ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-07-11 Fri 17:52
ヴェルディ×ジェフ
<ヴェルディ:4-4-2>
FW:平本-フッキ
MF:ディエゴ、大野-菅原-レアンドロ
DF:服部-那須-土屋-富澤
GK:土肥

<ジェフ:4-4-2>
FW:レイナウド-巻
MF:新居-下村-斎藤-工藤
DF:青木良-ボスナー-池田-坂本
GK:立石

開幕から超超低空飛行が続いたジェフ。仕方がないので監督を交代。新監督ミラー。ジェフに来る前はリバプールでヘッドコーチをしていた模様。すごいところから連れてくる力が未だジェフに残されてたんだねってとこか。とりあえず、監督交代後は結果を残しているジェフ。今回の試合の焦点はリバプールから引き抜いてきたジェフのサッカーがリバプール化するのか否かってことになった。個人的に。

結論から言っちゃえば非常にリバプール色が出てたって言える。そもそもシステムがフラット4‐4‐2だし。そう考えるとジェフってすごいチームなのかもしれない。半分は皮肉だけど。ちょっと前までは知っての通りオシムが監督をやってたジェフ。オシムはオールコートのマンマーク。それに対してリバプール的なミラーのやり方は完全なるゾーン。どんだけ真逆のやり方なんだよって話。一貫性ってものがないのかって話。今のジェフの選手が監督になったら、すごく戦術的に幅が出そうだなって思ったりもする。

とにかく、リバプール的な方向に進んでいる様子が見られたジェフ。ただし、今回の試合を見る限りではちょっと方向性を間違ってしまったんじゃないかっていう印象が強かった。確かにリバプールみたいに見えたのはリバプールみたいに見えた。でも、残念ながら1月の暗黒リバプールの雰囲気をかなり醸し出してたと思う。このままじゃ、まずいんじゃないのって内容が見られた今回のジェフだった。

ここでも何度も書いてきたけど、1月の暗黒リバプールについてちょっとおさらい。暗黒リバプールの問題は守備から生まれたもの。4‐4‐2のコンパクトブロックと前線からの守備で高い位置で引っ掛けるってのがリバプールの狙い。でも、その前線からの守備が機能しなくなった。FWが守備のスタート役を放棄したリバプール。でも、チーム全体に前線から守備をする意識は根強い。でもFWが守備をしない。仕方がないので中盤が守備のスタートとなる。中盤は守備のゴール=奪いどころになりたいのに守備のスタートも任される。

当然のようにどちらも中途半端になった。守備のスタートとなるためには中盤の選手がFWの場所まで出て行かなければならない。長い距離のプレッシャーをかけなければならない。相手にとっては大したプレッシャーにはならなかった。むしろ、その選手が中盤から引っ張り出された背後にスペースが生まれる。4‐4のコンパクトさが売りのリバプールの守備ブロックからそれが消滅。4‐4の間に入られても、中盤とDFが協力できない。DFが晒される。そんな危険なシーンが多く見られるようになった。

結果として高い位置でボールを奪うなんてのは夢のまた夢。4‐4の間に入られて、危ないと思った中盤がとにかく低い位置まで戻って。そんなわけでバランスがいいとは言えないベタ引きブロックでラストを固めることが多くなったリバプール。そういう守備でも何とか耐えきれるのがリバプールの強みと言えば強みだったかもしれない。狙いどおりの守備はできなくても、守備の大崩壊まではつながらなかった。

ただ、このことは攻撃へのつながりという意味では最悪。高い位置で奪ってからのショートカウンターが狙いのリバプール。奪ったらトップへ、トップに収めて後ろが飛び出す。これが合言葉。そして、守備が狙いどおりに効いてない状況においても、その合言葉は継続された。中盤以降が深い位置に押し込まれ、ボールを奪う位置も深い位置なのに、奪ったらトップを狙う。いくらなんでも遠すぎる。途中で引っ掛けられることが多い。たとえ入っても後ろが素早くフォローに行くのは難しい。結果、攻撃が全くできなくなる。縦へ縦への無謀な縦パスが続き、ことごとく引っ掛けられる。やろうとしてるのは4‐4‐2のコンパクト3ラインの設定と高い位置でのボールカットが前提にあるやり方なんだから当たり前。

そんな暗黒リバプールは4‐2‐3‐1へのシステム変更で状況を打開。FW=守備をしない人が2人もいたんじゃたまらないので1人に。トップ下にジェラードをハイツすることで縦へ縦への意識のワンクッションを置いた。そして、守備は前線からを捨てる。完全受動体制になり、入り手の方をしっかりとケアする意識を高めた。前から行こうとして中盤が引っ張り出され後ろがスカスカ。どちらにも重点を置けないそんなやり方だったら、最初から後ろに重点を置いた方がいいよねって形。疲れないし。結果として入ってきたところで挟み込み、囲い込むリバプールの守備の良さが見られるようになった。

さて、そろそろ試合の話に戻りたいと思う。最初に書いたように、今回のジェフは暗黒リバプールの雰囲気がぷんぷん。もしかして、本家リバプールの暗黒時代の責任はミラーにあったんじゃないのか。ミラーはシステム変更前のリバプールのやり方を追求したかったんじゃないのか。だから、あっさりとリバプールは手放したんじゃないのか。そしてミラーはジェフでシステム変更前のリバプールのやり方を継続する。たぶん、考え過ぎだと思う。

ジェフのシステムはフラット4‐4‐2。その4‐4‐2をセットしたところから守備がスタート。2トップは前線から相手を追いかけ回しそうな場所にいる。でも、実際は追いかけない。気まぐれ。2人が縦関係になったりもするけど、それも気まぐれ。巻のくせに守備をしないなんて生意気な。とにかく、2トップが有機的に守備をする意識がほとんど見られなかったのが立ち上がりのジェフだった。リバプールと同じくこれが崩壊への序章となる。

4‐4‐2の2トップは前線から追いかけそうな位置にいる。要するに敵陣の深い位置にいる。本当は後ろの4‐4もそれについて行きたいところ。そうやって高い位置から連動性の高い守備をしたいところ。でも、2トップは実際には守備をしない。守備のスタートが切られない。結果として中盤以降が前に出て行けない。4‐4‐2のコンパクト3ライン計画は幻に終わる。4‐2の間にスペースができてしまった印象。せめてコンスタントに2トップが縦になってれば押さえられただろうに。

結果として相手のボランチが4‐2の間で浮きまくり。ジェフの中盤が板挟み。前に対してプレッシャーに行かなければならない。後ろとの関係でバイタルを潰さなければならない。そして、どちらもあいまいになってしまう。まさに暗黒リバプールパターン。中盤の役割が中途半端になったおかげで、ヴェルディは楔のパスを収めまくり。ジェフの中盤はフィルターになれなかったし、縦パスが入っても前後で協力して潰すことができなかった。

加えて、リバプールほどの成熟度がないジェフ。新監督が就任して日が経ってないんだから当たり前と言えば当たり前。結果として2トップの守備意識がどうこうっていう以前の問題として、後ろの4‐4の関係性にまずさがあったと思う。例えば、今回の試合で前線への守備を一番頑張ってた右サイドの工藤。マッチアップする相手の左SB服部に対して積極的にプレッシャーをかけて行った。でも、誰も後ろがついてこない。服部から大野に入る縦パスのところでさえも簡単に通してしまうレベル。せっかく工藤が頑張ってるのに、次の受け手を誰も押さえていない。工藤の頑張りは文字どおり無駄な守備に終わることが多かったと思う。かわいそうに。

そんなわけでヴェルディはとっても簡単に攻撃の組み立てをすることができたと思う。そもそもヴェルディの攻撃のイメージはDF→FW→中盤って形。これはJ2にいた昨シーズンから一貫して変わらない。今年もグランパス戦ではそういうやり方だった。要するにDFから単純に前線に当てる。その3人で攻めきれれば攻めきっちゃう。少々強引でも。最低でも個々の技術を生かして少ない人数でキープして時間を作る。その間に後ろが押し上げる。そうなって初めて中盤で組み立てる。そんな攻撃の形が多く見られるチームだったはず。でも、今回のヴェルディは違ってた。DF→MF→FWっていうように低い位置から徐々に前線に向かっていくっていう形のビルドアップが見られたと思う。そして、その要因はここまで書いてきたジェフの守備のまずさにあった。

2トップが守備をしないジェフ。よってヴェルディのDFは自由にボールを保持できた。さらに、4‐2の間に隙間ができてるジェフの守備ブロック。その間でアンカーの場所に入った菅原が自由にボールを扱いまくり。菅原の自由度は尋常じゃなかった。ジェフはヴェルディの攻撃のスタートを全く押さえられてなかったと思う。さらに、その相手の4‐2の間から1つ前に入れるのも楽。ジェフの4‐4のまずさは上にも書いたとおり。くさびが収まりまくったってのも上にも書いたとおり。

そんなジェフの守備のまずさとともにヴェルディの攻撃の良さが見られたのも事実だった。ヴェルディの攻撃の中心はよくも悪くもブラジル人の3人、フッキ&ディエゴ&レアンドロ。今回の試合で判明した、この3人の特徴はボールが大好きってこと。みんなボールを受けようと近づくランニングを増やしてた。フッキは中盤の場所でのプレー時間が長かったし、ディエゴは菅原と横並びになるような場所でのボールタッチが目立った。レアンドロも右サイドに居座らずに動きを増やしていた印象。ちなみに、そんな近づくブラジル人トリオとバランスを取るように平本は徹底して遠ざかるランニングでボールを引き出してた。これが何気にいい効果を生んでたように思う。

結果としてボールの近くに多くの選択肢が生まれることとなる。近い関係性のトライアングルが常にできてるイメージ。ついでに言えば、サイドはSBが専属として担当するから、中盤の密集度がさらに上がっている。SBの攻撃参加によって1つ前に流動性が生み出されるっていう面も多々あると思う。右のレアンドロほどではなかったけど、左の大野も中寄りでプレーする時間が長かったと思う。

そうやって近い関係性を作り上げることでスムーズなパス回しが可能になるヴェルディ。大きな展開が少ないかなっていう部分がなかったとは言えないけど。それでも少ないタッチで次々と局面を変えて行くパス回しは素晴らしかった。そして、そんなパス回しを可能にする条件がもう1つ。それはパスを出した選手が次に出てくっていう原則が徹底してるってこと。強制的に生み出された近さに基本的なパス&ゴーを組み合わせることによって、攻撃の選択肢をさらに増やしていった。もちろん、ブラジル人トリオの個々の突破っていう選択肢もあるわけだし。

この基本的なパス&ゴーの原則。特に縦パスが入った時には徹底していたと思う。その徹底によって何が起こるのかってのがポイント。縦に入れるたびに、同時に前線に選手が出て行く。そんな繰り返し。結果として組み立てを行ったときのヴェルディのゴール前にはかなり多くの人数が陣取ってることになったと思う。前線の選手(特にブラジル人トリオ)の絶対的な収まりがベースにあるかなって思う。縦パスは絶対に収めるし、そこでキープしてタメを作る。結果として後ろからの飛び出しの思い切りがよくなる。ゴール前に人数が増える。

ただし、そうなると不安なのが前線が渋滞しないかってこと。実際に前線が渋滞するレベルの人数が前に入ったのも事実。でも、今回のヴェルディにはそういう前線の渋滞状況は感じられなかった。その要因はトップの場所の出入りが激しいから。前に入ったとしてもボールが低い位置にあれば、ボール好きの選手たちは降りてきてボールを受けようとする。そこに収まったところでパス&ゴーの原則で別の選手が前に出て行く。人数が多くても、そこで待ってるって選手が少なかったと思う。

そもそもパス&ゴーを利用して狭いどころを打開してしまおうっていう試みも多かったし。仕掛けられずに保持時間ばかりが延びるっていう停滞感にはつながらなかった。だから、前線の選手が待っちゃうっていう形にはならなかったんだと思う。どうしても入り込めないならブロックの外からのシュートっていう選択肢もあったし。多くの人数が前線に入って相手をベタベタに押し込んどいて、前線に入らずに1つ下で様子を見ていたフリーのディエゴがミドルを打つっていうパターンが多く見られたと思う。

そんなヴェルディの守備にジェフはなすすべがなかった。何しろどこで守備の勝負をしていいのか分からない。守備のスタートがうまく切れない流れのままにズルズルと最後の場所にまで押し込まれるっていうシーンが多くなったと思う。守備のスタートが切れずに一応の単発守備が増えたジェフ。そんな単発守備ではヴェルディの個は押さえられない。2点目の前のシーンでフッキにどれだけ引っ張られてるんだって話。3人も4人もかけても守れないのに1人で守れるわけがない。簡単に起点を作られてしまう。そして、起点を作ったヴェルディは質の高い守備で次々に局面を変えて行く。ますます狙いどころがなかった。

