ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2007-10-28 Sun 17:19
ベンフィカ×セルティック
<ベンフィカ:4-4-2>
FW:カルドソ-ベルへシオ
MF:ロドリゲス-ルイ・コスタ-ビニャ-ヌノ・アシス
DF:レオ-カツラニス-ルイゾン-フェレイラ
GK:キム

<セルティック:4-1-4-1>
FW:キレン
MF:マクギーディー-ドナーティ-ブラウン-ヤロシク、ハートリー
DF:ネイラー-マクマナス-ケネディ-コールドウェル
GK:ボルツ

セルティックは完全にアウェーの戦い方で試合に入り、それを90分間貫いた。負けないことを狙いとしたやり方が見て取れたと思う。
そうやって負けないことを念頭に置くならば、まずは守備を固める必要がある。この試合のセルティックは当然のように守備偏重の戦い方になってた。

セルティックのシステムは上に書いたような4-1-4-1。4-1-4-1の考え方としては、トップの1を守備のスタートにして前線の4で引っ掛けることを狙って前線から積極的にプレッシャーをかけていくっていうやり方がある。
でも、この試合のセルティックはそういう積極的な守備をやるためにこの4-1-4-1を使ったわけではなかった。おそらく単純に中盤を厚くする意図と相手のSBへの対応のためだったと思う。

それが一番よく分かるのがセルティックが守備の組織を作る場所。
セルティックはトップに入ったキネンまでも自陣に入れて守備の組織を作ってたと思う。そして、敵陣のボールに関しては基本的には関与しない。さすがに相手のミスがあったり、切り替えの中で味方が敵陣に多く残ってれば、しっかりと守備はするものの、相手がスムーズにボールを持ってるときには追いかける意志が見られなかったと思う。だから、必然的に相手の最終ラインはノープレッシャーでボールを持つことができてた。

セルティックの考え方とすれば、あくまでもボールが自陣に入った時点でしっかりと対応するってことだったんだと思う。ボールが自陣に入ってきたときには最低でも1枚が対応する形を作り出した。ただ、そのときは奪いに行くというよりも最低限自由に仕事をさせないっていう意図が強かった気がする。
さらに、自陣の守備ではボール以外のところの対応にも気を使ってた印象。

敵陣にいる出し手に対しての守備をしてないことを考えると、ボールの受け手は絶対に対応してなきゃ駄目ってことになる。この受け手に対する対応についても、密着マークでボールの入りどころを狙うっていうような質ではなかった。
このややルーズなやり方が最終的には失点につながってしまったわけだけど、多くの時間ではうまく機能してたと思う。ボールと関係のないときには距離を空けながらも、完全に浮いた選手を作らずにボールが入れば寄せられる体制を作り出してた。そうやって局面局面で最低限の仕事をさせないやり方をとってた印象。

そのときに奪う意図が薄かったのは、おそらく、思い切って奪いに行って個の力で交わされるのを恐れてたんじゃないかと思う。だから、守備の勝負をかけるのはサイドの局面とゴール前。前者は交わされても致命的なシーンにはつながらないし、後者は有無を言わさず守備をしなえればならないところ。
サイドでは守備の意識が高いSMFがSBと協力して相手を孤立させようという意図の守備をした。深いところまで入られればファールも辞さない構えで厳しい対応が見られたと思う。さらにゴール前では体を張って相手の攻撃のことごとく跳ね返してた。

こうやって守備の意識が強かったセルティックに対してベンフィカも意図がはっきりしたアプローチを仕掛けてきたと思う。結果としてセルティックの守備のバランスが崩れることも多かった。

そのベンフィカの攻撃で最も目立ったのがポルトガルらしいサイドに起点を作るやり方だった。
スタートとなるのはSB。上にも書いたとおり、相手の守備の考え方的に低い位置でのSBのボールタッチに対してはプレッシャーがない。以下、そのSBをスタートとした攻撃の1パターン。

まずはSBからサイドに張った1つ前のSMFにサイド→サイドの縦パスを入れる。このときSMFは本来よりもやや低い位置に入ることで相手のSMFにもSBにも捕まらずにボールを受けた。そして、SMFにボールを預けたSBは猛スピードで一気に前線に飛び出していく。
立ち上がりの時間はシンプルにSMFがSBにボールを返して、サイドをえぐる考え方が見られたと思う。時間とともにSMFがボールを持ったまま中に入ったりっていうバリエーションも増えてきたわけだけど。
こうやってSBが攻撃のスタートとなって、その後自身も積極的に深いところまで出て行くっていうやり方は90分を通して見られた形。

ただ、立ち上がりはサイドをえぐっていく考え方が特に強かったように思う。それはセルティックの前の4のフィルターを避ける意図があったんじゃないかと思う。4-1-4-1は正面からの攻撃に対してはうまく機能するけど、サイドに入られるとそのよさを十分に発揮できない(サイドに入られるともろいっていうよりはメリットを生かせないっていうイメージ)。
さらにサイドを使うことによって、中盤に人数をかけたセルティックの守備陣の真ん中の密集地帯を避けると同時に、セルティックの守備陣の真ん中の密集地帯を崩す意図があったんだと思う。

要するに相手がしっかりと組織した4-1-4-1のバランスを崩したかったんだと思う。そして、その通りの状況が作り出せた。
セルティックのSMF2枚は上にも書いたとおりかなり守備の意識が強かった。相手のSBのオーバーラップに対しては最終ラインの位置まで戻って対応することが多かったと思う。
だから、ベンフィカのSBの積極的なオーバーラップに対してセルティックの前線の4のフィルターは両翼を失う形になってしまった。
そうなれば残った選手がケアするべきエリアが広くなるわけだから、前線のフィルターとしての役割は薄くなってしまう。結果として1ボランチの場所がさらされる状況が生まれたと思う。

この時点でベンフィカは攻撃に柔軟性を持たせ始めたと思う。要するにサイドにこだわらずに、中からの攻撃もバランスよく織り交ぜるっていうやり方。
同時にベルへシオがかなり目立ちはじめた。ベルへシオは2トップの一角っていう位置づけだけど、かなり自由に動き回ってたと思う。特に前半の目立った時間は中盤に降りてきて、うまく攻撃の経由点として機能してた印象。
前半はもう1人のカルドソがトップの場所で引き出す動きをあまりやらなかったから、ベルへシオの引き出す動きがベンフィカとしては1つのスイッチとして機能してたと思う。セルティックの1ボランチのギャップに入り込んで、ボールを受けて、シンプルに次へ展開するっていうシーンがかなり多くなった。

チームとしてもベルへシオに入ったところで相手のブロックへの仕掛けを開始するっていう意思統一ができてたんじゃないかと思う。ベルへシオに縦パスが入った瞬間に多くの選手が動きを開始するシーンが多かった。
この時間のセルティックは自由に動き回るベルへシオに対する対応にかなり迷ってたような気がする。
上にも書いたとおり出し手をケアしない以上、受け手はしっかりと見ておかなければならない。それがベルへシオに対してはできずに、あまりにも簡単にボールが入る状況ができてしまった。

さらにフィルターがなくなってさらされた1ボランチの場所に対して、ベンフィカの選手が入れかわり立ちかわり入り込んできた。SMFのロドリゲスとかヌノ・アシスはサイドをSBに任せて中に流れてくることが多くなったと思う。
セルティックとしてはこうやって真ん中を簡単に使われるのは好ましくない。結果として1ボランチのところのギャップを埋めるために、前の2枚が降りてくることになった。
これで前の4のフィルターのうち、サイドがSBに引きずり下ろされて、ギャップを埋めるために中の2枚も引きずり下ろされた。これによって完全に4-1-4-1のバランスは崩れてしまって、ある意味では“ゴール前にいっぱい”システムに変更された。

ただし、ベンフィカにとってはこの“ゴール前にいっぱい”システムの方が崩すのが難しかったんじゃないかと思う。確かに相手を深い位置に押し込んだことによって、相手の跳ね返したボールを拾って攻撃時間を長くすることはできた。ただ、そうやってボールは保持しても最後の仕掛けは許してもらえなかったと思う。

それまで攻撃開始のスイッチになってたベルへシオがまず消えた。それはボールを受けてた場所を完全につぶされてしまったから。結果としてブロック内に入り込む手立てがなくなってしまったと思う。
そのうちにカウンターでセルティックが攻撃の糸口をつかむようになった。

そうやってセルティックが盛り返した時間帯にもやっぱりセルティックの攻撃はリスクを最小限にしたものだった。そのやり方はきわめてスコットランド的なもの。守備に多くの人数をかけて前に残したキレンに1発のパスを徹底して狙う。いい時間帯にはロングボールに個で突破が加わった程度。基本的には人数をかけずに一気に深いところまで行くことを念頭に置いてた気がする。

それでも出てきた相手に対しては効果的にカウンターを仕掛けることができた。こういうカウンターによって、押し込まれた状況をある程度跳ね返してからは、もう1度守備のバランスを取り直そうとしてた。そして、前半に関しては途中で取り戻した4-1-4-1のバランスを維持し続けることに成功したと思う。

その要因は相手のベンフィカのジレンマにあったと思う。
ベンフィカは自分たちが主導権を握るになってから、序盤ほどサイドにこだわるやり方をとらなくなった。SBがスタートとなったりそこから積極的に出て行ったりっていうシーンは変わらず多かったけど、立ち上がりほどそのSBを利用しなくなった印象。
逆にSMFが中に入ったりっていうように、最短距離の中に作ろうとすることが多くなった。これはベルへシオが起点となった1ボランチのギャップをつくやり方が想像以上にうまくいったってことを元にしてるんだと思う。

何にしても、サイドのプレッシャーが弱まればセルティックの前線の4はそれほどバランスを崩さない。バランスが崩れていなければ、単純な縦パスが通るほど甘くはなかった。
さらに致命的だったのが最短距離の攻撃に必要なベルへシオの動きがなくなってしまったこと。SMFの動きによってハートリーを他の場所に引っ張り出せるシーンは多かったけど、そうやって空いた場所に入ってくる選手がいなかった。
ベルへシオの動きがなくなったことでそういう場所を有効活用できなくなってしまった。ベルへシオの動きにセルティックの選手が慣れたこともあったけど、もっと大きかったのはベルへシオ自身が疲れてしまったことにあったんじゃないかって思う。

とにかく、結果としてベンフィカはセルティックのブロックに対して効果的にアプローチできない状況になってしまった。
元のようにサイドを起点としても、それにあわせてセルティックが4-1-4-1から“ゴール前いっぱい”システムに変更するから、崩しきることはできなかったと思う。サイドに限らず、1つ入られたときにゴール前の集中の速さはかなり目立った。

こんな感じでセルティックはとにかく自陣に人数をかける守備組織を作った。ただ、そのためにはミラン戦で見られたような前線での守備意識も必要になったと思う。それは切り替えのところ。
攻撃にはあまり人数をかけないとは言っても、攻撃からの切り替えで相手を遅れさせられなければ守備のバランスを作りきれない。この試合では組織作りの時間を稼ぐための高い位置での守備が見られた。立ち上がりすぐのハーフェイライン付近でのブラウンのファールが代表的なシーン。カウンターに出て来ようとする相手をつぶした場面だった。
そうやって高い位置でしっかりとやるべきことはやって、その上ですばやく自陣に組織を作ったと思う。このやり方で前半はほとんど決定的なチャンスを作らせなかった。

その前半に対して後半は危ないシーンがかなり目立ってきたと思う。
その要因はベンフィカの意識の変化にあった気がする。チームとしてのやり方の変更も微妙にあったとは思うけど、そのベースにあったのは個々の意識変革だった印象。

チームとしての変更としてはロングボールが増えたことが挙げられる。前半はとにかく地上からつないで行くやり方が目立ったけど、後半は1発でトップに入れたり、逆サイドに振ったりっていうボールが多くなった印象。これによって前半とは違ったやり方で相手の組織に対して揺さぶりを仕掛けることができたと思う。

ただ、このロングボールの多用にも個の意識の変革が見られた。
特にトップへの一発のパスについては、カルドソの引き出す動きが果たす役割は大きかったように思う。前半のカルドソはトップの場所にいるだけで、ほとんど顔を出してこなかった。それに対して後半は得点シーンにもあるような細かい動きで相手最終ラインにプレッシャーをかけ続けてた印象。

