ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-02-28 Thu 15:56
リバプール×サンダーランド
<リバプール:4-4-2>
FW:トーレス-クラウチ
MF:ルーカス-マスケラーノ-ジェラード-ペナント
DF:ファビオ・アウレリオ-ヒーピア-スクルテル-キャラガー
GK:レイナ

サイド総とっかえ。ミドルスブラ戦を見たときには攻撃が中ばかりに限定されてたリバプールだったから、それを打破するためにサイドに目を向けるってのは考え方としてはあり。ミドルスブラ戦からこの試合までの間は見てないからなんとも言えないけど、それらの試合の結果と今回のメンバーを見る限りでは思い切った変更が必要な状況に陥ってた可能性が高い。そのためにサイドにメスを入れたってだと思う。

実際に立ち上がりはサイドを効果的に使おうっていう意図が見て取れた。開始数分のうちにジェラードの中長距離のパスによる両サイドへの展開が、2つ3つ見て取れた。リバプールらしいトップへの放り込みにしても、中(CB)→中(FW)っていう相手の跳ね返しやすいような形じゃなくて、サイド(SB)→中(FW)っていう斜めの質のボールを入れる形が目立った。

ただし、前半に関して言えばその意識は本当に最初の数分だけだったと思う。上に書いたような立ち上がりのやり方を見る限りでは、前回気になった中へのこだわりがいい感じで薄れて幅を持った攻撃ができるんじゃないかと期待してた。でも、前半のほとんどの時間は結局は中に集中してしまうやり方に逆戻り。サイドからのクロスは1つしかなかったし、それもペナントが個人技でエリア内まで進入してからのクロスだった。シンプルにサイドから崩す形は皆無だったといってもいい。

しかも、今回の試合でリバプールはある程度自由にボールを回せる状況にあったと思う。つまり、組み立てでもやりたいことを相手にやらせてもらえないような状況ではなかったってこと。にも関わらず、中中中と入っていってしまうやり方の繰り返しになってしまうのは、やっぱりリバプール自身の攻撃のやり方に問題があるといわざるを得ない。

ちなみにサンダーランドの守備は上にも書いたようにリバプールにとっては大きな障害にはならなかったと思う。サンダーランドの守備の基本は相手のボールに対して忠実なチェックを繰り返すっていうこと。これは敵陣深くののボール保持者に対しても一応行われてたけど、やっぱりはっきりと守備が始まるのは自陣に入ってからっていうようなやり方だった。

そういう約束事のもとでサンダーランドの個々は忠実に相手のボールに対するチェックを行ってたのは確か。敵陣では一応的チェックだったけど、自陣に入ったところではボールへの意識をはっきりとさせてたと思う。だから、リバプールのボール保持者が完全にフリーになるってことはあまりなかったし、少しでももたつけばしっかりと距離を詰めるような対応をするってことがサンダーランドの自陣での守備ではできてた。

そうやってサンダーランドの選手はボールに対して忠実なチェックは欠かさなかったけど、その1つ1つが単発だったのも事実。局面局面で最低限やらせないっていうような意図のチェックの繰り返しになったから、そこで奪ったり次に向けて制限をかけたりっていう守備にはつながらなかった気がする。

そういう単発チェックに対してリバプールのボール保持者には逃げ場が多数。相手の忠実なチェックに対してもほとんど焦りを見せなかったと思う。そして、簡単に逃げ場を見つけて次に出すっていうことを繰り返していった。結果として苦労なくスムーズにパスがつなげるような状況になってたと思う。

そう考えるとリバプールが圧倒してもよさそうなものだけど、実際にはそういう状況にはならない。その原因がここまで書いてきたような真ん中にこだわるリバプールの考え方にあった気がする。1つ1つのチェックは簡単にいなしたリバプール。でも、それはあくまでも組み立てのところ。最終的には相手が低い位置に固めたブロックにいかに仕掛けるかが問題になる。そして、そのためには相手のラストブロックにどれだけ揺さぶりをかけられるかが重要になると思う。

