ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-07-08 Tue 15:19
スペイン×アメリカ
<スペイン:4-1-4-1>
FW:トーレス
MF:シルバ-シャビ-セスク-カソルラ、Xアロンソ
DF:カプテビジャ-マルチェナ-プジョール-セルヒオ・ラモス
GK:カシージャス

<アメリカ:4-4-2>
FW:アドゥ-ジョンソン
MF:ルイス-エドゥ-マイケル・ブラットリー-デンプシー
DF:ピアーズ-ボカネグラ-オニェウ-チェルンドロ
GK:ハワード

アメリカの守備。この試合のアメリカの守備は超がつく積極的な形。守備のスタートは2トップ。1枚が相手の最終ラインにプレッシャーをかけ、もう1枚が相手の中盤の底を押さえる。流れの中で受け渡しながら、うまく与えられた役割をこなしていたように思う。そして、ここで特徴的なのが相手の最終ラインを少しも自由にさせないっていうこと。組織を作ってある程度のところから守備を開始するっていうやり方ではなくて、敵陣ゴール前の相手に対してもプレッシャーをかけて行った。最前線からのリミッターのない守備。

少しも余裕を与えてもらえないスペインの最終ラインはどうなるか。EUROのイタリア戦を思い出せばそれが分かる。ちなみに、このアメリカ戦はEURO前の試合だったけど。とにかく、イタリアはスペインの最終ラインを深い位置に釘づけにするようにトニを当ててきた。トニがこの大会で唯一守備面で貢献した試合。これによってスペインの最終ラインは持ちあがれなくなり、中盤が助けるために低い位置まで降りてくる時間が長くなった。結果として後ろにばかり人数が溜まって前線にボールを送り込めない状況。

今回のアメリカ戦でも基本的には同じことが起こった。しかも、イタリアよりもアメリカの方が前線の守備の本気度が高い。イタリアの守備はあくまでも後ろに重心が置かれてるものだったし、トニの守備だって、あくまでも持ち上がらせない質のもので、前線から奪いに行く質のものではなかった。だから、最終ラインが持ちあがれない問題は結構あっさりと解決した(その次でとっても手こずったわけだけど)。それに対して、今回のアメリカは本気で前線から奪いに来てる。2トップは追いかけ回してたし、後ろもついてきてた。スペインにとっては攻撃のスタートの場所がかなり窮屈になってた気がする。

そんなわけで当然のように前線の選手が降りてきて助けるスペイン。シャビは低い位置でのプレー時間の方が長かったぐらいのレベル。前半は。セスクも降りてきまくり。そして、シャビ&セスクの真ん中の2人が低い位置に降りて行くと、それに引っ張られる形で両サイドのカソルラとシルバも低い位置に降りて行く。みんなが自陣に戻ってしまったスペイン。相手ゴールまでの遠い遠い道のり。かなり絶望的な低い位置の飽和状態だったように思う。

アメリカの方としては、これによって、さらに守備の勢いが増す結果になった。そもそも上にも書いたように、前線から奪いに行く意識が見られたアメリカ。2トップの守備に対して中盤もしっかりとついて行く。中盤の4枚は余裕で敵陣内で守備をするレベル。だから、スペインのSBは相手のSMFに押さえられて自由度が低くなった。最終ラインが深い位置に横並びで釘づけにされたイメージ。シャビとかセスクが降りて行っても、そう簡単に自由にはさせてもらえなかった印象。

要するに、そもそものブロック作りの時点で4‐4‐2の4‐2は敵陣内に入るのがアメリカの守備。それに加えてスペインのSMFが下がっていったことで、それについて両SBも敵陣内に入るレベル。自陣は高いなんてもんじゃないレベルの2バックが完成。立ち上がりの時間帯はアメリカ陣内にアメリカの2バックとスペインのトーレスだけが残るなんてシーンも珍しいものではなかったと思う。

これでスペインは全く敵陣内に入れなくなった。味方が自陣にみんな溜まっちゃってるんだから当たり前。延々と自陣でのパス回しが続く。もっと言えば自陣の深い場所でのパス回しが続く。攻撃のスタートが切れない。そんな流れの中で何とか糸口となる縦パスを狙おうとしても、敵陣内に入っているのはトーレスのみ。いくらなんでも選択肢が少なすぎるって話。敵陣内に入り込む縦パスはあっさりと相手に引っ掛けられてしまった。

これに対するスペインの解決策。普通に考えれば蹴りまくり作戦が有効。相手は尋常じゃないレベルに浅い最終ライン。こちらの1トップはウラのスペースが大好きなトーレス。相手にリミッターなく追いかけ回されてる時点でロングボールの出し手がどうかって話だけど、低い位置で横横にパスを回しているうちに誰かしらが浮いてくる状況は当然のようにできた。そこからトーレスへ蹴っとけばチャンス量産の臭いがプンプン。そして、頭の上を越えられまくる相手はそのうちにブロックを下げるだろう。結果として組み立てをスムーズに行えるようになるはず。

でも、スペインは全くそういう攻撃をしなかった。やっぱりスペインの攻撃は意地でもパスパスパスで崩し切るようなものなんだろうと思う。EURO決勝のドイツ戦でも最初はつないで行こうとしてた。ただし、こちらの試合では途中で柔軟にやり方を変更。トーレストーレス攻撃、カウンターが主体となっていった。ここで思い出さなければならないのは、ドイツとの試合はEUROの決勝戦だったってこと。結果が絶対的に問われる決勝戦。それに対してアメリカ戦は親善試合。しかも、ホーム。蹴りまくり作戦は国民が許してくれないのか。結果よりも内容重視の戦い方だったかもしれない。

というわけで、アメリカの前線からの守備に対しても意地でもつなぐ方を目指したスペイン。これがうまく行ってしまうあたりはさすがスペインというところか。本当に自陣の一番深い位置から丹念にパスをつなぎながら相手ゴールまで向かっていくシーンが多くなっていった。ただし、それをどうやって行うのかが1つのポイントになってくる。そして、そんなパスパスでの崩しを可能にしたのはスペインの中盤の一種のあきらめだったように思う。

つなげどもつなげども相手ゴールは遠い。立ち上がりはまさにそんな状況だった。パスをいくらつないでも敵陣内に入れなかったってのは上にも書いたとおり。そこで焦れて縦パスを送り込もうとしたところを引っ掛けられる。だから、スペインは縦パスをあきらめた。自陣でパスが回るならばそれでもいいんじゃね?っていう話。下手にボールを失っても仕方がないから、とりあえず無謀なことはせずにパスを回そうっていうイメージ。敵陣内に入ろうっていう欲が徐々に減っていった。

もったいないことに自陣でのパス回しのクワトロ・フゴーネスを使ったスペイン。本当はイニエスタがいないからクワトロ・フゴーネスではないけど。それでも底に入ったXアロンソを含めて技術の高さには疑いがない。やろうと思えば相手ゴール前の超密集地帯を崩し切る力のある選手たちの組み合わせなんだから、自陣でパスを回すなんてのは朝飯前。相手がいくら前線からプレッシャーをかけてきてるとは言っても、何の問題もなく落ち着いてパスを回していた印象。

これに困ったのがアメリカ。アメリカの前線からの守備は上にも書いたように高い位置でボールを奪うために行われている。でも、今や相手の中盤の構成力の前にその野望は打ち消されてしまった。確かに相手が自陣に入ってくるのは押さえることができる。相手の縦パスの選択肢はトーレスしかないんだから、そこを押さえればいい。でも、そのトーレスに相手が入れてこなくなった時点でアメリカの守備の狙いどころは定まらなかったって言える。

前線から追いかけて行っても、相手のパス回しによって次々に逃げられてしまう。自陣に入らせないっていう成果だけを考えるとあまりにも無駄な体力を使い過ぎ。結果として後半は明らかに運動量が落ちてしまったと思う。とにかく、あれだけ前線から頑張って守備をしているなら、やっぱり高い位置で奪うっていう成果が欲しい。でも、その頑張りは報われない。スペインの中盤をなめるなよって話。ボールの動きに対して常に適切な場所に入ろうとするアメリカの選手。対するスペインはボールを動かしまくる。そんな繰り返しの中で、当然というかなんというかアメリカの守備ブロックに穴が開いていたと思う。

自陣での少ないタッチでのパス回しで局面を変えまくって相手のブロックを動かしまくるスペイン。そんな流れの中から本格的に敵陣内に入るスイッチは何だったか。それはシャビが空いたところだった。最初に降りてきた時点では前を向かせてもらえないシャビもスペインが自陣で前後左右にボールを動かしてる間に自由にボールを扱えるタイミングが出てくる。シャビ自信がそんな場所に入るのもうまいわけだし。そして、シャビがエアポケットでボールを受けた時点で、シャビが前向きにボールを扱った時点でスペインの攻撃のリズムに変化が生まれた。