結果として当初の狙いが機能せずボールが奪う位置が深くなる。これだってヴェルディが最後の最後を個の強引なシュートなりドリブルなりで終わらせてくれたからっていう側面が大きいわけで。どちらにしても中盤で奪うなんていうシーンはほとんど作れなかったジェフ。それでもジェフの狙いは奪って速攻。そのベースは高い位置で奪うことにあるはずなのに、守備が狙いどおりに決まらなくても、そちらの攻撃のやり方は継続されたと思う。暗黒リバプールパターン。

暗黒リバプールと同じくジェフの狙いはトップに当てること。全体がコンパクトな形を維持できてた立ち上がりの時間帯は巻、レアンドロに入れるボールがそれなりに通ってたし、そこに対して新居が絡むなんていうシーンも増やしてた。でも、守備の劣勢がはっきりしてからは徐々にいい形を作れなくなっていく。距離が遠いからトップに入らない、入っても次に絡む選手がいない。守備から攻撃への切り替えがスムーズにできない状況に陥ったジェフ。ヴェルディの攻撃時間が延びることになったと思う。まさに暗黒リバプール。

そんなジェフだけど実は途中で守備を修正してた。具体的に何分ぐらいってのは分からない。なぜかというと、日テレの放送がカットされたから。前半の15分ぐらいにCMに入り、CM明けには驚きの30分。そのCM明けの時点ではすでにジェフの守備が修正されてた。そのCM中に何があったんだっていう話。とにかく、その後はそれまでのようにヴェルディが好きなように攻めまくるっていう流れにはならなかったと思う。

ジェフの修正は2トップをブロックに参加させること。どうせ追いかけないなら、そんなに高い位置にいたって仕方がないでしょってこと。相手のDFへの守備は捨てて、トップはそれまで浮きまくってた相手のボランチを見るようになったと思う。結果としてヴェルディは攻撃のスタートのところを浮かすことができなくなった。同時に当然のように不安の4‐2の距離も縮まる。よって中盤は下手に前に引っ張り出されない。4‐4の関係もよくなる。4‐4‐2の一体感が増したことで、その後のヴェルディはほとんど縦パスを入れられない状況になった。

ちなみにブロックに収まっただけでも、かなりの改善だったFWの2枚だけど、全体の一体感が増すのにつられて能動的に守備の仕事にも参加するようになってた。例えばかわいそうな工藤のところ。それまでは工藤が服部にプレッシャーをかけても、周囲の選手は知らん振り。そこに変化が生まれた。工藤がプレッシャーに行ったところで、FWの1枚がCBへ戻すコースに入る。同時にFWの相方が縦っぽい関係になって相手のボランチへの横パスのコースを消す。そんな連動性が見られるようになったと思う。

でも、これはやっぱり妥協の産物だったんじゃないかなってのも確か。なぜならば巻の交代以後は前線からの守備が復活したから。それは青木孝の投入で質の高いものへとつながった。レイナウドが嘘みたいに守備で目立ってくるから面白い。FWの前線からの追いかけ回しに後ろがしっかりとついてきて、中盤で数的優位を作るシーンを増やしていった。効果的な場所で奪えるシーンも多くなった。もちろん負けてる状況で引いちゃいられないっていう要因があったのも確かだと思う。でも、代表に行ってた巻はまだこのチームのやり方にフィットしてないのかなってう印象。

とにもかくにも知らないうちの守備の修正によってヴェルディの攻撃の流れが停滞したのは確か。そんなヴェルディのチャンスはカウンターからのもとへとシフトしていった。その背後にはジェフの守備が改善したとしても、攻撃のやり方が本質的には変わらなかったっていうことがあったと思う。相変わらず相手にとっては守りやすいトップトップの攻撃。守備の質が改善したことで、トップに収まった時には再び人数をかけられるシーンを作れたけど、そもそもトップに入らなければ意味がない。そして、相手だってジェフがFWに入れてくることは知っていた。それにジェフのパスの精度自体も高くはなかった。

そして、そうやってFWへのパスをカットされるとジェフにとっては最悪の状況に陥る。FWに当てたところに押し上げた後ろが絡みたいジェフ。だから、前にボールを出した時点で押し上げは開始している。カットされた時点では押し上げ途中。そんなバランスが崩れた状態のブロックにカウンターを仕掛けられるっていうシーンが多発。相手が個の技術を持っているだけに厄介で仕方がない。1失点目もそんな流れからだったし。ヴェルディはこのカウンター作戦でチャンスを量産していった。組織で受けるブロックは修正したジェフもこれでは意味がない。

最後にジェフが組み立てを行わなかったからあまり見られなかったヴェルディの守備についても見てみたい。グランパス戦でも見られたけど、基本的にヴェルディの守備の質は高いと思う。ブロックは単純に4‐3‐1‐2。グランパス戦ではトップ下を1つ前に押し上げて4‐3‐3みたいな形を作ってたけど、今回はそういうやり方は採ってこなかったと思う。2トップはジェフと同じく気まぐれ(平本は結構頑張ってたし、フッキも思ったよりも守備をしてたけど)だから、実質的に守備は中盤から始めることとなる。

真ん中へのコースは4‐3で押さえる。もっと言えばトップ下のディエゴも参加して、真ん中→真ん中への単純なパスは通させない。仕方がないから相手はサイドに出すことになる。そうしたら中盤のひし形の4をボールサイドに寄せる。そうやってボールサイドに人数を増やす。同時に相手のSBに対しては2トップの一角がついていたようないなかったような。ここは確定的だったかどうかは微妙。とにかく、サイドの局面でも数的優位を作るのは守備側のヴェルディだった。真ん中を通させず、サイドも押さえる。グランパス戦でも見られた守備が今回も継続してできてた印象。ただ、時たま信じられないほどに戻りが遅かったことがあったんだけど、あれは何なんだろうか。

さて、今回のジェフが本来のジェフなのか。それが問題。とりあえず、監督が交代してからは結果を残してたのは事実。でも、今回の内容ではその片鱗が見えなかったのも確か。巻がフィットすればちょっと違った内容になるのか。今回の巻は守備で目立たず攻撃で目立つっていう巻らしくない状況だったし。まあFW的といえばFW的ではある。巻に限らずあまりの方向転換にまだチームの形が定まってないのかなっていう印象は受けた。

対するヴェルディは攻守の質が高い。グランパス戦もそうだったけど、たまたま質の高い試合ばかりを見てるのか、それとも継続して質が高いのか。ブラジル人をうまく中心にしてたと思う。中盤の降りるフッキとウラを狙い続ける大黒の関係は実はいいものかもしれない。平本もウラを狙い続けてたし、交代の飯尾もウラを狙い続けてた。そして、チャンスを作りまくった。相手がフッキに引っ張られて前への意識を強めたときに大黒が抜け出すチャンスが生まれるかもしれない。
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2008-04-27 Sun 17:13
ヴェルディ×グランパス
<ヴェルディ:4-3-1-2>
FW:飯尾-レアンドロ
MF:ディエゴ、大野-菅原-福西
DF:服部-那須-土屋-和田
GK:土肥

<グランパス:4-4-2>
FW:玉田-ヨンセン
MF:マギヌン-吉村-中村-小川
DF:阿部-吉田-バヤリッツァ-竹内
GK:楢崎

噂のグランパス。好調を反映してかメディアで取り上げられることも多くなってるわけだけど、その中でアーセナルと比較する場面が多々ある。まあ、攻守に渡ってアーセナル的な部分がないわけではないけど、やっぱりまだ比べるのはおこがましいかなって感じ。ストイコビッチ自身が今期のアーセナルのサッカーが理想だって言ってること、さらにグランパスとベンゲルとの関係がその比較を生み出すんだろうけど、アーセナルのサッカーがそう簡単に実現できてたまるかってとこ。とはいえ、結果を残してるのは事実であって。そういう意味では、アーセナル的であろうがなかろうが1度グランパスのサッカーを見てみたいなって思ってたのは確か。それで、やっと機会に恵まれたのがこの試合。夜中にやってたカットカットの試合だったので軽く。

とりあえず、こちらからしてみれば、何もここで負けなくてもっていう気持ちが強い。他の試合を全く見てないからはっきりとしたことは言えないけど、残念ながら今回の試合では特別すごいっていう様子は見られなかった。負け試合だから参考がいにするべきなのか。むしろ、内容で上回ったのは明らかにヴェルディだったと言ってもいいぐらい。まあ、うだうだ言ってても仕方がないので試合内容について見ていきたいと思う。

ヴェルディの守備はおそらく対グランパスを想定してのもの。グランパスの攻撃は文字情報で読んだ限り、トップに当てる→サイドへ展開→ボールサイドに人数をかけて、近い関係性を作る(トライアングル形成)→少ないタッチでシンプルな打開。こんな感じ。確かにアーセナルに似ていると言えば似ている、このやり方。文字情報から得たこのグランパスの攻撃のやり方が正しいのならば、ヴェルディはそれを押さえるための守備のやり方を採ってきたように感じた。

なぜなら、ヴェルディの守備のポイントは、真ん中を固める=トップに当てさせないことと、サイドに人数をかける=相手にサイドで数的優位を作らせないってことにあったと思うから。つまり、グランパスの攻撃の起点となる場所をつぶそうっていう意識が見られた。ただし、このポイントの2つはある意味では真逆の部分になってる。真ん中を固めながら、サイドにも人数をかけるってものなわけだから。これをどうやって実現したかってのが、今回のヴェルディのやり方で興味深い部分だった。

上に書いたようにヴェルディのシステムは4‐3‐1‐2。3ボランチは今回の試合で特別に使ってきた形だったっぽいから、その辺からも対グランパスのための守備をやろうっていう意識が見て取れる。グランパスとしては強くなってしまったことの代償か。とにかく、ヴェルディのDFライン前には3枚のフィルターが並ぶことになった。さらに、トップの場所はディエゴが1つ押し出される形。自陣に引いて受ける形の守備をしていたことを考えると、逆に2トップが1つずつ下がってディエゴと同じラインに入ったって見る方が妥当かもしれないけど。どちらにしても、要するにヴェルディの守備ブロックは4‐3‐3の3ラインを形成するものだった。

4‐3‐3の3ライン。3枚のフィルターの2段構え。この時点でグランパスが真ん中→真ん中の縦パスを通すのは絶望的。目指すトップの前には3‐3のフィルターが待ち構えてるわけだから。結果として、グランパスは攻撃のスタートとなるはずのトップへの縦パスが収まらない状況に。ヨンセンも玉田も今回の試合では前線で全くと言ってもいいほど起点になれなかった。今回の試合でのグランパスは全体として動きが少なかったような気がしたけど、それは攻撃のスイッチとなる縦パスが入らなかったことに起因するかも。もし、そうならアーセナルと似てるねって話だけど。アーセナルも縦パスが入ったところで、例の流動性が開始される。逆に縦パスがいい形で入らないと、攻撃がうまく回らないってのは今までにも書いてきたとおり。

ちなみに、ヴェルディは基本的には受ける体制の守備。チャンスがあれば3トップがグランパスの最終ラインにプレッシャーをかけていくけど、多くの場合ではグランパスの最終ラインは自由にボールを保持できてた。だから、プレッシャーのない最終ラインからバヤリッツァがボールを持ちあがるシーンがちらほら。アーセナル的と言えばアーセナル的。あのチームも突然、ギャラスあたりがボールを持ちあがって出てきたりするから。まあ、別に全てをアーセナルと比べる必要はないんだろうけど。

とにかく、最終ライン=ボールの出し手がフリーでボールを持てたとしても、相手の二段構えのフィルターに邪魔をされてトップに縦パスを入れられなかったグランパス。仕方がないので、上の攻撃のプロセスの中からトップに当てるって項目を省略。じゃあってことで、攻撃のスタートはサイドへの展開から。普段からトップに当てる→サイドへの展開なんて定型的なことを常にやってるとは思えないから、いきなりサイドへの展開から攻撃のスタートをするのは別にイレギュラーなことではなかったかもしれない。むしろ、最近は“グランパスのサイド攻撃”っていうフレーズをよく聞くことを考えると、サイドこそがグランパスの攻撃のポイントだろうし。