その中で1発のロングボールも多く引き出した。特筆すべきはそのロングボールの収まりのよさ。本当にぴったりと収めるから、次のチャンスにつながる。ロングボールで相手の守備ブロックを全部飛び越してあれだけしっかりと収まるなら、前半みたいな小細工はある意味では全くいらない。
こういうプレッシャーによってどんどんとセルティックの守備のブロックが押し下げられていった。

さらに、相手の守備ブロックへのアプローチの中では本来の持ち味である個の力を前面に押し出した。
その中心にいたのがロドリゲス。ロドリゲスに関しては前半から積極的にタッチ数を増やして、ボールの運び役として機能してた。そのロドリゲスが後半になると、動きの自由度を増して攻めてきたと思う。
前半はあくまでも左を基本としてプレーして、中に流れるとしても左でボールを受けてから切れ込む形が多くなった。それが後半はボールなしの状態でいろいろなところに顔を出し、所かまわずドリブルで突っかけていくシーンが多くなったと思う。
これは右のヌノ・アシス他、多くの選手にも同じことが言えた。

結果としてセルティックの守備陣は個の仕掛けに対応しなければならな状況が多くなったと思う。そうやってバランスを崩されるうちに、だんだんとそれまでついていた場所が空いてきた。それまで抑えてきたカルドソに決定的なシーンをいくつも作られたのが象徴的だったと思う。

さらに一番大きかったのはルイ・コスタが明らかにプレーエリアを1枚上げたこと。前半はビニャと横並びに気味に低い位置でのタッチが多かったルイ・コスタだったけど、後半になって積極的に前線に出てくるシーンが多くなった。そういう意味では本来のトップ下に入ったと考えてもよかったかもしれない。これによって数的にも厚みが増したし、何よりもそれがルイ・コスタだったことでセルティックの守備陣はかなりかき回されてしまったと思う。

こういう押された状況の中運にも助けられ無失点でこらえていたセルティック。
後半の30分過ぎになると、自陣のさらに半分の場所まで全員を入れて完全に守りきりに入った。でも、結果として終了間際に失点してしまうことになった。

この失点の要因の1つがややルーズな守備のやり方にあったのは上にも書いたとおり。この失点の一連の展開の中でも、ボールに対しては最低1枚が対応してる。でも、その1つ1つのところで奪う意図がなかったのも事実だったと思う。
上にも書いたとおり、狙いは相手に仕事をさせないことだったし、少なくとも決定的な仕事はさせてない。それがアシストのディアリアに1つ遅れてしまったことと、一瞬カルドソから目を離してしまったことっていう微妙な2点が失点までつながってしまった。
もう1つ前のところで奪う意図を持って厳しいあたりをしていれば防げた失点だったんじゃないかと思う。少なくともこの時間は人数が足りてただけに、勝負に行ってはずされても即決定的シーンにはつながらなかったはず。

最後にベンフィカの守備について。
ベンフィカの守備といっても組織を作って守らなければならないシーンはほとんどなかったから、カウンターを防ぐ意味でのリスクマネジメントの方に注目した。
基本的にセルティックは前線にキレン1枚しか(下手するとキレンすらも)残してなかったから、ベンフィカも守備には人数を割かなかった。多くの場合は2CB+ボランチのビニャの3枚で守っていたと思う。
そして、キレンに対してはCBが密着マーク。さらにキレンの前にビニャを置いて完全に相手の攻撃の起点を作らせなかった。

このビニャはキレンへのコースを切る以外にも、相手の攻撃の芽をことごとくつぶしてたと思う。相手の守備から攻撃への切り替えの中で、相手が完全に切り替えきる前につぶしに行くことでスムーズな移行をゆるさなかった。DFの前で相手のカウンターをつぶす役割の多くを担ってた印象。
さらに攻撃でも低い位置での1つの経由点になったり、自身が前線に出て行ったりってプレーで貢献した。特に相手が引ききった後のボランチの場所からの飛び出しは、相手も捕まえられなかったから効果的だったと思う。
このビニャっていう選手はいい選手だと思った。

とにかく、こういうカウンターを防ぐ守備にも見られるようにベンフィカの守備は先手先手で対応してた印象。相手の前線の選択肢が少ないから、ボールに対しては一気に距離を詰めて行ったし、そうやって焦った相手の苦し紛れのプレーを見逃さずに高い位置で奪うことに成功した。さらに、低い位置でもキレンを絶対に放さないようなやり方が見られて、ボールを含めて要所要所をしっかりと押さえてた印象。

結果は1-0でベンフィカ。この勝利でベンフィカとセルティックの勝ち点が3で並んだ。次のセルティックホームでの試合が2チームの明暗を分けることは確実。
この試合では守ってFWへの1発パスを入れ続けるセルティックと、個の力をベースにサイドに起点を作るベンフィカ。それぞれの国のスタイルが出ておもしろい試合になった印象。
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2007-10-26 Fri 23:24
ヴェルディ×サガン
<ヴェルディ:4-5-1>
FW:フッキ
MF:広山-ディエゴ-シウバ、大野-菅原
DF:服部-戸川-土屋-海本
GK:高木

<サガン:4-4-2>
FW:金-藤田
MF:レオナルド-尹-高橋-高地
DF:日高-吉田-加藤-鐡戸
GK:赤星

10月の初めのコンサドーレ戦でのヴェルディの守備は素晴らしかった。今シーズンの前半の試合を見たときに比べると、前線での守備意識が格段に改善してた。
どちらの試合も相手はコンサドーレだったわけだけど、シーズン前半の試合ではボールに対してのプレッシャーがかからずコンサドーレの攻撃の核になるトップへのくさびのパスが通し放題の状況。それに対して、10月の初めのコンサドーレ戦では前線の選手の守備意識が向上したことで相手の攻撃のスタートのところを自由にやらせなかったと思う。
結果としてコンサドーレはうまくトップへのくさびを入れることができなくなって、攻撃全体も停滞することになった。

そして、この前線での守備の意識は今回のサガン戦でも変わらずに見られた。少なくとも立ち上がりの時間帯は攻撃からの切り替えもスムーズで、高い位置で効果的な守備をすることができてたと思う。組織を作った後にも、トップの選手が相手の最終ラインに対してプレッシャーを与えることで自由な攻撃のスタートを許さなかった。

ただ、こういう形で前線での守備が機能してたのは本当に立ち上がりの時間帯だけだったと思う。
試合開始後すぐに得点を奪えたこともあってか、その前線での守備の停滞が生まれた。全体の組織を1つ下げてしまったし、1つ1つのボールに対するケアもあいまいなものが多くなったと思う。これが圧倒的にサガンのボールを支配された原因の一端になったと思う。

こうやってヴェルディ自身が守備の勢いを落としたことに加えて、サガンの攻撃のアプローチのよさも圧倒的なポゼッションにつながったと思う。
まず、最初のアプローチは相手の高い位置での守備をいかにいなすかっていうことだった。

そのために使ったのがサイドに起点を作るやり方。立ち上がりからサガンの両SBは高いポジションを取る意識が強かったと思う。そうやって最終ラインに深みを与えることで、相手の最終ラインへのプレスに対する逃げ場を作り出した。低い位置でボールを持つCBにプレッシャーが来たところでサイドに展開して逃げることが多くなったと思う。

そして、そうやって逃げたサイドで敵陣深くまで侵攻していくやり方が多くなった。この時間帯はSMFも本来のサイドに開いてプレーすることが多くなって、高めに入ってきたSBと協力しながらサイドの局面でうまく数的優位を作り出した。

コンサドーレ戦を見る限りではヴェルディは相手の正面からの攻撃に対する強さを見せてくれた。前線の守備でしっかりとコースを限定し、次のボランチのところできっちりと奪うっていうやり方がかなり高いレベルで機能してたと思う。
ここでは高い位置での守備はもちろん、ボランチの2枚の役割が大きくなる。コンサドーレ戦のときのも書いたけど、2人とも守備における地味な仕事を堅実にこなす。しかも、自分の前後両方に対してしっかりと守備の意識を向けることができる選手。ヴェルディの守備ではこのボランチの2枚が担う部分はかなり大きいと思う。

そういうことを考えたときに、サガンのサイドに起点を作るやり方は理にかなってる。ヴェルディの守備の要にはあえて勝負を仕掛けずに、それを外して攻める考え方。

それにヴェルディの両MFとの関係もあったと思う。2人とも守備が得意なタイプではないだけに、SBの攻撃参加も比較的楽にできた。同時にヴェルディの攻撃は前線の4人に任される部分が大きいことを考えれば、2人を押し込むことによって相手の攻撃の怖さも軽減させることができる。

そうやってSBとSMFを利用しながら相手の守備のストロングポイントを外したサガンの攻撃は予想以上の効果を上げたんじゃないかと思う。ちょっとしたランニングを組み合わせた2人の関係性だけで、敵陣深くまで攻め込むことが可能になった。
結果として相手は多くの人数をゴール近くまで下げなければならない状況が生まれたと思う。

こういうサイドに起点を作るやり方と、牽制としてのロングボールを織り交ぜることによって徐々に相手の守備のブロックを押し下げることに成功した。そうやってヴェルディの全体のブロックが押し下げられたことによって、サガンの最終ラインが相手のプレッシャーを受けない場所になり得た。時間が進むにつれてこのCBが攻撃のスタートとしてうまく機能し始めた。
ただ、この時間になっても攻撃の起点を置くのはあくまでもサイドだった。CBの選手は左右の散らし役として、バランスのいい展開を見せてくれたと思う。

もちろん、こういう時間帯は全てサイドに散らしてたっていうわけでもない。こういうやり方を取るのはあくまでも相手が組織を作ってしまったとき。逆に相手の組織がしっかりと整っていない状況のときには迷わずトップへの最短距離の縦パスを狙っていった。
そういうやり方もヴェルディの守備陣にはプレッシャーになったんじゃないかと思う。
結果としてヴェルディは時間とともにさらに全体のブロックが押し下げられていったと思う。

そうなるとサガンはCBだけではなくて、ボランチの選手もヴェルディの守備ブロックの外に出ることができた。そうなって初めて、サイドを中心とする攻撃のやり方から中へと目を転じ始めた印象。

こういう状況になったときに、ヴェルディの守備のバランスは完全に崩れてしまっていた。まず、シーズン中に改善されていった前線での守備が機能しなくなってしまったと思う。それはある意味では当たり前の要因によって。

全体が押し下げられたわけだから、前線の選手が本来見るべき相手との距離が遠くなってしまう。結果として効果的に距離を詰める前に次の展開をされてしまうことが多くなった。
それでも前への守備意識だけは持ち続けていれば違ったんだろうけど、長い距離を走らなければならない上に効果もあまり期待できない守備に対するモチベーションは低くなる。だんだんと見せかけだけの、ただそこにいるだけっていうような寄せが多くなってしまった。一応、縦パスが1つ入ったところで守備を開始するっていう原則はあったものの、それは有名無実になってしまった印象。

こういう前線の守備が機能しない状況になって打撃を受けたのが、上に書いたとおりこのチームの守備の要になっているボランチの2枚。前線で規制がかからないから、効果的にボールを奪うことができなくなってしまった。それでも2人とも守備意識自体は減退しない。結果として、ボールが出たところに遅れてでも対応しようとする場面は多くなる。

でも、前線との守備の関係においてボールに行ったところで奪えないことの方が多くなった。そうなって生まれたのが、中盤にぽっかりと空いたスペース。ボランチがボールに引っ張り出されてもそこで奪えればいいけど、奪えないともともとボランチがいた場所が完全に空いてしまうことになる。
そして、本来ボランチがいるべき場所は相手の攻撃にとっては重要なバイタルエリアの場所。そこに致命的なスペースが空いてしまうことが多くなったと思う。

もちろん、サガンとしてはそのスペースを見逃すはずがない。むしろ、序盤のサイドに起点を作ったやり方もボランチをサイドに引っ張り出すことでバイタルを空ける意図もあったように思う。
とにかく、こういうヴェルディの守備のギャップに対してサガンは人数をベースとした攻撃でアプローチを仕掛けてきた。