最も多かったパターンが右サイドに展開してその右サイドから敵陣内に侵攻するっていうやり方。このパターンに限らず、5分を過ぎたあたりからのスペインは中→外、サイド→逆サイドっていう大きな横への展開を織り交ぜることで敵陣内に入る機会が増えて行ったわけだけど。中でもシャビ→右の展開が多くなったのには理由がある。

1つは当然のようにシャビが攻撃の中心にいたこと。上にも書いたように、シャビが前向きでボールを持ったところが攻撃のスタート。2つめはシャビは中盤の左寄りに入っていたこと。ゾーンで守るアメリカはシャビがボールを持った時点で、そのサイドに寄せられている。逆サイドが空く。本当はしっかりと寄せることで逆サイドへの大きな展開は許さないってのが理想。でも、スペインの低い位置でのパス回しで揺さぶられまくったアメリカのブロックは何となくボールサイドに寄ってるっていうイメージが強い。それに、何度も書くようにそもそもシャビが浮いたところで攻撃をスタートしてたのがスペインだった。

こんな展開の中で右SBのセルヒオ・ラモスから敵陣への侵攻が行われる形が増えて行った。アメリカが狙っているトーレスは攻撃の組み立ての場所での重要度は薄れていった。残念、アメリカ。前線から頑張って守備をしていたのに、ついに相手の自陣への侵入を許すシーンが増えて行ってしまったと思う。結果として深い位置に4‐4ブロックを作ってバイタルをつぶすような守備が多くなった。前線から追いかけ回し、相手の低い位置のパス回しに合わせて左右のブロックを動かし、最終的には自陣のゴール前へ。お疲れ様です。

そんなわけでちらほらとスペインの中盤のパス回しが本来的な場所で見られるようになって行った。幅は両SBに任せて、中盤の選手を真ん中へ押し込む。個々の選手がパスを受けるためにギャップに入り込み、パスを出した選手は次のギャップへ入る。このときの距離感が素晴らしい。ボールも動き人も動く。ただし、ロシア戦で見られたようにスムーズにとはいかなかった。その要因はスペイン自身の問題。パスが微妙にずれるシーンが目立って、せっかくの1タッチ2タッチのリズムが分断されることが多くなったと思う。はまると美しいっていうようなレベルでコンスタントにいいリズムを続けられなかったのが、この試合のスペインの問題だったかもしれない。

そんなわけでいつの間にかスペインに流れが傾いていた。アメリカとしてはやってられないって話。前線からの頑張りが報われないわけだから。だから、アメリカも前半の30分前後を境として守備のやり方に変更を加えてきたと思う。前線から→揺さぶられる→引いて受けるっていう3段階に分けるとすれば、2段階目にメスを入れた。1つ目の前線からの追いかけも時間とともに勢いが弱まっていったってのは確かだけど。

さて、揺さぶられるっていうところにどうやってメスを入れたか。スペインが揺さぶるようになったのは、縦パスをあきらめたから。とりあえず、自陣で回しとく時間を増やしたから。これは上にも書いた通り。対して、アメリカが揺さぶられないようにと修正を行ったのも一種のあきらめ。相手が人数をかけて中盤で回し始めた時点で、もう奪うのは無理だろうっていうあきらめ。それまではボールを奪ってやろうと、相手のパス回しに対してチームとしてボールへのアプローチを行っていた。そして、それに振り回されていた。つまり、アメリカの守備の修正は前線で奪おうっていう意識をなくすこと。

今回の試合では特に安定感がなかったマルチェナを中心にスペインの最終ラインはつなぎの場所が不安定。だから、守備のスタートの時点では引かずに積極的な守備を継続した。でも、その最終ラインにシャビを中心としたスペインの中盤が助けに来たら、その追いかけは終了。勝手にボールを前わしてて下さいなってことで、自分たちは自陣へと引きこもった。ほとんど全員が敵陣内で守備をしてる時間さえあったアメリカが今や自陣で4‐4‐2を作る時間が長くなっていたと思う。

これでスペインの攻撃に勢いがなくなる。自陣でコンパクトブロックを作ったドイツを本質的には崩せなかったスペイン。それと同じ問題。相手が前線から来てくれれば、それを外して外してボールを回す中で、必ず相手のブロックに穴を作り出すことができる。そこから敵陣内に入り込めばいい。でも、相手が最初から穴を作らないっていう守備をしたらどうなるか。スペインは敵陣内に入れない。イタリア戦でもドイツ戦でも見られた問題。

なんとなく縦パスを入れようもんなら、受け手への守備を徹底して目標としているアメリカの守備の餌食。入りどころに対して厳しいプレッシャーをかけられてボールを失ってしまう。少なくとも前を向かずにボールを下げるだけになってしまう。基本的にスペインの中盤のパス回しの良さはみんなが前を向いて前へ前への勢いを保ったままにパスを交換していくこと。誰かに当てて飛び出すっていうよりは、全体で前へ向かっていくってやり方。その良さが消えてしまったと思う。

スペインの攻撃×アメリカの守備っていう側面ではこんな感じの流れで前半が終了。ここでちょっと小休止。アメリカには五輪代表世代の選手が多かった。そして、アメリカは日本の初戦の相手。アメリカの守備と日本の相性はどうなのかって部分を考えてみたいと思う。ただし、このチームと五輪代表が同じようなやり方を採るものと考えてではあるけど。まあ、アメリカの監督はAも五輪も兼任のようなので、異なる質のサッカーをしてる日本とは違ってそれなりに共通点は多いと思う。

さて、アメリカの守備がスペイン戦のように前線から追いかけ回して来たらどうなるか。カメルーン戦の前までなら絶望的だった。ビルドアップが超下手な日本代表にリミッターなしの超プレッシャーがかけられるなんて悲劇以外の何物でもない。でも、トゥーロンで一皮むけた日本代表はビルドアップの問題を解決。ドイツ、オランダ方式(あとはマンU方式とも言える)のビルドアップを獲得した。要するに出し手と受け手の役割を分担しておいて、受け手が相手の間で受ける。そこに収まった瞬間に出し手だった選手が飛び出して絡んでいくってやり方。

前線から来るアメリカの守備にちょっとでも一体感がなければ機能し放題のこの形。中盤とDFの間のスペースでボールを受けまくることが可能になる。そして、中盤とDFの関係をはがすために有効なのはやっぱりロングボール。ここはスペインじゃないんだから誰も起こらない。最初は李を走りまくらせればいい。そして、相手のDFを下げさせておいて本来の組み立てをすればいい。

そして、もう1つの懸念材料が相手の前線からのプレッシャーに耐えられるかってこと。これは大きな懸念材料。何しろ日本はスペインじゃない。中盤があれだけ落ち着いてボールを回すのは難しいと思う。となると、遠藤の離脱は痛すぎるのかもしれない。なんだか知らないけどフラフラと前線に出て行ってしまうことが多い梶山がどれだけDFライン前でのタッチ数を増やすかがポイントか。本田拓じゃちょっと心もとないし。本当は遠藤&梶山で中盤の底を組ませたら面白いと思ってたんだけど。

さて、そろそろ本題にスペイン×アメリカに戻りたいと思う。前半の最後の方では再び攻撃が停滞気味になったスペイン。考えてみれば実は前半にスペインがいい形を作ってた時間はかなり短かった気がする。そんなスペインが後半の開始時に選手交代。トーレス→グイサ、Xアロンソ→セナ。親善試合だから、どれだけ戦術的なものかはわからない。それでもいい方向に出たのは間違いない。トーレスよりもグイサの方が明らかに1トップにフィットして目立ちまくってたってのが1つ。ただ、それ以上にセナが入ったことが大きな意味を持っていたように思う。

漠然とした印象だけど、Xアロンソよりもセナの方が勇敢だってイメージを受けた。Xアロンソは相手のブロックの外でボールを受けて、相手のブロックの外から攻撃を組み立てることが多い。それに対してセナは相手ブロックに積極的に入っていく。ドイツ戦の得点シーンも起点はブロック内でボールを受けたセナだったし。自陣で引いて穴を作らないようにする相手。その相手ブロックにセナが入り込んでいくと、相手はそれに対応せざるを得ない。どうしてもブロックから引っ張り出される。結果として穴ができる。そこに受け手が入る。Xアロンソがプレーする場所だと相手は勝手に持ってていいよってなることが多いけど、セナの場合は相手を引きつけることが多い気がする。

そんなわけで後半のスペインは前半よりも楽にボールを前線に入れることができるようになった。そして、これがシルバ→デ・ラ・レッドの交代でさらに加速される。この交代によってスペインのシステムは4‐2‐3‐1っぽい形に。何よりも大きかったのがシャビが前線でのプレーに専念できるようになったこと。それまでは低い位置の助けに来るシャビの仕事をセナが引き受けることとなった(デ・ラ・レッドがセナの役割)。セナは低い位置の組み立てを助けつつ前線に飛び出すプレーを増やした。何にしてもシャビのゴールに直結する場所でのプレー時間が長くなった。それが得点にもつながってる。

