ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2007-07-29 Sun 01:42
アジア杯3位決定戦:日本×韓国
<日本:4-5-1>
FW:高原
MF:山岸-遠藤-俊輔、憲剛-鈴木
DF:駒野-中澤-阿部-加地
GK:川口

<韓国:4-3-3>
FW:イ・チョンス-チョ・ジェジン-ヨム・ギフン
MF:キム・ドンヒョン、キム・ジョンウ-オ・ジャンウン
DF:キム・チウ-キム・ジンギュ-カン・ミンス-オ・ビョンソク
GK:イ・ウンジェ

この試合の日本のシステムを見て2つの考え方が想定された。1つはオシムがこの形をやりたいからやる、もう1つは相手に合わせるっていうオシム本来の考え方に戻した結果。

1つめはオシムが4-5-1(カミカゼシステムの形)をもう1度試したかったっていう要因。この4-5-1をもう1度試したいってのはオシムの最終目標への1つの段階だからっていう見方もできる。それは4-3-3(4-1-4-1)システムを目指してるってこと。トレーニングでは4-3-3のテストをよくしてるらしいし、その4-3-3への移行段階としての4-5-1の考え方。4-5-1のボランチを1枚上げれば、そのまま4-3-3になる。

それはここでも何度も書いてきてるとおりの1ボランチの人材を探してるってとこからも分かるところ。そう考えてみてみればここまでの招集選手にボランチがかなり多かったこと、しかもDFラインにも入れる守備力を持ったボランチ=1ボランチでピッチ全体をカバーできる人材が多かったことも納得できる。結局現時点でWボランチを使ってることを考えればオシムのメガネにかなう人材がいなかったってことになるんだろうけど。

それにジェフ組の招集も4-3-3を念頭に置くことでしっくり来る部分がある。巻を使い続けるのも4-3-3の頭での守備力の必要性を求めてるからだろうし、基本的に頭でサイドに追い込むことを考えたらWGにも守備の献身性を求めたい。そしてそれが山岸。さらに羽生は1トップ下としては攻守に渡って最高の人材だと思う。

そして、今大会の初戦も4-5-1で望んだ。ただし、その試合でこのシステムでは結果が残せなかった。カタール戦では内容的にも悪くて、それが好転したのは山岸を前線のターゲットの1枚にして変則2トップの形にした後半になってから。そういう意味では4-5-1では全くいいところなしだったってことになる。

結果としてオシムは次戦からスタンダードな4-4-2に変更した。2トップにしたことで高原の動きが生き生きしたし、全体としての動きもはっきりした。結果的にも内容的にも明らかな好転が見られた。

ただ、オシムは結果重視のためにやむを得ず4-4-2に変更したのかもしれない。で、今日の試合はある程度勝ちに対するプレッシャーがなくなった3位決定戦(シード権っていう部分はあったにせよ)。そこでもう1度試す意図があったっていう可能性もある。確かに初戦での4-2-3-1はシステムが悪かったのか、初戦っていう状況が悪かったのかは分からない部分もあるから。

これとは反対に2つめの考え方。1つめが能動的変更だとすると、2つめは受動的な考え方。ただし、去年のガーナ戦なんかを考慮してもオシムらしい考え方だってのも事実だと思う。確かにこのシステムだと形的にはボランチ×トップ下、CB×トップのキーのところで2×1数的優位を作って、その他のところでは明確に自分と対面する相手を見れることになる。

ただし、逆に日本の攻撃でも相手のマークにしっかりとつかれる状況が生まれる。こういう攻守に渡るマッチアップは1つめの考え方でも2つめの考え方でも起こることは間違いないわけで、そういう意味では個の力量、このチームのポテンシャルを見るには分かりやすい状況が生まれた印象。

で、結果的にどちらかっていう真意は分からないけど個人的には後者を取りたい。つまり、相手のシステムに合わせることで自分たちの守備の安定を図るっていう考え方。この試合の守備はこれまでのやり方から見ると明らかに安定性が増してた。

これまでの試合ではオシムのコメントにあったとおり、最初に自分たちの攻撃があって、その上で守備を考えるっていうやり方だったと思う。それは2バック×2トップの関係性にも見られる部分だった。この部分が全試合で失点っていう一因になったってこともオシムが言ってたとおり。ただし、リスクを犯したことで圧倒的に試合を支配しながら失点以上の得点を奪えたのも事実。

それが前回のサウジ戦ではリスクだけを負う結果になってしまった。後ろにリスクを犯して前の人数を増やしても、相手の中盤のタイトなやり方に屈して自分たちのやりたいサッカーができなかったと思う。

さらに今大会に限らず、今年に入ってからの日本は守備の前後の連動性が見られないってのも言い続けてたことだった。前線がボールにアプローチをかけるのにも関わらず、そこで中途半端なやり方をするからしっかりと制限がかからずに後ろとのギャップだけが生まれてしまう状況が多く見られたと思う。結果として1つめのブロックを簡単に抜けられてDFだけが晒されてしまうっていう状況が多く見られることになった。

確かに今大会ではこの状況がオーストラリア戦で改善したように見えた。それはもちろん相手の攻撃を考えてDFと中盤の関係性を意識したってこともあったけど、今考えてみると相手の前線のターゲットが1枚だったことでそれほどの連動性がなくとも制限を加えられる状況にあったんじゃないかって思ってくる。

とにかく、韓国戦では守備のリスクを減らすこと、守備の分断を防ぐことに重点を置かなければならない状況になったと思う。そして出てきたのがオシム本来の相手にあわせたシステム変更だった気がする。

この試合では誰が誰を見るかっていうことがかなりはっきりした。相手のSBの上がりに対してはWGが低い位置まで戻って対応してたし、逆に相手のWGが引いて受けようとすればSBが高い位置まで追いかけて対応した。こうやって見る選手をある程度はっきりしたことで自陣で組織を作ったときにギャップが生まれなくなったと思う。

だから韓国は組み立ての中でコースを見つけ出すことができなかった。序盤は駒野のところの対応がややルーズでそこに起点を作られるシーンが目立ったけど、そういう部分の対応も時間とともに修正していった印象。結果として韓国の攻撃は奪ってからすぐに攻めきるか、ロングボールを前線に入れるかっていう方法に限定されてしまった。

こういう守備面の安定から考えると、この試合のシステム変更は成功だったっていえる。特に大きかったのは最終ラインで2×1を作れたことだったと思うけど。

ただし、上に書いたようなジレンマを日本もかかえることになった。要するに自分たちが守備で見る選手がはっきりするっていうことは、攻撃のときに見られる選手がはっきりするっていうこと。結果として日本の攻撃の術も韓国と同じく、奪ってから速い攻撃とロングボールを蹴りこむやり方に限定されてしまった。

ただし、今大会の日本の攻撃の中で奪ってからの速攻とロングボールほど見られなかった攻撃はない。相手のボールを奪ってからも縦よりも先に横の展開を目指すことが多かったし、相手DFに直接仕掛けるようなロングボールもあまり見られなかった。特にパスのためのパスの意識が強いこのチームに単純なロングボールを望むのは無理かもしれないっていう考えがあったのは事実。(一応、イラク×韓国のラストから抜粋)

サウジ戦でも中盤でタイトに来る相手に対して自分たちの攻撃ができなくなったけど、韓国の中盤の厳しさは明らかにサウジよりも上。そうなってくると自分たちのやりたいように中盤を制圧することを不可能だと思う。だから、これまでも書いてきたとおり単純な一発のボールを蹴りこまなきゃいけないことが多くなるはず。

そのときに相手のサイドを狙うのは重要だと思う。上にも書いたように韓国の4バックはラインの意識が高くて中に凝縮する意識が高いから両サイドのところのケアはややルーズになってるイメージ。FWが流れるとついてこられる可能性があるから、中盤がサイドに流れて引き出す動きがほしい。


正直な話、これを書いてる時点でもあまり期待はしてなかった。それがこの試合は立ち上がりから相手の高いラインのウラに積極的に単純なボールを蹴りこむシーンが目立ったのはある意味で驚き。これまでの試合では徹底して相手のブロックの前で勝負してたけど、この試合では相手のブロックの後ろでの勝負に切り替えた。

もちろんこれまでの相手はこの試合の韓国ほど思い切ってラインを上げてこなかったってのはあるんだけど、それでもここまでの劇的な変化にはびっくりした。そして、その要因になったのは韓国の中盤での厳しさだったと思う。韓国は1度自陣で安定したブロックを作り上げて、そこに入ってきたときにはボールに対して一気にプレスをかける。

特に日本がビルドアップで使いたいSBとボランチのところに対してはブロックから出てきて厳しいプレッシャーをかけたと思う。立ち上がりに加地への大きなサイドチェンジをカットされてピンチにつながった場面で、日本もそれを思い知ったはず。それからは安易な横のボールを極力減らしながら縦に意識を向けた攻撃に意識を向け始めた。

さらにこういうロングボールに対して希望通りに中盤の選手が反応するシーンが多かった。
序盤は山岸が抜け出すシーンが多かったし、時間とともに遠藤が出てくるような場面も見ら始めた。こういう中盤の飛び出しは1トップにしたことで中盤の前への意識が高まって生まれた部分も大きかったと思う。

そういう中で目立ってたのが憲剛の長い距離を走って出てく飛び出しだったと思う。オーストラリア戦の途中から特に目立ち始めたやり方だけど、俊輔と憲剛の縦の入れ替わりはオプションとしておもしろい。俊輔は密集した地域から出てきてボールを扱えるし、入れ替わってボランチの位置から憲剛が最前線まで長い距離を走ることで相手は捕まえ難くなる。

ちなみに上に書いた速攻の部分でも1トップの果たした役割は大きかった。奪ったところで高原を1度見るっていう意識が徹底されたことで、縦への意識が増した部分があったと思う。そして、1つ当てたところでスピードアップする意志統一も図りやすかった。

こんな感じで前半は膠着状態になった。どちらも自陣での守備にギャップを作らないから、ロングボールの応酬だったり切り替えの速いめまぐるしい状況だったりが生まれた。

ただ、どちらが後半に向けていい内容だったかと言えば明らかに韓国。
日本は相手のウラに対するロングボールを蹴り続けることで相手の守備のブロックを押し下げる、または前後のギャップを作り出そうとしたわけだけど、結局その狙いはうまく行かなかった。韓国の最終ラインはいくらウラに放り込まれても勇気をもって高いラインを保ち続けたと思う。
逆に日本は前半の途中にブロックが押し下げられる場面が生まれた印象。全体が押し下げられたことで、相手が自由に持てる陣地が増えてセカンドボールも韓国が拾うシーンが多くなった。

その時間帯は韓国がペースを握ってた印象。前半を見ると最終的には日本の守備も修正できたけど(基本的には駒野のところに起点を作られることが多かった。そういう部分を中心に自分の責任下にある選手に対する対応を修正した)、後半は風向きを考えて韓国が有利な立場に立つことになった。

その中で後半の序盤の日本は攻め手がなくなった。強い風が吹いてる中での風下に立たされたから、前半のようにロングボールを徹底して蹴りこむようなやり方を取れなくなった印象。その中でこれまでどおり無理やり地上から攻める意志を見せたわけだけど、そこは韓国の中盤の守備によって許してもらえなかった。1つ縦に入れても、厳しいプレッシャーの中で押し下げられてしまうシーンが目立ったような気がする。

こうやって日本に手詰まり感が生まれた中での韓国の選手の退場。この退場によってそれまでの時間の緊迫した攻防がぶち壊しになってしまった。両チームが守備のよさを見せる中で、それをどうやって崩すかっていう1番興味深いところが見られなくなったと思う。

特に日本の攻撃が次にどういう方策を採るかっていうのはかなり興味があった部分。そういうアプローチの中で新しいオプションが見られたかもしれないことを考えると本当に残念。これは韓国の攻撃にも言えることだけど。