その揺さぶりをかけることがリバプールにはできなかった。リバプールの攻撃の組み立てはペナルティーエリアの幅の中だけで行われる。たまに(本当にたまに)サイドに起点を作ったとしても、すぐにペナルティーエリアの幅に帰ってくる。だから、相手としては単純に真ん中を固めておけば何の問題もない状況だった。

そして、リバプールのラストブロックに対する仕掛けは馬鹿正直に相手が固めてる真ん中に入り込もうとする。攻撃の中でトップのところを絶対に経由するし、そこに入れる意識が異常なほどに高い。さらに、今回の試合ではサイドのてこ入れのために入ったと思われる左のルーカスまでが真ん中に入ってきてくさびを受けるシーンが目立った。そういうわけでリバプールの攻撃は100%に近い確率で真ん中に入り込むことになったと思う。そりゃ、相手だって守りやすいって話。

しかも組み立てでは一応ペナルティーエリアの幅ぐらいは使えてたけど、こういう仕掛けの縦パスはペナルティーエリアよりももっと狭いエリアに限定されてたと言っても過言ではない。サンダーランドとしては、前の方での自分たちの守備が否されていくらボールを回されても、結局は真ん中のかなり狭いエリアに限定して守っておけば何の問題もなかった。

逆にリバプールの方から見れば、それだけ真ん中真ん中にこだわるんだったら下手に回して相手のラストブロックができあがるのを待たないで、さっさとクラウチの頭を狙っちゃえばいいのにって感じがした。ちなみに前半はそういうトップへの単純なロングボールに対して、トーレスが競ってクラウチが抜け出すっていう形が多く見られたのも、攻撃がイマイチ噛み合ってないんじゃないかって思わされた部分だった。

問題はリバプールの攻撃がなんでこんなに真ん中にこだわってるのかって話。真ん中にこだわるってのは要するにトップを経由させることを絶対の決まりごととしてるような感じ。上に書いたように前半はサイドからのクロスが1本。クロス禁止令が出てるんじゃないかっていうぐらいに真ん中に入り込んでいった。その理由がイマイチつかめなかった。

とりあえず、その要因について推測してみると、この真ん中のところ、つまりトップを経由させるっていう考え方はリバプールの守備にベースが置かれたものなんじゃないかって気がした。リバプールの守備はトップの選手が献身的に追い掛け回すところをスタートとした前線からの積極的な形。そういう前線からの超ハイプレッシャーの中で効果的に高い位置で奪うことが多いのがリバプールの特徴と言ってもいい。

実際にマンU戦でもそういう前線からの積極的な守備が見られた。トップが思いっきり追いかけて相手の選択肢を限定し、次の中盤の場所で完全に勢いを止める。多くの場合はサイドにってことが多いと思うけど。そうやってサイドで勢いを止めたところに、FWと中盤SBが絡んで一気に囲い込む形が多かった。

そうやって高い位置で奪うことを念頭においてその後の攻撃を考えてみると、一番効率的なのは一気のショートカウンターだってのは確かだと思う。奪ったらすぐにトップに当て、後ろの飛び出しを織り交ぜながら攻め切るってのが一番合理的。こういうやり方の中では相手が守備の組織を整えてないから回り道をする必要がない。それにトップに当てて後ろの飛び出しを促進するって考え方もある。つまり、真ん中=トップ経由の攻撃が多くなるっていえる。

ただし、この考え方はあくまでもショートカウンターでこそ有効な形だっていえる。中盤で効果的にボールを奪うことができれば、トップへの距離が近い。そして、トップの選手は守備に参加してたわけだから中盤との距離が近い。相手の守備組織が整ってないことに加えて、そういう近さが生まれてるからトップへの縦パスがあっさりと決まる。そして、中盤で奪った勢いのままに一気に攻撃に移ることも可能となる。