そのベースとなる人数を確保するためには後ろからの飛び出しが欠かせない。SBは立ち上がりから積極的に上がってきてたけど、この時間になって前との関係に変化が生まれた。それまではサイドでの数的優位を作る意図が強かったけど、この時間になってSBが1つ前を中に押し込むことが多くなったように思う。
これが中盤の厚みを増やした要因の1つ。

2つめがボランチの攻撃参加。尹にしろ高橋にしろ、低い位置での組み立てはもちろん、自分が積極的に攻撃に出てくる動きも繰り返した。
さらに中盤の厚みにはトップの金も貢献した。金はトップの位置にこだわらずに、中盤に降りてくることでタッチ数を増やしてたと思う。これで中盤のときに数的優位を作り出すことに成功したと思う。

このサガンの数的優位については、ヴェルディの中盤の薄さも関係した相対的なもの。ヴェルディは前線のディエゴとフッキの2枚は自分の後ろに対する守備はしない。これはチームとして次の攻撃を考えてのものなんだろうからいいとしても、せめて相手のボランチへのプレッシャーはかけなければならなかったはず。
それだけ相手がリスクを背負って攻めてきたってことも言えるのかもしれないけど、そうだとすれば前の2人にもうちょっと柔軟性が必要だったんじゃないかと思う。結果、2得点は前に2人を残してたからこそ生まれたっていう部分を考慮したとしても。
とにかく、サガンは単純な中盤での数勝負においてヴェルディを上回ることに成功した。

さらに、こういう人の多さに流動性とシンプルなプレーをうまく組み合わせた印象。
1つめの流動性に関しては後ろからの飛び出し、金の中盤でのプレーにも見られる部分。こういう縦のポジションチェンジに加えて、横のポジションチェンジも豊富だった。そうやってポジションを積極的に動かしながらプレーすることで、ヴェルディとしてはそれぞれを捕まえにくい状況が生まれたと思う。

さらに、そういう相手のブロックの中では1タッチ、2タッチでのシンプルなプレーが目立ったと思う。これには人の多さをベースとした選手間の距離の近さに加えて、ボールに対する動きの豊富さも関係してた。そうやって1つのボールに対する選択肢を増やすことで、シンプルに次から次へと局面を変えるやり方が可能になったと思う。

こういうことを考えると、この試合のサガンの攻撃の意図は相手に守備の勝負どころを定めさせないことにあったんじゃないかと思う。立ち上がりのサイドに起点を作るやり方は相手の横の間延びを狙ったやり方で、守備における個々の分断を期待したと思う。

そして、中盤を制圧した時間帯でのシンプルに局面を変えるやり方。相手がボールに出てきたときにはすでに次の局面に展開することで、十分に距離を詰めることを許さなかった。結果としてヴェルディの守備の一番深いところまでへの侵入を果たすシーンも多くなったと思う。

ただ、問題は中盤での組み立てのよさをフィニッシュにつなげられなかったこと。圧倒的にボールを支配して、相手の最終ラインに仕掛ける段階まで行くことが多かった割に、シュートの数が少ない。
これは最後のブロックに対する仕掛けのバリエーションの少なさに問題があった気がする。
それにFWのゴールに向かう姿勢もあまり見られなかった。金は上にも書いたとおり中盤に降りてくることが多かったし、藤田はポストプレーでしか目立てなかった。そういうFWが蓋となって、ゴールへの仕掛けが滞ってしまった気がする。
状況としてはアジア杯の日本代表とかミランの現状に近い状況かも。攻撃のアプローチの工夫と、それによってもたらされる中盤の圧倒的な構成力を考えると、J2の中~下位に甘んじてるチームではないはず。

さらに攻撃面のよさに結果がついてこない理由には守備のまずさもあるような気がする。
もちろん1試合を見ただけでははっきりしたことは言えないけど。少なくとも今回のヴェルディ戦では攻撃後の守備に問題を感じさせた。

そもそも攻撃に人数をかけてるだけにその後の守備が薄くなってしまうのは、ある意味では仕方のない点だって言える。だからこそ、切り替えのところでの最初の守備とか相手の前に残った選手へのケアははっきりやらなければならない。
問題はそういう部分のケアがあいまいだったこと。
それでも切り替えのところでの守備のまずさはあまり問題にはならなかったと思う。自分達が多くの人数を前線にかけてるから、相手としてもリスクを負わずにクリアするシーンが目立った。だから、そのボールを拾って2次攻撃、3次攻撃へとつなげることができたんだと思う。

ただ、これはあくまでも敵陣深くまで攻め込んだとき。3失点目につながったように攻撃の途中で引っ掛けられたときの対応が問題になったと思う。こういう場所では前への勢いがついてるために、一気に切り替えて守備に入るのは難しい。だからこそ、相手の攻撃の起点のところへのケアは怠ってはいけないと思う。

それがこの試合ではラモスの後半への指示にもあったように、ディエゴを空けてしまうシーンが多くなった。これが3失点目につながってるし、他のシーンでもディエゴに通されてカウンターを食らうことが多くなった。そうなったときに、それにすぐに対応できるサガンの選手は最終ラインの選手だけ。上にも書いたとおり、リスクを負って攻撃に出てるから仕方のない部分ではあるけど、そのリスクを最小限にするための準備は必要だと思う。

サガンのサッカーは初めて見たけど、ここまで書いたとおり基本的な評価は高い。来シーズンも同じスタイルで行くとすれば、台風の目になる可能性もあると思う。

そして、このチームの中でも特にレオナルドはいい選手だと思った。具体的に何かの技術が優れてるっていうことは感じなかったけど、総合的な戦術理解度が高いレベルにあったと思う。
試合の流れとかその場の状況に応じて、自分の役割を柔軟に変化させていった。
立ち上がりの相手の前線でのプレッシャーが厳しい時間は、低い位置に降りていく動きを増やして1つのボールの入れどころの役割を担った。そして、そこからの次への展開。その後、自分達がペースを握るようになってからは相手の中盤の穴を見つけてうまく入り込む動きを繰り返したと思う。
そういう動きによってうまくボールを引き出すことに成功したし、その後のパスを出すかドリブルで仕掛けるかの判断もよかった。
さらに右サイド深くボールがあるときには(レオナルドは左サイド)、中に絞ってFWになった。それが得点にも結びついてる。
守備における危機察知能力も高くて、低い位置まで戻って相手のボールを奪うシーンも多かった。

最後にほとんど見ることができなかったヴェルディの攻撃について。
ほとんどしっかりと組み立てて攻撃する時間はなかったものの、それでもコンサドーレ戦よりも攻撃の内容のよくなった。それが一番見られたのがボールの近くでの関係性の構築。
コンサドーレ戦ではとにかく個々の分断が目立ってたけど、この試合では近い関係でのパス交換が増えた。そのベースとなる近い位置でのランニングの量も多くなったと思う。

それに攻撃に大野が出てくることが多くなってたのも好感。前4人の関係にボランチが飛び出してくることで、攻撃にバリエーションが増えるはずってのは前にも書いたとおり。自分達が試合を支配できるような状況なら、もっと増やして欲しい、

それに対して改善の余地があるのは、足元足元をつなぐ攻撃のやり方。立ち上がりからFKが多くなったけど、これは相手に狙いどころが定められてるから。ヴェルディのパス回しは止まってる選手の足元をつないでいくから、相手としては狙いやすいんだと思う。
それから相変わらずボランチを経由しない1発のボールも目立った。

結果は3-2でヴェルディ。ここまで書いてきたように、試合を圧倒的に支配してたのはサガンだった。それでもヴェルディが勝ったことは、ヴェルディの勝負強さをそのまま表してると思う
それが8連勝っていう結果にもあらわれてる。
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2007-10-20 Sat 20:55
U-22:カタール×日本
<日本:4-1-4-1>
FW:李
MF:本田-柏木-青山敏-水野、細貝
DF:伊野波-青山直-水本-内田
GK:山本

結果もそれにつながる内容も、去年のW杯のオーストラリア戦を思い出させるようなものだった。
気温など厳しい環境の中で超ハイペースで入った立ち上がり。その中でうまい具合に得点を奪い、前半を折り返す。後半になると前半のハイペースのツケが出始めて、段々と相手に主導権を握られる。その流れの中で同点ゴール。そして、「ゴールを決められた後、守るべきか攻めるべきかの意思統一が図れてなかった」というコメントが試合後に出る展開。結局、バタバタになって追加点を奪われる。

この状況に陥る恐れは、実は予見できたものだったんじゃないかと思う。その一端が見られたのが前回のホームでのカタール戦。
ハイペースの立ち上がりから得点を奪うところまでは一緒。その得点後に前から守備をしたい前線と、最後で守備をしたい後ろの選手の意思統一が図れなかった。後半になると前線の守備が疲れて効かなくなり、結局最後のギリギリのところでの守備に。もちろん本田拓の退場が重なったこともあるけど、後半の長い時間を攻められっぱしですごした。

今回の試合との違いはそれが失点につながったかどうかってことだけだったと思う。ついでに言えば、今回の2失点ははっきり言って交通事故。ホームの試合でも起こってもおかしくなかった。だから、たまたま前回は無失点だったって言えるし、逆にたまたま今回は2失点してしまったとも言える。本質的な守備陣の堅さには変化がなかったし、その守備陣に頼らなければならない状況も同じだった。
とりあえず、以下では今回の試合を時系列を追いながら試合内容について見てみたい。

まず、前半は上にも書いたとおり超ハイペース。その前半の狙いは、キックオフ直後の最初のワンプレーに全て集約されてたと思う。
相手のキックオフ直後、前線の李と本田と柏木がすごい勢いでボールに対してアプローチをかけていった。そして、それを奪った後は勢いのままに一気に相手ゴールまで。その攻撃の中では勢いを活かしながら、ボールも人も動く速い展開が見られた。
こういう積極性は最初のプレーだけっていうことも往々にしてあるわけだけど、この試合の日本代表に関しては、これが前半のチームとしての考え方だったと思う。それは前半を通した守備のやり方を見ても分かる部分だった。

この試合のシステムは上にも書いたように4-1-4-1。予想の4-2-3-1から、青山敏を1つ上げた形だった。
基本的には青山敏と柏木で相手のボランチを見て、底に入った細貝が相手のワリード・ジャシムにつき、さらに本田と水野は相手SBへ。

こういう点から守備においての人への意識が見られたけど、見るべき部分はその守備をどこから始めるかってこと。
守備のスタートになる李は相手のペナルティーエリア近くのボールに対しても厳しいプレッシャーをかけて行った。そうなれば相手の前線も引きずられて降りてくるしかなくなるわけで、2列目の本田-柏木-青山敏-水野の4枚も相手を見ながらかなり高い位置まで守備に出てきた。
こういう部分を見ると、一番深いところからの守備のための李の先発起用だったのかもしれない。今回のFWの中で一番運動量が計算できるのは李だと思うし。

とにかく、序盤はこの最前線からのハイプレッシャーがかなり効果的に機能した。それによって、かなり高い位置でボールを奪って相手ゴールまでの短い距離を一気に攻め込むっていう狙い通りの形がいくつか見られた。ゴール前での李→水野の決定的なシーンは象徴的だったと思う。
このときに守備を考えてか、攻撃にあまり人数をかけないのも特徴的だった。攻撃は基本的に李と水野、柏木、本田の4人に任される部分が大きかったと思う。

こういう最前線からの日本の守備に対してカタールはセオリー通りのやり方で逃げに入った。序盤はカタールの単純なロングボールがかなり目立ったと思う。そして、このロングボール攻勢のプレッシャーにあまりにもやすやすと日本の後ろの選手が負けてしまった。もちろん、相手が前にターゲットとなる人の枚数を多くしてたこともあってロングボールにも怖さがあったのは確かだったと思うけど。

とにかく、結果として生まれたのがホームのカタール戦でも見られた前後の分断。前回は1点取った後の意思統一の失敗によってある意味では日本が勝手に守備のバランスを崩したわけだけど、今回はロングボールの繰り返しっていうカタールの能動的なアプローチによって分断が起こってしまった。
カタールとしてみれば自分達の狙い通りの展開になったわけで、前回よりもその中盤のギャップを使う意識がはっきりしてたと思う。前半の15分過ぎからそれまでの時間のロングボール攻勢がぱったりと止まって、地上からの攻撃が増えたと思う。