何にしても韓国は1人が退場したことで低い位置での守備へ移行した。守備時には4-4-1の考え方で前にチョ・ジェジン1枚を残して残り全てが低い位置に4-4のブロックを深い位置に形成して、受ける体制を取った。こうなった時点で日本の考え方はGLから継続しているやり方に変更されたと思う。そして、圧倒的にポゼッションしながらも最後のところを崩しきれずに得点を奪えなかったのも同じ。その過程についてはややシュートに対する積極性が増したこととか勝負を仕掛けるタイミングが早くなった印象はあったものの、大きくはここまで繰り返し何度も書いてきたことだから省略したい

ただし、さすがに韓国のラストの守りの堅さは目立った。精神論は大嫌いなんだけど、GK含めて気持ちで跳ね返したっていう場面がいくつも見られたと思う。

結果は0-0のPKで韓国の勝ち。いろいろなところで言われるだろうけど、PKの前に決め切れなかったのが痛い。というか、90分で決められなかったのが痛かった。延長に入ってからはミスが目立って完全に流れが細切れになってしまったと思う。基本的にはあれだけ守る意識を強くした韓国を何回も崩すのは不可能だったわけだから、決めるところを決められなかったことに問題を感じた。
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2007-07-26 Thu 02:54
アジア杯:日本×サウジ
<日本:4-4-2>
FW:巻-高原
MF:遠藤-俊輔、鈴木-憲剛
DF:駒野-阿部-中澤-加地
GK:川口

ここまでの試合では相手は日本の攻撃を低い位置で受ける意図が強かった。要するに日本はある程度高い位置までは自由にボールを運べたっていうこと。だからこそSBが高い位置に上がって左右をワイドに使う、中盤を中に押し込んで人の距離を近づけるっていう方法が取れた。結果として高い位置でポゼッション率を高めながら左右への大きな展開を織り交ぜて、相手のブロックにアプローチする方法を取ることができた。

こういうやり方が取れなかった例外としては全体としてバランスのいい配置の意図が強かった初戦のカタールと、守備の組織を1枚上げた時間帯のオーストラリア。それでもカタールは日本側のシステムとかやり方が違ったし、オーストラリアは前半の途中から退場者が出るまでっていう限定された時間内だった。

そうだとしてもこういう相手に仕掛ける際には、日本が狙い通りの攻撃ができなかったのも事実。この試合ではそういう狙い通りの攻撃ができない時間帯が多くなってしまった。

その1番の要因はサウジの守備のやり方にあったと思う。1つはサウジがある程度高い位置から守備を始めたこと。FWがDFラインのパス回しにプレッシャーをかける場面が目立ったし、さらにそこから縦パスが1本入ったところで一気に距離を詰める守備のやり方が目立った。

こういう意識がサイドにボールが出たときにもある程度しっかりとやってきたってのが日本にとっては厄介な部分だったし、サウジが研究してきた部分だったと思う。日本が低い位置のパス回しのときにDFの4がフラット気味のときには自由にやらせてくれるけど、SBが上がって段差を作ったときのサイドへのボールに対するチェックを欠かさなかった。

結果としてこれまでの試合で日本の攻撃の起点になってたSBが高い位置で起点になることができなくなったと思う。SBが高めの位置で起点に→前線、真ん中に厚み→相手のブロックを押し込む→高い位置でのポゼッションってのが今までの日本の形だったのに、そのスタートの部分にしっかりと対応されてしまったイメージ。逆に言えば、SBが高い位置で持てない→起点ができないから前線が降りてくる、サイドに流れて起点になる→前線、真ん中が薄くなる→相手のブロックは押し上げられるっていう正反対の状況が生まれたと思う。

結果として今までみたいに高い位置でのポゼッションは不可能になってゴールから遠い位置での組み立てが多くなった。そうなると相手の最後のブロックに直接ギャップを生み出すのは難しかったと思う。

さらに、サウジは人に対する意識がかなり強い守備のやり方を取ってきた。例えば俊輔に対するアジズのマークの意識がかなり強くて、俊輔がサイドに流れてもついてくような場面がかなり目立ったと思う。ただし、完全に俊輔×アジズの関係を構築してたわけじゃなくて、逆サイドに俊輔が流れればハリリがついていくようなシーンも見られたわけだけど。

とにかく俊輔は高い位置で全く自由にやらせてもらえなかったから、特に後半は下がってきての組み立てに関与するプレーが目立った。それと入れ替わりに憲剛が出てくことが多かったと思う。

こういう部分は今までの相手とは全く違った部分だった。とにかく、これまでの相手はゴール前に人数を揃えることでスペースを消す意図が強かったことを考えると日本にとってサウジは戦いにくかったと思う。だから、ボールを大きく動かすっていう組織としての組み立ての中でそのブロックを分散させることでギャップを作り出すことができたと思う。

それがこの試合では相手が人×人の意識を強く持ったことで、大きく見た組織よりも小さな局面での個の勝敗が試合の流れを大きく左右することになった。相手の個については後で詳しく書くけど、結果的にそういう個の戦いでの負けが試合の結果にも影響を及ぼしたと思う。

日本の攻撃面を考えると、個の勝負で分が悪いところで、個×組織の勝負に持ち込めなかったのが痛かった。そもそも個×組織を作り出すのはオシムの狙いだったはずで、この試合ではそれができなかったと思う。

これは日本の運動量の少なさが生んでた部分が大きい。この試合では足元で止まって受けるシーンが多くて、それによって相手の人に対する意識を具現化させてしまった。要するにサウジは止まって受けるボールに対しては狙いどころがはっきりして一気にプレッシャーに行けるっていう状況が生まれた。降りてきてボールを受けることが多くなったことも関連して、日本の中盤が前を向いてボールを保持できなくなってしまったと思う。

さらにボールが入った選手に対するフォローの動きも少なかった。受け手に対して相手がしっかりとマークについてたことでそもそもの選択肢が少なかったのに、新たなコースを作ろうっていう積極的なランニングも少なかったような気がする。強いてあげれば前半の鈴木の積極的な攻撃参加ぐらい。全体としてボール保持者の選択肢が少なくなったところにガツガツとプレッシャーをかけられて、結果として後ろに下げざるを得ない状況が生まれてた気がする。パスコースがないときに個の突破でマークを外すっていう選択肢がない弱点が生まれてしまった部分でもあったと思う。

ただし、失点後の時間帯には全体の動きが増えてスピード感が増すことでいつものやり方に近づいた面が見られた。そういう中で結果も出てる(どっちも流れの中ではなかったけど)ことを考えると、いつもどおりのやり方ができてれば十分にゴールに近づくことは可能だったと思う。
こういう部分にはここまで厳しい環境の中でほとんどメンバー固定で戦ってきた疲労が出てたっていう部分もあったと思う。ただし、移動を含めて日本より過酷な状況に置かれたサウジが、個々のチェックとかマークとか守備のベースになる部分を献身的にずっとこなしてきたことを考えると、やっぱり言い訳にはできないような気がした。

もちろん日本としても相手のブロックに入り込む工夫をしないわけではなかった。相手が中盤のところでキッチリと守備をしてきたから、そこを飛び越すような質のボールが今までの試合よりも増えた印象。

そういう意味ではFWの最前線での動きは豊富だったっていえる。左右上下に積極的に動きながらボールを引き出す動きを繰り返した。そこに対して低い位置からの一発のボールが目立った。

そうやって距離を稼ぎながら自分たちの押し上げを図る狙いはいいものだったと思う。ただし、そのFWに対しても相手のマークがしっかりとついてたから単純なボールがそのままチャンスに直結するようなシーンは生まれなかった。

そういう意味でFWがつぶれた次をどうやって拾うかがポイントになった部分。セカンドボールを拾えれば、相手のブロックが押し下げられてるだけに自分たちの本来の形に近いやり方ができる。要するにいかに攻撃に深みを与えるかが重要になった。

だから、しっかりと組み立てる中でも今までよりも単純にトップに当てる意識が強くなった印象。例えば今までのようにサイドに起点を作ってもそこでは数的優位を作り難かったから、そのままサイドを崩すんじゃなくてトップに1度当てる意識が見られた。FWも近づくフリーランニングを増やすことでなんとかコースを増やそうとしてたと思う。そうやって1つトップに当てることで、相手を1つ真ん中に意識させてからもう1度サイドに振るっていうやり方が見られたと思う。

結果として1度真ん中を経由して相手のブロックの前を横切るようなサイドチェンジが多くなった。こういうトップへの意識については相手がボールへのチェックのために前に出てきたから、1つそこを抜け出すとトップが受けるギャップが生まれてたってのも大きい。

ただ、こういうやり方の攻撃が機能したのは序盤のいい時間帯だけだったイメージ。時間が経つにつれて、FWに入れたとしてもそれに対するフォローが遅くて孤立する場面が多くなってしまった。そもそも相手のブロックの中に入り込めずに組み立ての最初でつぶされるシーンが多かった。

その原因は相手の守備が継続してよかったのに対して、日本は上に書いたような運動量の低下が見られたことにあるわけだけど。さらに前に人数があまり入れないことで、1度押し込んでもそれを跳ね返された次を拾うことができなくて攻撃が単発で終わることが多くなった。結果として上下動が増えたことでさらにスタミナ的につらい状況が生まれたと思う。

こういう攻撃面に対して、日本の守備の入り方はいい内容だった。狙いとしてはサウジと同じような人への意識を強くするもの。前回のオーストラリア戦では4-4のブロックを形成して、そのブロックに入ってきたところで囲うっていうスペースの意識、受ける意識を強くしたものだったけど、この試合では本来のやり方が戻ってきてたと思う。

中盤の高い位置で自陣に入ってきたボールに対してしっかりとしたチェックを行うっていうのはサウジの守備と同じような部分。さらに最終ラインのところでもしっかりと相手のFWにマークについてたから簡単には仕事をさせなかった。

だからサウジも日本と同じように前半はなかなか攻撃の糸口を見つけられなかったと思う。得点もシュートがほとんど生まれずセットプレーからの1点ずつで折り返したことを考えると、両チームの守備の内容のよさを感じる。

だから、結果として後半に2失点をしたっていうのは前半を見ていると意外だった。その辺に個の勝負での負けが響いてたような印象。後半の2失点は相手のマレクの個人能力にやられたって部分が大きいけど、注目すべきはその1つ前のところ。2失点とも1つ前のプレーで複数×個の場面でボールを奪えなかったのが響いてる。複数で対応したところでボールを奪えなかったことで、次のバランスが崩れたりフリーの選手がうまれたりした。

後半の最初のゴールはクロスを上げた選手がフリー、2つめのゴールは守備のバランスが崩されたシーン。基本的に複数枚で守備の勝負に出たところではそこで止めなきゃだめだし、今まではそういう部分がしっかりとできてたと思う。それがこの試合になって抜け出されてしまったってのはやっぱり個の力で劣っていたっていうことを認めざるを得ない。

問題は失点につながったシーンは抜けられたら致命的になるところで抜けられてしまったこと。本当はその1つ前のところで勝負に出て、抜けられてもカバーできる状況を作り出したかった。確かに失点につながったシーンはスローインからの流れだったけど、後半は全体として中盤での最初の守備が効かなくなってしまった。前線での最初の守備が効かずにDFだけが晒されて深い位置まで持ち込まれるシーンが多くなったと思う。

もちろん攻撃に出なければならな状況の中で前後の分断が起こったのは事実だけど、守備でDFだけが晒されるのは今大会の失点の多くにつながってる部分。修正点の1つとして挙げとかなきゃならないと思う。

最後にサウジについて。ここまでも書いてきたことと重複する部分もあるだろうけど、まとめとく。

サウジは基本的に個をベースとした戦い方だったと思う。序盤を見て狙ってたやり方は守備では人につきながら中盤をつぶす、攻撃ではサイドに1つの起点を置くっていう日本と似たような考え方だったと思う。

ただし、その上で組織を主体とするかドリブル(個)を主体とするかの部分が大きく異なってた部分だった。守備では日本は複数で囲い込む意識が強いのに対してサウジは自分×自分と対応する選手の関係を重視してた。