高い位置からの守備の質の高さをベースとできるリバプールとしては、攻撃はそういう守備からの流れだって捉えることができるんだと思う。そう考えればトップを経由させる意識が強いことは大きな問題にはつながらないし、むしろ相手ゴールへ向かう最短距離だって言うことができる。だから、今の攻撃の問題点はベースとなる守備が機能してないのに、攻撃だけはベースとなる守備が機能してるときのままの意識で行ってるってことにあるんだと思う。

そのリバプールの守備。どこでどう変化が生まれたのかが分からない。上にも書いたようにマンU戦のときには確かに前線からの守備が機能してた。それがその次に見たミドルスブラ戦、そして今回のサンダーランド戦では完全に消え去ってしまっていた。マンU戦とミドルスブラ戦の間に何があったのかが謎。

とにかくリバプールの前線からの守備のよさは消えてしまったと言ってもいい。そもそも、本来的に守備のスタートとなるべきFWの守備意識が全く見られなくなってしまっている。前回の試合でもそういう部分が見られたけど、それは相手との関係に要因があると思ってた。トップに入る前にことごとくボールを奪われたから、トップが守備のスタートとして物理的に機能しないんじゃないかってこと。

でも、今回の試合を見る限りではそういうことは関係なく、トップの選手の守備意識自体が明らかに減退してた気がする。完全にサボるっていうわけでもないけど、いいときのリバプールの守備のやり方から比べると違いは明らか。今回の試合でも最前線でFWが追いかけないからサンダーランドは唯一の攻撃手段であったロングボールを蹴りたい放題だったと思う。

トップが守備のスタートとしての機能を放棄したリバプール。仕方がないので中盤が守備のスタートとして機能することとなった。当然のように中盤の選手は今までトップが担当してた場所までを担当することとなる。結果としてチェックに行くべき距離が伸びる。そういう状況では素早く相手との距離を詰めるなんてのは幻想でしかなかった。

だから、最初のチェックのところで十分に制限がかけられない。ある意味ではサンダーランドの守備の似たような感じだと思う。しっかりと寄せきれずに次との関係性が築けないから単発の守備になってしまうことが多かった。そういう状況では連動性を図るのも難しい。リバプールの守備のよさであった前線からの連動性が消えてしまった。当然のように連動性をベースにした次のところの狙いもうまく行かない。次のところで相手の動きを止めたり、先に触ったり、効果的にインターセプトしたりってことはほとんどなかった(高い位置では)。

そもそもリバプールの守備において中盤は本来的には守備の狙いどころだった。前線の追いかけをベースに中盤の選手はある程度限定された相手の選択肢に対して強度の強いプレッシャーをかけることができてた。それが今や中盤が守備のスタート。結果として守備の狙いどころ、つまりボールを奪える場所はさらに低い位置に移ることになるわけ。今まで勝負どころだったはずの中盤をあっさりと抜けられるシーンが多くなった(ロングボールを含めて)。

ただし、だからと言って守備に大きな問題が見られるわけではない。守備だけを考えるならばしっかりとバランスが取れてるって言ってもいいと思う。前の4-2の関係性は希薄になったけど、後ろの4-4はしっかりと関係性を保ててるから。この辺はマスケラーノを中心に中盤の選手が後ろ向きに、DFラインと協力するような守備をするってのが目立つことでもよく分かる部分。

それに今回の試合ではサンダーランドの攻撃のアプローチ自体もそれほど怖さがなかった。4-2の関係がうまく行ってないリバプールに対しては中盤でボールをつなぐこと、そのパス回しによってそうやって中盤を釣り出しといて4-4の間に入り込むことも可能だったわけだけど、サンダーランドはロングボールを蹴りまくった。

しかもターゲットは真ん中から動こうとしない。そういうロングボールを拾う選手も少ない(サンダーランドの選手のうち攻撃の意識が高いのは2トップ+1ぐらいだった)。リバプールのCBが何の問題もなく簡単に跳ね返すことができたと思う。

