実なチェックをベースにボールサイドに人数をかけるやり方が両チームの目指すものだったように思う。こういう似たようなチーム同士の対戦で、結果として早稲田が勝つことになる。試合内容を見る限りでは攻守に渡って1枚上手に行った早稲田が順当に勝ったっていう印象を受けた。

法政の攻撃はショートパスを念頭においてはいるものの、微妙な距離感の遠さが気になった。基本となる4-4-2の形を思い切って崩さないやり方が見られて、どうしてもそれぞれの持ち場に対する意識が強くなってしまったと思う。味方の持ち場に入り込んで積極的に近さを生み出そうとする意識があまり見られなかった。

じゃあ、どうやってショートパスをつなぐかっていうことが問題になってくる。実は味方の持ち場に入って関係性を築こうとする形がないわけではない。ただ、それはあくまでもボールが入った後の動きであることが多かったと思う。ボールが入ることをスイッチとして、それから近づくランニングを始めるイメージだった。

だから、必然的にフォローが微妙に遅れることになる。さらに言えば、相手にとって予測がしやすい状況も生まれたと思う。気になるのは決勝まで勝ち上がる上でどうやって戦ってきたかってこと。ここまで書いたように、あくまでもボールが入った後のフォローの繰り返しで組み立てを図ったのか、もしくは本来的にはもっと積極的に近さを作るチームなのか。後半は本田の攻撃参加をスイッチに全体の動きの活性化が見られ、そこに個の仕掛けを織り交ぜることで、相手を押し込む展開が生まれた。そう考えると後者の可能性もあると思う。

とりあえず、今回の試合では失点をするまでの多くの時間は前者の戦い方が見られたのは事実だった。そして、そのやり方は早稲田の守備網にことごとく引っかかるような攻撃だったと思う。前半は早稲田の守備の前にほとんど中盤で引っ掛けられてしまうシーンが目立ったと思う。

早稲田の守備のやり方は最初にも書いたようにボールサイドに人数をかけるもの。高い位置からの激しい追いかけが見られない代わりに、後ろではしっかりとコンパクトなブロックを作ってスペースをつぶしてた。そして、そういうブロックにボールが入ってきたところが本格的な守備のスタートになる。

相手のボールが入ったところで1つめの忠実なチェックが行われるのは当然として、さらにサイドにブロックを凝縮させて守備における距離の近さを生み出す。そうやってボールに対して一気に数的優位の状況を作り出してたと思う。

このときに周囲がしっかりと相手の選択肢をつぶしてたのも重要な点。相手の1つ遅れてくるフォローにしっかりとマークがつくことで、そのフォローをフォローとして機能させなかった。法政としては見た目では選手が近くにいたとしても、実質的にはボール保持者が孤立するっていう状況に陥ることが多かったと思う。早稲田としては、このフォローを抑えることを考えたときに相手がボールが入った後に動いてくれるのは守りやすい状況だった気がする。

この早稲田の守備の中では前の選手の戻りながらの守備のよさが見られた。相手の後ろからの飛び出しにしっかりとついてきたり、手のボール保持者の囲い込みに参加したり。こういう前の選手の守備意識の高さによって、上下で挟み込んでボールを奪うシーンがかなり多くなってた印象。

こういう形の早稲田の守備に対して法政は攻撃の逃げ場を失うことが多かった。そもそも、相手のブロックに入った時点ですぐに相手の複数枚に距離を縮められてしまう。だから、大きな展開で逆サイドに逃げるってことを許してもらえなかった。

つまり、プレーエリアがかなり狭い場所に限定される状況が多く見られたと思う。相手の守備のストロングサイドから抜け出せずに、狭い場所でなんとかボールを保持している間に、早稲田の守備網がジワジワと距離を縮めてくるイメージ。最終的には完全に囲まれてボールを奪われるシーンが多くなった印象。

こうやって狭い場所に入り込んでしまい相手に奪われることが多くなった法政に対して、早稲田は狭い場所でも常に複数の選択肢を用意しておくことで、そういう局面を抜け出すシーンが多くなった。さらにいえば、そもそも狭い場所に入り込まずに広い場所の効果的な利用もできてたと思う。

その要因の1つはボールに対するフォロー。上にも書いたように、フォローが1つ遅れる法政は少ないタッチですぐに次に展開するってのが難しかった。ボールが入って少し時間を作ったところで助けが来るようなイメージだったわけだから。結果として早稲田の守備陣がボールに狙いを定めて距離をつめる対応がしやすかったって言える。それに、法政のフォローはやや遅れ気味に単発で対応しやすかったのも事実だったと思う。

対する早稲田の攻撃。法政ほどポジションにこだわりを見せずに柔軟に動きながらの組み立てができたと思う。その中で法政よりも1つ素早く味方に対するフォローができてたと思う。そして、守備の考え方と同じように近さを生かす攻撃につながった。ボールに対して常に複数枚を関連付けることで、少ないタッチでのリズムのいいパス回しが可能になった。

こうなってくると法政の守備陣は狙いを定めることができない。早稲田と同じようにボールサイドに人数をかける意識は見られたものの、実際には局面に人数をかけて相手を囲い込むようなシーンはあまり作れなかった。距離をつめようとするとそれを否されて次に展開されてしまうような状況だったと思う。

要所要所を見ても法政の守備が後手後手に回っているのが分かった。その1つが相手の縦パスに対する対応。法政の選手は守備意識自体は高いから、そういう場所を押さえようとする意図自体は見られる。でも、あくまでも縦パスが入った後の対応が目立った。しっかりと寄せることで直接的な仕事はさせないけど、後手に回ることで縦パスを入れさせないとか奪うっていうところまではできない。法政としては最低限抑えてるけど、早稲田のトップも収めてその後の展開っていう最低限の仕事ができてたと思う。

ちなみに、このトップの存在感も両チームの差を生んだ1つの要因になってた気がする。早稲田の2トップは引いてきてボールを受けたり、サイドに流れたり、さらには相手のらいんウラに抜け出そうとしたりっていう動きを繰り返した。チームとしてもそれをしっかりと見て使おうっていう意図が見られたと思う。だから、トップに入ったときに次の展開が可能になる場所にすぐに選手が入ったりっていう動きが見られた。

対する法政はトップが孤立してたと思う。4-4-2をあまり崩さないやり方の中で前線の2枚だけが後ろとはがれてたと思う。だから、ボールがあまり入らないし、ボールが入った後の周囲との関係も築けなかった。2トップが2人とも積極的に動かなかったってのも、うまく関係性が築けなかった要因の1つになってたと思う。

トップをうまく利用できた早稲田は要所要所で縦パスを入れることができた。これによって相手のブロックにプレッシャー与えることができて、深い位置に相手を釘付けにし、1つ下の中盤のところのプレッシャーを弱めたと思う。さらにトップに縦パスを入れた後の展開も可能になってた。

とにかく、法政は守備の勝負どころが定められない展開が生まれた。だから、早稲田は自分たちがやりたい攻撃をある程度はできる状況だったと思う。その中で効果的な展開が多く生み出されてた印象。

相手の守備のよさがあったとは言え攻撃のエリアが狭い場所に限定されてしまった法政に対して、早稲田はピッチを広く、しかも効果的に利用できてたと思う。相手の守備にストロングポイントを作らせなかったことがこういうやり方を可能にしたと言えるし、逆にこのやり方が相手の守備の分散につながったとも言える。そういう相乗効果が生まれたと思う。

そして、こういうやり方を生み出したのがパスの質の多様性にあったと思う。それを象徴してたのが先制点のシーン。降りてきた渡邉に対する楔→渡邉からのバックパス(落しのパス)→鈴木(?)からのロングボール1発→広いサイドを使う横パス。

このシーンに代表されるようにパスの長短、方向のバリーションがかなり多かったように感じた。ちなみにこのシーンでは降りてきた渡邉と中盤の松本が上下の入れ替わりの動きを見せたのもポイントだった気がする。

とにかく、早稲田のサッカーには展開のよさが見られた。そして、中心にいたのが中盤の低い位置に入った鈴木。特にこの鈴木は中長距離のパスでリズムを作った印象。トップの動きに合わせて1発のパスを相手のウラに放り込んだり、真ん中でサイドチェンジの経由点にもなった。左右上(下)のパスで相手を揺さぶるのに貢献してたと思う。

