ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2007-08-03 Fri 01:58
アジア杯総括
今大会の日本代表を振り返ると、そのポゼッション率が目に付くところ。そして、チームとしてもポゼッションを高めるためのやり方を取ってたのも明らかだった。

今日の試合を含めて、この大会はそうであったわけだが、相手が2トップで来ても2ストッパーで対応し、その隣にサイドがいるが、事実上真ん中の2人のストッパーと、ボランチ2人のうち1人の3人で中央を守る。そういうリスクのある守備をしつつ、中盤のプレーメーカーを自由にさせる。(韓国戦後オシム会見より)


相手の2トップに対して、2人のストッパーで守備を長い時間続けたわけだ。そのリスクを冒すことで、もう一つ別のポジションでフリーになる選手が1人出てくる、という考え方だ。それがプレーメーカーだったり、素晴らしい選手だったりするわけだが、逆にリスク回避してリベロを置く、つまり3ストッパーを相手の2トップに付けるとするならば、中盤での数的優位を失われることになる。そのどちらを選ぶかだが、私は今のサッカーの信奉者である。(サウジ戦後オシム会見より)


要するにこういうこと。システム的には4-4-2と4-5-1を使ったけど、後ろの6枚のメンバー構成、関係性は常に同じだったと思う。

      ↑
↑    憲   ↑
↑  鈴     ↑
駒  ○ ○  加
   阿 中
(○は敵の2トップ)

中盤での数的優位を考えたときに、両SBの役割が重要になる。このSBの役割の変化については2戦目のUAE戦で明らかに見られた。そのUAE戦で見られた攻撃におけるSBの役割。

①味方を前線に押し出す
ビルドアップのときに最終ラインの選手がボールを持ち上がる(ある程度高めの位置まで持ち込むことも重要)ことで、中盤より前の選手を前に押し出すことができた。具体的には憲剛、遠藤、俊輔の起点としての負担が減って、前で受け手となれる状況が生まれる。同時に前線に人数が入ったことでターゲットが多くなるから、前線にボールを入れる選択肢が多くなった。さらにそうやって前線に入ったときに近い関係性も築きやすい。

②1つ前のポジションを中に押し込む
サイドのスペースをSBが担当することによって、その前の遠藤とか俊輔がサイドのポジションを捨てて中に入っていけるようになる。もちろんサイドで数的優位を作ろうっていう試みもあるけど、ずっとサイドに釘付けにされないのは大きい。こうやって中の厚みを増したことでゴール前に人数を揃えやすくなった。

③中にギャップを作る
外に一度起点を作ることで相手の目先が変えられる。それにSBがボール保持者となってドリブルで出て行たり、敵陣の深いところで受けたりすれば、当然相手はそこに対応しなければならない。結果として相手の中のブロックにギャップを生み出すことができる。

④大きな展開
③と関連する部分もあるけど。SBがタッチライン一杯をに張り出すことで最大限のサイドチェンジが可能になる。そういう大きな展開の繰り返しで相手のブロックを横に間延びさせる。同時に守備の勝負どころを定めさせず、ズルズルと押し込んでいく。

⑤対応する相手を押し込む
基本的には相手のSMF。日本のSBがかなり高い位置を取ることで対応する相手の選手は自陣深くまで押し込まれることになる。結果として前の人数が少なくなって、守⇒攻の移行のスムーズさがなくなる。カウンターの選択肢としてもトップに当てるものしかないから、そこはしっかりと鈴木を中心に押さえられる。

【参考:UAE戦】
http://himajin0112.blog101.fc2.com/blog-entry-227.html

こういう形で組み立ての上でSBが重要な役割を果たすことになった。上に書いたような前の真ん中に中盤以前を押し出すことで近いパスの成功率を上げ、自分たちがサイド一杯に開くことで遠いパスの選択肢を生み出す。結果として組み立ての中に色々なバリエーションが生まれることになった。そもそも、SBを高い位置に置いて2バックにしたことで単純な数的にも前に入る人数が多くなったっていえるわけだけど。そして、その前の選手の自由度を上げる部分も担ったと思う。