だから守備での1人1人の責任が大きくなる。上にも書いたような献身的なチェックとかマークの意識がベースになってるのは当然として、そういう自分の責任下にいる選手に抜け出されそうになればファールも辞さずに止める。それはカバーの体制がうまく構築されてないから、1人1人が負けると完全に抜け出されてしまうっていうことと関係してたと思う。そういう意味ではかなり個々をベースにしたかなり危ない守備って言えるけど、逆に個の勝負で負けない自身があったっていうようにも取れる。

ただし、守備ではこういう人に対する意識を強くしながらもしっかりと最後のところのスペースをつぶすようなやり方も見て取れた。それは序盤に日本にブロックに入られた時間帯とか最後の守りきる時間帯に見られたもの。この時間帯はとにかく最後のところに人数をかけて体を張るような守備が見られた。こういう柔軟性はあったと思う。前半の失点後にやや中盤がルーズになってこのまま日本のペースになるかと思ったら、後半になってしっかりと修正してきたっていうこともあるし。

対して攻撃でもパスを主体とする日本に対して、サウジは個を主体とするシーンが多かった。
サウジは2得点のマレク、さらには右サイドのタイセールを中心に個で積極的に突っかけてく場面が多かったと思う。シュートも積極的で、周囲にフリーな選手がいても自分のコースが空けば積極的に打っていった。その辺も日本とは正反対の部分だった気がする。

結果は2-3でサウジの勝ち。何度も書くように個の勝負で勝ったサウジが試合でも勝った。日本としてはその個に対して組織で仕掛けられなかったのが痛かったってのも書いたとおり。結果論になるけど、初戦のカタール戦でしっかりと勝ってれば3戦目のベトナム戦は主力温存できたはず。

後は少し相手のプレッシャーがきつくなっただけで一気につなぎがスムーズに行かなくなったのは気になる部分。ミスを含めて微妙なズレが生じるシーンが多かった。この辺も個の力を上げなければならないところだと思う。

個っていう意味だと、ドリブルにしろシュートにしろ積極性の部分にも不満が残るところだけど、それは今大会通じて見られる部分なのでいいか悪いかはこのチームの特徴として捉えたい。そういう意味で敗因としてそういう部分について取り上げるのは避けたいと思う。この辺については大会後にまとめて書こうと思う。

ただドリブルについて1つ挙げるたいのが、つなぐドリブルの少なさ。カウンター時自分の前にスペースがあるのにも関わらず、それを埋めるドリブルをせずに横パスっていうシーンが目立った。
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2007-07-22 Sun 01:01
アジア杯:日本×オーストラリア
展望
http://himajin0112.blog101.fc2.com/blog-entry-230.html

<日本:4-4-2>
FW:巻-高原
MF:遠藤-俊輔、鈴木-憲剛
DF:駒野-阿部-中澤-加地
GK:川口

この試合の主導権をどちらが握るかっていう部分においてサイドでの攻防が大きなポイントになった。両チームともサイドに数的優位を作りながらサイドの主導権を握ろうっていう意図が見て取れた。オーストラリアはWBに対してボランチがサイドに回りこむことで厚みを加えようとしてたし、日本は俊輔とか遠藤がこれまでよりもサイドの意識を強く持つことで数的優位を作り出そうとしてた。そういうサイドでの主導権争いに勝ったチームが試合の主導権をつかみながら、徐々に真ん中の部分にも入り込んでいった印象。

そうやってサイドの攻防が試合の流れに大きな影響を及ぼしたのは、両チームのシステムとかやり方の部分の要因が大きかった。

オーストラリアのシステムは3-4-3だったけど、この3-4-3にはヒディンクの考え方がある程度継承されてた印象。守備時には3-4-3システムを5-4-1または5-3-2に変更することで自陣にブロックを作り出した。

逆に考えれば日本に主導権を握られると前線にあまり人数を残せない状況に陥る。そもそもにSB+SMFに対してWB1枚が相対するサイドに起点を作られると、自ずとブロックが押し下げられてしまうことになった。

さらに言えば、後で書くようにこの試合のオーストラリアの攻撃の中でサイドの果たす役割は大きかったと思う。そのサイドの選手が深くまで押しこまれることで、攻撃に移ったときに前線の選手が孤立するシーンが多くなった。そうやって低い位置で奪った後は前線に蹴り出して押し上げをはかるやり方をとったけど、結局セカンドボールは日本が拾うことになった。結果として日本の攻撃が続くことになって、流れは日本に傾く。

逆にオーストラリアがサイドの主導権を握った場合にも同じことが言えたと思う。これについても後で書くけど、この試合の日本の守備はDFと中盤が挟み込んで守るっていう意識が強かった。だから、サイドに入り込まれたときに中盤の選手も戻っての守備の対応をしなければならなかったと思う。

そうなったときに遠藤とか俊輔が守備に追われるシーンが多くなる。さらに守備を考えて攻撃であまり本来のポジションを捨てられなくなったと思う。結果として前線の動きがなくなったり、前線の人数が足りなくなったりっていう状況が生まれる。そうなれば相手の攻撃を繰り返しの攻撃を許して流れが傾くのは逆と同じ考え方。

そして序盤にこのサイドの攻防に勝ったのはオーストラリアだった。結果として序盤はオーストラリアがペースを握ることになったと思う。サイドに起点を作りながら、そこから斜めにトップへのボールを放り込んでくる場面が目立って日本のゴールに向かうボールが多くなったと思う。そうやってサイドに1度起点を作ることによって日本のDFラインと中盤の関係をずらしにかかったと思う。

それに日本の守備陣にやや戸惑いがあったのも事実。この時間帯はビドゥカの圧力にやや押しこまれるシーンが目立った気がする。

戸惑いっていう意味では中盤とDFラインの関係性のところにもややギャップが生まれてた。特にビドゥカが中途半端な位置でボールを受けたときにどうやって対応するかってことがはっきりしてなかった印象。結果として簡単にビドゥカに収まるシーンが多くなって、オーストラリアはしっかりと地上から組み立てるような場面も生まれた。

そのときにもサイドに起点を作ったことが意味を持ってたと思う。サイドに1つボールを入れたことで中の選手が飛び出していく状況を作り出す結果が生まれた。これによって日本の守備陣が見るべき人が多くなってビドゥカへの対応が甘くなったっていう側面があったし、地上から攻める上での距離感もよくなったと思う。

ただし、こういう時間帯は長くは続かなかった。日本の守備が相手の攻撃に慣れてきてしっかりと対応できるようになったっていう面も確かにあったけど、それ以上のサイドでの主導権争いに勝ったっていう部分が大きかった。

もちろん、日本はいつもと同じようにサイドに起点を作ったっていう見方もできるわけだけど、この時間帯はこれまでの試合以上にサイドに起点を作る意識が強かったような印象を受けた。高原と巻はサイドに流れてボールを引き出す意識がいつも以上に強かったし、俊輔と遠藤もこの時間帯についてはいつも以上にサイドの厚みを加えることに意識を向けてた。

この辺は相手の3バックのサイドっていうセオリーを意識した部分もあったかもしれない。とにかく、そうやってサイドの意識を高めたことで相手が序盤に握ってたサイドの主導権を日本が握ることができた。

そういう流れの中で相手の5-4(または3)のブロックをゴール近くまで押し込むことに成功したと思う。そうやって本来の自分たちの流れに入って行った。相手のブロックを押し下げることで真ん中のスペースも自由に使えるような場面が多くなって来たと思う。

この時間帯になってやっと、遠藤とか俊輔が自由にポジションを動かし始めた。自分たちのポゼッションを増やしていつものように左右に大きな展開を織り交ぜながら、相手のゴールに迫ったと思う。

ただし、相手が最後のところのブロックに人数をかけただけあって完全に崩すシーンにはつながらなかったわけだけど。何にしろこの時間帯の流れでは日本はGLと同じような戦い方をしてれば、得点を取るのは時間の問題っていうような状況だった。

それが前半の途中からオーストラリアがやり方を変えてきたと思う。守備のブロックを1枚ずつ上げて高い位置からの守備を始めた。トップの選手も日本のDFラインに対してある程度のプレッシャーをかけるようになったし、何よりも自陣に入ったときのボールへの厳しさが明らかに変わった。

それまでの時間帯は日本がボールを持ったら自陣に引きこもって受けるっていう体制をとってたから、日本もビルドアップの中で簡単に縦にボールを入れることができたと思う。それがオーストラリアの縦パスへの意識がかなり強くなったことで、ポイントとなるサイドに対してもなかなかボールを入れられなくなった。SBも低い位置のパス回しに参加してなかなか前に出ていけなくなったような気がする。

とはいってもオーストラリアが受ける体制を取ってたのは間違いなくて、ボールの保持率も日本に分があった。ただ、同時に簡単に相手のゴールに近づけるようなプレーは明らかに減ってしまった。

縦のボールを入れられないから俊輔とか遠藤も相手のブロックの外まで下がってボールを受けるシーンが多くなった。当然それによって縦に勝負するコースが減ってしまったし、相手の守備陣も見るべき選手が減って前への意識を強めることができた。こういう状況の中で日本は相手のブロックの外外でのパス回しを続けて、膠着状態のまま前半を折り返すことになったと思う。

ただし、このオーストラリアの守備の積極性に対して日本もしっかりと対抗措置を講じてたと思う。それは憲剛の動きの質の変化。相手の守備が変更された時間から明らかに憲剛の前への意識が強くなった印象。相手が縦パスのための対応で出てきてできたギャップに入り込む意図があったと思う。さらに相手の中盤をもう1度押し込むような狙いとか前線に動きを生み出す意図もあったかもしれない。とにかく、遠藤とか俊輔と入れ替わりで前線に出てく動きが多くなった。

結局、前半はチャンスにつながるようなシーンは生み出されなかったけど、後半は立ち上がりからこういう質の憲剛の動きがチャンスに直結した。鈴木を中盤の底の軸として使って、他の3人で出入りを激しくするやり方は引いた相手に対して効果的かもしれない。

こういう憲剛の動きでチャンスをいくつか作った後半立ち上がりだけど、基本的な流れはオーストラリアにあったと思う。これについてもサイドの攻防がポイントになった部分。

後半の立ち上がりはオーストラリアのWBが前半の立ち上がりと同様にかなり積極的に前に出てきた。ボランチも積極的にサイドに飛び出していくようなプレーをすることで、サイドの厚みを増した。その流れはキューウェルの投入によってさらに強くなったと思う。こういう流れの中で前半のように日本のSBが攻撃に出て行くシーンはほとんど見られなくなったと思う。

それでも日本は相手のWBが出てきたサイドのスペースに単純なボールを放り込むことで応戦をしてたと思う。後半は全体が前がかってきた相手のDFに直接仕掛けるような質の攻撃が増えた。そういう中でしっかりと組み立てるというよりも一発のパスで打開するボールが多くなった。そういう意図のあるロングボールによって相手の守備を脅かすやり方はよかったと思う。

ただし、この時間帯はオーストラリアが攻撃に出てきて主導権を握ったのは事実だった。そういう流れの中で生まれたのがオーストラリアの得点だった。オーストラリアの得点までの後半の時間帯に日本が満足に組み立てて敵陣に入りこんだシーンはなかったと思う。

そういう意味では日本としてはその後すぐに同点ゴールが生まれたのはよかった。オーストラリアの得点後の流れが落ち着かないうち、しかも相手の重心がやや後ろにかかったところで一気に攻めきったことで得点につながった。

それまではセットプレーにしても、サイドからのクロスにしても低いボールを狙ってたけどこのシーンは高いボールを逆サイドまで。結果として相手の目を動かすことに成功した。その中で相手のミスをしっかりとものにした高原の落ち着きもすばらしかったと思う。

なんにしてもこの得点に続く相手選手の退場でその後の流れは完全に日本のものになった。オーストラリアは10人になったことで完全に自陣に引きこもる守備のやり方に変更。前にキューウェル1枚を残して残りの9人全員がゴール前の守備に参加した。とにかくゴール前のところに人数をかけて守備をして、ボールを奪ったら前線のキューウェルへ。そのキューウェルがサイドに逃げることでスローインを獲得して押し上げを図るっていうやり方だった。