今回の試合のシャビはとにかく素晴らしかった。EUROでも素晴らしかったけど、それよりも素晴らしかった。ピークを1つ前に持ってきてしまったんじゃないかってレベル。出し手としての役割でチームの中心となり、間間に入り込み受け手になり、常にボールの近くて逃げ場として機能し、機を見てFWになるような飛び出し、そして得点につながった個人技での突破。相手のど真ん中をドリブルで抜け出すっていう素晴らしいプレーを見せてくれた。さすが、後のEUROのMVP。

そんなわけで後半のスペインは前半の終りの流れが嘘のように攻撃をスムーズに進めた。リズムよくパスを回すシーンも増えて行った。出し手の意図と受け手のランニング、動きが合致するようになってた気がする。的確なタイミングでの飛び出しが多くなったと思うし。ただし、このスペインの攻撃の改善を反対の側面から見ることもできる。つまり、アメリカの方に問題が表れたっていうこと。

その問題はスタミナ。ここまでにも書いてきたように、アメリカは前半の守備でかなり消耗していたと思う。だから、後半は完全に運動量が落ちていた。前線からの守備の面影はなくなり、受けるにしても入りどころに素早くプレッシャーをかけられなくなった。アメリカ陣内でボールを受けるスペインの選手がルーズになり、簡単に前を向けるようになり、スペインのみんなが前を向いたパス回しが可能になった。実はこちらの要因の方が大きかったかもしれない。

疲れたアメリカは後半のほとんどを自陣で過ごした。立ち上がりのチャンス以外に攻撃をした事実自体が後半はほとんどなかったように思う。相手に攻められて、なんとか最後で跳ね返して、その跳ね返したボールが相手に渡って、また攻められる。この無限ループ。ここから分かることは、アメリカは深い位置からの組み立てが下手だってこと。これは前半からも見られた事実。高い位置で奪ってショートカウンターの芽がなくなった時点でアメリカの攻撃に怖さはなかった。とりあえず見るだけ見てみたいと思うけど。

4‐4‐2のアメリカ。攻撃時はSBが高めに出て行き、最終ラインは2バック。その代わりCMFの2枚がそのCBの前に常駐状態。スペインは敵陣で守備をする気があまりなかったから中盤の2枚を下に張りつかせる意味はあまりなかった気がするけど。とにかく、結果として攻撃時は2‐4‐2‐2みたいな形になることが多かったように思う。

前線では右サイドのデンプシーが真ん中に流れてくることが多い。入れ替わりにジョンソンが右に流れることシーンも目立ったと思う。逆に左サイドのルイスは左サイドに居座ることが多かった。ただし、上下の動きを増やして1つ下のピアーズと前後の入れ替えをすることも多かったと思う。残ったアドゥは中盤に降りて行く動きが目立ってた。右では左右の動き、左では前後の動きが多くなってた印象。

このうち活性化したのは左サイド。というか、左サイドしか機能してなかったのが今回のアメリカ。右サイドから真ん中に流れてきたデンプシーは消えた。アメリカの出し手は基本的にCBとCMFの2‐2。CBの2枚は距離を空けて幅を作ろうともしてたけど、限界がある。結果としてスタートが真ん中に偏ることとなった。だから、デンプシーにボールを入れるには中→中の縦パスを通さなければならない。相手の4‐1‐4‐1システムではその真ん中のコースには完全にフィルターが掛けられてた。じゃあ、入れ替わりに外に出ていったジョンソンはどうか。これも無理。なぜならばジョンソンは右サイドの超高い位置で待ってたから。中盤には降りてこないで、サイドのウラを狙うイメージ。パスを通すには距離が遠すぎた。

よって右が死亡。左はルイスとピアーズの前後の入れ替えなんかを利用しながらなんとかボールを運べる体制は作り出してた。ただし、深い位置に行くとなると話は違う。この関係性はあくまでも2人だけ。そして、相手の右SBはセルヒオ・ラモス。ロシアの左サイドを無効化したセルヒオ・ラモス。残念ながらアメリカの左サイドの攻撃はあっさりと止められてしまう結果となった。そんなアメリカに唯一残された選択肢は降りてきたアドゥに預けて個人でゴールに向かってもらうこと。いくらなんでも可能性が薄いって話。

全体としてアメリカの攻撃の問題は関係性が作れてないってこと。相手がスペインだから余計に目立ってた。アメリカは選手間の距離がとにかく遠い。その上ボールを引き出す動き出しがほとんどない。だから、個人が孤立する。潰される。パスを出せたとしてもパスの距離が遠い。引っ掛けられる。引っ掛からなくても足元足元だから狙われる。五輪代表もこんな感じなら、日本の守備は全く心配はいらないだろうなって気がする。遅攻をさせればこっちのもの。個分断のアジアのチームと戦うのとあまり変わりはないかもしれない。

そんなわけでアメリカの攻撃の質は高くなかったって言える。結果としてスペインの守備の問題があまり表に表れてこなかった。でも、スペインの守備には確かに問題が存在してたと思う。あいまい性の問題が。まず、はっきりしてたのは自陣で守備をしようってこと。切り替えの流れはともかく、相手がボールを保持したら全員を下げて4‐1‐4ブロックを自陣に作り出した。やっぱりトーレスは何もしない。そこまではよし。でも、4‐1‐4ブロックを作った上でどこから守備をするのかがはっきりしなかったと思う。

基本的には相手が自陣に入ってきたところが守備のスタート。確かに入ってきたところで中盤の選手がチェックに行ってはいた。でも、それが単発。その上、強度がまちまち。チームとしての奪いどころを定められてなかったと思う。アメリカの攻撃がスペインの守備に負けず劣らず個が分断していたからいいものの、普通に4‐1‐4の1の場所に入られるリスクは高かったように思う。

もしかしたら、スペインの守備は過渡期だったのかもしれない。この後のEUROでのベタ引き守備に向けて。EUROでは自陣に相手が入ってきても、それほど気にしたそぶりを見せなかった。勝負はあくまでも最後のところ。そのためになんとしてもバイタルエリアをつぶしにかかってた。アメリカ戦でも守備が一番機能してたのはバイタルエリアだった。相手の攻撃がお粗末だったっていう要因は多分にあるものの、縦パスが入った選手はすぐに囲い込んで潰していった。ただし、そこを押さえるってことが徹底されてなかったのも事実。前から行ってみたり、後ろで守ってみたり。上にも書いたようにあいまいな様子が見て取れた。

そう考えると面白い。攻撃も含めて、これが機能したらEUROのロシア戦みたいな形になるんだろうなっていうやり方が多く見られた。なんでロシア戦ばかり取り上げるかっていうと、スペインが主導権とポゼッションを握って戦ってたのはロシア戦しか見てないから。イタリア戦ではボールを支配してても主導権はイタリア。ドイツ戦は主導権は握っててもポゼッションはドイツだった。そして、アメリカ戦では主導権もポゼッションも握った。やっぱりプチ・ロシア戦だったと思う。相手は全然違うけど。

そして、今回の試合ではシャビが目立ちまくってたけど、たぶんシャビが目立たないレベルに周りのレベルが上がったんだろうなって思う。チーム全体としては攻撃と守備に微妙な、そして的確な修正が行われたんだと思う。そして何よりもチームに柔軟性が生まれたのが大きかった。決勝のドイツ戦のときにも書いた気がするけど。アメリカ戦だって、蹴りまくってればもっと簡単に勝てたはず。でも、それをせずにあくまでもつないだスペイン。国民に怒られないように。そういう意味では大きな大会でも国民に怒られないように戦ってたのが今までのスペインだったのかなって気がする。結果が出なかった要因か。
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2007-11-24 Sat 00:33
ブラジル×ウルグアイ
<ブラジル:4-5-1>
FW:ルイス・ファビアーノ
MF:ロナウジーニョ-ロビーニョ-カカ、ジウベルト・シウバ-ミネイロ
DF:ジウベルト-フアン-アレックス-マイコン
GK:ジュリオ・セザール

前回ブラジルの試合を見たのがイメージをぶっ壊されたコパアメリカの決勝。ブラジルらしくない中盤での繰り返されるチェックとそれに連動する周囲の選手の囲い込み。そういう効果的な守備で奪った後の、ブラジルらしくない縦一発の攻撃。全くブラジルらしくない堅守速攻のサッカーでアルゼンチンに何もさせずに3-0で優勝した。

ただし、そのときには1・5軍的メンバーで戦ってた。だから、ロナウジーニョだったりカカっていう1軍のメンバーが帰ってきたときにどういうサッカーをするかっていうのは注目点だった。
もし、ドゥンガがコパアメリカのサッカーを徹底して追及するなら、本来の1軍の選手を中心としないチーム作りもありえるんじゃないかとさえ思ってた。何しろ中盤は守備を求められ、攻撃ではその中盤の頭の上をボールが飛んでくわけだから。
でも、今回のウルグアイ戦ではカカとロナウジーニョがスタメン。とりあえず、コパアメリカのサッカーの徹底追及はないと考えてよさそう。