もちろん鈴木に限らず、チーム全体としてこういう展開を利用しようっていう意図が見られた。トップが引き出す動きをしたのは書いた通りだし、大きなサイドチェンジで相手の薄いサイドを突こうっていう展開が多くなったと思う。

特に効果的だったのが左サイドで作ってからの右サイドへの展開。左サイドには兵藤がいるから、相手としてもどうしてもそのサイドに意識が向けられる。相手の守備のやり方を考えても逆サイドには広い場所が生まれることとなった。そして、そのサイドにいた松本はドリブルのキレが目立つ選手。広い場所でボールを持たせることで、その仕掛けをさらに効果的なものにしてた印象。

早稲田はこうやって長短のパスで相手の守備ブロックを打開していった。基本的なトライアングルを形成し近い関係で少ないタッチで崩すことをベースにしながらも、そこに大きな展開を織り交ぜることによって、相手のブロックを集中させないことに成功したと思う。

こういう早稲田の攻撃を組織よりのショートパススタイルと置くならば、法政は個寄りのショートパススタイルだったと思う。後半は積極的な個の仕掛けによって、相手の守備を切り裂くやり方が見て取れた。その中で早稲田の守備陣が前半のような安定感を失い、危険な位置でファールをするシーンが目立ってたと思う。

後半はこういう形の個の積極性が見られる中で徐々に連動性も見ることができた。個の突破が周囲の動きを引っ張ったようなイメージ。明らかに周囲の動きがよくなるとともに、個の仕掛けを加えた選択肢も多くなった。結果として早稲田は前半のように守備の狙いどころを定められない状況に陥ったと思う。

結果として上にも書いたように早稲田のブロック全体が押し込まれる状況が生まれる。逆に言えば前線が薄いことを意味するわけで、これによって法政の守備のよさが見られるようになった。入りどころに対する対応が1歩も2歩も速まって、さらに相手の選択肢が少なくなったことで本当の意味で仕事をさせないことが可能になった。そうやって相手の勢いを止めたところで前後で挟み込んで奪うようなよさも見られたと思う。

そう考えると前半からもっと積極的な仕掛けがあってもよかったんじゃないかって感じた。ある意味では2失点で尻に火がついてから見られるようになった個の突破だけど、相手は対応しきれてなかった。前半のようにボールを止まった状態で受けて、止まった状態で処理しようとすれば相手に狙いどころを定められてしまうのは当たり前。受けたときに味方のフォローが薄かったとしても後半のように積極的に仕掛けていけば、そう簡単に囲い込まれる状況にはならなかった気がする。

前半はシステムを崩さない戦い方も含めて、リスクを考えて抑えていたのかもしれない。ただ、もしそうだとしたら裏目に出たってのが実際のところだったんじゃないかっていう気がした。

最後に、法政の本田は大学レベルに入るとやっぱり目立つなって思った。五輪代表では守備にばかり目が行く存在だけど、この試合の後半では攻撃に出たときの怖さも見られた。積極的な仕掛けを繰り返し、しかも簡単には相手に奪われなかった。

今後の進路はエスパルスってことで、らしさを活かせるチームに入ったなってのが素直な感想。1ボランチシステムを使うエスパルスの中では本田の持ち味が生きると思う。同時にエスパルスとしてもベテラン伊東の負担を減らす意味でいい選手を取ったと思う。

今回の出場選手ではアントラーズに入団する鈴木にも注目したい。上に書いたように、中盤での長短のパスを操り、組み立て(ときにはチャンスメイクまでも)を担う。低い位置でそういうパスを操れるピルロみたいなタイプはなかなかいないだけに注目したい。ちなみにこの選手は五輪代表で見たときには積極的に前線に飛び出す動きも見せて得点もしている。攻撃のバリエーションが多いと思う。
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2008-01-14 Mon 18:19
高校サッカー決勝:藤枝東×流経大柏
<藤枝東:3-5-2>
FW:松田-岡崎
MF:河井、平井-小林-石神-藤田
DF:鳥羽-小関-村松
GK:木村

<流経大柏:4-4-2>
FW:上條-大前
MF:村瀬-中里-海老原-名雪
DF:比嘉-秋山-天野-中冨
GK:須藤

試合以前のところというか、本質的な部分の1つ手前の時点で流経大柏が上回ってたような気がする。準決勝までの流れからロングボールを多用して相手の高い位置での守備のよさをかいくぐるかもしれないと思っていた藤枝東は本来のパス回しを貫いた。それはそれでいいけど、当然のように高い位置からの流経大柏の守備にことごとく引っかかる結果。分かっていてやったのだから仕方がない。対する流経大柏はおそらく藤枝東ようにシステムを作ってきたように感じた。

そもそも今回の試合では、本来の2トップの一角である上條が戻ってきたのが大きかったと思う。準々決、準決のときにも書いたとおり、久場の前線でのスピードを活かした引き出しも魅力的ではあったけど、やっぱり本来的にはしっかりとボールを収められる上條が合っている。高円宮杯決勝でも見られたように、ボールを受けやすい場所に柔軟に動き、そこでしっかりと収めるプレーが目立った。

結果として流経大柏の攻撃に厚みが加わったと思う。縦への意識が強いことに変わりはないけど、久場がトップに入る場合にはウラに抜ける動きが多く、そこに対する1発のボールが多かった流経大柏。でも、今回は上條が相手DF前でしっかりと時間を作ってくれた。結果として後ろからの飛び出しが促進され、近い関係性の構築ができるようになった気がする。しっかりと軸として働ける上條とのコンビによって大前も生きてくることになった。

で、流経大柏の形としてはこの2人の2トップを含めて、上にも書いたような4-4-2が予想された。でも、立ち上がりの形は村瀬を1つ上げた3トップみたいな形になってた印象。その後ろに名雪と中里、さらに藤枝東の河井を見る海老原が並ぶ4-3-3みたいな形だった。

藤枝東はこういう相手の形に戸惑った。便宜上の3トップは流動的に動き回る。軸は一応上條なんだろうけど、上條も真ん中に張っているだけではなくて、流れながらボールを受ける動きを繰り返した。加えて村瀬と大前は中盤の低い位置まで降りていくプレーが目立ったと思う。さらに、上條に収まったところに積極的に名雪だったり中里だったりが絡んでいって厚みを加える形だった。この5人に関してはポジションを超流動的に動かしながら攻撃に絡んでいった印象。

加えて、SBがかなり高い位置を取ってくるのも今回の流経大柏の特徴だったように思う。前線にボールが入った瞬間に両SB(特に左の比嘉)がSMFとかWGと言ってもいいぐらいの高い位置まで入り込んできた。これは前の3-3の基本ポジションが中に寄ってるで、SB前の蓋がなかったことによると思う。

そのSBの攻撃参加にトップの選手だったり中盤の選手だったりを絡めさせながら、相手の構造上の弱点であるサイドへのアプローチをしてたように感じる。予想のように2トップを両翼に開かせる形ではなかったけど、SBの攻撃参加によって相手の3バック脇を攻める目標を達成してた印象。

こういうやり方に対して立ち上がりの藤枝東は完全に戸惑ってた。まず相手の基本的な形がつかめない。さらに、グルグルとポジションを変えてくる。下がってく選手がいるかと思えば飛び出していく選手がいるし、サイドに流れる選手がいるかと思えばSBが中に入ってきたりする。藤枝東は完全に後手後手の対応になってしまった。結果、立ち上がりのファールの多さにつながったと思う。

先制点のシーンもそういう形だったといっていいと思う。大前のボール保持に多くの人数が寄せられてしまった問題はあったものの、ゴールの村瀬を誰が見るかがはっきりしてなかった。予想外の3トップの形に対して、対応関係がイマイチつかみきれない時間帯に失点してしまったように思う。

ただ、こういう流れは時間とともに安定していく。藤枝東の選手が相手のやり方を見極め始めて、安定した守備に移行していった。結果ファールの数が明らかに減って行ったと思う。でも、実際のところは流経大柏のやり方のドツボにはまってたような気がした。

(●:流経大柏 ○:藤枝東)

