ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2007-11-30 Fri 00:33
クラブワールドカップ展望
■ヨーロッパ代表:ACミラン【CL・セリエA】

相手関係を見れば攻撃の主導権を握ることは可能だと思う。おそらくいつものようにSBにサイドを担当させ、中盤の選手が中に凝縮することで生まれる近さを利用したパス回しが見られるはず。横と縦の幅を使いながら、それぞれがうまくギャップに入り込んで何本もパスが回るってやり方が見られると思う。ボールポゼッションは握れるはず。
問題はそこからゴールへのアプローチをどうするかってこと。そのアプローチとして復帰のロナウドを使えれば面白い。ロナウド自身のコンディションがどうかは分からないけど、2トップになることでジラルディーノが生きてくるはず。ジラルディーノは絶対的に2トップの方が生きる選手。同時にインザーギとの2トップでは相性が悪いのが厄介なところ。
ただ、2トップにすると中盤の形をどうするかって問題が出てくる。最近の守備の形を見ると4-4-1-1で最後を固めるイメージが強い。そして、この守備の安定性を持たせているのがアンブロジーニ。本来の4-3-1-2になればアンブロジーニが外れるだろうからどうか?これに関しても相手関係を考えれば4-3-1-2でも十分かもしれないけど。
さらに、この4-3-1-2が守備にいい形をもたらすかもしれない。昨シーズンのマンUとの対戦で見られた前線からの戦術的な追い込みが見られれば怖いものはない。

■南米代表:ボカ・ジュニアーズ【リベルタドーレス杯決勝(第2戦)】

アウェー&1戦目でリードってこともあって、この試合では守備に偏った戦い方が見られた。極端に言えば、7人で守って3人で攻める方式。
守備は最終ラインとボランチのコンパクトな4-3のラインを深い位置に形成。この4-3をベースに真ん中のバイタルエリアを完全に消した(ボランチは中盤のボールへのアプローチとサイドのケアも)。結果、相手の攻撃はサイドに逃がされた。
問題は4-3が深すぎて、1つ前を自由に使われるシーンが多かったこと。最後を固めてれば問題ないけど、ミランを相手として想定すると完全にボールを支配されてしまう下地はできてる。
とはいえ、この試合は上にも書いたような特殊な状況。さらに絶対的なキーとなるリケルメの出場もない(らしい)。そういう意味で、どのようにやり方が変化するかってのが興味深い。

■北中米カリブ代表:パチューカ【情報なし】

■オセアニア代表:ワイタケレ【情報なし】

■アフリカ代表:エトワール・サヘル【情報なし】

■アジア代表(アジア2位):セパハン【ACL決勝】

中盤での守備が忠実。枚数的にも中盤を厚くしながら、相手のボールに対してのチェックを徹底して行い、それに対する連動性も高めることで相手の攻撃を途中で引っ掛けられる。
そして、セパハンの特徴はこういう中盤での守備からの一気の速攻。後ろからの飛び出しが豊富で次から次へとスペースへ入り込んでくる。このカウンターのキレはすばらしいと思う。逆に完全に引かれてしまうと強引なやり方ばかりになってしまうから、強い相手との対戦の方が力を発揮するかもしれない大物食いに期待したい。
それから、勝負に出たときのセパハンの3-5-2は脅威。本当の意味での3バックを作ることで高い位置での守備をさらに強化し、攻撃にかけられる人数を増やす。

■Jリーグ代表(アジア1位):浦和レッズ【ACL・Jリーグ】

アジア制覇後、イマイチ調子が上がってこないレッズ。それでも一発勝負の舞台では絶対的な強さを発揮する。そのベースは圧倒的な堅さをほこる最後の守備。5-2ブロックによって最後の最後のところを跳ね返す。ただ、この点についてはボカのところで書いたのと同じ懸念が考えられる。それはミランとの対戦で中盤を圧倒的に支配されないか?ってこと。中盤が消えてしまう本来のレッズの守備のやり方では、かなりの高確率で起こりうることだと思う。問題はそうなったときに、それでも自分たちの本来のやり方を貫けるか。最近のミランを見る限りではラストを圧倒的に固めれば、そう簡単には失点につながらないと思う。要するに自分たちのやり方への自信が要求される。そういう意味で、ここ最近の不調に選手が疑心暗鬼になってないかだけが心配。

■全体を通して

ここまで見ても分かるように守備的なチームが多い(見たことのないチームは除いて)。ミランもこの大会では攻撃の特徴を見せてくれるだろうけど、やっぱりベースとなるのは最終ラインを中心とした守備の力。逆に言えば、そういう守備にベースを置く安定感がここに出場する資格を得られたってこと。今大会でもロースコアの対戦が多くなるかもしれない。その中ではセパハンに注目してみたい。

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2007-11-29 Thu 02:26
マンU×ブラックバーン
<マンU:4-4-2>
FW:テベス-サハ
MF:ギグス-アンデルソン-ハーグリーヴス-Cロナウド
DF:エブラ-ビディッチ-ファーディナンド-ブラウン
GK:ファン・デル・サール

マンUの試合を見るのは今シーズン初めて。ダイジェストを見る中では、ルーニー-テベスの2トップの関係性とそれに絡む2列目以降の選手との関係に可能性を感じてた。ルーニーもテベスも近い関係での崩しはもちろん、2人がサイドに流れることによって真ん中をあえて空けるような流動性も興味深かった。そういう意味では、ケガによるルーニーの欠場でその点を見られなかったのは残念だった部分。ただ、それでも面白い点はいくつか見られた。

まずはルーニー-テベスの組み合わせでなくても注目すべき前線の関係性。今回はサハとテベスが組んだことである程度の役割分担はできあがってた。要するにサハが軸となってテベスがその周囲を回るって考え方。見方によってはテベスが1つ下がった縦の2トップとも捉えられる形だったと思う。

こうやって1トップ1シャドーの形がはっきりしただけに、ルーニー-テベスの組み合わせほどの前線の流動性は見られなかったと思う。サハは基本的には真ん中の位置から動かなかった。
それでもテベスが自由に動き回ったことで、前線での動きがある程度は生まれてたと思う。テベスは本当に自由に動き回った。サイドに流れたり、中盤に降りてきたり、ウラを狙ったり。前線での運動量が豊富で、積極的にボールを引き出してた印象。サハがあまり目立たなかった中で、テベスの動きが目立った試合だった。

そのテベスは左サイドに流れてくる動きを好んでたような印象を受けた。トップの位置に入るときも単純に待ってるんじゃなくて、左サイドから斜めに入ってくるようなことが多かった。それに特に目立ったのが左サイドの低めでボールを受けてからのドリブルでの仕掛け。これも中に切れ込んでくる質のものが多かった。さらに、左サイドでのパス回しに参加したり、単純に攻撃の経由点になるのも左サイドが多かったように思う。

こういうテベスの役割はある意味では期待通りのものだった。このテベスとルーニーが組むことによって(ルーニーも流れてのプレーを好むから)、前線の動きがかなり活発になるような形が想像できた。今回の試合では相手の守備の内容がよかったから、そのプレッシャーの弱いところに逃げたっていう側面があったかもしれないけど、前線での動きの豊富さは魅力的だった。

もちろん、このテベスの動きがそれだけで完結されてしまったら意味がない。そういう意味では今回の試合ではギグスのコンディションのよさが目立ってたのが好材料だった。運動量の多さが目立って、全体としてのフリーランニングが多くその質も高かったと思う。そういうボールなしの動きに加えて、本来のボールありの動きもいいものだった。この好調を維持してもらいたいと思う。

このギグスとテベスの関係性がいいものだったと思う。一番多く見られたのは単純にポジションを入れ替えるような関係性。テベスが左サイドに流れてくると、入れ替わるようにギグスがゴール前に入ってくるシーンが多くなったと思う。このギグスの動きによってテベスが抜けた真ん中のスペースが無駄にならない状況を作り出せたと思う。

それにテベスとギグスの近い関係でのよさも見られたと思う。テベスが左に流れることによって左サイドに厚みが生まれたから、その中でのパス交換もスムーズになった。それにどちらかがボールを持ったときのランニングによるフォローも多かったように思う。そういうランニングによって左と中の単純なポジションチェンジだけではなく、クロスの動きによって相手を戸惑わせるような動きも見られたように思う。

左サイドに関しては、こうやってテベスとギグスの横の関係によって崩すシーンが多くなった。そこにエブラの機を見た攻撃参加で厚みを増してくるみたいな。それに対して右サイドはブラウンとCロナウドの縦関係での崩しが多くなったような気がする。

そもそも今回の試合では攻撃におけるブラウンの役割がかなり大きなものになった。前線への攻撃参加ではCロナウドとの関係性でサイドに数的優位を作る質のものとか、Cロナウドが中に入ったときに前のスペースを埋める質のもの。
どちらも機を見てかなり高い位置まで入り込んだけど、こういうブラウンの積極的な攻撃参加はある意味では予想通り。アーセナル戦でもブラウンの攻撃参加から得点が生まれてるし、ダイジェストの中でもある程度は見られた部分だった。

今回90分の試合を見る中で興味深かったのがブラウンから前線に供給されるパスの多さ。普通に中盤で組み立てるようなときの攻撃のスタートは別にして、一発でトップに入れるようなボールの多くがブラウンから供給されてたような状況だった。

この仕事は本来はスコールズが担う役割だと思う。それがスコールズの欠場によってブラウンに移行してきたと考えていいものか。普通に考えれば代わりにスコールズの場所に入った選手が担うのがベストだと思う。ただ、今回の試合ではマンUボランチに対する相手のケアもしっかりしてた。結果としてサイドに逃げたような側面もあったかもしれない。

ただ、その役割が完全に右のブラウンだけに任されてたことを考えると、やっぱりチームとしてブラウンの果たす役割が大きいのではないかとも思える。この辺は今回の1試合だけでは判断できない点だった。

少なくともこの試合の前半はとにかく中長距離のパスはとことんブラウンが供給することになった。結果として攻撃のスタートが右に偏ることになってしまったと思う。しかも目立ったのがブラウンからそのまま1つ前のCロナウドに出す質のボール。だから右→右に進む質が多くなった。

もちろんこれは中長距離のパスでってことだから全ての攻撃が右に偏ったってことではない。ただし、左からの攻撃は左からのスタートによって生まれた。上にも書いたように中長距離のパスはブラウンからのものが多くなったから、左サイドは単純に地上から攻める質のやり方が多くなったと思う。ここで上に書いたようなテベスの左サイド流れが生かされることになった。

とにかく前半は右は右、左は左の攻撃が目立ってた。大きくサイドを変えるようなボールがあまり見られなかったから、相手のブロックのバランスもなかなか崩せなかった。加えて、真ん中から攻めていく攻撃がほとんど見られなかった。前半はサハが組み立てに関与する機会は皆無だったと思う。これについても相手の守備のバランスを大きく崩せなかったから、真ん中が空いてこなかったっていう側面があったような気がする。上にも書いたように、基本的にブラックバーンの守備の質は高かった。

こういう攻撃のやり方を見てみるとスコールズの不在を強く感じさせられた。前半は特に攻撃のバリエーションの少なさを感じさせられた。しっかり組み立てる短いパスと相手の高いラインのプレッシャーを与える長いパスの数のバランスはよかったと思うけど、基本的に攻撃が単調だった気がする。
スタートしたサイドから同サイドを攻め込み→ある程度まで行ったら中に針路変更(せざるを得ない状況を作り出される)→縦パス。っていう攻撃パターンだけで攻めてたと思う。

ボールを運べる選手、チャンスに絡める選手は多いけど、攻撃のスタートを切れる選手の不在によって攻撃のアイディアが乏しくなってしまった気がする。スコールズがいればバランスを考えながら、バリエーション豊かな攻撃のスタートを担ってくれていたと思う。早期復帰を願いたいところ。

とはいっても、前半はこの単純なやり方でも攻撃にある程度の深みをもたせることができた。これはさすがに技術力を持った選手の集まりというところか。相手がコンパクトな4-4-2のバランスのいい組織を作る中でも両サイドの相手のプレッシャーが弱いところに1つ起点を作れてた。そこで個の力(ギグス、テベス、Cロナウド)を意識させながら相手のブロックを徐々に押し下げていった。そうやって陣地を広げていくようなアプローチが見られたと思う。

このアプローチが成功したのにはブラックバーンの守備の特徴も影響してたように思う。というわけで、ここでブラックバーンの守備について。

ブラックバーンの守備は上にも書いたようにコンパクトな4-4-2のライン。組織の設定位置としてはトップの2が敵陣に入り、4-4が自陣に入るような場所に置かれてた。

2トップは積極的にマンU最終ラインにはプレッシャーをかけては行かないけど、最終ラインからの縦パス(ボランチとかその前のトップとか)に対するフィルターの役割を担ってた印象。これがマンUの攻撃のスタートがブラウンに偏った一因になったかもしれない。実際、ブラックバーンの選手が1人退場して守備が4-4-1になった(つまり、トップのフィルターが機能しなくなった)後はブラウンの攻撃のスタートとしての役割が一気に減ったような気がする。

で、ブラックバーンの守備の開始は相手が自陣に入ってきたところからだった。相手が自陣に縦パスを入れたところで、厳しいチェックを開始。このボールへのチェックは徹底されてた。それぞれが一気に距離を詰めて、相手のボールに自由な時間を与えなかった。マンUのボール保持者を自由にさせると手がつけられないことを考慮しての意識の高さだったように思う。

加えて自陣の守備においてはボールなしの選手も簡単にはフリーにさせなかった。1度ついた選手がしっかりと離さずにマークにつき続けてたと思う。そういうマークを離すのは受け渡しがはっきりとしてるときだけだけだった。こういう点を見てもまじめな守備の意識が見て取れたと思う。

この真面目な守備のやり方だけど、ある意味では1×1で見るべき選手をはっきりさせたやり方だともいえる。ボールへチェックに行くにしても、ボールなしの選手に対するマークにしても1×1をはっきりさせたからこそ局面局面の対応がきっちりできたという側面があったと思う。
逆に言えば、局面局面で1×1以上にならなかった。1×複数の対応ができなかったように思う。これがブラックバーンの守備の特徴。

だから、ブラックバーンの守備は仕事はさせないけど奪えないってことが多くなった。
分かりやすいのがサイドでボールを受けた相手のサイドの個(テベス、ギグス、Cロナウド)に対する対応。1人は絶対に対応するから、相手の好きなようにやらせることはない。縦へのコースをしっかりと切って、逆足になる中へ中へ追い込むことが多かった。ただ同時に、1人しか行かないから奪うこともできない。思い切って飛び込めば交わされる可能性があるから、対応してるけど勝負に行けないシーンが多くなってしまった。これが守備のブロックがズルズルと下げられ、相手に陣地を広げられた要因。

じゃあ、どうやって奪ったかといえば1つは最後の最後のところに人数をかけて奪うっていう単純なやり方。ズルズルと下げられるうちに低い位置の選手は必然的に増えるわけだから、最後に人数ベースのブロックを形成することができた。そこで跳ね返すことで相手の攻撃を瀬戸際で防ぐ。

もう1つは相手のミスを誘うってこと。自陣ではボールにも人にも忠実についてることは上にも書いたとおり。だからマンUとしてはギリギリのところとか相手の予想外のところを狙うしかない。そして、相手にとってのギリギリのところとか予想外のところは味方にとっても同様。結果、前半のマンUはとにかくパスミスが多くなってた。

結果、マンUが圧倒的に試合を支配するような展開にはならなかった。攻撃の途中のミスで流れがぶつ切りになることが多くなってしまったから。そういう意味では前半の2得点はラッキーだったと思う。1点はセットプレーから、2点目は完全なカウンター一発。2点目に関しては、かなり長い距離を走ってゴール前まで入ってきたCロナウドのフリーランニングは評価したいけど。

この2点で試合が決まったイメージもあったけど、後半開始直後のブラックバーンの選手の退場で完全に試合が決まった。前半は攻撃の組み立てにイマイチスムーズさがなかったマンUだったけど、相手が1人少なくなったことでスペースが生まれて自由な組み立てができるようになった。

上にも書いたようにトップのフィルターがなくなったことでサハに収まる縦パスが増えた。サハ自身も前半よりも中盤に降りてくる動きを増やしながら、積極的に引き出してたと思う。
これによってサイドだけではなくて真ん中からのアプローチっていう選択肢が生まれた。その中でアンデルソンが高い位置に入るシーンが生まれだした。前半はサイド起点の攻撃、途中で引っ掛けられる可能性が高かった中でアンデルソンが積極的に前線に出るシーンが少なかった、それが後半は積極的に前に入ってきてチャンスに直結する場所でのパスの供給が見られ始めたと思う。

それに左右の大きな展開が増えたのも印象的。サイドから同サイドへの組み立てが目立って効果的に相手をズラせなかった前半とは打って変わって、後半は一発の大きなサイドチェンジが目立った。特に斜めの質でSBから逆SMFまでっていう一番遠いよりのボールが多くなった印象。

ただ、こういういい流れもサハ→ナニの交代によって終わってしまった。おそらく、これは守備的な交代。そもそも後半はCロナウドの守備意識が高まってるのを感じさせられたけど、やっぱり右肩上がりの守備ブロックのイメージはぬぐえなかった(後述)。そこにナニを入れ、Cロナウドをトップの位置に押し出すことによってはっきりとした4-4を形成。ただ、攻撃を考えるとプレッシャーが多い場所でのCロナウドはあまり生きてこない。これは前々から指摘してることではあるけど。

さて、ここからがある意味では本題。マンUの守備のやり方について。この試合では守備に不安定な時間があって、結構相手に攻め込まれるシーンが多くなった。

そもそもマンUの守備は前線の前への意識が高かった。もっと4-4を作って受けるイメージが強かっただけに、ちょっと意外な部分だった。この前への意識は切り替えでの守備の激しさとか、トップの守備の追いかけの激しさに見て取れたと思う。

ただ、この前線の守備意識が序盤は空回りしてたような印象を受けた。前線の選手が思い思いに守備をして、連動性を築けてなかった。こういう状況だから見た目は積極的に守備をしてるように見えても、相手にとってはあまりプレッシャーになってなかったんじゃないかと思う。結果、トップを単純に狙うだけのブラックバーン一発のボールが予想以上に脅威になった。

そして、このトップへのロングボールに対してマンUは守備のギャップを露呈してしまったような気がする。それはDFだけがはがされるっていう状況。
マンUの最終ラインは前へ前への意識が高い前線に引っ張られてある程度高い位置を保ってる。だから、一発のボールに対しては戻りながらの守備を余儀なくされる場面が多い。そのときに前への意識が高い中盤以前がその戻りながらの最終ラインについていききれないシーンが多い。結果、DFラインだけで相手のトップに対応するシーンが多くなる。
とりあえず、その時点ではまだいいんだけど、相手の後ろからの飛び出しなんかに対する対応がしきれてないから、1つ落とされるとピンチになるシーンが多かった。

こういうDFラインがはがされてしまう弱点は昨シーズンから連続して見られるものだった。特にこの試合では(特に序盤は)2トップ+両SMFが自分の後ろに対する守備意識をあまり持ってなかったような気がする。だから、守備の組織が4-2-4みたいなイメージになっていた。

ただ、時間とともに前線の選手の前への守備意識が機能し始めてからは危ないシーンをほとんど作られなかった。具体的には前線の守備の連動性が見られ始めたってこと。ボールへのチェックに対して2つ目以降がうまく連動できるポジショニングをしっかりととるようになった。特に縦パス、横パスを狙うような動きはかなり効果的だったと思う。1つめの当たり方も、そういう次を意識したものに変化したから、相手も序盤のようには単純にトップに入れられなくなってしまった。

結果として多くの時間帯ではマンUが高い位置での効果的な守備を展開することができてた。前線からの頭を使った守備のやり方(1つめの当たり方と2つめ以降のポジショニング)によって高い位置でのインターセプトが増えたと思う。その中で万が一ラストの局面まで持ち込まれたとしても、そこではGKとCBが完全に蓋をしてこじ開けさせなかった。

後半の守備は2点リードもあってか勢いを落として受けるイメージを強くした。これは実際には前半にも見られた形ではあったけど、そのときとはやや質が違ってたように思う。

それは上に書いたCロナウドの守備意識。前半はCロナウドの守備負担が免除されてるようなやり方だったと思う。ギグスは4-4の中盤の4に入ってたけど、Cロナウドはそのラインに入っての守備はあまりせずに、むしろ次の攻撃を見越したポジショニングをしてた。そういう意味で右肩上がりの4-4-2ブロックだっていえる(守備でも4-2-3-1的になる場面も見られた)。

このやり方はプレシーズンマッチのレッズ戦でも見られた。そして、そのレッズ戦ではまさにそのCロナウドが戻らなかったスペースを利用されて失点された。そして、そういう部分の心配はこの試合でもあった。

でも、今回の試合ではハーグリーヴスがそのスペースをうまく埋めてたと思う。そういう意味ではハーグリーヴスの守備の担当エリアは他の選手よりも多かったことになる。それでもしっかりとそのエリアをケアし切れてた印象。だからこそ、ブラウンも積極的に攻撃に参加できるんじゃないかと思う。

そのハーグリーヴスは交代までずっと守備でのハードワークをこなし続けた。相手のボールに対しては積極的にかなり厳しいプレッシャーをかけて、自由にさせなかった。
加えて、特にハーグリーヴスの存在が生きたのが攻撃からの切り替えのシーン。前線の選手も切り替えを素早くして守備をする意識は見られたけど、ハーグリーヴスと比べるとやっぱり見劣りした。言葉は悪いけど、攻撃の尻拭い的な役割をきっちりとこなしてたと思う。奪われた後の守備には必ず顔を出して、ことごとく相手の攻撃を根元でつぶして行った。さらに、そういう場所で奪って再び自分たちの攻撃につなげられるシーンも多くなった。

こういう点を見てもハーグリーヴスの守備での役割の大きさが見て取れる。守備時にはケアすべきエリアの広さを物ともせず積極的にボールにアプローチをしていくし、攻撃時にも常に次の守備を考えてたような印象を受けた。
そういう意味ではこのチームの守備の心臓だって行っていい。特に攻撃的な選手が多いチームの中での仕事量は多いんだろうけど、それをきっちりこなしてた。現段階では上で散々取り上げたスコールズとハーグリーヴスの組み合わせが一番バランスがいいように思う。

Cロナウドの守備意識が後半になって強くなったのは上にも書いたとおり。同時にナニの投入でそれをはっきりさせたってのも書いたとおり。加えて、キャリックとハーグリーヴスの交代も似たイメージがあったかもしれない。ハーグリーヴスの守備負担大きさを考えての一連の交代だったような気がする。

この試合は2-0でマンU。でもちょっと内容に不満点があったのはここまで書いてきたことからもわかると思う。ルーニーとスコールズが揃った試合を見る機会があれば、違いをしっかりと見てみたい。

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2007-11-26 Mon 23:10
高校サッカー(神奈川):逗葉×日大藤沢
優勝の日大藤沢を中心のコメント。

<日大藤沢:4-5-1>
FW:首藤
MF:河瀬-福田-今崎、工藤-小宮
DF:福島-金井-佐藤-石山
GK:高橋

逗葉はマンマークを基本にした戦い方。序盤はこのマンマークが全く機能してなかったと言っていい。日藤はそのギャップをうまく突くことで、まず試合の主導権を握った。

ピッチ全体でのマンマークを意図してるから、逗葉陣内の守備陣の配置のバランスは上から見る限りではよくない。それでもケアするべき人がしっかりと見れてれば、そういうバランスの悪さも問題にはならないんだけど、序盤はマンマークなのにマークがルーズっていう状況が生み出された。結果としてバランスの悪さだけが目立ってしまっていたと思う。

そして、この逗葉のバランスの悪さ、もっと言えばギャップの多さに対するアプローチが日藤の1つの特徴。それは後ろからの飛び出しの多さだった。まずはこの点について詳しく書いてみたい。

日藤は1トップ(メンバー発表では福田と首藤の2トップが予想されてたけど、試合を見る限りでは縦関係になってた)の形としては理想のやり方を取ってきたと思う。確固たる1トップとそれをサポートする2列以降の動きの質の高さが目立ってた。

軸となるのは1トップに入った首藤。前線での動きの工夫が見られて、ある意味では攻撃を引っ張ったといっていい。サイドに流れたり、引いてきて受けたり、ウラを狙ったり。ゴール前では相手のマークを外すうまさも見せてくれた。それに味方にスペースを与える動きの質もかなり高かったと思う。これに加えて1トップ軸としてのポストプレーもきっちりこなしてたと思う。

この首藤が特徴的なのは自分でのシュートのシーンが多くないこと。作るところでの役割が多くて、フィニッシュは2列目以降の飛び出しに任せることが多い。そういう意味ではトッティ的な1トップっていう側面もあるかもしれない。その中でも得点っていう結果はしっかりと残してるわけだけど。冬の選手権では改めて注目したい選手。

チームとしてもやっぱりこの首藤を見る意識が強い。上にも書いたとおり首藤の引き出しの動きの質がいいから、あまり苦労なく首藤にボールが入るシーンが目立った。こうなったときの2列目以降の選手との関係のよさが多く見られた。

例えば引いてきた首藤とトップ下との縦のポジションチェンジ。相手がマンマークを基本としてきたことを考えると厄介だったと思う。さらに、首藤が作ったスペースにサイドの選手が斜めに飛び出してくる動きも豊富だった。
こういう入れ替わりの動きに加えて、近い場所で関係性を築く動きも豊富だったと思う。ボールに対してのランニングが豊富で、高い位置で攻撃の選択肢を増やすことができてた。

こういうトップとの関係に限らず、全体として後ろからの飛び出しの多さが目についた。ボランチの選手がトップの位置まで出てきたりっていうシーンも見られた。それに両SBも積極的に高い位置まで飛び出してくるシーンが目立った。
そうやって前線に厚みを加えることが、結果として選手の距離の近さにもつながり、近い関係性の創造が数的にも可能になってた。

こういうやり方のベースにあるのはやっぱりフリーランニングの量と質なわけで、そういう献身的な動きが繰り返し行われたことで攻撃がかなりスムーズに回ったし、相手としてもやりにくかったはず。

そして、この後ろからの飛び出しが序盤の相手の守備のまずさとうまく合致した。逗葉の守備組織のバランスが悪さによって、ピッチのいたるところに生まれていたギャップに後ろからの次から次への飛び出しが見られた。そういう後ろからの飛び出しに対して逗葉の選手はつききれなかったから、フリーな状態で入り込むことができてたと思う。

こういう展開の中で先制点を奪った日藤。ただ、この得点後は逗葉も守備のバランスを再確認してきたような印象を受けた。具体的には見るべき相手の再確認。これはとりあえず日藤の攻撃のスタートに対してはうまく機能した印象。

具体的には前線の形をはっきりさせた。最前線にワイドに開かせた3枚を配置し相手のSBへのケアする。ボランチに対してもはっきりと1枚ずつを当てた。これによって日藤は序盤のように好きなように前線に入っていくことができなくなった。トップにも簡単に入れられなくなったし、プレッシャーがかかって積極的な飛び出しの意識も減退してしまった。この時間はロングボールを放り込む形が多くなった。

逗葉としては少なくとも相手のスタートをつぶすこの守備のやり方を続ければよかった。にも関わらず、コンスタントに継続できなかったと思う。だから、日藤としても全く攻め手がなくなるってことはなかった。ちょっと我慢すれば相手の守備が弱まるわけだから。

もしかしたら逗葉は決勝戦用で新しいやり方をやってきたのかもしれないと思った。それぐらい全体の守備のバランスが悪かった。マンマーク基本なのに相手を放しまくってしまい、結果的に空いたスペースを有効活用されたのは上にも書いたとおり。
さらに致命的だったのが最後のギャップ。相手のラストパスに対して完全にフリーにしてしまうシーンが異様に目立った。マンマークなのにDFとDFの間に入り込まれてフリーって形も多く作られた。ちょっとよく分からない守備の内容だったと思う。

日藤についての内容に戻る。後ろからの飛び出しの豊富さに加えて、攻撃の特徴として見られたのが効果的な大きな展開。そもそもチームとして広い場所に展開する意思が強く見られた。フリーランニングを近い関係性でのよさは上にも書いたとおりだけど、そうやって狭い場所での関係に終始したわけではなかった。近→近→遠のバランスがうまく取れた効果的な展開。

これをフリーランニングの側面から見れば、ボールから遠い位置でも引き出しの動きが積極的だって捉えられる。
加えて出し手の質の高さも大きかったと思う。まず、広い場所とか遠くで空いてる選手を的確に見つけることができてた。そして、何よりも大きいのはその遠くの相手に対してピンポイントでパスが送れること。この精度の高さによって計算できる攻撃の形が大きく増加してると思う。

1つは横の質のボール。今回の試合で効果的だったのは右で作ってから左への大きな展開だった。左サイドにはドリブル突破がある河瀬がいた。右に作って相手を右の寄せてから、その河瀬へ展開することでボールを持った時点で河瀬の周囲にスペースがある状況が作り出せたと思う。いい工夫だった。

次に縦のボール。この縦のボールに関しては相手が前に出てきた後半に威力を発揮。前線の動き出しと相まって、一気に距離を稼ぐことに成功した。さらに、そこに後ろからの飛び出しのよさを加えることで効果的な攻撃につながったと思う。