こういうSBを押し上げるやり方に加えて、中盤にボールを持てる選手を並べることことで圧倒的なポゼッションに入った。オシムらしくない中盤の選出は、そういうポゼッションの意図が強く出た部分だっていえる。
ちなみに、SBを高く置くことでポゼッションを高めるやり方はミランなんかでも見られるやり方。ただ、ミランのやり方は中に押し出すってことはあっても前に押し出すっていう性格はあまりないような気がする。それには相手のブロックの位置とか、根本的な力差なんかも関係してると思うんだけど。ミランのやり方はSBを高く保って中盤の一角に吸収させるっていう考え方に近い。
それに対して今大会の日本のSBはあくまでも中盤とは違ったSBとしての役割をこなしてた。
ただ、本来のSBの役割よりも攻撃の役割が大きかったってだけのこと。

ここまではSBを中心に攻撃の役割が大きい7人に関わる部分。以下では残りの鈴木、阿部、中澤の関係性を見てみる。

ここで重要なのが鈴木の“1つ前のリベロ”という役割。基本的に相手の2トップに対する3バックの考え方では、リベロは最終ラインの一角に入る。ただし、そういう単純な3バックは今回オシムが目指してたものとは違うってのは上のコメントを見ても分かるとおり。そこで中盤の鈴木にリベロの役割を与えることで変則的な3バックといってもいい形を作り出した。鈴木はカバーに入るような基本的なリベロの役割はこなしつつも、本質的には中盤の選手だったと思う。これによって鈴木は本来のリベロよりももっと積極的に機を見て攻撃に出ていくことができる。守備を考えても1つ前のリベロが生み出す効果は大きい。

①カウンターに対する対処
最終ラインの1つ前のところで鈴木が相手のカウンターの芽を摘むことができる。本来の3バックの考え方では、DFラインの前でのフィルターがかからずに直接勝負を仕掛けられてしまう。それを避けようとすれば3バック+ボランチを残さなきゃいけなくなるわけで、それは攻撃に専念できる選手を削る結果につながる。

②最終ラインの統率
横並び(もしくはリベロが1つ下に入る)形よりも、単純な最終ラインを2枚にすることで単純に意志の統一がはかりやすい。ラインコントロールもしやすい。

③DFの前のフィルター
相手のFWに対するパスに対して、その前のところで対応できる。

④守備のフリーマン
中盤でも最終ラインでもない中途半端な役割に入ることで守備の自由度が上がる。自由度が上がるとはいっても仕事が増えるっていう方が適切なんだけど。サイドのカバー、ボールへのアプローチなど守備のフリーマンとして多くの役割をこなした。それに加えて上に書いたような基本的なリベロの役割もこなす。例えば相手のトップにCBが引っ張り出されたところのカバーに入るような。

オシムがいうようにこういう守備のやり方はリスクを背負ってるのも事実だった。守備の仕事のほとんどが後ろの3人に任されてたっていう部分も大きいわけで、その中ではさすがに全てを止めつづけるのは難しい。ただし、同時にリスクを負って攻撃に厚みを加えてるから失点以上に得点を奪うスタイルで勝ち上がっていった。ただし、強い相手と戦う中でほころびが徐々に見え始めた。

まずはオーストラリア戦。後で詳しく書くけど、この試合に関してはそれまでの試合よりも守備の意識を高く持った。だから、攻撃を思うように組み立てられなかった反面、後ろの3人の守備の負担が大きくなる状況もあまり見られなかった。

問題は次のサウジ戦と3位決定戦の韓国戦。この2試合では明らかに日本の攻撃のやり方を相手に研究されてた。SBを起点とさせないような守備のやり方を取ってきた。基本的にそれまでの相手は自陣深くで受ける意識が高かったのに対して、このサウジと韓国は高い位置からボールへ行ってたっていう根本的な部分があったにせよ、SBに入ったところで一気に距離を詰めるようなやり方は明らかに見られた。

そうやってSBのところに対処されてしまったから、日本はそれまでのような狙い通りの攻撃の組み立てができなくなったと思う。そして、どうするかと言えば遠藤、憲剛、俊輔が降りてきてボールに触ることが多くなった。その中で憲剛が飛び出して、上から降りてきた選手と入れ替わるっていう工夫も見られたわけだけど。

