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ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

2006-11-17 Fri 20:57
ミラン×ローマ
ミランは4-4-2。
GK:ジーダ
DF:シミッチ、ネスタ、マルディーニ、ヤンクロフスキ
MF:ブロッキ、ピルロ、セードルフ、カカ
FW:リカルド・オリベイラ、ジラルディーノ

ローマは4-5-1。
GK:ドーニ
DF:パヌッチ、メクセス、ギヴ、トネット
MF:デ・ロッシ、ピサーロ、タッディ、ペロッタ、マンシーニ
FW:トッティ

最近のダイジェストを見た感想の中で、トッティがゴール前に積極的に出てくるプレーが増えたって言ってた。そしたら、なんとトッティの1トップ。それはゴールに絡むプレーが多くなるのも当然。同時に情報不足を反省。

トップの位置のトッティは本当に機能してる。何よりもトッティのキープ力が生かされる。しっかりとトッティがタメを作ることで後ろからの攻撃参加が促進される。それにラインと駆け引きをするような本来のFWの動きも見られた。そうかと思えば流れの中でやや下がった位置からのシュートもある。攻撃にいろいろなバリエーションを与えたと思う。
守備面でもトッティ自身の負担を軽減することと同時に、あまり守備をしない選手を中盤に置くデメリットも消した。
この試合を見る限り、トッティをトップに持ってきたことによるメリットばかりがめについた。

チーム全体としての意識も高い。トッティに収まるとチーム全体が一気に押し上げる。後ろの選手が次から次へと飛び出すことで攻撃に厚みを加えるし、選択肢も増やしてる。相手としてもFWを抜いて後ろから出てくる選手が多いと、つかまえにくい。

そういう攻撃の中で手数をかけずにシンプルに攻めるっていうのも特徴の1つだと思う。まずはトッティに当てるところから。そこから少ないタッチ数でパスが回ってく。選手がフリーランニングをサボらないからこその形。選手のポジションを変えたり、パスでボールの位置を変えることで相手のプレスをかいくぐってた印象。

ローマのサッカーのやりかたはかなり好きな形。ロナウジーニョみたいな特別な選手がいなくても機能する形だから。基本的なプレーの積み重ねで攻撃が成り立つって意味では、色んなチームが参考にすべきなんじゃないかと思う。

トップの選手はトッティほどの技術はなくとも、しっかりと相手を背負ってキープするプレーが要求される。2列目以降の選手はフリーランニングをサボらずに積極的にトップを抜いてくプレーが求められる。フリーランニングはそういうところだけじゃなくて、前線でいろいろな選択肢を増やすって意味でも。あとは止めて蹴るっていう基本的なプレー。今のローマはこの積み重ねで出来上がってる印象。オシムじゃないけど“走る”っていうことがキーワードになってると思う。

他の攻撃の形も見てみる。1点目のシーンにあったように右サイドのパヌッチからは早めのクロスが目立った。ミランが高い位置にラインを設定してくるだけに、早めのクロスは相手のDFに戻りながらの守備を強いるっていう意味で効果的。しかも、1枚後ろからクロスを上げるから相手のプレッシャーがあまりきつくなくて余裕を持ってプレーすることができる。得点につながったシーン以外でもチャンスにつながる場面があった。

攻撃時に前線へ飛び出す選手が多いって事から分かるように、守備から攻撃への切り替えはかなり速い。逆の攻撃から守備への切り替えも速かったと思う。ボールを失ったらしっかりとプレッシャーをかけて、相手の攻撃を遅らせる。それがうまく決まって高い位置で奪えたのが2点目の場面。ローマの側に流れがあるときは高い位置での効果的なカットが目立った。

ただし、そこでボールが取れなかったとしても相手の攻撃を遅らせてる間に後ろではしっかりと守備の組織を作ってる。普段は4-3-2-1的な形だけど、守備時は4-4-1-1みたいな形になって中盤とDFでしっかりとブロックを形成する。やや引きすぎな気がした場面もあったけど、それだけ相手の攻撃に厚みがあったって考えたほうが妥当。

例え押し込まれても自分達のボールになれば一気に押し上げてくから、前線が孤立するようなことはあまりなかった。得点シーンも含めて、引きすぎることで相手に決定的なミドルシュートを何本か打たれてしまったけど、それ以外は何もやらせてない印象。

相手のFWに全く仕事をさせなかった。ギリギリのところでの対応も上手かったと思う。体をしっかりと入れてゴールを守ってたし、そこを抜かれてもGKのドーニに安定感があった。