だから、リバプールの守備のやり方は守備だけを考えれば大きな問題を感じない。ただ、やっぱり前線からの守備の方が効果的だとは思うけど。なんで、いい質の前線からの守備を捨てたのかが分からない。理由として考えられることは、疲れるからってことか。厳格なローテーションを組むリバプールだから、疲れるっていう理由で前線からの守備を捨てても不思議ではないと思うし。で、ボールをもたれると厄介な相手に対してはここぞとばかりに前線から積極的な守備をするとか?よく分からないけど。

ただし、攻撃とのつながりを考えたときに、トップを何が何でも経由させる意識を持つやり方ならば前線からの守備がセットになると思う。逆に後ろの4-4で守る意識を持つならばトップにこだわりすぎるやり方は機能しない。前の4-2は関係が希薄だから、トップがはがれた状態。そこにパスを通そうとしても距離が長いし、入った後に助けるのも難しい。そういうわけで別の方式を探すべきだって気がする。そして、後半にはその別の方式が見えかけた。

その別の方式ってのがサイド利用。本当は前半からやりたかった形のような気がするけど、とにかく後半に向けてその意図をはっきりさせてきた。ファビオ・アウレリオとフィナンの交代もその一環だったかもしれないけど、前半に出場していた選手たちもそういうサイドへの意識を強くしてた気がする。

具体的には先制点のアシスト役となったキャラガーのオーバーラップが積極的になった。それから前半は中に中に入ってきてしまう傾向が強かった左サイドのルーカスが左サイドに張ってのプレー。それでもルーカスが中に入ってくれば、代わりにジェラードがサイドに流れてプレーするっていうような形が見られたと思う。前半には明らかに見られなかった形。

ちなみに途中でルーカスとベナユンを交代。サイドに張ることが多くなったルーカスが後半は消えてしまっていたことと関係する気がする。ルーカスはサイドに張ってのプレーがあまり得意ではない、とういうかスタイルとは違うんだと思う。そこに対応した交代だった気がする。

そういう人の動きだけじゃなくてボールの動きも変化した。前半の立ち上がりにも見られたような、中→サイドへのボールが増加したし、サイド→サイドへの大きな展開も明らかに増えた。決定的なチャンスにつながったシーンでは右→左→右と相手を左右に振りまくってからの展開が見られたと思う。ペナルティーエリアの幅に限定されてた前半から比べると、大きな変化が生まれて左右の幅を有効活用できてた印象。

こういうサイド利用の意識が高まったことでクロスの数も格段に増えた。前半は45分を通して1本だったクロス。それが後半には5本に増えた。しかも、これは先制点が生まれるまでの時間帯で上げたものばかり。ちなみに先制点につながったクロスはこの試合ではじめて、シンプルに上げたボールだったと思う。それ以外はこねくり回したりしてシンプルとは言いがたかった。シンプルなクロスをシンプルにクラウチに上げたことが得点につながったことになる。

ちなみに先制点後はまた真ん中にこだわる攻撃になってしまったのかって言えば、半分はそうだし半分はそうではない。確かに攻撃が真ん中に引き戻されたのは事実だったけど、それは得点によってやり方に変化が生まれたから。得点後はリスクを犯さずに蹴りまくるっていう方式が多くなったから、仕方のない部分だった気がする。ちなみに、そういう蹴りまくりの中から真ん中で競ってウラに抜け出るっていうシンプルな攻撃で追加点が生まれてる(3点目はその流れからのPK)。

こういうリバプールの変化をサンダーランドの方から見れば明らかに厄介だった。前半は自分たちの思い通りの守備ができないとしても、最終的に真ん中で待ってれば相手がボールを勝手に入れてきてくれた。それが後半はそうも言ってられなかったと思う。リバプールがサイドを使う中で守備の狙いどころが定まらなくなってしまった印象。結果としてリバプールに攻めきられる流れが続いた。結果として攻撃にも前半ほど効果的に行けなくなってしまった印象。