注目すべきはこういう大きな展開(特に縦)の出し手になってるのが低い位置の選手だってこと。GK、最終ライン、ボランチあたりから精度の高い効果的なボールが供給されるシーンが多い。

特にボランチの2枚はこのチームの攻撃のスタートとして大きな役割を担ってる。相手の薄いところを見つけて、縦横にボールを散らしたところから攻撃の組み立てが開始される。もちろん大きなボールだけではなくて、単純なくさびのパスなんかも。攻撃時はボランチを経由させると考えていいと思う。全国に行けばこの試合みたいに楽にボールを扱わせてくれないだろうから、そこで真価が問われると思う。
ちなみに、ボランチの2枚は上にも書いたとおり攻撃のスタートの散らしだけではなくて、前線への飛び出しも積極的。1トップの首藤と同様このチームのキーになるとことだと思う。

攻撃のスタートはこういう大きなボールで距離を稼ぎ、仕上げのところは近い関係を築いて丁寧にって感じだった。

以下、守備面。

今回の試合では日藤が主導権を握ってる時間が長かったから、守備も攻撃からの連続として捉える方が自然だった。その攻撃時は後ろからの飛び出しが豊富ってことを考えると、最終ラインも高い位置まで引っ張り出されてる状況になってる(最終ラインの押し上げが前線を押し出してるっていう面も)。ここが守備のスタートライン。

相手にボールを奪われても、この最終ラインはすぐにラインを下げようとしない。あくまでも攻撃時のラインをキープすることで前線での守備の効果的に機能させる。攻撃時に高い位置に入る人数自体が多くて、それをそのまま守備に利用できるから高い位置での効果的な守備が可能になった。相手にカウンターを許さないのはもちろん、その守備が次の自分たちの攻撃につながることが多かった。

ここでは個々の意識が高いのも当然。切り替えの速さはもちろんだけど、中盤での守備の意識の高さが目立ってた。50/50のボールをほとんど自分たちのものにできた。これは意識の高さによって1歩目が速くなってたから。こういう局面局面の意識の高さが全体の流れにもつながったと思う。

こういう切り替えだけではなくて、組織を作った守備でも最終ラインを高く置いて高い位置に組織を作る意識が強かったと思う。そして、その高い場所で4-5-1のバランスを整える。ただし、トップの選手の追いかけは見られるけど(1発パスを防ぐため)、基本は受けるイメージが強い。高い位置でコンパクトな組織を作り出して、そこに仕掛けてきた相手を引っ掛ける意図があったと思う。

コンパクトなブロックは当然選手間の距離が近くなるから、引っ掛けられる可能性も高くなる。さらに、ボールサイドに組織を移動させることで縦だけではなくて横に対しても選手の距離を近づけた。そのとき、逆サイドはSMFがボランチの高さまで降りてきてカバーするやり方。

この前後と左右のコンパクトなやり方によって逗葉は中盤で全く作ることができなかった。チャンスにつながったのはウラへの一発のパスと相手の攻撃を途中で引っ掛けたときぐらい。人の距離が近くて窮屈な状況を作り出した日藤のうまさだったと思う。

ただ、このウラへの一発のパスは本当にチャンスにつながったのは日藤にとっては改善点かもしれない。高いラインを敷いているのにも関わらず、オフサイドをほとんど奪えなかった。相手がうまくボールを出せれば基本的には通ってた。失点もウラに入られてのシーンだったし。この点については相手のFWの井上の動きのうまさもあったと思うけど。

問題はウラに入られた後の対応。そうなれば当然戻りながらの守備を要求されるわけで、DFは必死にゴール前まで戻る。それに前線がついて来れてないことが多かった。結果として相手が後ろから出てきたりすると、全くマークがつききれてないシーンが目立ってしまった。この戻りながらの前後の分断は改善しなければならない。

最後に日藤の攻撃に戻って。ランニングの量の多さは上にも書いたとおりだけど、その中で目標とする場所がかぶるシーンが目に付いた。これが意図的か?事故か?
意図的だとすると素晴らしい工夫だと思う。マンマーク基本の相手に対して、味方に向かっていくような動きをしたら相手は完全に混乱する。味方に向かっていく=味方についている相手のマークに向かっていくってことだから。
3点目のシーンはまさにこういう形で奪った得点だったから、もしかしたら意図的にやってるのかもしれないと思った。

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2007-11-25 Sun 17:46
レッズ×アントラーズ
<レッズ:3-5-2>
FW:ワシントン-永井
MF:ポンテ、相馬-長谷部-鈴木-平川
DF:阿部-トゥーリオ-坪井
GK:都築

<アントラーズ:4-4-2>
FW:田代-マルキーニョス
MF:野沢-青木-小笠原-野沢
DF:新井場-大岩-岩政-内田
GK:曽ヶ端

この試合ではアントラーズの守備のやり方が注目点だった。シーズン当初は前への意識が高い守備をしてたんだけど、前に見たガンバ戦では低い位置にブロックを作って受ける形に。それがシーズンを戦う中での変化なのか、ガンバ戦用のやり方なのかってのが気になってた部分。

今回の試合ではどうだったかと言えば、前者のイメージが強かった印象。つまり、守備における前への意識の高さが見て取れた。これにはこの試合で絶対に勝たなければならないっていう立場上の要因もあったと思う。だから、序盤から超攻撃的な守備で試合に入った。

それが分かるのが1つ1つの忠実なチェック。ガンバ戦で見られた受ける形の中でもアントラーズの選手はチェックを欠かさなかった。でも、それはあくまでも相手が自陣に入ってきたらっていう受身の形。それに対して、今回は自分たちから積極的に追いかけていく、能動的なチェックが見られたと思う。

守備のスタートはトップの位置から相手の低い位置のボールに対して、最前線から一気に距離を詰めて相手に全く余裕を与えなかった。そして、その前線の追いかけに対して後ろがしっかりと次を狙うポジショニング。余裕がない相手のボールにはそもそも精度がないし、後ろが連動してくるから、途中で引っ掛けられるシーンが多くなった。

基本的にこの守備のやり方がピッチ全体で見られる。相手のボール保持者に対しては距離を詰めての対応で余裕を与えない。それに対して、周囲(前が戻ったりして)が囲い込んで奪ったり、しっかりと次を狙ったポジショニングで奪ったりする。

そういう意味では出し手に対する対応の素晴らしさだけではなくて、受け手に対しての対応も光ったと思う。出し手に対しての守備がしっかりしてるってことをベースに、次の狙いをはっきりさせて先回りする場面が多かった。そうやって狙いどころを定めてるから、出足に勝って相手より先にボールを触れるシーンも目立ったと思う。

そして、この受け手に対する対応の素晴らしさが特に目立ったのがレッズの前線3人に対するもの。ワシントン、ポンテ、永井に対するボールはことごとく前でカットした。バイタルエリアにいる3人に対してはしっかりとマークを密着させて、全く仕事をさせなかったと思う。
これによってレッズの前3人による攻撃は全く機能しなくなった。同時に真ん中からの単純な攻撃も不可能になったと思う。

それに加えてレッズはサイドに起点を作るやり方でも満足にやらせてもらえなかった。そのベースにあったのもやっぱりアントラーズの忠実なチェックなわけだけど、それをサイドでやられると逃げ場がなくなってしまったと思う。それにアントラーズはガンバとの試合でも書いたように、サイドの相手をつぶすのがうまい。1つめのチェックにすぐに複数が連動して、相手をタッチライン際で孤立させた。

そもそも序盤の時間のレッズは守備に多くの人数が引かされたこともあって、いい形での攻撃ができなかった。ボールを奪ったとしても、素早い切り替えのアントラーズの最初の守備がすぐに来るから、満足に次の展開ができなかったように思う。結果、7人守りの3人攻めで押し上げが図れないいつもの悪循環の状況に陥ってしまった。

このレッズの序盤の悪循環は、もちろんアントラーズの立ち上がりが素晴らしかったこともあったけど、レッズ自身の問題も大きかったように思う。
それは前線の守備意識。ここ数戦はこの前線の守備意識の高さがうまく機能してたと思うんだけど、この試合の立ち上がりはそれが消えてしまっていた。切り替えの最初の守備では追いかけるんだけど、ボールが自分たちの後ろに入り込んだときの守備の姿勢が見られなかった。結果、後ろに完全な5-2が形成されたと思う。

この5-2に対してアントラーズは積極的に仕掛けをしていった。
まず、2-3の間にできたギャップに入り込んだ小笠原の存在が大きかったと思う。1つ引いた場所でのタッチ数を増やしながら、ボールをうまく散らして攻撃のリズムを作り出した。
そのときに高いポジションを取るSBの役割も重要になった。新井場⇔小笠原⇔内田のパス交換によってピッチの幅を効果的に利用した攻撃のアプローチができたと思う。

そして、アントラーズの何よりの特徴はこういうSB利用の攻撃のアプローチのスタートから、相手のブロックに仕掛ける縦パスがスムーズに入る。これを引き出すのが前線の動きの多さと流動性。

このアントラーズの前線の流動性についてはこれまでにも何度か触れたところ。FWとか1.5列目的なタイプの選手を前線に4枚並べ、その下にトップ下的な小笠原を置くのは興味深い。ある意味では4トップにも見えるような形。

そして、この前の4人が本当に超流動的に攻撃を組み立てる。そういう動きの中で相手の守備のギャップギャップに入ってボールをつないでいくのがアントラーズの攻撃の組み立てのイメージ。その中でSBであったり、ボランチであったりが前に入ってきてさらに攻撃に厚みを加える。

で、この前線の動きがブロックへの仕掛けを容易にする。上に書いたように前線の選手が動きの中でうまくギャップに入り込む。そうやって相手から離れてくれるし、動きがあるってことが下のボール保持者にとってはスイッチとなり得る。
こういう中で引ききったレッズの守備陣に対しても無為な低い位置でのパス回しが続かずに、早いタイミングでボールを前線に送り込める状況が生まれてたと思う。

それから、この試合で特徴的だったのが爆発的なランニングの多さだった。今までのアントラーズに対して持っていたイメージは、もっとゆったりとした流動性。イメージとしてはガンバの中盤に似てる形だった。ゆっくりとポジションをローテーションさせながら、ボールも回すような。

それが今回の試合のアントラーズはもっとはっきりとしたランニングが目立ったと思う。ボールに対して後ろから抜く質のランニングが目立ったし、前線でも一気にスピードアップする爆発的なランニングが多く見られた。

そして、この爆発的なランニングが相手最終ラインにプレッシャーをかけることになった。つなぐ質のゆっくりとしたランニングだけではどうしても相手の最後のブロック自体にはプレッシャーがかからない(例えばガンバは組み立ては素晴らしいのに、最後は結局トップに頼る面が大きくなってしまう)。このランニングは後ろからボールを抜く質のものが多かったから、どんどんと相手選手を深い位置に押し込むことに成功した印象。

こういうランニングによってアントラーズのボール保持者には選択肢が多くなる。それに加えてアントラーズの選手には個での突破という選択肢もあった。前に少しでもスペースがあるなら、積極的な仕掛けが見られた。前が少しでも空けば遠目からでも積極的に狙っていくシーンも多く見られた。パスコースの選択肢だけではなくて、個の選択肢も多かった印象。

こういうアントラーズの攻撃のやり方をレッズの方から見てみると、かなり厄介だって言える。
人につくレッズの守備陣からしてみれば、上下左右に動き回る相手に対して引っ張り出されるシーンが多くなった。そして、そうやって最終ラインの選手が引っ張り出されれば、ボランチに入った長谷部とか鈴木が1つ下がってカバーに入る。

序盤は最終ラインが引っ張りされる→ボランチが最終ラインに入るっていう流れの中で中盤がスカスカになるシーンが多くなった。中盤がなくなって相手のボールに対して満足にアプローチを賭けられなかったからこそアントラーズのミドルシュートがかなり多くなった。同時にレッズはますます前後の分断が激しくなった。

ただ、ここでアントラーズのミドルが多くなったってのは別の見方もできると思う。それは、完全にアントラーズペースになっても最後の最後はやらせなかったってこと。本来のレッズの強みがこの時間帯にも見られた。
最後のところに人数をかけて、且つつくべき相手にはしっかりとつく。それは相手の後ろからの飛び出しに対しても徹底されてた。結果、アントラーズは最後のアプローチが不可能になってシュートの選択肢しかなかったって言える。

それでも、序盤は完全にアントラーズペースであり、いつ得点が生まれてもおかしくない状況だったのは事実。レッズがこの状況から脱したのは前半の15分前後からだったと思う。この時間になってレッズも相手のハイペースに慣れてきた面があったし、何よりも前線の守備意識の回復が大きかったと思う。

レッズの攻守がうまく回り始めたのは永井を中盤っぽいポジションに下ろしてからだった。これによって守備時の中盤のスペースが埋まり始めたのも大きかったけど、何よりも攻撃に与える影響が大きかった。

永井はこの時間から攻撃でも中盤っぽい役割をし始めた。低い位置に降りてきてタッチする機会が多くなったと思う。
その中で特に効果的だったのがサイドに流れてボールを引き出すプレー。前半に関しては左サイドに流れての仕事が多くなった。この試合で真ん中ではボールが触れなかったのは上にも書いたとおりだけど、サイドに出ることでボールが入る機会自体は増えたと思う。それでも相手のサイドの守備がうまかったってのも上に書いたわけだけど、それはあくまでもレッズのサイドが孤立してたから。WB+永井な流れてくることでシステム上の数的不利の状況は解消された。そして、そういう場所で1つの攻撃の起点を作ることに成功したと思う。

さらに、相手のSBにプレッシャーをかける意味も大きかった。序盤はアントラーズの両SBが高い位置を保って攻撃に絡んできたけど、永井のポジショニングによって守備に対する意識も持たなければならなくなったと思う。同時に逆サイドにはポンテが流れてくることが多くなったから、これによってアントラーズの両SBの攻撃参加を抑制することになった。

こういう永井の役割を見てみると、永井はやっぱり2トップの一角でこそ生きるタイプだと思う。後ろとの距離が遠いこのチームでは1トップのときには真ん中に張ってることを求められる。そういうプレーは永井に向いてないと感じた。前回のエスパルス戦よりも動きが生まれた今回の方が格段にチームに貢献したと思う。

とにかく、サイド利用のやり方によってレッズは流れを押し返すことに成功したと思う。結果、前後の分断が見られた全体のバランスも改善し始めた。そのときにこの試合のレッズは全体のブロックをいつもよりも1つ押し上げてたようなイメージを受けた。最初にブロックを作った時点では最終ラインの位置が微妙に高くなってたような気がする。オフサイドをいくつか取ったのが象徴的。

その中で守備の意識を前に向けることができてた。アントラーズの勢いに引っ張られてかは分からないけど、前線からボールに積極的にチェックに行く姿勢が見られたと思う。
この時点ではFWの守備意識も完全に回復して、トップからの効果的なチェックが見られたと思う。それに対する周囲の連動性の質も高くて、相手の組み立ての途中で引っ掛けられることが多くなった。そして、相手が中盤に入ってくれば当然のようにボールにプレッシャーに行く。立ち上がりの中盤スカスカ状態が嘘のようだった。

こういう状況だからアントラーズは思い通りの攻撃ができなくなった。SBが高いポジションを取れなくなり、レッズのコンパクトなブロックに対して中盤のギャップを探すのも容易ではなくなった。だから、立ち上がりはバシバシ入っていた縦パスもほとんど見られなくなってしまったと思う。結果、トップを狙う単純なロングボールの数が多くなった。

そういう状況でもなんとか相手のブロック内に入ると、そこはレッズの土俵。1つ入り込まれると本来の最後の堅さを前面に押し出して最後のところはやらせない守備に移行したと思う。

それに、全体を押し上げたことがアントラーズのカウンターを防ぐ意味での効果も生み出した。アントラーズはカウンターの質も高いチーム。前線の動き出しの素晴らしさがあるから、奪ったらすぐに縦パスを入れることができる。そして、その縦パスに対して人も一気に飛び出すことができる。
ちなみに、アントラーズのカウンターの上ではそれぞれの前のスペースを埋めるドリブルも効果的。

それはいいとして、レッズが全体を押し上げたことで、この最初の縦パスの入る位置が深い位置になった。同時にその縦パスに対する対応がしやすくなったと思う。そうやってスタートをつぶされたアントラーズはカウンターのよさも消されてしまうことになったと思う。

こうやって両チームが守備の質を高める中で前半の途中からはこう着状態に陥った。レッズと見劣らないレベルでアントラーズの最後の堅さも見られたから、レッズとしてもブロックに入ったら即ゴールまでってことにはならなかったと思う。
そして、こういう展開の中で新井場の退場だった。この退場後、混乱に乗じてレッズが一気に攻勢に入った。それをアントラーズが水際で抑えるって形で前半が終了。

後半はアントラーズはメンバーは変えなかったものの守備の考え方に変更を加えた。メンバーを変えなかった当たりには勝ちに行く意図が見られたけど、守備の形は完全に消極的なもの。トップの田代を残して4-4の組織を作るやり方に移行した。ガンバ戦ではそういう組織の中でも自陣に入ってきたボールに対してのチェックが見られたけど、この試合は完全に引きこもった。

この時点でアントラーズとレッズのやり方が逆転した。青木、岩政、大岩のラストの真ん中の固さを利用して跳ね返し続けるアントラーズと後ろからの飛び出しを増やして前の流動性を高めながら組み立てをするレッズの構図が見られたと思う。全くチームを逆にすると立ち上がりの展開のそのまま適用できる。

レッズは本山ウラのサイドを中心に深いところまで攻め入ったし、長谷部にしろ鈴木にしろ積極的に攻撃に参加して前線の厚みを増した。でも、アントラーズの最後の最後のところを崩すのは不可能だった。これも立ち上がりの展開の逆。

それでもレッズが主導権を握ったままに試合は進んで行ったわけだけど、その中で生まれたのがアントラーズの得点だった。アントラーズもカウンターのよさをベースに深い位置まで攻め入るシーンがいくつか見られたけど、このシーンもそうやって1ど深い位置まで押し込んだところからの流れ。
相手に1度ボールを奪われたときに切り替えの速さをベースに高い位置から相手のボールに対して激しく守備をしていった。その中で相手のミスパスを拾って味方ボールに。そこからの展開が得点につながった。

この一連の流れの中でレッズの中盤が距離を詰めきれないシーンが目立ってた。相手に中途半端な距離を空けて対応している間に、簡単にゴールまで持っていかれたシーン。
そして、皮肉にもゴールのシーンはレッズの守備のバランスが改善したことで生まれてしまった。本来のみんなが下げられた5-2の守備ブロックでは野沢が出てきた3バック脇にスペースはありえない。DFラインウラがあるのもありえない。守備のバランスが改善したことで、生まれたギャップにうまく野沢が入り込んでフリーでシュートを打ったシーンだった。

この得点後のアントラーズはしたたかだった。すぐに守備のバランスを整える交代をして逃げ切りに入った。そうなったときにレッズの攻撃面での問題が明らかになったと思う。

前回のエスパルス戦でもそうだったけど、レッズは引いた相手を崩しきる攻撃のバリエーションが少ない気がする。というか、レッズに限らずJリーグのほとんどのチームはこの問題を抱えてる(Jリーグにも限らないと思うけど)。組み立てまではうまくても最後の崩しのところでだからこそレッズがコンスタントに結果を残せる現状がある。

その中でこの試合可能性を感じさせたのが交代出場の小野のチャンスメイクだった。完全に引いた相手の1つ下のポジションでボールを受けると、視野の広さと技術力を存分に見せ付けたと思う。相手としても意外な質のボールが意外な場所に入ってくるから、対応しきれないシーンが多くなってしまっていた。小笠原にしろ小野にしろ1つ下がったポジションでのよさを見せてくれた試合だった。

最後にアントラーズのマルキーニョスについて。改めてだけど、この選手は本当にいい選手だと思った。絶対的なキープ力とか突破力とかっていうボールを持っての仕事も魅力的だけど、そのボールを引き出す動きを厭わない。トップの場所で待っているだけではなくて、常に動き回りながらボールを引き出す。そうやってタッチ数が多くなるから、ボールを持っての技術も生きてくる。
さらに、守備の仕事も厭わない。前半はトップの場所で守備のスタートとしての最初のチェックを忠実にこなしたし、後半は戦術上中盤に入った中でも献身的な守備を見せてくれた。
ぜひ、五輪代表のうまいタイプの選手にはマルキーニョスを見習ってもらいたい。

今回の試合でアントラーズが勝ったことで、優勝争いは最終節に持ち越し。エスパルス相手のアントラーズに比べると横浜FC相手のレッズの方が単純に考えれば有利だけど(自力優勝があるのもレッズ)、ここ数戦の勢いを見ると分からないかもしれない。

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2007-11-24 Sat 00:33
ブラジル×ウルグアイ
<ブラジル:4-5-1>
FW:ルイス・ファビアーノ
MF:ロナウジーニョ-ロビーニョ-カカ、ジウベルト・シウバ-ミネイロ
DF:ジウベルト-フアン-アレックス-マイコン
GK:ジュリオ・セザール

前回ブラジルの試合を見たのがイメージをぶっ壊されたコパアメリカの決勝。ブラジルらしくない中盤での繰り返されるチェックとそれに連動する周囲の選手の囲い込み。そういう効果的な守備で奪った後の、ブラジルらしくない縦一発の攻撃。全くブラジルらしくない堅守速攻のサッカーでアルゼンチンに何もさせずに3-0で優勝した。

ただし、そのときには1・5軍的メンバーで戦ってた。だから、ロナウジーニョだったりカカっていう1軍のメンバーが帰ってきたときにどういうサッカーをするかっていうのは注目点だった。
もし、ドゥンガがコパアメリカのサッカーを徹底して追及するなら、本来の1軍の選手を中心としないチーム作りもありえるんじゃないかとさえ思ってた。何しろ中盤は守備を求められ、攻撃ではその中盤の頭の上をボールが飛んでくわけだから。
でも、今回のウルグアイ戦ではカカとロナウジーニョがスタメン。とりあえず、コパアメリカのサッカーの徹底追及はないと考えてよさそう。

で、注目の試合内容。実際の試合内容はコパアメリカ的な側面を残しつつも、本来のブラジル的な側面も見えた。結果、全体として中途半端なやり方が多くなって、ウルグアイに主導権を握られる状況に陥ってしまったと思う。

まずは守備面から。守備ではボールにチェックに行く意図は見て取れた。トップから中盤にかけて、とりあえず相手ボール保持者に対する何らかのアプローチを取ろうとする姿勢は見て取れたと思う。
ただ、それがあまりにも中途半端だった。どういう意図を持って守備をするのかがはっきりしてなかった気がする。奪いに行くような厳しいものでもなく、次の選手が狙いやすいように制限して行くような質でもなく。ただ、なんとなくボールにアプローチを加えるようなイメージが強かった。

こういう状況だから当然、ウルグアイにとっては本質的な脅威にはならない。むしろ、その中途半端なアプローチに来るために空いてしまったギャップを逆に突いていったと思う。
ウルグアイの攻撃については後で詳しく書くけど、ブラジルの中途半端な中盤の守備は一切プレッシャーにはなっていなかった。結果として、ウルグアイが深い位置まで侵入するシーンが多くなったと思う。ブラジルの中盤での守備は結局全く機能せず、最後のところに人数をかけて跳ね返すっていうやり方に頼らざるを得なくなった。チーム全体が自陣深くに押し込まれる時間が長くなったと思う。

こういう形だから、能動的か受動的かという違いはあるものの、前回見たアルゼンチン戦と同じく相手に攻め込まれてる状況は変わらなかった。そういう意味では守備をベースに攻撃は一発でっていうやり方もありえなくはなかったはず。でも、実際にはそういう一発の質のパスはほとんど見られなかった。確かに守備のバランスが崩れたことでFWまでがかなり低い位置まで戻されたことも要因にはあったと思うけど、やっぱりカカとかロナウジーニョが入って攻撃のやり方が変わったっていう見方が妥当だったと思う。

ただ、本来のブラジルらしさが見られたかと言えばそういうわけでもなかった。一発のパスは使わないけど、縦への意識とか手数をかけない攻撃の意識は微妙に残ったままだったような気がする。
それが見られたのはロナウジーニョのプレー。この試合のロナウジーニョは全くといってもいいほどボールを保持する機会がなかった。ボールが入ると1タッチ、2タッチでシンプルにボールをはたくシーンが多くなった。ロナウジーニョは相手を集める選手だから、周囲の空いてる選手を使うってのは効果的なプレーではあるけど、そういうプレーに終始するのはロナウジーニョらしくなかった気がする。逆のカカもカウンターのシーン以外ではほとんどドリブルを見せてない。

この辺に攻撃の展開を素早くするような意図が見られた気がする。やっぱり1人の保持時間が長くなると、それだけ時間がかかるのも事実だと思うから。
それに上に書いたように攻撃における縦への意識も感じた。何でもかんでも縦へってことではないけど、本来のブラジルのイメージだと中盤でのパス回しみたいな横のアプローチの後に、満を持して縦へっていうやり方が多いと思う。それが今回の試合ではそういう中盤でのチームとしてのボール保持もあまり見られなかったような気がする。

ただ、そうやって早く早くと展開する中での連携ミスがかなり目立った。ある意味では落ち着きがないというか。相手の守備がよかったのも事実だけど、ブラジルの個々の能力ならボールを持とうと思えば持てたはず。チームとして落ち着きを加えるボールキープがあってもよかったような気がした。

逆に本来のブラジルらしかったのがSBの攻撃参加だった。カカとかロナウジーニョがシンプルにはたくプレーを繰り返したって書いたけど、その相手は多くの場合で大外を飛び出していくSBになることが多かったと思う。そのSBの攻撃参加を利用しながら、敵陣深くにボールを運んでいったと思う。というか、この試合のブラジルの攻撃はSBの攻撃参加以外に全く形を作ることができてなかった。要するに本来のブラジルらしさを見せた場所だけが機能したって言える。

同時に真ん中の薄さも影響してた印象。そして、この真ん中の薄さは4-5-1システムの影響もあったような気がする。
今回の4-5-1システムでは頭がルイス・ファビアーノで2列目にロナウジーニョ-ロビーニョ-カカが並ぶ形。このトップ下に置かれたロビーニョがチームに悪い影響を与えてた印象(ロビーニョ自身のプレーが悪いというよりも、トップ下っていう場所が悪かった)。

まずロビーニョが真ん中に入ったことによってカカとかロナウジーニョが両サイドに釘付けにされることになった。2列目の3の関係が固定化されて、その間での関係性が築きにくくなった。これがカカとロナウジーニョの外(SB)への展開につながったと思う。

それにこの2列目の固着化がボランチの攻撃参加を停滞させることにもつながったと思う。2人のボランチは攻撃の出し手としては機能するけど、受け手としてはうまく機能できなかった。結果、前線での選択肢が増やせなかったと思う。

さらにロビーニョが前への意識よりも後ろへの意識を強く持ってたことが悪影響を及ぼした。要するに縦関係の2トップというよりも、あくまでも中盤としての意識が強かったこと。結果として1トップのルイス・ファビアーノが孤立するシーンが多くなったと思う。
2列目で言えばロナウジーニョにしろカカにしろトップの場所に飛び出す動きはほとんど見られなかった。だから、1トップ脇のスペースをSBが利用するような状況まで生み出されてたと思う。

しかも、こんな感じで他のポジションが固着化する中でロビーニョだけは自由にプレーしてた。それ自体はいいんだけど、そのときにサイドに流れるシーンが目立った。これがさらに真ん中を薄くする要因につながった。ただ、ロビーニョにはドリブルが許されてたようで低い位置から1人で持ち込む打開力はさすがだった。

こういう点を見てみるとブラジルにはスタンダードなボックスの4-4-2があってるように感じる。トップ下の場所をあえて空けることで、中盤の流動性が増し、そこに前後(ボランチとトップ)との関係性を築く場所も生まれる。今回はトップ下にロビーニョを入れたことで、うまく流動性が築けなくて4-5-1が4-5-1のまま(SBの攻撃参加はあったものの)動けなくなってしまっていたような印象を受けた。

その中でがんばったSBのうちでは特にマイコンの活躍が目立ってた。上に書いたトップ脇にまで出てくるシーンが目立って、かなり深い場所でボールを扱うことができた。攻め手がない味方を助けたと思う。得点シーンも2つともマイコンからの展開だったし。
ちなみに2点目はこの試合の中では数少ないブラジルらしい攻撃だった。左サイドの狭い場所でボールをまわしてから、逆サイドの広いスペースのマイコンへっていう展開からだった。

こういう感じで精細を欠いたブラジルに対してウルグアイの内容は素晴らしいものだったと思う。攻守において個々の意識の高さと組織としての連動性が見られて、ブラジルを圧倒した印象。

そのウルグアイの形はやや変則的だったように感じた。4-4-2と4-5-1を併用してたようなイメージ。以下、図の通り。

---13--9--- 
7---18-----
--- 8-11--- 
4-- 3-2--16

2トップの一角である9番が右サイドを基本としたプレーが見られた。そこから斜めに中に入ってくることが多い。逆に左サイドの7番はドリブルで縦を攻めていくことが多くなったから、意図的な左右のバランス崩しだったと思う。