日本側から見れば相手が引きこもった守備をしたっていう意味でGLと同じ考え方でやればよかった。つまりSBがサイドいっぱいに張って高い位置を保つ。そういう部分に起点を作って、左右への大きな展開を織り交ぜながら最後のところにアプローチしていく。相手の退場後から延長戦が終わるまではそういう考え方で試合を運んだ。

とはいってもGLのときほど相手の最後のブロックも簡単にはギャップを作り出してくれなかった。だからこそこの時間帯はブロックの外からのシュートをもっと積極的に打ってもよかった気がする。シュウォーツァーはかなりポロポロやってたから、ミドルの次を考えてもチャンスはあったと思う。とにかく、守ると決めて守りきれるオーストラリアの強さを感じた。

ここまでは時系列を追って試合内容を見てきたわけだけど、ここからは展望でも書いた守備面の対応について。この試合では確かに最終ラインの意識を高めるとともに中盤との連動性を今まで以上に重視して試合に入ったと思う。

上に書いたとおり序盤の時間帯はビドゥカに対する対応の問題とかとか予想外(?)の相手の地上からの攻撃に戸惑いがあって、簡単にブロックに入り込まれてしまうシーンが多かった。ただ、そういう部分に関しては時間が経つにつれて安定感が増したような印象。そういう中で目立ったのが4-4-2の3ラインの意識の明確化だった。

特に中盤の4のフラットなラインの意識がかなり高かったと思う。そしてその中盤の4をしっかりとDFの4と近づけることでバイタルエリアのケアをしっかりと図った。その中で上に書いたとおり前後での挟み込みの意識も強くなった印象。相手がバイタルエリアに入り込んできたときにはまずDFが抑え、そこに中盤が戻ってきてボールを奪おうと試みた。この辺についてはライン間の距離の近さをうまく生かしたようなイメージ。

ただし、こういう部分で攻撃への移行のところでの勢いはやや衰えた。あくまでも相手の攻撃を4-4-2で“受ける”イメージが強くなったし、奪ったときに動きが止まってるイメージが強かった。要するに相手の動きを1つ止めて、そこで奪うからなんだけど。そうなると守備からの切り替えで一気に飛び出すのは難しい状況だったと思う。

結果として一気に攻め込んだときに前の人数が足りないシーンがいくつかあった。とは言っても、相手のレベルが高くなって守備の意識を求めてる中で攻撃もこれまで通りってのは酷かもしれない。そういうことで納得したい。

こうやって4-4-2の組織的な守備を強く意識してただけに、攻撃後にいかに速く組織を作るかがポイントになった。そういう意味では鈴木の役割がこれまで以上に重要になった。相手の守備からの切り替えのところをことごとく遅らせてたと思う。もちろん相手を押し込んだ時間帯は相手が前に人数を残してなかったから、守備の狙いどころが定めやすかったっていう部分はあったけど、それでもアンカーの位置で組織を作る時間を十分に作った。

守備への切り替えのところで鈴木がしっかりと効くことによって、一気にゴール前まで運ばれるシーンは全く作られなかったと思う。その間にしっかりと4-4-2の組織を作り上げることができた。

こういう守備のやり方は後半になって変更が加えられたと思う。システム的には中盤のフラットな4が、底の鈴木と遠藤-憲剛-俊輔っていう1-3に分かれたようなイメージ。要因は詳しくは分からなかったけど、鈴木×ブレシアーノの意識を強くしたか、相手に押し込まれる中で守備のブロックを1つ前に押し出したか、上に書いた憲剛の攻撃上の役割の変化によるものか。とにかく中盤のフラットな4のイメージは弱くなった。

結果として鈴木のラインのところにギャップができたような気がする。相手のギャップに対する後ろからの飛び出しを簡単に許してしまった。そうやって相手は前に厚みを加えていったイメージ。相手が11人だったらそのギャップに対してどういう修正を加えてきたかはちょっと見てみたかった。

守備面を総括すれば、ビドゥカへの対応っていう当面の目的はほぼ完璧に遂行できたと思う。それはやっぱり4-4-2の意識を強くして、低い位置でのDFと中盤の関係性を重視したから。

これまでの試合で日本の守備意識の1つの指標としてSBの守備位置ってのを取り上げたけど、この試合ではほとんどDFラインの中に入ってのプレーだったと思う。中盤での積極性をある程度捨てつつ、DFと中盤の関係の方に重点を置いたやり方だった。このやり方によってDFラインだけが晒されるようなシーンにつながらなかったし、それによってDFラインもズルズルと下げられることはなかった。

そもそも中盤とDFラインとの距離が近いことで中盤がしっかりとフィルターとして機能してくさびを入れさせなかったし、入ったとしても上に書いたような前後の関係性がうまく機能した。こういう守備のやり方は今年に入ってからの前後の守備のまずさを考えるとかなり変化が生まれた部分だったと思う。

選手交代についても少し。

加地⇒今野の交代は単純にケガを考慮してのものだった。個人的には相手が前にキューウェルしか残してない状況を考えれば、ここで今野-阿部-中澤の3バックの形にしてもよかったと思う。というか、オシムの本来の考えではそっちの方がしっくりくるような気もするわけだけど。この時間帯は3バックよりもさらに攻撃的に2バックの意図の方が強かったのかもしれない。

巻⇒佐藤の交代はやや疑問。相手が最後のところに完全に引いてしまったことを考えれば、佐藤が活躍するスペースは少なかったと思う。そういう狭いところでもよさを見せて決定的な場所に顔を出してきたけど、全体として大きな流れの変化は生まれなかった。

その後、憲剛⇒矢野の交代で高さを入れるならその前段階で巻を残して前のターゲットを増やす考え方もあったような気がする。確かに佐藤が入った時間帯に憲剛⇒矢野の交代ってのはバランス的に難しい部分があったのかもしれないけど。

結果は1-1のPKで日本の勝ち。意図したものかどうかは分からないけど、日本のPKのキッカーは俊輔→遠藤→駒野→高原→中澤。GKの川口を含めて、全て去年のオーストラリア戦の当事者。何か因縁めいたものを感じるとともに、あのチームの影響力を再認識。
この試合のメンバーを見ても、川口-中澤-俊輔-高原っていう前のチームの真ん中を走る根幹部分がそのままこのチームでも根幹になってる。いいか悪いかは別として、もともとの幹に新しく入った枝葉の部分(言い方は悪いかもしれないけど)がうまくマッチすることでチームとしての成熟度を増してるような印象を受けた。
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2007-07-21 Sat 19:03
オーストラリア戦展望
去年のリベンジっていう性格も持ってたこの試合。というわけで、去年のオーストラリア戦についてちょっと振り返ってみる。

去年の試合前にポイントとして上げたのがDFとボランチの関係性。特に最終ラインの設定についてのところ。あのときのチームは引きたい最終ラインと前に行きたいボランチの間にギャップができてて、その部分がずっと気になってた。

その部分については立ち上がりの時間帯は問題なく入って行ったと思う。最終ラインが思い切ってラインを高めに設定したことで中盤との距離感が縮まったし、全体として前からプレッシャーをかけられる状況が生まれた。そして一番大きかったのがビドゥカをゴールから遠い位置でプレーさせたこと。相手は起点を深い位置に作れなかったし、直接的にゴールに向かうチャンスも少なかった気がする。

ただし、こういう形の日本のいい守備が後半になって消えてしまった。暑さの中の前半にトップスピードで入ったことによる必然的な間延びと相手が前線のターゲットを増やしたことでDFラインと中盤の関係性に徐々にギャップが生まれた。DFラインとしては中盤との間にギャップができるってことは自分たちの前のフィルターが機能しないことを意味する。結果としてズルズルとラインが交代していってしまった。同時に前線でのプレスも弱まって相手のロングボールがある程度の精度で前線に供給されることになったと思う。

そういう状況の中での失点。ロングスローに対して川口が飛び出して触れなかったところからの流れ。この川口の飛び出しに関してはこの試合でのDFラインの意識が裏目に出た形だったと思う。DFラインを高く押し上げることで川口自身のケアすべきスペースが広くなったっていう意識が働いたんだと思う。

この失点を皮切りに結局3失点で敗退っていう試合内容だった。3点目は前がかったところでしかたなかった部分もあったけど、2失点目は象徴的にDFラインと中盤の間に入り込まれたシーンだった。

これを基に今回のオーストラリア戦についても考えてみた。

練習前には1年前のドイツW杯での“惨敗ビデオ”で復習も行い、『ジーコのふり見て我がふり直せ!』とばかりにジーコ・ジャパンと正反対のDFラインを上げるエース封じを徹底した。


上にも書いたとおりジーコ・ジャパンはDFラインを下げてスタートしたわけじゃない。暑さと相手の采配によって下げられてしまっただけ。そういう状況がオシムが監督だと起こらないとなぜ言えるのか?基本的な狙いは同じなんだから、今回の試合でも下げられる状況が起こる可能性は十分にある。

さらにここで懸念材料になってくるのが、今年の試合の中でのDFと中盤の関係。今年の試合の中で全体の間延び、前後の関係のまずさは何度も取り上げてきた部分。しかも、今大会の失点シーンは全て最終ラインだけが晒されたシーンだったことも考えなければならない。こういう点に注目して見てみたい。
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2007-07-18 Wed 11:48
コパアメリカ決勝:ブラジル×アルゼンチン
<ブラジル:4-3-3>
FW:バグネル・ラブ-ロビーニョ、バチスタ
MF:ジョズエ-ミネイロ-エラーノ
DF:ジウベルト-アレックス-フアン-マイコン
GK:ドニ

<アルゼンチン:4-4-2>
FW:テベス-メッシ
MF:リケルメ、カンビアッソ-マスケラーノ-ベロン
DF:エインセ-ミリート-アジャラ-サネッティ
GK:アボンダンシエリ

この試合のブラジルのサッカーはブラジルらしさというものが微塵も感じられなかった。それはいい意味の方が強いわけだけど。前に個々の能力が高いチームが堅守速攻型の試合運びをしたら最強って書いたことがあるけど、まさにその通りの内容が見られたと思う。

確かに本来のメンバーと比べるとやや落ちるメンバー構成だけど、それでも個々の勝負ではアルゼンチンの選手と互角以上の戦いができる。さらに言えば、攻守に渡って複数の関係を築くことで局面局面での勝率を高めてた。

そのブラジルが守備をベースとしながら、攻撃には手数をかけないっていうやり方を取ってきた。これがドゥンガの目指すやり方だとすればブラジルは相当強いチームになると思う。ただし、本来の華麗さがないだけに国内の支持を得られるかが問題になるような気がする。

とにかくこの試合のブラジルは守備のよさが際立ってた。DF~FWまでの全ての選手に対して守備を求めてたと思う。だから何よりも個々の守備意識の高さがかなり目立った部分。攻撃後の切り替えのところでは奪われた選手が最初のDFになるっていうような守備面での責任感が全ての選手に見られたと思う。

それに伴って守備に対しての執着心も増した。相手のボールへのチェックの出足が抜群に速かったし、1度ついたマークは簡単に外さない。こういう個の責任がはっきりしたのはシステム的な要因もあったと思う。両者がダイヤモンドの4-4-2の形を取ってきたことでほとんどの局面で自分が見るべき選手がはっきりとした。CB×2トップの関係性はもちろんのこと、中盤では相手のリケルメに対してミネイロをぶつけるような対応も見られた。局面局面である程度見る選手がはっきりしたことで守備での個々の役割がはっきりしたっていう部分があったと思う。

こういう個々の守備意識をベースとしながら、組織としての戦術を組み立ててた印象。その組織としての守備のスタートは当然トップの2人ってことになる。2人ともかなり高い位置から守備を開始する場面が目立って、相手の最終ラインのボール保持者に対しても余裕を持たせないようなチェイシングが目立った。

このトップの最初の守備に対する2列目以降の連動性もかなりいいものだったと思う。トップの選手がボールに対して直接的なプレッシャーをかけるのに対して、2列目以降の選手はボールの位置によって前後左右に細かくポジションを移動することで間接的にプレッシャーをかけてた。さらに前線で味方が限定したコースに先回りしてマークするような場面も多く見られたと思う。