ただし、後半のリバプールも最終的には真ん中にこだわるっていうやり方が目立ったのも事実。サンダーランドはそこに助けられたって部分も大きかった気がする。真ん中を捨てて何でもかんでもサイドからやれっていうわけではないけど、昨シーズンのCL決勝前の展望ではサイドアタックが中心と書いたぐらいのリバプールなわけで。確かにメンバーが変わってるとは言っても、そう考えると後半のやり方は前半よりはマシとは言え、まだまだ真ん中へのこだわりが強いなって感じた。

そうやって幅を使うっていう意味ではシャビ・アロンソを使った方がうまく行くような気がするのも事実。シャビ・アロンソならば効果的に左右に散らすことができると思う。ただ、ここで問題なのがCMFの場所が埋まってしまっているっていうこと。ジェラードを外すわけには行かないだろうし、だからと言ってマスケラーノも外せない。

今回の試合でのマスケラーノの仕事量は半端じゃなかった。相手からボールを奪った場所には常に顔を出してたイメージ。ブロックを作ったときはもちろん、カウンターを芽をつぶすこともかなり多かったと思う。守備においての4-2の関係が希薄になって、4-4の関係が一層重視されてる現状の中でマスケラーノの存在意義はかなり大きい。攻撃でもジェラードほどとは言えないまでも、十分にスタートの役割を担ってるし。

そういうわけでミドルスブラ戦でも提案したようなCL決勝型4-4-1-1案が出てくる。FWが守備のスタートとして機能してない現状では中盤を集めることで、高い位置での守備の安定を図ることが重要な気がする。攻撃でもトップが1枚になればいい意味でそこに対する意識が弱まるかもしれない。同じ真ん中を狙うにしても、いきなりトップまでの最長距離を狙うんじゃなくて、トップ下を経由させるっていう選択肢も出てくる。4-4-1-1を4-2-3-1と捉えれば、サイド一杯を使う形も意図しやすくなると思う。

リバプールの攻撃でちょっと気になったのが足元足元につなぐパスが多いっていうこと。これは人の動きが少ないことを意味してた気がする。真ん中の狭いところを狙ってたこともあるだろうけど、前線の動きが少ないことで低い位置の選手のボールの保持時間が伸びる傾向にもあったと思う。人があまり動かなかったから、リズムの変化も生み出せずにスピードアップができなかったし。しかも、そういう足元のパスの処理を誤ってボールを失うことが多かったのも問題だった気がする。前半に限っていえば、単純(真ん中こだわり)で単調(リズム変化×)で相手にとっては本当に守りやすかったはず。

最後にサンダーランドについてちょっと触れると、守備については大きな問題は感じない。1つ1つのチェックを忠実にすること、特に自陣でははっきりと寄せることをベースにして、最終的にはラストブロックで守るっていう考え方で、下位チームってことを考え合わせれば安定した守備ができてるように思う。

問題は攻撃。あまりにも攻撃に絡む人数が少なすぎるし、押し上げも遅い。いくらなんでも全てロングロールで前線に任せるのは大雑把過ぎるような気がするし。プレミアらしいといえばプレミアらしいんだけど、そのロングボールももう少し工夫すればいいのにって思う。何でもかんでも頭を狙わないでウラのスペースを狙うとか。リバプールじゃないけど、トップの選手が真ん中にばかりいないでサイドに流れるとか。ちょっとあまりにも単純すぎる。

それに、いい場所で奪っても後ろからの押し上げがなくて結局はつぶされてしまっていた。アウェーだからってこともあったんだろうけど、逆にその消極性がアウェーでの弱さを生み出してる気がする。現状ではアウェーで勝てない→消極的になる→勝てない→…っていう完全な悪循環に陥ってしまっている気がする。
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2008-02-26 Tue 15:35
トッテナム×マンU
<トッテナム:4-4-2>
FW:ロビー・キーン-ベルバトフ
MF:マルブランク-ハドルストーン-ジーナス-レノン
DF:シンボンダ-ドーソン-ウッドゲイト-ハットン
GK:チェルニー