興味深かったのがこの左右のバランス崩しが守備の組織作りでも見られたこと。明らかに右サイドのスペースがぽっかりと空いてしまっていた。でも、ブラジルはそのサイドを起点とした効果的な攻撃を仕掛けられなかったと思う。
その理由はブラジルの攻撃の起点がほとんど右サイドに作られることが多くなったから。そして、それはウルグアイが意図的に追い込んでた側面も大きかったんじゃないかと思う。そうなればブラジルの右サイド(ウルグアイの左サイド)は4-4-2の左寄りと考えればストロングポイントに。結果、人数をかけた効果的な守備が可能になった。

とは言っても、この形の真意はイマイチつかめなかったってのが本音。今回は1時間圧縮版だったから、この点については特に90分じっくり見てみたかった部分。

この形については今後機会があれば見るとして、今回の試合では上にも書いたようにウルグアイの個と組織のバランスのよさが目立った。特に局面局面を切り取ると、素晴らしい場面がかなり多く見られたと思う。

まずは守備面。この守備の基本になってるのが最初の切り替えの速さだった。切り替えでの守備が時間稼ぎの単発のものに終わらずに、すぐに周囲が連動してきた。だから、高い位置での最初の守備がすでに相手にとってはかなりのプレッシャーになったと思う。ブラジルらしくなく、奪ったボールを蹴りだすっていうやり方が多くなった。そこで、無理につなごうとすればウルグアイが奪って一気にチャンスにつながることも多かったと思う。

次に組織を作ったときの守備。ここでも基本となる1つ1つのチェックを欠かさない。それに加えて、そのチェックの中で常に奪うことを狙っている姿勢が見られた。相手がちょっとでももたついたそぶりを見せれば、一気に距離を詰めて奪いに行く。そのときの球際の厳しさには南米らしさを感じた。

この1つ1つのチェックに対する周囲の連動も素晴らしい。上に書いたサイドに追い込むやり方でも分かるとおり、1つめのチェックとその際の周囲の連動によって相手の選択肢をかなり減らすことに成功した。ボールに対する最初のチェックに対して、周囲のそれぞれの選手が微妙にポジションを動かしながら相手の選択肢を削って行った。1つ目のチェックだけではなくて、その周囲の選手の決め細やかな対応にもそれぞれの守備意識の高さを感じさせられた。

結果、ブラジルはウルグアイのブロックへの最初の仕掛けが全くできなくなった。無為に後ろでパスを回すことが多くなって、その間にいつのまにか相手の守備網に引っかかっていった。
こうやって相手の攻撃に制限が加えられてるから、ウルグアイは相手の前でボールをカットするっていうシーンがかなり多くなった。事前の予測が可能なことをベースとした出足の早さによって、ボールが入ったら厄介な相手にボールを入れさせなかった。
ちなみに、相手の前で触れなくても相手の個を機能させないように密着してマークしたし、そこにすぐ次の守備が連動して囲い込みが機能してた。

こういう形のいい内容の守備をしているから、ブラジルに最後まで攻め込まれるシーンが少なかった。要するに途中で引っ掛けることができたってこと。そうやって守備ブロックが崩されない状況でボールを奪うことができたから、その後の攻撃もスムーズになった。選手の距離感がよかったから、奪った後の選択肢が多くスムーズな切り替えが可能になった。少ないタッチで次々とパスが回って、一気に相手ゴールまで迫ることができたと思う。個々の切り替えもよかったから、そこで飛び出してくる選手が多くて守備の勢いを殺さなかったのもよかった点。

この選択肢の多さは切り替えの後に限らず、全体を通して見られたと思う。そのベースになってるのはやっぱりランニング。特に後ろからの飛び出しが多くて、ボールをうまく引き出してた印象。
それにチームとしても近い場所に選択肢を作ることが徹底されてた気がする。ボールの近くには常にフォローを置いて、ボール保持者の逃げ道を作った。そして、この近くのフォローが相手の守備に対して大きな効果を発揮することになったと思う。

上にも書いたとおり、ブラジルの中盤での守備は中途半端だった。その中途半端な相手選手がボールに寄せてくるところを十分に引き付けて、近くのフォローにはたくっていうやり方が局面局面で多く見られた。そして、その時点でブラジルの守備ブロックはバランスが崩れている。そのうちに例えばDFと中盤の間にギャップができるようなシーンにつなげることができた。引き付けてはたくっていう繰り返しの中でうまくボールをつないで行ったと思う。

そういう意味ではウルグアイの攻撃はギャップの使い方がうまかったって言える。それは近い関係だけではなくて、遠い関係でも。大きな展開で薄いところに局面を替える質のボールが多く見られた。その中で外と中っていうピッチ全体を効果的に利用できてた印象。薄いところ薄いところを見つけながら、うまく相手のブロックに仕掛けて行った。

そうやって中と外を使ったわけだけど、攻撃の起点はサイドに置かれることが多くなった。これはブラジルのボランチを外す意図があったんじゃないかと思う。
本来的にブラジルは最後の真ん中を固める守備のやり方を取ってくる。アルゼンチン戦でも守りに入った時間は4-3をしっかりと形成するやり方を取ってきたし、今回も最終的にはCBとボランチの2-2を固めることで最後をやらせない守備のやり方を取ってきた。

これを考えると無理やり中から攻めて行くのは効率が悪い。そのために外に起点を作るやり方を取ってたんじゃないかって気がする。特に早い時間にはサイド深くをえぐるシーンが多くなった。そうやって攻撃に深みを与えながら、徐々に相手ブロックを深い位置に押し込んでいった印象。

そのときにうまく副産物も生み出したと思う。それはボランチを引っ張り出すってこと。例えばロナウジーニョはあまり守備をしないわけだから、そのカバーにボランチが出てこなければならなくなる。そうやって中の磐石な2-2を崩した。そうしてから、中のアプローチに入るってやり方が見られたと思う。

このCBとボランチの関係性へのアプローチとしては時折織り交ぜられる一発のパスも効果的だった。攻撃時は両SBに引っ張られて高い位置まで出てくるブラジルの最終ラインウラに単純なボールを放り込むシーンがいくつか見られた。そして、それが案外チャンスにつながった。
それはそういうボールによってブラジルの最終ラインが中盤からはがされる傾向が強いから。だから、一発のパスが直接チャンスにつながらなくても、こぼれ球を拾ってゴールに向かうことができてた。

結果は逆転負けを喫したもののウルグアイのサッカーの内容は素晴らしかった。このチームの動向は今後も注目したいと思う。その中で何人か気になった選手。

まずは変則システムの立役者になったスアレス。右サイドだか2トップの一角だか分からない中途半端な位置で、ゲッターだかチャンスメイカーだか分からない中途半端な役割を担ってた。右サイドで受けて縦をえぐるシーンがあったかと思えば、ゴール前で受け手になるシーンも。こういう中途半端な場所のプレーでブラジルの守備陣を混乱させた印象。

対して、逆サイドのCロドリゲスは一貫したドリブル突破。特に縦に向かうドリブルは効果的だったと思う。中に向かう質でも相手にとっては最後のブロックに向かって突進していく嫌な存在だったはず。
さらに、守備意識の高さもいいものを持ってる。ロドリゲスのサイドに追い込むことが多かったから、高い位置での守備ではかなり目立った。
こういう攻守における運動量も素晴らしかったと思う。

最後にボランチのガルガーノ。中盤の底に入ってDF前で守備の統率を図ってた。右サイドに相方のAゴンザレスが引っ張り出される中で、しっかりと安定感をもたらしてたと思う。さらに楔を縦に打ち込むような攻撃のスタートも担ってたと思う。

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2007-11-22 Thu 00:41
U-22:日本×サウジ
<日本:3-5-2>
FW:岡崎-李
MF:柏木、本田-細貝-青山敏-水野
DF:水本-伊野波-青山直
GK:西川

<サウジ:4-4-2>
FW:⑯ユーセフ-⑨アルサハラウィ
MF:⑳アルダウサリ-⑤アルガンナム-⑥アルハイブリ-⑦アルゴワイニム
DF:⑭シュハイル-④アルアムリ-⑱ジュファイン-⑫ファラタ
GK:①ワリード

形にしろやり方にしろ個人的な(あくまでも個人的な)希望を完全に覆された。別に個人的な希望どうこうはどうでもいいんだけど、やっぱりメンバーを見た段階ではバランスが崩れて押し込まれる状況が不安だった。特に相手がサイドのプレッシャーに対して5バックになることはかなり懸念材。

前半の立ち上がりは超ハイプレッシャー。イメージとしてはアウェーのカタール戦と似た形だった。トップから相手の最終ラインに対しても追いかけて、追いかけて、追いかけまくる。

ちなみに、この超ハイプレッシャーのやり方はカタール戦では機能しなかった。前から前から守備をしようとする前線の選手と、ある程度の場所で守備をしようとする後ろの選手との間に完全なギャップが生まれて、連動性が図れなかったと思う。
1つ1つのチェックも次のつなげるというよりも全ての場所が勝負になる単発の質のものが多かったから、相手に簡単にいなされてしまうシーンが目立った。結果的に、ただ無駄に追いかけるだけみたいな展開になって、スタミナの消費が激しくなってしまった。それが後半の逆転劇につながったのは知ってのとおり。

今回の試合でも前線の超ハイプレッシャーがしっかりとチームとして機能するかってのが問題になった。高い位置のチェイスに後ろが連動してこなければ、アウェーのカタール戦と同じようにスタミナだけを無駄に消費するっていう可能性は十分にあった。

でも、今回の試合ではその心配は完全に無用だった。高い位置でのチェイスに中盤以降もしっかりと連動して、序盤はサウジに全く何もやらせなかった。前線にボールが供給されずにかなり低い位置まで降りてきた相手FWに対して、日本のDFがかなり高い位置まで対応しに来てたのが象徴的。

こんな感じでチーム全体が前へ前へっていう意識を持ってたから、前線での激しいプレッシャーがダイレクトに機能した。高い位置にコンパクトなブロックを置いて、最初のチェイスに複数が絡んで囲い込んだり、次で奪いに行ったりっていう連動性も機能したように思う。

この時点で個人的な希望とは全く違った形とやり方でも安心して見られるようになった。それはチーム全体の意思統一ができてるのが分かったから。前への意識が全体に強く表れてた。
結果として一番の懸念材料だった5バックの形も序盤は見られなかった。序盤は両WBがDFラインに吸収されるようなことはなかった。WBは高めのポジションで前線での守備に参加する場面が目立ってたと思う。

ただ、あの超ハイプレッシャーを90分間続けるのは不可能だった。日本としても時間とともに徐々に守備の開始位置を低い場所に移行していった印象。
そうやって下がっていく中で相手に主導権を握られてしまったわけだけど、守備の移行自体にはそれほど悪いイメージはなかった。アウェーのカタール戦ではこの守備の移行時に前後の意思統一がうまく図れずに中盤が空いてしまう状況になったけど、この試合では少なくともチーム全体としての守備の移行は一体感を持って行われた。

それでも相手に主導権を握られてしまったのは、守備の移行のやり方以外のところに問題があったから。守備ブロックのバランスを相手に崩されたことで、深い場所まで持ち込まれてしまった。

特にサウジは日本の左サイドを徹底的につくってことがはっきりしてた。
サウジとしては、日本が守備の開始を低い位置に移行したといっても、さすがに真ん中の守備は堅かったから、サイドを使って深みを与えるやり方を作り出したんだと思う。それに3バックの相手のサイドを突くことはセオリー。単純に1×2の数的優位ができるわけだから、そこでは日本の連動した守備は機能しにくくなる。
そうやってサイドに起点を作り、深みを与えながら、真ん中へのアプローチをするイメージだったと思う。

このサウジの右サイドが活発なサイドへのアプローチは事前の展望でも書いたとおりだった。だから、日本としてもしっかりとそこに対するケアは考えられてたように思う。それは日本の守備ブロック作りに見て取れた。

日本の守備ブロックは3-3-3-1(3-3-1-3)のような形。

        李
岡崎--青敏--柏木
本田--細貝--水野
  水本-伊野-青山

前線では柏木を3トップの一角のような形として見ることで、ワイドな対応を可能にした。(ちなみに、前線の柏木-李-岡崎は守備のポジションをローテーションでやってた。ただ、李が頭に来ることが多かったと思う。)そうやってまず、相手のSBの攻撃参加に対するアプローチを行ったと思う。

システム的にはサイドの対応を2枚にしたことで、単純な1×2は回避することができた。ただ、問題になったのは予想以上にサウジが日本の左サイドに対して徹底してアプローチを仕掛けてきたこと。
事前の予想としては7番が自由に動きその外にSBが駆け上がってくるような単純な形だった。それが今回の試合ではトップの9番が流れたり、逆サイドの20番が入ってきたりと人数をかける意図が明確だったと思う。特に20番についてはカタール戦ではそういう質の動きをほとんど見せなかっただけに意外だった。

さらにSBの攻撃参加に対して前線のフィルターがイマイチ機能しなかった。簡単に前に飛び出されるシーンがかなり多くなったと思う。

要因の1つ目は前線のフィルターのポジショニング。岡崎とか柏木がSBに対してアプローチに行くのは、あくまでもそこにボールが入ってからだった。真ん中にボールがあるときには1-2みたいな形で真ん中に凝縮する。これはこれでボランチを抑える意図があったんだと思うけど。
そういう意味ではSBの上がりのケアというよりは攻撃のスタートのケアのイメージが強かったのかもしれない。だから、相手の中→外の展開の中ではSBに前に入って来られるシーンが多くなった。

2つ目は前後の距離にあったと思う。守備の開始を後ろに移行したとは行っても前の選手には守備における前への意識が強かった。守備のチャンスが少しでもあれば組織作りよりも先にボールにアプローチに行くことが多くなったと思う。
その姿勢自体は悪くないけど、少なくともそういう場面では3-3-3-1のバランスが微妙に崩れることになる。特にボランチの高さの3と前の3-1の間に微妙に距離が空いて、その間に入り込む場所を作ってしまうことが多くなった。
それでも上にも書いたとおり、アウェーのカタール戦と比べると一体感は改善してたけど、守備における優先度が低いサイドの局面ではギャップができたことで相手に主導権を渡してしまったような気がする。

こんな感じで日本は左サイド(サウジの右サイド)にうまく起点を作られてしまった。次から次への入ってくるサウジの選手に対して、日本の左サイドに人が足りない状況が生まれてたと思う。例えば逆サイドの20番の移動にあわせて、水野までが逆サイドの守備に入ってくるシーンが見られた。

これによって負担が大きくなったのが細貝。そもそもこの試合での細貝は相手の7番に対する対応だった気がする。事前の展望にも書いたとおり、相手の7番は自由にポジションを動かしてくるから、そこをうまく見る(本田からマークを引き継ぐ)ような役割を担ってた。そういう意味では細貝は左サイドの守備重視で試合に入ったことになる。これは試合開始直後に相手がイエローをもらったシーンでも見られた。
そうやって細貝が左サイドよりのケアをしたからこそ、序盤の本田の積極的な攻撃参加が生まれたとも言える。

そういう役割の細貝だから、相手が人数をかけてくる左サイドのケアに引きずり出されるのはある意味では仕方のなかった点。問題はこれによってDFの前にスペースが空いてしまったことだった。

基本システムの3-5-2ではDF前には細貝-青山敏が並ぶことになる。ただ、青山敏のこの試合での役割は相手のボランチのケアだった。だから、細貝とは縦関係で並ぶことが多くなった。それでも相手にブロックに入ってこられれば、戻ってきて細貝と基本的なWボランチを組むっていうような形になってたと思う。

この形が細貝がサイドに引っ張り出されたことで機能しなくなった。流れの中で一瞬0ボランチの空白が生まれてしまったし、狙い通りに青山敏が戻ったとしても1ボランチの形。
それにこれを見た青山敏の後ろへの意識が強くなってしまったことで、今度はボランチへのケアがはっきりできなくなった。
戻ったとしてもしっかりとケアできないボランチの場所を含めて、両方が中途半端な形になってしまった気がする。相手のボランチの選手が日本のボランチの場所に出てくるシーンが見られ始めた。結果としてサウジがサイドに作って中を使うっていう考え方が成功しかけたと思う。

ここで成功しかけたって書いたのは、完全に成功したとはいえなかったから。確かに日本のDFライン前にスペースが空く時間が見られたけど、そこに対してすぐに修正を加えてきた。

そこで大きな役割を果たしたのが前の3人。特に李を前線に残して、岡崎と柏木が守備に戻ってくるシーンが多くなったわけだけど。
この2人が守備に帰ってくることによって、ボランチの位置にできてしまったスペースのケアができた。柏木は単純にスペースに戻ってボランチの一角になることが多かったし、岡崎は対応する相手SBに最後までついて戻ってくることでサイドの守備の枚数を増やす効果を発揮した。そうやって細貝を本来のボランチの場所に押し戻そうとしたんだと思う。

こんな感じで一応は守備面の安定が図れたんだけど、やっぱり前の選手が戻ってきての守備の負担が増えることには不安を感じた。チーム全体としての守備意識の高さは結構だけど、このチームには何度も登場するアウェーのカタール戦の前科があるから。

ここまで何度か書いてきたようにカタール戦では前後の守備の分断が起こった。前線の選手はかなり厳しくプレッシャーをかけてるのに、それがことごとく無駄に終わった。要するに前線のプレッシャーむなしく、簡単にブロックに入られたって事。
そうなったときに前線の選手はスカスカな中盤のに戻って守備をした。自分の前後に対しての守備の負担が大きくなって、結果後半は完全に足が止まってしまった。

今回の試合もこれと似たような展開に見えた。前線の選手は自分の前への対応をがんばり、後ろへの対応もがんばった。後で詳しく書くように、前半は攻撃も前の3人に任された。この点もカタール戦との類似点で、前線の負担がかなり大きくなってると感じた。少なくとも前半はそういう可能性は十分にありえたと思う。

これが後半の守備の転換によって解消されることになった。後半は(しかも、時間が経つにつれて)まさに個人的な希望のピッタリの守備のやり方になったと思う。要するに自陣にバランスを重視したブロックを形成するっていうこと。
後半は3-3-3-1の組織を作ることをまず考えて、それから守備を始めるっていうやり方が見られたと思う。その上で自陣に入ってきたボールに対しては忠実なチェックを欠かさない。そのチェックにはすぐに周囲が連動してボールを奪いに行く。
この意図が明確なやり方でサウジの攻撃の怖さが全くなくなってしまった。

これは事前に書いたとおりカタール戦でも見られたこと。受ける体制を作られるとサウジは全く何もできなくなってしまう。個をベースにしたチームだけに前線で引き出すような動きが少ない。ある意味では悪いときの日本と似たイメージ。前線にボールを運ぶ術が全くなくなってしまう。

前半あれだけ活発だったサウジの右サイドも機能しなかった。前半はSBが常に高い位置に入ってたようなイメージだったけど、後半は逆にSMFが降りてきてボールを受けようとするシーンが目立ってた。前半はボランチの高さの3と前の3-1の間に微妙なギャップができたって書いたけど、後半は全員が自陣に引いたことで、そういう場所のギャップも問題なくなったと思う。相手が前半からのハイペースで運動量が落ちたこともプラスに働いた。

ちなみに後半はこれ以外にも微妙な修正をしてきた。それは相手のボランチへの対応。前半は上にも書いたように青山敏が対応してきたわけだけど、後半はそこにもう1枚が対応して2×2で完全に押さえにかかった。
前半の時点で相手は左サイドをほとんど利用してこなかったから、日本の右サイドが絞って対応することが多かったような気がする。岡崎-李-柏木(逆もあり)を左寄りに配置して逆が絞ったり、水野が対応したりってことが見えたと思う。

このやり方で後半の大部分は安定した戦いを進められた。相手に押し込まれるようになった最初は、相手が選手交代で中盤をダイヤモンドに変えてから。これにやや混乱が生じて、交代後数分は相手に押し込まれる展開になった。あとは相手が捨て身で前線に人数を増やしてきた最後の時間。それでも、このチームの持ち味である最後の堅さで乗り切った。

守備はこんな感じで前半から後半への流れの中でバランスがよくなったわけだけど、それに伴って攻撃も後半の方が機能した。そういう意味ではバランス重視で相手をじらし、強引に来たところを逆に攻めるっていう事前の考え方もあながち間違ってなかったんじゃないかと思う。

日本の攻撃を考える前にまずはサウジの守備から。
サウジの守備は1度4-4-2の組織を作って受ける体制を作ったところから始める。この組織はハーフェイライン近くから高い位置に置かれた最終ラインまでかなりコンパクトなライン。日本に中盤を使わせない意図がはっきりしてた。そして、ブロックに入ってきたボールに対しては欠かさない最初のチェックと近さを生かした連動性ですぐに複数の対応をしてきた印象。

その上で日本の攻撃のスタートに対してしっかりとチェックを行う。WB、ボランチはもちろんのことサイドに開いてスタートになろうとする最終ラインの選手に対してもしっかりとした寄せが見られた。

この時点でこの試合での日本の攻撃にはあまり期待してはいけないだろうなっていう予感がした。
ここまで何度も書いてきたけど、このチームはビルドアップがとんでもなく苦手。ちょっとでも相手のプレッシャーがあると、満足にボールをつなぐことができない。それに前にボールを運ぶためのヴァリエーションが恐ろしく少ない。
結果として最終ラインからトップへの最長距離の縦パスが多くなる。そんなところは相手もケアしてるに決まってるから、途中で引っ掛けられることが多い。

こんな中で前回のベトナム戦ではこの点についてある程度の改善が見られた。SBをうまく利用できたし、柏木がボランチに入ったことでうまくボールを散らす役割を担えたって言える。
でも、一番大きかったのはベトナムが攻撃のスタートに対してプレッシャーをかけたこなかったこと。完全に引きこもりのベトナムに対して日本は攻撃の組み立ての部分ではある程度自由にさせてもらえた。このベトナムのやり方は日本にとってはかなり助かった部分だった。

それに対してこの試合のサウジは上に書いたように、日本の攻撃のスタートに対して忠実にチェックをしてきた。その上3-5-2システムの中では前回機能した攻撃のスタートの数自体が少ない。SBは置かれてないし、柏木は1つ上のポジションに上がってしまった。これでは満足に攻撃を組み立てられないはずだと考えた。

その中で前半は最終ラインからの一発のパスが多くなった。そういう意味では満足に組み立てられてないって捉えられる。ただ、同時に言えるのは中盤をつぶしてくる相手に対してはセオリーどおりのやり方ではあったってこと。そういう意味で、これまでの悪い流れの試合での最終ラインからの一発のパスとはやや性格が異なってたと思う。

それは一発のパスの質が明らかに違ってたから。
悪い流れの試合ではとにかく人を狙う一発のパスが多くなった。それはトップに平山とか森島を置くことが多かったからなわけだけど。とりあえず、こいつらに当てとけばいいやっていう意図の薄い一発のパスが目立ったと思う。特にグラウンダーで通そうとするパスはことごとく引っ掛けられた。

それに対してこの試合では相手のウラに落とす質のボールが多くなった。人から場所への目標が変わったと思う。
そして、こういうボールには相手のラインを下げようっていう意図がはっきり出てるし、高いラインのウラに通ればそれこそ決定的なシーンにつながる。そういう意味では前線の引き出しの動きがよかったって言えるし、ここ2戦で走れるタイプを使った効果が出たと思う。

岡崎、李はもちろんこの試合で効果的だったのは水野への一発のボールだった。水野がサイドの低い位置から長い距離を走って相手のウラを何度も狙ったと思う。これによって単純な直線的なやり方が避けられた。斜めの質のボールで一層、相手のラインにプレッシャーをかけられたと思う。

とは言っても、やっぱり前半の攻撃はこういうロングボールに頼らざるを得なかった。それは前線の人数が足りてなかったからだと思う。
前半はここまで書いてきたように、守備に人数をかけなければならない状況だった。その中で多くの選手が引かされて、切り替えで一気に人数が飛び出せない形。結果として攻撃は前線の3人に任されることが多くなったと思う。
逆に相手は前線に人数をかけてて、切り替えでも効果的な守備ができてたわけで、そうなると奪った後に余裕を持ってつないでいるっていう時間はなかったと思う。だから、早めに前線に任せることが多くなってしまった。

それで3人が少ない人数でもうまく自分たちのボールにすることができたと思う。さすがに人数が少ない分、最後まで行けるシーンはなかなか作れなかったけど、1度自分たちのボールにできたのが大きかった。それで守備の組織を1度立て直す時間が生まれたと思う。だからこそ、相手に押し込まれる状況の中でもそれが続く悪循環にはつながらなかった気がする。

そして、ここで特に大きな役割を果たしたのが柏木だった。攻撃への切り替えの中でうまく1度経由点になってたと思う。そして、そこで1度絶対に落ち着かせることができた。その後の展開で息に攻撃に移れれば最高の展開だったけど、少なくとも押し上げの時間は作れてた。

とにかく、この試合でも攻守に渡る柏木の役割はかなり大きかった。それは、フィールドプレイヤーの攻守における仕事は一通り全てこなしてたんじゃないかと思うぐらい。

守備では最初の切り替えでのチェックと前線でのチェイシング。その後ブロックを作ると相手のスタートをつぶす役割。さらにブロックに入り込まれると、後ろのスペースのケアと中盤におけるボールへのアプローチ。
こういう積極的な守備のアプローチに加えて、味方がチェックをかけた次を狙ったり、味方と協力して囲い込んだりっていう仕事もこなした。
基本的にボランチからFWまでの全ての守備の仕事を行った。

攻撃では切り替え後の最初の時間作り。これはキープ力を生かして。その後の攻撃の最初の展開も担う。出し手としてはラストパスの供給役としても目立った。そういう意味ではゲームメイクからチャンスメイクまで幅広い役割を担ったって言える。この試合ではゲッターの場所に出てくるシーンが少なかったけど。それから、受け手として後ろのパスを引き出すことも多い。

柏木は完全にこのチームの核になった。ユース代表のチームのアジア予選から見てきた選手だけど、そのチームでも一貫してチームの核だった。はっきり言ってアジア予選の時点ではユース代表は柏木なしでは何もできないチームだったって言っていい。
そして、いつのまにか五輪代表も同じ状況になってきてる。今の時点で完全に替えが効かない選手。足元がうまくて走れて守れるっていう、このチームが待ち望んだ理想の選手(そういう選手はどのチームにとっても利用だろうけど)。
ユース代表ののアジア予選の最後の記事で柏木は上の世代でもやれるって書いたけど、今回も同じことを書きたい。柏木はA代表でも十分やれる。

ちょっと寄り道したけど、日本の攻撃についてに戻りたい。前半は一貫して前線頼みの一発攻撃に賭けてた日本だけど、前半の最後の時間に可能性のある攻撃が見られた。水野のドリブルから始まった一連の展開だったけど、近い関係の中で人が動いてボールが動くいい展開になったと思う。左右に相手を振るのも効果的だった。この攻撃が後半に期待をもたせた。

そして後半。守備の安定から日本の攻撃がうまく回り始めた。みんなが押し下げられた前半に比べて、多くの選手が守備でバランスよく配置されたから、攻撃に移ったときにスムーズに人数をかけられる状況になった。

こういう状況になって、期待していなかった日本の攻撃の組み立てができるようになった。確かに相手の中盤でのプレッシャーがやや弱まったこともあるんだろうけど、それでも今までの日本ではやっぱりうまく回らなかったと思う。

1つのパターンは左サイドの本田を経由させるもの。相手としてもスタートとなる本田にはしっかりと寄せてきたけど、それ寄せきる前に次の展開をした。それこそが走れる選手を使った賜物だったと思う。前線の動きが豊富で、早いタイミングで次の場所にボールを移すことが可能になった。

前半は相手のサイド利用の選択によって、サイド利用の選択肢がない日本だったけど後半は守備のバランスの改善が攻撃でのサイドの主導権争いの勝ちにつながった。そして、何よりもそういう場所のボール保持者に対するランニングの量が豊富だったと思う。結果、サイドが攻撃のスタートとして機能することになった。

この時点でこれまでのビルドアップが苦手な状況は出し手ではなく、受け手にあったことが明確になったと思う。やっぱり前線で足元に受けようとする選手ばかりを並べてる中でうまくボールを引き出せなかったっていう側面が大きかったはず。
問題は今後、どういう方向に向かうのか?ってこと。基本的にはうまい選手の代表である梶山とか家長はアクシデントによってこの2戦に“出られなかった”。走るチームが攻守に可能性を見せてる中でうまい選手が帰ってきたときにどうするか?監督のやり方に注目したい。

とにかく、後半は前線へのボール運びが抜群にスムーズになった。そして、そうやって前にボールが入れば後ろからの絡みも増えることになる。後半は動きの中でボールが周り、その中で相手ゴールに向かっていけるっていう目指す形の片鱗が見えたといっていい。最後の決定力には不満点が多いものの、作るところまでは最終予選では一番いい内容が見られた後半だった。

今回の試合は知ってのとおり、勝ったチームが五輪への出場権を手に入れるっていう非常に分かりやすい状況だった。加えて、本当に勝たなければならないのがアウェーのサウジだったことが、さらに面白い展開を生み出した。
中盤での両チームの攻防の厳しさは目を見張るものがあったし、切り替え(特に攻撃から守備へ)も抜群に速かった。内容としてはかなり質の高い試合が見られたと思う。