とはいっても相手はそういうボランチの位置にもキッチリと対応してきてたし、何よりも前へのコースが減ることで相手のブロックの中に入り込めなくなってしまった。サウジ戦では相手の守備に波があったから、その時間のギャップの中でなんとか形を作り出したけど、韓国戦では完全にロングボールを蹴りこむだけの攻撃になってしまった印象。もしかしたら韓国戦で4-5-1にしたのは、サウジ戦でSBが攻撃に厚みを加えられなくなり、さらに韓国のプレッシャーがきついことを予測した上で、中盤を増やすことで組み立ての厚みを取り戻そうっていう意図があったのかもしれない。

とにかく、後ろを薄くしてリスクを負った見返りが全く得られなくなったのは事実。韓国戦は中盤を厚くして守備の意識も変えたことで決定的なシーンまではつながらなかったけど、サウジ戦では明らかにリスクとリターンのバランスが崩れてしまっていた。その結果が3失点につながってる。

ここまでが今大会の一番の注目点として取り上げられてる部分。ただし、個人的な一番の注目は守備の問題だった。その中で一番気になるのは今年に入ってから取り上げ続けてる守備における前後の分断。今年に入ったからの変更点としては欧州組の招集があるわけだけど、高原にしろ俊輔にしろ前線の選手としては水準以上の守備意識の高さを見せてくれてるから、それが直接的な原因とは思えない。

その他の変更点としては4バックの多用傾向が見られたこと。去年多かったのは3-3-2-2の形。上に書いた2バック+1ボランチよりも3バック+1ボランチの方が守備の安定感が増すのは当然。そういう意味では今年のオシムの4バックの多用は今回のアジア杯のやり方をにらんでのものだったかもしれない。

ただ、この守備の変更に対して選手自身の理解とか意志統一が伴ってないような気がする。
もっと言えば、オシム自身も守備のやり方に対して迷いがあるのかもしれない。そのときに見てみたいのがオーストラリア戦と韓国戦。この2試合ははっきりとした守備の意図が見られた試合だったと思う。

オーストラリア戦ではゾーンの意識が強かった印象。この試合では(それ以外の試合と比べると)低い位置に4-4のブロックを形成した。その4-4のラインの意識も高くてバイタルエリアをつぶすことを念頭に置いたゾーンの考え方が強かったと思う。このやり方によって相手のキーになるビドゥカに仕事をさせなかった。中盤がしっかりとDFのフィルターとして機能したし、入ったところでも挟み込みの意識が強かったように思う。

それに対して韓国戦は人に対する意識の強さを感じた試合。韓国戦のときにも書いたけど、システム的な合致があったことである程度見るべき選手がはっきりした。そういう中でラインをバランスよく配置するというよりも自分の責任下の選手をしっかりと見る意識が見られた。例えば相手のWGについたSBと相手のSBについたWGの間の上下のポジションの入れ替わりなんて状態も頻繁に見られたと思う。

問題はこの2つのやり方の変更がどういう状況で行われてるのかってこと。どちらも高いレベルで安定してるから相手のやり方に合わせて変えてるのか、どちらも中途半端だから相手に合わせてマシな方を選んでるのか。個人的には後者の考え方が強いんじゃないかっていう気がする。

そういう部分に迷いが見られるし、オーストラリア戦とか韓国戦みたいに明確にやり方が定まってないときに守備のやり方の意志統一がはかれてないような気がする。それがDFラインが晒される状況とかそれに関連した守備の前後の分断を生んでると思う。具体的に見てみたい。

一番感じるのは守備のスタートが定まってないこと。前線の選手が意図の薄いチェックに行ってるシーンが目立つ。そういうところで中途半端な守備に行くことで、ギャップを作りながら制限をかけられないっていう状況が生み出されてる。

しかも、こうやって起点が定まらない状況の連鎖の中で一気に行くっていう場所が作り難くなってるような気がする。結果として前が中途半端に出て、それに対して連動して勝負をかけられない後ろが取り残されてしまう。これが守備の前後の分断を生み出してると思う。