で、そのサイドに起点を作ったところに対するヴェルディの対応。これはいたって単純だった。それまで真ん中のフィルターとして機能してた3‐3をそのままボールサイドにスライドさせる形。この時点で単純にサイドにはSB-ボランチ-トップの3枚がいるわけで、これによってサイドの守備の厚みが完成。チーム全体として見ても当然のようにボールサイドに人数が寄ってるから、相手の強みであるはずのサイドで、むしろヴェルディの守備の方が優位に立つって状況が生まれた。

グランパスの方からこのサイドでの攻防を見ると、やっぱり今回の試合では動きの精彩を欠いてるんじゃないかってのを強く感じた。いい攻撃の片鱗が見られたときには、サイドのボールに対してSB、SMFに流れてきたボランチとかFWまでが絡んで近い関係でのトライアングルを作ってたのは確か。でも、これがコンスタントな状況ではなかったと思う。サイドでボールを受けた選手が迷うっていうシーンが圧倒的に多かった。

その要因は簡単で、ボールに対する動きが明らかに少なかったから。これは上でもちょっと触れたとおり。結果として出し所が恐ろしく少ない。1つのボールに対する動きを増やしてパスの選択肢を複数作り出し、1タッチ2タッチでシンプルにつないでいくのがグランパスの売りのはず。実際に見たことはないけど。今回の試合では動きが少ないこと、距離が遠いことで、パスの選択肢が複数どころか1つもないシーンが多々。結果として1タッチ2タッチのパス回しが実現されるわけもなく。1人1人の保持時間がむやみに伸びてしまう状況が生まれてたと思う。

よって、作り直しが圧倒的に多くなる。サイドに起点を作る→相手の守備ブロックがボールサイドに寄ってきて、味方はパスコースを作ってくれない→仕方がないから後ろに戻す。恐ろしくアーセナル的ではない展開。さらに、この作り直しのアプローチにも問題があった。オシム風にいえば各駅停車。後ろに戻したところから、隣→隣をつないで逆サイドへってやり方が多かったと思う。これじゃあ、ボールサイドに寄ってたヴェルディの守備ブロックも十分にバランスを回復する余地があるわけで。結果として、サイドへ→詰まって戻す→各駅停車で逆サイドへ→詰まって戻す→…っていう展開が続くこととなった。

こういうサイドのやり方については後半にちょっとした反省が見られたのも事実。まず、前半には全く見られなかった逆サイドへの1発の展開が目立つようになった。ボールサイドに寄ってるヴェルディブロックにとっては、逆サイドは完全に薄くなってる場所なわけで。この1発のサイドチェンジによって、グランパスはやっとサイドの深い場所に起点を作れるようになったと思う。それとともにサイドでの複数枚の関係性も前半から見ると改善傾向。ただし、どちらもやっぱりコンスタントに続けられなかったのは残念。だから、後半も代わりなく決め手に欠くこととなった。

トップへの縦パスが入らず、サイドに起点を作ってもいい形で攻撃ができなかったグランパス。必然的に攻撃が停滞。作り直しを繰り返してる間にミスが出て相手に奪われたり、焦れてトップに無理やり入れようとしたところを引っ掛けられたり。全く攻めきれない流れが続いて行く。これも全ては、中と外を同時に押さえるっていう離れ業をやってのけたヴェルディの4‐3‐3ブロックの賜物。かどうかは微妙なところ。4‐3‐3ブロックを全体としてみると、確かに機能性は高かったし、それによってグランパスの攻撃の停滞を生んだのは確か。でも、局面局面を見ると不安な部分が多々。どちらかと言えば、グランパスが精彩を欠いてくれた結果押さえ切れたっていう部分の方が大きかったかもしれない。

特に目立ったのが1つ1つの消極性。サイドの局面では相手に作り直しを許したってのがそれ。明らかにヴェルディの方が数的優位の状況なのに、誰も勝負に行かない。人数は足りてるのに中途半端な距離を空ける。相手がゴールに向かう選択肢をしっかりと押さえてたのは確かだけど、ちょっと気になった部分。真ん中でも同じような状況。フィルターとなってる3‐3はフィルターとしての意識が強すぎたように思う。入りこまれないことを念頭に置いてるというか。だから、相手が3‐3の間に入り込んだときに誰も寄せようとしない。その場所で完全なるエアーポケットが生まれてた。

それでも今回の試合では後ろの方にそういう曖昧さがなかったのが幸いした。ルーズさが目立ったのは、前の3‐3の方。とりあえず、その場所なら致命的なシーンにはつながらない。最低限の仕事をしてたことを考えれば、チームとしては十分に働いてくれたってところかもしれない。対して、後ろの方でも、グランパスのトップに入るボールは最終ラインの選手が入り際に対してしっかりと厳しい対応をしてた。フィルターの効果もあったけど、そういう局面での厳しさによってグランパスのトップの選手が機能できなかったっていう要因も大きかったと思う。ただし、そういう入ってきたところを狙うっていう形の守備だと危うさを感じるのも事実。グランパスがもっと運動量を増やして、前線に厚みとか流動性を増してたらどうなっただろうかってのは気になるところではある。

とにもかくにも、ヴェルディの守備がグランパスの攻撃を上回ったってのは紛れもない事実。上にも書いたように、グランパスは最後の最後まで攻めきるシーンがかなり少なかった。逆にいえば、途中でヴェルディが引っ掛けるシーンが多くなった。そして、このときにグランパスの切り替えの守備が効果的に決まらない。全然、アーセナル的ではない。攻撃後に相手にボールが渡ったときに、その相手選手が余裕を持ってボールを扱える状況が多かった。そして、あまりにも簡単にヴェルディは前線の選手にボールを預けることができてたと思う。

そうやって前線にボールを預けるってのはヴェルディの攻撃の重要なプロセスの1つ。カウンターの流れに関わらず、普通に攻撃を組み立てる時にも同じ。これについては昨シーズンから継続して見られてる形でもある。ヴェルディはグランパスの攻撃のプロセスをうまく分断した。対して、グランパスは切り替えの守備が効果的に機能しないことで、ヴェルディの攻撃の重要なプロセスをあまりにも簡単に機能させてしまっていた気がする。

そもそもの組織を作った時のグランパスの守備に関しては、アーセナル的。これは本当にアーセナル的だって言ってもいいと思う。念頭にあるのは、ボールに対する忠実な1つ1つのチェックの繰り返し。その中で相手の攻撃の最短距離を切ってくってやり方。そういう最短距離を切るチェックを繰り返す中で、相手の選択肢を制限していく。そうやって追いこんでおいて、最終的にはボールサイドに人数をかけて完全に選択肢を0にする。そういう守備のやり方が見られたと思う。

ただし、今回の試合について言えばその守備のやり方が機能したとは言えない状況だった。その理由の1つはグランパス自身の問題。今回の試合では立ち上がりからずっと3ラインが間延びしてた。2トップが相手最終ラインにプレッシャーをかけても、中盤が連動しない。中盤は中盤で新たに守備を始めて、チェックチェックで追い込んでいこうとする。でも、最終ラインが遠い。だから、チェックチェックで追い込んだはずが簡単に4‐4の間に入り込まれるシーンが多発。4‐4‐2のうちの、特に4‐4の間のバイタルエリアの隙間はかなり危険な状況で空いてたと思う。相手の前線の選手がそこを有効活用してたことを含めて。1失点目のシーンも4‐4の間に1つ起点を作られたところからだった。

問題は単純に4‐4の間が遠いこと。アーセナルみたいに馬鹿みたいに最終ラインを高い位置に設定すれば、4‐4の間に隙間は生まれず、中盤のチェックを抜けられても最終ラインが対応できる状況となる。後はフラミニがいないってことか。ボールに対して忠実にチェックに行く意識があるのはいいけど、それによってみんなが前に引っ張り出されてしまう。誰も後ろで抜けてきたボールを掃除する役割を担ってない。結果としてどんどんとDFラインとの間が広がってしまうような状況が生まれてしまっていた印象。

そういうグランパス自身の問題に加えて、ヴェルディの攻撃のやり方との相性の問題もあったように思う。ヴェルディは上にも書いたように、まずは前線に預けるってやり方を採ってくる。だから、攻撃の最初ははっきり言って大雑把。丁寧につないでどうこうというよりは、前線に蹴ってしまうことの方が多い。これがグランパスの守備と相性が悪かったように思う。詰み将棋的な1つ1つ最短距離を切って追いこんでいくグランパスの守備は相手がパスをしっかりとつないでくれないと狙いどおりに機能しない。中盤での1つ1つのチェックが重要なのに、その中盤を飛び越してしまうのが今回のヴェルディの攻撃の最初の部分。

しかも、運悪く4‐4の間に隙間があった今回のグランパス。ある意味では大雑把なヴェルディの最初のパスが、前線の選手に収まるシーンが多くなったと思う。結果としてグランパスの選手は本来的な前に向けての守備ではなく、後ろに向けての守備をしなければならなくなる。単純に前線にボールを収められてしまう状況の中で守備ブロック全体としても低い位置に押し込まれてしまう状況が生まれた。

ここでポイントとなるのはヴェルディの前線の選手(特にディエゴ)はボールをキープできるってこと。相手数人に対しても、奪われずに時間を作ることができる。これによってヴェルディの後ろからの押し上げが活性化される状況。しかも、この時点ですでにグランパスのブロック全体が押し下げられていることが、よりヴェルディの後ろからの押し上げを活性化させたと思う。昨シーズンのヴェルディも攻撃のアプローチは前線任せってやり方だったわけだけど、それは本当に前線の外国人数人に任せるってやり方だった。対して、今シーズンはそれに後ろからの押し上げの要素が加わったことでいい形での攻撃が可能になってると思う。

ヴェルディの攻撃の組み立てが面白いのは、DF→FW→MFって形でビルドアップが行われるから。低い位置から大雑把なボールを前線に入れ、そこで時間を稼いでおいてボールを中盤に落とす。そうやって今度はゆったりと組み立てる。この時点では上にも書いたように、相手は押し込まれた状況。だから、ヴェルディの方が使える陣地は多くなってる。グランパスの4‐2の間に入り込んで、自由にボールを展開するシーンが目立ったと思う。そして、この中盤での組み立ての質の高さも目立ってた印象。

これには厚みがあるってことが何よりも大きな意味を持ってる。前線の3枚、SB、さらにボランチ(特に大野)が絡んで高い位置での組み立てを可能にしてると思う。しかも、その中で近さと遠さのバランスがうまく使えてると思う。近い関係性に関しては、むしろグランパスよりもいいんじゃないかって内容。前線の外国人2人はポジションにこだわらずに動き回りながらギャップギャップに入り込んでボールを引き出すし、そこにボランチも積極的に絡んでくる。その中で基本的なトライアングルを形成して、うまくパスを回していくシーンが見られた。加えて、遠さに関してはSBが担当。高い位置に置かれた両SB。ボールサイドのSBは近いパス回しに参加し、そのサイドが詰まれば逆SBが待つ逆サイドへの展開を行って局面を一気に変えていった。先制点のシーンも両サイドを有効に活用してるシーンからだったし。

さて、今回はグランパスの試合を見るつもりが、むしろヴェルディの質の高さを見せられたわけで。実際のところヴェルディの方もめちゃめちゃよかったかっていえば、そういうわけでもない。単純に今回のグランパスのやり方と相性がよかったってのが一番大きかった気がする。それは攻守に渡って。もちろん、スカウティングの結果、そういうやり方を採ってきたっていう意味ではヴェルディの勝ちなんだろうけど。

とりあえずグランパスについてはアーセナルと無理やり比べてみたりもしたけど(初めて見るから比較対象がないだけに)、やっぱり結果そのままに精彩を欠いてたんじゃないかと思う。少なくともシンプルに少ないタッチでパスが回るなんてシーンはほとんど見られなかったし、それが可能となるような選手間の距離の近さとか運動量の豊富さなんかも目立ったものではなかった。守備に関しては、やりたい形が何なのかってことはちょっと見えたけど。こっちもライン間の距離が開くっていう致命的な欠陥があったから、十分に機能したとは言えない。ひとことでいえば、攻守に渡って距離が遠かったのが今回のグランパスの問題だったと思う。次は今回の試合がベースにしながら見てみたいと思う。見る機会があればだけど。できれば、次はグランパス本来の強さを見せてくれるような試合で。
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2008-04-22 Tue 18:45
レッズ×アルディージャ
<レッズ:3-4-2-1>
FW:エジミウソン
MF:高原-永井、相馬-トゥーリオ-細貝-平川
DF:阿部-堀之内-堤
GK:都築