そして、両チームの個々の意識の高さ。中盤でのチェックを忠実にして、それに対する連動性も素晴らしい。前半は日本の守備のバランスが崩れたこともあって個で攻めるサウジが主導権を握り、後半はバランスを回復させた日本が組織として相手守備ブロックに仕掛けた。

その中で両チームのラストの堅さも目立った。日本は自慢の最終ラインが最後まで崩されることはなく、サウジもGKの素晴らしい守備に支えられた。ワリードのプレーは何試合か見たことがあるけど、ワールドクラスと言っていいと思う。

日本はこれで五輪への切符を手にしたわけだけど、まだまだ課題は多い。それでも、今後世界と戦えるのは大きな経験になるはずであり、それを無駄にしないようなチーム作りを期待したい。

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2007-11-20 Tue 21:55
U-22:サウジ戦展望
ここで勝った方(日本は引き分けも可)が北京行きという非常に分かりやすい試合に。

まずは、サウジについて。カタール戦の感想から。

<サウジ:4-4-2>
FW:16-11
MF:20-5-6-7
DF:14-4-18-23
GK:1

■注意すべき選手
(7番)
運動量が豊富。サウジでは珍しく、献身的な動きが目立つ。ボールに対する積極的な動きが多く、捕まえづらそう。右サイドにこだわらない流動性もあり、右サイドにスペースを空け23番の攻撃参加を促す。

(6番)
中盤の守備の要。中盤でのボールに対するアプローチを欠かさず、自陣での守備のスイッチを入れる。攻撃では散らし役として、こちらもスタートを担う。

(11番)
試合途中までとにかく基本ポジションがつかめなかった。サイド一杯に張ったり、中盤に降りてきたり。前線での動きが多くてよくボールを引き出す。こいつに入れるやり方がサウジの攻撃のアプローチの1つ。


■攻撃面
攻撃はやはり個人技中心。上に7番の献身性を書いたわけだけど、それを直接的にはあまり利用しない。
それから、組織としては攻撃のスタートでトップに入れる意識が強い。この試合はカタールがベタ引きで入ったこともあり、最終ラインでのパス回しが目立った。その中で行けると踏んだら、トップに縦パスを狙っていった。そこに2列目の7番とか20番が絡むのが1つの形。
あまりバリエーションの多くない攻撃なので、相手の個のスピードを落とすこと(スペースを与えないこと)とトップを押さえることをしっかりとしておけば、そうそう崩されることはないはず。実際にカタールの自陣守備に対して、サウジはなかなか前線にボールを供給できなかった。


■守備面
A代表よりも守備の内容はいいかもしれない。1つ1つが全て守備の勝負になり、単発が目立つA代表に比べて、このチームは連動性が見られる。1つ当たって、2つ以降が連動して挟み込むっていうやり方が多かった。
ただ、それに比べるとコースを限定して次で狙う考えは希薄。あくまでもボールを取るためのアプローチとしての中盤の守備だった。
ちなみに切り替えはしっかりやってくる。カウンターを狙うカタールにほとんどそのチャンスを作らせなかった。
守備では上に書いたボランチの6番は外したい。この選手が1つ目になり、それに連動する形が多いから。となるとサイドからの攻撃になるだろうけど、左サイドのが守備意識が薄い印象。


以上を考慮に入れながら、明日に向けての展望。

まず、絶対的にやるべきなのは意思統一。明日の試合は引き分けでもいい。もちろん、選手は口では勝ちに行くっていうに決まってるけど、本心の部分まで合わせてもらいたい。もう試合後の「攻めるべきか守るべきか…」なんて言葉は要らない。

で、個人的には(批判を覚悟で言うと)引き分け狙いでもいいんじゃないかと思う。勝ちに行く気持ちの中で相手に飲まれ、バランスが完全に壊れるのは絶対に避けなければならない。だったら、最初からバランスを重視した戦い方の方がいい形につながると思う。そのバランスのよさが結果的に攻撃にもいい循環をもたらす可能性もある。

こういう提案にはカタール戦でのサウジの姿もヒントになってる。この試合でカタールは立ち上がり、全くリスクを負わないやり方を取ってきた。全員を自陣に引かせ、そこで4-4-2の3ラインを形成。
はっきり言って、このカタールの4-4-2のバランスはよくなかった。自陣に全員が引いてるのに、4-4の間に広大なスペースができあがっていた。

にも関わらず、サウジは全くこのブロックにアプローチを仕掛けることができなかった。高い位置まで上がってきた最終ラインで横のパス回しを繰り返すだけで、その後の工夫が見られなかった。結果としてトップへの意図の薄いボールがつながらずに、攻撃が終わるシーンが目立ったと思う。

逆にカタールが攻撃に出てきた後半はサウジも効果的に攻撃に出ることができてた。サウジとしては相手が出てきてくれた方が絶対にやりやすいはず。基本は個の組み合わせだから、個が生きるスペースがある力を発揮できる。日本が前半からガンガン行くようだと、そこを突かれかねない。

だから、日本はまず安定したブロック作りから入るべき。自陣にバランスのいい組織を作り(その気になればカタールよりもいい組織が作れるはず)と自陣に相手が入ってきたときの忠実なチェックによって、サウジをじらす。サウジは攻撃に出て行きたいのに、日本が組織を作ることで焦りを生み出す。無理に攻めてきたウラを日本が狙う。これが現実的。

で、メンバーだけど、このチームのセオリーを見ても、報道を見ても今回は3バックで行きそう。でも個人的にはうまく回った前回と同じ4-4-2でいいんじゃないかと思う。相手の2トップに対しては左に伊野波を置いてるメリットを使えばいい。伊野波が引っ張られることによるバランスの悪さを考慮するなら、青山敏に代えて細貝を使う。それで、細貝にカバーリングを任せる形。

4-4-2で戦いたい理由は上に書いたように前回のよかった形を崩したくないのが1点。もう1つは交通事故でゴールを割られるシーンを極力作りたくないこと。

相手が攻撃的にくるとなるとおそらく両SBは積極的に攻撃に出てくることになる。このSBとSMFによって、サイドに1枚のWBは押し込まれる展開が予想される。これで5バックに。
さらに厄介なのが相手の11番。上に書いたように11番は動き回って両サイドに張るようなシーンも見られる。3バックを組むことを考えると11番についた選手が引っ張り出される状況が予想される。そうなればボランチがDFラインにカバーに入るシーンも出てくるはず。サイドの状況と合わせて、これで完全に押し込まれる。

確かにこのチームはラストの堅さがあるけど、極力相手をゴール近くに置きたくない。しかも、課全に押し込まれると圧倒的にボールを支配される厳しい展開にもつながる可能性が高い。

こういう展開につなげないために4-4-2の展開。サイドは単純に2×2の関係で不利になることはない。水野と本田の守備貢献を考えれば、相手のサイドを無力化することも可能かも。加えて11番に対しても受け渡しての対応が可能になる。
とにかくバランスを重視した戦いを期待したい。

最後に攻撃では相手の左サイド(日本の右サイド)を効果的に利用したい。サウジは攻守に渡って右サイドの方が動きが活発な印象。相手の6番のポジションを考えても、日本の右サイドの方が容易に崩しきれるんじゃないかって気がする。

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2007-11-20 Tue 02:31
レッズ×エスパルス
<レッズ:3-6-1>
FW:永井
MF:長谷部-ポンテ、相馬-阿部-鈴木-平川
DF:ネネ-トゥーリオ-坪井
GK:都築

<エスパルス:4-4-2>
FW:チョ・ジェジン-矢島
MF:兵働-フェルナンジーニョ-藤本、伊藤
DF:児玉-高木和-岩下-市川
GK:西部

両チームとも守備の基本的な考え方は同じだった。どちらも自陣に引きこもって安定した守備組織をつくり、その上で相手の攻撃を受けるっていうことを狙いとする守備のやり方だった。

そして、その守備の組織をしっかりと作るために両チームとも切り替えの中での質の高さも見られる。切り替えで最初の守備がスムーズに効いて、そこに連動する選手も多いから高い位置で奪えそうなシーンも多かったし、少なくとも自分たちの自陣の守備組織を作る時間は稼げた。結果として、カウンターが決定的なシーンにつながったり、DFが晒された状態で攻撃を食らったりっていう場面がほぼなかったといって言い。

こうやって自陣に人数をかけた守備をベースにして戦ったっていう意味では両チームとも共通の面があったわけだけど、その細かい内容を見てみると当然のように相違点も多く見られた。以下で両チームの守備を詳しく見てみたい。

今シーズン始めにエスパルスは何試合か見たんだけど、今回の試合を見る限り守備の狙いが1つ高い位置に移行したようなイメージがあった。
シーズン当初のエスパルスの守備の狙いはあくまでも最後のところだったと思う。最終ラインの4と中盤の3を深い位置でコンパクトにまとめることによって、バイタルエリアをつぶして相手の最後のアプローチを許さないっていうやり方が目立ったと思う。そういう場所に無理やりアプローチしてくる相手に対しては前後左右から素早く囲い込むことで、攻撃の芽を摘み取ってた。

こうやって深い位置で4-3を作るイメージが強かったエスパルスの守備だったけど、この試合では最終ラインを押し上げて1つ高い位置に同じような関係を作ろうと試みた印象。相手のボールの位置によるきめ細かなラインを上下が見られたけど、これによって低い位置のブロック形成からの抜け出しを図ってたような気がする。
こういう最終ラインの高い位置の設定が、中盤でボールを奪おうっていう質の守備につながってた印象。自陣に入ってきたボールに対しては必ず1枚が対応し、それに次、次と選手が連動する場面が多かった。この連動性は自陣に全員が入ったことにって生まれる近さを利用してたと思う。それにエスパルスはボールサイドに人数をかける意図が見られたから、それによっても近さを生み出したと思う。

こうやって中盤でも守備の意識を見せてボールにチェックを繰り返すエスパルスに対して、レッズはいつものように中盤ではある程度相手を自由にするやり方を取ってたと思う。これには鈴木の早期交代の影響もあったと思うけど、エスパルスの中盤のところに対しては一応アプローチはするものの、それはあくまでも一応であって、そこで奪ったり、その次につなげたりっていう意図のあるアプローチではなかったと思う。それに中盤のところにスペース全体を見切れない状況が生まれるのもある意味ではレッズらしかったと思う。

その代わり、これもいつも通りに最後のところは何もやらせない守備のやり方を取ってた。中盤とDFを一体としたブロックを自陣ペナルティーエリア近くに作って、人数をベースとして最後のところを固めてたと思う。

守備ではDF-MF-FWのラインの関係性も両チームとも違ったものになってたと思う。両チームともトップ(のラインに含まれる。つまりエスパルスならフェルナンジーニョ、レッズならポンテと長谷部を含む)の選手の守備意識が高いのは共通して見られた部分。
エスパルスはフェルナンジーニョとか矢島が効果的にボールを奪えるシーンが見られたし、レッズは前線の3人が交互に中盤に戻って守備をしてた。
ただ、こういうトップの守備をどう低い位置の守備に絡ませるかにそれぞれの特徴が現れて多々印象。そして、その特徴はDF-MFの関係にも当てはまるように感じた。

まず、レッズはこの3ラインのバランスをあまり考えていない。正確に言えば、レッズのやり方の中ではバランスが取れてるんだろうけど、3ラインの配置っていうっていう意味ではバランスが取れてないって言った方が適切だと思うけど。
DF-MFは本当の意味で一体になっていて、要するに中盤がDFに吸収されるシーンが多く見られる。セパハンとの第1戦ほどは完全に5バックみたいな形にはなっていなかったけど、それでも低い位置にとにかく選手を配置するっていうイメージが強い。
こういう低い位置の守備組織に前線の3の役割も影響を受けてる。その一番が中盤がDFに吸収されてしまったことによってできたスペースを埋めに入ること。そもそも中盤に人が足りないことが多いから、頻繁に戻ってきてスペースを埋める対応が目立った。

これに対して、エスパルスは3ラインをはっきりとバランスよく配置する意図が見て取れた。

DF-MFのラインはレッズと同じように一体感を持たせるって表現できるけど、その本質は違ったもの。エスパルスの場合はあくまでもDFと中盤を別のラインとして、その上でコンパクトな関係を維持したまま一緒に動くっていうイメージ。1ボランチの伊東が最終ラインのカバーに入るってことはあるけど、基本的にはDFと中盤の区別がつかなくなるようなことは見られない。

この低い場所のラインとトップのラインとの関係もレッズのそれとは違ったもの。中盤のスペースを埋める役割を担うレッズのトップとは違って、エスパルスのトップの役割はボールを奪うこと。中盤のチェックで足止めした相手に対してトップが戻っての守備で挟み込むとか、最後を固めたエスパルスの守備に対してレッズが作り直す質のバックパスを狙うっていうような役割が主なものだったと思う。ある意味ではレッズのトップよりは積極的な役割だったって言えるかもしれない。

こういうやり方を見ると、エスパルスの守備では前後の関係を重視してると思う。トップが下との関係でボール奪取を狙うのもそうだし、低い位置のDF-MFの関係も。エスパルスの守備でバイタルに入った相手をDFと中盤で挟み込むっていうやり方がベースとなってるのは上にも書いたとおり。そういうシーンはこの試合ではあまり見られなかったけど、それはそもそもバイタルエリアにほとんど入れさせなかったからだと思う。そういう意味ではDFと中盤のコンパクトな関係がそれを防いだって言える。

そして、エスパルスの一体感は縦だけではなく横の関係に対しても見られる。
例えば最後のブロックを見ると最終ラインは真ん中に凝縮してそれぞれの距離感を狭く保ってる。両SBが絞ることでラインの意識を高めると同時に、前との関係で真ん中のバイタルエリアをつぶす意識を強く持ってるんだと思う。
そして、こういう最終ラインが横の一体感を持って距離感を保ったまま移動する。こういうことが中盤でも見られるから(1つのサイドに引っ張られると、逆サイドが絞って中に入ってくる)全体としてみたときにボールサイドに人数をかけた守備ブロックにつながるんだと思う。

こんな感じでライン間の関係性に違いが見える両チームだけど、それは守備の最も基本的な部分の違いが反映されてる部分であるとも言える。それは人を見るかスペースを見るかって言うこと。

レッズは人を見ることがある程度はっきりしてる。特に最後の場所では完全に相手の人につく守備のやり方。その中では相手の動きの合わせて選手が引っ張り出されたりってことが日常茶飯事的に起こる。そうなれば周囲の選手はそのスペースを埋めようとするのは当然。そういう状況の中ではどの選手がどのラインの選手かなんてことはあまり重要な要素ではなくなるんだと思う。

逆にエスパルスはスペースを見る意図が強い。この試合ではポンテを見る伊東っていう関係性も作られてたけど、基本的には相手の使えるスペースをつぶすことで相手に仕事をさせない。これがここまで何度も書いてきた、エスパルスのバイタルエリアを消す守備にもつながってると思う。

こういう両チームの違いはどちらが優れてるかってことじゃなくて、スタイルの違い。特にこれが表れてたのが相手FWに対する対応。
エスパルスは前の3人がグルグルと入れ替わるレッズの攻撃陣に対しても自分たちの4-3の組織を守り続けた。そういう場所にボールを入れなければいいっていうイメージで、スペースをつぶしてその間にボールを入り込ませないことでうまく対応したと思う。結果としてその4-3ブロックにレッズがアプローチすることはできなかった。
対するレッズは相手のFWとフェルナンジーニョに完全に人をつけることで対応。マークを外さない守備でボールをトップに入れさせなかった。

もちろん両チームにゾーン的側面とマン的な側面があるのは当たり前。エスパルスは上に書いたようにポンテを見る伊東の関係をある程度はっきりさせてたし、レッズもDF前のボランチにフィルターとしての役割を期待した。
その中で両チームに共通してたのは、最後の部分の堅さだったと思う。守備の根本的なスタイルが違う両チームだけど、どちらもキーとなるトップとかトップ下の選手には全くといってもいいほどボールを触らせてない。そういう選手がボールに触るにはサイドに出たり、低い位置に下がってきたりっていう動きが必要になった。こういう状況では攻撃の効果的な展開は期待できないし、それをさせなかった両チームの守備の堅さは素晴らしかったと思う。

こうやってトップとかトップ下を効果的に使えない以上、両チームの攻撃はブロックを外した場所からのアプローチに頼ることになった。結果として両チームともサイドからの攻撃がかなり増えることになったと思う。

そもそもエスパルスはサイドからの攻撃を1つのスタイルとしてる。ただトップに入らなかったことで、いつもとはやや異なったアプローチの仕方が増えたんじゃないかと思う。
普段はトップに当ててから外への展開っていう方法が見られる。1度トップに当てることで押し上げの時間を作ることができるのと同時に、展開された選手が前を向いてボールを扱うことができる。
それが今回の試合ではトップに当てるのが不能になったことで低い位置のパス回しからいきなり外へ展開するっていう方法を取ることになった。とは言っても、相手が全員自陣に戻ったことでエスパルスの最終ラインはかなり高い位置を取って全体を前に押し出すことができてたから、厚みっていう意味では大きな違いはなかったかもしれない。

とにかく、この低い位置からの外への展開で一役買ったのが1ボランチに入った伊東だった。伊東は自陣ではもちろん、相手の3枚のフィルターのウラに入り込むことで、立ち上がりは浮いた存在になることができてた。そういうフリーな状態でサイドへのボールの展開を数多くこなしてた印象。
レッズとしても時間とともに3枚のフィルターに上下差をつけることで、しっかりと対応するようになったから前半の途中からはあまり見られなくなってしまったやり方ではあったけど。

このエスパルスのサイドからのアプローチの多くは右サイドに起点を作ることが多かった。これは最終ラインの右肩上がりの配置に原因があったと思う。
エスパルスの両SBは攻撃的な市川と守備的な児玉っていう役割分担がある程度固まってた。攻撃に入ると市川は常に高い位置に入ってボールを待つのに対して、児玉は前にボールが入ったところのフォローっていう形での攻撃参加が多くなったと思う。市川は攻撃時はSMFっていう仕事を与えられてたと考えてもよかったかもしれない。

そして、このエスパルスの意図的なバランス崩しがレッズのサイドの使い方に影響を及ぼすことになった。

レッズは左の平川から崩すシーンが多くなったし、その平川がフリーでボールを受けられるシーンが多くなったわけだけど、それにはエスパルスとの関係が表れてた印象。

1つ目の理由は単純に市川が高い位置を取ってくることで、対応するレッズの右サイドの相馬は深い位置に押し込まれることになった。

そして、2つ目の理由はエスパルスが組織を作る前の攻撃を考えた場合。このとき絵スパするの最終ラインは右サイド寄りに、つまり3バック気味に配置されることになる。4バックのうちの市川が前線に出てってるから、残りの3人でスペースを埋めるためのやり方として。
レッズのアプローチとしては3バックのどちらのサイドを使ってもいい。でも、左は上にも書いたように押し込まれてるわけだから、必然的に右サイドの平川を使うことになった。

さらにもう一点。これは相手が組織を作った後のアプローチの仕方。1つここでも重要なのは、前半の相馬は完全に相手に押し込まれてたってこと。市川の攻撃参加もそうだけど、兵働とか藤本も入れ代わり立ち代り入り込んでプレッシャーをかけてきた。

逆に考えれば、相手は右の守備が薄かったことになる。そして、レッズとしても最初の狙いはその左サイド(エスパルスにとっての右サイド)。だから、相手が組織をある程度作ったときにもレッズの攻撃の起点は右になることが多かった。
この左サイドに作るレッズの起点に対してエスパルスは、そのサイドに全体のブロックを偏らせるやり方を取るってのはここまで書いてきたとおり。結果として右サイド(レッズの左サイド)に人を密集させて、レッズの左サイドの縦の突破を許さなかった。
ここでレッズが取ったのが右サイドの平川への大きな展開。ここまで書いてきたとおり、エスパルスの守備ブロックはボールサイドに寄るから、逆サイドはかなり大きなスペースが空いてくる。そこへの大きな展開を増やすことでフリーの平川を使って深みを与えたり、最後のアプローチにつなげたりってことが目立ったと思う。

こんな感じで両チームとも右サイドをうまく使いながら攻撃に深みを与え、最後のアプローチにつなげようとした。ただ、そこでラストの精度の問題と相手の最後の堅さによって決定的なチャンスにつなげられなかったと思う。
レッズはシステム上サイドが1人になってしまうことが多かったし、エスパルスのSMFも中目でのプレーを好むだけにサイドが薄くなるシーンが見られたのも痛かった気がする。

これに対してレッズはもう1つのアプローチを使ってきた。それは相手の1ボランチを狙うやり方。そもそもシステム的に相手の1ボランチに対してレッズは2枚のトップ下が対応する形の数的優位。ただ、この時点ではエスパルスも両SMFの1枚が絞ることでしっかりと対応してた。
でも、そこに後ろからの飛び出しが多くなるとその選手が浮くシーンが見られ始めたと思う。序盤は特に阿部と鈴木が積極的に1ボランチのところに出てくることで、レッズが押し込むシーンが多くなった。その中で序盤のペースはレッズが握ったって言っていい。

ただ、この流れが鈴木の負傷交代で変わってしまった。交代の内館は少なくとも前半は試合の流れに乗り切れてなかったって言っていい。守備では相手の中盤へのチェックが鈴木がいたときと比べて明らかに見劣ってしまったし、攻撃でも思い切った飛び出しが見られなかった。
ちーむとしても鈴木退場から内館の投入までペースを落として戦ったことで、11人に戻っても序盤のような攻撃的な形を作れなくなってしまった印象。結果としてエスパルスに攻め込まれるシーンが増えてしまった。

これに対して後半のレッズは巻き返しを図ってきた。立ち上がりのネネとトゥーリオの積極的な攻撃参加がそれを全て表してたと思う。
まず、内館が復活したのが大きい。中盤でのしっかりとしたチェックが効いたことで前半ほど相手の好きなようにはさせなかった。内館は攻撃でも前線に顔を出す回数を増やした印象。
それに左サイドの相馬が怖がらずに高い位置に入るようになった。この攻撃的な姿勢によって前半とは逆に市川を押し込むシーンも見られてたと思う。後半は市川の攻撃参加が目立たなくなってた。
こういう局所局所の変化がチームとしての中盤の守備の復活と、攻撃時の前線の厚みにつながったと思う。

特に後者の前線の厚みは相手に与える影響が大きかったと思う。前半は1つ前で中盤の守備も機能させてたエスパルスが、完全にゴール近くでの4-3形成っていう個人的なイメージとぴったりな状況になってた。この4-3のブロックの最後の堅さは素晴らしいから、レッズとしては崩しきるところまでは行かなかったけど、主導権を握ったのは完全にレッズだったと思う。

これによって4-3が深い位置まで押し込まれたエスパルスは3ラインの関係を維持できなくなった。前後の関係の守備の中でトップが全く出てこなくなったし、エスパルスが跳ね返しても前線が遠い状況。結果、跳ね返したボールをレッズが拾って、エスパルスは押し上げられないっていう悪循環モードに突入した印象。

この後半のレッズの巻き返しを支えたのがポンテだったと思う。前半を見ても、この試合のポンテの負担はかなり大きかった印象。
この試合ではワシントンがいなかったこと、永井が完全に消えてしまったことで、攻撃をポンテに頼らざるを得ない状況が生まれてた。その中でポンテは前後左右にかなりの距離を動き回りながらうまくボールを引き出してたと思う。
でも、そうやってボールを引き出したポンテに対するチームとしてのフォローがほとんどなかった。完全にポンテの個の力に頼る面が大きくて、ポンテは完全に孤立してしまっていたと思う。だからポンテが半ば強引に仕掛けなければならないシーンが激増してた。

後半にレッズがペースを握ったのは相手がこのポンテへの意識を強く持ったことも要因の1つにあったんじゃないかと思う。ポンテに相手が引っ張られたことで長谷部とかサイドの選手が空いてくることが多かった。例えばポンテが相手SBに向かっていくと、そのもう1つ外のWBが完全にフリーになるっていう場面を作り出せたと思う。もちろん、後半もポンテは孤軍奮闘でボールを扱うシーンがかなり多かったわけだけど。

このポンテの負担の多さの背景には永井の中途半端な動きがあった。中途半端ってのは悪い意味で。後半こそ前の3人でぐるぐるポジションを変えてきたけど、前半の永井は完全に消えてたと言っていい。相手がFWの使えるスペースをつぶす中で、それを打破する意図のある動きが全く見られなかった。

個人的な意見を言わせてもらえば、もっとウラを狙う動きを繰り返してもよかったんじゃないかと思う。上にも書いたとおり、エスパルスは最終ラインを高くすることで中盤とのコンパクトな関係を築いてた。そのウラに抜ける単純な動きを永井が繰り返し、そこに単純なロングボールを放り込むって形を織り交ぜるだけでもかなり違ったはず。相手の最終ラインに後ろへの意識を持たせて、中盤との関係を希薄化させることで本来使いたい場所が空いてきたはず。
もちろん、相手がラインの上下をきめ細やかにやってきたこととか最終ラインが真ん中に凝縮することでラインコントロールがやりやすかったってのはあったかもしれない。それでも、たとえオフサイドになっても仕掛けることで変化が生まれたんじゃないかって思った。

この試合は両チームの守備の意識を表すように0-0。どちらも自陣に引ききっての守備をするだけに、攻撃側の最終ラインでのパス回しがかなり多くなった。攻撃からの切り替えがいいし、引きも早いから基本的に両チームとも遅攻をするしかなかったと思う。そういう意味ではゆっくりとした試合展開になったって言える。

それを一番よく表してるのがエスパルスのカウンターが皆無だったこと。エスパルスの攻撃パターンの1つとして守備からの切り替えの速さとそれをベースにした後ろからの飛び出しの多さが見られる。そういう意味ではセパハンと似たイメージの展開を予想したわけだけど。この試合ではそういう縦のスピードを一切生かせずにレッズにスピードダウンさせられてしまった。

もちろん、レッズの切り替えが素晴らしかったこともあるけど、エスパルスの根本的な弱点もあるのかもしれないと思った。相手が思い切って出てきてくれないとカウンターが威力を発揮しないってこと。エスパルスのやり方は攻撃型チームには効くけど、同じタイプの守備型チームには相性が悪いと思う。

それからこの試合のエスパルスはフェルナンジーニョがトップ下的過ぎたような気もした。トップがチョ・ジェジンと矢島だったからなのかは分からないけど、もっとトップ的な動き(フロンターレのマギヌン的)があると面白かったと思う。ないものねだりをしても仕方ないけど、岡崎(五輪代表で欠場)が入って、チョ・ジェジンを軸に上下の入れ替えを激しくしてたら、レッズの守備にもっと混乱を与えられたはず。実際にエスパルスの一番決定的なシーンはフェルナンジーニョがトップ的にウラに抜け出したシーンだった。

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2007-11-18 Sun 02:47
U-22:ベトナム×日本
<日本:4-4-2>
FW:李-岡崎
MF:本田-柏木-青山敏-水野
DF:伊野波-青山直-水本-内田
GK:西川

メンバーの印象が変わった。今季はじめののメンバーを思い出してみる。右が実際の今季はじめの形。下は同じ考え方で今回と比較するために4-5-1を作った形。

<3-5-2>                     
FW:平山-李                   
MF:家長、本田圭-本田拓-梶山-水野 
DF:水本-伊野波-青山敏          
GK:西川

<4-5-1>
FW:平山
MF:本田圭-家長-水野、本田拓-梶山
DF:伊野波-青山直-水本-内田
GK:西川

このメンバーを見ると分かるのが、とにかくうまい選手が集まってるってこと。技術力ではここ何世代かの五輪代表を上回ってるんじゃないかって気がする。技術だけなら黄金世代とも見劣らない面子っていってもいいかもしれない。
この技術力をベースにアジア2次予選を勝ち上がってきた。1試合ごとの細かい部分を見ると、不満点が多かったものの、結果を見れば余裕での勝ち上がりだったって言える。
この頃から谷口、枝村、増田、カレンといった走れる選手がメンバーに呼ばれない状況が日常茶飯事になって、完全にうまい人路線に突き進んでいったって言える。

ただ、最終予選に向けて、このうまい人路線が壁にぶち当たった。ボールが入れば持てる選手は多いのに、そのボール自体が入らないってことが多くなったと思う。レベルの低い相手との戦いでは、たいした努力をしなくても前線で待ってればボールが入ってきた。だから、前の選手が考えるべきだったのは、ボールが入った後にどういうプレーをするかだった。

それが最終予選に入って、相手が強くなったことでボール自体が入らなくなった。同じ引いて組織を作る形にしても、しっかりと隙を作らないブロックを形成した。結果として単純なパスは通してもらえなくなったと思う。
ここにきてこのチームのビルドアップの下手さが深刻な問題として見えてくるようになった。

この状況にまず対処しようとしたのが両サイドの水野と本田圭だった。2人ともかなり低い位置に降りてきてのボールタッチが増えた。確かに2人のボールタッチが増えたとしても、それは相手のブロックの外。状況は基本的には変わらなかった。
相手ブロックへの仕掛けは降りてきた本田からの一発のロングボールか降りてきた水野の低い位置からのドリブル。バリエーションが少なすぎた。