こういう状況の中で鈴木の負担がかなり高くなってしまう。中盤との関連では中途半端に出て行く前の選手の後始末。しっかりと制限がかかってない上に、前後の分断の中でスペースが広大にあるから見るべき場所がかなり大きい。そういう受け手への対応に加えて、DFとの関連の中では出し手(ボール保持者)に対する対応までを求められる。こういう部分はしっかりと守備の体制が整ったときの話なわけだから、上に書いたようなカウンターに対する対応は別に求められてる。

こういう部分を見てみると、守備に役割の分担は絶対的に必要。そのためには守備戦術の徹底がなければならないと思う。去年はマンマークを基本としたしっかりとした守備の型があった。韓国戦のように人に意識を向けたやり方でも、オーストラリア戦のようにゾーンに意識を向けたやり方でもいいから、試合に入る上での意志統一が必要。今年に入ってからの守備の問題はそれぞれがそれぞれの好きなように守備をすることで、スタートも勝負どころもはっきりしないことが原因になってると思う。

最後に今大会を振り返って絶対的に取り上げなければならないフィニッシュの部分について。これを最後に残したのは、この点についてはそれほど悲観的には見てないから。ここからは推測になるけど、このチームではフィニッシュのところのトレーニングにあまり重点を置いてないんじゃないかと思う。組み立てのところでのアプローチを重視してるのは今大会の試合を見ても分かる部分だし。だから、フィニッシュの部分でのイメージの共有ができてない気がする。それが見られる部分を挙げてみたい。

まず、パスを回すための動きの豊富さに比べて、ゴールに向かう勝負の動きが明らかに少ない。もちろん相手がスペースをつぶしたことによって動けるスペースが少なかったのも事実。ただ、それにしてもウラへの抜け出しを狙ったりっていう勝負の動きはほとんどなかったと思う。たぶんオシムもそういう部分は織り込み済みで、それを犠牲にして組み立てに重点を置いてた気がする。だからこそ交代は佐藤とか羽生っていう勝負の仕掛けができる選手だったんじゃないかと推測する。

これと関連してゴール近くでのボール保持者をフォローする動きも欠如してた。マークを引き連れてシュートコースを空けるとか、遠ざかるフリーランニングでドリブルで入りやすくるすとか。こういう動きが少なかったことで、外とか後ろとかに逃げるパスが多くなってしまったと思う。

そして、イメージの共有ができてないってのが一番見られたのがサイドからの崩し。あれだけサイドに起点を作っていながら、効果的なクロスが入った場面はほとんど見られなかったと思う。そして、サイドから上げられずに1度下げるっていうシーンが異様に目立った。

これは明らかに中とのタイミングが合わなかったから。そういう中でタイミングが合わなくても苦し紛れで上げるシーンも多かった。精度が悪すぎるっていう批判も多いけど、ほぼフリーの状況であれだけ酷いっていうのはちょっとキッカーだけの問題だとは考えられない。

個の部分ばかりが取り上げられるけど、組織としてのイメージの共有ができてなかったっていう部分にも目を向ける必要がある。これが推測通りにフィニッシュに向けたトレーニング量の少なさに原因があるとすれば、それはそういう部分の比重を増すことで改善してくはず。

もちろん個の積極性に明らかに問題を感じた場面が多かったのも事実。ただ、個(と軸)の必要性については今までも何度も書いてきたことだからあえて書くのはやめておく。詳しくはカタール戦のところで。
http://himajin0112.blog101.fc2.com/blog-entry-225.html
むしろ、うまく行ってるときは組織のよさを見、悪くなれば急に個の必要性を考えるっていうことにはちょっと抵抗があるし。だから、新しく個を入れるんじゃなくて、今の選手の個の意識を高める必要があった気がする。例えばカウンターの場面で自分の前にスペースがあるのに横パスを選択するっていうシーンが多かったけど、これは個の能力じゃなくて個の意識によるところが大きい。そして、こういう意識の部分はメンバーを変えない修正でもある程度は改善できたはず。そういう部分にアプローチしたのか疑問。

以上が今大会の総括。
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