  ○ ○ ○
  ● ● ●
   ○  ○  
○  ●  ●  ○
     ○
●    ●    ●
   ○  ○
   ●  ●

両チームの基本的な配置はこんな感じ。これまで書いてきたことを踏まえながら、この配置が意味するものを見てみたいと思う。

まず、3トップ×3バックは相性が悪い。展望では守備における1×1には絶対的な強さがあるって書いた藤枝東だけど、本当の意味での1×1はさすがに攻撃側が有利になる。守備側が主導権を握るためには、1×1の後ろにカバーがいなければならない。カバーがいることで守備の勝負ができるわけだから。

つまり本当の意味での1×1では守備の勝負ができないことになる。藤枝東の1×1の守備の強さはあくまでも守備の勝負におけるもの。守備の勝負ができない本当の意味での1×1の状況では藤枝東の守備のよさを発揮できなかった。結果として、これまで通りに先手を取る守備ができずにズルズル下げられるシーンが目立ったと思う。

ただ、藤枝東としてもそういう本当の意味での1×1をほっておくわけにはいかない。周囲のどこかが助ける必要が生まれたと思う。上にも書いたとおり、相手の2トップは図のように常に最前線に張っていたわけではないから、特に中盤に降りてくるときにはボランチが見る形になる。必然的にそのままトップの位置に3枚(最終ラインと1×1が生まれるときにも)がいるときにもボランチが助ける役割を担っていたように感じた。

そうやって藤枝東のボランチの後ろへの意識が強くなったところを畳み掛けるように名雪とか中里が飛び出していくこととなった。これによって藤枝東のボランチの守備への負担が増えたと思う。降りてくるトップへの対応、DFと協力しての守備、飛び出してくる相手中盤への対応ってことで。これで藤枝東のボランチは守備色に染められた。

同じことがWBにも言える。上にも書いたとおり、3トップとか中盤の位置から流経大柏の選手が代わる代わるサイドに出てきた。そして、そういう場所でボールを引き出して起点になる役割を担ってたと思う。これに対して、藤枝東の両WBが守備をしなきゃだめかなって意識になったんだと思う。。

それを畳み掛けるかのように上にも書いたようなSBの超積極的な攻撃参加。藤枝東がサイドの主導権争いに敗れた瞬間だった。WBの選手が深い位置に押し込まれ守備色に染まってしまう状況が生まれた印象。事前の展望に書いたとおり、藤枝東にとってWBが押し込まれてしまうのは致命的な状況。

ボランチもWBも守備色に染まった藤枝東の攻撃は実質上前線の3人に任せられることとなってしまった。そして、その3人のうちで核となるべき河井に対して流経大柏は完全なマンマークをつけて対応。藤枝東は何も仕事をさせてもらえなかったと思う。

これによって藤枝東は前線における収まりどころがなくなってしまった。そうじゃなくても流経大柏の高い位置からのプレッシャーは効いてて落ち着いてボールを保持できない状況なのに、前線にも目標がない。結果、守備のスパイラルから抜け出す術がなくなってしまったと思う。藤枝東が跳ね返したボールはことごとく流経大柏が拾っていった。

これに関しては藤枝東の2トップの動きの質の要因もあったように感じる。藤枝東のトップの2人は遠ざかる動きの量が多くなってた。まあ、流経大柏の最終ラインウラに広大なスペースがあったことを考えれば仕方のないところか。それに、近づいて(下がって)受けようとしても相手のCBが密着マークで仕事をするのを許してくれなかったし。

結果として藤枝東は個々の距離が遠ざかることになった。そもそも前線が過疎化してるのに、そのそれぞれの距離も遠い。ボールが収まったとしても、その後の展開場所がなかったと思う。そして、組織としての近さとそれをベースにした個の突破のよさも消えてしまった。

それは初戦でも見られた形だから、その内容を想定すればいいと思う。ボールが入っても次に展開できず、保持時間が長くなって、結果として相手につぶされてしまった。守備に人数を裂いていた分、攻撃の人数が少ないから、選択肢の少なさはさらに深刻だったように思う。

ただし、初戦と圧倒的に違ったのはこれが流経大柏のやり方のよさによってもたらされた点。流経大柏の方は攻撃のやり方によって藤枝東は守備のスパイラルに陥れたっていえる。はっきり言って、守備のよさを使うまでもないほど(もちろん、守備のよさがベースにあったのは事実だけど。特に最初の守備がしっかりと効くことで相手に切り替えで蹴りだす選択肢しか与えなかった。)に相手の攻撃の選択肢をなくしてしまった。

そして、この攻撃のやり方があったからこそ流経大柏は相手の攻撃を封じられたっていう面が大きかったと思う。前後半の立ち上がりの時間帯、藤枝東の攻撃のバランスが崩れていないときには、その攻撃が流経大柏の守備のよさを上回る可能性は感じさせてくれたから。

個の力と近い関係のランニングを組み合わせによって相手の守備の密集地帯を打開する場面も見られたし、何よりも大きな展開で広い場所を使うやり方が効果的だった。ボールサイドに人数をかける流経大柏の守備ブロックの大外を使うことで、フリーの選手を使うことができてたと思う。

こういう点においては、藤枝東のサッカーを貫いてもやり切れる可能性はあったと思う。ただし、そこには人数っていうベースがなければならない。ボール保持者が孤立しないように近い関係で数的優位は作りたいし、さらに大外の攻撃参加も必要。

そして、流経大柏のアプローチによって攻撃に人数をかけさせてもらえなかったのがこの試合の藤枝東だった。後半の立ち上がりにはボランチもWGも守備から攻撃に重点を移し変えて積極的に出て行こうとした。その瞬間にまさに3バック脇のスペースに起点を作られたところからの失点。結局、後半の決意も削がれてしまうことになった。

そういう意味で一番最初の話に戻るわけ。藤枝東は人数をかける攻撃ができれば、自分たちのやり方にこだわったとしても、相手を上回る可能性はあった。でも、流経大柏のやり方がそれを許さなかった。そして、その流経大柏のやり方は本来の自分たちの守備のよさにプラスアルファーをした攻撃の部分。おそらく相手の藤枝東のことを考えてのものだったんじゃないかと思う(河井のマンマークの海老原起用を考えても、相手に合わせた形をとることは十分に考えられる)。このプラスアルファーが最終的には圧倒的な差として出てきた気がする。

ちなみに、4-3-3で攻撃をしてた流経大柏だけど、守備時(相手にボールを保持されたときの守備時)には村瀬を中盤の一角に入れた4-4-2に戻していた。その上で本来的な高い位置からの守備のよさが見られたと思う。

トップの2人が追いかけ、後ろは超コンパクトな(中盤とDFが一体化するほど)ブロックを形成。トップの追いかけで出しどころを抑え、状況に応じてオフサイドも奪いながら高いラインを維持してたと思う。その上でブロックに入ってくるボールをことごとく引っ掛けた。その中でもボールを保持されればコンパクトなブロックにおける近さを生かした守備に入る。ボールサイドにブロックを寄せ、相手のボール保持者を孤立させ囲い込むやり方が見られたと思う。

さらに、流経大柏の守備では要所要所では人を抑えるのも特徴的。河井×海老原がその最たる部分だし、SBも相手のFWにしっかりとつくことで起点としての仕事をさせなかった。これは高円宮杯でも見られた形だけど、少しも自由にボールを持たせる時間を与えてないっていう意味で効果があったと思う。それに、そこで1つ抑えたところに対する周囲の連動の速さも光る。

とはいえ、上にも書いたとおりこういう守備のよさを見せる機会はほとんどなかったって言っていい。攻撃後の最初の守備をしっかりとやることで相手にボールを保持させなかった。そうやって相手が蹴りだしたボールを苦もなく拾うっていう場面の方が圧倒的に目立ったように思う。苦もなくといっても、そこには出足の速さとかっていう要素があるのは当然なわけだけど。

この流経大柏のサッカーの一番の素晴らしさが見られたのが3点目以降の時間帯の攻撃のやり方だったと思う。それまでは縦への意識が強いやり方を見せてた流経大柏だったけど、この得点の後はボールを保持しにかかった。そのボール保持の内容が藤枝東のお株を奪うようなものだったと思う。ちなみに後半は普通の4-4-2になってた気がする。

流経大柏がキープに入ったときには遅攻時に見られるようにやっぱりサイドに起点を作った。ボランチの展開力をベースにしながら、うまく左右のサイド(大前が流れたがる左サイドが多かったけど)をうまく利用したと思う。このボランチの展開力のよさは、いつ見てもこのチームに見られる気がする。