で、注目の試合内容。実際の試合内容はコパアメリカ的な側面を残しつつも、本来のブラジル的な側面も見えた。結果、全体として中途半端なやり方が多くなって、ウルグアイに主導権を握られる状況に陥ってしまったと思う。

まずは守備面から。守備ではボールにチェックに行く意図は見て取れた。トップから中盤にかけて、とりあえず相手ボール保持者に対する何らかのアプローチを取ろうとする姿勢は見て取れたと思う。
ただ、それがあまりにも中途半端だった。どういう意図を持って守備をするのかがはっきりしてなかった気がする。奪いに行くような厳しいものでもなく、次の選手が狙いやすいように制限して行くような質でもなく。ただ、なんとなくボールにアプローチを加えるようなイメージが強かった。

こういう状況だから当然、ウルグアイにとっては本質的な脅威にはならない。むしろ、その中途半端なアプローチに来るために空いてしまったギャップを逆に突いていったと思う。
ウルグアイの攻撃については後で詳しく書くけど、ブラジルの中途半端な中盤の守備は一切プレッシャーにはなっていなかった。結果として、ウルグアイが深い位置まで侵入するシーンが多くなったと思う。ブラジルの中盤での守備は結局全く機能せず、最後のところに人数をかけて跳ね返すっていうやり方に頼らざるを得なくなった。チーム全体が自陣深くに押し込まれる時間が長くなったと思う。

こういう形だから、能動的か受動的かという違いはあるものの、前回見たアルゼンチン戦と同じく相手に攻め込まれてる状況は変わらなかった。そういう意味では守備をベースに攻撃は一発でっていうやり方もありえなくはなかったはず。でも、実際にはそういう一発の質のパスはほとんど見られなかった。確かに守備のバランスが崩れたことでFWまでがかなり低い位置まで戻されたことも要因にはあったと思うけど、やっぱりカカとかロナウジーニョが入って攻撃のやり方が変わったっていう見方が妥当だったと思う。

ただ、本来のブラジルらしさが見られたかと言えばそういうわけでもなかった。一発のパスは使わないけど、縦への意識とか手数をかけない攻撃の意識は微妙に残ったままだったような気がする。
それが見られたのはロナウジーニョのプレー。この試合のロナウジーニョは全くといってもいいほどボールを保持する機会がなかった。ボールが入ると1タッチ、2タッチでシンプルにボールをはたくシーンが多くなった。ロナウジーニョは相手を集める選手だから、周囲の空いてる選手を使うってのは効果的なプレーではあるけど、そういうプレーに終始するのはロナウジーニョらしくなかった気がする。逆のカカもカウンターのシーン以外ではほとんどドリブルを見せてない。

この辺に攻撃の展開を素早くするような意図が見られた気がする。やっぱり1人の保持時間が長くなると、それだけ時間がかかるのも事実だと思うから。
それに上に書いたように攻撃における縦への意識も感じた。何でもかんでも縦へってことではないけど、本来のブラジルのイメージだと中盤でのパス回しみたいな横のアプローチの後に、満を持して縦へっていうやり方が多いと思う。それが今回の試合ではそういう中盤でのチームとしてのボール保持もあまり見られなかったような気がする。

ただ、そうやって早く早くと展開する中での連携ミスがかなり目立った。ある意味では落ち着きがないというか。相手の守備がよかったのも事実だけど、ブラジルの個々の能力ならボールを持とうと思えば持てたはず。チームとして落ち着きを加えるボールキープがあってもよかったような気がした。

逆に本来のブラジルらしかったのがSBの攻撃参加だった。カカとかロナウジーニョがシンプルにはたくプレーを繰り返したって書いたけど、その相手は多くの場合で大外を飛び出していくSBになることが多かったと思う。そのSBの攻撃参加を利用しながら、敵陣深くにボールを運んでいったと思う。というか、この試合のブラジルの攻撃はSBの攻撃参加以外に全く形を作ることができてなかった。要するに本来のブラジルらしさを見せた場所だけが機能したって言える。

同時に真ん中の薄さも影響してた印象。そして、この真ん中の薄さは4-5-1システムの影響もあったような気がする。
今回の4-5-1システムでは頭がルイス・ファビアーノで2列目にロナウジーニョ-ロビーニョ-カカが並ぶ形。このトップ下に置かれたロビーニョがチームに悪い影響を与えてた印象(ロビーニョ自身のプレーが悪いというよりも、トップ下っていう場所が悪かった)。

まずロビーニョが真ん中に入ったことによってカカとかロナウジーニョが両サイドに釘付けにされることになった。2列目の3の関係が固定化されて、その間での関係性が築きにくくなった。これがカカとロナウジーニョの外(SB)への展開につながったと思う。

それにこの2列目の固着化がボランチの攻撃参加を停滞させることにもつながったと思う。2人のボランチは攻撃の出し手としては機能するけど、受け手としてはうまく機能できなかった。結果、前線での選択肢が増やせなかったと思う。

さらにロビーニョが前への意識よりも後ろへの意識を強く持ってたことが悪影響を及ぼした。要するに縦関係の2トップというよりも、あくまでも中盤としての意識が強かったこと。結果として1トップのルイス・ファビアーノが孤立するシーンが多くなったと思う。
2列目で言えばロナウジーニョにしろカカにしろトップの場所に飛び出す動きはほとんど見られなかった。だから、1トップ脇のスペースをSBが利用するような状況まで生み出されてたと思う。

しかも、こんな感じで他のポジションが固着化する中でロビーニョだけは自由にプレーしてた。それ自体はいいんだけど、そのときにサイドに流れるシーンが目立った。これがさらに真ん中を薄くする要因につながった。ただ、ロビーニョにはドリブルが許されてたようで低い位置から1人で持ち込む打開力はさすがだった。

こういう点を見てみるとブラジルにはスタンダードなボックスの4-4-2があってるように感じる。トップ下の場所をあえて空けることで、中盤の流動性が増し、そこに前後(ボランチとトップ)との関係性を築く場所も生まれる。今回はトップ下にロビーニョを入れたことで、うまく流動性が築けなくて4-5-1が4-5-1のまま(SBの攻撃参加はあったものの)動けなくなってしまっていたような印象を受けた。

その中でがんばったSBのうちでは特にマイコンの活躍が目立ってた。上に書いたトップ脇にまで出てくるシーンが目立って、かなり深い場所でボールを扱うことができた。攻め手がない味方を助けたと思う。得点シーンも2つともマイコンからの展開だったし。
ちなみに2点目はこの試合の中では数少ないブラジルらしい攻撃だった。左サイドの狭い場所でボールをまわしてから、逆サイドの広いスペースのマイコンへっていう展開からだった。

こういう感じで精細を欠いたブラジルに対してウルグアイの内容は素晴らしいものだったと思う。攻守において個々の意識の高さと組織としての連動性が見られて、ブラジルを圧倒した印象。

そのウルグアイの形はやや変則的だったように感じた。4-4-2と4-5-1を併用してたようなイメージ。以下、図の通り。

---13--9--- 
7---18-----
--- 8-11--- 
4-- 3-2--16

2トップの一角である9番が右サイドを基本としたプレーが見られた。そこから斜めに中に入ってくることが多い。逆に左サイドの7番はドリブルで縦を攻めていくことが多くなったから、意図的な左右のバランス崩しだったと思う。

興味深かったのがこの左右のバランス崩しが守備の組織作りでも見られたこと。明らかに右サイドのスペースがぽっかりと空いてしまっていた。でも、ブラジルはそのサイドを起点とした効果的な攻撃を仕掛けられなかったと思う。
その理由はブラジルの攻撃の起点がほとんど右サイドに作られることが多くなったから。そして、それはウルグアイが意図的に追い込んでた側面も大きかったんじゃないかと思う。そうなればブラジルの右サイド(ウルグアイの左サイド)は4-4-2の左寄りと考えればストロングポイントに。結果、人数をかけた効果的な守備が可能になった。

とは言っても、この形の真意はイマイチつかめなかったってのが本音。今回は1時間圧縮版だったから、この点については特に90分じっくり見てみたかった部分。

この形については今後機会があれば見るとして、今回の試合では上にも書いたようにウルグアイの個と組織のバランスのよさが目立った。特に局面局面を切り取ると、素晴らしい場面がかなり多く見られたと思う。

まずは守備面。この守備の基本になってるのが最初の切り替えの速さだった。切り替えでの守備が時間稼ぎの単発のものに終わらずに、すぐに周囲が連動してきた。だから、高い位置での最初の守備がすでに相手にとってはかなりのプレッシャーになったと思う。ブラジルらしくなく、奪ったボールを蹴りだすっていうやり方が多くなった。そこで、無理につなごうとすればウルグアイが奪って一気にチャンスにつながることも多かったと思う。

次に組織を作ったときの守備。ここでも基本となる1つ1つのチェックを欠かさない。それに加えて、そのチェックの中で常に奪うことを狙っている姿勢が見られた。相手がちょっとでももたついたそぶりを見せれば、一気に距離を詰めて奪いに行く。そのときの球際の厳しさには南米らしさを感じた。