日本の守備陣はまたしても、高い位置では厳しく、低い位置でも厳しく、その間が過疎化するっていう変な状況が生まれた。今回は1ボランチ気味に入った細貝が相手のワリード・ジャシムに引きずられたことで、もっと広大なスペースが後ろの4と前線の4の間にできてしまっていたと思う。
そうなったときに過疎化した日本の中盤は当然のことながら、効果的に守備をすることができなくなった。一応、人に対する意識があるから縦パスが入ったとしても1人は対応することができる。だけど、選手間の距離が遠いからそれに連動する守備ができなかった。

そういう単発の守備だから中盤でボールを奪うことができずに、結局はカタールが得意とする中→外の展開を許すことになってしまったと思う。こういう状況に陥った守備に対して、2列目の選手の負担が大きくなってしまった印象。
もともと守備の役割の方が大きかった青山敏はもちろんだけど、水野と本田、柏木は大きな守備の負担を負ってしまった。

ある意味では、3人の守備意識の高さが裏目に出てしまったとも言える。3人とも高い位置から相手を追いかける意識を強く持ちながら、中盤に入れられたボールに対しても戻って対応することになった。
もちろん自分が見るべきカタールのボランチとかSBの攻撃参加が組み立てがしっかりできるようになって、飛び出してくるようになったから、そういう選手に対する対応も。自分の前、後ろ、マークに対する守備ってことでかなりの負担が大きくなった
上には守備意識が裏目に出たって書いたけど、前後の間のスペースが大きすぎて半ば強制的にそうしなければならない状況ではあった。

李も含めて、前線の選手の負担の大きさは交代を見ても分かる。水野はケガっていう情報だけど、3枚の交代のカードは水野→家長、李→森島、柏木→上田。高温多湿の厳しい環境の中で攻守に渡ってあまりにも運動量を求められすぎた。
守備では、最終ラインが自陣深くに釘付けにされてる中で中盤から相手のペナルティーエリア近くまでを任され、攻撃は後ろの押し上げが期待できずに4人でやらなければならない。さすがにかわいそうな気もした。

ただし、無駄な部分をカットすればもう少し楽にできたのも事実だったと思う。まず、前線からのチェイシングがかなり非効率だった。
イメージとしてはアジア杯でのサウジ代表の形がしっくり来る。人につく意識が強めだったからかもしれないけど、全ての場所でボールを奪おうとしてた。
せっかく4-1-4-1の形で前線にフィルターをかけてるんだから、それを利用した追い込みが見られてもよかったんじゃないかと思う。チームとしての取りどころを決めて、切って切って奪うのリズムを作りたかった。

それがこの試合では、そういう次を考えた守備をせずに自分のところで奪おうっていう質の守備がかなり多くなった。立ち上がりにその守備が機能したのは、相手がその超ハイプレッシャーに戸惑ってたからだと思う。日本の選手が一気に距離を詰められる中で動揺したミスが多くなった。
ただ、そのプレッシャーも慣れられてしまうと簡単に外されることが多くなった。そうなったときに次の守備を考えてないから、せっかくの守備が無駄に終わるケースが多くなってしまったと思う。
さらに、この時間帯は上に書いた前後の分断によって物理的な距離も遠くなってたから、せっかく厳しく当たっても1つ抜けられると一気に持ち込まれる状況が多くなってしまった。

こういう前線の選手自身の問題に加えて、チーム全体としてのやり方の問題もあった。
それは休みどころの設定っていう部分。普通は最前線からハイプレッシャーでやるチームは、攻撃をポゼッション型にすることが多い。もちろんせっかく高い位置で奪ったものを無理やりポゼッションする必要はないけど、奪った場所が自陣深くだったり相手が組織を作ったりしてるのにわざわざ速く攻める必要はない。
そこで1度ポゼッションに入ってゆっくりと休む時間を作る必要がある。そうやって守備でのスタミナの浪費を補わないと、はっきり言ってあれだけの前線からのプレッシャーを続けるのは不可能。

で、この試合の日本はどうだったか?
基本的にポゼッションの意図は全くなかったと思う。というよりも、このチームのチームとしてのキープ力のなさが浮き彫りになってしまった。これは前回のホームのカタール戦のときのビルドアップができないっていう問題点と本質的には同じ。どちらもボールを持ったときのバリエーションの少なさが生んでるわけだから。

この試合では絶対に勝たなければならないカタールも前線からの守備意識があったと思う。さらにもともと前線に人数を多く置いてるだけに、切り替えのところでは人数も揃った状態だったのも大きかった。
とは言え、絶対に逃げられないような厳しいものだったかと言えばそうでもなかった。これも前回のホームのカタール戦のときに書いたけど、カタールの守備はあくまでも単発。1つめを外せば次は連動してこない(今回の日本の守備と同じ)。
にも関わらず、日本はちょっとしたプレッシャーですぐに落ち着きをなくす。前回も相手のちょっとした寄せで、ボランチ経由、SB経由の攻撃ができなくなったし。今回も守備後の切り替えで適当な蹴り出しに終始した。

そういう適当な蹴り出しも前線が森島とか平山だったら競り合いに勝ってくれたかもしれない。でも、この試合は李。さすがに相手との競り合いでは分が悪いし、何よりもこの時間は周囲のフォローが期待できなかった。
2列目の選手は深い位置まで戻ったDFライン前のケアまでを求められてるから、後ろの引っ張られて李だけが前線で孤立してる状況。攻撃への切り替えを考えてもロングボール1発で、前線の収まりもないから、押し上げてフォローに入るのは難しかった。
結果として中盤の選手には、蹴りだしたボールを相手に拾われる→前線のプレッシャーからやり直す(前への守備)→抜けられる→戻って対応(後ろへの守備)→奪って蹴りだす→押し上げる→相手に拾われる・・・の悪循環が生まれた。
この悪循環だけでも相当の上下動が要求されてる。

ただ、この状況も前半の途中から好転の兆しが見られた。それはひとえに相手の前線の選手が守備を放棄しはじめたから。カタールの前線の選手の目の前にボールがあっても、歩きながら見てるだけっていうような状況が生まれた。これによって日本の選手が落ち着きを取り戻せたと思う。

いくらなんでもノープレッシャーの状態ならしっかりと前線にボールを送ることができた。ボールを持った最終ラインの選手がプレッシャーなしでハーフェイライン付近まで出てこれるような状況が生まれたと思う。
そうやって前の選手を敵陣まで押し出す状況が生まれた。そして、前線に厚みができたし出し手と受け手の距離も縮まったと思う。
結果として日本が唯一前にボールを入れる手段である、最短距離の真ん中を突っ切る縦パスでも相手のブロックに入り込むことができた。

さらに、そこにも流動性もいい形で加わったと思う。この試合の前線の選手はは基本的に動き回るタイプだったけど、中でも一番機能したのが李と柏木の縦の関係だったんじゃないかって気がする。
そもそも、この試合では李の1トップが予想以上に機能したって言える。ポストタイプじゃない李が1トップでどういう色を出すかと思ってたけど、持ち味の運動量をいかんなく発揮してくれた。真ん中にこだわらずにうまく左右に逃げるプレーを織り交ぜながらうまく前線に動きを作り出してた印象。

そして、そのトップのスペースに積極的に飛び出してきたのが柏木だった。ここ数戦では柏木がトップになるシーンはほとんど見られなかったと思うけど、この試合では思い切って最前線まで出てくる動きが目立った。
そう考えるとトップの位置で蓋になる森島とか平山よりも李との組み合わせの方がしっくり来るかもしれない。そもそもこのチーム立ち上げ期の素晴らしい内容のサッカーを見せてくれた数戦は苔口とかカレンをトップにおいてた。チームとしてそういう運動量に優れるタイプの方が合っている可能性もある。

ちなみに李はこの試合ではポストプレーも安定してこなしてた。次戦は森島が出られないから、もう1度李と柏木の縦の関係が考えられる。

こういう最前線の出入りを含めて、敵陣の中でうまく流動性を生み出すことができた。そして、こうやって相手のブロックに仕掛けてみると、相手の守備がそれほどいいものではないってことが実感できたんじゃないかと思う。要所要所は押さえに来るけど、それが単発なのは何度も言うとおり。基本的には見せかけの守備が目立って日本の選手の技術があれば簡単に深いところまで入り込める。その1つが本田のドリブルの仕掛けだったと思う。

こんな感じで、前半の終わりの時間帯は人数をかけながらうまく攻撃を繰り出すことができてた。そして、その流れの中で得意のセットプレーから先制点を奪って、前半が終了。

そして、後半。さすがに前半のハイプレッシャーを継続するのは不可能だと悟ったと思う。トップの李の位置を見ても相手ペナルティーエリア近くまでプレッシャーをかけてた前半と比べると、明らかに低い位置になってた。具体的にはハーフェイラインを基本として守備を開始してたから、チーム全体が自陣での守備に入ったことになる。

でも、その自陣に全員が入った守備の形にも関わらず、中盤がスカスカだった。
とりあえず、最終ラインは我を崩さずにあくまでもゴール近くでの守備を続けた。
逆に中盤の守備にあいまい性を感じた。簡単に言えば後追い的な守備が多くなった。前半はこれまで書いてきたように自分の前に対する激しい守備が求められたけど、後半はそれが軽減された。同時にどこで守備をするかがはっきりしなくなったと思う。

一応、自陣の中でも前目にラインを作るけど、そこから自分の前に対して効果的な守備ができたとはいえない。むしろ、守備のスイッチが入ったのは自分達の背後のDFとの間のスペースに入り込まれたときだったと思う。そういう場所を使われるとさすがに守備をしなければならないってことははっきりするし、中盤の選手の守備意識自体はしっかりしてるから、戻りながら厳しく対応するシーンが目立った。
そして、そういう戻りながらの守備でファールが多くなった。

チーム全体が自陣に作る意図を明確にして、中盤の選手が自分の背後のスペースに対して戻りながら守備をするなら、DFとの関係を近づけてラストの人数勝負に持ち込めばよかったんじゃないかって気がする。どうせ高い位置にラインを設定しても、結局は下がって守備をすることになるんだから。
そういう部分で意志の統一が図れてなかったし、同時にバランスの悪さにつながってしまったんじゃないかと思う。

ただ、このバランスが崩れた状況を中盤の選手だけのせいにするのも間違ってる気がする。
その要因にあったのは前半の消耗の激しさだったと思う。本当は自分の前にも対応したかったけど、できなかったんだと思う。
それに、後半は攻撃に出て行っても戻って来れないシーンが多くなってしまった。逆に攻撃に移ったときの後ろの押し上げも少なかった。だから、後半は攻撃にも守備にも人数が足りない状況が生まれてしまったと思う。
それでも守備の方は持ち前の最後の堅さで、攻撃の方は家長の個の力と柏木の落ちない運動量で何とか支えられてた。

ただ、最終的に2-1の逆転負け。強いて問題を挙げるならば、前半と後半であまりにも守備のやり方が極端すぎたのが気になって点。前半は相手の最終ラインに対してまで追いかけていた守備が、後半は最後のところ以外は自由にしてた。ペース配分にはやっぱり問題があったんじゃないかと思う。

それでも最後は全くやらせてなかったことを考えると、無失点で逃げ切れる可能性は十分にあった。
もちろんその要因はカタールの工夫のなさにもあったわけだけど。カタールは個々が完全に分断し、連動性がなく、最後はFW任せ。だから日本に脅威を与える攻撃につながらなかったっていう部分も大きい。

そういう部分を加味しても、日本の選手にはやっぱりここまで無失点の自信はあったはず。そして、この試合は自信が逆に後半は攻撃に人数をかける意識の薄さにつながったのかもしれない。

と、ここまでが試合を時系列順に見た流れ。以下、試合とは直接関係ないけど試合を見ている間にちょっとひらめいたことについて。

この試合で後半から出場した家長。疲れた李が消えてしまった中で、よくボールを受けてチームに落ち着きをもたらしたと思う。そのときのキープ力はここでも何度も評価してる通りだし、チームとしても家長を探すことがはっきりしてた。で、そのキープ力を活かす方法として家長の1トップはどうかと思った。

考え方はトッティと同じ。1つ押し出すことで、守備はある程度免除して攻撃に重きを置いてもらう。本質的に0トップの形だから家長は中盤に降りてきてもかまわないし、サイドに出てドリブルをするのも大いに結構。そうやって家長が真ん中から外れてくれれば、柏木が生きてくる。
これは上に書いた李との関係と同じ。