そうやってサイドに起点を作ったところで守備と同じように近さを利用。SBの攻撃参加にトップの流れ、ボランチの助けも利用しながらサイドにおける数的優位を作る。そうやってシンプルなトライアングルを形成すると思う。そういう形式的なものにそれぞれの動きを組み合わせながら、しっかりとパスを回してた。この時間帯はボール保持に入ったわけだから、詰まったら1度戻して作り直す余裕もあったと思う。その中でポゼッション率を高めていった。

こういう組織としての流経大柏のパス回しに対して、個ベースの藤枝東の守備では対処ができなかった。流経大柏と同じように前線から追いかけるし、流経大柏と同じように要所要所を抑える力は持ってる。でも、流経大柏と違うのは守備の連動性だった気がする。流経大柏の守備は1つめの守備はもちろん、それに対する2つめ以降の連動性が素晴らしいってのはこれまでにも書いてきたとおり。藤枝東はそれができなかったことで攻めたい時間にボールを持てないっていう歯がゆい展開になってしまった。

本当はこういう可能性はどの試合にもあった。これまでにも藤枝東の守備は個の強さによる部分が大きいってのは書いてきたとおり。それでも問題が起きなかったのは、自分たちが攻撃に出ることができたから。相手が今回の藤枝東と同じ状況に陥ってたから。要するに守備に人数を割かれ、攻撃は数人に任せられるって形。相手が攻撃に連携を用いない状況なら、守備にも連携はそれほど必要ない。個×個で上回ってれば何の問題も起きなかった。

そして、藤枝東にはそういう形を作り出すだけの攻撃力があった。チームとしての保持力もあるから、主導権を握ることができた。実際に全国の舞台でも初戦の悪い内容の試合を含めて、ほとんどの場合で主導権を握ったのは藤枝東だった。

ただし、その中でやや弱点を露呈したのが高川学園との準決勝の後半。今大会初めて相手に主導権を握られ、守り続ける状況に陥った。自分たちの攻撃の時間はほとんどなかったと思う。それでも、1点を持っているアドバンテージがあったためにべた引きのラスト守備でも何の問題も起きなかった。今回の流経大柏戦では立ち上がりから同じ状況を作り出されてしまったって言える。それは前半部分で書いたような相手のちょっとした工夫によって。

ここで考えなければならないのは、藤枝東は攻撃力で勝ち上がってきたチームだってこと。守備が悪いわけではなかったけど、攻撃力に見合った守備のよさがあるチームだった。だから、攻撃力をベースとして戦えれば全国決勝レベルのチームであっても、守備がベースとなったら全国決勝レベルかどうかは分からない。

対する流経大柏。今までにも書いてきたとおり、流経大柏のよさは守備力っていう意見を変えるつもりはない。でも、その守備から攻撃に移るだけの攻撃力も持ってるチーム。準々決勝では0-0だとはいえ攻め続ける内容だったし、準決勝はそのまま6-0っていうスコアがあらわしてる。決勝までは守備をベースとした攻撃力も見せながら勝ちあがってきたチーム。

本当は藤枝東の攻撃×流経大柏の守備っていうストロングポイント同士での争いになれば、もっと競った内容になったと思う。でも、実際には流経大柏の攻撃×藤枝東の守備っていう展開になった。というか、流経大柏がそういう展開に持ち込んだ。結果として藤枝東のみがベースとなるものを捨てて戦うことを余儀なくされてしまった。結果として力差を強く感じさせる試合につながったように思う。
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2008-01-13 Sun 18:43
高校サッカー決勝展望
藤枝東は今までのも書いたように個ベースのチーム。 ただし、静岡内では組織ベースのチームに見えるから不思議。 あくまでも静学と比べてだけど、だからこそ静学よりも上まで来れたっていう見方もできる。

攻撃に関しては、試合を追うごとに内容が良くなってるからあまり心配はないと思う。初戦は個分断の状況でどうなるかと思ったけど、だんだんと組織としてのよさ(ボールに対してのランニングの多さとか、広い場所を使う展開とか)が出てきた。そして、それが個を生かし始めた。 ただ、初戦の最悪な内容が緊張のためだとしたら、決勝という舞台に舞い上がらないことが必須条件か。

その藤枝東は守備も個ベース。 1×1は基本的に勝てるっていう絶対的な強さを持っている。 だから、流経大柏はいかに1×複数を作り出すかがポイントになってくるはず。 もう1つの可能性は0×1を作り出すこと。 要するにいかに相手のマークから外れるかっていう可能性。 どちらかと言うと、流経大柏にはこっちのがあってるかも。

流経大柏のスタイルは、最前線からの忠実な守備→高い位置でボールを引っ掛ける→ショートカウンター。 このショートカウンターで相手の押し上げ途中のバランスが崩れた守備ブロックに仕掛けられれば、0×1の状況を作り出せる。

そのためには準決勝をほとんどハーフコートの試合にしてしまったような高い位置での守備が機能することが必要となる。 この試合の大差は津工がつなぐことにこだわりすぎたことによって、完全に流経大柏の守備網に引っかかってしまったことによって生み出された。 逆に前線への蹴り出すことに終始した準々決勝の東福岡はスコアレスドローに持ち込んだ。 藤枝東がどちらのやり方を使ってくるかがポイントになる。

基本的な藤枝東のスタイルを考えると、つなぐ意識の強い津工寄り。 でも、試合を追うごとに藤枝東は1発のロングボールが増えてるのも注目すべき点。 初戦はどの場所でもとにかくショートパスをつないで組み立てようとしてたけど、準決勝ではロングボールを多用。 FWの引き出しの動きも試合を重ねるごとによくなって、ロングボールで距離を稼いでおいて、最後のブロック崩しっていう仕上げの部分にショートパスとか個の力を利用しようっていう姿勢が強くなってる。 決勝はどちらで来るか? 藤枝東のロングボールの数が1つのポイントになりそうな予感。

もう1つのポイントは流経大柏のフォーメーション。 2トップの大前と久場を両翼に配置する東福岡戦の形を採用すると面白いと思う。 その場所は藤枝東の3-5-2の構造上の弱点である3バック脇。 CBが対応しようとすれば真ん中が空いてしまい、WBが対応しようとすればサイドの攻撃が停滞してしまう。 藤枝東はWBが押し下げられると一気に相手にペースを握られるのは高川学沿線の後半に見られた状況。 スタート時の前線の形にも注目したいところ。
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2008-01-06 Sun 16:36
高校サッカー準決勝
【流経大柏×津工】
津工は何もできなかった。津工の試合を見るのは初めてだから何とも言えないけど、解説を聞く限りではショートパスをつなぐチーム。そのショートパスと個の突破を組み合わせる中で攻めて行くチームだと思う。そして、そういう攻撃のやり方はこれまで何度か書いてきた流経大柏の守備にとっては抜群に相性がいい形。

津工は深いところからでもしっかりとボールをつないで組み立てて行こうとする意図が見られた。それに対して流経大柏の1つ1つのチェックをしっかりとやってくる。最終ラインをハーフェイライン付近の超高い場所に設定して、敵陣の深いところから最初の守備を開始して行った。そうやって最前線からの忠実なチェックに対する次のよさがあるのは、これまでにも書いてきたとおり。前線の守備でしっかりと制限をして後ろの出足の速さを促進し、相手がつなごうとするボールの入りどころでことごとく奪う。奪えなくても距離を0にして相手に前を向かせず、そこに対してすかさず周囲が囲い込みに入る。

結果としてほとんどの時間は津工陣地で試合が進んでいった。しっかりとつなごうとする津工のパスはことごとく流経大柏の網に引っかかった。津工としては、つなごうとすればするほど相手にボールを奪われるジレンマに陥ったと思う。足元足元のパス回しは完全に狙われてたのに、その状況を続けてしまった。ウラへの一発のボールをもっともっと多用すべきだったと思う。基本的にほとんどプレッシャーがかからなかった流経大柏の最終ラインはラインを高い位置に保ち続けた。逆に言えば、トップの位置からのしっかりとした守備で流経大柏がロングボールを蹴らせなかったっていう側面もあったと思う。