この1つ1つのチェックに対する周囲の連動も素晴らしい。上に書いたサイドに追い込むやり方でも分かるとおり、1つめのチェックとその際の周囲の連動によって相手の選択肢をかなり減らすことに成功した。ボールに対する最初のチェックに対して、周囲のそれぞれの選手が微妙にポジションを動かしながら相手の選択肢を削って行った。1つ目のチェックだけではなくて、その周囲の選手の決め細やかな対応にもそれぞれの守備意識の高さを感じさせられた。

結果、ブラジルはウルグアイのブロックへの最初の仕掛けが全くできなくなった。無為に後ろでパスを回すことが多くなって、その間にいつのまにか相手の守備網に引っかかっていった。
こうやって相手の攻撃に制限が加えられてるから、ウルグアイは相手の前でボールをカットするっていうシーンがかなり多くなった。事前の予測が可能なことをベースとした出足の早さによって、ボールが入ったら厄介な相手にボールを入れさせなかった。
ちなみに、相手の前で触れなくても相手の個を機能させないように密着してマークしたし、そこにすぐ次の守備が連動して囲い込みが機能してた。

こういう形のいい内容の守備をしているから、ブラジルに最後まで攻め込まれるシーンが少なかった。要するに途中で引っ掛けることができたってこと。そうやって守備ブロックが崩されない状況でボールを奪うことができたから、その後の攻撃もスムーズになった。選手の距離感がよかったから、奪った後の選択肢が多くスムーズな切り替えが可能になった。少ないタッチで次々とパスが回って、一気に相手ゴールまで迫ることができたと思う。個々の切り替えもよかったから、そこで飛び出してくる選手が多くて守備の勢いを殺さなかったのもよかった点。

この選択肢の多さは切り替えの後に限らず、全体を通して見られたと思う。そのベースになってるのはやっぱりランニング。特に後ろからの飛び出しが多くて、ボールをうまく引き出してた印象。
それにチームとしても近い場所に選択肢を作ることが徹底されてた気がする。ボールの近くには常にフォローを置いて、ボール保持者の逃げ道を作った。そして、この近くのフォローが相手の守備に対して大きな効果を発揮することになったと思う。

上にも書いたとおり、ブラジルの中盤での守備は中途半端だった。その中途半端な相手選手がボールに寄せてくるところを十分に引き付けて、近くのフォローにはたくっていうやり方が局面局面で多く見られた。そして、その時点でブラジルの守備ブロックはバランスが崩れている。そのうちに例えばDFと中盤の間にギャップができるようなシーンにつなげることができた。引き付けてはたくっていう繰り返しの中でうまくボールをつないで行ったと思う。

そういう意味ではウルグアイの攻撃はギャップの使い方がうまかったって言える。それは近い関係だけではなくて、遠い関係でも。大きな展開で薄いところに局面を替える質のボールが多く見られた。その中で外と中っていうピッチ全体を効果的に利用できてた印象。薄いところ薄いところを見つけながら、うまく相手のブロックに仕掛けて行った。

そうやって中と外を使ったわけだけど、攻撃の起点はサイドに置かれることが多くなった。これはブラジルのボランチを外す意図があったんじゃないかと思う。
本来的にブラジルは最後の真ん中を固める守備のやり方を取ってくる。アルゼンチン戦でも守りに入った時間は4-3をしっかりと形成するやり方を取ってきたし、今回も最終的にはCBとボランチの2-2を固めることで最後をやらせない守備のやり方を取ってきた。

これを考えると無理やり中から攻めて行くのは効率が悪い。そのために外に起点を作るやり方を取ってたんじゃないかって気がする。特に早い時間にはサイド深くをえぐるシーンが多くなった。そうやって攻撃に深みを与えながら、徐々に相手ブロックを深い位置に押し込んでいった印象。

そのときにうまく副産物も生み出したと思う。それはボランチを引っ張り出すってこと。例えばロナウジーニョはあまり守備をしないわけだから、そのカバーにボランチが出てこなければならなくなる。そうやって中の磐石な2-2を崩した。そうしてから、中のアプローチに入るってやり方が見られたと思う。

このCBとボランチの関係性へのアプローチとしては時折織り交ぜられる一発のパスも効果的だった。攻撃時は両SBに引っ張られて高い位置まで出てくるブラジルの最終ラインウラに単純なボールを放り込むシーンがいくつか見られた。そして、それが案外チャンスにつながった。
それはそういうボールによってブラジルの最終ラインが中盤からはがされる傾向が強いから。だから、一発のパスが直接チャンスにつながらなくても、こぼれ球を拾ってゴールに向かうことができてた。

結果は逆転負けを喫したもののウルグアイのサッカーの内容は素晴らしかった。このチームの動向は今後も注目したいと思う。その中で何人か気になった選手。

まずは変則システムの立役者になったスアレス。右サイドだか2トップの一角だか分からない中途半端な位置で、ゲッターだかチャンスメイカーだか分からない中途半端な役割を担ってた。右サイドで受けて縦をえぐるシーンがあったかと思えば、ゴール前で受け手になるシーンも。こういう中途半端な場所のプレーでブラジルの守備陣を混乱させた印象。

対して、逆サイドのCロドリゲスは一貫したドリブル突破。特に縦に向かうドリブルは効果的だったと思う。中に向かう質でも相手にとっては最後のブロックに向かって突進していく嫌な存在だったはず。
さらに、守備意識の高さもいいものを持ってる。ロドリゲスのサイドに追い込むことが多かったから、高い位置での守備ではかなり目立った。
こういう攻守における運動量も素晴らしかったと思う。

最後にボランチのガルガーノ。中盤の底に入ってDF前で守備の統率を図ってた。右サイドに相方のAゴンザレスが引っ張り出される中で、しっかりと安定感をもたらしてたと思う。さらに楔を縦に打ち込むような攻撃のスタートも担ってたと思う。

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2007-07-18 Wed 11:48
コパアメリカ決勝:ブラジル×アルゼンチン
<ブラジル:4-3-3>
FW:バグネル・ラブ-ロビーニョ、バチスタ
MF:ジョズエ-ミネイロ-エラーノ
DF:ジウベルト-アレックス-フアン-マイコン
GK:ドニ

<アルゼンチン:4-4-2>
FW:テベス-メッシ
MF:リケルメ、カンビアッソ-マスケラーノ-ベロン
DF:エインセ-ミリート-アジャラ-サネッティ
GK:アボンダンシエリ

この試合のブラジルのサッカーはブラジルらしさというものが微塵も感じられなかった。それはいい意味の方が強いわけだけど。前に個々の能力が高いチームが堅守速攻型の試合運びをしたら最強って書いたことがあるけど、まさにその通りの内容が見られたと思う。

確かに本来のメンバーと比べるとやや落ちるメンバー構成だけど、それでも個々の勝負ではアルゼンチンの選手と互角以上の戦いができる。さらに言えば、攻守に渡って複数の関係を築くことで局面局面での勝率を高めてた。

そのブラジルが守備をベースとしながら、攻撃には手数をかけないっていうやり方を取ってきた。これがドゥンガの目指すやり方だとすればブラジルは相当強いチームになると思う。ただし、本来の華麗さがないだけに国内の支持を得られるかが問題になるような気がする。

とにかくこの試合のブラジルは守備のよさが際立ってた。DF~FWまでの全ての選手に対して守備を求めてたと思う。だから何よりも個々の守備意識の高さがかなり目立った部分。攻撃後の切り替えのところでは奪われた選手が最初のDFになるっていうような守備面での責任感が全ての選手に見られたと思う。

それに伴って守備に対しての執着心も増した。相手のボールへのチェックの出足が抜群に速かったし、1度ついたマークは簡単に外さない。こういう個の責任がはっきりしたのはシステム的な要因もあったと思う。両者がダイヤモンドの4-4-2の形を取ってきたことでほとんどの局面で自分が見るべき選手がはっきりとした。CB×2トップの関係性はもちろんのこと、中盤では相手のリケルメに対してミネイロをぶつけるような対応も見られた。局面局面である程度見る選手がはっきりしたことで守備での個々の役割がはっきりしたっていう部分があったと思う。

こういう個々の守備意識をベースとしながら、組織としての戦術を組み立ててた印象。その組織としての守備のスタートは当然トップの2人ってことになる。2人ともかなり高い位置から守備を開始する場面が目立って、相手の最終ラインのボール保持者に対しても余裕を持たせないようなチェイシングが目立った。

このトップの最初の守備に対する2列目以降の連動性もかなりいいものだったと思う。トップの選手がボールに対して直接的なプレッシャーをかけるのに対して、2列目以降の選手はボールの位置によって前後左右に細かくポジションを移動することで間接的にプレッシャーをかけてた。さらに前線で味方が限定したコースに先回りしてマークするような場面も多く見られたと思う。