ただ、問題は家長も次戦で出場停止になってしまったこと。森島のイエローでもしかしたらあり得るかもしれないと思ったけど、家長自身も出られなくて次戦では可能性がなくなってしまった。そして、それこそ“絶対に負けられない”最終戦のサウジ戦でも試す機会はないと思う。そうなると来年の五輪の出場権を取ってもらい、そのためのテストマッチで試すしか方法がないってことになる。FWの層が厚いガンバでは絶対にあり得ないわけだから。家長の1トップはどこかで見てみたい。
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2007-10-18 Thu 01:51
日本×エジプト
<日本:4-4-2>
FW:大久保-前田
MF:山岸-中村-鈴木-遠藤
DF:駒野-中澤-阿部-加地
GK:川口

メンバー発表の時点では希望通り、縦への意識が強い4-3-3でどんぴしゃかと思ったけど、実際には本来のポジションにそのまま選手を当てはめていく4-4-2の形になった。確かに、形としては右サイドに右利きの遠藤、左サイドに左利きの山岸を使っているってことで、今までのように逆足の選手(左の遠藤と右の俊輔)を配置してたときとは微妙に違っていたわけだけど、内容としては今年のテーマであるポゼッションの重視を貫いた内容だったと思う。

それがまず現れてたのが2トップの役割。この試合で2トップを組んだ大久保と前田の2人に関しては、縦へのサッカーが見られたカメルーン戦でもスタメンで出場してる。この2人(3トップの一角だった田中を含めて)のカメルーン戦での役割は、とにかく相手ゴールへ最短距離で向かうって事。そのために前田は相手最終ラインと同じ場所にどっしりと構えて起点になったし、大久保(と田中)はウラへ抜け出そうとする質の動きを繰り返した。

カメルーン戦ではこういう相手ゴールとか相手最終ラインに勝負をかけるFWの動きが縦へのボールを引き出した側面が強かったと思う。同時にトップが組み立てにあまり参加しないから、本来の中盤での構成力を作り出すことが難しくなったのも事実だったと思う。結果としてしっかりと組み立てる前段階で勝負をかけるっていうやり方になったんだと思う。

こういうカメルーン戦での役割に対して、今回の前田と大久保は明らかに相手DFライン前でのプレーが増えた。この試合での基本的な役割分担は、軸としての前田とその周りを衛星的に動き回る大久保っていう分かりやすい関係性。

カメルーン戦では常に相手DFを背負ってのプレーを繰り返した前田は、この試合では中盤に降りてくるシーンが多くなった。確かに序盤は前線にボールが入りにくかったこととか、相手の最終ラインのマークが厳しかったからそれから逃げたかったっていうこともあっただろうけど、チームとして組み立てを重視する中でそこに参加する意図も強かったはず。パス回しの中で前田を1つ経由させることで、攻撃にいいリズムが生まれてたと思う。

そのときに下手にボールを保持せずにシンプルにはたく展開力が魅力的だった。1つ前田に縦パスを入れることでスイッチが入って、後ろの飛び出しが促進されるわけだけどその勢いを殺さない状況を作り出したと思う。
それに相手としてもシンプルにはたかれると起点のところで狙いを定めにくい。こういう展開力以外の動きなんかの部分にしても、松木さんも言っていたように周囲をうまく使える選手だってことを考えさせられた。

さらに、カメルーン戦のように本来のFWの位置で相手を背負うだけっていうプレーに限定されなくなった影響か、前田は中盤に下がる以外にもプレーの幅広さを見せてくれた。相手のウラを狙う動き出しを繰り返して決定的なシーンにつなげたし、得点シーンのように1度中盤に降りてきてそこから捕まらずにゴール前へ飛び出すような質の動きも見せてくれた。

そして、前者のウラへの抜け出しに関しては相手の最終ラインとの駆け引きのうまさも見せてくれたと思う。前田にキッチリとつこうとする相手DFを1度中盤に下がるプレーで引っ張り出し、そうやって空いたスペースに自分が抜け出すっていうシーンが見られた。懐かしい言葉を使えば、いわゆる“ウェーブの動き”と似た部分がある動き。上には味方のためにスペースを作るうまさがあるって書いたけど、こういうシーンでは自分で自分のスペースを作り出した。

本来の相手を背負ってのキープ力とか、その後の展開力のよさに加えて、今回の試合で見られた前田のプレーの幅は素晴らしかったと思う。決めなきゃいけない場所でキッチリ決めることは求めたい部分だけど、今回の試合で個人的な評価がかなり上がった。

そして、この前田と2トップを組んで2得点っていう結果を残した大久保。大久保に関してもゴールへの最短距離ばかりを目指す動きが多かったカメルーン戦と比べると、明らかにプレーの幅が広がったと思う。

それと関連して今回の試合ではヴィッセルで中盤でプレーしてきた経験がうまく生きたと思う。この試合ではFWの場所でも中盤の場所でもない中途半端な場所での自由な動きがかなり多くなったと思う。サイドに流れてボールを受けたり、中盤でプレーしたり。むしろ最前線のFWの場所に出てくる回数の方が少なかったんじゃないかと思う。そうやってうまくボールを引き出したり、中盤でのパス回しに参加してた印象。相手としてみれば捕まえにくい状況を作り出したと思う。
こうやってFWの場所以外でのプレーが目立った大久保だったけど、ゴールへの意識は強く持ってたことが2ゴールにつながったと思う。立ち上がりから積極的にゴールに向かう姿勢を見せてくれた。

こういうFWの動きの変化に加えて、(降りてきたFWも含めた)中盤のところでの組み立てを重視する意図が見て取れた。その中で象徴的だったのがオシムの前半終わりの指示。「ポジションがかぶっている。混んでいるところにわざわざ入っていかなくてもいい。」っていうような内容だったと思う。

確かに前半は狭い場所から広い場所へと局面を変える質のボールが少なかったと思う。結果として狭い場所で詰まってしまって相手に奪われるシーンも多くなった。
ただ、逆に言えば、近い関係性の形成はできていたってことになるんじゃないかと思う。この近い関係性を利用した組み立ては日本代表の本来の形ではあるけど、縦への意図が強かったカメルーン戦では消えてしまっていた。

縦への意図が強い攻撃では、組み立ての中でのFWの参加が期待できないし、縦へのスピードが速いから後ろの参加も期待薄。
結果として組み立てに関わる絶対的な枚数が減ってしまう。それにゴールに向かう動き=遠ざかるランニングが多くなって、逆にボールに近づくランニングが少なくなった。そうなれば当然、選手間の距離が開いてしまうってことになる。ただ、それでも相手が組織を作る前に攻めるから、攻撃の厚みはあまり関係ないっていうやり方ではあった。

とにかく今回の試合では近づき過ぎるほどの近い関係が生み出されてたってことは、やっぱりじっくりと組み立てる意図があったって考えていい気がする。パス&ゴーを中心としたボールの近くでの動きが相変わらず活発だった。

そしてこの近い関係のベースにあったのが遠藤の存在だった。いつもの試合だと中盤の流動性をベースに作り出すこういう近い関係性だけど、この試合では山岸が左に張っていたこととか中村が攻撃参加を自粛してたこともあって、中盤の選手だけを見ると活発だったとはいえない。そこに上に書いたようなFWとかSBが絡んできたことでうまく関係性を築くことはできたけど、少なくとも中盤の選手の自由度はあまり高くなかったような気がした。

その中で遠藤だけは右サイドにこだわらない動きを繰り返してたと思う。低い位置でのゲームメイクは中村に任せて、遠藤自身は中盤の高いところでのプレーに専念できてたし、その中での周囲の活かし方はさすが。ボールを持ったときに、簡単にはたいたり、意図的に保持したり、っていうやり方で時間を作り出した。その中で味方の動き出しをうまく引き出したり、相手を集めたりっていう部分をうまくコントロールしてたと思う。

この遠藤を中心とした近い関係性が生きたのが4点目のシーン。遠藤の意図的な保持の間に駒野が抜け出したのがスタート。このときの遠藤の時間作りは抜群にうまかったと思う。さらに、この局面では遠藤と駒野以外の選手もボールの近くに絡んだことで相手選手の意識を左サイドに集中させた。結果として一番遠いサイドに後ろから飛び込んだ加地は完全にフリーの状態でゴール前に入ることができたと思う。

こういう感じで最終的には本来の組み立て重視のサッカーができた日本代表だったけど、立ち上がりはエジプトの守備のよさにかなり悩まされたと思う。特に日本の攻撃の組み立ての生命線であるSBへの対応をはっきりとしてきた。

エジプトの守備は人につく意識が強いやり方だったからイマイチ基本的な形がつかめなかったけど、前半はトップの3枚のフィルターを置いてたのは確かだったと思う。この3枚のフィルターが日本にとってはかなり厄介な存在になったと思う。3トップの両翼がSBにしっかりと対応することがはっきりとしてたことで、うまくビルドアップのときにSBを利用できなかった。
結果として立ち上がりの時間帯はスムーズな組み立てができなかったと思う。

ただ、そういう状況の中でも着実に自分達の形に持っていくためのアプローチは続けてた。
例えば、相手のブロックを押し下げようとするロングボールが1つ。さらに、効果的だったのが相手のブロックの中に強引に入れる縦パス。これが案外簡単に通った。

その理由の1つは相手が人につく意図が強くなったってことだったと思う。ただ、日本の選手がポジションを変えるとどこまでついていけばいいかってことがはっきりしてなかったと思う。
だから、ポジションを動かしてた遠藤とか2トップ、機を見て飛び出したボランチが敵陣で浮いてることが多かった。
ただ、逆に言えばポジションを変えない選手は最後までなかなか自由にプレーさせてもらえなかった。左サイドにいる時間が長かった山岸は、むしろ斜めにゴール前に飛び出してきたときが一番いい仕事をしてたと思う。これは本来の場所では自由にさせてもらえなかったことと、動くと自由になることを、象徴してる部分。

こうやって受け手へのケアが甘かったエジプトは出し手へのケアも不十分だった。確かに前には3人を並べてるわけだけど、最終ラインのボールに対してはあまり積極的にプレッシャーをかけてこなかった。あくまでもSBとかボランチに入ったところで、っていう守備の意図だったと思う。だから、最終ラインから直接出したり、相手が寄せきる前に早いタイミングで出してしまえば、ある程度自由にボールを前線に供給できたって言える。

こういうエジプトの守備のやり方によって日本は相手のブロック内に入り込むことが可能になった。
そして、日本が1つブロック内に入り込んだときのエジプトの対応も特徴的あった。中盤のところに入り込まれたときに、そこで奪おうとするよりも最後のところを固めようとする意識が強く働く。だから、1つブロックに入り込むだけで相手の多くの人数をゴール近くまで押し下げることができた。
これによってエジプトの守備ブロック全体を下げることに成功して、本来使いたいSBが空いてくることになったと思う。

ただ、そうやって組み立てのところでSBが自由になっても前半は深い位置までSBが入り込むシーンはあまり作り出せなかったと思う。これはエジプトの人を見る意識が働いてたから。ある程度まではできても、最終的には相手のWGが下がってしっかりと対応してきた。
でも、後半になってエジプトはこのSBとのマッチアップする選手をあいまいにしたと思う。後半開始時(前半終了間際から?)には2トップに形が変更された。結局、前に邪魔者がいなくなった日本のSBは深い位置まで出て行くことができるようになったと思う。

日本の攻撃のアプローチはこんな感じ。以下では対するエジプトのアプローチに関して見てみたい。はっきり言って、日本にとってはエジプトはかなり嫌な相手だったから。それは攻撃のアプローチのかなりの部分が日本のそれと同じだったから。

まず、一番の共通点はSBを利用したビルドアップ。最初のSBの利用は出し手としての役割。最終ラインがボール保持者になることで、中盤以前が前線で受け手となれて、単純な選択肢を増やすことができる。日本としてはそのSBにしっかりとつく意図はあったものの、エジプトのアプローチによって段々とSBのケアが甘くなってしまった。このアプローチも日本と似たような内容だったと思う。
要するにSBを自由にするためにエジプトがやりたいのは日本のブロックを押し下げること。そのために利用したのが前線の流動性と前線に入る人数の多さだった。