それにビルドアップが下手だから、無理なパスを途中で引っ掛けられるシーンも多くなった。その結果、ここでも水野と本田の仕事が増えることになった。2人ともかなり守備意識を高く持って低い位置まで戻っての守備が見られるようになったと思う。
そうなれば前線の枚数は当然薄くなる。攻められなくても上に書いた理由で、2人とも低い位置に降りてきちゃうわけだけど。結果として前線の枚数自体も減ってしまって、余計に前線にボールが入らない状況に陥ってしまった。

ただ、最終予選時点ではこの状況を打破できる選手がスタメンに入ってた。それが柏木。折り返しまでの前半3戦で柏木は1人で相手のブロック内でがんばった。スペースを見つけては走り回ってボールを呼び込む動きを繰り返した。
でも、それを効果的に利用できてなかった。連携不足の要因とそれに関連した意思疎通の問題があったと思う。動いてる選手にボールを出すには、それなりに出し手と受け手のタイミングが合わないといけないから。
さらに、ブロック内で動き回ってたのは柏木1人だけだったのも問題。相手としてもぐちゃぐちゃに動かれたら困るだろうけど、1人の動きにならなんとか対応できる。それに、柏木がボールを引き出したとしても周囲のフォローが少ないから、次の展開にはつながらなかった。

それでも、この柏木の存在が反町監督の心を動かしたのは事実だったと思う。最終予選の2戦目にはトップを平山から森島に変更してきた。前線で動気が作れない平山に見切りをつけたってことだと思う。要するに動きの重要性に気づいたってこと。
ただ、この時点ではまだ森島止まりだった。チーム立ち上げ時から一貫して続けてきた(最初の頃に違ったこともあったけど)軸タイプをFWに置く考えまでは変更できなかったと思う。

でも、この形を試した2戦で際立った結果が出なかった。それに続くアウェーのカタール戦でついに1トップに李を置いた。メンバー発表の時点では個人的には否定的な形だったけど、これがある程度の可能性を感じる結果になった。李が頭になったことで、蓋がなくなった柏木が十分に生きるようになった。結果は負けてしまったわけだけど、これはペース配分の問題であって、最終予選の中では一番アグレッシブなサッカーが見られたと思う。

そして、今回。出場停止などの関係で狙いの形が取れなくなった可能性もあるわけだけど、とにかくメンバーがうまい人から走れる人になった。2トップは前線で動き回れる岡崎と李。中盤には柏木と、このチームで戦ってる間に献身的な動きが目立つようになった両サイドの水野と本田。
走れる選手が多くなったことでビルドアップから相手ブロックへの仕掛けのバリエーションが増えたのは確かだったと思う。もちろん相手との力差は考慮にいれなきゃいけないわけだけど。

ここから本格的に今回の試合の内容について見て行きたいわけだけど、その前に相手ベトナムのおさらい。これについては前回のホームでのベトナム戦、アジア杯でのベトナム戦で書いたものと大きくは変わらないから軽く。

ベトナムの守備は自陣に4-4のコンパクトな組織を作るもの。自陣に引くといっても、ベタ引き守備ではなくてあくまでもバランスを重視してる。その中でコンパクトなブロックを作るから、最終ラインもある程度の高さを保つことになってる。これが1つめのポイントになる。ちなみに最終ラインはラインの意識が高いことも付け加え。
そして、この守備ブロックを基本としてはボールサイドに人を集めてプレッシャーをかける。だから、サイドからのボールに対してもろさを見せる。特に大外が空くのはA代表にも共通して見られる点。これが得点シーンに関わる部分。
この守備からの攻撃は切り替えがいい。奪ってすぐに縦に向かい、それに連動して多くの選手が一気に飛び出していく。

さて、これをベースに日本のやり方について見て行きたい。

試合開始時はフラットな4-4-2を崩さないような戦いが見られたと思う。その中で目立ったのは柏木を攻撃のスタートと置く考え方とトップへの単純なロングボールだった。

後者のトップへのロングボールに関しては上に書いた相手の守備組織との関連があったんだと思う。相手の最終ラインは高めに設定され、さらに中盤との関係性を重視する。その最終ラインの直接勝負をかけるボールを繰り返し、プレッシャーを与えることで、中盤の4から引き剥がす意図があったんじゃないかと思う。

このときに2トップが李と岡崎になった効果が現れた。2人とも単純に高さだけで勝負しなかった。平山とか森島だったら、とりあえず競り合いに持ち込むようなボールが増えたはず。それがこの試合は2トップの2人ともが動きながらもらう意図の動きも織り交ぜてきた。要するにウラを狙うってことなんだけど。
こういう引き出しの動きによって単純なロングボールがトップに収まるシーンも多くなった(競り合いだとこぼれ球含めて、五分五分の面がある)。相手のブロックが自陣に引くから、出し手がフリーになれたのも影響したと思うけど。とにかく、単純なロングボールで距離を稼ぎ、相手を押し下げることが可能になった。

そして、2つめの攻撃のスタートとしての柏木の役割。立ち上がりの時間は柏木が青山敏と横並びのような位置関係になって、低い位置でボールを触るシーンが多くなったと思う。そこから縦横へのパスの供給役として機能した。

このボランチの位置の組み立てができるってのはこのチームではかなり大きい。ビルドアップが下手なこのチームは、最終ラインからトップへの長距離縦パス1本を狙い続けてた。それではもちろん、途中で引っ掛けられる可能性が高まる。

それがこの試合の立ち上がりは途中に柏木が介在してボールの供給役になったと思う。そして、前線には引き出しの動きが活発な2トップがいる。2人とも(特に岡崎)は相手のDFの前後左右に顔を出して積極的にボールを引き出したと思う。特にくさびをもらうときには空いたトップ下の位置に降りてくることが多かったわけだけど。そこで縦パスが1つ入ることで、地上からの攻撃に深みの形成と押し上げに貢献したと思う。

柏木の組み立てに関しては、こういう縦の質の供給よりも横の質の供給の方がその意味は大きかった。このチームがビルドアップが下手な理由の1つはSBをうまく利用できてないことが上げられる。攻撃のスタートで横の幅を使わずに、いきなり最短距離を目指すからうまく行かないってことが多かったと思う。

この試合ではそういうSBにボールを入れる意識がいつも以上にかなり高かった。例えばホームのカタール戦では1試合のうちで本当に数え程しかなかったことを考えると、大きな意識変革だと思う。そのSBを攻撃のスタートとして、サイド→サイドで深みを与えたり、外→中で相手の目先を変えたりっていうバリエーションが生まれたのはよかったと思う。

こんな感じでスタートの時間は入りとしてはよかったと思うけど、同時に問題を感じたのも事実だった。それは、トップ下のスペースをどう埋めるか?っていうこと。
上にも書いたとおり、立ち上がりの時間はフラットな4-4-2を崩さない試合運びが見られたと思う。それが青山敏と横並びで組み立てをする柏木のポジショニングに出てるし、両サイドも積極的にポジションを変えようとしなかった。

こうなるとせっかく前線で動きを多くして、さらにボールをうまく呼び込んでるFWが孤立してしまう状況が生まれてしまう。今回は2トップだったこともあって、完全に孤立してしまうってことは少なかったものの、やっぱり最後のブロックへの仕掛けを考えると物足りない状況が生まれてた。せっかくトップにボールが入ってもその後の選択肢が少なかったり、トップが空けたスペースがスペースのまま残ったりっていうことが多くなったと思う。
これに対してもしっかりとアプローチをしてきた。その変化が見られたのは、ある程度自分たちが主導権を握った前半15分くらいだったと思う。ロングボールとサイド利用の攻撃で相手を深い場所まで押し込むことに成功し、相手のカウンターが目に見えて減った時間と一致したと思う。

この時間になって日本は中盤の形をダイヤモンド型に変更した。青山敏をDF前に配置し、柏木が1枚前に押し出されたポジションに入ったと思う。同時に2列目の本田-柏木-水野と岡崎を絡めた流動性も加え始めた。

で、それまで柏木が絡んでた攻撃のスタートをどうしたか?っていう問題がある。その役割をスムーズに引き継がないと、これまでのように最終ラインからトップへの直接パス狙いに変わってしまう可能性があった。
でも、その点は問題なかったと思う。SBを1つ経由させる形は継続してたし、2列目の3人が交互に降りてきて最初の部分を担うシーンも目立った。それに、何よりもこれまで以上に前線に動きがあったのが大きかったと思う。前線に入れ所が多かったから、相手ブロックへの最初のパスがスムーズに通ることになった。

この一連の流れの中で大きな役割を果たしたのが本田だった。今回の試合での本田は、このチームでは珍しく攻撃に専念できた試合だったんじゃないかと思う。その中で前半途中からの流動的な動きでの攻撃への影響はかなり大きかったと思う。
本田がトップ下の場所に入ってくる時間は攻撃がスムーズに進んだ。トップと近い関係を保てたし、同時に柏木との関係性も見られた。その中で真ん中に厚みをもたらして、近い関係で相手の最後のブロックに仕掛けるシーンが生まれた。

さらにトップ下の場所で1度ボールの経由点になれたのが多きかった。技術をベースに相手数人を相手にしても落ち着いてキープできてたし、結果として周囲のマークが薄くなった。そこからシンプルなパスで相手最終ラインに混乱をもたらした。
もちろん本来のサイドでも1つ高い位置でのプレーができてたわけだけど、今回はトップ下家長のような役割も同時に担ってた印象。

この前半の時間帯はいい内容が見られたと思う。トップに岡崎を置いた(そして相方に李を置いた)効果が現れて、前線に動きが生まれてたし、流動性の中でその2人の近くに選手を置くこともできた。そこにボランチの位置から絡んでくる柏木の動きも相手にとっては捕まえにくかったと思う。そして、それらの動きをキープ力とシンプルなパスで操る本田。
少なくとも真ん中では動きが多かったし、近い関係性での崩しも見られたと思う。
それにそうやって前線に人数をかけたことで、相手を完全に押し込むことに成功したと思う。相手のバランスのいいブロックの狙いは完全に崩れ去って、ゴール近くに多くの選手が釘付けにされてた。だから、跳ね返したボールを日本が拾って2次、3次攻撃につなげるっていうシーンも目立ってたと思う。

ただし、前半の流れとは打って変わって後半は完全に相手ペースになってしまった。その要因の1つはベトナムがプレッシャーを1つ厳しくしたこと。ベトナムも意地があっただろうし、日本に余裕をもたせてた中盤の守備にしっかりと修正を加えた。
こうなってくると日本はもろい。これまでも何度か書いてきたけど、日本はちょっとした相手のプレッシャーに焦る。
だから、前半にビルドアップがうまく行ったのも、相手のプレッシャーがなかったからってことも言えるはず。これまではSBとかボランチに相手がしっかりと対応してきてたから、それにビビッて使えなかった。それが今回はベトナムが全員自陣に帰ったことでそういう場所へのプレッシャーがなかっただけ。

とにかく、後半はベトナムがボールに対するチェックを厳しくしてきた。結果としてあたふたする場面が多くなって、全くボールが運べなくなってしまったと思う。簡単なミスで(前半もあったけど)相手にボールを渡してしまった。結果、一気にカウンターを食らうシーンが激増した印象。これについては、後半は前線での動きが少なくなったことも影響してたと思うけど。

そうやって後半の悪い内容を考慮しても、今回の試合が攻撃への意識変革への第一歩になる可能性を感じさせた。紆余曲折を経てやっとA代表につながるやり方に戻ってきたような印象。それでも、あのA代表のやり方は一朝一夕にできるものではないから、まだまだ不十分な部分も多いわけだけど。

まずはSB利用のやり方。スタートのところでSBを利用できただけでも、このチームには大きな変化だっってことはここまでも書いたとおり。ただ、次の段階に進めてなかったと思う。

それはSBの役割を出し手から受け手へと変化させるやり方。
SBを出し手として横の揺さ振りから中を空けたり、サイド→サイドで深みを与えたりっていうやり方は今回の試合でも見られた。ただ、そうやって相手を押し込んだ時点でSBが高い位置に入って受け手として機能することができなかったと思う。

このチームを考えるとA代表とは違ってSMFにサイド的な選手を使ってるから、やや役割は異なる。A代表ではSBがい1つ前を中に押し込んで厚みを加えさせる役割を担うけど、このチームでSBに求められるのは1つ前のSMFとの関係性。
ただ、どちらにしても高い位置でSBがボールの受け手となることで、単純に前の人数が増えて選択肢が増えることは変わらない。むしろサイドに受け手をSMFでもSBでも担える(もう片方が関係を作る)分、五輪代表の方がバリエーションは増える可能性がある。
この試合でもいくつか見られたけど、SBがタッチライン際にこだわらずに中に絞る動きなんかがその1つ。A代表では遠藤とか中村をサイドに張らせて、SBが中に入ってくるっていう選択肢はなかなか生まれないと思う。

とにもかくにも、こういう関係性の構築のためにはSBが高い位置を取ることと1つ前との意思疎通を図ることが重要になってくる。そして、この試合ではそういう点での問題が見られた。
高い位置を取ることについては後手に回ることが多かったと思う。前の選手に入ってからっていうタイミングでのオーバーラップが目立った。だから、関係性を築くのが1つ遅れてしまうし、後半にカウンターへの怖さが出てからは完全にサイドの選手が孤立するシーンが目立ってた。
さらに意思疎通の問題。これは特に右サイドの水野-内田の関係に問題を感じた。2人の間のズレが最後まで縮まらずに、結果として右サイドからの効果的な崩しにつながらなかったと思う。

もちろん五輪代表がA代表と別チームなのは分かってる。でも、今回みたいに力差がはっきりした試合でSBを効果的に活用できるかどうかは、A代表との関連を考慮しなくても大きなポイントになる。
A代表みたいに相手の2トップに対して2CB+1ボランチで戦うほどの力がなくても(実際、途中からは青山敏が鈴木的役割に入ってたけど)、最低でもどちらか1枚は深い場所で攻撃に関与したいところ。それがこの試合ではスタートのところではうまく関与できても、最後のところへの関与が少なくなってしまっていたと思う。右の内田の意識自体は高かったけど、上に通り水野とのズレが最後まで埋まらなかった。

普遍的な部分では選択肢を生み出す動きがまだまだ少ない。これまでよりは前線の動きが増えたのは上にも書いたとおり。結果として相手のブロック内にボールを入れることは可能になった。でも、相手のブロック内での仕掛けを考えるとやっぱり物足りない面が大きかったと思う。

要因の1つは遠ざかるランニングの多さ。2トップは組み立てのところ(くさびを受ける場面)では近づくランニングが見られたけど、その後は一貫して遠ざかるランニング。他の選手も遠ざかるランニングが多かったと思う。足元でもらう意識が減ったってことは大歓迎だけど、パス回しを考えると近くに選手がいなかった。結果として選択肢が少ない状況が生まれたと思う。その中でその限定された選択肢を選んで、コンパクトに組織されて選手間が近い相手に引っ掛けられるシーンがふけた。今回の試合ではことごとく失敗したドリブルも他の選択肢がない中で仕掛けられることが多かったように思う。

こういうブロック内での仕掛けでは微妙な部分が大きな影響をもたらす。遠ざかるランニングが多くても、意思統一が図れてれば一気にゴールに向かえる可能性もあるわけで。今回の試合では無駄走りが無駄に終わるケースが多くなってしまった。それが後半の落ちにつながったとも言える。

そして、こういう微妙なところを合わせるには成熟が必要になる。今回は主力がいなくて、ある意味では急増的なメンバーだったことも関係するかもしれないけど、チームとしてのこれまでの方針にも問題があったと思う。最初の話に戻れば、うまい人の組み合わせの中では個の力でなんとかなるだけに、周囲の関係性ってのはあまり重視されない。それがここに来て、急に連携って言われても無理なのは当たり前の話。

ただ、このチームも立ち上げ当初は走れる人を多く入れてダイナミックな動きと連動性が見られた可能性を感じさせるサッカーを展開してた。そういうチームに徐々にうまい人を取り込む中で、サッカーがうまい人用のものに変化してしまった気がする。
逆にA代表は走れる人を中心にチームを作り、そこにうまい人を入れるときに条件として走れることを提示した。だから、初戦からは大きくメンバーが変わった現在も軸がぶれずに成熟を続けられてるんだと思う。
五輪代表は軸がずれて回り道をしたぶん、この段階でもまだ成熟しきれてない。今さら言っても仕方ないことだから、なんとか予選を突破して来年までの成熟を望みたい。

最後に日本の守備についても少し。攻撃と同じくスタートは4-4のフラットなラインの形成から入った。そして、攻撃と同じく途中でダイヤモンドの4-4-2気味に変更して、より高い位置にプレッシャーの場所を持っていってた気がする。
そして、基本的には相手の攻撃のスタートをつぶすところから守備は始まる。相手のボランチは岡崎が見てたし、SBは両SMFの担当だった。ちなみに、そうやってSMFがSBに対応すると逆サイドは下がり気味に中に絞って対応。そうやってボールサイドに人数をかけたのはベトナムと似た考え方だったと思う。だから、相手の組み立ての中で逆サイド大外の選手が余ってるシーンが目立った。日本もSBがしっかりと対応してたけど、ベトナムもそういう部分をしっかりと見てた。だからこそ、組み立てたときにサイドを使う意図が見えたんじゃないかと思う。
後半はそういうスタートのところにプレッシャーが効かなくなったことも、相手にペースを渡した要因の1つだった。

日本にとっては4-0の結果はとりあえず○。4点のうち3点はセットプレー、3点は横からのボール。自分たちのストロングポイントと相手のウィークポイントがよく表れてる。

日本で気になったのは切り替えの部分。攻→守ではレ・コン・ビンに入ってしまってからの対応が多くなった(レ・コン・ビンもうまいポジショニングだから仕方ない部分もある)し、途中で引っ掛けられるシーンが多かったからかもしれないけど、一気に深いところまで持ち込まれることも多かったと思う。
逆に守→攻でも一気の飛び出しが見られなくて、わざわざ相手が組織を作ってから攻撃を始めるたり、少ない人数で(相手も揃ってるのに)無理矢理放り込んだりってシーンが目立った気がする。

ただ、何にしても今回は攻撃で組織を感じさせたのが収穫だった。主力が帰ってきてどうなるか分からないけど、今の路線を進んでもらいたい。

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2007-11-15 Thu 01:00
ACL決勝第2戦:レッズ×セパハン
<レッズ:3-5-2>
FW:永井-ワシントン
MF:ポンテ、平川-長谷部-鈴木-阿部
DF:堀之内-トゥーリオ-坪井
GK:都築

1戦目は精細を欠いたレッズ。個々のところの運動量をはじめとした問題が見られた。チームとしても5-2-3の形で中盤がスカスカになり、守備の連動がはかれなかった。結果としてセパハンの好きなようにやられてしまったと思う。1-1で切り抜けられたのははっきりいって運がよかったってのは前の記事で書いたとおり。逆に言えば、悪い状況を1-1で切り抜けられるレッズの強さも見せられた。詳細はACL決勝第1戦:セパハン×レッズの記事を参照。

今回の試合では悪かった前回の試合からトゥーリオが戻ってきたものの、基本的な形は大きくは変えなかった。そうやって形による修正が見られなかったってことで、どのようにチームを修正してくるかってのがかなり興味深かった点だった。そして、やりたい形が取れてた前半にはその修正が目に見えて分かったと思う。

守備の基本的な形は変えなかったってのは上にも書いたとおりだけど、実際にはその基本の形の大きな転換があった。それは守備面での中盤の厚み。前回はWBが最初から最終ラインに入って5バックになり、前の3人は守備にほとんど絡まなかったことによって5-2-3の状況が作られた。前回の記事にも書いたけど、これによって長谷部と鈴木がいくらがんばっても相手の中盤を抑えきれないっていう状況が生まれてたと思う。

それがこの試合ではまずWBの位置が1つ上がったことによって後ろが5-2から3-4っぽい形になっていた。平川にしろ阿部にしろ前回はほとんど見られなかった、中盤のサイドの高めでボールにアプローチに行くシーンが見られたと思う。中盤のところの横の幅のケアの人数が2枚から4枚に増えたことはかなり大きいことだったのは明らかだと思う。

さらに今回の試合では前の3人が中盤の守備にかなり積極的に絡んできた。相手が低い位置でボールを持っているときには3枚を横並びに配置してフィルターをかける形は変わらなかったけど、その後ブロックに入り込まれると1枚か2枚が中盤に下がってきて守備に参加した。特に目立ったのがポンテだったけど、永井にしろワシントンにしろ相手の後ろの飛び出しをケアして戻ってくることが多かったと思う。

このFWの守備(WBの位置も含めて)によるメリットはかなり大きいものだった。
1つはここまで書いてきた中盤の守備の厚みの点。WBに加えてトップの選手が中盤に降りてきたことによって前回の2枚だけだった中盤の守備に劇的に枚数が増えることになった。結果として複数で相手のボールに対応できるっていう好ましい状況を作れたと思う。

2つ目は鈴木と長谷部の負担が減ったことで、2人の1つ1つの守備の濃度が高まったこと。前回もボールに対するアプローチは献身的に行ってたけど、あまりにも相手の逃げ道が多すぎた。結果として無駄に終わってしまうことが多かったし、相手の選択肢が多すぎて1つの場所に厳しく当たるのが無理な状況だった。
それが今回の試合では中盤が厚くなったことによって、狙いを定めて守備ができるようになったと思う。ボールに対するアプローチにしても、他の場所のケアがはっきりしてるから厳しく当たることができたし、相手の選択肢が少ないから先回りして効果的に奪うシーンも増えたと思う。

そして、この鈴木と長谷部との関連が3つ目の効果。これは特にポンテが献身的にやってたやり方だけど、戻りながらの守備で中盤の選手と効果的に挟み込むことが可能になった。鈴木とか長谷部がボールに行った次のコースでのインターセプトとか、ドリブルをしてくる相手に粘っこくついていって、下の選手との関係性を作り出して奪うとか。この試合では戻りながらの守備で効果的にボールを奪えるシーンが増えた。

次の4つ目は深い位置までの押し込まれてしまったシーンでのメリット。今回の試合では後ろの形が3-4になったってのは上にも書いたとおりだけど、相手が深い位置まで侵入してくればWBが最終ラインに下がっての5-2の形になることは仕方ない部分だった。ただ、後ろの5-2は前回の同じでも、その前のFWの役割の変化によって状況は大きく異なることになった。

前回の試合では5-2--3の形になって悪循環から抜け出せなくなってしまったけど、今回は低い位置での5-2-3もしくは5-2-2-1みたいな形を取ることで押し込まれた5-2から抜け出す術を作ったと思う。
守備では5-2の1つ前のところのケアに入ることで、多くの選手が引かされても後ろからのフリーな選手の侵入を許さなかったし、何よりも守備後の切り替えがスムーズに進んだ。前回は5-2と3が離れすぎて、跳ね返したボールがまた相手に持たれてしまうってことが多くなったけど、この試合では跳ね返したボールを収める経由点を近い場所に作ることができてた。結果として5-2からの切り替え、押し上げがスムーズに行ったと思う。

FWの守備のメリットの5つ目は相手の後ろからの飛び出しのケア。実際にはこれが一番大きな効果を発揮したんじゃないかと思う。
前回の記事でも書いたとおり、セパハンの攻撃のよさは次から次へとスペースに出てくる後ろからの飛び出し。この飛び出しが攻撃に厚みを加えると同時に、勢いをもったまま攻撃が展開されるから、守備陣にとっては大きなプレッシャーになる。
今回の試合では前半はセパハンはそういう飛び出しをやや自粛気味にしてたのも事実だったと思う。アウェーってこともあって、攻撃よりも後ろの安定を重視してたように感じた。
それでも機を見た飛び出しは見られたわけだけど、そこをレッズのFWがしっかりとついて戻った。前回は途中で放してしまって中盤のスペースに次々にフリーで出られてしまったわけだけど、今回はフリーでの飛び出しを許さなかったと思う。

ここまではFWの戻ってきての守備のよさについて書いたわけだけど、守備のスタートとしてもこの試合では大きな役割に担ってた印象。1度組織を作ったところから守備を始めるレッズだけど、トップに配置された3枚はボールへのチェックとかポジショニングによって相手の攻撃のスタートに対してプレッシャーを与えた。それを起点とした守備で、ブロックに仕掛ける相手のパスを中盤で引っ掛けられるシーンが多くなったと思う。

そして、この前後の関係を可能にしたのがコンパクトな守備ブロックだった。ホームだからか、トゥーリオが戻ってきたからか、最終ラインが前回よりも高めに設定された。トップの位置は大きくは変化しなかったけど、最終ラインに中盤のラインが押し出されたことで全体としてコンパクトなブロックの形成が可能になったと思う。
一番分かりやすいのは長谷部と鈴木の位置だったと思う。前回の試合では自陣ペナルティーエリア近くでプレーする時間が長かった2人が、この試合ではハーフェイライン付近で守備をするシーンも目立ってたと思う。自陣に安定した組織を作ったときにも3ラインがコンパクトになって、選手間の距離の改善が見られた。

これによってセパハンには攻め手がなくなってしまった。
まず組み立ての場所では前回好きなように使えた中盤が利用できなくなったと思う。ここまで書いてきたようにレッズの中盤の守備に厚みがあったし、鈴木と長谷部が機能してたのも痛かった。結果としてセパハンは鈴木と長谷部を外したサイドに起点を作るシーンが多くなったと思う。
レッズの方から見ればこれはサイドに追い込んだって言える。セパハンの攻撃の怖さは最短距離を縦に進んでくる攻撃であって、一度サイドを経由させれば、大きな怖さはない。それにレッズの守備はサイドに逃げた相手をしっかりとつぶしてた。複数の関係で相手を囲い込んで切ってしまうシーンが多くなったと思う。

さらに、セパハンは最後のアプローチのところでも苦しんだ。そもそも前回の記事でも書いたとおり、セパハンの最後のアプローチはそれほどバリエーションがあるわけではない。具体的には個の力に頼る部分が大きい。もしくは一発のスルーパス狙いだけど、どちらにしても強引なやり方には変わりない。そして、前回このやり方が機能したのはレッズの守備のバランスが崩れてDFが晒されるシーンが目立ったからだった。
逆に言えば、守備のバランスが整った今回のレッズには通用しないやり方だったって言える。ボールに対してもレッズの選手がしっかりとチェックをしたから、前回のように深い位置で自由にボールを持てるシーンは生まれなかったと思う。

そして、セパハンのよさである守備後の速攻もレッズの切り替えが改善したことで機能しなくなってしまった。前の試合では攻撃後の守備への切り替えが全く効かずにカウンターを食らうシーンが多くなった。しかも、DFだけが残って対応することが多くて危険極まりなかったと思う。
それが今回の試合では最初の守備に対する意識の改善が見られたと思う。というよりも、やっぱり前回は高地っていう環境の関係でその意識を表現しきれてなかったんだと思う。
とにかく今回の試合では切り替えのよさから、相手のカウンターはほとんど許さなかったと思う。同時に相手の切り替えをつぶして、高い位置でボールを奪えるシーンが増えた。これが1点目に得点につながったって言える。

そもそも、セパハンは今回の試合でも中盤でのサボらないチェックをベースにした安定した守備をしてきた。セパハンは前半は4-4-2の組織を作り、ブロックに入り込まれるとトップの1枚が中盤のスペースを埋めるやり方を取ってきたように見えた。前半のレッズはある程度ボールを持つことができたけど、セパハンの組織としてのバランスのよさと個々の守備意識によって最後のシーンまでつなげるのが難しくなったと思う。

そういう流れの中で生まれた得点。レッズが押し込んだ後、相手の跳ね返したボールをハーフェイライン上で奪った鈴木がスタート。このとき、セパハンの守備ブロックが押し上げ切れなかった。これは前回のレッズの悪循環と同じ形。結果としてラストパスを送ったポンテに対してのプレッシャーが1つ遅れた。それまでは中盤のボールに対してはしっかりと行けていたチェックが、このシーンだけは甘くなってしまっていた。

と、ここまでは前半の内容について書いたわけだけど、レッズが前回の試合の経験をベースに素晴らしい修正を加えてきてた印象。
ただし、後半になって得点が必要となったセパハンは一気に猛攻に出てくることになった。例によって後ろを3バックにすることによって、攻撃に人数を増やしてきた印象。同時に守備の開始位置を高い位置に移行させることでレッズの守備陣が押し上げるのを防いでた。前回の試合でも見られたこのギアチェンジは興味深い。
それに、後半の戦いを見ると前半はやっぱりアウェーを意識して後ろからの飛び出しを自粛してたんじゃないかって感じた。

この3バックの相手に対してレッズも一応の対策は採ってきたように思う。守備では平川が最終ラインに入った4バック気味の形にしたし、攻撃では相手の3バックの横のスペースを使うことを意識してたように思う。
例によってセパハンの攻撃時のやり方は流動性が高くてイマイチつかみどころがなかったけど、前線は3トップっぽい形だった(ダイヤの3-4-3だったか?)からそれに対しての4バックだったと思う。
攻撃のサイド利用は相手のWBはほとんど最終ラインに入らないことを考えると、この意識自体は意味のあるものだったように思う。

ただ、セパハンはその3バック横の弱点を使わせないために前線からかなり厳しいアプローチをかけて来るんだと思う。後半の3バックのやり方はかなり強いと思うけど、前線での守備が要求されるために90分の継続が難しいんだと思う。だからこそ、絶対に点が必要な時間に残しておく気がする。