その中盤にボールが入ってきたときの守備のやり方もよかった。中盤では先回りの対応ができてたから、ボールが入った選手に対して素早く距離をつめることができた。そうやって相手の自由をある程度奪ったところで周囲が一気に囲い込むやり方が多く見られたと思う。こういう中盤の質の高い守備で相手に中盤を自由に使わせなかったことでアルゼンチンの本来のパス回しを完全に消した。

もちろんこの守備の中でのベストの結果は敵陣にできるだけ近いところで奪って自分たちの攻撃につなげること。実際に上に書いたような前線からの守備をベースとして、そういうベストの結果が生まれることも多かった。ただ、そういうところで相手にボールを持たれてしまったとしてもそれを受ける体勢はキッチリとできあがってた。この試合のブラジルのシステムは上にあるようにダイヤモンドの4-4-2。守備の陣形としては最終ラインの4の前に3を並べる4-3のブロックをしっかりと組織してきた。

そしてこの4-3の関係性のよさが抜群だった。最終ラインは高めのポジションを取りながら4-3のブロックをコンパクトにする意識をかなり強く持ってたと思う。この4-3のブロックでゴールに直結する場所のスペースを完全に消したことでアルゼンチンは決定的な場所に入り込むことができなかったと思う。さらに言えば4の前にフィルターとしての3が配置されたことで、アルゼンチンのキープレイヤーであるメッシ、テベス、リケルメに危ない場所でボールを触らせなかった。

そして、こういう4-3の関係みたいな前後の関係性のよさが全体としても目立ってた。例えばFWの2枚が下がって来て中盤の守備に参加するようなシーンも多かったと思う。前に向かう相手ボール保持者へのプレッシャーに加えて、後ろに戻って前後で挟み込むような守備に参加する献身的な動きが目立った。そういう動きが1点目につながってる。このシーンはバグネル・ラブの戻りながらのインターセプトが起点になってる。こういう前後の関係性の守備を含めて、この試合のブラジルの守備には一体感を感じた。個の意識をベースとしながらうまく組織化されてた印象。

こういうブラジルの守備に対する意識は後半の戦い方によく現れてた。前半の2点をリードしたこともあって前半以上に守備の意識が強くなって自陣での指の意識が強まった。前半みたいなボールへ徹底して激しく行くようなやり方はスタミナ面での消耗が激しいから、この転換はいいものだったと思う。もちろん切り替えの流れのところみたいな要所要所のチェックは欠かさないし、相手が自陣に入ってくれば厳しく対応する。

それでも守備の開始位置が下がって自陣で受けるイメージが強くなった。守備の開始位置を下げることで要になる4-3を含めた全体の間延びを防ぐ意図があったと思う。そういう守備への転換の中で相手の攻撃を受けることも多くなったけど、最後のブロックを崩されるようなシーンにはつながらなかった。

後半のこういう流れの中で3点目を取って以降はさらに守備の意識が強くなったと思う。最後の時間はロビーニョを中盤に下げることでシステムを4-2-3-1に変更した。これによって相手が前に出てきても中盤の厚さで受けられる形を作り上げた印象。とにかく中盤での守備をどう機能させるかってのがポイントだったんだと思う。そのために選手間の距離を遠ざけないような変更をしてきた。

このブラジルの質の高い守備に対してアルゼンチンは攻撃の糸口を見出すことができなかった。それは本来の自分たちのやり方にこだわりすぎたっていう要因もあったような気がする。最近はいろいろな試合で書くことが多いけど、この試合のブラジルみたいに前線から厳しく守備をしながら中盤をつぶしてくるような相手に対しては、それを飛び越す1発のロングボールが一番の近道になる。そうやって相手の意識を後ろに向けながら徐々に守備のブロックを押し下げて自分たちの陣地を増やすのが効果的。

ただ、この試合のアルゼンチンは相手DFに直接勝負を仕掛けるような質のロングボールをほとんど使ってなかった気がする。確かに相手が最前線から守備をしてきたから低い位置の選手にも余裕がなかったっていう部分があったのかもしれないけど、あまりにも本来のショートパスをつなぐやり方にこだわりすぎた印象。

もちろん個々の能力の高さがあるだけに相手が中盤をつぶしてきてもポジションを動かしながらある程度はつなぐことができたし、実際にチャンスにつながった場面もある。そういうチャンスにつながったのは相手の4-3の関係に仕掛けて、4から3をはがしたり4と3を一体化させたりっていう場面。そうなるとブラジルの最終ラインは案外もろさを見せた。ただし、ブラジルの4-3の関係性は本当に堅かったからそこにギャップを作るのは容易ではなかった。

それにアルゼンチンの方から積極的にギャップを作ろうとする動きも少なかったように思う。前の流動性と行っても中盤に下がってくるメッシの動きみたいにボールをもらうっていう狙いが強いものが多くて、相手のブロックに勝負を仕掛けるような動きがあまり見られなかった。結果としてブラジルの4-3のブロックがゴール前に居座る状況が生まれたと思う。

さらに、そういう相手のブロックの目先を変えるようなプレーもできなかったと思う。この試合のアルゼンチンの攻撃はとにかく最短距離の真ん中から徹底的に攻め込む意識が見られた。そうやって相手の守備のブロックの中に自らが飛び込んでいった印象。

ただし、この点についてはブラジルの守備のうまさがあったのも事実。この試合でのブラジルの守備のよさは上にも書いたとおりだけど、そこで1つ書かなかったのが相手のサイドに対する守備の意識。中盤でのボールへのチェックに対する周囲の囲い込みの連動の速さがかなり目立ったわけだけど、サイドではその意識がさらに強くなってたような気がする、相手がサイドに入れてきたところですぐに数的優位を作って起点を作らせなかった。

それに高い位置から相手のサイドの飛び出しにプレッシャーを与えることで、SBの攻撃参加自体を許さなかったと思う。結果としてアルゼンチンはサイドで数的優位を作れなかったし、それを覚悟でサイドに出せばそこでつぶされてしまった。結果として中、中のリズムで攻めなければならない状況が生まれた。そして、そこはブラジルが4-3のブロックを作って待ち構えてるところ。そうやってブラジルの思惑通りの状況に追い込まれてしまった印象。

ブラジルはそうやって相手を自分たちの守備網に追い込んで効果的にボールを奪った。そして、相手が前に出てきて薄くなってるウラのスペースに手数をかけずに飛び出していくシーンが多かったと思う。こういう部分についても今までのブラジルのイメージを崩されたところ。例えば1点目は早いタイミングで相手のウラのスペースへロングボールを蹴りこんだシーン。こういう組み立てずに一発でっていう攻撃は全くブラジルらしくないと思うんだけど、この試合では多く見られたやり方だった。

この辺はアルゼンチンと違って柔軟性が見られた部分だった。相手の中盤を飛び越すロングボールを蹴りこむことで本来アルゼンチンのフィルターになるマスケラーノはほとんど消えてしまった。さらに、早いタイミングでゴールに向かうことで相手の守備の組織ができる前に攻め込むことができたと思う。

こういう早いタイミングっていう部分については地上から攻めるときにも意識されてた部分だった。1人1人の保持時間を短くしながら周囲のランニングをベースとして相手のギャップギャップに入り込んでくようなやり方が目立った気がする。個の組み合わせとしての組織じゃなくて、ボールに対するランニングを含めたしっかりとした連係が見られた。

そういう部分での攻撃面での献身性も目立った部分だった。そういうランニングは守備からの切り替えの中でも効果的だった。奪った後の飛び出しのよさも目立って、一気に攻めきるっていう意志統一がはかれてたと思う。1点目はロングボール1発、2点目は走りをベースに相手の中盤の守備網を抜け出したところ、3点目は完全なカウンター。どれも今までのブラジルのイメージとは一足違ったものだった。

こういう早いタイミングでのブラジルの攻撃が機能したのは、アルゼンチンの守備のまずさがあったのも事実。去年のW杯では前線からの組織的な守備が効果的に機能してたけど、この試合ではそれが機能してる時間と機能してない時間帯のムラがあった。機能してる時間帯には高い位置での最初の守備を起点として中盤で囲い込むようなやり方が見られた。1つ目のチェックがはっきりと効いたから、守備の連動性生み出しやすかったんだと思う。同時に攻⇒守の切り替えもスムーズでブラジルのカウンターを簡単に食らわずに、自分たちの攻撃を長引かせることができた。

ただし、機能していない時間帯にはあまりにも簡単に最初のブロックを抜け出されてしまった印象。そうやって相手の切り替えのスピードについていけずに自陣深いところまで持ち込まれてしまうシーンが目立った。相手の飛び出しがよかったのもあるけど、アルゼンチンの組織が作る時間を稼げなかったこともあってカウンターが案外チャンスにつながった。それが失点につながらなかったとしてもアルゼンチンとしては、もう1度深いところから攻撃を組み立て直さなければならない状況が生まれた。

さらに守備面での問題は、高い位置での守備が機能してる、してないに関わらず最終ラインが高めの位置に設定されてたこと。高い位置での守備が機能してるときは問題ないんだけど、機能してないときにはDFラインとかウラのスペースだけがさらされるシーンが増えた。アルゼンチンの失点シーンは全てDFが戻りながらの対応を迫られてる。特に2点目のオウンゴールはDFが戻りながらの守備をしてたからこそ生まれたものだし、全体としても自分のホール方向へのクリアが目立ってヒヤヒヤした。