この試合のエジプトはFW登録が4人。守備を見ても分かるとおり、実際に4人が最前線に横並びっていう形ではなかったけど、入れ代わり立ち代り出てくるっていう意味では実質的に4トップと考えてもよかったと思う。この4トップに加えて中盤に2枚も前線に積極的に飛び出してきた。ひとたび前線にボールが入ってしまうと、人の多さをベースにした近さがあるだけに、関係性の築きやすさも生まれたと思う。
日本としては、このエジプトの数をベースにしたプレッシャーに負けてしまった前半だった。相手のプレッシャーに屈して徐々にブロックが押し下げられてしまったと思う。

さらに、エジプトは日本とは違ったアプローチによっても日本のブロックを押し下げようと試みた。
それはWGを利用したもの。WGのところにボールを1つ入れることで、サイドの局面で攻撃の深みを作り出した。そのときに単純にWGが受けることもあるけど、WGが下がって対応する日本のSBを引っ張り出したウラに入れるっていうようなうまさも見られた。
日本の守備陣からしてみれば相手のWGに対して挟み込みをかけるためにSMFが下がることになる。このことも相手のSBの前を空けてしまう要因につながった。そうやって自由になれたSBが今度は高い位置に入り込んできて受け手として機能するようになるのも日本と似たような点だったと思う。

そして、攻撃ではその高い位置を保つSBのところに起点を作るようになった。この時間になってエジプトはSBとWGの縦の関係がうまく機能するようになったと思う。逆に対応する日本のSMFがかなり下がっての守備をしなければならなくなった。そういう意味で、この試合ではどちらがサイドの主導権を取るか、もっと言えばどちらのSBが攻撃により絡めるかが大きなポイントになったと思う。

日本としてはこういう相手の攻撃のアプローチに対して劣勢になってしまう時間があったのは事実。れでも(その時間は)決定的な場所まではつなげさせてないのは評価したい。その要因は当然のことながら守備の安定性にあったと思う。

この試合では日本の守備が人を見るか、場所を見るかに注目してたけど、結果的には前者のやり方だった。具体的には例えば、2トップは相手CBとボランチのケアに回ったし、SMFは相手のSBを見ることがはっきりしてた。ちなみに中盤に関しては攻撃からの切り替えの流れの中で遠藤と鈴木がポジションを入れ替えるみたいな柔軟性も見られた。

この人につく意識が強く見られたのは立ち上がりの加地のポジション。加地がかなり高い位置まで相手について引っ張り出されるシーンは立ち上がりから目立ってた。ちなみに、そのウラのスペースのケアには中村が入ることが多かったわけだけど。とにかく見るべき選手をはっきりさせて、その選手に対しては最低限仕事はさせないってことが徹底されてたと思う。
その上で相手がもたつけば、前後左右の挟みこみとか囲い込みで守備の勝負に入っていった。

ただし、上に書いたようなエジプトの攻撃のアプローチによってこの原則が微妙に崩れてしまったのも事実だった。基本的にはSB(日)×WG(エ)とSMF(日)×SB(エ)っていう対応関係だったのが、悪い時間帯はSMF(日)×WG(エ)っていうところまで押し込まれてしまったと思う。

でも、そういう部分については後半になってしっかりと修正を加えてきた点を評価したい。後半は前線に人数をかける相手に対しても最終ラインが押し下げられなかった。その強気な最終ラインが前線をうまく押し上げたと思う。
それに加えて、前線での個々の守備意識が高揚したことで、SBを中心として相手の後ろの選手が出てくることを防止することができた。

ただ、こういう積極的な守備の内容は3点目を取った後に消えてしまったと思う。前半の悪い時間帯のように全体が押し下げられてしまって、相手のキーになるSBの攻撃参加が再び活発になった。失点につながったFKも、元々は相手のサイド攻撃がきっかけになってるわけだし。とは言っても試合全体としては相手の個をしっかりと離さずに見れてた。
最後の最後で危険なシーンが見られたのは、相手がパワープレー気味にやってきた後半の終わりの時間帯ぐらいで、攻撃を組み立てる相手に対してはきっちりと対応できてた印象。この試合で改めて、このチームは人への意識を強くした守備があってるって感じた。

こんな感じで攻撃のアプローチが似ていた両チーム。さらに言えば、人につく意識が強いっていう意味で守備の基本的な部分も似ていたと言っていいし、個の力に関しても大きな差があったとは思えない。にも関わらず、結果は4-1。

その差が現れたのが真ん中のところの守備意識にあったんじゃないかって気がする。ここまではキーになるのが両チームのサイドっていうことを書いてきたけど、本当に勝負を分けたのは真ん中の攻防だった。

そして、その真ん中のところの守備に甘さがあったのがエジプト。上にも書いたとおり、簡単にブロック内への縦パスが通ったってことでもそれが分かると思う。それに、1つブロック内に入られたところでエジプトの守備の最優先になったのが最後のブロックを固めることだったってのも上に書いたとおり。

要するにブロック内に入り込んだ日本のボール保持者への対応が甘くなってた。同時に多くの選手が低い位置に戻ることで、日本の中盤が空いてくるっていう状況も生まれたと思う。
例えば4点目のゴールではミスが絡んだとは言え、そこに至るまでの中盤での過程でエジプトが効果的に守備ができてない。

それに対して日本の真ん中のケアは鈴木を中心に徹底されてた。ゴールへの最短距離である真ん中のところでは必ず複数で、しかもかなり厳しいプレッシャーをかけてたと思う。だから、エジプトは中盤を制圧したり、FWがいい形でボールを収めたりっていうことが難しかったと思う。
サイドを起点にする攻撃にしても真ん中から逃げた結果って考えることもできる。どちらにしても、サイドしか選択肢がなかったエジプトと真ん中を使いながらサイドにも散らせる日本との間の攻撃のバリエーションの差は明白だった。

基本的なことではあるけど、真ん中はやっぱり最優先的に固めるべきところ。そこがしっかりとケアできてたかどうかで差が生まれてたように思う。
そして、その根底にあったのはやっぱり個々の意識の差。ボールに対してのサボらないプレッシャーをかけ続けたのは日本だった。

最後の日本のボランチについて。
この試合ではボランチの組み合わせも注目点の1つだった。今回の中村と鈴木の組み合わせはアジア杯以来。その間に鈴木は攻撃的に役割がシフトされてたから、この試合の組み合わせでは役割がどうなるか注目だった。
結果から言っちゃえばアジア杯と比べると、中村はより守備的になり、鈴木はより攻撃的になった。2人での間での攻守の役割分担が明確ではなくなっていたと思う。

中でも中村はこの試合では素晴らしい内容を見せてくれた。攻撃では上にも書いたとおり自身が飛び出していくっていう動きが減ったのは確か。ただ、その代わりに低い位置での組み立てに安定感が増した。中盤の底でうまくリズムを作り出してた。いつ?どこに?どういう質の?ボールを供給するかの判断が素晴らしかったと思う。そして、その判断を助けるのが絶対的な技術。パスそのものの前の中盤での絶対的なキープ力も素晴らしかった。
この中村と前の遠藤がうまい具合に役割を分担できてた印象。

さらに、この試合では中村の守備面についても。鈴木も相手の攻撃の芽をことごとくつぶしていたけど、この試合では中村の守備もかなり目立った。上にも書いたSBのウラのカバーのように、自分の本来の持ち場以外にも顔を出してたと思う。そして、本来の持ち場では鈴木とともに相手の攻撃をつぶす献身的なプレッシャーを繰り返した。

攻撃への意識が高くなった鈴木か、守備への意識が高くなった中村か。どちらが生き残るかは来年以降の注目点になると思う。

得点力不足が叫ばれた今年だったけど、終わってみれば最後の2戦はともに4得点。内容だけではなく結果も伴った、いい今年の最終戦になった。今年1年の総括についてはまた後日。
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2007-10-16 Tue 22:21
ナビスコ杯準決勝:ガンバ×アントラーズ
<ガンバ:4-5-1>
FW:播戸
MF:二川-前田-寺田、遠藤-明神
DF:橋本-山口-シジクレイ-加地
GK:藤ヶ谷

<アントラーズ:4-4-2>
FW:マルキーニョス-田代
MF:本山-野沢、青木-小笠原
DF:新井場-大岩-岩政-中後
GK:曽ヶ端

両チームの攻撃のアプローチについては解説の風間さんも言っていたように、「横のアントラーズ×縦のガンバ」という図式になった。まずは縦のガンバから見てみたい。

“縦の”とは言うものの、基本的な攻撃の考え方は普段と大きく変わった部分があったというわけではない。中盤の構成力を利用しながら相手のブロックにアプローチを仕掛けていく、ガンバらしい形が見られた。

今までも何度も書いてきたことだけど、そのガンバらしい形についていくつかのキーワード。

1つは中盤の流動性を用いたやり方。爆発的な動きは少ないけど、多くの選手が場所を見つけながらうまく相手のギャップに入り込んでいく。そうやってギャップギャップを渡り歩きながら相手のブロックにアプローチを仕掛ける方法。

この流動性のキーワードではこの試合では前田の存在を取り上げなければならないと思う。この試合での前田は1.5列目的な場所でのプレーが目立った。純粋に播戸と2トップを組むというよりは、中途半端な位置で自由に動き回る役割が強かったと思う。中盤的な役割から播戸を抜いて飛び出していくようなFW的な役割まで幅広い仕事をしてた印象。

こういう役割だけを見るとレイソル戦の家長と似たようなイメージではあるけど、内実は全く異なってた印象。その試合のときにも書いたとおり家長は消えてしまう時間が長くなったけど、この試合の前田は常に動き回りながら最後まで目立ち続けた。本当に色々なところに動きながら前線でボールを引き出して、うまく起点になれてたと思う。相手としても中途半端な場所を動き回る選手を捕まえるのは難しかったはず。

それからこの試合の中盤の流動性には遠藤があまり絡んでこなかったのも特徴的だった。これは特に前半に見られた状況だったけど。あくまでも1つ引いた位置での供給役に徹してた印象。むしろ明神が前線に出てくる回数の方が多かったんじゃないかと思う。
遠藤自身はそういう役割でも全体を見渡せる位置から相手の薄いところを見渡してうまくボールを散らしてたけど、全体の攻撃の迫力っていう意味では普段よりも見劣る状況を作り出してしまったのも確かだった。

この点については1点リードのアウェーの戦いが影響したのかもしれない。実際に得点が必要な後半は開始直後から積極的に前線に飛び出していく姿勢が見て取れた。結果として後半のガンバの攻撃は前線に厚みが加わった。

1点目にしても高い位置でボールを持って相手数枚を引き付けた遠藤が起点になってる。捕まりにくい後ろからゴール前まで飛び出してくるプレーも相手にとっては嫌なものだったはず。そういう意味では後半の攻撃の方が本来のガンバらしい中盤の流動性が見られたと思う。

それに引きずられて活性化したのがSBの攻撃参加。前半もいい時間帯には見られたけど、ほとんどの時間はアントラーズにサイドの主導権を握られてしまって、守備に追われることが多かった。

このSBの攻撃参加についても中盤の構成力を上げるためのキーワードになってることも、今まで何度も書いてきたとおり。日本代表とかミランにも同じことが言えるけど、SBがサイドを担当することで中盤の選手を中に押し込む。
結果として真ん中のところの選手の密度が高まって、近さが生まれ、パス交換が容易になる。その中で個々の技術と近さをベースににしながら狭いところを打開してく方法。

こういうガンバらしいやり方をベースとしつつ、上にも書いたとおりこの試合では“縦の”アプローチが活発化した。たぶん、この縦のアプローチもガンバらしさに入るんだろうけど、前に見たレイソル戦よりは明らかにその意図が強かったと思う。その違いはレイソルとアントラーズの守備のやり方の違い、ガンバ自身のメンバーの問題にあったと思う。

この試合のアントラーズの守備は個人的なイメージよりも後ろに重心を置いていた印象。今季は開幕当初にアントラーズの試合を見る機会が多かったけど、そのときには最前線からボールに対して激しいプレッシャーを仕掛けていった。でも、この試合ではその前線の勢いがやや弱まってた。
ボールへの1人1人の意識はしっかりと継続されてたけど、その1つ1つのところで奪う意識は明らかに減退してた。それがシーズン途中からの変更なのか、ガンバ対策なのかは分からないけど。