<アルディージャ:4-4-2>
FW:デニス・マルケス-吉原
MF:金澤-斉藤-小林慶-小林大
DF:波戸-冨田-レアンドロ-村山
GK:江角

新シーズン初のJリーグ。新シーズン初のレッズ。監督交代後初のレッズ。去年は何度も見ていたレッズの試合。新シーズンが始まり、監督が代わってやり方がどう変化したかってのが大きな注目点だった。だけど、実際にやり方は変化せず。いろいろと変わっても、レッズはレッズのままかって話。結局はベタ引き、前任せの攻撃がそのやり方だった。前にポンテとワシントンがいなくなった分、難しいだろって思う。とりあえず、この試合の前までは4連勝で何かが変わってきたイメージだったんだろうけど、たぶん監督が変わったこと自体がチームのモチベーションにつながっただけなんじゃないかってのが素直な印象。今後もレッズが苦しむのは確かだと思った。

そもそも、監督交代のときにもっと攻撃的なサッカーをしたかった、オジェックの下じゃそれができなかったって誰かが言ってた気がするわけだけど。やっぱり結果を重視すると今までのやり方は崩せないんだろうなって思う。昨シーズンの開幕当初のアントラーズが産みの苦しみを味わったし、ガンバもシステム変更で苦労してた気がする。ちょっと前のマリノスも4バックを採用しようとして、大変なことになったことがあったし。おそらく今のスタイルは当分、変わらないでしょう。数試合を捨てて、大変革に行くってなら別だけど、結果が出ないのはサポーターが許してくれないだろうなってとこか。

さて、そのレッズ。ここまで書いてきてとおり、根本的な部分は何も変わっていなかった。まず、トップの守備意識。今回は高原&永井&エジミウソンの3枚併用だったわけだけど、この3人が守備をしない。まあ、前線の3枚の守備が免除されてるってのは昨シーズンも同じだったわけだけど。それでも途中からポンテが守備に献身的になった分、昨シーズンのがマシだったかもしれない。それに、今回の試合で見られた問題は前の3人が守備をするんだかしないんだかはっきりしないこと。自分の前に対する守備をしそうでしない。時々、気まぐれに前線から帰ってきて後ろのブロックに参加する。周り(後ろ)の選手は、それに頼っていいものだか悪いものだか分からない感じ。

立ち上がりにはそういう迷いみたいなものが見られた。前の3人が守備をしそうな雰囲気は見せる。だから、ボランチの2枚がやや高めのポジショニングを取ってた。でも、守備をしそうでしない前線の3枚。よって、前に出てきてたボランチが引っ張り出される。とはいえ、中盤のだだっ広いスペースを2人でカバーするなんてのは無理な話なわけで。あっさりと逃げられ、あっさりとDFとボランチの間に入り込まれるって形が多くなったと思う。

要するに、この時間はまだストロングポイントであるベタ引きブロックを作っていたわけではないレッズ。それはサイドの攻防を見ても明らかだった。相手がサイドに起点を作ったときには、まだ最終ラインに吸収されてなかったWBがしっかりとチェック。ボランチもそれを助けるために、ボールサイドに寄って行く。さらに、後ろは3バックがスライドしてWBのウラのスペースを埋め、逆サイドはWBが戻ってスペースを埋めるっていう対応をしてたと思う。ボールサイドに全体を寄せる守備ブロック。ここでアルディージャが一発サイドチェンジなんかをしたら、その逆サイドはスカスカだったんだろうけど、つなぐ意識が高めのアルディージャには一発でサイドチェンジをするっていう選択肢がなかった模様。

とはいえ、こんな感じでレッズが守備をできたのは本当に立ち上がりの時間のみ。その後はいつものベタ引き守備に入って行った。当たり前と言えば当たり前。DFとボランチの間にあまりにも簡単に入られたレッズには怖さが生まれるわけだから、ボランチは後ろに引きつけられる。未だ守備はしないFW。よって中盤は相手に制圧される。結果として相手のSBは上がり放題。そういう状況でWBが高めの位置を維持できるはずもなく。結果としていつもの5‐2ブロックへ。場合によっては永井が助けに来て、5‐3ブロックへ。

ちなみに、こういう状況になった要因に1つ1つの守備の甘さっていう問題もあったと思う。そもそも3枚を並べてフィルター的にしてる3トップが守備をしないレッズ。いるだけでは守備のスタートが切れない。で、中盤に入ってきたところには2枚のみ。上にも書いたように、2枚で広大な中盤のスペースを埋めるのは無理な話。厳しいチェックをするも何も距離が遠すぎて不可能。よって、1つ1つのチェックが甘い甘い。たまに効いても、次が連動してこない。そうやって、どうせ中盤で効果的に守備ができないんだったら中盤は相手にくれてやれってのがレッズの発想。中盤をくれてやった代わりにラストはやらせないよって形。

そういう意味ではバランスなんか関係ない、ラストで跳ね返せばいいんでしょってのがレッズの守備。対するアルディージャの守備はバランスがとてつもなくよかった。アルディージャの試合を見るのは、もしかしたら初めてかもしれないんだけど、こんないいサッカーをするチームだったのかってのが素直な感想。昨シーズンと今シーズンの成績の違いを見る限りでは、今シーズンから取り入れて来たのかもしれない。それにしては恐ろしく洗練されてるなって形だった。

守備ブロックはフラットな4‐4‐2。途中からちょっとした変化が見られた(後述)けど、長い時間で見られたのは、このバランスのいいブロックを自陣で形成する形。最終ラインは高めの位置を保持しつつ、コンパクトなブロックを作る意図が見られた。その上で、どちらかというと受ける意識が強い守備のやり方を採ってた。そして、構造上の勝負の時点で完全にアルディージャが上に言ったと思う。もちろん1つ1つの守備意識でもアルディージャがレッズを上回ってたけど、それは後の話。

<○:レッズ、●:アルディージャ>   

    ●  ●
●  ○ ○ ○  ●
    ●  ●
●   ○  ○   ●
○   ●  ●   ○
   ○  ○  ○

まず、アルディージャのFWの役割。上に書いたように、受けるイメージが強かったアルディージャの守備。だから、FWには前に向かって追いかけまわすっていうような役割は与えてられてなかった。実際にレッズの3バックはある程度自由にボール回しができてたし。そういう意味ではレッズのFWと大きく変わらないように見えるのも事実。ただ、その代わりにアルディージャのFWにはレッズのボランチを見るっていう役割が与えられてたと思う。

その上で、念頭に置かれてたのはそもそもレッズのボランチにボールを入れさせないってこと。3バックから中→中っていう縦パスを入れさせないように、アルディージャの2トップが真ん中を絞るようにポジショニングした。ここでレッズの構造上の弱点の1つが表れてる。それは3バックだと最終ラインのパス回しに幅を使えないってこと。どうしても真ん中寄りになってしまう3バックだから、ボランチにボールを入れようとすると中→中って形にせざるを得ない。そして、そこはアルディージャのFWが切ってる。だったら、そのFWを動かして外しってからって可能性もあるわけだけど、横幅が使えないから、それも不可能。結果としてレッズはボランチにボールを預けることができず。

預けることができたとしても、そこには相手のFWがきっちりと戻っての対応をしてきた。このあたりからも、アルディージャのFWにレッズのボランチを見る役割が与えられてたのは明らか。細貝が戻ってきたデニス・マルケスにつぶされるってシーンが目立ったこと、目立ったこと。

こんな感じで、FWがしっかりと戻って相手ボランチに対応してくれるってのがアルディージャとしては大きな意味を持ってたと思う。上の図を見て、アルディージャの構造的な弱点があるとしたら、真ん中のところ。相手の3トップに対してアルディージャは2CBで守るっていう数的不利な状況が生まれてる。でも、ここでボランチの対応にFWが当たるとどうなるか。アルディージャのボランチの2枚は前に引っ張り出されることがなくなる。よって、真ん中の2-2が常に維持できる状態。結果として相手の3枚を4枚で見るっていうような安定した状況が生まれてた印象。コンパクトなブロックを維持する意味でも、ボランチが引っ張り出されないことの意味は大きかった。

さて、これでボランチを押さえられてしまったレッズ。仕方がないので、サイドに起点を作ることになった。でも、そのサイドでも効果的に起点を作るのは難しかったと思う。なぜか?まず、上の図みたいにWBが低めの場所にいる状況。この時点でも相手のSMFによる忠実なチェックにさらされることとなった。しかも、ここでも構造上の問題が。そもそもサイドにWBしかいないレッズの形。よって、相手SMFは縦を切らずに中を切りながらあたってくる。仕方がないから、後ろに戻すってことが多くなった印象。

じゃあ、相手のSMFのウラで受けたらどうかって話。これは中を切ってくる相手に対して、縦にドリブルで運んでくってことも含めて。実はこっちの方がさらに厳しい状況になった。サイドが1枚のレッズに対して、サイドが2枚のアルディージャ。3バックを使ってる以上仕方がないことではあるけど、レッズはサイドで根本的な数的不利。結果として、あっさりと挟み込まれてつぶされるって形が多くなったと思う。

というわけで、中も外も選択肢がなくなってしまったレッズ。立ち上がりに、なんとかそれを助けてたのが永井の存在だった。永井は3トップの一角的な基本ポジションだったわけだけど、中盤に降りてきての仕事が多くなったと思う。そして、中盤に永井が降りてくるとある程度は浮いた存在になる。1つのパターンとしては永井の助けを借りて、サイドから攻めるってやり方。相手のサイドの選手を下がってきた永井が引きつけて、ウラに相馬が抜けるって形でチャンスを作ったのが1つ。後は後ろに戻さざるを得ない形になってた相馬に、降りてきた永井がパスコースを作ってやることで前に行くってパターン。要するに左サイド寄りの攻撃が多かったのが今回のレッズ。平川と相馬のスタイルを考えれば妥当。ただ、唯一の光となってたこういうサイドからの攻撃も5バックが顕著になると、ほとんど見られなくなっていったわけだけど。

それに、そもそも永井が降りてくるって形自体が問題だった。そもそも前線が薄いレッズなのに、3枚のうちのなけなしの1枚が降りてくるって形なわけで。前線の選択肢は高原とエジミウソンのみ。しかも、この2人が動かない動かない。大体において、この2人がもっと動いてくれればサイドにボールを出して、相手SBを引っ張り出したウラを使うみたいな形にありえたはずなんだけど。唯一、そういう動きを見せた永井は下がってのプレーが多くなってしまった。よって、なんとか相手ブロックに入ってもラストの仕掛けに行くのは絶望的だったと思う。この2人を下げて、梅崎と田中っていう選択はもっともな考え方だったと思う。

そして、こういう部分を見てレッズにとって何よりも痛かったのはボランチを押さえられてしまったってこと。ボランチのところに起点ができれば、それなりに人数をかけた攻撃ができてたのが今回の試合のレッズだった。両WBが上がって、幅を使える下地ができてたし。前線も3枚が近い中でいい関係性を見せてくれてた。そして、トゥーリオがさすがの攻撃的センスを発揮して、そういうサイドなり前線なりに効果的にボールを送る。こういうやり方を見る限りでは、トゥーリオを中盤に使う意味の大きさは分かるし、それによってチーム状態が上がったって意味も分かる。今回はキーとなるトゥーリオにボールをほとんど触らせなかったアルディージャの作戦勝ちって気がする。

とにかく、ボランチもサイドも押さえられてしまったレッズに残されたのはいつもどおりの前線任せ。最終ラインから一発のボールを蹴りだして、あとは前でお願いねって形。でも、これが機能しない機能しない。その要因は、なぜか一発パスを相手のウラに出さなかったから。これは全く意味が分からなかった部分。今回の試合でアルディージャの守備に唯一あった弱点はウラのスペース。高い位置を取ってる最終ラインと、追いかけないFW。ウラは完全無防備状態。にもかかわらず、そこに入れるボールが皆無だった。

じゃあどうしたかって言えば、当然のように最終ライン前で勝負しようとする。そして、ここはアルディージャの守備のストロングポイント。そんなことはちょっと考えれば分かること。前線がはがれてるレッズに対して、DFと中盤が近い位置を保っているコンパクトアルディージャ。レッズが蹴った次のボールをどちらが拾うかって言えば、その答えは必然。レッズは蹴るだけ蹴って終わりの流れだったと思う。

もちろん、上にも書いたようにアルディージャの守備の質が高まったのは構造上の要因だけではない。1つ1つの守備のよさが際立ったのも事実だった。その中でレッズと比べて完全に上回ってたのが、ボールの入りどころに対する守備。1つ1つのチェックがルーズだったレッズに対して、アルディージャは入りどころにゼロ距離守備。まあ、レッズの方に選択肢が少なかった上に足もとにばかりパスを出すっていう問題も多々あったわけだけど。それを考えても、質の高い最初のチェックができてた。