この高い位置での守備は実際に得点にもつながった。点が入りすぎて何点目かは分からないけど、2得点は最前線で奪ったところから。ただ、流経大柏にとってはあまりにも守備が高い位置で機能しすぎたっていう贅沢な悩みもあった気がする。ボールはことごとく敵陣で奪うことができた。それは相手にしてみれば、全く押し上げの時間がないってことを意味する。だから、奪われたときには守備のブロックがそのままの形で維持されてることが多かった。だから、流経大柏は高い位置で奪っても相手のしっかりと作られたブロックを相手にしなければならなかった。

津工としても後ろのバランスをあまり崩したくなかったのも事実だったと思う。攻撃は2トップ+2OMFの4枚をベースとして行うことが多かったように思う。相手を深い位置まで押し込めば、そこにボランチが絡んだりすることもあるけど。基本は2+2の攻撃、4+2の守備のバランスはあまり崩さなかった。攻撃の時間があまり長くなかったこともあるけど、SBの攻撃参加なんかはほとんど見られなかった。攻撃の際にも大きくはバランスを崩さずに個の突破をベースに攻めきろうっていう意図が見られた気がする。

でも、ここまでも書いてきたようにほとんどは津工の陣地の中で試合が進んだ。津工は4+2の守備と2+2で攻撃どころではなくて、4-4が全員深い位置に釘付けにされてしまっていたと思う。

ただし、当たり前のことだけど津工としてはこういう状態は不本意だった。それを作り出したのは縦の意識が強い流経大柏の攻撃だった。相手が少しでもラインを押し上げようとすると、ウラのスペースに対して一発のボールを蹴り込んでいった。奪ったらまず縦ってのが流経大柏の本来のやり方であって、そのロングボール一発のプレッシャーが津工の守備陣にのしかかってたように感じる。

そういう意味ではこの試合でトップに入った久場は前線で言い動きをしてたと思う。止まって待っているだけではなくて、常に相手の最終ラインと駆け引きをしながら動き回ってた。そこに対してロングボールが出てくるとスピードがあるだけに、相手のマークを離してチャンスになるシーンも多かったと思う。昨日の試合では右サイド基本のプレーが見られたけど、今回の試合のようなトップの位置で常に動き出しを狙うやり方の方が相手にとっては脅威になるように感じた。組み立ての中でも久場の動きを中心として前線での流動性を高めながら、相手の最後のブロックにアプローチしていくやり方が多くなったと思う。

流経大柏はこういうトップへの縦パスをいつものように最初のアプローチにしていたし、実際に4y点目はそういうボールから生まれたと言っていい。でも、今回の試合に関してはそういうやり方にこだわらないバリエーション豊かな攻撃も見せてくれたと思う。自陣に入られたときには、まず縦一発で距離を稼ぐ。そうやって相手を押し込んでおいて、今度は自分たちのよさである高い位置での守備が見られてくる。そういう高い位置で奪ったときには、上にも書いたように相手がベタ引き状態で守備のバランスが崩れていなかったから、単純な縦一発では可能性が薄かったと思う。そういう中で高円宮杯の決勝でも見られたようなサイドへの展開が増えることになったと思う。

このサイドへの展開が効果的だった。津工の守備ブロックは真ん中に寄る。守備を重点的に行うSBは真ん中に絞ってきて、4バックで中を固めるようなやり方が見られた。だから、両サイドへの展開でボール保持者がある程度フリーになれる状況をもたらした印象。そこにSB、ボランチの攻撃参加を加えながらサイドで優位な状況を作り出した。

ただ、そうやってサイドで単純に進攻していくのがポイントだったわけではない。重要だったのはそうやって1度サイドに作った後の逆サイドへの大きな展開。相手は4バックの作り方を見ても分かるように、人数をかけたブロックの一体感をベースとする。だから、1つのサイドに作ると、津工のブロック全体がそのサイドに寄ることになる。そこからの大きな展開によって、完全に薄いサイドに入り込むことができた。相手の大外を有効に利用する攻撃が多かったと思う。実際に先制点は右サイドに相手ブロックを寄せ、真ん中を経由して左サイドの大前を使ったシーンだった。本来は最初にケアするべき大前が逆サイドからの展開を使ったことによって、一瞬フリーにすることができた。

このシーンでは真ん中で経由点になった田口(だと思う)も重要な役割を担ったと思う。この試合での流経大柏の前線は2トップか1トップか微妙なやり方を取っていた。久場は完全にトップの位置だったけど、田口は中盤かトップか微妙な場所でのプレーが多かった。FWにしてはゴール前に入るプレーが少なく(久場とも斜めっぽい関係)、トップ下としては中盤でのタッチが少ない。そういう中途半端な場所でプレーをしたことによって相手としてみればかなり捕まえ状況が生まれた。得点につながったシーンも、DFと中盤の間に完全に浮いてる存在だったと思う。

流経大柏はこういう左右への展開によって相手のブロックを左右に動かした。1つのサイドに相手を寄せてから逆サイドへ展開することによって、相手は再びブロックを動かす必要があるわけだから。さらに上下のアプローチも効果的に利用してたように感じた。何でもかんでも仕掛けていくのではなく、前線が詰まったら1度下に下げる。そこから再び展開するやり方が多かったように感じる。

津工の方としては守備の時間が長くなった上に上下左右にブロックを動かさなければならなくなった。前半はそれでも最後に人数をかけるブロックを形成して最後のところを跳ね返していたけど、後半になって完全に切れてしまったと思う。立て続けの失点シーンはマークもルーズで集中力が切れたとしかいいようがなかった。攻められ続ける内容の中で体力的にも精神的にもギリギリだったように感じる。

結果として沈黙を守っていた大前が4得点の大爆発。ここ2試合は左サイドを基本としたプレーが多かったけど、この試合の前半途中から本来の真ん中に戻してゴールの近くで仕事をする時間が長くなった。後半は相手の守備がルーズになったこともあって、決めるべきところをことごとく決めていったと思う。


【藤枝東×高川学園】
立ち上がりは高川の内容が悪すぎた。4-3-3の各ラインが攻守に渡る分断が起こってしまっていた。特に守備の分断がその悪い内容の要因になってしまっていたと思う。

その守備の分断はトップの守備意識があまり高くなかったことから生まれた。トップの3枚は前線に残しておくようなやり方の中で、守備がある程度免除されてたような印象を受けた。だから、簡単にトップの3を抜けられ、後ろの4-3に仕掛けられる状況が目立った気がする。

この後ろの4-3を考えたときに特に問題になったのが中盤の3だった。3-5-2システムの藤枝東の中盤5枚に対して、どう考えても人数が足りなくなってしまうのは明白だった。さらに、その中盤の選手はボールに寄せる意識を持っている。確かにそうやってボールに行ったところで奪えれば問題ない。でも、ピッチ全体をケアするには枚数が足りなさ過ぎて相手のボールに対しても距離が空きすぎてしまう状況が生まれてた。結果、中途半端な守備になってしまったと思う。

そういう中途半端な守備によってギャップばかりが目立って、中盤がスカスカ状況が生まれた。藤枝東の選手は相手が寄せてきたところでちょっとズラしてやれば、自分の前には完全にスペースが空いている状況が生まれてた。高川のDFだけがはがされて、守備の厚みを効果的に作れない状態に陥ってたと思う。

高川の守備がこういう状態だから、また藤枝東が圧倒的に中盤を支配する展開が生まれると思ってた。でも、実際にはそういう状況にはならなかったと思う。確かに押し込んではいたけど、ボールポゼッション率を圧倒的に高める三鷹戦のような展開は生まれなかった印象(サイドを広く使いながら、広いところ広いところを使うやり方は相変わらず見られたわけだけど)。

その要因は藤枝東がロングボールを多用したから。とりあえずロングボールで距離を稼いでおいて、それから相手のブロックにアプローチを始めるっていう高校サッカー的なやり方が増えた。それによって実際に相手を押し込むことに成功したわけだから、現実的なやり方だったって言える。

これが成功したのは相手の3ラインがバラバラな状況があったから。逆にロングボールを多用することによって相手のラインをバラバラにしたっていうこともあった。まず、前線の守備意識がそれほど高くないからロングボールの出し手はあまりプレッシャーがない状況でボールを供給できた。だから、トップに対してはそれなりの精度のボールが供給されたと思う。さらに、高川は後ろのDFと中盤の関係もはがれてる。だから、競り合いの後のボール藤枝東につながる可能性が高くなったと思う。それでも前との関係を築くためにラインを上げようとする最終ラインに対しては、ウラにロングボールを放り込むことで後ろへの意識を高くさせた。