とにかく、この試合では1つ1つのボールに対してのアプローチはしっかりとやりながらも、守備の重点はゴール前の最後のところに置いていた。エリア直前の一定のエリアに人数を集中させて、そこに入ってきたところで守備の勝負をかける意図がはっきりと見られた。

そのエリアの中では完全に数の勝負に入った。この数の勝負については最後のエリアだけじゃなくてピッチ全体を通して見られたことだけど。上にも書いたとおり1つのボールに対してのアプローチはサボらずにかけられてたから、それによって相手がもたつけば一気に囲い込むやり方が取られてた。

ただ、例えば前線の場所ではそこにかけられる人数は2枚ぐらい。でも、最後のエリアのところでは3枚から4枚をかけて相手に守備の勝負を仕掛けるシーンが多く見られたと思う。そうやって相手の個の力を無力化させた。

とにかく個の技術がしっかりとしてるガンバに対しては1×1では危険だって意識があったんだと思う。そして、複数で相手の個に対応するために低い位置に人数を集中させて、その場所では多くの人数でアプローチするっていうことを明確にしたんじゃないかと思う。
例えば小笠原がかなり守備的な役割を担ってたのは印象的だった。基本的にはこういうやり方によって、最後のところで相手の連動性をぶった切ることには成功した。

逆に失点シーンみたいに多くの人数が当たったところを外されてしまうと、一気にピンチに陥ってしまう状況だったけど。得点を取りに行った時間以外はほとんどそういうシーンが見られなかったのは、アントラーズの守備が狙い通りに機能してることを意味してたと思う。

ちなみに、ここでもう1つ、相手のサイドの起点に対しても多くの人数をかけてつぶす意図があったことをつけ加えておきたい。

こうやって後ろに重点を置いた守備に対するガンバのアプローチこそが縦の揺さぶりだった。
その具体的なアプローチのしかた。スタートのところは本来のやり方と同じ。ボランチの場所に入った遠藤から、流動的に動いている前線の選手に対してボールが供給される。そして、これが相手のブロックへのアプローチのスイッチになる。
そうやって相手のブロックに入り込んだ後は、上に書いたようにギャップギャップをつなぎながらゴールへ向かっていくのがベストな選択。

ただ、低い位置に人数をかけているアントラーズの守備にはなかなかギャップができなかったのも事実だった。そうなったときにガンバは無理な仕掛けをせずに、後ろに戻して作り直すことが多くなった。もともと引き気味のアントラーズの守備は、ブロックに1つアプローチをかけたことで多くの選手が低い位置に釘付けにされてる。結果として戻されたボールを受けた1つ下の選手(多くの場合は遠藤)は自由にボールを扱える状況になった。そこからまた、次の薄いところを見つけて攻撃の再スタートがきられることが多くなった。

遠藤にはこういう役割があったからこそ、前半はなかなか前に出てこなかったんだと思う。このブロックに仕掛ける→無理をせずにバックパスの流れが縦への揺さぶりってことになった。
アントラーズの守備陣としても、いくら引いてるとはいえ、ボールの場所によってポジションの修正は当然要求される。そういう細かい上下動の中でギャップを作り出したかったのがガンバの思惑だったと思う。

さらに、この一連の流れをゆったりとしたペースで行うことでアントラーズの選手に奪えるっていう意識の芽生えを誘ってたんじゃないかと思う。そういう選手がブロックから飛び出してくれば、当然そこにギャップができる。そして、ガンバの中盤の選手の能力ならそのギャップに入り込むことは容易なはずだった。

ただ、こういうアプローチによってアントラーズの守備陣が大きくバランスを崩すってことはなかったわけだけど。さらにこの縦のアプローチの多用、横のアプローチが使えなかったのも関係してたんじゃないかと思う。
上にも書いたとおりアントラーズはガンバのサイドへのケアにかなりの気を使ってたから、簡単にサイドに起点を作ることができなかった。当然大きなサイドチェンジはできないし、本来なら時間的にも空間的にも余裕がができることが多いサイドでも全く余裕を作れなかったと思う。

それから、ガンバ自身の要因としてはFWの組み合わせ。バレーとかマグノ・アウベスがいればこんなに遠回りな方法は取らなかったじゃないかって気がする。相手が低い位置に人数をかけていても1人で突破しきる力があるし、そもそもマークを引き付けることでバランスのいいブロックの形成を許さない。
この試合ではFWの存在によるそういうプレッシャーとかアプローチが難しかった。結果として無理をせずにバックパスっていう状況が多く生まれたんじゃないかと思う。

こういうガンバに対してのアントラーズは“横”のアプローチ。
この攻撃面のアプローチについても開幕当初のやり方とはちょっと変化した印象を受けた。個人的なアントラーズのイメージはこの試合のガンバの形と似たようなもの。個々としては爆発的な動きはないものの、うまく場所を見つけてボールをはたいていく。SBに高い位置を保たせながら、中盤を中に押し込むやり方。だから、攻撃の基本は中に置かれると思ってたし、その中では流動性がベースにされてると思ってた。
ただ、このイメージが作られてるときからは大きくメンバーとかシステムの変更があったのも確かだったわけだけど。

この試合でイメージどおりだったのは流動性が見られるっていう点だけだった気がする。両サイド一杯を利用する展開の中でうまく流動性を取り入れてた。サイドでボールを受ける選手を入れ代わり立ち代り変えることで、ガンバの守備陣をかなりの混乱状態に陥れた。

このサイドの出入りの激しさは特に前線4人の流動性によってもたらされる面が大きい。この試合は絶対的に得点が欲しいってことで、前は超攻撃的な配置を取ってきたと思う。基本の形は田代-マルキーニョスの下に本山-野沢を配置するものだったけど、実質的に変則的な4トップと考えてもよかった。本来の役割を考えても1列目、1.5列目でプレーするタイプが並んでるわけだし。この4人が関係性を色々と変えながらグルグルとポジションを変えた。

そういう状況がサイドでも見られたのは言うまでもない。田代、マルキーニョスが2人ともサイドに流れたり、本山と野沢が同サイドの近い関係を作り出したり。もちろん組み合わせは自由自在だし、人数は2人に限られてるわけでもない。1人の打開力に頼ることもあるし、3人をかけて厚みを増すこともある。ただし、タッチライン際に最低1枚は張り出すことは決め事になってたと思う。

こういう前4人でのサイドでの関係性に、さらにSBとかボランチが絡んでくるわけだから、サイドでの攻め方は多種多様。結果としてガンバの守備陣が混乱してしまったのも納得だったと思う。多くの選手がサイドの攻防に引っ張り出されてしまって、中が空くっていうことが多くなった。ガンバの守備は外の方が厚みがあるっていうねじれ現象が多く見られた。

そして、前半の2得点にしても、まさにそういう形から生まれてる。ちなみにこれらシーンは本山の2列目からの飛び出しを捕まえ切れなかったことにも問題があった。アントラーズの方から見ると、中での関係性とか組み合わせの変更がそのまま現れてるシーン。特に1点目は田代と本山の単純な縦の入れ代わりが功を奏した形だった。

このサイド一杯を使うアントラーズの攻撃だけど、その使うサイドが左サイドに偏ってたように感じた。そして、たぶんこれは意図的なものだったと思う。
上にも書いたとおりアントラーズはガンバのサイドのケアにかなりの意識を収集してたけどそれが強く見られたのは相手の加地のサイド。要するにアントラーズから見れば左サイドってことになる。守備時はそこに人数をかけて起点を作らせない対応をしてたけど、攻撃の時点でそのサイドを使って加地を押し込もうっていう意図があったんじゃないかと思う。

この左サイドに起点を作る考え方は、アントラーズが守備をしている時点から準備がなされていたと思う。それはマルキーニョスのポジショニング。相手に中盤を制圧されて押し込まれているときに、マルキーニョスは次の攻撃を考えて左サイドに流れていることが多かった。
結果としてそのマルキーニョスに預けて一気に攻めきるような形にはつなげられなかった(相手の守備の切り替えが素晴らしかったから)けど、それでも左サイドを使う意識が見られたような気がする。もちろんマルキーニョスの好みの問題で左に流れたって考え方もあるわけだけど(利き足を考えても)。

ただ、最初にも書いたとおり全体としての攻撃が左に偏っていたのは事実だった。サイドを変える大きな展開も目立ったけど、それも左が詰まったら右へっていう質のものが多くなったと思う。結果として前半は加地に全く仕事をさせてないわけだから、意図通りの展開に持ち込めたっていう評価が妥当なんじゃないかと思う。

こういうアントラーズの攻撃に対するガンバの守備。ここまでアントラーズのやり方にイメージを崩されたことが多かったって書いたわけだけど、この試合で一番イメージと違ったのはガンバの守備だった。アントラーズはずっと試合を見ていなかったけど、ガンバは最近レイソル戦を見たばかりだっただけに余計に。

レイソル戦は最終ラインをかなり高くして自陣に4-4-2のコンパクトな組織を作り出した。この試合ではそもそもの守備のラインの形成が変化してた。レイソル戦では攻撃時の4-2-3-1を4-4-2に変更してたけど、この試合では攻撃時と同じように4-2-3-1での守備が見られた。

それでも組織を作ったときの守備のスタートの位置は変わらない。だから、最終ラインの位置は必然的に深い位置に移行することになったと思う。
別にこの変更自体には問題を感じない。フラットな4-4よりも守備に深みが加わるし、中盤での守備の厚みも生まれる。結果として相手の中盤を自由にやらせなかったり、1発で打開されなかったりっていう状況を作り出せる。

ただ、この試合に関してはその守備のメリットを活かしきれる状況ではなかった。それは相手が中盤のところで勝負を仕掛けてこなかったから。上にも強調したようにサイドに起点を作るやり方を取ってきたアントラーズに対してはガンバは2-3の中盤の厚みを利用できなくなってしまったし、そのサイドに引っ張り出されたことで中盤のバランスが崩れてしまった。そもそも横からの攻撃に対しては4-2-3-1の厚みの意味が薄れてしまう。

それにアントラーズが迷わずに蹴りだすだけっていう質のボールを増やしたのも、ガンバにとっては守備の勝負どころを自分達のやりたい場所に持って来れない要因になった気がする。
そうなったときに最終ラインが深くなったデメリットの方が浮かび上がった。それは最後のブロックとゴールとの距離が近いっていうこと。だから、その場所でのちょっとしたミスが一気に決定的なシーンにつながってしまう。
本来はそういうリスクを減らすために1つ前との関係を密にしたりっていうことを考えるんだろうけど、この試合では中盤の形が崩されてしまって難しかった。

結果として少しのズレが危ないシーンにつながるってことがかなり多くなった印象。流れの中からの2失点はそういうシーンだったし、その他にも危ないシーンはいくらでもあった。逆に言えばアントラーズのいわゆる決定力不足に助けられたことが多かったと思う。
とにかく、ラインが下がったことで相手をエリア内に入れてしまう回数が格段に増加してた印象。

ここまではブロックを作ったときの守備について書いたわけだけど、その前の切り替えの守備については抜群にいい内容だったと思う。この点についてはレイソル戦のイメージがいい意味で変化した。

まず、守備のスタートとしてのトップの役割。バレー+家長よりも播戸+前田の方が守備の貢献度は明らかに上。レイソル戦では実質的な守備のスタートが中盤になってたけど、この試合では2トップがしっかりと守備のスタートとして機能した。だから、高い位置での守備のスイッチが入りやすくなったと思う。

結果として攻→守への切り替えが抜群にスムーズで効果的になった。切り替え後の1つ目の守備がしっかりと機能して、それに対する2つ目以降の連動もスムーズになった。高い位置で複数で厳しく当たるような状況を何度も作り出した。だから、1度攻撃を始めると相手に簡単には反撃を許さなかったし、自分達の攻撃を何度も繰り返すことが可能だったと思う。

結果は3-2でアントラーズの勝ちだったものの、2戦合計でガンバが勝ち上がり。その2戦合計ってのがこの試合を面白くしたと思う。試合の中で両チームが考え方を変更して、やり方を変更してっていう駆け引きが何度も見られた。
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2007-10-14 Sun 20:16
エジプト戦招集メンバー
GK:川口能活、楢崎正剛、川島永嗣
DF:中澤佑二、坪井慶介、阿部勇樹、加地亮、駒野友一、今野泰幸
MF:橋本英郎、遠藤保仁、中村憲剛、鈴木啓太、山瀬功治、山岸智、藤本淳吾
FW:播戸竜二、巻誠一郎、前田遼一、大久保嘉人、矢野貴章