その中盤にボールが入ってきたときの守備のやり方もよかった。中盤では先回りの対応ができてたから、ボールが入った選手に対して素早く距離をつめることができた。そうやって相手の自由をある程度奪ったところで周囲が一気に囲い込むやり方が多く見られたと思う。こういう中盤の質の高い守備で相手に中盤を自由に使わせなかったことでアルゼンチンの本来のパス回しを完全に消した。

もちろんこの守備の中でのベストの結果は敵陣にできるだけ近いところで奪って自分たちの攻撃につなげること。実際に上に書いたような前線からの守備をベースとして、そういうベストの結果が生まれることも多かった。ただ、そういうところで相手にボールを持たれてしまったとしてもそれを受ける体勢はキッチリとできあがってた。この試合のブラジルのシステムは上にあるようにダイヤモンドの4-4-2。守備の陣形としては最終ラインの4の前に3を並べる4-3のブロックをしっかりと組織してきた。

そしてこの4-3の関係性のよさが抜群だった。最終ラインは高めのポジションを取りながら4-3のブロックをコンパクトにする意識をかなり強く持ってたと思う。この4-3のブロックでゴールに直結する場所のスペースを完全に消したことでアルゼンチンは決定的な場所に入り込むことができなかったと思う。さらに言えば4の前にフィルターとしての3が配置されたことで、アルゼンチンのキープレイヤーであるメッシ、テベス、リケルメに危ない場所でボールを触らせなかった。

そして、こういう4-3の関係みたいな前後の関係性のよさが全体としても目立ってた。例えばFWの2枚が下がって来て中盤の守備に参加するようなシーンも多かったと思う。前に向かう相手ボール保持者へのプレッシャーに加えて、後ろに戻って前後で挟み込むような守備に参加する献身的な動きが目立った。そういう動きが1点目につながってる。このシーンはバグネル・ラブの戻りながらのインターセプトが起点になってる。こういう前後の関係性の守備を含めて、この試合のブラジルの守備には一体感を感じた。個の意識をベースとしながらうまく組織化されてた印象。

こういうブラジルの守備に対する意識は後半の戦い方によく現れてた。前半の2点をリードしたこともあって前半以上に守備の意識が強くなって自陣での指の意識が強まった。前半みたいなボールへ徹底して激しく行くようなやり方はスタミナ面での消耗が激しいから、この転換はいいものだったと思う。もちろん切り替えの流れのところみたいな要所要所のチェックは欠かさないし、相手が自陣に入ってくれば厳しく対応する。

それでも守備の開始位置が下がって自陣で受けるイメージが強くなった。守備の開始位置を下げることで要になる4-3を含めた全体の間延びを防ぐ意図があったと思う。そういう守備への転換の中で相手の攻撃を受けることも多くなったけど、最後のブロックを崩されるようなシーンにはつながらなかった。

後半のこういう流れの中で3点目を取って以降はさらに守備の意識が強くなったと思う。最後の時間はロビーニョを中盤に下げることでシステムを4-2-3-1に変更した。これによって相手が前に出てきても中盤の厚さで受けられる形を作り上げた印象。とにかく中盤での守備をどう機能させるかってのがポイントだったんだと思う。そのために選手間の距離を遠ざけないような変更をしてきた。

このブラジルの質の高い守備に対してアルゼンチンは攻撃の糸口を見出すことができなかった。それは本来の自分たちのやり方にこだわりすぎたっていう要因もあったような気がする。最近はいろいろな試合で書くことが多いけど、この試合のブラジルみたいに前線から厳しく守備をしながら中盤をつぶしてくるような相手に対しては、それを飛び越す1発のロングボールが一番の近道になる。そうやって相手の意識を後ろに向けながら徐々に守備のブロックを押し下げて自分たちの陣地を増やすのが効果的。

ただ、この試合のアルゼンチンは相手DFに直接勝負を仕掛けるような質のロングボールをほとんど使ってなかった気がする。確かに相手が最前線から守備をしてきたから低い位置の選手にも余裕がなかったっていう部分があったのかもしれないけど、あまりにも本来のショートパスをつなぐやり方にこだわりすぎた印象。

もちろん個々の能力の高さがあるだけに相手が中盤をつぶしてきてもポジションを動かしながらある程度はつなぐことができたし、実際にチャンスにつながった場面もある。そういうチャンスにつながったのは相手の4-3の関係に仕掛けて、4から3をはがしたり4と3を一体化させたりっていう場面。そうなるとブラジルの最終ラインは案外もろさを見せた。ただし、ブラジルの4-3の関係性は本当に堅かったからそこにギャップを作るのは容易ではなかった。

それにアルゼンチンの方から積極的にギャップを作ろうとする動きも少なかったように思う。前の流動性と行っても中盤に下がってくるメッシの動きみたいにボールをもらうっていう狙いが強いものが多くて、相手のブロックに勝負を仕掛けるような動きがあまり見られなかった。結果としてブラジルの4-3のブロックがゴール前に居座る状況が生まれたと思う。

さらに、そういう相手のブロックの目先を変えるようなプレーもできなかったと思う。この試合のアルゼンチンの攻撃はとにかく最短距離の真ん中から徹底的に攻め込む意識が見られた。そうやって相手の守備のブロックの中に自らが飛び込んでいった印象。

ただし、この点についてはブラジルの守備のうまさがあったのも事実。この試合でのブラジルの守備のよさは上にも書いたとおりだけど、そこで1つ書かなかったのが相手のサイドに対する守備の意識。中盤でのボールへのチェックに対する周囲の囲い込みの連動の速さがかなり目立ったわけだけど、サイドではその意識がさらに強くなってたような気がする、相手がサイドに入れてきたところですぐに数的優位を作って起点を作らせなかった。

それに高い位置から相手のサイドの飛び出しにプレッシャーを与えることで、SBの攻撃参加自体を許さなかったと思う。結果としてアルゼンチンはサイドで数的優位を作れなかったし、それを覚悟でサイドに出せばそこでつぶされてしまった。結果として中、中のリズムで攻めなければならない状況が生まれた。そして、そこはブラジルが4-3のブロックを作って待ち構えてるところ。そうやってブラジルの思惑通りの状況に追い込まれてしまった印象。

ブラジルはそうやって相手を自分たちの守備網に追い込んで効果的にボールを奪った。そして、相手が前に出てきて薄くなってるウラのスペースに手数をかけずに飛び出していくシーンが多かったと思う。こういう部分についても今までのブラジルのイメージを崩されたところ。例えば1点目は早いタイミングで相手のウラのスペースへロングボールを蹴りこんだシーン。こういう組み立てずに一発でっていう攻撃は全くブラジルらしくないと思うんだけど、この試合では多く見られたやり方だった。

この辺はアルゼンチンと違って柔軟性が見られた部分だった。相手の中盤を飛び越すロングボールを蹴りこむことで本来アルゼンチンのフィルターになるマスケラーノはほとんど消えてしまった。さらに、早いタイミングでゴールに向かうことで相手の守備の組織ができる前に攻め込むことができたと思う。

こういう早いタイミングっていう部分については地上から攻めるときにも意識されてた部分だった。1人1人の保持時間を短くしながら周囲のランニングをベースとして相手のギャップギャップに入り込んでくようなやり方が目立った気がする。個の組み合わせとしての組織じゃなくて、ボールに対するランニングを含めたしっかりとした連係が見られた。

そういう部分での攻撃面での献身性も目立った部分だった。そういうランニングは守備からの切り替えの中でも効果的だった。奪った後の飛び出しのよさも目立って、一気に攻めきるっていう意志統一がはかれてたと思う。1点目はロングボール1発、2点目は走りをベースに相手の中盤の守備網を抜け出したところ、3点目は完全なカウンター。どれも今までのブラジルのイメージとは一足違ったものだった。

こういう早いタイミングでのブラジルの攻撃が機能したのは、アルゼンチンの守備のまずさがあったのも事実。去年のW杯では前線からの組織的な守備が効果的に機能してたけど、この試合ではそれが機能してる時間と機能してない時間帯のムラがあった。機能してる時間帯には高い位置での最初の守備を起点として中盤で囲い込むようなやり方が見られた。1つ目のチェックがはっきりと効いたから、守備の連動性生み出しやすかったんだと思う。同時に攻⇒守の切り替えもスムーズでブラジルのカウンターを簡単に食らわずに、自分たちの攻撃を長引かせることができた。

ただし、機能していない時間帯にはあまりにも簡単に最初のブロックを抜け出されてしまった印象。そうやって相手の切り替えのスピードについていけずに自陣深いところまで持ち込まれてしまうシーンが目立った。相手の飛び出しがよかったのもあるけど、アルゼンチンの組織が作る時間を稼げなかったこともあってカウンターが案外チャンスにつながった。それが失点につながらなかったとしてもアルゼンチンとしては、もう1度深いところから攻撃を組み立て直さなければならない状況が生まれた。

さらに守備面での問題は、高い位置での守備が機能してる、してないに関わらず最終ラインが高めの位置に設定されてたこと。高い位置での守備が機能してるときは問題ないんだけど、機能してないときにはDFラインとかウラのスペースだけがさらされるシーンが増えた。アルゼンチンの失点シーンは全てDFが戻りながらの対応を迫られてる。特に2点目のオウンゴールはDFが戻りながらの守備をしてたからこそ生まれたものだし、全体としても自分のホール方向へのクリアが目立ってヒヤヒヤした。

結果は3-0でブラジルの圧勝。ブラジルは本来のメンバーが戻ってきたときにどういう方向を目指すのか注目したい。
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2007-07-16 Mon 23:45
アジア杯:ベトナム×日本
<日本:4-4-2>
FW:巻-高原
MF:遠藤-俊輔、鈴木-憲剛
DF:駒野-阿部-中澤-加地
GK:川口

暑さのせいか、アウェーの雰囲気に呑まれたか、序盤の日本は完全に浮き足立ってた。攻撃についてはどちらにしても相手が引いて手詰まりだったから仕方ない部分だとしても、守備面では何かしっくり来ない部分が見え隠れしてた。相手がボールを持ったときに要所要所が押さえられてないっていうシーンが多かったと思う。最も基本的なボールへのアプローチが甘くて相手ボール保持者が自由になってたし、後ろからの飛び出しに対してもあいまいな対応が目立って相手の攻撃に厚みを加えてしまった。

さらに相手の攻撃陣で1番警戒すべきレー・コン・ビンに仕事をさせすぎてた印象。レー・コン・ビンの前フィルターがかからずに簡単にボールを入れさせてしまったのが1つの問題。相手はそこの選択肢だけしかなかったことを考えれば序盤の時間にあれだけレー・コン・ビンに入れさせたのはちょっと問題。2つめとしてDFの方の対応でもレー・コン・ビンに入った後の対応が目立った。

これと関連して攻撃後の切り替えの部分も不満だった。攻撃後に高い位置で最初の守備が効かずに簡単に相手の攻撃を受けてしまうシーンが多くなった。相手がカウンターを主体でしかも切り替えの速さが目立ってたから、そういう最初の守備が効かないってのはかなりの痛手だった。

こういう形の問題を修正する前の早い段階での失点。その形もオウンゴールだったことでさらに焦りが生まれたと思う。

この焦りが今度は攻撃面に影響を及ぼした気がする。それまでの時間は低い位置でゆっくりと回しながら相手のギャップを探すっていういつも通りの攻撃の形ではあったけど、失点後は明らかに攻め急ぐ姿勢が見られた。相手のブロックを崩すようなアプローチを仕掛ける前段階で強引に相手のブロックに入り込もうと試みた。

前に書いたとおりこういう強引さが必要っていう側面もあるんだけど、この時間帯に関してはちょっと工夫がなさすぎた。相手の4-4のブロックに対して捨て身で向かっていってる形。そういう場所でカットされて逆にカウンターを許す場面が多くなったと思う。