ロングボールにしろスカスカの中盤を進攻していくやり方にしろ、藤枝東はかなり楽にボールを深い位置まで持っていくことができた。トップの引き出しの動きがよくて前線に起点を作れたのもよかったと思う。そうやって深い位置まで押し込まれれば、高川の中盤も後ろに戻らざるを得ない。それまでは分断していた関係が、今度は悪い意味で一体化してしまった。藤枝東はその相手のラストブロックを崩すことに重点を置いておけばよかったと思う。

そのラストブロックに対してはいい仕掛けができてた。得点シーンがよく表してるように、密集地帯でも質の高いプレーができる個の技術に加えて、ランニングの質もよかったと思う。さらに、後ろからの飛び出しも加えながら、攻撃の人数を増やし近い距離関係を作った。そういうやり方をベースに相手の密集地帯を細かく速いつなぎで打開していこうとする姿勢が見られたと思う。

こういう状況で前半は藤枝東が押し込む展開になった。高川の攻撃を考えると守備に押し込まれてしまった中盤以降とトップの間に大きな距離が開くことになってしまったと思う。そういう状況でトップにボールが出ても、フォローができない状況。3枚は残してるもののそれぞれの距離が遠くて、結局は個の力に頼るやり方になってしまったと思う。そして、そういう個の勝負は藤荏田東の守備陣の土俵だった。

これに対して高川は途中でシステムを変更した。トップの1枚を下げて4-4-2の形に。これによって枚数的には中盤のスカスカ状態は解消されたことになる。でも、実際には大きな変化は生まれなかった。守備ではシステムを変更しても、やり方自体がはっきりしなかった。どこからどういう守備をすべきか?ってことがあいまいだったと思う。結果として枚数だけが増えても、まだギャップが多く見られる状況だったと思う。逆に前線の枚数が1枚少なくなってしまったことで、それまで以上に攻撃のチャンスがなくなってしまったように思う。

これに対しては後半の高川は明らかに守備をはっきりしてきた。4-4-2の組織を作った上で最前線から守備をする意図が強くなったと思う。ここにはトップの選手も守備の一角として機能してたから、4-4-2の3ラインの関係もよくなった。しっかりとコンパクトな3ラインを形成できてた印象。

こういう守備の改善をベースにしながら、後半は高川のペースで試合が進んだと思う。高川の最前線からの守備のよって藤枝東は思ったような攻撃を仕掛けられなくなったし、前半多く見られたロングボールもほとんどなくなってしまった。それだけ、高川の前線のチェックが速かったって言えると思う。攻撃からの切り替えもよかったから、多くの時間で藤枝東陣内で試合が進むことになった。

この守備の改善によって高川は攻撃の形も作れるようになった。守備時に3ラインのバランスが大きく崩れずにいい関係を保ててるから、攻撃でも2トップがはがれるような状況が少なくなったと思う。中盤も効果的に絡ませながら厚みのある攻撃の組み立てができたと思う。そういう中でサイドに起点を作ったことによって、藤枝東のWBを押し込むことにも成功した。

そういう意味で後半は高川のペースで試合が進んだと言ってもいい。でも、実際にはほとんど決定的なチャンスを作れなかったと思う。その要因は高川の攻撃が最終的には個ベースになってしまったから。上にも書いたとおり、個ベースの攻守の1×1の対応関係は藤枝東の土俵。局面局面で個をつぶされ流れを分断されたことで、高川は畳み掛けるような攻撃をすることができなかった。1つ1つの守備の強さをベースとした藤枝東の守備の安定感が光った試合でもあったと思う。

これで決勝は流経大柏×藤枝東の対戦に。流経大柏は高円宮杯決勝と選手権の2試合(計3試合)、藤枝東はインターハイ県予選決勝と選手権の4試合(計5試合)。個人的に今シーズン何度も見たチーム同士の対戦になった。前にも書いたとおり、個をベースとする藤枝東と組織をベースとする流経大柏の対戦。時間があれば展望も書こうと思うけど、興味深い試合になるはず。
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2008-01-05 Sat 23:58
高校サッカー3回戦、準々決勝
【藤枝東×日大藤沢】
立ち上がりは日藤が主導権を握った。その中で大きく異なっていたのは攻撃の組み立て方。県大会の決勝ではボランチを組み立てとして、左右上下への大きな展開を織り交ぜながらの幅のある攻撃を組み立ててたけど、今回の試合では縦への意識が高まってたと思う。

その要因の1つが藤枝東の守備のやり方。今大会では初めて藤枝東が本格的な守勢に回る時間が見られたわけだけど、その中ではブロックを高い位置に設定させるやり方が見られた。最終ラインがかなり高く設定されて、ボランチのラインまでが敵陣に入っている時間も長かったと思う。その上で前線から相手のボールに対するチェックを繰り返した。

結果として日藤は攻撃のスターとなるボランチが自由にボールを持てなかった。相手ブロックとの関係でその組織の中に入り込んでしまうことが多くてボールタッチを増やせなかったと思う。さらに、ボランチにボールが入ったとしてもそこにはすぐに相手のプレスが効いてきた。組み立てのための効果的な展開をするのには余裕がなかった印象。

これに対して日藤の攻撃は縦への意図が強くなった。特に多くなったのは相手の高い最終ラインのウラへ放り込む攻撃。首藤の動き出しのよさが目立ったし、首藤が中盤に相手を引っ張り出して後ろの選手がウラを狙うような動きは日藤らしい縦の動きが見られたと思う。しかも、この縦への展開を素早くやるのが特徴的。前へ前への意識がある藤枝東の守備陣が寄せきる前に一気に縦を狙っていった。

この寄せきる前っていう考え方は縦への放り込み以外の部分にも見られる部分だったと思う。縦への放り込み以外ではサイドに起点を作るやり方が多かったわけだけど、そういう場所にしっかりと数的優位を作るシーンが多かった。もちろんシステム的な相性もあったわけだけど、ボールに対して近い場所に助けを常に置いていた印象。そうやって逃げ場を置くことで、相手が寄せきる前の展開を可能にした。これによって藤枝東の守備と1×1の関係を作らないことに成功したと思う。

立ち上がりの日藤は前線のウラを狙う動き出し(そういう動き出しが全体として多かった)と、そこに対するシンプルなボールの供給によって主導権を握った。藤枝東としては本来の前線での守備を否されてしまって、後ろに引っ張られる形。結果としてだんだんとブロックが下がるシーンが目立ちはじめた。そうやって相手を押し下げながら日藤の方は前線に人数を入れて攻撃の厚みを増していった。

こういう時間帯は守備においても日藤のよさが見られたと思う。前線に人数をかけた後の切り替えの守備がうまく機能した。これは本来的に日藤に見られるもので、守備に移ってからも簡単にはラインを下げず前線からの守備に力を入れていく。そういう中で相手が無理やりに蹴りだしたボールに対しては、50/50の強さを見せてことごとく日藤がものにしていったと思う。

ただ、そういう時間は長くは続かなかった。徐々に藤枝東が盛り返していった印象。その要因は日藤の立ち上がりの内容のよさは、ある意味勢いに支えられている部分が多かったからだったと思う。つまり、1つ藤枝東に攻撃をされると、その時点で日藤のよさは一気に減退して行ったってこと。これは攻撃のやり方に関係している部分が大きい。

例えば藤枝東の攻撃(後述)によって日藤の中盤以降が自陣深くまで押し込まれたことを想定してみる。ちなみに、今回の試合では日藤のDFラインだけがはがされるようなシーンはあまり見られなかった。

そうやって押し込まれた後の日藤の攻撃も基本的には縦の意識が強いものだったと思う。藤枝東の切り替えの守備のよさがあったから、奪った後にも余裕を持って攻撃に移ることができなかったのも事実だけど。とにかく、多くの人数が押し込まれた状況では前線の人数が当然のように少ない。そういう状況では藤枝東が個々の守備力の高さをベースに問題なく守備をすることが可能になったと思う。動きながら周囲を生かす首藤も完全にターゲットになったことで、よさが消えてしまった。