そして、そうやって最初の守備が効けば周囲の連動が自然ともたらされる。しかも、コンパクトなブロックを作って、もともとの選手間の距離が抜群に近いアルディージャ。入りどころに対する最初のチェックで相手を足止めして、すぐに周囲が連動して囲い込む。意図としてはリバプール的。今回の試合に限って言えば、その機能性(レベルはリバプールが明らかに上だろうけど)もリバプールレベルだった。レッズの前線の起点はことごとく潰して行ってた気がする。

そのアルディージャの攻撃。上にもちょっと書いたように、ショートパスをつなぐ意識が高いように見えた。中盤を苦もなく使えたから、蹴る必要がなかったと言えばなかったわけだけど。それでも上に書いたように一発のサイドチェンジも利用しなかったし、局面局面を見るとボールの近くでの動きが活発だったと思う。近づくランニングも多かったし。その中でギャップギャップをつなぐパス回し(ギャップが多かったのも確か)が目立った。そして、そういうパス回し主体の攻撃の中で、相手の弱点である中盤の2のところを効果的に使おうっていう意識が見て取れた。FW、SMF、ボランチが代わる代わるそのスペースに出てきてボールを受けるシーンが目立った印象。

ただし、そういう場所ばかりに入り込んだら相手は守りやすいってことともしっかりと意識してたと思う。もはや流れが完全にアルディージャに傾いた時間帯になると、SBを高く上げるようになった。その上で前線の流動性を維持しながら、サイドの出入りも増やし始めた印象。結果として中→外とか逆に外→中っていう相手の目先を変えるようなパス交換が目立って行った。

と、このあたりまでは攻撃におけるバランス感覚が見られたアルディージャ。でも、フィニッシュの場面となると、ことごとく真ん中に入り込んで行ってしまった印象。せっかくサイドに起点を作っても、結果的に真ん中に戻ってくる。これじゃあ、レッズの思うつぼ。何しろ5-2でラストを固めてるレッズ。人数が恐ろしいほどいるラストブロックの真ん中を崩すってのは、ほぼ不可能。ミドルシュートを打ったとしても、途中でレッズの選手に当たる可能性が高まるのは当たり前。

じゃあ、レッズのベタ引き人数ベースブロックを崩すためにはどうしたらいいか。それがサイドからのクロス。しかも、えぐればえぐるほど効果的。なぜなら人数がめちゃめちゃいても、横からのボールに対しては無効化されてしまうから。正面ほどの強さは見せないし、むしろ人数がいすぎる弊害が生まれる可能性だってある。サイドからのクロスに対して後ろから飛び出せば、おそらくレッズの選手は捕まえ切れないと思う。

そういう意味でアルディージャの結局は中に入ってくる攻撃は残念だった。真ん中に使えるギャップが多いと、それが魅力的なのかなって思う。ベタ引きのレッズのブロックはバイタルエリアがスカスカだし。逆にこれをレッズが狙ってやってるとしたら、恐ろしい。わざと中盤を2枚にして真ん中にスペースがありますよっておびき寄せる。結果として相手の攻撃は跳ね返しやすい正面からばっか。いくらバイタルを空けても、ラストは人数がいるから問題ない。逆にサイドから崩された方が怖いわけで。だから、相手に魅力的な最短距離を晒してるんじゃないかと。ないか。

どちらにしても前半は圧倒的にアルディージャペース。これで自信をつけた、後半のアルディージャはこのサイドの攻防でさらに積極策を採ってきた。下の図のように両サイドを1つずつ前に出してきたと思う。実際のところは本当にこういう2-4-4の形になったわけではないけど。簡単に言うと、サイドの選手の見るべき相手を1つずつ上げたイメージ。4-4-2は1度セットしておきつつ、相手の3バックの脇の選手に入ったらSMFがプレッシャーをかけに行く、その時に後ろはSBに任せるっていう形が目立つようになった。より高い位置からプレッシャーをかけつつ、安定性はそのままに保つ、いいやり方だったと思う。

<レッズ:○、アルディージャ:●>

    ●  ●
    ○ ○ ○  
●   ●  ●   ●
○   ○  ○   ○
●   ●  ●   ●
   ○  ○  ○

これによっアルディージャは攻撃も活性化。より高い位置に守備意識を持っていったわけだから当たり前と言えば、当たり前。SBの攻撃参加も前半よりも明らかに多くなった(前半も十分に多くなったわけだけど)。相変わらず最終的には中に入って行く攻撃だったけど、前半よりもより攻撃に厚みを加えることができたから、真ん中からでも崩せるんじゃないかって光が見え始めた。

これはまずいって思ったのがレッズの方。そこで選手交代。高原、エジミウソンに代えて梅崎と田中。この交代でレッズが何をしたかっていうのが興味深い。簡単に言えば、新しく入った2人をWGに置いた3-4-3に変更した。そして、この2人は基本的にWGの場所に張りつけって指示が出たんじゃないかと思う。だから、永井が中盤に降りていくとトップの場所に選手がいないような状況も生まれてた。

じゃあ、なんでそこまでして2人をWGの場所に居座らせたか。それは簡単で相手のサイドが攻守にわたって活性化したから。だから、レッズは3-4-3にシステムを変更することでサイドの数的不利を解消しに行った。WBとWGが縦に並んだレッズのシステムでは、両チームのサイドの人数は2×2になる。これによってアルディージャのSMFがレッズ最終ラインにまでプレッシャーをかけるなんてことは不可能になったと思う。前半のように4-4-2で受ける形が再び戻ってきた。

同時に田中と梅崎の怖さが生まれたアルディージャのSBの攻撃参加が明らかに減って行く。機を見て上がって行っても、そこには田中と梅崎がしっかりとついて行って対応。結果としてそれまでのようにサイドを効果的に使うことができなくなってしまったアルディージャ。攻撃が中へ中へと入り込んでいってしまった。それに、攻撃にそれまでほどの厚みがなくなって近さも解消。ドリブルでの仕掛けが目立っていく展開になったと思う。そういう停滞感が見え始めたアルディージャの攻撃をレッズが難なくブツ切りにして行く。結果として後半の途中からは両チームとも決定的なチャンスに行けないような流になってしまった印象。

今回の試合を見るとアントラーズがレッズに負けた意味が分からない。フラット4-4-2の守備はアントラーズも使ってる形だし、サイドとトップ(トップ下)の場所の出入りを激しくしてるのもアントラーズの形。そういう意味では今回のアルディージャのやり方はアントラーズ的だったとも言えるかもしれない。まあ、少なくとも攻撃についてはアントラーズの質の方が高いと思うけど。ただ、守備については今回のアルディージャの守備の質はかなり高かった。これは注目に値するチーム。
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2008-03-01 Sat 18:49
ゼロックス:アントラーズ×サンフレッチェ
<アントラーズ:4-4-2>
FW:マルキーニョス-田代
MF:本山-野沢、青木-小笠原
DF:新井場-大岩-岩政-内田
GK:曽ヶ端

<サンフレッチェ:3-5-2>
FW:佐藤-平繁
MF:森崎浩-桑田、服部-青山-李
DF:槙野-ストヤノフ-森脇
GK:木寺

昨シーズンのアントラーズは攻守に渡って状況に応じた色々なやり方を選択できる強みが見られた。守備では高い位置からの積極的な守備、コンパクトな3ラインを形成した上で受ける形、さらにラストブロックで跳ね返す形。こういう守備のやり方と関連した攻撃はポゼッションと速攻。それぞれのやり方が高レベルで機能してたと思う。そのベースとなるのは個々の戦術理解とそれを体現する技術、そしてそういう個々の意識がチームにしっかりと還元させれるようになった昨シーズンの後半は本当に隙のないサッカーが展開できてた気がする。

今回の試合でアントラーズが選択してきたのは、守備では前線からの積極的な守備、攻撃ではポゼッション(遅攻)の考え方だった印象。天皇杯のときにも立ち上がりは、前線から相手を追い掛け回すようなやり方で入ったはずだから、そういう意味では同じようなイメージでの立ち上がりだったって言えるかもしれない。

そのアントラーズの守備のやり方。上にも書いたように前線からの積極的な追いかけが目立った。敵陣のかなり深い場所でボールを保持している相手最終ラインに対しても迷わずにプレッシャーをかけていくような積極性が見られた。結果としてサンフレッチェの選手はピッチ上のどの場所でも余裕が持てないっていうような状況に陥ってたと思う。

サンフレッチェの攻撃は奪ったらトップなりサイドなりにすぐに展開するような印象が強い。そういう展開をアントラーズの高い位置からの守備は全く許してくれなかった。結果としてサンフレッチェは高い位置で相手に奪われるか、意図の薄いボールを蹴りだしてやっぱり相手のボールになってしまうかのどちらかを選ぶような状態だったと思う。基本的には後者の方がまだマシなんだろうけど、今回の試合のサンフレッチェはつなぐ意識が強かったから、高い位置で奪い返されるってことも多かったと思う。

こうやってアントラーズの守備が高い位置で効果的に機能するためにはトップが深い位置まで追いかけていけば、それでいいってわけじゃないのは当たり前。トップの積極的な追いかけに対する2列目以降の連動性の高さも目立ってた。最初のスイッチが入った時点で、後ろの選手が次々のブロックから引っ張り出されてくるイメージ。そうやって次の場所を狙っていった。見た目としては全体が前へ前へと引っ張り出されていくような感じだった。

こういう部分を含めて、アントラーズの守備には最初の守備に対する連動性のよさが目立ったと思う。高い位置からの追いかけに対する次の狙いもそうだし、素早いチェックで相手を足止めしたときの囲い込みの速さも目立った。1つめの寄せに対して、2つめ3つめが素早く参加してくるってことが多かったと思う。サンフレッチェのボール保持者があっという間にアントラーズの複数枚に囲まれて、完全に孤立させられるシーンがかなり目立った印象。

どちらにしてもベースには最初の守備の積極性があるのは、こういうやり方の中では当然とされてる気がする。ボールに対してはサボらずに必ず意図のあるプレッシャーをかけていく。ここでは意図のあるってのが重要。一応のチェックではなく、そこで狙えるチェック、次を考えたチェックが全ての場所でかかる。結果として次の連動もしやすい気がする。

ただ、こうやって最前線から強度を高める守備だけにスタミナ的な問題が表れてくるのも事実。だからこそ、攻撃でのポゼッション(遅攻)っていうのが重要になるんだと思う。効果的な場所で奪えば一気に攻めきってしまうけど、そこで1度詰まったら無理をせずにポゼッションに入る。今回の試合でも立ち上がりの時間帯に最終ラインでパスを回す時間が長くなってた印象。

これにはアントラーズの事情だけではなくサンフレッチェの守備のやり方の要因もあったと思う。サンフレッチェの守備のやり方については後で詳しく書くけど、昨シーズンに見た2試合と同じように基本的な守備ブロックは自陣に引いて形成した。だから、アントラーズの最終ラインは必然的に浮く状況になってし、逆に言えば最終ラインはフリーにしても縦パスは入れさせませんよっていう守備の意図だったと思う。アントラーズとしても立ち上がりのまだ様子見の時間帯。無理やり相手の密集地帯にボールを入れる必要もない。だから、最終ラインでの様子見のパス回しが目立ったっていう側面もあった気がする。

それでも時間が進むごとにアントラーズが相手ブロックに対してアプローチを開始する。そのときにはまずサイドに起点を作ることが多かったと思う。これは天皇杯のときと同じ。そうやってサイドに作ってから、逆サイドに向かう。天皇杯のときのように一発でサイドを変えるパスはあまり見られなかったけど、アプローチの意図としては同じような感じだったと思う。1つのサイドに作り、真ん中の小笠原を経由して逆サイドへっていう展開が見られた。そうやって両サイドを使う過程の中で降りてきたマルキーニョスに縦パスを入れる。この縦パスによって相手のブロックを低い位置に押し下げ、釘付けにするっていう効果があったと思う。

時間とともに左右の展開と機を見た縦パスでサンフレッチェのブロックを押し込み出したアントラーズ。でも、この時点ではトップから中盤の流動性はそれほどでもなかったし、SBも高い位置に入り込むというよりは組み立てでの役割を担うっていう意図の方が強かった。それでも様子見の時間帯は終って、そろそろ仕掛けようかっていう雰囲気は見られ始めたと思うわけだけど。でも、岩政の退場によってその雰囲気が実現されることはなかった。