このセパハンのやり方に対してレッズは結局前回と同じように中盤以降の7枚がエリア近くに押し込まれる状況に陥った。セパハンは次々に飛び出してくる味方をつなぎながら深い位置まで侵攻してきた。レッズはまたしても中盤がなくなり、跳ね返しても相手に拾われ、押し上げができず、っていう悪循環に陥った。

この一因は前半は機能していた守備時のトップの3枚の守備が機能しなくなってしまったことにあったと思う。前半はうまく中盤に入りながら中盤の厚みに貢献してたトップがそこに参加できなくなった。
ただ、これはトップに怠けたわけではない。前半は後ろが押し上げたことで守備に一体感が生まれたわけで、後ろが下がってしまった後半に分断が起こってしまったのは前の問題だけではない。
さらに、前半に攻撃だけではなく前後の守備に奔走してたトップの選手にそれ以上の守備を求めるのは難しかったと思う。そういう意味ではもっと早く前線で追いかけられる田中を入れてもよかったかもしれない。もしくはいいようにやられてる中盤を増やすって可能性もあったけど、けが人続出の状況で難しかったかもしれない。

基本的には前回の試合とほぼ同じ内容になったと言っていい後半だったけど、最後の最後の水際のところでしっかりと守りきった。この最後の守備にはレッズの強さが見られた。前回の試合では相手の決定力不足に助けられたけど、今回はレッズの守備の力で掴み取った無失点だったって言っていい。
そういう意味ではやっぱりトゥーリオの存在は大きいんだと思う。一番感じたのはオフサイドの数だった。中盤がなくなった時点で前回と同じくセパハンのウラを狙うスルーパスが見られ始めた。前回はその中で完全にウラをとられるシーンが目立ったけど、今回は多くがオフサイドになったと思う。トゥーリオの存在がそういう部分のコントロールを可能にしたのかもしれない。

最後に何人かの選手について取り上げたい。

まずは永井。前回の試合から最もプレーに改善が見られたのが永井だったと思う。この試合ではサイドに流れたり、中盤に降りてきたり、ウラを狙ったりプレーに幅が生まれたと思う。そういう意味で明らかに運動量に完全が見られた。
この永井の流動的な動きによってワシントンが空いてくる効果が生まれたと思う。前回のレッズの攻撃はワシントンっていう選択肢しかなくなったために、相手に完全に読まれてしまった。結果としてワシントンにボールが入る前に引っ掛けられるシーンが多くなったと思う。
それがこの試合では前線の選択肢が増えたためにワシントンに入るボールが多くなった。それでもワシントンに決定的な仕事をさせなかったのはセパハンの守備の強さだけど、最低限ファールをもらえたり、時間を作ったりっていう仕事は十分にこなせてた。

そういう意味ではそのワシントンがこの試合ではイマイチ乗り切れてなかった気がする。収まった後の展開が微妙にズレるシーンが目立って、効果的に展開ができなかった。この場所でワシントンが普段並みの仕事ができてれば、もっと楽な攻撃ができた気がする。

こうやってワシントンに入るシーンを増やす要因になった前線の厚みは永井だけではなく、後ろの選手の飛び出しによってももたらされた。そうやって攻撃に人数をかけられたことで切り替えの最初の守備が機能した側面もあったと思う。

中でも長谷部の積極的な攻撃参加によってももたらされた。この試合での長谷部は守備から攻撃までの多くの仕事をこなしてた印象。守備では鈴木と同程度の中盤での仕事をこなしながら、攻撃時には前線まで飛び出していく。シミュレーションでカードをもらったシーンを見ても分かるように、最前線にまで出てくことも多かったと思う。1戦目での得点も長谷部の最前線でのフリーランニングがポンテをフリーにしてたし、攻守における貢献度は大きい。来年はもう1度代表のチャンスを与えて欲しい選手。

最後にポンテ。この試合ではポンテの貢献度もかなり高かった。上に書いたように守備では戻ってきての献身的なやり方が見られたし、何よりもキープ力の高さでチームを助けた。後半の苦しい時間にもポンテに入れることで1度落ち着きをもたらすことができたと思う。

ACLの優勝はレッズ。このチームの安定感は世界に行っても通用するはず。同時にセパハンもかなりいいチームだと感じた。ACLではこの2チームが同じ山に入っているから十分に再戦の可能性はある。そうなったときにはミランへの挑戦権を争うわけで、注目の試合になると思う。

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2007-11-13 Tue 02:18
ACL決勝第1戦:セパハン×レッズ
<レッズ:3-5-2>
FW:永井-ワシントン
MF:ポンテ、平川-長谷部-鈴木-阿部
DF:ネネ-堀之内-坪井
GK:都築

便宜上3-5-2と置いたものの、この試合のレッズのシステムは変則的なものだった。攻撃時は4バック気味になったし、守備時は完全な5バック。メンバーはかなり異なるもののA3での山東魯能戦の形に近い形だったように思う。

まずはそのレッズの守備の形から。守備時は上に書いたように両サイドが完全に最終ラインに入る5バックの形だった。それに対して前線ではポンテが1つ押し出されて3枚のフィルターが形成されてる。だから、システム的には5-2-3という形になった。

ナビスコ杯決勝でフロンターレが取ってきた布陣も同じような5-3-2だったけど、この試合のレッズもフロンターレと同じようにボランチの役割が多くなるっていう状況が生み出されたと思う。WBが最終ラインに入ったためにがら空きになったサイドのカバーから、中盤でのボールのアプローチ、DFラインが晒されないようにするためのフィルターの役割などなど中盤の守備の役割を全て任されてたような印象だった。この試合では鈴木だけではなく、長谷部も守備面での貢献度が高かったように思う。

ただ、これだけボランチの2枚ががんばったとしても中盤のスペースを埋めきることは物理的に不可能だった。トップ下のポンテが(次の攻撃を考えて)守備時は完全に3トップの一角的なところに入るから、中盤の守備は文字通り、全てボランチの2人に任されたって言っていい。
横幅はもちろん、前線に残る3枚とかなり深い位置にラインを設定した最終ラインとの間の縦の幅もケアすることになった。この状況では中盤をいいように利用されてしまうのは、当然のことだったと思う。

問題となったのはレッズのこの守備のやり方が、セパハンのスタイルに対してかなり相性が悪かったってことだと思う。

そのセパハンの攻撃のキーワードになるのは、後ろからの飛び出しの多さ。前に空いたスペースに対して、次から次への後ろの選手が飛び出してくる。逆に言えばレッズの中盤には後ろの選手が飛び出して来放題のスペースが空いていったって言える。
レッズの失点シーンに関しても、最初のシュート(パス?)はそういうシーンだった。長谷部と鈴木がボールサイドに寄せられている間に、その2人がケアしきれない逆サイドに後ろから選手が出てきた。最後は長谷部ががんばったけど、十分に寄せきるところまでは行かなかったと思う。さすがに2人でピッチの横幅をカバーするのは不可能だったことを思い知らされたシーンだった。

後半に関しては終始同じような状況だったと思う。中盤でがんばってボランチの2枚がボールにアプローチしても、スペースに後ろから出てきたフリーの選手に簡単に展開されてしまった。そういう場所はボランチの2枚のフィルターがかかっていない場所。結果としてDFラインだけが晒されるシーンがかなり多かったように思う。だから、セパハンはトップへのボールを入れ放題の状況だったと思う。

セパハンの後ろからの飛び出しの多さについては後でもう少し触れるとして、他にもレッズの5-2-3と相性の悪いセパハンのやり方が見られたので、それについても。それはセパハンの最後のアプローチのところで見られた。基本的にはセパハンの最後のアプローチは2種類しかないわけだけど、その2種類ともがレッズの守備のやり方のおかげでうまく機能したと思う。

1つは個での突破。組み立ての時点では、後ろからの飛び出しをベースとしながら選択肢を増やすっていう組織としてのアプローチが目立ったセパハンだけど、最後の仕上げのところは個の突破に頼る面が大きかったように思う。そう考えるとレッズとしては守りやすかったはず。にも関わらず、この試合では個の突破によって深いところまで入り込まれるシーンが多々見られた。

その理由としては個の能力が高かったってことが挙げられるのは確か。ボディーコンタクトの中でもバランスを崩さずにキープする力とか、それをベースにして強引に仕掛ける突破力は脅威だったと思う。ただ、5-2-3のレッズのシステムがその個の能力を存分に発揮させてしまったような気がする。

その理由は簡単で、中盤がなくなったことで個の仕掛けの最初のところにアプローチができなくなったから。仕掛けの最初のスピードに乗り切っていないときよりも、スピードに乗ったときの方が止めるのが難しくなるのは当然。この試合のレッズの守備ではスピードが乗り切っていないところへのアプローチが難しかった。
同時に上に書いたようにボランチを外されて、DFラインに直接仕掛けられるシーンが増えたのも痛かった。中盤で1つ勢いを殺して、最終ラインで次を狙うっていう体制が作れずに、直接最終ラインに仕掛けられることになったと思う。
さらに、DFラインはセパハンの後ろからの飛び出しへの対応だけで精一杯だった。結果として相手の個の突破に対して中盤の助けなしでは人数をせけない状況だったと思う。そして、その中盤を外されることによって、最後のシーンでも1×1になってしまうような状況が生まれてしまっていた。

セパハンの最後のアプローチはこういう個の突破と、もう1つは一発で打開できる可能性のあるスルーパス。狭いところでも強引に通してしまおうっていう狙いのパスが前半からかなり多くなった。そして、そういう強引なやり方もレッズは水際で防ぐシーンが多くなったような気がする。

この要因も5-2-3システムに求めることができる。中盤にスペースが多くできたこのシステムではセパハンのボール保持者はかなり高い位置まで自由にボールを運ぶことができた。この時点でパスの出し手が自由になるっていう状況が生まれた。同時にウラのスペースを狙おうとするパスの受け手との距離がかなり縮まってたのも重要な要素だった。ギリギリのタイミングを狙う意味では、距離は近ければ近い方がいいに決まってる。

さらに、そのウラへのスルーパスを狙う上で見るべき相手が最終ラインに限定されてたのもやりやすかったんじゃないかと思う。中盤が外されてDFラインが晒されれたレッズの守備組織は、横並びのラインとは言わないけど、ウラへのスルーパスを考えるとかなり脆い存在だった。
結果として完全に引いてゴールギリギリのところにラインを設定してるのにも関わらず、ウラに抜け出されるっていうような状況が生まれたと思う。

と、ここまでは基本的にしっかりと主導権を握ったセパハンの攻撃について見てきた。この試合については(特に後半は)、完全にセパハンがポゼッションを握って、試合の多くの時間がレッズ陣内で行われてるような状況だったと思う。ただ、本来のセパハンの姿はこうやってポゼッション率を上げて主導権を握るようややり方ではないはず。基本的なスタイルは堅守速攻だと思う。

この試合でもセパハンの速攻のキレは素晴らしかった。ここまで書いてきたような、後ろからの飛び出しの多さは特にこのカウンターの場面で圧倒的な効果を発揮したと思う。守備から攻撃への切り替えで、後ろから次から次へと選手が飛び出していって、カウンターに厚みを加えた。
このときにスイッチの役割をするのはトップに収まったたといとか、味方が自分の前のスペースを埋めるドリブルをしたときっていうことが多くなった印象。
とにかく、チーム全体の攻撃への切り替えの速さが抜群で、かなり効果的なカウンターを仕掛けられていたように思う。

そうは言っても、常にこういう地上からの人数をかけたカウンターを繰り出すかというと、そうでもない。相手が切り替えをきっちりと行って、高い位置で効果的な守備が効いている場合にはセーフティーファーストの姿勢が見て取れたと思う。単純に前線に蹴りだすだけっていう質の切り替えが多くなった。そういう場合はトップの能力に頼る面が増えたと思う。

でも、この試合では圧倒的に前者の効果的なカウンターの数が増えたと思う。この点についてもレッズのやり方との相性が大きかった。
レッズは上に書いたように中盤が薄い5-2-3。そして、5-2は圧倒的に引かされてるから攻撃では前線の3に頼る面がかなり多くなってた。だから、攻撃のやり方の中では単純にトップを狙う質のボールが多くなったと思う。

そして、セパハンはこのボールを狙っていた。低い位置での組み立てから縦に入るボールを途中で引っ掛けることで効果的にカウンターを仕掛ける意図があったと思う。
レッズはそういう縦パスを引っ掛けられると一気にピンチに陥った。ボールを待ってたFW(ポンテ含め)は切り替え後すぐの守備に参加するのは不可能だから、結局はここでも中盤の薄さを露呈することになったと思う。奪われると一気に中盤のスペースを利用されてゴール近くまで持
ち込まれるシーンが多くなった。

こういうシステム上の要因に加えて、そもそも相手のカウンターに対する意識自体にも問題があったんじゃないかと思わされた。
特に気になったのが、攻撃後の最初の守備が全く機能しないこと。中盤で引っ掛けられずに深い場所まで押し込んでも、その後の守備が全く機能しないシーンが目立って、結局一気にピンチに陥るシーンが目立った。これにはそもそもシステム的に前線に入る人数が少ないことで、最初の守備を簡単にかわされてしまうっていう要因があったのも事実だったと思う。でも、この試合では個の意識の問題の方が気になった。

切り替え後の最初の守備が効かないばかりか、相手のカウンターの要所となる場所も押さえられてなかった。それは相手のトップのところ。
中盤がないシステムの中でカウンターの上でのフィルターがなくなってたのは確か。でも、そういうシーンで前で奪えないばかりかキーになる選手を完全に離してしまっているシーンが多かったと思う。結果としてセパハンはスイッチが入りやすくなった。

さらに、最初の守備が効かないばかりか、すぐに切り替えて本来の持ち場に戻るのも遅れ気味だったと思う。結局、相手は少々時間がかかってもカウンター的な攻撃を仕掛けられる状況になってたと思う。こういうシーンでもDFが晒されるシーンが目に付いた。

こういう切り替えの遅さを見ると、非常にレッズらしくない。しっかりと組織を作ったときにも1つ1つのアプローチが怠慢になってたのも気になった。
そういう意味では高地っていう環境の影響が少なからずあったんじゃないかと思う。それが守備でのギャップとして現れてしまったような気がする。
ちなみに攻撃でもロングボールの精度がかなり低くなってたけど、それも空気が薄いことと関連してたのかもしれないと思う。

セパハンはこんな感じでカウンターのよさを見せてくれたわけだけど、そのカウンターを繰り出すための守備もしっかりと行ってきた。

そのセパハンのシステムもレッズと負けず劣らず、いまいちつかみにくかった。最終ラインは前半が4枚で後半が3枚だったってことはある程度はっきりしてたけど、前線の組み合わせが流れの中で流動的に変化してた気がする。

とりあえず、まずは前半の4バックシステムについて。
前半は4-3-1-2が基本になってたと思うけど、形が4-3-2-1になったり4-3-3になったり4-4-1-1になったりと色々と変化してた。分かる限りでは前半の途中からは前線に1枚(カリミ?)を残す形になってたこと。とりあえず、そういうシステムにこだわっても仕方ないので、基本的なやり方を見て行きたい。

セパハンはまず守備ブロックを作るところから守備を始める。そういう意味で、まず守備ブロックを作るための切り替えのよさは明らかにレッズよりも上だった。
守備のスタートについても試合の中で変化してたように思うけど、とりあえずはレッズの最終ラインから1つ縦パスが入ったところからってことを基本にすることが多かった。

そして、その守備のスタートからは全ての選手がボールへのアプローチをサボらずに行う。その1つ1つのチェックをベースとした連動した守備が見られたと思う。
1つめのアプローチに連動して複数で囲い込んだり、1つめで制限した次できっちりとインターセプトしたりっていう場面がかなり多くなった。中盤で1つ1つのチェックの積み重ねによって質の高い守備が可能になってた印象。そして、これが中盤で効果的に引っ掛けるシーンが多くなった要因だった。

こういうセパハンの守備のよさに対してレッズは怖さを感じたんじゃないかと思う。前半の途中までは上に書いたように、とりあえずトップに入れるっていうようなやり方を取ってきたけど、それを途中で引っ掛けられて危険なシーンにつながることが多くなった。それを見て、やり方に変更を加えてた来た。

1つはサイドを一杯に使うっていう方法。このときには阿部より平川の方が攻撃的になるっていう左右の意図的なバランス崩しが見られた。これが阿部と平川のスタイルの違いによって生まれたものである可能性も否定できないけど、攻撃時は変則4バックになったと考える方が妥当だった印象。とにかく、低い位置の阿部→高い位置の平川への大きなサイドチェンジはかなり多くなった。

こういう大きな展開よって、相手のブロックにズレを生じさせ、相手の守備の連動性を築かせない狙いがあったんだと思う。同時にサイドを使うことで攻撃に深さを与えようとしたと思う。実際にこういう変更が見られたすぐ後に、平川のクロスから中央でフリーの永井へっていう決定的なシーンも生まれた。

このサイド攻撃よりも圧倒的に増えたのがトップへの単純な一発のボール。それまでは地上から攻めようとして途中で引っ掛けられることが多かったから、その途中を全て省略した形。相手の効果的な守備が機能してる中盤を飛ばして、直接トップへっていう質のボールが多くなった。

でも、相手の守備陣はそのロングボールも許してくれなかった。キーとなるワシントンには密着マークで全く仕事をさせなかったと思う。それを嫌がったワシントンが中盤に降りてくることも多くなった印象。
これを見ても分かるように、セパハンは最終ラインの人に対する強さを見せてくれた。中盤での効果的な守備を含めて、さすがにここまでの失点数が少ないのがうなずける内容だったと思う。

とはいえ、レッズのトップへのロングボール攻撃によってセパハンのカウンターは明らかに減った。これは、レッズが下手に前に人数を入れずに、後ろのバランスを崩さないまま、トップに頼る攻撃を展開したからだった。
これに対してセパハンは後半になってシステムを変更して望んできた。前線の形は前半と同じように変化してたように思うけど、基本は3-5-2だったと思う。この3-5-2は5バックを想定したレッズとは違って、守備を見ても3-2-3-2のような(実際にはボールと逆サイドは下がり目のポジションを取るけど)前に人をかけたやり方。
さらに、システムだけではなくてチームとしての守備の開始位置も前半よりは1枚高くしたようなイメージだった。

前半よりも中盤の枚数が増え、さらに前から来るようになったセパハンの守備(とその後の攻撃)に対してレッズは為す術がなかったと言っていい。立ち上がりすぐ、システム変更の相手に戸惑ったままに失点をしてから、結局は効果的な修正を行えなかったと思う。前半はそれなりにあった相手ゴールへ迫る時間も、後半は全くなくなってしまった。

その要因はもちろん相手のシステム変更にあったわけだけど、これによってまずサイドを利用した攻撃が不可能になった。相手のWBのプレッシャーに対してレッズは後半は完全に5バックにされてしまい、平川とか阿部が敵陣に入っていったプレーはほとんど見られなくなったんじゃ以下と思う。

それにトップへの単純なロングボールも難しくなった。それは相手の守備位置が1枚上がったことで、前半は自由になってた低い位置のボール保持者にもプレッシャーがきつくなったから。前半はとりあえずトップを狙う質のボールは蹴れてたけど、後半は全く余裕がなくなって蹴りだすのがやっとだった。
それに前半はうまく機能したボランチの経由点を使えなくなったのも痛かったと思う。前半は切り替えで1つボランチに収め、そこから広い場所へ展開して落ち着かせるっていうやり方が取れた。それはボランチに対するプレッシャーがそれほど厳しくなかったから。後半はそれが全く不可能になってしまって、切り替えでの余裕が作れなくなってしまった。

結果として押し上げがはかれない状況が生まれた。この時点で悪い流れのチームでよく見られる悪循環が生まれた。要するに、守備ブロックが押し下げられ前線との間に距離(中盤をいいように使われる)→奪ってからの切り替えがスムーズに行かない→相手にボールを拾われる→押し上げが図れない→・・・というもの。正直なところ、よく1点で守れたっていう状況だった。

はっきり言ってこの試合でレッズが引き分けたのは運が良かったから。明らかに相手の決定力不足に助けられた。
でも、次はホームでの試合。この試合のような内容にはならないはず。そうなったときに運でもいいからアウェーゴールを奪っての引き分けはかなりのアドバンテージになるはず。

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2007-11-10 Sat 02:11
リバプール×ベシクタシュ
<リバプール:4-4-2>
FW:ボロニン-クラウチ
MF:リーセ-マスケラーノ-ジェラード-ベナユン
DF:ファビオ・アウレリオ-ヒーピア-キャラガー-アルベロア
GK:レイナ

<ベシクタシュ:4-4-2>
FW:ボボ-デルガド
MF:セデフ-シセ-アブシン-オズカン
DF:ウズルメズ-トラマン-ディアタ-クルトゥルシュ
GKアリュカン

発表ではボボの後ろにデルガドとオズカンを配置する1トップ2シャドーが予想されていたベシクタシュの形だけど、実際に試合での組織(特に守備)の形を見る限りでは上に書いたような4-4-2になっていたと思う。ただ攻撃を見るとオズカンのサイドから崩す意図が強かったから、右肩上がりの4-4-2(もしくは右肩下がりの4-3-3)っていう形だったのかもしれない。
とにかく、この4-4-2はリバプールにあわせたものだと考えてよかったと思う。リバプールと同じ中盤横並びの4-4-2を作ることで、完全に見るべきところ相手をはっきりさせようとしていた。

この見るべき相手をはっきりするやり方は途中からは完全に消えてしまっていたけど、少なくとも立ち上がりは見られた形。そして、立ち上がりはこのことを利用したいい形での守備が見られた。この時間は後で書くように、若干気になった部分はあったものの、少なくとも8失点を喫するような問題は感じなかった。

まずはその立ち上がりの守備の形から。上に書いたようにリバプールと同じ4-4-2の組織を作ることで見るべき相手をはっきりさせた。
これが特に効果的に機能したのがサイドの局面。両SMFは低い位置のリバプールのSBに対しても積極的なアプローチを繰り返した。この時間はSMFがかなり高い位置に入って、4トップのように見えるぐらいだったと思う。
これによってリバプールのSBの縦への進入が妨げられた。これは人だけじゃなくて、ボールも。しかも、その1つ前のリバプールのSMFには相手のSBがしっかりと対応してたわけだし。

こういうサイドの局面に加えて、真ん中のCBとボランチに対してもそれぞれ相手の対応する選手が積極的なアプローチを繰り返してた。その中で序盤はベシクタシュが高い位置での効果的にボールを奪うシーンが多くなったと思う。
リバプールとしてはCB、SB、ボランチと攻撃のスタートとなる場所をきっちりと抑えられてしまったことになる。そうなると効果的に攻撃を繰り出すことが不可能になるだろうってのが普通の考え。でも、実際は普通の相手ゴールに迫るシーンを作り出すことができてた。そして、その1つの要因となったのがベシクタシュの守備のギャップにあったと思う。

それは中盤とDFの間のスペース。
ここまで書いてきたようにベシクタシュの前線の6枚は高い位置から積極的にボールにアプローチしている。例えば、SMFの対応によって4トップに見えるような形を見ても前への意識の高さが伺えると思う。

ただ、ここで問題なのがこういう中盤以前の守備の意識に最終ラインが追いついていなかったこと。前線が前へ前へと意識を向けている中でも最終ラインは高い位置を取る意図を見せなかった。結果として最終ラインと中盤の間にスペースができてしまったと思う。このスペースをリバプールにうまく利用されてしまっていた印象。

リバプールのアプローチの仕方としてはSBからトップに斜めに入るくさびのパスが目立った。以下、簡略化した図で説明。

   ○ ○ 
○ ● ● ○
●      ●
○ ○ ○ ○
↓ ● ●
★ ○ ○ ●
   ● ●

●はリバプールで○がベシクタシュ。リバプールは攻撃時で両サイドが上がって深みのある形になってるのに対して、ベシクタシュの中盤はフラットな形。
今、リバプールの★がボール保持者(斜めのくさびはファビオ・アウレリオから入ることが多かった)で、相手の右SMFが距離を詰めようとしてる場面。

このときに★からトップへの斜めのくさびが簡単に収まるシーンが多くなった。ここで斜めってのが重要なのは、相手の前線の守備の積極性があるから。例えば、CBなりボランチから単純に縦のくさびを入れようとしたら引っ掛けられる可能性が高まったと思う。むしろ、相手が縦を切りながら距離を詰めてくるからコース自体も簡単には空けたもらえなかったはず。

それに対して斜めのくさびのパスが簡単に通せたのは相手の最終ラインと中盤のあぢあにスペースができててから。簡略化した図で見たときにCBがもう1枚ずつSBと同じラインを保てれば、斜めのくさびでも途中で引っ掛けられる可能性が高まったんじゃないかと思う。それに、たとえ収まったとしても入った瞬間にDFと中盤が上下で挟み込む形に持っていけたはず。

そうやってトップを上下に挟み込むシーンはほとんど見られなかったことからも前後の分断が見て取れると思う。
だから、リバプールとしては何も斜めの質のボールではなくともトップに入れてしまえばキープできる可能性は高かった。そういう意味でクラウチ狙いの単純なロングボールも目立ってたと思う。
そういう単純なロングボールでさえもリバプールがキープできるシーンは多かった。確かにクラウチの高さによる部分も多かったけど、それ以上にDFだけになってしまっているベシクタシュには競り合いの次のボールを拾えなかったってのが大きかったと思う。

ボロニンが積極的に動き回ってサイドで引き出すようなやり方も含めて、立ち上がりのリバプールはトップに単純に入れるボールを徹底して使ってきた。そういうボールが多くなるだけでも、ベシクタシュの後ろの守備陣にとってはかなりの負担になったはず。
さらに、そうやってトップに入ったボールがことごとく次の展開にまでつながったってのが大きかった。これは上に書いたベシクタシュの前後の分断によるところが大きい。トップに入ったときに、相手はマーカー以外のフォローがないから基本的に1×1の状況が作り出せる。
そうなるとやっぱり個の力差が歴然だった。クラウチにしろボロニンにしろ1人の相手だったら、支障なくプレーできてたと思う。だから、その後の展開につながるのも当然だった。

結果としてベシクタシュの前線の守備に関係なくリバプールの後ろの選手が上がってこれるようになった。そもそもベシクタシュの前線の守備はリバプールの攻撃のスタートをつぶす意図があったのに、トップのバシバシボールが収まっている時点で意味が薄くなってたっていえるわけだけど。これは個々の意識の問題というよりは、ここまで書いてきたような前後の分断に代表されるように個々の意識だけじゃ抑えきれない部分のケアがでてきてなかったことによって生まれたと思う。

とにかく、リバプールはトップに収まって後ろの選手(SMFも含めて)が次々と出てくるような状況を作り出した。結果として相手の守備ブロックはズルズルと押し下げられていって、自陣に全員が戻る時間も多くなっていったと思う。
これが大体前半の10分ぐらい。ベシクタシュ自身がペースを落とした側面もあっただろうけど、それだけリバプールのトップへのボールが収まってたことを意味すると思う。
そして、こうやって守備が自陣に引かされたことが8失点への序章になった。

まず、完全に主導権を握ったリバプールのアプローチについて書いて、その後ベシクタシュの守備について言いたいことを書きまくるつもり。
主導権を握ってすぐのリバプールは、とにかく相手の守備ブロックを動かすことを念頭に置いたやり方を取ってきた。だから、左右の幅を一杯に使った組み立てが多く見られたと思う。この時間はトップへのくさびのパスを序盤ほどは繰り返さずに、SB、SMFを利用して攻撃に深みを当て行った。これが横へのアプローチ。
そうやって深みを与えても、無理だと判断したら強引にやらずにすぐにバックパス。そして、最終ラインでサイドを変えてもう1度やり直し、だめなら戻す・・・っていう繰り返しだった。この深みを与える→戻すってのが縦へのアプローチ。相手のブロックを上下に動かすやり方で、ガンバ
の組み立てに見られる形。
ただ、こういう計算されたアプローチも徐々に減っていった。下手に遠回りしなくても簡単に最後のところまで行けることに気づいたんだと思う。最後の時間は行け行けで、縦縦の積極的な仕掛けが見られた。ある意味では攻撃に対する自信の回復もあったのかもしれない。

さて、そろそろメインとなるべジクタシュの守備の問題点について。はっきりいって守備の中にギャップが多すぎて、なんで前回の試合でリバプールが負けたのが意味が分からなかったぐらい。

まず、自陣に組織を作っても相変わらずだった前後の分断。
高い位置での守備時に見られた前後の分断はある意味ではラインを上げなかった最終ラインにも1つの原因があった。それに対して自陣組織でもできてしまった前後の分断は中盤の選手に問題があったような気がする。
ここで感じたのは、ベシクタシュの中盤の選手の後ろへの無関心さ。前に向かっての守備では積極性が見られるのに、ひとたびボールが自分の後ろに入ると守備への意識が一気に減退する、戻って守備をしようとする姿勢が見られなかったと思う。
結果として自陣で守備をしているのに、最後のところは常に薄い状況だった。自陣にで守備をしているのにゴール前はDFだけっていう状況が生まれてたし、数的優位を作って守備をするのも難しかった。
さらに、リバプールの後ろからの飛び出しに対する対応もできてなかったと思う。ジェラードが抜け出してGKと交錯したシーンが象徴的。中盤からトップを抜いて飛び出すジェラードの動きに、誰もつくことができてなかった。これは前後の関係性が希薄で、受け渡しができてないからこそ生まれたと思う。
このシーンみたいに決定的なチャンスにつながるシーン以外でも、後ろから出てくると全く相手にマークされないっていうシーンが多々見られた。ジェラードがそういうところをうまく使ってたし、交代で出たルーカスも効果的に活用してた印象。