ここにおいて日藤の攻守に渡るよさは消えてしまった。前線が薄く、前後の距離が開いてしまったことで攻撃での日藤の上下の動きが生かせなくなった。同時にサイドも間に合わずに選択肢が狭められてしまった。そして、守備面を考えると日藤の守備は攻撃からの流れを念頭に置いているから、攻撃がよくなければ守備の内容もよくないってことにつながったと思う。高い位置での守備が機能しなくなって、ゴール前まで入り込まれるシーンが多くなった。こういう悪循環に完全に陥ったわけではないけど、こういう傾向が見られたのは確かだったと思う。

それに対して後半の日藤はやり方を変えてきたと思う。守備から攻撃への切り替えの中で一気に前線に蹴りだすボールを減らし、しっかりとつなぐ意図を持ち始めた。その中でしっかりとした組み立てが目立って、左右のサイドを効果的に利用する本来の日藤のやり方が多くなったと思う。

そうやってしっかりと組み立てる攻撃の流れの中では立ち上がりのように前線の人数を増やすことができた。結果、切り替えでの守備も再び機能するようになり流れを引き寄せることに成功したと思う。守備ブロックを作ったときにも、前半のように簡単に押し込まれずに、1つ1つの守備の前への意識を高めることで藤枝東の攻撃のスタートにも積極的にプレッシャーをかけていッ多と思う。

日藤としては主導権を握っている時間帯にしっかりと得点を奪えなかったのが痛かった。ただ、そこには藤枝東の個の力をベースとした守備の強さっていう要因もあったと思う。ある程度深い位置まで入られても、最後のところの競り合いで負けない強さを見せたから相手にいいフィニッシュまで行かせなかった。最後の場所では1×1の意味が強くなるから、そこにおいては藤枝東の守備の個の力が存分に発揮されたと思う。逆に日藤の得点はサイドからのボールに対して、1×1が作れない(要するにフリーになった)シーンだった。

その藤枝東の攻撃についても、日藤と同じくここまでの印象とはちょっと違った。近い場所でのパス回しが減って、もっと一気に距離を稼ぐボールが多くなったと思う。相手が組織を作ったときに、ボールサイドに寄せる傾向があるから、そういう場所で狭いところ狭いところに入り込むと抜け出せないってことを意識してたと思う。

逆にその相手の守備のやり方を効果的に活用した。前の試合から見られ始めた、左右の展開をうまく利用したと思う。1つのサイドで作って相手の組織を寄せておいてからの逆への展開は効果的だった。特に最後のアプローチでの大きなサイドチェンジ(大外を狙うクロス)でチャンスを作り出した。

加えて、今回の試合で目立ったのがトップへのくさびの数。これまでは中盤で組み立ててから、最後の仕上げとしてトップに入れるイメージが強かったけど、今回の試合では攻撃のアプローチの中にトップへのボールが組み込まれてた。トップの選手がDFの前で受ける動きをし、そこにシンプルに当てるアプローチが見られた。

その中で攻撃に深みを与えることができたと思う。これは、とにかく中盤でつなぐ意図が強かった前の2試合と比べると明らかに変わった部分。結果としてトップ下の河井が2トップの近く、ゴールの近くでプレーする機会が増えた。さらに、WBとかボランチの上がりを促進して攻撃に厚みを加えることができたと思う。

そして何よりも大きかったのが個の仕掛けの有効活用ができたことだったと思う。1度トップに当てて、落とすことによって、ボールを受ける選手は前を向いてボールを受けることができた。結果として個の仕掛けがしやすい状況が生み出されたと思う。これまでは受けてから時間がかかりすぎて、相手に距離を詰められてしまうことが多かったけど、今回の試合ではくさびを有効活用することで持ち味である個の力をうまく引き出せてた印象。


【流経大柏×東福岡】
流経大柏のサッカーを見るのは高円宮杯決勝のサンフレッチェユース戦以来。そのときには素晴らしい守備とその守備の流れからの攻撃をベースに優勝。今大会ではそのときの流経大柏の内容を上回るチームが見つけられないだけに、優勝候補の最有力として注目だった。

基本的に流経大柏のやろうとしてたやり方はイメージとは大きくは変わらなかった。最終ラインを高く置いて、コンパクトなブロックを形成。さらにボールサイドに人数をかけることで連動性を持たせやすいような選手間の距離の近さを作り出す。その上でトップの場所からの前に向けての守備が見られる。その1つ1つのチェックにおける個々の意識はもちろん、流経大柏のよさはこの個々の守備を組織に還元する力。最初の守備に対する連動性のよさが見られる。しっかりと最初のチェックで制限をかけて、次で相手の前で奪えることが多い。前の守備によって、後ろの出足の速さが生み出されてると思う。

この流経大柏の守備に関してはシステム的合致を利用してる部分もあると思う。サンフレッチェユースとの試合では相手のダイヤの中盤に対して流経大柏もダイヤの中盤を採用。今回の試合では5-1-3-1みたいな形の東福岡に対して4-2-3-1を採用した。相手が変則的なシステムってことで完全な合致状態にはならなかったけど、相手のSBの攻撃参加に対して左サイドの大前が自陣深くまで下がって対応するようなシーンが多かったことを考えると、ある程度は対面した相手についていくことがはっきりしてくように感じた。2試合しか見てないから分からないけど、相手に合わせながら守備の組織を変えるチームなのかもしれない。

ただ、今回の4-5-1に関しては攻撃の面を考えた部分も大きかったかもしれない。相手のマンマークを混乱させるためか、2トップを両翼に置く形になっていた。その代わりにトップの位置にはMF登録の田口を置いて軸とした。そこに最初に1つ収めることことで、攻撃のスタートが切られることが多かった印象。その上で2トップがサイドから斜めに入ったり、前線の配置を入れ替えるポジションチェンジが見られたと思う。そこにボランチの飛び出しを加えながら、攻撃に厚みを加えていった。

その流経大柏の攻撃の内容も印象としては高円宮杯と似たものだったように思う。とにかく縦への意図が強い。サイド利用は多いけど、横パスはほとんどない。サイドに出すときには前方に斜めの質のボール。後ろへのボールに関しても、1度トップに当てた後の落としっていう攻撃的な意図があるもの以外にはほとんど見られなかったと思う。奪ったら一気に縦に向かう切り替えの速さは健在だった。どちらかと言えば、流経大柏が主導権を握ってたと思うけど、しっかりとポゼッションするっていう意図はあまりなかった気がする。

ここまで高円宮杯の内容も含めて書いてきたように、高い位置からの組織的に洗練された守備で奪い、切り替えの素早さで一気に縦縦に進み(真ん中に限定されるわけではない。トップも動きながら両サイドにも起点を作る)、戻りきる前の相手の組織に仕掛けるのが流経大のやり方。ただ、今回の東福岡はこういうやり方の流経大にとっては相性の悪い相手だったように感じる。

東福岡は上にも書いた通り、5バックシステムで完全に守りに入った。当然のように攻撃で一気に押し上げるようなやり方は取ってこなかった。だから、流経大柏が持ち前の前線からの守備でうまく中盤で奪ったとしても、その後の攻撃に効果的につなげるのは難しかった。流経大柏は切り替えのスピードを上げて組織が整う前に攻めきる形だってのは上にも書いた通りだし、今回の試合でもそういう切り替えの速さが見られた。ただ、その時点で東福岡の守備が大きく崩れてることがなかったと思う。後ろの重心を置いた内容の中で、攻撃時に簡単に後ろが薄くなるってことを防いでたから。そして、そうやって受ける体制を作られたときに攻めるのは流経大柏の形ではないように思った。

それでもまだ、中盤で狙い通りの守備ができているときはよかった。最後の最後に人数をかけた東福岡の守備ブロックに対して、なかなかシュートに行くことができなくなったけど、ボールは支配していたし、敵陣深くまで進攻していくことができた。でも、時間とともにそういうやり方がうまくできなくなって言った気がする。

その要因は東福岡の攻撃のやり方にある。東福岡は立ち上がりはそれなりにつなぐ意図を見せていた。そういうパス回しを狙われて、相手の守備のよさによって途中で引っ掛けられるシーンが多くなった。それを見てか、時間とともにロングボールで一気に距離を稼ぐボールが多くなった。前線にはトップ(と両サイド)を残して後は全部引く。トップに対して一気にロングボールを放り込み、相手が下がったところで後ろが押し上げてくるようなやり方が多くなったと思う。そうやって距離を稼いだ後にサイドに展開するやり方も目立ってた。