この岩政の退場に対してアントラーズは交代なしで対処する。ボランチに入った青木がCBに入り、マルキーニョスを1つ下げて4-4-1に。さらに立ち上がりから見られた前線での積極的な守備を中止。コンパクトな3ライン(と言っても実質4-4の2ライン)で受ける形へと移行した。それまでは全体を前に引っ張り出すイメージの守備だったのが、岩政退場後は後ろに引き付けるっていう180°異なるやり方で対処。最初に書いた臨機応変性が存分に発揮された気がする。

ちなみに天皇杯のときも立ち上がりは前線から積極的に守備をし、今回と同じぐらいの時間帯でコンパクトな3ラインで受ける守備へと移行した。ただ、そのきっかけは全く違う。前回は得点、今回は退場。天皇杯のときにはコンパクト3ラインで相手に縦パスを入れることすら許さなかったけど、今回はそれほど完璧なやり方を貫くのは不可能だったと思う。

まず、最前線が数的に足りない。サンフレッチェは天皇杯と同じ最終ラインのパス回しでも、3バックを1CB+2SBみたいな形に広げるやり方を取ってきた。これはアントラーズが1トップだったから。2トップで守備をされたら、あれだけ両翼を広げるのは難しかったと思う。サンフレッチェの真ん中が攻撃力(=足元の技術)もあるストヤノフってことも要因の1つだったとは思うけど。とにかく、サンフレッチェは攻撃のスタートの時点で天皇杯の時にはなかった幅を利用できた。それにパス回しに深みを与えることにも成功したと思う。

こんな感じで攻撃のスタートのところで幅を使うサンフレッチェに対して、アントラーズはブロックを左右に動かされる問題が生まれた。2トップなら後ろは安定させておいて、前の関係でそういうスタートにアプローチをかけることもできるんだろうけど、今回は直接的に中盤に揺さぶりをかけられるような状況になってしまったと思う。加えて、アントラーズのブロックが下がったことでサンフレッチェの両WBが高い位置を取ることができた。この場所はサンフレッチェの攻撃の起点になる場所だから、アントラーズとしても意識を向けざるを得なかったと思う。

つまり、アントラーズの守備ブロックが物理的にも心理的にも横に揺さぶられたことになる。結果として真ん中が空いてくる効果が生まれたと思う。結果としてサンフレッチェは真ん中→真ん中を直接的に狙うようなパスが結構、収まるようになってた。これは真ん中の出し手も受け手も浮いてることによる。

まずは出し手の方。サンフレッチェは最終ライン前に青山と下がってきた森崎がいることが多かった。2人がいるから、アントラーズは田代1人で見るのは難しい。だからと言って、中盤が引っ張り出されたら4-4-1にした意味合いがなくなる。アントラーズの方もそういう出し手のところは仕方ないとあきらめてたかもしれない。

その代わりに4-4の関係性で受け手の方は抑えようっていう意識はあったはず。でも、サンフレッチェのやり方によって上に書いたように物理的、心理的に横に揺さぶられたアントラーズ。フィルターとなるべき中盤が横に間延びするような形になってしまって、真ん中が締め切れなくなってた。この辺は青木が1つ下がったことで、小笠原&本山っていうWボランチの組み合わせになったのも影響してたと思う。

とにかく、サンフレッチェとしては真ん中の場所で出し手も受け手も浮くこととなった。最前線から4-4の間に降りてきた平繁にボールが収るシーンが明らかに多くなった。そうやって真ん中に1度起点を作ってアントラーズのブロックを今度は中に寄せ、そうしてからサイドに展開っていう効果的なやり方もいくつか見られた気がする。サンフレッチェとしては思惑通りに行きかけた。

でも、それをずっと許してくれるほどにアントラーズは甘くはなかった。平繁に2つ3つ効果的なボールが収まった時点で、アントラーズは簡単に入れさせすぎな状況に気づいたと思う。そして、あっさりと修正を加えてきた。結果として、平繁は岩政退場後の数プレーで目立っただけで、後は完全に消え去ってしまった印象。

そのアントラーズの修正は真ん中に起点を作られたくないなら、真ん中を固めればいいじゃんっていうかなりシンプルなものだった。逆に言えば、サイドでの守備にあまり重点を置かなくなったって言える。もっと言えばサイドは捨てたといってもいい。サイドである程度作られても、どうせ最後は真ん中で跳ね返せばいいっていうような割り切ったやり方だったと思う。

結果としてサンフレッチェの揺さぶりは通用しなくなる。3バックを広げてパスを回しても、アントラーズの中盤は釣り出せない。もっと言えば、その1つ前のWBも完全に浮いてるっていう場面が目立ってた。さすがにアントラーズも高い位置でサンフレッチェのWBに入れば、そのまま放っておくってことはなかったけど、入るまではフリーでもほとんど意識を向けてなかった印象。

だから、サンフレッチェはサイドを利用しながら攻撃に深みを与えること自体は可能だった。でも、深みを与えられるだけだった。最後のアプローチは全く許してもらえなかったと思う。アントラーズはサンフレッチェに決定的なチャンスを作らせずに、ことごとく跳ね返し続けた。そうやってボールを奪ってからはトップに当てて一気に出てくっていう形が多くなったと思う。

サンフレッチェはボールを持てても決定的なチャンスにつなげられない。アントラーズはカウンター頼みになったけど、前線に1枚残しじゃさすがにきつい。11人×10人の時間帯はある意味では膠着状態だったって言える。そして、この膠着状態を抜け出したのはサンフレッチェの李が退場してからだった。

CBが退場したアントラーズとWBが退場したサンフレッチェ。一般的に言えば、アントラーズのがつらそうな気がする。でも、退場の影響をより受けたのは実はサンフレッチェの方だったってのが素直な感想。最終的にはPKで勝ったサンフレッチェだけど、李が退場したことによって生まれたギャップは最後まで埋めきれてなかった気がする。

アントラーズの方は岩政の退場に対して4-4-1で何の問題もなかった。前線からの守備が消えたこと、守備に重点を置いて攻撃ができなかったっていう影響は多大だったように見えるけど、これは岩政が退場したからではなくて、相手の方が1人多かったから。実際に人数が同じになってからは、どちらの問題も解消してるわけで。攻撃は変則4トップ+小笠原+SBで行うアントラーズ。相手と人数が同じになれば、普段どおりにできるだけの人材は残ってた。

対するサンフレッチェ。まず、上にも書いたようにサンフレッチェの攻撃の起点はWBに置かれる。特に今回の試合では、10人になった後のアントラーズが真ん中を固めたことで攻撃でのタッチ数が増えてたわけで、その重要度はさらに高まってた気がする。つまり、攻撃ではただ単に1人少なくなったっていう数的な問題以上の影響があったと思う。

ただし、こういう攻撃面よりは守備面に与える影響の方がもっと大きかったように感じた。その守備面への影響を見るために、11人×11人のサンフレッチェの守備について見てみたいと思う。まず、上にも書いたようにサンフレッチェの守備は自陣に全員を引かせたところから開始。相手の最終ラインは自由にしといて、自陣に相手が入り込んできたところで守備を開始するっていう受身の考え方だと思う。

そのサンフレッチェの守備はどこが勝負どころだかイマイチ分からないってのを天皇杯のときに書いた。今回の試合を見ても、そんなイメージだったと思う。自陣に入ってきたボールに対しては、最低1枚が忠実に対応してる。下では人をしっかりと捕まえて対応できてる。でも、どこでも最低限仕事をさせないような守備でボールを奪うってことが意識されてないような気がする。結果としてボールが取れるのかどうかは相手任せになってしまう部分が大きい。ミスをするとか、シュートを打ってくれるとか。最後のブロックに人数をかけるっていう感じでもないから、跳ね返し力があるってわけでもないと思う。

天皇杯と比べてよくなったところをあえて挙げるとすれば、局面での対応の部分。1つ1つのボールへの寄せ、低い位置で人を見てる選手の対応が天皇杯のときより厳しくなった気がする。だから、今回の試合ではそういう個々の器量で守備の勝負どころが決まってたって言ってもいいかもしれない。でも、それに伴ってファールが増えたのも事実だし、チームとして見るとやっぱり問題がある気がする。守備がベースになるJ2だとどうか?明らかに力差がある(メンバー的に)だけに、攻めて攻めて攻めまくる考え方でもいいかもしれないけど。

そういう守備のベースのなるやり方の中で、ちょっと注目だったのは相手のサイドに対する対応。この場所は3-5-2×4-4-2で構造上、数的に不利になる場所だから。天皇杯でも相手の左右の展開に対してやられっぱなしだったわけで、そこをどう見るかが1つのポイントになったと思う。そういうサイドへの対応について見て行きたい。

この対応についてはある意味では普通だった。ボールサイドのWBが引っ張り出され、逆サイドが下がるっていうやり方。アントラーズのSBがボールを持ったときに同サイドのWBが寄せに行く。対して、逆サイドのWBは下がって最終ラインに入る。結果として最終ラインは実質的に4バックになるわけで、ボールと同サイドの数的不利は解消されることとなる。

こういうやり方はあくまでも応急処置的なのは事実。なぜならば逆サイドの問題は何も解決されてないわけだから。今回の試合に関して言えば、アントラーズが天皇杯のときのように大きな展開をあまり利用しなかったこと、立ち上がりの時間はSBがそれほど積極的に出てこなかったことで大きな問題にはつながらなかったわけだけど。それでも逆サイドに展開されるときにはFWが助けに行くシーンが見られた。

でも、こういうサイドへの対応はあくまでもバランスのいいブロックが構築されてるときに限る。例えば、アントラーズが徐々に押し込んでいった時間にはサンフレッチェの最終ラインは5バックになってしまうことが多かった。こうなると後ろから出てくる相手SBに対してWBが対応するのは難しい状況になってしまう。

そうなったときにサイドの守備を助けてたのがトップ下に入った森崎と桑田。実際には青山が守備の軸と置いた3ボランチ気味とも捉えられる形だったけど。その守備の軸の青山が引っ張り出されないように、前の2枚が相手SBに対応するやり方が見られた。要するに相手に押し込まれたときのサイドの対応はOMFとWGが協力してやるってことで、ここがポイントになる。

じゃあ、李が退場したサンフレッチェはどうしたかって話。とりあえず前半のうちは桑田を右サイドに出して3-4-2みたいな形にした。つまり、それまで押し込まれてたときにサイドの守備を助けてた場所の選手がいなくなったことを意味する。森崎はボランチに入ったような形になってしまったし。

そして、アントラーズはここぞとばかりに攻撃に出てきた。要するにサンフレッチェにとっては、まさに押し込まれた状況に陥った。しかも、立ち上がりは自重気味だったアントラーズのSBの攻撃参加が活性化。サンフレッチェとしてはこれによってサイドでの数的不利が明らかになって、アントラーズの方に浮いてる選手が現れ始めた。オフサイドでノーゴールになったシーンも、新井場がフリーで抜け出してきたシーンだったし。

とにかく、10人×10人になった後のアントラーズはまたしてもやり方を変更した。前半は時間が少なかったこともあって(しかも、相手が混乱気味だって事もあって)、一気に攻勢に出たと思う。守備も立ち上がりのように最前線からの追い掛け回しと、それに対する2列目以降の連動が見られるような形だったし、攻撃では両SBの攻撃参加も活発化したように前にかける人数が明らかに増えた。

この傾向は後半の立ち上がりとともにもっとはっきりする。後半のアントラーズはシステムを4-3-2にしてきたと思う。守備面を考えれば、再び最前線からの守備が効きやすい形。単純にトップの場所の人数が1人増えたっていうだけでも大きな影響をもたらした。実際に2点目は高い位置からの積極的な守備から生まれてるし、それ以外にもそういう守備からのチャンスが目立ったと思う。

攻撃においては相手のサイドを突くっていうことを再確認したイメージ。SBの活発な攻撃参加を継続させた上で、この試合では初めてサイドの出入りっていうアントラーズらしさが見られてきた。トップ、2列目の選手がサイドに流れていくっていう動きが目立ってたと思う。

こういうサイドからの攻撃に対してサンフレッチェは押し込まれる流れに。アントラーズはここぞとばかりに小笠原、本山を含めて前線の厚みを一気に増す。相手が苦し紛れに跳ね返したボールを拾いまくっての2次、3次攻撃が効果的に機能した。相手がしっかり奪ったとしても、そこにはすぐにアントラーズの前線からの効くわけで。

そういうわけで後半の立ち上がりは完全にアントラーズが敵陣内でプレーする時間帯だった。そして、あっさりと先制点、追加点を奪う。行くと決めたときの決定力は素晴らしかった気がする。そして、この2点後は前線での守備の勢いを弱めて後ろに引き付け、攻撃でも人数をあまりかけないようになってきた。さらに中盤の守備の安定のために中後を投入してアントラーズとしては、完全な逃げ切りパターンだったと思う。