こういう攻守に渡る問題は時間とともに徐々に改善された。同点ゴールによって攻撃面での強引さが消えて幅が広がり、逆転ゴールで落ち着いて自分たちのペースでボールを動かせるようになった。そしてハーフタイムをはさんで攻守両面について本来のやり方が戻ってきたと思う。

そういう意味では早い時間帯で同点に追いつけたのはよかったと思う。そして、この同点シーンにベトナムの守備のブロックを崩す鍵が見られた。

そもそものベトナムの守備は自陣で4-4-1-1のブロックを形成するやり方。特に4-4で作るブロックの堅さが目立ってた。最終ラインを深くせずに中盤の4との関係を重視してたようなイメージ。

そういうブロックに対して真正面からの攻撃はあまり効果がなかった。人を集めてスペースを消しながら単純なボールはことごとく途中で引っ掛けてしまった。上に書いた強引な攻撃のやり方は自ら引っかかっていくようなものだったって言える。

とにかくベトナムのこういう守備にやり方を考えたときに、密になった中盤とDFラインとの関係をどう崩すかが問題になってくる。そこで1つの方法としてあったのがDFラインに直接仕掛けるようなボール。得点シーンの起点になったのは俊輔への一発のロングボール。そのボールをウラに蹴りこんだことによって中盤とDFラインの関係を剥がすことに成功した。

さらに俊輔から巻へのサイドからのボールもDFラインだけに勝負を仕掛けるのには効果的。このシーンではその前段階の縦のロングボールでDFだけを分離することに成功したけど、しっかりとブロックを作っている場面でもその関係はあくまでも正面に対しての関係だから横からのボールはDFだけに直接勝負を仕掛けてるってことになる。

さらにこの俊輔からのボールで見られたのが目先を変えられたときのベトナムの守備のもろさ。このシーンでは一番遠いサイドの巻が完全にフリーになってしまった。そういう意味ではウラへのロングボールも背後に目を向けさせるっていうことでこういう部分と似てたかもしれない。

とにかく、こういう部分をヒントとしながら得点後の日本は相手のDFラインに勝負を仕掛けるようなやり方を狙い始めた。縦への単純なロングボールはあまり多くなかったけど(個人的にはもう少し蹴りこんでもよかったと思ってる)、サイドから入れるボールが多くなった。そのサイドからのボールについてもDFとGKとの間に入れる質のものが多くて、横と背後に目先を揺さぶるっていう工夫が見られた。

この試合の日本の攻撃面については今まで以上に前線に厚みを加えた内容になった。相手が4-4-1-1のシステムで前に人数を残さなかった関係で後ろからの飛び出しが容易になったと思う。特に鈴木が攻撃に出てくる回数は明らかに増えた印象。こういう後ろからの飛び出しがさらに相手のブロックを押し込むのに効果的だった。

さらにボールを早いタイミングで展開することによって相手に守備の勝負所を定めさせなかったと思う。こういう飛び出しと展開力で自分たちが自由にプレーできる陣地を増やすやり方はU-20チェコ戦で書いたことと似た部分。

とにかく、こうやって相手を押し込んで高い位置に人数が入ったことで、局面局面で関係性を築けるシーンが多くなった。選手間の距離が縮まったことでパス回しがスムーズになったのはもちろん、ボールに対するフリーランニングも効果的になった。その選手にパスを出すっていう選択肢とともにおとりとして使うようなやり方もできるようになったと思う。

3点目なんかは相手を深い位置に押し込みながらフリーランニングの組み合わせによって生まれた関係性から生まれた得点だった。こういう関係性が生まれた要因としては単純に人数が前に入ったってこととともに、中盤の流動性が高まったことが挙げられる。

これまでの試合で遠藤を初めとしてある程度の流動性が見られたのは確か。それでもこの試合で大きな変化が見られたのが俊輔の動き方だった。ここまでの2試合では基本の右サイドからあまり離れないような動きをしてたけど、この試合では明らかに動きの自由度が高まった。要因は監督の指示だったかもしれないし、相手が前に人数を残さなかったことで攻撃後の守備で緊急に見なければならない選手がいなかったからかもしれない。

とにかくポジションにこだわるずにボールを受ける動きが活発化して明らかにタッチ数が増えたと思う。結果として俊輔が動いてできたスペースを次が埋める、そしてできたスペースを次、次っていうようにチーム全体の動きが活性化した。

さらに俊輔のタッチが増えたことで攻撃にリズムが生まれた部分も大きかった。前に書いたスピードアップのスイッチの役割を俊輔が担うことで攻撃の中にメリハリが生まれたような気がする。前回の試合では遠藤がそういう役割を一手に担ってたけど、今回はその役割を俊輔も分担できたから遠藤の負担が減ったと思う。だから、3点目のシーンみたいにどちらか1人がボールを持ったときにもう1人はゴールに向かったりボールを受けたりっていう分担も生まれた。

相手に狙いどころを定めさえないっていう意味でも2人の関係性はいいものになった気がする。この2人の関係性を軸としながら2トップも含めた前線の流動性が目立ってた。

こういう中盤のよさを生かして後半は大人のサッカーが展開できた。UAE戦で後半に崩れた反省が十分に生かされてたと思う。後半になっても相手は4-4のブロックを崩そうとしなかったから、日本は自由に持てるスペースが広かった。そのスペースをうまく活用しつつ、相手のブロックに対しては無理に勝負に行かない姿勢が目立ってたと思う。相手が奪いにこないのをいいことに低い位置で安全なパス回しを繰り返した。

そういう意味では後半はパス回しのためのパス回しが実践できてたような気がする。そして、低い位置のパス回しから攻撃に出るときには多くの場合でサイドの深い場所に起点を作った。相手の守備が薄いからっていう部分もあっただろうけど、サイドの深い場所なら奪われたとしてもすぐには決定的なピンチにつながならいっていう計算もあったと思う。結果として後半は前半以上にサイドに起点を作るシーンが目立った。

ただし、そうやってサイドの深いところに起点を作ったとしても簡単には中に放り込まない。中で相手のマークを外せるような状況ができあがってなければ無理せずに後ろのはたいて作り直すやり方を取ってた。もちろんこういう展開の中で攻め込むギャップができあがってればゴールに向かってく。

3点目もサイドでのゆっくりとしたパス交換の中から相手がじれて取りに来たところで駒野の前のギャップをうまく利用して一気にスピードアップをはかったところからだった。このシーンは相手のブロックを完全に押し込むことで1つ下の俊輔のところにギャップが生まれてた。さらに言えば4点目につながったFKもサイドに起点を作ったところでファールをもらって得たものだった。こうやって要所要所でゴールに向かう姿勢を見せることで相手のブロックをゴール前に釘付けにした。

そういう部分は相手が低い位置のパス回しにじれてボールを奪いに来たところでも見られた。そうやって少しでも4-4のブロックにギャップができればすかさずトップに縦パスを通して相手に恐怖感を与えてたと思う。

後半に関しては守備面の修正が見られたのもよかった部分だった。攻撃面は前半のうちにいい形を取り戻したけど、守備面に関しては落ち着けないままに前半を折り返してしまった。それが後半になって本来の形を取り戻した。

何よりも大きかったのが最初の守備の改善。攻⇒守の切り替えのところで素早い最初のチェックが効くようになって、後半は相手にカウンターの形を作らせなかった。

さらに組織を作った上での守備の内容も改善したと思う。まずはボールへのチェックの動きがはっきりするようになったってこと。途中交代で前線の選手を入れ替えたこともあって後半は最前線からの効果的なチェックが効き続けた。結果として相手のボールの出し手を自由にさせずに縦パスへのフィルターとしてもうまく機能したし、中盤での守備の連動の上でも効果的だった

同時に後ろの受け手に対するマークの意識も強くなったと思う。中澤、阿部が相手のFWについて引っ張り出される場面が多くなった気がする。この代表についてはそうやってCBが引っ張り出されるのが本来の形だし、こういうやり方によって相手のFWに自由にプレーさせなかった。前半と違って入る前のところで対応できる状況が生まれたと思う。

この試合に関しても守備の改善を見るのにはSBのところを見るのが一番分かりやすかったと思う。SBの守備のやり方は前回と同じくボールサイドの選手は高い位置で受け手につくっていうやり方を取ってきた。基本的な狙いは相手のボールをそこに追い込んでボールを奪うってものなんだろうけど、前半はそこに追い込み切れずに抜け出される場面が多かった。それに対して後半は最初の守備がうまく効いてサイドに追い込みつつ、そこで複数で囲い込むっていう狙い通りのやり方がいくつか見られた。

最後にベトナムについて。

このチームは言われてる通り攻守の切り替えの速さをベースにして戦ってた印象。守備の組織を作るのが抜群に速かったし、日本が落ち着かない前半は前線での切り替えの速さをベースに高い位置で奪うシーンも目立った。得点につながったCKもその前は切り替えの中で高い位置で奪ったところからだった。

こういう攻⇒守の切り替えの速さよりもさらに目立ったのが守⇒攻の切り替え。1度トップに当てて後ろの選手が一気に飛び出してくるっていうフリーランニングもそうだけど、ドリブルでボールを一気に持ち上がる前への推進力も効果的だった。そういうプレーを含めて予想以上に足元の技術も備えてたと思う。

結果は4-1で日本の勝ち。今となってみれば2、3戦目の試合を1戦目からできてればこの試合では主力を温存できたのにと思う。その辺はやっぱり初戦の難しさってのがあったのかもしれない。とにかく1位で勝ち上がってそのままベトナムで試合ができるっていうのは大きい。次の相手はオーストラリア。去年のリベンジに期待したい。
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2007-07-14 Sat 02:43
アジア杯:日本×UAE
<日本:4-4-2>
FW:巻-高原
MF:遠藤-俊輔、鈴木-憲剛
DF:駒野-阿部-中澤-加地
GK:川口

前の試合と比べると明らかに内容がよくなったこの試合。その要因としては序盤から相手ゴールまで迫れるシーンが多くなったことが挙げられるわけだけど、その流れを作ったのは両SBの仕事による部分が大きかったと思う。2人とも時間とともに役割を変えながらうまく攻撃の先陣としての役割を担った。

まず、試合の立ち上がりの時間帯の役割は味方を前線に押し出すっていう質のものだった。ビルドアップのときに積極的にボール保持者となって持ち上がるプレーが目立った。そういう意味ではボールを受けるためにスタートのポジションは特別高いものではなかったと思う。ボールを低い位置で受けてから自分の前にあるスペースを埋めるようなドリブルで前線に出て行った。

ここで重要なのはボール保持者となってるのが最終ラインの選手だってこと。このことが前線に厚みが加わる要因になったと思う。ビルドアップのところで中盤の選手がボール保持者になるんじゃなくて、最終ラインの選手がボール保持者になることで、本来ボール保持者となる役割の中盤の選手も前線に飛び出していくことができる。結果として単純に前線に入ることのできる選手の数は増えることになる。この試合では例えば遠藤とか憲剛なんかはビルドアップでの負担が減って、積極的に前線に飛び出していけるような状況が多くなったと思う。

さらにSBがスペースを埋めるドリブルで自分で持ち上がるってのも重要な要素だった。いくらSBがビルドアップ時のボール保持者になったとしても本来のDFラインでプレーしてたら前線もそれに合わせて下がるわけだから、意味がない。このときにSB自身が前に入ったことで中盤より前を前線に押し出すことができた。これによってチームをゴールの近くに向かわせる状況が作れたと思う。

さらにSBの持ち上がりはその1つ前(遠藤と俊輔)を中に押し込むっていう部分にも効果があった。もちろんサイドにいてSBとの近い関係性でサイドに数的優位を作るような場面もあったけど、中に入って厚みを加えるシーンも目立ったと思う。結果としてゴールの近くに人数を揃えやすい状況が生まれた。

相手の意識を外に向けさせておいて中にギャップを作る意味でも2人の持ち上がりは効果的だったと思う。こういうSBのプレーの質によって日本は前線に多くの人数が入る状況が生まれた。このことと後で書く大きな展開の組み合わせによって、相手のブロックを深い場所に押し込むことができたと思う。