このやり方に対して流経大柏は本来の守備が見られなくなった。本来の守備の勝負どころである中盤の場所を簡単に飛ばされたわけだから。さらにコンパクトなブロックを作るために高めに設定したラインのウラに単純なボールを放り込まれ続けた。その内にだんだんと守備の意識が後ろに向かってしまうのは必然だったし、ロングボールに対してDFだけがはがされる状況が生まれる中でコンパクトさが失われる結果になってしまったと思う。

これが前半の途中から東福岡のペースになった要因。ロングボール攻勢で流経大柏のブロックが押し下げられ、そういう状況を作ってから東福岡は後ろの選手を押し上げて行った。そういう流れの中で流経大柏は最後のブロックの堅さも見せてくれたように思う。押し込まれる状況は意図しない形だったとは思うけど、それでも最後の跳ね返し力で相手に決定的なチャンスは作らせなかった。東福岡の攻撃が基本的にあまり厚くなかったってのもあるんだろうけど。

流経大柏は危なげなかったと言っていい。東福岡もラストに人数をかけたブロックをベースとしての守備の堅さも見られたけど、やっぱりチャンスを作ったのは流経大柏だった。大前が抑えられても、久場のスピードを利用しながらゴールに迫っていった。逆に守備では不本意なやり方だったのにも関わらず、安定感を見せてくれたと思う。こういう点を見るとやっぱりチームのベースは守備だって思われる。さすがに、チャンピオンチームだと思う。


【藤枝東×三鷹】
両チームの初戦の内容を比べると圧倒的に三鷹が優勢だった。個が分断され勝手に相手の守備もうに引っかかっていくようなイメージだった藤枝東に対して、三鷹は後ろの飛び出し、流動性をベースとしながらいい内容の攻撃を展開してた。でも、その後の両チームは対照的な展開。1回戦の内容がどんどんと好転して組織としてのよさを見せていった藤枝東と守備の時間が長くなる中で1回戦のような厚みのある攻撃ができなくなって行った三鷹。そういう両チームの対戦だった。

立ち上がりは蹴り合いの試合になった。攻める藤枝東と守る三鷹っていう構図、さらに藤枝東にはその後の切り替えのよさもあるだけに三鷹が蹴り出しまくるってのはある程度予想できた。でも、藤枝東が蹴り出すっていうのはある意味では予想外であり、大会内で明らかに変化が生まれた点だったと思う。

この藤枝東のロングボールの意図は単純に相手のブロックを押し下げたいってことにあったはず。立ち上がりの三鷹は自陣にしっかりとバランスをしっかりとしたブロックを形成していた。そういうバランスをベースに中盤以前でも藤枝東のボールに対して、しっかりとプレッシャーをかけてきた。藤枝東としてはそういう形では攻撃がやりにくいし、何よりも相手の守備の流れからの攻撃が怖い。そういう守備時のバランスがいいと、攻撃時の飛び出し、上下の連動がしやすくなるわけだから。縦のバランスが崩れさせた方がそういう心配がなくなる。そのためにロングボールで相手のブロックを崩しに言ったんだと思う。

結局、この蹴り合いの中で段々と三鷹のブロックが押し下げられていった。前線の厚み、個々の技術で上回った藤枝東の方がロングボールの実効性を高めてたから、ある意味では必然だったと思う。そして、そうやってある程度まで相手を押し込み陣地を増やしたところで藤枝東が本来のやり方に変更。そして、この組み立てのやり方がこれまでの中で一番いい内容だった。個と組織のバランス、中長短距離っていうパスの距離、サイドと中の使い方、ランニングの質のバランスが最高だったと思う。

相手をある程度下げからは左右のサイドを一杯に使った展開が見られた。片方のサイドに起点を作り、相手が狙いに来たところで逆のサイドへ。さらに前回の試合から多くなりはじめたくさびのパスも織り交ぜる。そうやって左右真ん中と起点を分散させ、さらに横パスに縦パスを織り交ぜることで相手のブロックの低い場所に押し込んだ。パスの質も短短長のリズムでさまざまなバリエーションを増やしたから、相手に完全に狙いどころを定めさせなかった。結果、圧倒的なポゼッションが可能になったと思う。

こういうパス回しを可能にしたのは、ボールに対する動きの質がよくなったたからだって言える。味方が囲まれているときのフォローの遅さをはじめにまだまだランニングの質に不満が残るところは多いけど、1戦目から比べると明らかに走りの質のバランスは改善されてきている。受けに来るような近づくランニングとスペースで受けるような遠ざかるランニングの質がバランスよく織り交ぜられている印象。特に遠ざかるランニングが多くなってきていることで、ショートパスにこだわらずに一発で相手のブロックに仕掛けるようなパスが引き出されているように思った。

そして、こういうパス回しが個の力を引き立てる。パスを回しながら広い場所に入り込み、チャンスがあれば積極的に仕掛けていくような姿勢が目立った。そのときに個が第一選択になってないのがよかったと思う。個での仕掛けにこだわり、窮屈になったら逃げるようにパスを出していた初戦と比べると明らかに違う場面。あくまでもパスは少ないタッチで回りつつ、チャンスがあれば仕掛けるっていうようなバランス感覚が生まれたと思う。逆にパスにこだわる姿勢ではないのもいい部分。

前にスペースがあるときにはもちろん、1×1のときには積極的に仕掛けていく姿勢が目立った。この試合に関しては数的不利の状況も個の力で打開してしまうシーンが目立った気がする。ただ、それはあくまでも相手との個の力差があったから。今後はやっぱりもう少し早くフォローに行きたいところ。とりあえず、効果的な組み立てと個の力差によって絶対的に試合を支配できてたのは確かだと思う。

正直なところ、三鷹としてもそういう個の力差は感じてたはず。ただ、圧倒的な粘り強さで最後の最後を跳ね返し続けたのは素晴らしかったと思う。精神論はあまり好きではないけど、本当にあきらめない姿勢というか、最後まで集中するような姿勢が見られた。結果として流れの中では1失点っていう内容とは不釣合いな結果がもたらされたように感じた。

ただ、やっぱり初戦のときに懸念材料に挙げていた守備の問題が浮き彫りにされたように思う。正確にはラストの堅さがあるわけだから、守備と攻撃のやり方の相性の悪さって言った方がいいかもしれない。後手後手の守備に回る中で最後まで持ち込まれる状況が続いてしまった。

そして、この最後まで押し込まれる守備ってのが三鷹の攻撃のやり方とは相性が悪い。基本的な三鷹の攻撃は上に書いたように縦の関係性を重視するものだと思う。2回戦のように縦1発攻勢で勝ち上がった試合もあったけど、それは本来のやり方ではないはず。何よりも2トップのタイプ的にロングボール1発でなんとか打開できるような攻撃には向いてないと思う。

そういう意味で今回みたいに中盤以降が完全に引かされる状況は好ましくなかった。トップがはがれてしまって、跳ね返しても跳ね返しても自分たちの攻撃に移ることができなかった。そうやって守備のバランスを整えられないっていう悪循環が生まれてしまった印象。本当は三鷹の攻撃を考えたら、中盤で引っ掛けるような守備をしたいってのは1回戦のときも書いたとおりだった。

対して、後半は修正を加えてきた印象。それは守備時に不用意に中盤のラインを下げないってこと。前半は中盤が完全にDFと一体化してしまう状態が目立ったけど、後半は中盤をそう簡単には一体化を作り出さないように意識してた。結果として守備時にはDFラインだけで守ることを余儀なくされるシーンもあったけど、攻撃でのバランスは取ることができた。結果として近い関係のパスが回って、敵陣深くまで入り込むシーンも見られ始めた。少なくとも立ち上がりはそういう姿勢が見えていたと思う。

それでもやっぱり最終的には個の差が大きかった。数的優位を作っても打開されてしまうのは痛かったと思う。初戦では藤枝東の個ベースのやり方に懐疑的ではあったけど、やっぱり個の力の重要性を実感させられる試合になった。そういう意味では組織としてのやり方が素晴らしい流経大柏との決勝を見てみたい。おそらく高円宮杯的なクラブユースと高校の試合みたいな展開が生まれるような気がする。加えて、準決勝に残った残りの2校のサッカーに明日は注目してみたい。
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