対するサンフレッチェ。後半開始とともに桑田に変えて高萩を投入。李が退場した後の前半の混乱を鎮めにかかった。まず、守備時の形は4-3-2になったと思う。左の服部をSB的な場所において、右には森脇をそのまま押し出してた印象。中盤は青山を軸に左右に森崎と高萩を置く形だった。

だから、ある意味では11人時に押し込まれた5-3-2の形から最終ラインを1人減らしたようなイメージ。相手のサイドに対してはボールサイドのMFとSBが対応し、逆サイドのMFが真ん中に絞るような形が見られた。この逆サイドが真ん中を絞るやり方によって、当然のように逆サイドの人数は薄い状況に。アントラーズのサイドチェンジに振り回される状況が目立ったと思う。実際に1点目はそういう流れからだったし。

ただ、2失点目以降は守備の問題がどうこうなんて言ってる場合じゃなかった。幸いなことにアントラーズが攻撃への意識を弱めてくれたから、後ろを気にせずに攻撃に出て行けるような下地もあったと思う。久保の投入、ユキッチの投入(特にユキッチは青山に代えて)で前線を活性化して、得点に出て行く意識を浸透させたと思う。

メンバー交代以外でも例えば守備のブロックの作り方に変化が見られた。一貫して自陣に全員を戻す守備ブロックを作ってたサンフレッチェだったけど、2点目を取られたからは2つぐらい守備ブロックを高い位置に上げたと思う。2トップが敵陣の真ん中あたりにポジショニングするやり方が見られた。

これはいい考え方だった気がする。全体のブロックが前に押し出されたことで、アントラーズの最終ラインにそれまでほどの余裕がもたらされなかった。結果としてアントラーズは時間をつぶしたり、チーム全体を休ませるようなボール保持が難しくなってた印象。立ち上がりから積極的にやったアントラーズ。それじゃなくても10人で長い時間を戦ったわけで、ここで休めないのは痛かった。実際に2点目のシーンではほとんど前線の選手が帰ってこれなかった。

対して、この2点目のシーンはサンフレッチェの前への意識を感じさせた。カウンターの流れにも関わらず、後ろから次々に選手が飛び出して来たのが印象的。最終的にエリア内に3人が入ってた気がする。相手の前線の守備を抜け出してからは、相手の最終ラインに対して多くの人数で仕掛けられる下地ができてた。

この2点目のシーンはともかくとして、全体としてみればアントラーズの逃げ切り濃厚の展開だった。サンフレッチェの前へ前への圧力は確かにあったけど、ちょっと空回り気味。人は前に行っても効果的にボールが供給されない展開だった。それにアントラーズのラストブロックの安定感もあるわけで、得点が期待できる状況ではなかったと思う。PKのシーンにしてもサンフレッチェが前に人数をかけてたのと同じようにアントラーズもしっかりと最後を締めてた普通に危険なシーンにつながる状況ではなかったと思う。PKは交通事故。

そういうわけでアントラーズとしては罰ゲーム的な試合展開になった。タイトルが取れなかったのはもちろん、過密日程が控えてるのに、10人で長い時間を戦うこととなり、その上CBの2枚が開幕戦に出場停止。伊野波を獲得しといてよかったねって話。青木、中後、伊野波でCB2枚とボランチを組み合わせることになるか。

対するサンフレッチェは2点を追いついての勝利だけにJ2開幕に向けていいスタートを切れた。そもそも上にも書いたように、メンバー的に圧倒してるわけで、少々の守備の問題は関係なく、来シーズンは順当にJ1に帰ってくると見てよさそう。たぶん、自分たちが主導権を握る試合で強さを発揮するタイプのチームだと思う。

最後に余談だけど、サンフレッチェには日本人の左利きがいっぱいいる。久保、佐藤、服部、柏木、森崎浩。日本代表が左利き欠乏症で困ってる現状で、この人材の多さは特筆すべきものかと。たぶん、たまたまこうなったんだろうけど。
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2008-01-02 Wed 02:43
天皇杯決勝:サンフレッチェ×アントラーズ
<サンフレッチェ:3-5-2>
FW:佐藤-平繁
MF:高萩、服部-森崎浩-森崎和-駒野
DF:盛田-ストヤノフ-槙野
GK:下田

<アントラーズ:4-4-2>
FW:田代-マルキーニョス
MF:野沢-青木-小笠原-本山
DF:新井場-大岩-岩政-内田
GK:曽ヶ端

今回の試合でサンフレッチェの守備の問題の一端が見えた気がする。もちろん、気がするだけなのかもしれないけど、ちょっと気になったところがあった。それはガンバ戦の立ち上がりの時間に見られたような、前後の分断状況にも関係してくる。

そもそも基本的な組織は全員を自陣に戻して作られる。その中でFWの守備意識の高さが見られるし、当然のように自陣に守備の厚みを築ける。さらに当初の組織作りでは最終ラインを下げずにコンパクトなブロックを作ることができてる。

局面を見ると中盤では相手ボール保持者に対して最低1枚が対応しに行こうとする。ガンバ戦のようにある程度見るところをはっきりさせようとする形は確認できなかったけど、相手の中盤のボール保持者を完全にフリーにするのは避けようとする対応が見られた。そういう中盤の守備に対して後ろはしっかりと人につく。特にトップに入る縦パスに対しては、しっかりと体をぶつけての対応が見られたと思う。

こういうサンフレッチェの守備を見てみると、大きな問題は感じないのが正直なところ。全体の組織の作り方も、局面局面の守備に関しても。これは前回のガンバ戦を見ても感じた部分であって、実際に最多失点の原因をつかみきれずにいた。

ただ、最初にも書いたように今回の試合を見る中でちょっと気になった部分が露呈してたのも事実。それが実際に最多失点につながったかどうかはともかくとして(実況、解説の話を聞く限りでは、サンフレッチェの天皇杯での守備はリーグとは切り離して考えた方がいいようなニュアンスだった)、少なくとも今回の試合では危険な状況を生む要因の1つになってた部分があったように思う。

それは全体の守備が無難すぎるってこと。上にも書いたように、1つ1つの守備の要素には大きな問題を感じない。ただ、全体として見てみるとその1つ1つの要素が全て無難にこなされてるのが感じられた。要するに守備のストロングポイントがないってこと。全ての守備が平均的にこなされてて、大きな問題は感じられないけど絶対的な強さも感じられないイメージだった。

単純に、前線か?後ろか?っていうことで考えてみる。例えばレッズは前:後1:9ぐらい。前の守備が破綻しても後ろで守りきれる強さがある。逆に後ろが破綻したら大変なことになるけど、そこは守備のストロングポイントであって、そう簡単には破綻しない。

この単純化をサンフレッチェに当てはめてみると、前:後=5:5ってイメージ。平均的に守備ができている分バランスがいいように見えるけど、実際にはそうとも言えない。前か後ろかのどちらかが崩されれば、一気に守備力は5になる。そして、前も後ろも同じように破綻の可能性を秘めてる。

実際にはこれほど単純ではないけど、サンフレッチェの守備には悪い意味での平均化が見られたのは事実。中盤ではボールに対して寄せる意識はあるものの、厳しく行って奪う意図は少ない。ガンバ戦のときにも書いたように、あくまでもボール保持者をフリーにさせないイメージ。逆に後ろの守備に関しても1つ1つのところで相手選手に対応してるものの、絶対的に跳ね返すほどの厚みは感じられない。

ただ、ガンバ戦のときには後ろに絶対的な堅さを感じたのも事実だった。ただ、今回の試合を見てみるとサンフレッチェの守備らしさってことになるのかは微妙な気がする。上の単純化を使うならば、ガンバに押し込まれて前+後=10っていうブロックができたのかなって気がした。ただ単に、中盤がガンバに押し込まれたことによって勝手に生まれたってことなんじゃないかと。

これにはガンバの前線詰まりも関係してた。ガンバの選手が次々に前線に入ることで、サンフレッチェは自動的に後ろの堅いブロックが形成。そして、ガンバは前線の選手が動かなかったことで勝手にスペースをつぶして行った。サンフレッチェの守備ブロックは最後のところで待っていれば相手が勝手に引っかかってきてくれるイメージだったってのは前にも書いたとおり。

逆に立ち上がりにサンフレッチェの守備分断が見られたときには、ガンバの攻撃もいい意味で分断(組み立てとフィニッシュの区別がついてた)時間帯。ガンバのFW(フィニッシュ)がFWとして、中盤(組み立て)は中盤として機能したことで、サンフレッチェはストロングポイントを作れなかった。要するに5:5の状況が生まれたわけで、それが前後の分断として表れてしまったんだと思う。

そして、こういう守備の問題が隠されているサンフレッチェにとってアントラーズの攻撃はかなり相性が悪かった気がする。サンフレッチェ自身の問題によって守備の勝負どころがはっきりしなかったのに、アントラーズの攻撃のアプローチによってさらに守備の勝負どころがうまく定まらない状況が作られてしまったように思う。

アントラーズの攻撃のアプローチについてはこれまでも書いてきた通り。キーワードは前後左右のアプローチってことになると思う。そして、その内実は人的な部分とボールの動きの部分っていう2つに分けて考えることができる。

人的な部分としては上下方向への動きの多さと左右方向への動きの多さ。要するにトップの場所の出入りの激しさと、サイドでの出入りの激しさっていうことが挙げられると思う。そして、そういう前後左右の流動性を利用した、前後左右へのボールの動きが生み出される。基本的には組み立て時の横の展開と、フィニッシュに向けての縦のくさびってことが多いと思う。もちろん、縦に1つ入れて攻撃のスタートとするっていうやり方も多いし、サイドからのクロスでフィニッシュにつなげるってこともあるわけだけど。

1点目はまさにこの前後左右のアプローチを利用した得点だったと思う。組み立ての段階でかなり左右に振る大きな展開を織り交ぜ、右サイドに上がってきた内田がフリーに。そして、その内田がくさびをマルキーニョスに入れることで横のアプローチから縦のアプローチへの転換しスピードアップを図ったシーンだった。

横の利用についてはSBの攻撃参加に加えて中盤(場合によってはトップ)が入れ替わりサイドに流れることで厚みを増す。今回の試合では横方向の大きな展開がかなり効果を発揮してたと思う。

対して縦の利用はトップの動き。マルキーニョスが下がって受けるプレーとか、チャンスにもつながった田代のウラを狙う動き。本来的にはここに中盤が絡んでくるのが理想なんだけど、今回の試合ではあまり見られなかったと思う(疲れのせい?)。

それでも人とボールによる前後左右のアプローチはサンフレッチェの守備を崩すのに効果的だったのは確かだった。上に書いたような左右への大きな展開によってサンフレッチェの中盤のチェックを無力化した。広いサイド広いサイドを利用することで、相手の中盤に寄せをさせずにフリーな選手を作り出した。同時に横の間延びも誘って真ん中を空けて言ったと思う。

そして縦のアプローチによって相手の最後の堅さを許さなかった。ガンバのように前線が詰まった状況だったら、サンフレッチェの最終ラインは大きくバランスを崩さずに対応できたはず。でも、中盤に降りて行って受けたり、ウラを狙うっていうやり方の中で相手の最終ラインのバランスを崩していった。人につく意図が強いサンフレッチェの守備陣はしっかりと動きにつくことで、ラインから引っ張り出されるわけだから。それから前線で動きを作り、何でもかんでも人数を入れなかったことで相手の最終ラインとDFラインの張り付きも防いでた印象。これは中盤のパス回しの中で相手の中盤を引っ張り出したのも大きかったと思うけど。

こういう流れの中でアントラーズの一方的な試合になる可能性もあったと思う。実際にアントラーズの先制点まで、サンフレッチェは守備の勝負どころを決められない不安定さが見られ、ボールも支配されてしまった。ただ、実際にはそういう流れにはならなかったと思う。

その要因としてはアントラーズが先制点後、明らかにペースダウンしたから。極端なことを言えば、前半8分の得点後はもう試合を閉めに行ったっていえるぐらいだったと思う(さすがに、言い過ぎか?)。

それがまず見られたのは守備面。立ち上がりは最前線から追い掛け回す守備のやり方が見られたと思う。そうやって相手の最終ラインのボール保持者に対しても余裕を持たせなかった。そして、そういうトップの追いかけに対して次のところも高い位置で連動して行った。そういう激しい守備によって相手に試合の主導権を握らせない意図があったと思う。