そうやって相手を押し込んだ中で、SBの役割の変化が生まれた。今まではビルドアップの部分も含めてボール保持者=ボールの出し手として機能することが多かったけど、相手を押し込んだことで自分たちの基本ポジションを高い位置に設定できるようになってからは受け手としての役割が目立つようになった。相手を押し込むことでチーム全体が前がかったから一番下のポジションのCBが出し手として十分機能できる状況が生まれてた。

そうやってSBが高い位置でボールの受け手になったことで敵陣深くのサイドに1つの起点を作れるシーンが多くなったと思う。結果としてSBからチャンスに直結するようなボールが供給される場面が目立つようになったし、前の選手を中に押し込む効果も大きくなったと思う。

だから、SBが高い位置で起点になったときに中にしっかりと人数が揃っているような場面も多く生まれるようになった。高原の2点目のゴールのまさにそういうシーンだったと思う。

こういうSBの動きの質に加えていい流れを生んだのが上にも書いた大きな展開。このことについて書くには相手の守備のやり方について書かなきゃいけないから、まずはそっちから。

この試合のUAEのシステムはたぶん4-1-4-1の形だったと思う。

この4-1-4-1のシステムは攻撃面ではある程度機能してた印象。特に序盤に日本を攻め込むようなシーンを見ると4-1-4-1のメリットをある程度はうまく生かせてた。まずトップのマタルは色々なところに自由に動き回ってボールを引き出すと同時に、最前線のところにスペースを作る。そこに2列以降が飛び込むっていう形が何度か見られた。中でもジュマの飛び出しは日本が慣れるまでの時間帯はかなり効果的なものになってたと思う。

ただし、守備面ではメリットよりもデメリットの方が際立ってたような気がする。そもそもトップのマタルがある程度守備の役割を免除されてる時点でこのシステムは破綻してたイメージ。最初のところで規制がかからないから中盤の4のところでうまく連動がはかれない。結果として4のところのボールへのチェックが甘くなって弱点であるボランチの1のギャップに簡単に入り込まれてしまった。

ただし、こういうUAEの守備のまずさについては日本の攻撃の組み立てが作り出した部分も多かった。トップのところで規制がかからないのは明らかに相手の戦術の問題だけど、その後の中盤の4を簡単にすり抜けられたのは日本の工夫があったからこそだと思う。

それが大きな展開を織り交ぜたやり方。特に前の試合からから大きな改善が見られたのが縦に単純に入れるロングボールの数だった。カタール戦のときはとにかくパス回しのためのパス回しが目立ってそういう質のボールは(特に前半は)ほとんど見られなかった。だから、相手の最終ラインに直接勝負を仕掛けられずにバランスを大きく崩せなかったんだと思う。それに対してこの試合では序盤から躊躇なく前線に放り込むような質のボールが何本か見られた。

このロングボールについても相手のブロックを押し下げるのには効果的だった。つながるかつながらないかは別にして(つながるに越したことはないけど)、何本かはこういう単純なボールを入れて相手のブロックに揺さぶりを仕掛けることが重要だと思う。この縦へのロングボールは直接相手のラインの縦の間延びを生んだと思う。

さらにこの試合で効果的だったのは横のロングボール。サイドチェンジについては前回の試合でも見られた部分だけど、この試合では数自体が多かったしその質も違ってた。途中で経由せずに一発で局面を変える質のボールが多かったし、使う幅も大きくなった。

幅を広く使えたことについても上に書いたSBの攻撃参加が効果的だったと思う。SBがタッチライン際でのプレーをしたことで左右を大きく使うことができた。

こういう左右の展開は相手の最終ラインの4の考え方によってさらにうまく機能したと思う。UAEの最終ラインは4の意識が強くて一体感を持たせて真ん中を固めるようなやり方を取ってきた。だから、大きな展開をした逆サイドにはスペースが生まれることになったと思う。

さらに相手を横に間延びさせることを考えても効果的だったと思う。この横のロングボールについては一番遠いサイドの選手がボールが来ることをしっかりと意識してたってのも重要だった。これはゴール前のクロスにも言えることだけど、一番遠いサイドの選手がしっかりとボールを呼び込む動きをしてた。例えばPKにつながったのは一番遠いところにいた遠藤がボールを呼び込んだところからだった。

こういう部分を見てみるとこの試合はこういう上下左右の1発の展開がかなり効果的に活用できた試合だったって言える。よく考えてみればこのチームには中長距離のパスの精度が抜群に高い選手が揃ってるわけで、この1発の展開を効果的に取り入れることは今後も重要になる気がする。そういう一発の展開が相手のブロックのバランスを崩したり、狙いどころを定めさせなかったりってことにうまくつながる。

とにかくこの試合では1発のボールの効果的な利用によって上下左右に相手を間延びさせたことで中盤を厚くしたメリットを出させなかった。基本的に中盤を5枚置いてるシステムだから配置的にもスペースがつぶれるわけだけど、大きな展開を織り交ぜることでその選手間の距離を開けた。結果として4-1-4-1の一番の弱点であるボランチの1のところに完全にギャップが生まれたし、そこに対するパスも通りやすい状況が生まれた。このギャップに入り込んだところで攻撃の勝負に行くような意志統一もできてたと思う。

さらに個々で見れば、遠藤がうまくギャップに入り込んでボールを受けるシーンが目立った。この試合の遠藤はギャップに入り込んだところでの中盤的な役割からゴール前に積極的に飛び出すようなセカンドトップ的な動きまで幅広い役割をこなしてたと思う。

ここでロングボールに戻ると、横のロングボールについてはSBの攻撃参加によって縦のロングボールについてはFWの動きによって引き出される部分が大きい。そういう意味では縦へのロングボールが前回に比べて明らかに増えたのは意識的な部分に加えてシステム的な要因も大きかったような気がする。

前回のシステムと比べての一番の変更点はトップが2枚になったこと。ロングボールについて考えてみれば単純に前線にターゲットが増えたことになる。さらに前線の動きを増やす意味でも効果的だった。巻の存在によって高原が本来の自分のプレーをやりたいようにできてた気がする。

高原は最近の代表では軸としての役割を担うことが多かったけど、本来的にはやっぱりシャドー的に動き回る役割の方がしっくり来るんだと思う。この試合では巻がトップの位置でどっしりと構えたことによって高原が自由に動き回ることができた。サイドとか低い位置とかに流れてのプレーが多くなってた印象。

チームとしてみても上に書いたような遠藤を含めた2列目の飛び出しが活発になったし、高原が動くことで前線に1つの起点を作れるようになった。前回は縦に入れられなかったことを考えると高原の動きによってそういう部分が改善したって言える。

システムの変更は守備にもいい影響を及ぼしてたと思う。中盤とDFの関係性を見たときにこのチームは4-5-1よりも4-4-2の方がうまく回ってるような気がする。4-5-1システムだと4-2-3-1のラインができて間延びしたり、4-5-1の4と5の間にギャップが生まれたりっていう場面が多く見られたけど、4-4-2だと単純な3ラインのイメージが作りやすい気がする。この試合では後半のスタミナ面での間延びを除けばDFと中盤の連携がうまく機能してたと思う前半の相手の効果的な2列目からの飛び出しに対してもうまく対応できてた印象。

さらに守備面では局面局面のところもはっきりした対応が見られるようになった。ここ最近の試合ではスペースを見るか人を見るかがあいまいになってしまうことが多かった気がするけど、この試合では本来の人を見る形に統一されたと思う。4-4-2のブロックの中に入ってきた相手ボール保持者に対してはサボらないチェックが効いてたし、受け手に対してもきっちりとマークがついてた。だから、ボールが入ったところでしっかりと距離を近づけた対応ができてた印象。

こういう部分についてはSBの対応を見るとよく分かる。SBが相手の中盤の選手に対して高い位置でも距離をつめる対応をしてたと思う。そうやって思うようにサイドに起点を作らせなかった。

全体としてはこんな感じでボールとしっかりと距離を縮める中で相手の自由をある程度奪って、周りとの連動で囲い込むやり方ができてた。特に中盤では、コースを消しながらボールにチェックに行く⇒選択肢が減った相手を囲い込むやり方とかボールが入ったところに密着で対応⇒周囲が囲い込むっていう効果的な囲い込みのやり方が見られた。

最終ラインについても自由にマタルにしっかりとついていく対応をしてた。そうやってCBが引っ張り出された場面では中盤との連携がものを言った。そのときに重要なのがやっぱり鈴木のプレー。この試合の鈴木はSBの積極的な攻撃参加のウラで仕事がいつも以上に増えてた印象。SBが上がったケアもそうだし、相手の2列目の飛び出しに対する対応、さらに本来的なボールへのチェック。

攻撃からの流れでは相手が蹴りだしたボールをもう1度自分たちのものにする働きも見られた部分。前が詰まったときの組み立て直しのときの役割も含めて、低い位置で自分たちの2次、3次攻撃を生み出す役割を担ってたと思う。そういう中で自分達が攻め込んでるときには前線の厚みを加える攻撃参加も見られた。これだけ多くの仕事をこなす献身的な選手だけにケガの具合が心配な部分。

さて、ここまではよかった部分について書いてきたわけだけどやっぱり後半の1失点はいただけない。この失点の原因としては前半と同じイメージで後半も入ってしまったことが挙げられる。問題は実現可能性と必要性。

実現可能性ってのは要するに前半と同じイメージで攻めることができたのかってこと。高温多湿の厳しい気候+前半からかなり飛ばして入った状況の中で後半も同じイメージで攻撃をするのは不可能だったと思う。つまり、攻撃を前半と同じイメージでやるのは不可能なのに、それを実現するために別の所を削ってしまった気がする。

具体的には守備面なんだけど、SBは前半ほど上下動ができなくなる中でも高い位置を基本としたことによって戻りが遅くなったし、全体としての守備のギャップも生まれた。失点シーンはカウンターを食らったシーンだったけどそれ以外にも時間が進むにつれてヒヤヒヤするシーンが出てきたのは確か。それは前後の間延びによってDFラインだけの守備が多くなったことが原因だったと思う。

そういう時間帯にロングボールを多用するUAEの攻撃もうまかった。そういうロングボールに対して日本はDFラインだけが分断して対応する場面が多くなった。もしも相手が11人のままで、トップの1つ下でロングボールを拾う選手がいれば危ないシーンがもっと増えてたはず。

で、問題はそうやって守備を犠牲にしてまで攻める必要があったかっていう必要性の部分。冷静に考えれば必要性はなかったことで正しいと思う。もちろん緩めずに攻め続けることで相手を出させないっていう考え方もあるけど、戻りきれない、組織を作りきれない状況で多くの人数が前線に出てくまでの必要性は感じない。例えばSBは本来のポジションを基本の位置に戻してから攻めるっていう考え方もあったと思う。

こういう部分については前回の失点にもつながってる。後半の残りわずかの時間帯でなぜかDFだけで守る状況ができあがってたのがあの失点だった。そう考えると試合を自ら膠着させるようなプレーがほしいし、そういう意味でこういう時間こそパス回しのためのパス回しがほしいところ。

結果は3-1で日本の勝利。全体としては前への意識が改善したのが良かった部分だったと思う。ボールを持ち上がるプレーとか仕掛けとかが見られたしシュートも多かった。
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2007-07-09 Mon 23:03
アジア杯:日本×カタール
<日本:4-5-1>
FW:高原
MF:山岸-遠藤-俊輔、憲剛-鈴木
DF:今野-中澤-阿部-加地
GK:川口

まずはアジア杯前のオシムジャパン1年目の総括の中で挙げたポイントのうちの2つをおさらい。
http://himajin0112.blog101.fc2.com/blog-entry-165.html

◇軸
これはずっと言ってる部分。
俊輔の加入でも変わらなかった。
というよりも、軸になろうとした俊輔のプレーをオシムが嫌がったようなイメージさえある。
こういう部分からオシムはあくまでも軸を作らずに全員の動きの中での組み立てを目指してることが分かる。