結果は3-0でブラジルの圧勝。ブラジルは本来のメンバーが戻ってきたときにどういう方向を目指すのか注目したい。
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2007-03-10 Sat 22:12
ドイツ×スイス
<ドイツ:4-4-2>
FW:ゴメス-クラニー
MF:シュバインシュタイガー-バラック-フリッツ、フリンクス
DF:ラーム-メッツェルダー-メルテザッカー-フリードリッヒ
GK:レーマン

<スイス:4-1-4-1>
FW:フレイ
MF:バルネッタ-マルゲラス-ハカン・ヤキン-ベーラミ、フォーゲル
DF:マニャン-グリヒティングス-センデロス-フィリップ・デゲン
GK:ベナーリオ

まずは例によってスイスの4-1-4-1のシステムについて。序盤のやり方を見る限り、守備面では4-1-4-1のメリットを最大限生かそうとする意図は見ても取れた。つまり、最前線を守備の起点として制限をかけてくやり方。例えば得点シーンは最前線でプレッシャーをかける中で相手のミスを誘ったシーンだった。

中盤の前目に多くの選手を配置することで、選手間の距離を近く保ってるから複数枚でのプレスもかけやすい。1人目が距離をつめて遅らせたところに周囲が連動して囲い込みに入る。そういうときは前線の選手もしっかりと守備に参加して、前後で挟み込む。そういう中で奪えなかったとしても、そこで相手の選択肢を制限してるから後ろは守りやすい。縦パスに対してスイスのDFの前でカットできる場面が目立った。

相手のFWへのくさびに対してはCBがついてきて対応する場面が目立った。1つめの4人(+FW)のブロックを抜けてきたところも1ボランチのフォーゲルがしっかりとカバーしてた。最終ラインも高いポジションを維持することで、前のブロックとの距離を縮めてコンパクトに保とうとする意識が見て取れた。そうやって中盤にスペースを与えないようにしてたと思う。

ただこれはあくまで理想論。狙いはいいものでも、実際にやれるかってことは別の問題になってくる。この試合に関しては序盤はやりたい守備ができてたんじゃないかと思う。それがドイツに慣れが生じてきて、さらにドイツが効果的な攻撃の形を取り始めてからはやりたい守備をやらせてもらえなくなっていった。

具体的にはスイスの守備のブロックを前後左右に揺さぶるやり方。特に左右の揺さぶりが効果的だったと思う。スイスの守備は上にも書いたとおりボールに対して複数枚が当たるやり方。そのやり方だと相手を孤立させることができるから、ボールを奪うには効果的。

ただ、どうしてもボールサイドに多くの人数が偏ってしまうっていう弊害もある。その弱点の部分をドイツは上手く突いてきた。一方のサイドで組み立てて相手を引きつけておいてから、逆サイドへのダイナミックな展開が何度も見られた。そうやって相手の守備のブロックを左右に走らせることで、ギャップを生み出そうとしてたと思う。

攻撃の組み立ての部分にしてもフリンクス、バラック辺りが低い位置でボールを触ってまずはサイドに展開する。相手がしっかりとブロックを形成している真ん中を避けてサイドに起点を作ることで、まずは1つ相手を動かそうっていう意図が見て取れた。

さらに4-1-4-1の弱点である1枚のボランチの部分を突こうとする意図も見て取れた。攻撃の起点を作るときはFWが引いてきて相手のボランチの高さのところで作る。相手はその位置を1ボランチが担ってるわけだから必然的にややプレッシャーの弱いところが生まれていた。

こういう組み立てる攻撃に加えて相手の高いDFラインをけん制する意味でのロングボールも時期を見計らって入れる。攻撃の際無理をせずに簡単に最終ラインまで下げるようなプレーとあわせて相手を上下に揺さぶる意味があったと思う。こうやって上下左右に相手を動かすことでスタミナの消耗を早くさせた。そういう部分でスイスのプレッシャーも途中からかなり弱まってしまった印象だった。

ドイツの攻撃は上にも書いたとおりサイドに起点を作るようなやり方だった。基本的にはドイツのサイド攻撃はラームとシュバインシュタイガーのラインができあがってる左サイドが強いイメージがある。ただ、そこに対してはスイスもしっかりと対応してた。右SBのデゲンがシュバインシュタイガーに対してしっかりとケアをしてたし、攻撃に関してもそちらのサイドから攻めることでラームが上がってこられないような状況を作り出した。

特にシュバインシュタイガーに対する対応はほぼ完璧だったと思う。ボールが入る前からしっかりと距離をつめてほとんどボールに触らせなかった。ラームのオーバーラップはそれなりに多く見られたけど、シュバインシュタイガーとの関係性が作れなかったことで威力は半減した印象。

こうやって左サイドのよさを消されたドイツだったけど、逆に相手のケアが甘い右サイドを起点とした攻撃が多くなった。左に1度起点を作っておいて、一気にサイドを変えてスペースの多い右サイドから崩しにかかるってシーンも多く見られた。結局1点目のFKにつながったプレーと2点目の崩しは右サイドから。

どちらもボール保持者に対して複数枚で当たりに来る相手をシンプルなワン・ツーで否したところから。複数ってのはSBとSMFの2枚で来るわけだから、そこを否せればSBを引き出したところに大きなスペースがある。サイドの選手間の関係性で崩したいいアイディアが得点に結びついたと思う。

こういうサイドを中心とした攻撃の組み立てだったから、バラックが本来の高い位置で目立つことがあまりなかった。どちらかというとフリンクスとダブルボランチ気味の位置関係を作って、低い位置で左右への散らしの部分を担うことが多かったような気がする。あとはボール保持者に近づくフリーランニングで、それをフォローする仕事が多かった。ボールタッチはそれなりに多かったけど、チャンスに直結するような場所でのプレーが目立たなかったような気がする。

バラックとフリンクスがダブルボランチ気味のポジションを取る形は、以前から守備の際には見られたことだった。この試合に関しても守備面では同じような形だった。つまり、中盤の4人を横並びにしてフラットなブロックを形成する。その後ろのDFラインも高い位置を保ってコンパクトにすることでスペースを消そうとしてた。

だからスイスのくさびは途中で引っ掛けられて、なかなか前線に起点を作れないような状況が生まれてた。形は違うけどやろうとしてることはスイスと似たようなものだったと思う。DFラインは高い位置を保ちながらもウラへのケアもしっかりとできてた。W杯前に日本と戦ったときと比べると明らかに成長の跡が見られる。前でしっかりとプレッシャーが効いてるから簡単にはウラを取られないようになってるのも好感。

その前の守備は一度しっかりとポジションに戻ってバランスを確認したところから始まる。そうやって相手がDFラインで回している内はそのままやらせるけど、1つ前にパスが入ったところでチェックを始める。そのときにまずは縦を切ることで相手がストレートに攻撃することを防ぐ。

さらに深いところまで進入されたときは、スペースを消してるメリットを生かしていろいろな方向から囲んで奪いに行ってた。押し込まれたとしても多くの選手が守備に戻ることで、最後のところで堅いブロックを形成できてた。

これはしっかりと組織を作った上での守備のやり方だけど、この試合のドイツは攻撃から守備の切り替えのところに安定感を感じた。それは1人1人の守備意識の高さの上に成り立ってたものだと思う。前線の選手でも一度ボールを追い始めたら途中でやめずに最後まで追いかけるような姿勢が見られる。それに相手に奪われたときも切り替えの速さが目立って、すぐにチェックに行って遅らせることでカウンターの危険を防いでた。その間にしっかりと組織を形成してしまう。こういう切り替えの速さは守備から攻撃にも見られた部分だったと思う。

こういうふうにドイツがいい守備をしてるってこともあったけど、スイスの攻撃はあまりにオプションが少なすぎた。ドイツと比べて決定的に違うのは1つのボールに対する選択肢の多さのところだと思う。ドイツの選手はボール保持者と受ける方の両方の力で選択肢が増えてた。

ボール保持者の方はその技術の部分。逆サイドへの一発の展開とか狭いところでのキープ力なんかは明らかにドイツの方が上だった。周囲の状況で選択肢が増えたとしてもボールを出すほうにその技量がなきゃ意味がないってこと。受けるほうは単純なフリーランニングみたいなもの。ドイツはSBの攻撃参加が活発だったし、FWがボールを引き出す動きも目立った。

こういう両面でスイスは劣っていたと思う。この2つの部分の中でボール保持者の力量についてはすぐに改善される部分ではない。というよりもドイツと比べること自体が間違ってるってこともありえる。ただ、ボールを引き出す方の動きに関しては改善できる部分だと思う。特に4-1-4-1のシステムを使うから、2列目の動きが重要になってくる。