<マンU:4-4-2>
FW:テベス-ルーニー
MF:ギグス-ハーグリーブス-スコールズ-Cロナウド
DF:エブラ-ビディッチ-ファーディナンド-ブラウン
GK:ファン・デル・サール

立ち上がりからトッテナムの攻撃にはその狙いがはっきりと見られたと思う。リズムとしては、中→外→逆サイド→(→中→)フィニッシュへっていう感じ。このやり方によってマンUの守備の狙いどころを定めさせず、深い位置まで押し込むことが可能になった。

ただし、このトッテナムの攻撃のやり方を許したのにはマンUの守備の問題点があったのも事実。トッテナムの攻撃のよさが見られたのは事実だったけど、加えてマンUの守備の問題点をうまく突いたっていう部分も大きかったように感じる。

まずトッテナムの攻撃のスタートが切られる“中”のところ。これはマンUの前線の守備の形が定まってないってことから生み出された。雰囲気としては前に大きな問題が現れたウェストハム戦に似てたけど、その試合では前線がテベス&サハの組み合わせだったことによると思ってた。実際にその後の試合でルーニー&テベスの組み合わせに戻ってからは、それなりに安定感を取り戻したわけだし。

で、今回の試合ではどうだったか。前線の組み合わせはルーニー&テベス。にも関わらず、前線の守備が効果的に機能しなかった。特にあいまいなのが2人の仕事の分担。そして、2人の役割分担がはっきりしなかったことで、自分たちの守備のスタートが切れなくなったのはもちろん、相手の攻撃のスタートを意図も簡単に許してしまった印象。

そもそもマンUがいい形で守備ができてる試合では、2トップを縦関係に並べたような役割分担がうまく行ってる。多くの場合で、前のルーニーと後ろのテベスの組み合わせ。その上でルーニーは前に向かって守備のスイッチとなる追いかけを献身的に行う。テベスはトップ下のスペースを埋めつつ、その下のCMFとの関係性で守備をする。

今回の試合ではこの縦関係の役割分担が完全にあいまいになってたと思う。2人は完全に横並びになる時間が長くなった。厄介なのは何でそうなったかがイマイチ掴めないっていうこと。もしかしたら何らかの理由があったのかもしれないけど、少なくとも横並びにしたメリットは見られなかった気がする。気分的な問題か?

とにかく、2人が横並びになるとトップ下のスペースを埋めるべき選手がいなくなる。CMFが出てきて対応するっていう選択肢もなくはないけど、そこは守備時の中盤の形が変則的なマンU。やっぱりトップ下のスペースは2トップの1枚に埋めてもらうのが一番適切ってことになるはず。トップの選手がトップ下の場所を埋めなかった今回の試合では、そのスペースをスペースのままさらし続けることになったと思う。

この場所に入り込んだのがトッテナムのCMF。特にハドルストーンは攻撃のスタートとして大きな役割を担った。ほぼ完全なフリー状態の中で左右の散らしとくさびのパスを効果的に供給してたと思う。マンUとしては相手の攻撃のスタートを完全に浮かせてしまうっていうウェストハム戦と同じ過ちを繰り返したこととなる。

ハドルストーンは中長距離のパスの精度の高さも目立って(あれだけフリーなら当たり前かって話だけど)、色々な場所にボールを出すことで相手の狙いを分散させた印象。そうやってスタートを担ってから、自身が上がってくるプレーもよかったと思う。

で、このハドルストーンを中心とした攻撃のスタートなるボールはサイドに供給されることが多くなった。これが上に書いたような中→外の展開に当たる。ここに関してはトッテナムが意図的にサイドを利用しようっていう姿勢が見て取れたと思う。

まず攻撃の組み立てがスタートした時点で両SBが高い位置に入ってくる。この攻撃に対する積極性も攻撃のスタートのところでフリーでボールを持つことができることに関係してたかもしれない。危険な場所で奪われる心配がそれほどないから、両SBが思い切って前線に位置することができたと思う。