この前後の分断だけど、その原因にあったのは上に書いたようなベシクタシュの前線の選手の後ろへの守備意識の問題だけではなかったと思う。
大きな問題にのが、守備の勝負どころが定まってなかったってことだった気がする。例えばチームとして守備の勝負どころをゴール前に置いておけば、全員が戻って最後のところを固めることも可能だったはず。そういう意思統一が図れてないから、前から行きたい選手と後ろで守りたい選手で分断が起こってしまったんじゃないかと思う。

そうやって守備の勝負どころが定まってないことで、ピッチ全体のどの場所でも同じ質の守備が繰り返されることになった。基本的には濃淡をつけるというか、奪いどころをはっきりして勝負に行く場所を作りたいところ。それができてないから、ダラダラと前線から最後まで同じ質の守備が繰り返されることになったと思う。
問題はその均質性がトップの場所でのような守備の質に統一されてしまっていたこと。具体的には全ての場所で最低限の守備の連続だった。ある意味ではいるだけの質の守備がピッチ全体で繰り返されたともいえる。
どの場所でも絶対的に奪おうっていう意図がないから、寄せが甘くなるし、相手の仕掛けに対してはズルズル後退する。抜かれればその後の対応に入ろうっていう意図も見られなかったと思う。
こうやってピッチ全体でFWの場所的なルーズな守備が見て取れた。それがFWの場所なら、後ろの守備との関係を考えた最低限の仕事なんだろうけど、危険な場所で同じ意識を持っていたら最後のシーンまで行かれてしまうのは当たり前。

こういう意識の部分の悪い意味での均質性に加えて、物理的な選手の配置にも悪い意味での均質性が見られた。これには上に書いたような、自陣で作ってるのに最後のところがいつも薄いってことも含まれるわけだけど、もっと局面局面を見たときにも悪い均質性が見られた。
具体的には多くの局面が1×1になってるってこと。これはあくまでも最低でも1×1ってこと。1×1にすらなってない場所は多々あった。
とにかく、1×1の局面にフォローが少ない。周囲の選手と囲い込んで奪うなんてシーンはほとんど見られなかったと思う。トップへのボールのところでも書いたけど、リバプールの選手は1×1の勝負なら余裕を持ってプレーできるだけの力差があったと思う。

さらに、このフォローの少なさはボールなしの状況でも言えた。例えば、マーカーがボールに引っ張り出されて出て行かなければならないシーン。そういうときに、近くの余った選手がそのマークを引き継ごうとしない。
6点目のバベルのゴールがまさにこの状況。本来、バベルを見るべき選手がフリーのボール保持者ベナユンに引き出された。そうなったときに近くに余った選手がいたのにも関わらず、その選手は足を止めバベルが完全に余ったっていうシーンだった。

こういう状況だから、誰が見るべきか迷うような中途半端な位置に入られると、リバプールの選手は完全にフリーになった。そういう場所をうまく見つけ続けたベナユンはこの試合で大活躍だったし。サイドからのクロスにしても、DFの間と間に入り込むと全くのフリーになれた。8点目はクロスに対してクラウチが離れてるっていう致命的な状況。とはいえ、このクロスについては、横のボールに対して異常な程にボールウォッチャーになるっていう別の要因も働いてたわけだけど。とにかく、ピッチ全体で人が足りてるのに相手が余ってる状況が生まれていたと思う。

こんなベシクタシュの守備陣にもボールが入った選手をフリーにしたらまずいっていう意識は残ってた。だから、ボールが入った選手に対してはチェックに行こうとする姿勢が見られた。
でも、それが完全に後手後手。反応するのはあくまでもボールが入った後だった。リバプールのトップのくさびに対する対応でも見られたように、相手の前で触るっていう意識はあまりなかった気がする。そのためにフィルターも効いてなかったわけだけど。
とにかく、遅れて対応するぐらいの時間をくれれば、リバプールは十分にパス回しができてたと思う。後手後手の相手が距離を詰めてきた頃には、すでに次の局面にボールは移ってた。だから、ダイレクトのパスが面白いようにつながってたと思う。

そして、この後手後手の対応は同時に行き当たりばったりの対応だった。ボールが入ったところ入ったところを後手後手に追いかけていくわけだから、その過程で自分たちの守備のバランスはぐちゃぐちゃになっていた。
例えば上に書いたようにマークを放してボールに行くっていうシーンが至るところで見られたと思う。そういう意味ではマークを放す側の問題もあったような気がする。

この行き当たりばったりの守備が一番表れたのが3点目。
リーセがドリブルで仕掛けて行ったのが最初。そもそもこのリーセのドリブルも長い距離を自由にさせてしまった。で、ある程度の場所でやばいと気づいたベシクタシュの選手が対応に。その対応した選手はもともと左に流れたボロニンのマーカー。リーセは相手が寄せてきたところで、浮いたボロニンにパスしてリーセはゴール前に。
相手がフリーで受けたボロニンに対して後手後手の対応。このときゴール前に入ってきたリーセについてた選手が引っ張り出された。結果、リーセはありえないようなゴール前でドフリーに。ちなみに、得点には直接関係しなかったけど、このリーセへの後手の対応でクラウチが空いてた。
この一連の流れは左サイドで展開されたわけだけど、この間逆サイドのベナユンはずっとフリーだった。結局、最後に決めたのはこのベナユンだった。

ここまでは自陣で組織を作ったときのベシクタシュのまずさについて書いたわけだけど、そもそもその組織を作るところまで至らないケースがかなり目立った。要するに切り替えのまずさが目立ったってこと。実はこれが一番の問題だったんじゃないかと思う。
とりあえず、攻撃後の最初の守備はある程度できてたのは確か。しっかりと切り替えで相手のカウンターの最初を遅らせたし、このときはトップに対しても自由にさせない意図が見られた。
ただ、そうやって時間を作ってもその間に自分の持ち場に戻るのが遅い。いつまでも高い位置に残って、にも関わらずその高い位置での守備に関与しないっていう選手がかなり多かったと思う。だから、結果としてバランスの悪い組織に仕掛けられるシーンがかなり多くなった。
2点目のスローインからの流れがまさにそういうシーンだったし、失点の多くは多かれ少なかれ切り替えのまずさが原因の1つにあったように思う。

こういうベシクタシュに対して、リバプールはさすがの守備の安定感を見せてくれた。基本のやり方はいつものように4-4-2のコンパクトな守備組織を作るもの。同じ形でもベシクタシュとは成熟度の違いが明らかだった。
まず、一番の違いは4-4の関係性。リバプールは高い位置の守備では最終ラインが押し上げて、低い位置での守備では中盤が押し下げて近い関係を常に保ったと思う。結果としてバイタルエリアをつぶすことができ、組織を作ったときにはベシクタシュのトップには全くといってもいいほどボールを触れさせなかった。ちなみに低い位置に4-4を作ったときには、その前のスペースをトップの1枚(ボロニンが降りてくることが多かった)がしっかりとケアしてたと思う。

こうやって組織としてのバランスのよさに加えて、個々の守備意識の高さも見られる。まず、FWの2枚が相手に対するチェックをサボらずに守備のスタートとしてしっかりと機能する。特にボロニンのチェイスはかなり嫌がられたと思う。
そして、中盤の守備。相手ボールに対して最低1人が素早くチェックに行くことで相手の選択肢を減らす。その中で徐々に狭いところ狭いところに追い込んで行くやり方が見られた。そうやってサイドに追い込んで、数的優位で奪い取ることが多くなった。コンパクトなやり方で選手間の距離が近いから、そういう数的優位も作りやすかった。
ベシクタシュの選手としては追い込まれて、逃げ場がない状況が多くなったと思う。このサイドでの効果的な守備からの流れが実際に得点にもつながっている。

こういう組織を作った守備に加えて、リバプールは切り替えでのよさを見せてくれた。奪われた選手がファーストDFになる原則がしっかりと守られ、さらにその最初の守備に高い位置で連動してくる選手が多い。だから、効果的に奪い返して再び攻撃に移ることが可能になったと思う。
さらに、ベシクタシュと決定的に違うのは組織を作る速さ。攻撃時に大きくポジションを変えないのも要因の1つにはあるんだろうけど、奪われた後すぐに本来の4-4-2の組織を作ることができてた。序盤こそカウンターで危険なシーンをいくつかつくられたけど、主導権を握ってからは全く危なげない戦いだった印象。

そして、この切り替えの守備でかなり目立ったのがマスケラーノだった。マスケラーノは相手の攻撃の芽を摘むっていう仕事を忠実に90分間こなし続けたと思う。相手のカウンターになりそうなシーンでは常に顔を出して、それをことごとくつぶしていた。
今はマスケラーノとジェラードの組み合わせだけど、シャビ・アロンソが帰ってきたらどうするのか注目。少なくとも、今回の試合を見る限りではマスケラーノは外せない気がするけど。

このマスケラーノがカウンターの芽を低い位置で摘んでるとしたら、高い位置で摘んでたのはボロニンだった。上にも書いたようにボロニンは高い位置からのチェイスが目立ったわけだけど、特に切り替えの速さとその守備意識の高さが際立ってた。4点目につながったジェラードのFKも、もともとはボロニンの高い位置での守備からの流れ。
攻撃でも左右上下によく顔を出して、うまくボールを引き出したと思う。あえて真ん中を空けて、後ろを引き出すような見えない動きも多かった。

本当はこの試合はリバプールの不調の原因を見られればと思ってた。それがまさかの大量得点で、そういう部分が隠されてしまったと思う。それは残念だった。

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2007-11-09 Fri 23:55
U-22:ベトナム戦(A)招集メンバー
GK:山本海人、西川周作、林彰洋
DF:伊野波雅彦、水本裕貴、小林祐三、細貝萌、青山直晃、安田理大、内田篤人
MF:本田拓也、水野晃樹、青山敏弘、上田康太、本田圭佑、梅崎司、柏木陽介
FW:平山相太、カレン・ロバート、李忠成、岡崎慎司、興梠慎三

関連して、ちょっと前の記事から。

■反町監督ヤケクソ?4トップテスト
 08年北京五輪アジア最終予選ベトナム戦(17日、ハノイ)、サウジアラビア戦(21日、国立)に向けたU―22日本代表の強化合宿が6日、スタートした。五輪切符獲得には2連勝はもちろん得失点差も重要となる状況で、反町康治監督(43)は過去に1度も試したことのない4トップ気味の布陣をテスト。戦術練習の最後にはフィールド選手を11人にする2―4―5のシステムを敷くなど、まさかの“ヤケクソ合宿”の様相を呈してきた。

 目を疑うような光景がピッチ上で展開された。戦術練習の締めくくりで、水色のビブスを着けた主力組のフィールド選手が11人になった。試合ではあり得ない2―4―5の布陣。前線には梅崎、興梠、平山、岡崎、李が並んだ。パワープレーの意識を植え付ける狙いがあったとみられるが、反町監督は練習の意図やポイントについて「コメントできない」を連発。「井原のパフォーマンスが良かったのが計算外」と人数合わせで練習に加わった井原コーチを褒めて報道陣の質問をけむに巻いた。

 最後の5トップを除くと、戦術練習では主に攻撃的MF、サイドバックを高い位置に上げた2―4―4のような布陣が敷かれた。U―22日本代表は最終予選4試合を終えて首位カタールと勝ち点、得失点差で並ぶが、総得点で劣り2位。ベトナム戦、サウジアラビア戦では連勝はもちろん、大量得点が求められるだけに、超攻撃的なスタイルをテストした形だ。

 だが、これまでの最終予選は4試合中3試合が1トップ。リスクを冒さない守備重視の戦術を貫いてきただけに、極端な方針転換でチームが混乱する可能性は否めない。ある主力選手からは「無理にガンガン前に行くと厳しい。そういうのは必要ないと思う。自分たちのサッカーで点を取りたい」との不満の声も上がった。

 合宿初日は“ヤケクソ”とも取られかねない練習内容となったが、指揮官は「最初から最終戦までもつれると思っていたし、自信は失っていない。自信をなくしていたら(監督を)やっていない」と強気な姿勢を崩さなかった。崖っ縁に立たされた状況で周囲を納得させるには、合宿最終日の7日に予定されている順大との練習試合で、内容と結果の伴ったゲームを展開するしかない。

11月7日 スポニチより


どうせ、4トップなら1トップ下に3枚を並べる形でどうか。平山を頭に李-岡崎-カレンを2列目に置く。昨シーズン、半ばヤケクソになったレアルが使った形。もちろん可能性が薄いのは分かってるけど。

<予想スタメン:4-5-1>
FW:李
MF:梅崎-岡崎-水野、本田拓-柏木
DF:本田圭-青山直-水本-内田
GK:山本

やや攻撃的に考えてみた。左サイドは安田-本田圭の可能性もあるか。前回のカタール戦を考えると柏木を1枚上げた4-1-4-1も面白い。

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2007-11-08 Thu 05:46
ミラン×トリノ
<ミラン:4-3-2-1>
FW:ジラルディーノ
MF:セードルフ-カカ、アンブロジーニ-ピルロ-ブロッキ
DF:ファバッリ-カラーゼ-ネスタ-カフー
GK:ジーダ

この試合ではセードルフが完全にOMFとしてプレーしてた。ここ最近の試合では4-4-1-1の左サイドとカカの隣との中途半端な場所を行き来するっていうことが多かったけど、この試合でははっきりしてたと思う。

これが分かるのが守備時のポジション。セードルフが中途半端な場所でプレーするときは、攻撃では中途半端な位置でプレーしても、守備時には完全に中盤の4の一角に入る。それがこの試合では守備の形が4-3のブロックの形成になってたと思う。アンブロジーニが左サイドをケアしてたのを見ても明らかだった。
守備時の4-3の前の形を見るとカカがトップ下の位置に入り、その前にセードルフとジラルディーノが残るような4-3-1-2っぽい形も見られた。

こうやってセードルフが1つ上のポジションに入ったメリットはかなり大きかった印象。
まず、1つとしては単純にセードルフがゴールに近いポジションでプレーできてたこと。これまでの相手のギャップに入り込むうまさを、そのまま1つ上のポジションでこなしてたと思う。
結果として1つ高いところにボールの収まりどころが生まれることになった。ここ最近の試合ででは、なかなか相手のブロックに対して最初のアプローチができなかったけど、この試合ではセードルフがうまく引き出すことで、相手のブロックにアプローチが容易になったと思う。

さらに、こうやってセードルフが1つ上に入ったことで攻撃にかけられる枚数が単純に増えることになった。最試合では実質的に最後の選択肢がカカだけだったのが、この試合ではセードルフもその選択肢の1枚となれたと思う。しかも、そういう単純な枚数以上に大きな効果も生まれた。
それは、マークの分散ってこと。相手としては見るべき相手が1枚増えたことで、1人1人にかけられる人数が減る状況が生まれたと思う。

これによってカカが空いてきて、セードルフとの関係性でラストの崩しに入るっていうイメージが沸いたわけだけど、それよりもさらにジラルディーノが空いてくる効果が目立った。この試合でセードルフのポジションの恩恵を受けたのはカカよりもジラルディーノだったと思う。

そのジラルディーノはここ最近のプレーが嘘のように目立ってた。ボールを効果的に引き出す動きが多くなって、ボールタッチの回数が格段に上がったような気がする。
真ん中でのプレーを好む選手だから横の動きでの引き出しはあまり期待できなかったけど、その代わりに縦の動きでのボールの引き出しが多くなったと思う。後で書くように高めのラインを設定したトリノの最終ラインのウラを狙ったり、そのDF前に入ってきてくさびを受けたりと、近づくやり方と遠ざかるやり方の両面でのボールの引き出しが見られた。
このジラルディーノの動きによって、相手の最終ラインに対しての仕掛けが容易になったような気がする。

最近見た数戦ではなかなか相手の最終ラインに仕掛けられずに、中盤でのキープ率ばかりが上がっていたミラン。もちろん、ポゼッション自体に問題はないわけだけど、カカが抑えられるとそのポゼッションに目標がなくなってしまっていたようにも見えた。
それがこの試合ではジラルディーノの引き出しとその1つ下でのセードルフの動きによって、目標が生まれてたようなイメージ。

逆にカカはいつもと特別変わった点は見受けられなかった。序盤こそタッチ数を増やして、積極的にシュートに行く姿勢が見られたけど、時間とともに相手にしっかりとマークにつかれるようになってしまったと思う。
ただ、その中でも要所要所で仕事をこなせる点も普段のカカと同じだったわけだけど。
そういう意味ではセードルフが高い位置に上がってきて、本来ジラルディーノにつくべきマークがセードルフと分散されたイメージでいいと思う。セードルフが出てきても、相手にとってのカカはあくまでもカカだった。

セードルフのプレー位置が1枚上がった効果のもう1つは、アンブロジー二の攻撃参加。
セードルフが1つポジションを上げたことで、アンブロジーニが普段のセードルフ的な仕事をこなしてたように思う。要するに攻撃時はOMFとDMFの中間的場所で守備時はDF前のラインに入るっていうやり方。
攻撃面を見れば分かるとおり、さらに前線に1枚コンスタントに入ってくる選手が生まれた。例えばセードルフが1枚ポジションを上げたとしても、後ろが出てこないのならば、攻撃は前の3人に任されることになって普段とは変わらない。それがアンブロジーニの存在によって、セードルフが1枚上がったことがそのまま攻撃の厚みにつながったように思う。

ここまでで気になるのがセードルフのポジション変更がこの試合限定か?ってこと。もしかしたら、格下相手にはいつも攻撃的な4-3-2-1を採用しているのかもしれない。普通に考えれば、完全に引いてくる相手に対して4-4-1-1で保険をかける必要はないわけで。最近の試合はCLだったり、ローマ戦だったりしたから、そういう試合が例外的っていう可能性もあるかもしれない。
そう考えると、ダイジェストなどではセードルフはゴールに直結する場所でのプレーが多いし、アンブロジーニがゴール前に出てくるシーンも多く見られる気がした。

とにかく、この試合ではセードルフのポジションによって一味違うミランの攻撃が見られた。
それを端的に表すと、縦へのスピードが上がったって言えるような気がした。
そのベースにあったのが、ここまで書いてきたようなセードルフの存在とそれによってもたらされたジラルディーノの引き出し。これらによって相手ブロックへのアプローチが容易になったってのは上にも書いたとおり。結果として相手ゴールに向かって遠回りする必要がなくなったんじゃないかと思う。

つまり、ポゼッション率を上げながら相手のギャップを探すっていう作業が必要なくなったってこと。
そういうポゼッション率を上げるやり方はある意味では横のアプローチをしてるって言える。それはこれまでも書いてきたようなミランのSB利用のやり方を見ても分かるとおり。幅を使いながら、一番使いたい真ん中をこじ開けに行くっていう考え方。

今回の試合ではその必要がなかったっていうわけ。それは、SBの利用のしかたを見ても分かる点だったと思う。
この試合でも立ち上がりの時間は、高い位置を保つSBを利用しながら、攻撃に深みを与えていくっていうやり方が見て取れたのは確か。右サイドのカフーはかなり高い位置まで入り込んでチャンスメイクをしてたし、左サイドのファバッリも組み立ての関与しながら、最前線の場所まで出てくるシーンが生まれた。
本来ならば、こういうSB利用のやり方が90分を通して見られるはず。もちろん、そういうSBの攻撃参加を利用して、中盤での構成力を上げるってこともあるわけだけど。それでもSBが担う役割はかなり大きくなるのは確かだった。

それがこの試合ではSBの攻撃参加の重要度が高かったのは、上に書いたような立ち上がりの時間帯だけだったと思う。その時間帯にしても、いつものような組み立てへの参加というよりは、仕上げの部分を担うシーンが目立ってた。
とにかく、途中からはSBを利用しないやり方が明らかに目につきはじめた。これは両SBの運動量の問題ではなかったと思う。特にカフーなんかはローマ戦でチームで一番の運動量を見せてくれてたぐらいだし。戦術的な理由であまり価値がなくなったってことだったんだと思う。

で、その代わりに価値が上がったのは真ん中を正直に攻めるやり方。
そもそもSB利用にしてもポゼッション率を高めるやり方にしても目標にあるのは、真ん中の場所を空けること。それが今までは、なかなか真ん中が空かなかったからSB利用を続けなければならなかったし、ポゼッション率がどんどんと上がっていってた。
それがこの試合では真ん中の場所の選択肢が格段に増加した。それがセードルフのポジションが1つ上がったことと、ジラルディーノの引き出しの動きが多くなったこと、前線の人数が増えたことに起因するのはここまでしつこいほど書いてきたとおり。
結果として下手に遠回りせずに、単純に真ん中を突っ切るやり方が可能になっ。

これが上に書いた縦へのスピードが上がったってこと。遠回りがなくなった分だけ、シュートに至るまでのパスの数が格段に減少してたと思う。それだけチームとしてもゴールに向かう意図が強くなったってことが言えると思う。つなぐことが目標にならず、ゴールに向かうことがはっきりと目標として定められてたと思う。

ただし、この試合みたいなサッカーができるなら普段みたいなポゼッションがいらないかっていうと、もちろんそういうわけではない。なぜなら、今回の試合は相手の守備のまずさに助けられた部分がかなり大きかったから。
ミランが今回と同じようなやり方を取ったとしても、相手が強ければ結局はポゼッションを上げてギャップを作り出すやり方に戻るはず。そういう縦でも横でもの転換が容易なのが、ミランの強みでもあると思うし。

というわけで、まずさが目立ったトリノの守備について。
そもそもトリノの守備はどこをスタートとするかってことが明確になってなかった。まず、3トップのFWの役割が全くもってあいまいだったような気がする。
ハーフェイライン上で受ける体制を作ることもあれば、積極的に相手最終ラインまでチェイスをすることもある。やり方自体が絶対的に悪いとは思わないけど、そういう守備が気まぐれで行われてたように見えたのが問題。FWの守備が効果的に効いたっていうシーンがほとんど見られなかった。

こうやってFWが気まぐれな守備をすると、後ろとしては溜まったもんじゃない。はっきりとしたやり方が取れてないだけに、FWに連動して守備をするってのはかなり難しかったと思う。結果として計算できないFWを削った、後ろの選手だけで守備の最初から最後までをこなさなければならなくなったと思う。
ここで痛かったのはトリノのFWが3枚いたこと。味方3枚が守備要員から外され、相手は後ろから次々出てくる。この状況ではミランに空いてる選手が生まれてくるのは、ある意味では必然だったと思う。
そういう空いた選手をつなぎながらミランが真ん中を崩していった印象。

さらに守備面で実質的なスタートを担うべき、中盤のところでもあいまいな守備のやり方が見られた。自陣に入ってきたボールにはしっかりとチェックに行くってことは徹底されてたものの、この状況下ではそれが裏目に出てしまった印象。
守備のやり方があいまいっていう状況だから、守備の連動性ははかりにくい。ボールに対するチェックも単発で終わってしまう。しかも、そのチェックが遅れていく場合が多い。そして、相手はミラン。
単発の守備でボールを奪えるほど甘くなかった。逆にチェックに出てきたギャップにうまく入られてしまうシーンの方が目立ってた気がする。

こういう部分からも分かるとおり、トリノの守備はボールへの意識とボールなしの場所での意識のバランスがいまいち取れてなかった気がする。だから、ボールへ行ってない選手は次を考えて守備ができてないし、ボールへの意識が強すぎて守備のバランスが崩れてしまう。
前半にはサイドのボールに多くの選手の意識が引き付けられて、中が完全にフリーっていうシーンを2つも作り出されている。

こういうある意味では個々の意識の問題に加えて、チーム全体としての選手の配置にも問題を感じた。
この試合のスタートのトリノの守備ブロックは4-3-3の形。特徴的だったのは最終ラインに設定の高さだった。問題はこのラインの高さの意図。FW~中盤の守備を見る限りでは高い位置で積極的に取りたいっていう意図は感じられなかったから、DFと中盤を近づけることでバイタルエリアをつぶしたいっていう意図の方が強かったように思う。
ボールに対しての意識が強さは、ウラを取られないようにっていう配慮もあったかもしれない。

ただ、完全に相手を見誤ってた。
トリノの守備ブロックは何度も書くように4-3-3。そして、前線の3は守備要員としては期待できないってのも上に書いたとおり。そして、下の4-3はコンパクトな組織を保とうとしてる。このためには最終ラインを上げて中盤に近づけることもそうだけど、逆に中盤を下げてDFラインに近づけるっていう意識もあったと思う。結果として中盤とFWの3-3の間にスペースが生まれることになった。

そして、この3-3の間のスペースはミランのどこに該当するかといえば、ドンピシャでピルロの位置。この試合ではピルロが浮いてるシーンがかなり多くなったと思う。
そうやってピルロがフリーでボールを持れば、高い最終ラインのウラのスペースを狙われるのは当たり前。ジラルディーノの引き出しの動きの活性化と相まって、隙さえあればウラに一発を狙う質のボールが多くなった。
ミランとしてはある意味ではこのことが縦への意識を生んだと思う。ピルロが横といえば横だし、ピルロが縦といえば縦っていう風にチームが動くぐらいの影響力をピルロは持ってる。実際に、相手のブロックにギャップがないときにはピルロは左右に散らす質のボールが多くなると思うし。逆にこの試合ではピルロが持った瞬間に縦を狙う質のボールが多くなってた。

こういう状況にトリノもさすがに気づいた。ピルロに入ったときにしっかりとチェックの行く意識が強くなっていったと思う。ただし、FWは守備の計算に入ってないから(きまぐれでたまにはピルロにチェックに行くこともある)、対応するのは中盤の選手。
これで4-3のバランスが崩れることになる。結果として本来抑えたかったバイタルエリアのところの守備にギャップが生まれることになったと思う。カカとかセードルフが空いたり、フィルターがなくなったジラルディーノにくさびが入ったりってことが多くなった。
それにピルロに対するチェックは遅れて単発の状況だから、それほど効果的ではない。結局、どちらも中途半端に終わってしまった。

そういう意味ではトリノの守備は後半の4-4-2変更後が一番機能してたような気がする。このシステムにしてからは、下手なことは考えずに完全に引きこもりのやり方になった。FWも自陣に入ることがはっきりしてた。
結果として前半は得点を取るのは時間の問題と思われてたミランが、決定的なチャンスをほとんど作り出せなかった。

こんな感じで守備に問題を感じさせたトリノだけど、攻撃にはそれなりの可能性が垣間見られたと思う。守備をしないで前線に残ってるだけあって、FWの3人にボールが入るといい形で相手ゴールに向かえてた。チームとしてもFWにとにかく放り込む意識が強かったと思う。
特に後半にミランが前がかった時間にはさらされた最終ラインに対して効果的な仕掛けが見られた。1人のドリブルと2人のランニングを組み合わせることで、スピーディーで動きのある攻撃を仕掛けられてたと思う。人数が少なくても相手ゴールに迫れるシーンが多くなった。

ただ、上に書いたようにこうやって可能性を感じさせてくれるのはボールがうまくFWに収まったら。そもそも単純な放り込みじゃ、ぴったり収めるのは難しいわけだけど、さらにこの試合ではミランの守備のよさも加わって、さらに困難になったんじゃないかと思う。

この試合のミランは守備の意識も1つ前に移行してたような気がする。最近の試合では(おそらく相手との力差もあって)、ボールを奪われたらとにかく自陣深くに4-4の安定したブロックを作ることを最優先にしてた。
ただ、ミランの本来の守備のよさは昨シーズンのCLマンU戦に代表されるような、前線から切って切って追い込んでのやり方にあると思う。今回の試合では、そういう守備にはまだまだ遠いものの、その片鱗は見せてくれたように思う。

そういう意味で一番改善されたのは高い位置での切り替え後の守備にあったと思う。奪われた後すぐの切り替えのところでの意識が明らかに好転してた。そうやって高い位置で奪えるシーンが多くなったし、何よりも次の狙いがかなりつけやすくなったんじゃないかと思う。最初の切り替えの守備を相手が抜け出しても、次のところで相手の前に入ってインターセプトするっていうシーンがかなり多くなった。特に相手の肝になるトップへのボールはことごとく先に触ってたように思う。
こういう高い位置での効果的な守備には、前線に人数が多く入れたっていう改善もいい影響を及ぼしてた印象。

結果は0-0で引き分けだったけど、ミランの内容は明らかに好転してた。特に切り替えの意識の改善はかなり大きかったと思う。それは攻→守だけではなう守→攻でも。カウンターで多くの人数が一気に飛び出すシーンが目立ってた。ローマ戦ではカウンターはカカ頼みだって書いたことを考えると、短期間でかなり大きな変化がもたらされてると思う。そういう1つ1つの切り替えの速さが、それがこの試合の前後5-0、3-0の勝利につながってる気がする。

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2007-11-04 Sun 18:33
ナビスコ杯決勝:フロンターレ×ガンバ
<フロンターレ:3-5-2>
FW:ジュニーニョ-鄭
MF:大橋、伊藤-中村-谷口-森
DF:佐原-寺田-箕輪
GK:川島