この試合を見る限り、確かに2列目の選手が飛び出してこうっていう意識は見て取れた。ただ、飛び出すと言うよりも最前線まで出てって待ってるっていうイメージが強かったような気がする。そういう中で最前線がつまっちゃうような状況になってしまった。後ろでボールを持ってる選手としたら、選択肢はそこにくさびを入れることしかない。そうやって選択肢が少ない状況だったからドイツの守備陣は守りやすかったと思う。

2列目の絡み方はこういう最前線でつまっちゃうものよりも、低い位置から一気にウラを狙うほうが面白かった。相手の高いラインを1つ下からつかまらずに飛び出すことで決定的なチャンスが生まれたんじゃないかと思う。

単純な仕掛けのところでも4-1-4-1のメリットを生かしきれてなかった気がする。距離感が近いことを生かして三角形を何個も作るような状況が生まれなかった。そうやって結局は単純なくさびを入れて奪われるって言う繰り返しだった。

結果は3-1でドイツ。スイスの守備の上を行ったドイツの攻撃が目に付いた。
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2007-03-02 Fri 11:40
オランダ×ロシア
<オランダ:4-3-3>
FW:カイト-ヘッセリンク-ファン・デル・ファールト
MF:セードルフ-ランドザート、デヨーグ
DF:ファン・ブロンクホルスト-バウマ-マタイセン-ヤリエンス
GK:ステーケレンブルク

相手との力差がはっきりしてたってこともあるけど、オランダは厚みのある攻撃を見せてくれた。攻撃が単発で終わらずに2次、3次とつなげるなかで相手を翻弄するような戦い方だったと思う。そうやって厚みのある攻撃を仕掛けられた要因とか、そのやり方の部分について詳しく見てみる。

こういう攻撃の根本にあるのは、やっぱり個々の力量。ロシアも序盤はFWからのある程度のチェイスを見せてたけど、そういうプレッシャーの中でも落ち着いてボールを失わないプレーができる。だから十分に相手をひきつけてから味方にはたくこともできるし、個人技で抜いて数的優位を作ることもできる。当たり前のことだけど個の技術の高さが攻撃の選択肢を増やしてた。相手ゴール前の狭いとこでの仕掛けも技術の裏打ちがあってこそ。

さらにボールがないところでのプレーの質の高さも感じた。攻撃が基本的なパス&ゴーの組み合わせの中で成り立ってる。ボールを預けたらすぐに次のプレーに移って味方の選択肢を増やすことに貢献するし、前の人数が増えて厚みが増す。

パス&ゴー以外のフリーランニングも含めていいリズムでのパス回しを促進する。ボールと人が動くってのはよく言われることだけど、この試合のオランダはそれが体現できてたと思う。1、2点目は個の技術がものをいったシーンだったし、4点目のPKにつながったプレーはサイドでのワンツーでゴール前に抜け出したシーンだった。

個人を見たときには、このボールを持ったときとボールを持たないときのプレーの質の部分は特にセードルフが目立ってた。中盤でセードルフがボールを持つと、安定感があるだけに一度チームが落ち着く。相手が厳しくよせてきてもしっかりとキープできるし、スペースがあれば前線へのドリブルでビルドアップを図る。

そのセードルフがボールを離したところでオランダの攻撃がスピードアップするっていう場面が目立った。縦に入れるくさびのパスにしろサイドへの大きな展開にしろ攻撃の組み立ての部分を担ってた。さらにそのボールを離した後にセードルフ自身も前線へのフリーランニングで前の人数を増やすことに貢献した。ボールタッチの回数を見ても、攻撃の軸になってた印象。

こういう個の部分に加えて組織としてのやり方でも攻撃に厚みを増してた。ロシアの守備は基本的に自陣深くにブロックを形成する形。上に書いたように序盤はFWからのチェイスも目立ったけど、だんだんとその守備の位置が下がっていった。試合全体を通しては中盤でのスペースも目立って、ゴール前で縦パスを狙ったり最後のところを抑えたりする方法に変わっていった。

だから、オランダとしては攻撃時にDFラインの選手がフリーになるっていう状況が生まれた。そのときに積極的にDFの選手がボールを持ち上がる。そうやってチーム全体の押し上げを図った。守備時だけじゃなくて攻撃時もラインをコンパクトに設定することで前線の人数が増えて、人と人の距離感もいいものになっていた。

さらにこういう組み立てのときに相手を揺さぶる工夫も見て取れたと思う。左右、上下に相手を揺さぶることでギャップを作り出そうとしてた。

これにはオランダの3トップが関連してた。オランダの3トップはカイト、ヘッセリンク、ファン・デル・ファールトの3人。特に両WGの位置に本来WGのポジションを専門としない2人を置いてきたのは注目すべき点だったと思う。ロッベン、ファン・ペルシーがいないことでの人材不足っていう理由もあっただろうけど、この試合の形も1つのオプションとして面白かった。

んで、この両WGは中に入り込んできてのプレーが多い。そうやってWGが流れて空いたスペースにはSBが積極的に攻撃に飛び出してきた。攻撃の組み立てのときには相手の前を左右に何度も展開するようなやり方が目立ったと思う。

WGタイプの選手が前にいないと言っても、オランダらしい左右をワイドに使った組み立てが見られた。細かいパスでのサイドチェンジだけじゃなくて一発の展開も多くて、そういう部分のバランスのよさも感じた。

そうやって相手を左右にズラした中でくさびを入れるタイミングも図ってる。前線では真ん中のヘッセリンクに加えて、カイトもくさびを受けるような動きを繰りかえした。これが攻撃に深さを生んでたと思う。

トップを経由させることで2列以降が攻撃に絡みやすくなるし、相手のDFを引き付けるたり押し下げたりすることもできる。こうやって攻撃に深さをもたらすことで中盤での相手のプレッシャーをさらに弱めて、スムーズに組み立てができる状況を生んでたと思う。

さらに上下の揺さぶりっていうことを考えるとバックパスも1つの戦術として有効になってくる。この試合のオランダは組み立ての中で前線の動きが停滞したときは迷わずバックパスをしてもう一度組み立てなおす状況を作ってた。いつもそれでいいっていうわけじゃないけど、前での動きがないのに適当に放り込んで奪われるよりはマシ。

そういう攻撃を組み立てなおすためのバックパスが上下の揺さぶりにつながった。ロシアの守備のブロックも相手のボールの位置に従ってある程度の上下動が必要よされる。そういう中でギャップが生まれる場面もあったと思う。こういう上下左右の揺さぶりが有効だった。全体としてオランダは外と中、上下、ロングボールとショートパス、個人技とチームプレーのバランスがかなりよかった。

3トップの話が出たからファン・デル・ファールトについて少し触れとく。ファン・デル・ファールトはカイトと比べるとサイドでボールを触ることが多かったようが気がする。ボールを受けるために中に入ってくるカイトとボールを受けてから中に入ってくるファン・デル・ファールトっていうイメージだった。

んで、前半はこのファン・デル・ファールトとランドザートのプレーエリアがかぶってた気がする。場所としては左の中目。ファン・デル・ファールトはサイドでの起点になったり、ヘッセリンクといい距離感を保ったりと目立ってたけど、ランドザートは消えてしまった印象。

それに対して後半はランドザートに変わってスナイデルが入ってきた。そのときに前半とは逆にスナイデルが目立って、ファン・デル・ファールトが消えてしまう状況。チームのバランスを考えたときに、ファン・デル・ファールトはWGよりも中盤で使った方がベター。個の能力としたらWGも十分こなせるとは思うけど。

話は戻って、今度はオランダの守備面。守備面に関しても個々の意識の高さが伺えた。それは基本的な失った選手がファーストディフェンダーっていう原則。攻撃から守備への切り替えの速さが目立った。そうやって相手のカウンターを防いだ。

同時に激しいチェックの中で効果的に高い位置でボールを奪えるっていうシーンも多くなってたと思う。そのことが2次攻撃に結びついた。だから、ほとんどの時間帯でオランダは敵陣でプレーしてたことになる。前でのチェックをかいくぐられても、中盤の底のデヨーグが相手の攻撃を1度切るプレーを徹底してた。

最後にロシアについて。ロシアもシステムは4-3-3でサイドに起点を作ろうとしてた。ただ、前半はオランダのSBの高い位置でのチェックもあってなかなかサイドに起点を作ることができなかったと思う。

後半はサイドに起点を作るというよりも、サイドの選手がチャンスに直結する位置で受けようとする意図が見られた。具体的には相手の高いラインのウラを狙うようなこと。そうやって徐々に相手ゴールに迫るプレーが増えてったと思う。そのいい流れの中で失点をしてしまったのは残念だったけど、ロシアの得点はサイドからの崩しだった。

守備面は上にも書いたとおり瀬戸際で守るやり方。ゴール前にブロックを形成するのはいいけど、あまりに引きすぎて1つ下の選手をフリーにしすぎてしまっていたと思う。3失点目につながったセットプレーの守備にも不安を残した。

結果は4-1でオランダ。オランダの質の高いサッカーが見られたのはよかった。
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