予想メンバー:4-3-3
FW:山岸-前田-大久保
MF:遠藤、鈴木-中村
DF;駒野-阿部-中澤-加地
GK:川口

トゥーリオはなんで選ばれてないのか?(またケガ?)そのせいでちょっと予想スタメンに悩むことになった。
トゥーリオ&中澤のCBと阿部(守備)&鈴木(攻撃)のボランチのところが安定感を見せてただけに、どういう風にいじってくるか。アジア杯の形なら阿部と中澤で組ませて1つ前を鈴木(守備)&中村(攻撃)の組み合わせ。阿部&鈴木の安定性を重視するなら、トゥーリオのところに単純に坪井とか今野を当てはめるやり方もありかもしれない。

前線は縦タイプで組んでみた。

ここまでの日本代表が目指してるのは明らかに横タイプ。WGの場所に逆足の遠藤と俊輔を入れて、SBも利用しながら横の幅を大きく使ってじっくりとアプローチを仕掛ける。当然、相手はしっかりと組織を作った状態。

ただ、カメルーン戦でこのやり方とは180°違ったもの。WGに田中と大久保を置いて縦の意識を強く持たせたサッカー。組織を作る前の相手に素早く攻撃を仕掛ける。確かにオシムの目指すものとはズレてるのかもしれないけど、それはそれで可能性を感じさせた。WGに山岸と大久保を置いた形でもう1度試してもらいたい。
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2007-10-12 Fri 23:29
高円宮杯決勝:サンフレッチェユース×流経大附柏高校
<サンフレッチェ:4-2-3-1>
GK:原
DF:山根、宮本、佐藤、篠原
MF:岡本、内田、横竹
FW:中野、不老、大崎

<流経大柏:4-4-2>
GK:須藤
DF:中冨、天野、阿佐見、比嘉
MF:中野、村瀬、小島、名雪
FW:大前、上條

流経大柏のサッカーは守備をベースにして行われてたと思う。そして、その守備の内容が素晴らしかった。

流経大柏の守備の基本組織は重心がかなり前に偏ったもの。最終ラインが恐れずにかなり高い位置を取ることで、その前を高い位置まで押し上げてたと思う。同時にライン間の距離を近づける効果も生まれてた。この選手間の距離の近さが流経大柏の守備のベースにあったのは確かだったと思う。

最も基本的な個々の守備意識の高さは当たり前のものとして、さらにその1段階上の周囲の連動の所にまできっちりとした意識が向けられてた。1つ1つの守備が単発で終わらずに、2つめ3つめが連動することで効果的な挟み込みとか囲い込みにつながってた印象。そのときに距離の近さによって素早くそういう連動性を築きやすい状況が生まれたと思う。そういうやり方の中で相手の個々を孤立させて分断した。
そういう意味では最終ラインの設定は高い位置で守備をするためだけでなく、近い関係を維持するためにも使われたって言える。

さらに、こういうベースとなる守備の組織に加えてこの試合では相手との関係での守備のよさも見られた。相手との関係を考えると、とにかくきれいに組み立てさせないことが狙いとしてあったと思う。そのために相手のキーとなる場所をきっちりと押さえてきた。中盤のダイヤモンドの配置をうまく生かして、ボランチ(サ)×トップ下(柏)、トップ下(サ)×ボランチ(柏)の対応関係をはっきりさせた。

サンフレッチェとしては、コンパクトな相手の守備組織のせいでそもそも自由に使えるスペースがないのに、さらにキーとなる人まで対応されてしまって、苦しい状況に追い込まれたと思う。そうなったサンフレッチェの逃げ道としては、相手のブロックの外からのロングボールとかサイドに逃げるとかっていう選択肢もあったけど、そういう部分まで流経大柏はしっかりと対応してきてた。

まず、ブロックの外からのロングボールについてはFWがキッチリとプレッシャーをかけてたと思う。上にも書いたとおり流経大柏の守備ブロックはかなり高い位置に押し出されてるから、トップが相手の最終ラインを追いかけても後ろとの関係が離れることはなかったし、かなり深い位置の相手にまでプレッシャーをかけることができてた。結果としてサンフレッチェはラインの高い流経大柏に対してロングボールでプレッシャーをかけるっていう選択肢が制限されてしまったと思う。

さらに、もう1つのサイドの逃げ道もキッチリと押さえてきた。相手のSMFに対してはSBが基本的について自由に仕事をさせないようにしてたし、さらにそこにボールが入れば味方のSMFと協力して相手をサイドで孤立させた。これに関しても上に書いた近さをベースとしてる。
とにかく、サイドに限らず1×複数の関係を作るのが抜群にうまかったと思う。

そして、そこには個々の意識の高さがあるってのは上にも書いたとおり。単純な寄せの速さとかマークの部分はもちろんだけど、それに加えて流経大柏の守備には頭のよさを感じた。上からのプレッシャーでの相手の選択肢の切り方、次を狙うためのポジショニング、守備の勝負どころの判断、危機察知能力(高い最終ラインのウラのケア)などなどしっかりと考えた守備が見られたと思う。

最初に流経大柏の考え方が守備をベースに置いてるって書いたのは、こういう守備のよさだけの理由だけじゃない。そういう部分を強く感じたのは守備から攻撃への切り替えのところだった。このチームはボールを奪った後にとりあえず蹴りだすだけっていう大雑把なやり方がかなり目立った。

ただ、その大雑把なやり方が案外、相手を苦しめてたのも事実だったと思う。
それは流経大柏の2人のFWの動き方が厄介だったっていう側面が大きい。大前も上條もFW的ではない場所での動きが多くなったと思う。大前はやや下がった場所でのプレーを好んだし、上條は右サイドを中心に真ん中にこだわらずに色々な場所に動き回った。結果として相手が捕まえにくくなってしまって、2トップが浮くような状況が生まれた。
こうやって前線の選手がはっきりと抑えられてない状況だったから、大雑把なボールでも収まる確率が大きくなったって言える。

同時に徹底して相手の組織が作られる前に放り込んだやり方もよかったと思う。上條はサイドでも真ん中でもうまくボールを受けて起点になることができたし、大前も薄い相手に対して積極的に仕掛けることができた。これは敵の枚数が足りなかったりしっかりとバランスが取れてなかったことで少ない人数でも余裕が持てたからだったと思う。

とはいえ、流経大柏としても常に蹴りだすだけっていう攻撃を繰り返したわけでもなかった。しっかりと意図のあるアプローチでの攻撃の内容もよかったと思う。
ただし、そのときにも縦へのスピードは意識されてた印象。サンフレッチェの守備は最前線から積極的に来るような質のものではなかったけど、最終ラインでゆっくりと回すような時間はほとんどなかった。相手のゴールに向かって常に最短距離を狙うような意図があったような気がする。

で、そういう相手のブロックへのアプローチの上でサイドを使うことが多くなったと思う。
そして、ここも選手の近さをうまく利用してた。攻撃から守備への切り替えを考えたときに、守備時の距離の近さがあるだけに、切り替えで関係性を作り出すことがスムーズに行われてる。さらに、SBが高い位置を保ったり、トップが流れたりしながら、サイドに多くの人数をかけて近い距離を作り出してたと思う。

そういう数的優位に個々のランニングを組み合わせることで少ないタッチでのパス回しを実現したと思う。そういうリズムのいいパス回しで狭いサイドの局面を打開して敵陣深くまで入り込んで行った。

こういうサイドの打開ではうまくタッチラインを味方につけてると思う。タッチライン際でのボール保持は相手のプレッシャーの方向を限定させる。そのときに保持者自身が孤立してると意味がないわけだけど、ここでは近さとランニングによって選択肢が多い。結果として相手が寄せきる前に次の場所に抜け出せる。
そういう意味でプレッシャーの方向が1つ少ないメリットが生かされてると思う。それにサイドでは相手も奪いに来るわけだから、そこを抜け出すとある程度自由になれることが多い。

逆に守備でもタッチラインをうまく利用してる。サイドでは相手との距離を複数で一気に詰めることでタッチラインを実質的に味方の1人として使えてる。要するに相手の逃げ場はタッチライン側にはないわけだから。そうやって相手を孤立させる場面が多くなったってのは上にも書いたとおり。

ここまで書いてきたのは近い関係での打開のよさだけど、流経大柏はそこにうまく遠い関係も織り交ぜてきた。一応、トップへの大雑把なボールもその1つではあるけど、以下で書くのは横に対するアプローチ。

その中心にいたのは1ボランチに入った選手だった(誰だか分からなかったけど)。この選手がうまく左右に散らす役割を担ってた印象。しかも、そのときにシンプルな展開を意識してたのが印象的だった。ボランチのところで下手に時間を使わずに、あくまでも1つの経由点として左右にサイド(トップへのロングボールを含めて)へボールを展開した。ここにも縦への意識が出てると思う。

こういう状況でも分かるように流経大柏の大きな展開は積極的な意図が強かった。要するにある場所で手詰まりになったから、局面を変えるっていうような質ではなかった。あくまでも先手先手で相手の薄いサイドに展開するっていう質が多かったと思う。

こういう流経大柏のサッカーの内容はサンフレッチェにとっては相性が悪かった。深い位置まで持ち込まれることが多かったサンフレッチェの守備陣だけど、中盤での守備の内容にはよさが見られた。上にも書いたとおり最前線からの積極的な守備の意識はなかったから、枚数的にも厚くした中盤に相手が入ってたところで勝負をかける意図があったと思う。実際に中盤でのボールへの寄せの速さは際立ってたし、流経大柏の選手も自由にさせてもらえてなかった。

ただ、問題は流経大柏がそういうサンフレッチェの守備のよさをことごとく外してきたってこと。上に書いたように縦へのスピードによってそういう中盤の組織を作り出せなかったし、大雑把なロングボールも中盤を飛ばす意味では効果的だった。それに、サイドのところはやっぱりやや対応が薄くなる部分。
こうやって見てみると、流経大柏の攻撃がサンフレッチェの中盤のよさを外してるのが分かる。だから、サンフレッチェは自分達の形で効果的な守備ができなくなってしまったんだと思う。

同じように攻撃についても上に書いた流経大柏の守備のよさによって攻め手がなくなってしまった。でも、この点については後半になってある程度の修正を加えてきた。具体的にはSBを押し上げたっていうこと。
前半はサイドで数的不利ができあがって、相手に孤立させられてしまっていた。そこに対してSBが積極的に攻撃に出てくることで、打開策を探った。

そして、このアプローチは結果的に成功したと思う。サイドのところに空く選手ができはじめて、深い場所までボールを運ぶことができるようになってきた。
同時にトップが前半よりも動きを活発にしたのもよかったと思う。結果として深い場所に収めどころが生まれた。そういう流れの中で後ろの選手も出てきやすい状況になったと思う。そして、攻撃に厚みが加えられた。

ただ、逆にカウンターの危険が増したのも事実だった。失点シーンもそうだけど、サンフレッチェの上での守備がやや甘いことと流経大柏の縦への意識によって一気にゴール近くまで運ばれることが多くなった印象。

結果は0-1で流経大柏。隙なく試合を進めた流経大が勝ったと思う。
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2007-10-08 Mon 22:28
U-22:カタール戦(A)招集メンバー
今回は軽くコメント。

GK:山本海人、西川周作、林彰洋
DF:伊野波雅彦、水本裕貴、小林祐三、細貝萌、青山直晃、安田理大、内田篤人
MF:水野晃樹、青山敏弘、上田康太、家長昭博、本田圭佑、枝村匠馬、柏木陽介
FW:平山相太、李忠成、岡崎慎司、森島康仁

枝村の復帰を前向きにとらえたいと思う。もちろん梶山離脱の補填の意味が強いんだろうけど、それでもやっと走れる選手が入った。ボランチのところから一気に最前線まで飛び出していく動きに期待したいと思う。梶山よりはボールを持っての仕事は劣るだろうけど、その分ボールなしの動きでアピールを期待。まあ、先発で使われるかどうかが分からないわけだけど。
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