◇個の力
これは絶対に必要な部分だと思う。このチームでは相手に引かれて前が詰まるっていう場面が多く見られる(ジーコのときにも見られた部分だけど)。そういうときに1人で相手数人を相手にできるタイプが絶対に必要。ペルー戦で家長と水野の投入で流れが変わった経緯もあるし。あまりにも止まってボールを触るタイプが多すぎる。


前半は暑さを考えてのスロースタートっていう側面もあっただろうけど、それにしても全く可能性を感じない攻撃の内容だった。自陣でしっかりと組織を形成した相手に対して低い位置でゆっくりとパスを回すってのは間違ってない。実際に相手のプレッシャーのないところでボールを左右によく動かしながらギャップを作り出そうっていう意図は見て取れた。

ただ、そのときに低い位置に鈴木と憲剛の2枚が残るのはちょっと疑問だったけど。序盤から鈴木はボールの散らし役として十分に機能してたから、憲剛は思い切って前のコースを増やす役割を担っても良かったと思う。

何にしても問題になったのはそういう低い位置でのパス回しからスピードアップをするタイミングがはかれないっていう部分だった。

そういうスピードアップの部分を考えたときに上で引用した軸の不在と個の不在が大きな影響を及ぼすことになる。

このチームの軸の不在についてはここまでしつこいほど書いてきたこと。絶対的な王様じゃなきゃいけないってことはないけど、少なくともこの選手にボールが入ったらチーム全体のスイッチが入るっていうような選手の存在は必要のような気がする。特にチーム作りに多くの時間を割けるクラブチームと違って、代表は一緒にプレーできる期間が短いわけだから、1人そういう存在を作ることで1つの意思統一の指標にする必要があるんじゃないかと思う。

もちろんそれは俊輔みたいにテクニックがあるタイプの選手じゃなくてもいい。高原に入ったところで一気にスピードアップするっていう方法も考えられるし、羽生みたいに爆発的なランニングによってチームのスピードを変えるようなタイプでもいい。別に1人の選手に限定しなくてもチーム全体の意志が統一できるようなスイッチができればいいと思う。だから、ここで表す軸の選手ってのはその選手を中心にチームを作らなければならないっていうこととは必ずしもイコールの関係にはならない。

もちろんオシムが狙ってるように流動性の中の複数の動きの連動の中でスピードを上げてくっていう方法もあるとは思うけど、それだとあまりにも多くの条件をクリアする必要が出てくると思う。近い関係でダイレクトのパスが回るみたいなことは試合の中ではなかなか作り出せないシーン。そういうのを待ってたら、いつまでたってもスピードアップはできない。流動性の中に1つでもパターン化された動きを入れることでスピードの転換がうまく行くような気がする。

こんな感じでチームとしての意志統一によるスピードアップが難しいとすれば、そこで頼りになるのが個の突破力。個で仕掛けられる選手なら、他の選手の意志に関わらず(全くとはいわないけど)自分の意志でスピードアップをかけることができる。そういう個の動きによるスピードアップがチーム全体に派生するっていう面もあると思う。そして、誰かがドリブルで仕掛けたらチームがスピードアップするって考えればそれもスイッチの1つになりえる。

この点に関しても個の力は何もドリブル力に限るものではない。何度も登場するけど、羽生みたいに自分の意志によるフリーランニングでチームの動きを活性化することもできる。ただ、スタメンの中にはそういうタイプの選手がいない。ほとんどの選手がボールの出し手タイプの選手だと思う。

このことも前半の攻撃の内容に大きな影響を及ぼした。前半のパス回しの中で相手を1人抜いてパスを出すっていうような場面はほとんどなかったと思う。自分と対面する相手に対する勝負の一切を避けて、パス、パス、パスのつながりだけの組み立てに終始した。

このやり方では相手のブロックにギャップが生まれないのは当然だと思う。パスを左右に回しているとしてもその中に相手を抜くっていう動作が入ってこないから、相手としてみれば1×1の対応がほとんど崩されないことになる。この状況だからどの局面でも数的優位は作れないし、相手の守備に関してもボールに対する平行移動だけで大きくバランスを崩すことはない。結果として相手のブロックに入り込めないような状況が生まれた。

ただし、こういう部分については個の力の不在というよりも考え方の問題を感じたのも事実。前に五輪世代の試合のときにも書いたけど“パス回しのためのパス回し”の状況が生まれてる。いかにゴールに向かうかじゃなくて、いかにパスを回すかっていうことに重点を置いてしまっているように思う。だからこそ、1人を抜いてからパスを出すっていうような奪われるリスクが高まるプレーを避けてしまうんじゃないかと思った。

同時に相手の密集地帯を狙うくさびのパスに関しても同じことが言える。途中で引っ掛けられて奪われることを考えて思い切って縦に通すことができないっていう状況が生まれてた気がする。横横のパス回しが目立って、リズムを変えられなかった。
こういうことは、よく言えば相手の薄いところ薄いところのボールを回してくってことなんだけ勝負をしてないっていう見方の方が適当だった気がする。

こういうスピードアップとかリスクを犯すっていう部分の問題で、前半の日本は相手のゴールに近づくプレーができなかった。ただ、そういう部分に関しては日本の攻撃の問題とともにカタールの守備のよさも要因の1つとしてあったと思う。

カタールの守備のやり方は自陣に引いて人数をかけた組織を作るっていう単純なもの。しかも、自陣に入ってきたボールに対するチェックもゆるゆるで序盤は日本が簡単に得点を取れるんじゃないかっていう印象を与えられた。それでも結局前半は日本が攻撃の糸口を見つけられなかったのは、カタールの守備の選手の配置のよさにあったような気がする。

日本に対するアジアの多くのチームの守備はカタールと同じように自陣に人数をかける守備のやり方。そのときに中盤とDFラインが悪い意味での一体化を起こしてゴール前の瀬戸際のとことでなんとか守るっていう形が多く見られると思う。

それに対して、カタールが他と大きく異なったのは自陣のブロックがしっかりとバランスよく形成されてるってことだったと思う。最終ラインも下げられすぎることがないし、DFと中盤も多くの場面では独立していい関係を保ってる。

さらにボールに対する直接的なチェックが甘いわりにはブロックの移動みたいな部分での間接的なアプローチの極め細やかさが目立った。ピッチに選手がバランスよく配置されてるからボールを奪った後に波状攻撃を仕掛けられることもなかった。しかも、この守備の組織を作る早さも目立ってたと思う。攻→守の切り替えの中ではファールも辞さない構えでとにかく組織をしっかりと作ることに重点を置いてたと思う。

前半に関してはこういうバランスのいい配置によって日本が使えるスペースとかコースを限定してやりたい攻撃をやらせなかったと思う。結果として日本は低い位置でのパス回しから、カタールの守備のブロックを全て飛び越すようなロングボールをウラに蹴りこむっていう場面がかなり多くなってた。

こういう形のカタールの守備には弱点があったのも事実。上に書いたようなボールへのチェックの甘さに加えて局面局面を見ると個に任される部分が大きくて連動した守備ができてなかったと思う。それに全体の選手配置のバランスのよさだけを頼りにしてた部分があるから、1つの局面でバランスが崩されるとそれが一気に全体に派生してしまうっていう状況もあったと思う。

そういう意味での日本の後半の攻撃のやり方は効果的だった気がする。後半の日本は低い位置でのダラダラとしたパス回しを捨てて、早いタイミングで一気にトップを狙うようなボールを増やしてきた。しかも相手のDFライン前のフィルターを跳び越して直接トップに当てるようなボールが増えた。これによって日本としては案外簡単に高い位置で起点が作れるってことが分かったと思う。

この高い位置ってのが重要なのは当然の部分。前半は低い位置でのパス回しの中で相手を一方に集めて大きな展開っていうプレーが見られたけど、後半は同じことを高い位置でできるようになった。高い位置で相手を1つの場所に集中させることで周囲がフリーになるシーンが増えた。後半の最初のチャンスは高原が相手を引っ張ってフリーの山岸に落としたシーンだった。

こうやって簡単にバランスが崩れちゃうのはカタールの守備のまずさ。さらに、高い位置に起点を作ったことで後ろからの飛び出しが促進されたってのも大きかったと思う。得点のシーンもアシストは今野が最前線まで飛び出してきたシーン。こういう後ろからの飛び出しによって高原が本来のポジションで周囲と近い関係を保つことができたし、何よりも相手のブロックを完全に引かせてしまうことに効果的だった。特にSBの飛び出しによって一度相手を真ん中に意識させておいて薄いサイドへっていう効果的な展開が高い位置でできるようになったと思う。

カタールとしては日本の後ろからの飛び出しに対応する中でかなり低い位置まで押し下げられてしまう場面が多くなった。要するに前半のカタールの守備のよさであった選手配置のバランスのよさを崩したってこと。このことによって前半にはなかった波状攻撃を仕掛けられるシーンも多くなった。

こうやって見てみると後半の攻撃のよさは上に書いたまずさの全く逆の状態。思い切って縦にボールを入れることから始まって、高原を中心に前線に入ったところで後ろが飛び出す意志統一もできた。途中の羽生の投入もスイッチの1つとしては十分に機能してたと思う。

さらに後半は個々が対面する相手と勝負しようとするシーンも多くなった。結果としてパスのコースだけをケアしてればよかったカタールの守備陣が個の仕掛けに戸惑うシーンが見えてみたと思う。

後半に関してはシステム的な考え方を変えたのも良かったんじゃないかと思う。イメージとしては山岸-高原-俊輔の3トップ気味の考え方を山岸-高原の変則的な2トップの形にして俊輔は左を捨てた。結果として前線の起点が1枚増えたことになって、後ろからのボールを入れる選択肢が多くなったっていう見方もできる。この辺の柔軟性はよかった部分。

攻撃面に関してはこんな感じで前後半の間にある程度の改善が見られたわけだけど、守備面は90分を通して危ない部分が見られてた。それは前線と後ろの間にできたギャップ。今年に入っての日本代表の試合を見ると守備時の前後の距離の遠さが目立ってたんだけど、この試合では前後が完全に分断されてしまうようなシーンが多く見られた。

基本的な守備のシステムは4-1-4-1で、1度組織を作ってから守備を始める。そうやって相手が縦に入れたところでボールにチェックに行くやり方だった。

その縦パスに対するチェックに鈴木が引っ張り出されたときに、守備のブロックが4-5-1のラインを形成することがかなり多くなったと思う。鈴木に関してはサイドのカバーのために引っ張り出されることも多かったと思う。

この点は4-1-4-1のボランチを外されたときの弱点ってことになるんだけど、DFの4と中盤の5もしくは4の間に広大なスペースが空いてしまうシーンが目立った。このギャップをうまく突かれて相手の攻撃に対して日本のDFラインがさらされてしまうシーンが多くなってたと思う。失点につながったFKを与えたのもミスからの流れとはいえ、DFだけでの守備を余儀なくされた場面だった。

要するに守備時に中盤とDFラインのいい関係性が築けてないってこと。だから中盤でのフィルターがかからずにセバスチャンにあまりにも簡単にボールを入れられてしまった。セバスチャンは能力が高いだけに一度ボールが入るとなかなか奪えない選手。そこに対しては入ってからのケアをするよりはしっかりとコースを切ることで入る前の対応をしたかったところ。

さらにセバスチャンのキープ力を頼った相手が後ろから飛び出してくるような場面も作られてしまった。そういう部分を見てみると、SBの上がりとかも含めてカタールのやり方は守備偏重ってわけでもなかったと思う。

結果は1-1の引き分け。土壇場で追いつかれたことで精神的なショックが大きいけど、前半からの流れを見る限りでは妥当な結果だとも言える。同時に初戦の引き分けはそれほど悲観的になる必要もないと思う。
ただ憲剛→橋本の交代で受身の態勢を作ったことは少し残念だった。攻撃面でかなりの役割をこなしてた憲剛を交代したことで、その後はいい形が生まれなくなったと思う。オシムになってからは初めて見る“勝ちに行く采配”が裏目に出たような気がする。

(U-20のナイジェリア戦については明日か明後日中に書きます。)
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