そういう意味では得点に関係なく、ある程度の時間帯になったら守備のペースダウンを図るつもりだった可能性もある。でも、今回の試合では事実として得点の前後での守備の質が変わった印象。

得点後の時間は受けるイメージが強くなった。切り替えでの守備のよさをベースとして、まず組織を作るっていう意識が強く表れてた気がする。トップの2枚も自陣近くまで戻って3ラインの一角になった。だから、相手の最終ラインは立ち上がりと比べるとかなりフリーでボールを持てるようになってたのが象徴的だった。ただ、同時にサンフレッチェはその最終ラインから相手ブロックに仕掛けるボールがほとんど入れられなくなったと思う。横パスばかりが続いて、攻撃のスタートが切れなかった。

この要因はアントラーズの守備の組織作りのうまさにあった印象。4-4-2の3ラインをコンパクトなブロックを基本として相手の縦へのコースをしっかりと締めた。さらに、この後ろの4-4のボールサイドを上げることで斜めのブロックにして同時にボール保持者に対しても間接的なプレッシャーをかけてたと思う。この斜めブロックによってアントラーズの最前線が3トップみたいな形に見えることが多かった。サンフレッチェとしては、こういうアントラーズの組織作りに対して仕掛ける活路を見出せなかったと思う。

こういう守備ブロックを基本として、スイッチが入ったところで一気に守備のスピードアップが図られるっていうやり方が見られた気がする。ブロックに仕掛けられたところでは当然のようにしっかりとチェックがかかる。そして、それに周囲が連動することで素早い囲い込みが見られたと思う。これは1度組織を作ったことによって生まれた近さがベースとなる部分もあるけど、前線からの守備に見られるような個々の守備意識の高さが本質的なところにあるのは事実だと思う。

さらに前半に関しては1度組織を作ってから、前に対する守備をしていくことも多かった。相手が前線への入れどころに迷ってもたついたところで一気に守備が開始されることが多かったと思う。多くの場合では斜めに配置された中盤の1枚(単純に最前線のFWってこともある)が一気に距離を詰めるのが守備のスイッチ。そして、そのスイッチが入った時点で周囲の選手が一気に活動的になる。1度作ったブロックから次々に飛び出して相手の選択肢を削って行く。勝負どころと決めたら、守備ブロックを押し上げて一気に畳み掛ける守備が見られたと思う。その中でほとんどが高い位置でのカットにつながってたのが素晴らしかったと思う。

そして、遅ればせながら感じたのはアントラーズの守備のよさはこの緩急にあるってこと。シーズン当初のアントラーズはこの試合の立ち上がりでも見られた最前線からの追い掛け回しをベースとした守備をしてた。そして、前線から個々の守備意識が高いからそういう守備がしっかりと機能して、高い位置でのカットが目立ってた。

個人的には最近までこのイメージを引きずったままアントラーズの守備を見てきてた。実際に前線からの守備は素晴らしく機能してたわけだから、それがある意味ではベストのやり方だと信じてた。結果としてシーズン終盤のガンバ戦、レッズ戦、フロンターレ戦は、力関係とか戦術的名意図からあえてそういう前線での守備を捨てて、受けるイメージを強くしてるんだと思い込んでた。

ただ、実際にはいつの間にかアントラーズの守備のベースは組織作りの受ける方に変わってたんだと思う。シーズン当初のエスパルス戦から長期間アントラーズの試合を見る機会がなかったから、はっきりとどこで転換したかは分からない。でも、今になって考えてみるとこの守備の転換がチーム状態を上げた要因だったのかもしれない。実際にいい守備をしてた(と個人的に思ってる)シーズン当初には苦しんでるわけだから。

この転換によってもたらされる一番の恩恵は、省エネ。高い位置からの追い掛け回しによる守備は効果的であるのと同時に現実的ではない。90分間ハイプレッシャーを続けるのは、さすがに難しいから。対して、1度組織を作ることをベースにすると無駄が省かれたやり方だっていえる。

基本的な組織を作ることで激しいプレッシャーなしでも相手に攻撃の糸口を与えない。そうやってもたつかせたところで、1つのスイッチとともに一気に守備をスピードアップさせる。それが自陣に入ったところなら、選手間の距離が近づいてることで効率的に連携を図ることができる。それに最初のチェックにも長い距離を走る必要性が減る。それに、上に書いたようなブロックの外に対する守備に関しても効率性が生まれると思う。1度組織を作ることで、選手の配置が整理される。結果として最小限の手数で相手を追い込むことができると思う。

同時にこの緩急をつける守備はそう簡単にできるものではないことも事実だと思う。緩に関しては、組織の作り方のバランスが求められる。激しいプレッシャーなしで相手の縦パスを防ぐには、3ラインの配置をはじめとしたかなりのバランス感覚がが必要とされるし、相手のボールに対して決め細やかな修正も必要とされる。急については、個々の守備意識の高さとスイッチが入った瞬間の意思統一、運動量。このやり方はシーズン当初の高い位置での守備をベースにしながら作られた部分が大きいと思う。

そういう意味ではアントラーズの守備のやり方は一朝一夕にできるものではない。組織としての絶対的な連携と個々の戦術理解度の高さが求められる。流動性をベースとした攻撃を含めて、アントラーズの組織としての成熟度の高さを再認識させられた。

アントラーズの前半の守備はここまで出てきた2パターン。立ち上がりの最前線からの追いかけと、得点後の自陣にバランスのいい守備ブロックを形成する形。どちらの守備についても、相手の攻撃をほぼ完璧に許したっていえる。ほとんど自陣内にはいい形で入られてない。これに対して、後半は3つめのパターンが見られたと思う。それは自陣深くのブロックで跳ね返す形だった。前半と比べると自陣内に入られる回数が明らかに増えた。

後半のアントラーズは立ち上がりこそ積極的に守備をしたものの、多くの時間では基本的なブロックの形成を前半よりも深い位置で行うやり方が見られた。前半は敵陣に入ってた2トップも自陣に入る時間が長くなった。後ろの4-4も前半のように斜めにならずにシンプルな横並びになることが多かったと思う。要するに相手ボール保持者に対する意図が弱まったことを意味する。

結果として後半はサンフレッチェのボールも人もアントラーズ陣内に入ってくる時間が増えたと思う。もちろん、1点を追う展開でサンフレッチェ自身が前への意識を高めたこともあるだろうけど。ただ、前半とのあまりの差を見るとサンフレッチェの攻撃意識だけでは片付けられない。おそらく意図的にアントラーズが下がって、相手をおびき出そうとした気がする。

このときにアントラーズの守備のベースになったのは絶対的な最後の跳ね返し力だった。真ん中は4-4(4-2)のブロックでバイタルエリアをつぶした。残りの選択肢である、サイドまたはブロックの外からのアプローチはことごとく跳ね返し続けた。結果としてポゼッションを相手に渡す中でも、ほとんどチャンスを作られてない。実質的な主導権はアントラーズが握ってたって言ってもいいと思う。

これでアントラーズの守備のやり方は大雑把に分けて3パターンに。そのどれもが高レベルで安定してるから、得点差とか時間を考えてチョイスできる。これはかなりの強みだと思う。上でサンフレッチェは守備のストロングポイントがないって書いたけど、そういう考え方だとアントラーズはそのときの意図によってどこにでもストロングポイントを作れるってことになるんだと思う。

ちなみにアントラーズは攻撃面も時間とともに(守備のやり方とともに)変えていったと思う。立ち上がりは上にも書いたように、左右上下のアプローチによって相手ゴールに向かっていくやり方。それが得点後は横のアプローチを増やしたと思う。左右の大きな展開を使いながら、中盤を制圧していった。もちろん流動性ベースの近い関係でのパス回しも織り交ぜつつ。縦パスに関しても強引に入れずに、ポゼッションの方に力を入れてたと思う。これが前半の8分時点で試合を閉めにかかったって書いた要因。逆に言えば、ゴールに対する積極性が失われたわけで、それがサンフレッチェの守備のギャップを隠したと思う。

これに対して後半はベタ引きの守備に引きずられてカウンター主体に。マルキーニョスに当てて、後ろの押し上げを待つっていう展開になった。ただ、このやり方が思ったよりも機能しなかった気がする。運動量(疲れ)の問題か、リスク管理の問題か、時間ともにフォローが少なくなって可能性のあるカウンターが少なくなっていった。いつものアントラーズの飛び出しの量があればもっと効果的な攻撃につなげられた気がする。それでも、マルキーニョスは助けが少ない状況でファールをもらってたのはさすがだったと思う。

ちなみにサンフレッチェはマルキーニョスをはじめとして、キーとなるところには厳しく対応することが徹底されてた(ある意味ではストロングポイント?)。結果としてアントラーズにFKのチャンスが増えることになった。そのときにアントラーズは合わせる選手がGKの前にスペースを空けて待つやり方が多かったと思う。キッカー(多くの場合は小笠原)はそのスペースに対して速いボールを蹴り込む。そこにスペースに対して勢いよく走りこんできた味方が合わせる形。この走り込みに対しては相手もしっかりとついて守らなければならないわけで、ゴールに向かって敵味方入り乱れて向かっていくことになる。そして、そこに速い質のボール。いつ交通事故的なゴールが生まれてもおかしくなかった。

アントラーズの攻撃の内容に戻ると、守備と同じくバリエーションが豊かなことが分かる。大きく分けるとポゼッションとカウンターだけど、その両方が計算できるやり方。今回の試合はどちらのやり方でも縦の動きが少なかったけど、本来のアントラーズの攻撃では流動性(飛び出しの多さ)をベースにして攻撃を組み立てる。それがどちらにも応用できてる要因だと思った。

攻守に渡ってこれまで見えてなかった部分を含めて、アントラーズの組織としての成熟度の高さを改めて感じさせられた試合だった。そして、そのチームを作り上げた監督の手腕は素晴らしいと思った。

対するサンフレッチェの攻撃は柏木の不在を感じさせられた。柏木の不在は守備よりも攻撃に響いてた気がする。それがよく表れてたのが前半の流れ。ほとんど前線にボールを入れられなかった要因になったと思う。

サンフレッチェの攻撃は概ねガンバ戦と同じような内容でできてたと思う。それがサイドに起点を作るやり方と流動性。ただし、そういうやり方がうまくリンクしなかったことで相手ゴールまで迫ることができなかったと思う。つまり本来は柏木がリンクの役割を担うんだと思う。例えば今回の試合ではサンフレッチェの2トップがはがれてしまう状態が生まれた。局面を見ても、個々の分断が見られた気がする。

これは柏木の不在によって選手間の距離が広がったことを意味する。全体としての動きが少なかったわけではないけど、色々なところに顔を出す柏木の不在によって関係性が築きにくくなった。それが個の分断を生んで、相手の囲い込みにあうシーンも目立ったと思う。

さらに細かいことをいくつか取り上げる。まずは、相手のブロックへのアプローチ。流動性はあるけど爆発的なランニングがなかったことで、相手の組織にギャップが作れなかった。それが前半に縦パスを入れられない状況を生んだのは上にも書いたとおり。そういう縦パスの質から言えば、低い位置の組み立てを助けに来る選手がいなかったのも問題だった気がする。攻撃のスタートは常に最終ラインが担って、後はみんな前へ意識を向けていた印象。それに伴って、前回は見られた大きな展開も減ってしまった。後半にポゼッション率を上げたときには、前線で動きがない詰まり状態が生まれた。動きのスイッチを入れる柏木の不在が見られた。

もちろん、ここまで書いたこと全てが柏木の不在っていう要因だけで生まれたわけではない。アントラーズの守備のよさがあったことも事実なわけだから。でも、前回のガンバ戦を見るとこういう部分に少なからず柏木が絡んでたのは事実だった。このチームでの柏木の存在の大きさを感じた。

最後に勝手な意見を言わせてもらうと、柏木はフロンターレに行くと面白い気がする。マギヌンがいなくなるフロンターレはマギヌン的なトップと絡めるトップ下を欲しいはず。そう考えると2列目から飛び出す動きがある柏木の存在は穴を埋めるのには十分だし、守備を考えても前線の3枚のフィルターの強化が期待できる。さらに大きいのは後ろとの関係。谷口と中村の組み合わせを想定すると、柏木を含めた面白いトライアングルが作られると思う。どの選手も守備も頑張るし組み立てもできる。そして何よりも攻撃参加が魅力。ここでグルグルとポジションを変える状況が生まれると相手としてもかなり厄介な中盤になるはず。実現可能性は低いかもしれないけど、柏木を一番生かせるんじゃないかと思った。
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