<ガンバ:4-4-2>
FW:マグノ・アウベス-バレー
MF:遠藤-橋本-明神-二川
DF:安田-山口-シジクレイ-加地
GK:藤ヶ谷

フロンターレはガンバに対する守備をしっかりとするところから試合に入った。
最終ラインは3バックにして相手の2トップに対して常に数的優位を作り出せるやり方をとった。1×1のマーキングをはっきりさせながら、1枚をあまらせる万全の体制でほとんど自由に仕事をさせなかった。

そして、相手の両SBと遠藤・二川のOMFに対してはボランチとWBが分担して対応することがはっきりしてと思う。遠藤とか二川が中に入ってくれば、多くの場合相手のSBが空いたスペースに飛び出してくる。そういうときにはボランチ(フ)×遠藤・二川(ガ)とWB(フ)×SB(ガ)の関係を作り出した。

逆に二川とか遠藤がサイドに流れれば、ガンバのSBとOMFでの縦の関係性が作り出される。そういうときには遠藤・二川にフロンターレのWBが対応し、後ろから出てくるSBをボランチがサイドに引っ張り出されて見るっていうやり方になってた気がする。
そのときに真ん中の部分は、残ったもう1枚のボランチと降りてきた大橋が固めて相手のボランチの攻撃参加に備えてたと思う。

こうやって中盤より後ろの押さえどころをはっきりさせてたフロンターレだけど、最初に守備組織を作ったときにはいつもと同じようなやり方を取ってた。そもそも、フロンターレの守備は1度組織をしっかりと形成してから受けるイメージが強い。ガンバが速攻のチームじゃないこともあって、ほとんどの時間ではフロンターレがやりたいように組織を作ってから受けることができてたと思う。その組織作りのときに、いつものようにトップ下を押し出して最前線に3枚のフィルターを置く形を取ってきた。

この最前線の3枚のフィルターには色々な効果が期待できる。
1つは単純に相手の最初の縦パスが通しにくくなるってこと。2枚よりも3枚の方がピッチ全体をカバーできるし、相手の低い位置での横の揺さぶりに対しても1人1人の持ち場をズラされることがなくなる。結果として相手の攻撃の最初のパスを簡単に通させないことが可能になる。

これと関連して相手の攻撃のスタートに対するアプローチもしやすくなってると思う。フロンターレのやり方だと、大橋が真ん中に押し出して2トップが両サイドに弾き出される。大橋は相手のボランチに対してのコースを切ることで、最終ラインから1つ前へのつなぎを防ぎ、2トップはSBへのケア。このやり方が機能している時間帯は、ガンバはCB(多くの場合でシジクレイ)が攻撃のスタートとして経由点なくボールを前線に運ばなければならない状況が生まれていた。結果として単純なロングボールがかなり多くなったと思う。

さらに、2トップを横に弾き出すことで相手のSBへのプレッシャーが可能になる。上に書いたように相手のSBを攻撃の経由点として機能させないことに加えて、SB自身の攻撃参加を自省させる効果もあったと思う。

完全にペースがガンバのものになって3のフィルターが作れなくなってからはガンバのSBはかなり高い位置まで出てきたけど、フロンターレが狙い通りの守備をしている時間にはあまり積極的になれてなかったんじゃないかと思う。

ただし、このやり方にはデメリットがあったのも確か。
この試合では後ろが3バックというよりも5バックの意識が強くなってたから、守備組織が5-2-3という形になっていた。結果としてボランチの2枚の守備の役割がかなり大きなものになったと思う。

まず基本的な役割は上に書いたような、相手OMFとかSBへの対応。この時点ですでにピッチの横の幅一杯の守備が求められてるわけだけど。
さらにDF前のフィルター、中盤でのボールへのアプローチっていう上下の役割も求められることになった。2人とも攻撃にも積極的であることを考えると、そこから戻ってくることも考える必要がある。

それでも、立ち上がりの時間は自分たちの守備の役割をきっちりとこなしてた。ただ、ガンバが攻撃の流動性を増してきてからは中盤のところがさすがに2人だけでは抑えきれなくなってしまった。だんだんと中盤をいいように使われだして、2枚のボランチは最終ラインの5枚との最後のブロック形成に参加するようになったと思う。
この時間は中盤を捨てて、最後で跳ね返すっていうやり方になった。そして、空いてしまった中盤のところには大橋とか鄭が下がってくることが多くなった。

ここまでの状況を正確に言うと、ボランチ2枚では対応しきれなくなった時点で大橋が下がって普通の3-5-2(5-3-2)の形に移行した。これによって最前線の3枚のフィルターが崩され、相手の攻撃のスタートのところがスムーズに行くようになったし、SBの攻撃参加も活発化された。それによって多くのガンバ選手がフロンターレ陣地に入ってきた。
結果としてフロンターレはゴール前に多くの選手が押し込まれて最後のブロックでなんとか跳ね返す形になり、鄭が中盤に降りてくることになった。
これではそれまで機能してたカウンターにも怖さもなく、ガンバは攻撃だけに専念できたと思う。

こうやってガンバが前半の途中から主導権を握ることになったわけだけど、立ち上がりは上にも書いたようにロングボールが多くて本来のガンバのやり方とは程遠かった。
その要因の1つには上にも書いたフロンターレの守備のよさもあったわけだけど、ガンバ自身の問題もあったような気がする。それが遠藤を1枚上に押し上げたこと。

ここ最近は橋本を左SBに下げて、ボランチを遠藤と明神が組むシーンが多かった。それによって、自由な場所でのタッチ数が増えた遠藤が前線へのボールの供給役として相手守備ブロックへの最初のアプローチのところを担ってた。

それがこの試合は遠藤が1枚前で出し手から受け手へと役割を変えた。
結果としてチームとしての相手ブロックへの最初のアプローチができなくなってしまったような気がする。
それに加えて相手はガンバの前線の受け手をしっかりと見る守備をしてた。最前線の3枚のフィルターも相まって、簡単にはブロック内には入り込めない状況が生まれてた印象。

ただ、こういう状況が前半10分を境目に徐々に変化してきたと思う。
そのスイッチになったのがマグノの動きだった。前半10分過ぎの攻撃の中でそれまでトップの位置に張ってたマグノが左サイドに流れてボールを受けた。この後は中盤の低いところまで下がってきたり、サイドに流れたりっていう動きをかなり増やしたと思う。

そして、このマグノの動きに引っ張られて前線で本来の流動的なやり方が見られるようになった。
トップの場所で言えば、バレーが常に相手最終ラインにプレッシャーをかけつつ、マグノと2列以降が出入りを激しくするようなやり方が見られたと思う。
遠藤にしてもボランチのところに降りてきてのボールタッチから、相手の背後を狙うようなプレーまでかなり幅広い役割を担うようになったし、同じようなことが二川にも言えた。もちろん、2人はこういう縦の動きだけではなくて横の流動性も持たせたわけだし。
それにボランチの位置からの橋本の攻撃参加も活発化したと思う。
結果として相手の嫌なところ嫌なところをつないでいくガンバ本来のパス回しも見られるようになったと思う。

遠藤の相手のギャップを渡り歩いて味方からボールを引き出す動きもかなり多くなってた。こういうやり方の中でフロンターレの守備に混乱が生まれた。それは立ち上がりのいい時間帯のように、誰が誰につくっていうことをはっきりさせられなくなったからだったと思う。そういう状況の中でガンバの前線の受け手の中に浮いている選手が目立つようになってきた。

そうやって前線の受け手が多くなってくれば、何もそこにパスを出すのは遠藤である必要はない。あくまでも相手にしっかりとつかれている中で微妙なギャップをつくために遠藤が必要なわけであって。
そういうこともあって、前半の途中からはガンバが敵陣に入り込める時間が長くなった。そのうちにフロンターレの守備ブロックが押し下げられていき、完全にガンバがポゼッションを制した流れは上にも書いたとおり。

ただ、フロンターレとしても相手に押し込まれた状態で耐えているだけではなかった。自分たちの攻撃のやり方を改善することによって、相手を押し返すような時間帯を作り出したと思う。

この変化の前に、立ち上がりから見られたこの試合でのフロンターレの基本的なやり方を見てみる。
この試合でのフロンターレは上にも書いたように守備に重点を置いたやり方を取ってきたと思う。だから、守備に人数をかけて攻撃には人数をかけないっていう考え方が強く出てた印象。前線の3人の関係で何とかしてもらいたいっていうのが見られたと思う。

そうやって少ない人数で攻めることを考えると、相手が揃う前に攻めきりたい。というわけで、奪ったらすぐに縦へっていう攻撃が目立ったように思う。
その中心的な役割を担ったのが中村。ボールを奪った瞬間に中村は相手選手のプレッシャーをすぐに受けないところに入ってボールを受け、相手に寄せられる前に一気に縦パスを供給してたと思う。

こういう前線に頼った攻撃はカウンターのところ以外でも目立ってた。前の3人はトップの位置にこだわらずに動きながらボールを引き出し、そこに対して単純なロングボールを放り込むやり方が多くなったと思う。
そういう意味ではガンバとは対照的だった。トップが流れるとすかさず中盤が入り込んで前線に厚みを増すガンバに対して、フロンターレはトップが流れてもそこに入ってくる後ろの選手はほとんどいなかった。あくまでも3人で何とかするっていうことが目標にあったやり方だったような気がする。

ただ、ここにおいてはマギヌンの出場停止は痛かったと思う。大橋が悪かったとは思わないけど、マギヌンのようにゴール前に出てくるようなう動きがなかった。だから、トップが流れてしまうとトップの場所に選手がいなくなってしまう状況が生まれてしまったと思う。せっかくジュニーニョがシジクレイを引っ張り出しても、そのギャップをうまく突くことができなかったと思う。
後ろからの飛び出しが期待できなくても、大橋がうまくそのスペースに出て行くことでゴール前の枚数はなんとか確保できたんじゃないかって気がする。

それでもこのやり方が序盤は機能した。守備時の前線の3のフィルターが切り替えでそのまま攻撃の3枚になるから、スムーズな移行が可能だったと思う。それに全体のバランスが大きく崩れてなかったから、出し手となる中村と前線との距離が離れていなかったのもよかった点だったと思う。
結果として相手ゴールを脅かすようなシュートにつながるシーンもいくつか作れたと思う。

これが守備のバランスが崩れたことでうまく機能しなくなってしまった。まず前線の3のフィルターが崩されたことで、攻撃の移行時の前線の枚数が足りなくなった。さらに、スタートとなる中村が押し込まれたことで前線との距離が遠くなってしまった。
こういう状態にも関わらず、無理やり前線にボールを放り込もうとして相手に拾われるっていうシーンが多くなったと思う。
結果として全体のバランスの回復ができないっていう悪循環が見られたように思う。

これに対して上に書いたような相手を逆に押し返す時間はこの攻撃のやり方に変更を加えた。それは安易に縦に放り込むんじゃなくて、押し込まれた選手の押し上げを待つっていう考え方。
ここでも中村が1つの経由点の役割を担った。それまではボールを受けたらすぐに前線へっていう姿勢が見られたけど、この時間は一呼吸置いてたイメージ。切り替えでうまく相手のプレッシャーを受けないところに入り込む力とキープ力が生きたと思う。

チームとしても中村に入った安心感から後ろの押し上げがスムーズに進む状況が作れた。結果としてそれまでは5バックの一角としてほとんど攻撃に絡まなかった、両サイドを使った攻撃が見られるようになったと思う。そうやってサイドを変える大きな展開を織り交ぜながらしっかり組み立ててのアプローチが多くなったと思う。
サイドでは森の積極的な仕掛けが見られ始めたのもこの時間。

その中ではまたしてもボランチ2枚の役割が大きくなった。
中村はここまで書いてきたようなゲームメイクの役割はもちろん、遠藤と同じように相手のギャップに入り込んで味方からボールを引き出す動きも多くなったし、谷口は積極的にゴール前まで飛び出していく動きが多くなった。2人ともサイドの厚みを増すフォローに入るシーンも多くなった。こういう2人の動きによってそれまでのトップレス状態が解消され、攻撃に厚みが加わったと思う。
ただし、この時間でもチャンスがあれば縦を狙う姿勢を崩さないことで相手の最終ラインには間接的に常にプレッシャーを与えてた印象。

こんな感じで終わった前半。
支配率ならガンバ、相手ゴールに迫った数ならフロンターレってことである意味では互角な45分だった。ガンバは支配率では上回ったけど、最後のところは人数をかけたフロンターレの守備陣に跳ね返されてしまったと思う。特にフロンターレの最終ラインは跳ね返しの強さは抜群だし。これは序盤のガンバのロングボール攻勢がことごとく跳ね返されてしまったところにも現れてる。

これに対して、後半になってガンバは動いてきた。
後半のガンバの布陣は興味深かったと思う。

   マ バ
    二
 安     橋  
   遠 明  
  
  山 シ 加
  
    藤
    
安田を1枚上げて3-4-1-2の超攻撃的システムに変更。

この変更にはいくつかのメリットが見られたと思う。
1つは遠藤のポジションが1つ下になったこと。これによって前半は前線で受け手に回っていた遠藤が、ここ最近のやり方と同じように出し手に回ることになった。結果として前線へのボールの供給がスムーズに行くようになった気がする。

さらに2つめとしては山口の攻撃参加。立ち上がりはとにかく攻撃的に最終ラインで余った山口が積極的に攻撃に飛び出してきた。そうやって前線の厚みをさらに増すことに成功した印象。

そして、3つめとしては安田の攻撃的な利用。これが一番大きなメリットだったと思う。
1つ高い位置に安田が入ったことで、それまでの真ん中・パス回し中心のサッカーのリズムがいい意味で崩れた。安田の積極的な仕掛けによってサイドの縦を攻め込むっていう選択肢が生まれたと思う。
さらに、安田のボールなしでの動きの積極性も。結果としてゴールにつながったように、FWの位置まで出てくる回数も多かったように思う。
結論から言えば、この積極的なシステム変更が功を奏した試合だった。

そして、得点後のガンバは冷静に前半と同じやり方に戻した。守備で言えば後半開始時は後ろのバランスもあって高めの位置での意識が高かったのを、1度組織を作ってから受けるっていうフロンターレと同じような考え方に戻した。

守備では4-4-2の組織を作るわけだけど、そのときに実質的な守備のスタートとなるのが中盤の4。バレー、マグノの2トップでは守備のスタートとしての役割が期待できないだけに、中盤の4の守備面での役割は重要だった。
そして、その守備の開始地点は相手が縦に1つ入れたところ=自陣に入られたところ。そうやって自陣に入ってきたボールに対して、中盤の選手がサボらずにチェックを繰り返した。

ただ、守備のスタートが中盤になるだけに中盤で効果的に奪うのも難しかったように思う。しっかりと中盤でのチェックをするから、前への勢いを殺して押し戻すことはできたけど、結局はロングボールで最終ラインに仕掛けられることになった。それに相手が人数をかけると中盤を含めて多くの人数が押し込まれる状況になっていたと思う。

ガンバとしては得点後の時間は意図的にそういう形を作っていたかもしれない。ある程度来させておいて最後を固めつつ、奪ったらトップの能力に賭けるっていう考え方。ある意味では前半のフロンターレと立場が逆転したようなイメージだった。

結果は0-1でガンバの優勝。MVP獲得の安田はこの試合では守備面でもよさを見せてくれた。森との1×1の場面でファールを犯さずに奪うシーンがかなり多かったと思う。
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2007-11-02 Fri 00:50
ミラン×ローマ
<ミラン:4-3-2-1>
FW:ジラルディーノ
MF:セードルフ-カカ、アンブロジーニ-ピルロ-ガットゥーゾ
DF:マルディーニ-カラーゼ-ネスタ-カフー
GK:ジーダ

<ローマ:4-2-3-1>
FW:ブチニッチ
MF:トネット-ペロッタ-マンシーニ、ピサーロ-デ・ロッシ
DF:カセッティ-フアン-メクセス-シシーニョ
GK:ドニ

久々にローマの試合を見る機会に恵まれたのに、こういうときに限ってトッティが欠場。代わりにCLと同じくブチニッチがトップに入って、形としては普通の1トップのイメージが強くなった。
で、それはミランと同じような形。中盤の形が微妙に違うものの、両チームとも4-5-1を採用してたっていう意味では似ていると考えていいと思う。
以下では両チームの比較をしながら、試合内容について触れてみたい。

まずは守備面。
守備面については両チームの狙いが同じようなものだったんじゃないかと思う。単純に言うなら、高い位置で取れればラッキーだけど、やっぱり守備の勝負は最後の所っていうイメージ。まず高い位置で取れればラッキーっていうのは、相手にボールを保持されたときの両チームの最初の守備ブロックの形に見て取れた。

ミランの最初の守備ブロックはセードルフとカカを1つ前へ押し出した4-3-3。対するローマは2列目のマンシーニ-ペロッタ-トネットを横並びにした4-2-3-1。両チームとも高い位置にフィルターを配置する意図は見て取れる。
ただ、このフィルターの場所で奪おうとする意思があるかどうかってのは別問題。どちらも前線からの積極的な動きが見られなかったから、高い位置のフィルターの場所で引っ掛ける意図はあまりなかったと思う。これが奪えればラッキーって書いた部分。
要するに能動的なアプローチはしてないから、あわよくば相手が勝手に引っかかってくればっていう意図が強かったような気がする。

そうやって高い位置での積極的な守備のアプローチがないわけだから、相手の低い位置の選手はある程度自由にボールを持つことができた。そうなれば、相手の守備ブロックに対する仕掛けも自由にできるし、精度も上がる。後で書くとおり両チームとも相手の守備ブロックへのアプローチの最初にサイドに散らすことが多かったけど、そういうやり方によって簡単に相手のブロックに1つ入り込むことは可能だった。

そうなったときに守備側がどういうやり方を取ってくるかといえば、両チームともゴール前のところに人数をかけることを優先させてたと思う。1つ入り込まれたときに、ミランはセードルフが左SMFに入ることによって、ローマは両SMFが1枚下がることによって4-4-1-1の守備組織を作り出した。そして、下の4-4で最後のピッチの残り1/4を抑える意図が強かったように思う。逆に言えば、攻撃側はピッチの3/4まではほとんどプレッシャーなくボールを運ぶことができた。
だから、ゲームメイクのキーとなる選手(ミラン側ではピルロが、ローマ側ではデ・ロッシ)がフリーでボールを触るシーンが多かったと思う。しかも、敵陣内で。

こういうキーになってる選手じゃなくて、中盤では軒並みいろいろな選手が浮いてることを考えれば、単純に考えて危険な状況だっていえる。ただ、この試合の両チームは最後のところを抑えていれば問題ないっていう考え方で守備をしてたんだと思う。

そして、実際にその考え方はうまく行ってた。
ピルロにしろデ・ロッシにしろある程度自由になったのにも関わらず決定的なシーンに絡んだり、そういうシーンを演出したりっていうことはできなかった。サイドに展開する、要するに真ん中が堅いからサイドに逃げるっていう質のボールがかなり多くなったと思う。
その他、中盤で浮いていた選手も浮いていたのはゴールに直接関係のない場所までだった。ミドルシュートを打つシーンは増えても、相手の最後のブロックに仕掛けたりっていうシーンは作れなかったと思う。
結果としてこの試合はエリア内での攻防が極端に少ない試合になった。

ちなみに両チームの低い位置の4-4が強く現れていたのが、立ち上がりの時間だった。どちらもこの時間は4-3-3とか4-2-3-1を経由せずに、いきなり4-4-1-1の安定したブロックを形成してたと思う。まずは失点しないことを念頭に置いてた印象。

次に攻撃面について。まずは、上でちょっと触れたサイドの利用法について見て行きたい。

ミランについては、いつも触れているようなサイドの使い方が基本的なやり方として見られた。要するにサイドを1つの経由点として利用するやり方。
これはあくまでも狙いは真ん中を崩すことで、そのためのアプローチとしてサイドに1度展開するっていう考え方が元になってる。サイドへの展開で相手の目先を変え、相手の守備ブロックから選手を引っ張り出すことで真ん中を空けたり、そこにSBを利用することで1つ前を押し込んで真ん中のところに厚みを増したりっていうやり方。こういう点についてもいつも書いてることだけど。

ただ、今回の試合に関してはサイドを経由点に使うだけじゃなくて、仕上げに使う考え方がいつも以上に出てたと思う。これはローマの守備陣が上に書いたように最後を抑えたことと関係してたと思う。
バイタルエリアのスペースをつぶされたことによって、いつものようにカカ、セードルフの関係が作れなくなり、狙い通りの真ん中の崩しが機能しなくなってしまった。結果としてある程度薄いサイドからゴール前に入れるっていうやり方が多くなったんだと思う。
前半はピルロ→カフーの大きな展開からの折り返しのシーンが多くなったし(後半もだけど)、失点後の得点が欲しい時間帯にはセルジーニョを投入して左サイドからのクロスを放り込みまくった。

それでもミランのサイド利用の基本にあったのは経由点っていう考え方だったわけだけど、対するローマは仕上げの意図が強くなった。
最近のローマの試合は見てないから分からないけど、去年のイメージだとローマも真ん中を崩していくイメージが強かった。マンシーニを含めてサイドでえぐるタイプがいるのも確かだけど、チームとしてトッティを見る意識があるからどうしても攻撃の起点が真ん中に置かれることが多い。

それに対してこの試合はサイド志向のやり方が目立った。トッティの不在で絶対的な軸がいなくなったこと、ミランの守備によって真ん中が抑えられてて使えなかったことが要因にあったように思う。そして、このサイド利用に対しても持ち前のランニングの豊富さが生きてた印象。

そもそもミランの守備陣は本来的に真ん中に凝縮する傾向がある。特に最終ラインは4の一体感を重視して、SBが絞り気味になる。
そして、この最後のブロックに対してローマのゴールに向かうランニングが仕掛けられる。そのランニングが単発で終わらずに流動性、連動性を持った形で仕掛けられるだけに、ミランの守備陣にとってはプレッシャーが多いと思う。
結果として真ん中への凝縮がさらに加速されることになった。

そういう状況になったときに、真ん中のランニングとはタイミングをややずらしてサイドに出てくる選手(多くはSBシシーニョ)が効果的。外にスペースが空いているだけにフリーな状態でボールを受けられるシーンが多かった。
こういうやり方とは微妙に違っていたものの、得点シーンもサイドからの流れ。しつこいようだけど、ミランの側からすればまたしてもサイドからのクロスでの失点だった。
大きな展開、ボランチの左右への散らしとそれを引き出す効果的な動きによってを両サイドの幅を効果的に使えていたローマだけど決定的なシーンは得点以外にほとんど作れなかった。そういう点については最後の精度がやや甘かったような気がする。

このサイドの使い方でも分かるようにローマはランニングが多い。0トップシステムと比べるとやや量、質が劣っていたような気もするけど、それでもミランと比べるとその違いは明らかだった。

というわけで、次はランニングについて。ミランとローマのランニングの違いは、その意図と爆発力。

ミランの意図はパスをつなぐためのコース作りがメインで爆発的なランニングはあまり見られない。
これをよく表してるのがセードルフの動き。セードルフはポジションにこだわらずに、味方ボール保持者が出てきて欲しいところに多く出てくる。そのときには全速力でボールを引き出すというよりは、場所を見つけるうまさによってギャップに入り込むイメージが強い。こういうセードルフの動きに似たやり方が他の選手にも見られる。
そうやって目立たないところでぐにゃぐにゃとポジションを変化させながらパスをつないで行くのがミランのやり方。このパス回しの中で最終的にカカに渡してなんとかしてもらうってのがここ最近のミランに多く見られる。

ただ、今回の試合ではカカのプレースペースをローマのべた引きの守備で消されてしまった。それに後で書くようにカカがそういうエリアで孤立してしまうことが多かったと思う。結果としてカカのボールタッチの回数が極端に少なくなった。
そういう状況になって、ミランの攻撃の上でのバリエーションのなさが浮き彫りになった。

そして、その根底にあったのがランニングの質だったと思う。カカっていう個にボールが収まればいいけど、そこに収まらずにチームとして攻撃をしなければならなくなったときには、ギャップを渡り歩くゆったりとした動きだけでは物足りない。爆発的なランニングでチームの攻撃のスピードアップが図れないと、最後のブロックへの仕掛けは難しいと思う。

でも、ミランにはそういう爆発的なランニングがほとんどない。強いて言えばこの試合で上下動を繰り返したカフーの動きぐらいか。さすがにパスのつなぎはうまいけど、ランニングの少なさによってそれが足元足元につながれていってリズムが変化しないのも問題だと思った。

対するローマのランニングはゴールに向かう爆発的なものが多い。要するにミランとは対極にあるやり方だと思う。
カカが機能しなかったミランは形を作ることができなかったけど、同じく軸であるトッティ不在のローマはしっかりと攻撃の形を作ることができてた。これはやっぱりランニングの質の違いが出たんだと思う。
要するに1人に頼らずとも、ランニングの組み合わせで攻撃のスイッチを入れられるってこと。

特に2チームでの一番の相違点はボールを抜くランニングにあると思う。
ローマは後ろからの飛び出しを豊富にすることで、そういうボールを抜くランニングを増やしている。このボールを抜くランニングのメリットは攻撃に勢いが生まれること。後ろから出てきた選手を素直に使ってやれば、その飛び出してきた勢いのままにボールを前に運ぶことができる。そういうランニングを繰り返すことで攻撃にうまくスピード感が加味されると思う。

例えば得点シーンも、後ろからのランニングの質によって生まれてる。アシストのシシーニョは自陣でボールを奪い、それを味方に預け、もう1度受けるっていう一連の流れの中でかなり長い距離を全速力で走りぬいてる。同時に得点者のブチニッチも後ろから飛び込んできたことで、捕まらずに相手の前に入り込むことができたんだと思う。

そして、こういう前を追い抜くランニングはミランではほとんど見られなかった。それがスピード感のない攻撃につながってしまったんじゃないかと思う。

こういう両チームの後ろからの飛び出しの量の違いを如実に表してたのがカウンターのシーンだった。

ローマのカウンターは切れ味抜群。切り替えでブチニッチに当てて、一気に後ろが飛び出していく。ブチニッチもその飛び出しの勢いを殺さないように、シンプルにはたいてた印象。その後は複数枚で一気に攻めきれるシーンが目立っ
た。
対するミランのカウンターは完全にカカ任せ。奪ったところでカカに渡すのはいいけど、それに対しての後ろの飛び出しがほとんど見られない。だから、カカが1人の力で強引に持って行くっていう選択肢しかなくなってしまっている。

こういう状況ならローマの守備もかなり楽。切り替えでボールが入ったカカに対してはファールも辞さない構えで厳しく対応した。そうやってカカがつぶされた時点でミランのカウンターは終わってしまった。それは周囲の飛び出しが少ないからだったと思う。

同時にこれによって自陣から抜け出せない状況も多く生まれてしまったと思う。切り替えの上での選択肢が少ないことで、素早い切り替えのローマの守備の餌食になってしまった。自陣でのミスが目立って、相手にボールを渡してしまうシーンが多くなったと思う。

こういう点を見ても、ミランのカカ頼みを再認識させられる試合になった。
特にこの試合ではカカと他の選手との距離感の遠さが目立った。悪い意味で0トップのミランだから、カカとジラルディーノの関係性はそもそも期待できない。この試合でもカカがポストプレーをこなしたり、最前線で相手を引き付けたりっていうFWの仕事をこなさなければならなかった。そうやってせっかくカカが相手を引き付けても、ジラルディーノはそれによってできた場所を利用する意志すらなかったように思う。そもそもジラルディーノが引き付けて、カカがスペースを利用するのがベストなわけだけど。

ジラルディーノは相手のマークを外したり、引き付けたりっていう意図のあるうごきをほとんど行わない。むしろ、相手のマークとの勝負で強さを発揮するタイプだから仕方ないのかもしれないけど(CLの2得点がまさにそういう形)。とはいっても、こういう状況はある意味では想定内。

この試合で想定外だったのは、カカとセードルフをはじめとした中盤の選手との関係性がうまく築けてなかったことだった。特にセードルフはこの試合では攻撃の組み立ての方に顔を出すことが圧倒的に多かったような気がする。
この点についてはローマのバイタルエリアを消す守備が功を奏したっていえるかもしれない。要するにセードルフは狭いところを嫌って、1つ下の相手のブロックの外に出てきたんだと思う。

結果として相手の密集地帯でカカが孤軍奮闘状態。上に書いたように、うまく相手を引き付けてスペースを作るような動きを繰り返したけど、そのスペースを使ってくれる選手が近くにいないことで無駄に終わることが多かったと思う。逆にセードルフがカカと近い関係を作れたときにはチャンスが生まれた。カカがボールを持って相手数人を引き付け、フリーになったセードルフにはたくっていうやり方で最低でも2つの決定的なシーンができた。むしろ、エリア内に進入できたのはこの2人の関係性が築けたときだけだったような気もする。

ミランとしてもそういう点を意識してか、後半になってセードルフのプレー位置(ガットゥーゾ、アンブロジーにも)を1枚上げてきたけど。

結果は0-1でローマ。ミランは泥沼。ちょっと改善方法が見つからない。対するローマも期待していたほどの内容ではなかった。ミランの攻撃がうまく行かなかったのと同様に、ローマもミランのべた引きブロックにスペースをつぶされてしまい、本来の流動性の形成が難しくなってしまった。それに単純な1トップだったことで個人的なイメージとのギャップも大きかった。
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