ローマ側だと途中出場のアクイラーニについても触れときたい。2点目につながったプレーからだけでもセンスは伝わってくると思う。それ以外のところでも、パスコースの選択とかキープ力とか、かなりいいものを持ってると思う。交代出場から前線でのチェイシングを積極的にして、停滞気味だったチームに動きをもたらした。また今後に期待したい選手が増えた。

ミランの攻撃も組み立ての部分はさすがだった。中盤の構成力で相手を上回って、かなり押し込んでるシーンが目立った。

ただ、ピルロがあまり機能してなかった印象。いつものピルロのような長短のパスを駆使した組み立てが見られなかった。たぶん、ガットゥーゾの不在で守備面の負担が増えたことと、前線での引き出す動きの少なさが原因だった気がする。
守備面の負担が増えたことで積極的に前線に出てくるシーンがあまり見られなかった。守備っていう意味では効果的なインターセプトがいくつか見られたけど。
前線での動きに関してはインザーギの投入でピルロのパスが引き出された時間帯が少しあった。

そういうわけで、攻撃の中心はセードルフ。この試合はセードルフの活躍が目立った。低めでキープしてからのゲームメイカーとしての役割、サイドからのクロスに見られるようなチャンスメイカーとしての役割、ドリブルで持ち上がるボールの運び役としての役割、ミドルシュートみたいなディサイダーとしての役割をしっかりとこなしてた。それに低い位置にボールがあるときに、斜めに走ってボールを引き出すような動きも多かった。加えて前線から戻ってきての守備もしっかりとする。オランダ代表に復帰したってのも納得の活躍だった。

カカもいつものようにミドルとかドリブルでの持ち上がりでらしいプレーを見せてくれた。2列目の位置を自由に動き回ってプレーしてたと思う。
ちょっと気になったのがカカからの決定的なパスが見られなかった点。風間さんが散々言ってたし、上にも書いたとおりFWの動きがない。カカの決定的なスルーパスを引き出せてない印象。

中盤のもう1人ブロッキは守備面ではやっぱりガットゥーゾには及ばない。ボール保持者に対する対応を見れば分かると思う。ガットゥーゾは攻撃的な守備を仕掛けるけど、ブロッキはいるだけって言う感じ。一応ピッチの色んなところに出てきてたけど、物足らない感じ。

ただ、攻撃面では得点を含めていいところを見せてくれた。中盤だとセードルフとカカにマークが集まるだけに、ブロッキへのケアがやや甘くなってる。だから、ドリブルでかなり長い距離を運ぶようなプレーが見られた。遠目からのシュートでもゴールシーン以外でもローマの対応が遅れてた印象。

ミランの決定的チャンスはほとんどミドルシュート。ローマも含めて遠目からのシュートの精度に驚かされた試合だった。

それはさておき、ミランはサイドからの攻撃でいいところはいくつかあったけど完全に崩すシーンがほとんど見られない。中盤をしっかりと支配してるだけに不満点。しつこいようだけど(放送内でも風間さんがしつこいほど言ってた)やっぱりシェフチェンコが抜けた穴は大きかった。

それでもオリベイラはボールのタッチ数が多かったと思う。サイドでボールを受けてそこから自分で仕掛けるようなプレーが見られて、らしさは見せたんじゃないかと思う。

問題はジラルディーノ。相手のマークが厳しいってこともあるんだろうけど、ボールをほとんど触れない。真ん中で待ってることが多いから、2列目の選手に飛び込むスペースをもたらすような動きもできてないと思う。

ミランの守備も毎試合集中力が欠ける場面を見るような気がする。この試合だと1点目のシーン。確かに戻りながらの守備ってこともあったんだろうけど、人数がいるのにマークがずれてる。シュートを打ったトッティもそうだったしラストパスを出した選手に対する対応も遅れてた。もっと言えばその前のパヌッチへは誰もプレッシャーをかけてなかったと思う。

守備面では前後が分断されてしまうような問題点もあった。ローマが手数をかけずに攻撃してきたこともあるけど、DFラインだけで守備をするようなシーンが多かったと思う。前線の選手の切り替えが遅くて守備の戻りきれてない。だからDFの前のスペースが空いてしまっていた。

結果は1-2でローマ。ローマはいい部分ばっか、ミランは悪い部分ばっかを挙げたけど、正直試合内容は互角だった。FWの差が出たっていってもいいかもしれない。この時期だけどミランは辛い立場に追い込まれた。
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