さらにその1つ前にはSMFだけじゃなくてトップの選手も絡んできた。ベルバトフにしろ、ロビー・キーンにしろ真ん中にこだわらずにサイドに流れてきてボールを引き出すような動きがかなり目立ってたと思う。この辺にもサイドを重視する意図が見え隠れしてた印象。

こういうサイド利用の意識だけど、ここに関してもトッテナム自身のやり方に加えてマンUとの関係を考えたような工夫が見て取れたと思う。それは単純にCロナウドのウラを狙うっていう判断。ある意味では単純すぎるこの考え方が大きな意味を持つことになった。

(マンUの変則的守備組織)

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いつも書くようだけど、マンUの守備は変則的。守備時には↑の図のような変則4-3-3みたいな形になってる。右SMFのCロナウドは守備にはあまり重点を置かずに前線に残り、左のギグスは普通のSMF程度の高さにまでは戻ってくるイメージ。結果として中盤に左右非対称な状況が生まれ、↑みたいな形になるってわけ。

普段、この変則的な形が大きな問題にならないのにはいくつかの理由がある。ただ、その理由が今回の試合ではことごとく覆されたのも事実だった。結果として、守備の中でのギャップとして目立つような状況になってしまったと思う。

問題にならない理由の1つ目は相手がCロナウドのプレッシャーに負けるってこと。Cロナウドが前線に残ってることで、相手のSBを低い場所に釘付けにする効果がある程度期待できる。ただ、今回の試合においてはトッテナムのSBが積極的に高い位置に入ってきたってのは上にも書いたとおりだった。よって、この考え方は破綻。

2つめはハーグリーブスのがんばり。ハーグリーブスが中盤の3のところでCロナウドの分も働くことで中盤に4がいるかのように振舞うことができる。ただ、これに関しても今回の試合では破綻してた。まず、ハーグリーブスのがんばりが引き出されるほどに前線の守備が効いてなかったこと。上にも書いたように前線の守備な状況ではいくらハーグリーブスでも狙いが定められない。特にケアするべき場所が広いことを考えると。

さらに、今回の試合ではなぜかハーグリーブスが左のCMFのポジションに入った。よってCロナウドのウラのケアには行きにくい状況。スコールズが2人分の守備をするってのもあまり現実的ではないわけで、Cロナウドのウラをケアする人がいなくなってしまったことになったと思う。

それから最近の試合で見られたのがパク・チソンの存在。パク・チソンがCロナウドと両サイドを組む試合では、守備時にはパク・チソンが完全に守備に入るような形になる。ギグスが逆サイドだと中盤のバランスが崩れるような形だけど、パク・チソンの場合には本来のCMFを含めた3CMFみたいな形を作ることが目立った。そういう形でバランスを整えるってやり方もあったと思う。ただし、今回の試合では左に入ったのはギグスだったので仕方がない。

こういう要因から今回の試合ではCロナウドのウラのスペースが上の図のようなままで、そのまま残ることとなった。ちなみに、SBのブラウンは相手のSMFと流れてくるFWへの対応で一杯一杯だったからそのスペースを埋めるってのは難しかったと思う。そういうわけで、このスペースはスペースのまま残されることとなったと思う。

そして、そのスペースにうまくトッテナムの左サイドの選手が入ってきた。SBが上がるのが1つ、ブラウンを流れたFWが引きずってSMFが受けるのがもう1つ。どちらにしても、相手の守備の完全なギャップの場所に当たるわけだからフリーでボールを受けられることに変わりはなかった。とにかく、左サイドの大外でボールを受ける選手が浮いてるシーンが目立ったと思う。

さらにここで思い出さなければならないのは、トッテナムは出し手の方も浮いてたってこと。ボールの散らし役のハドルストーンは完全にフリー。受ける方のシンボンダとかマルブランクも完全にフリー。相手のブロックに対する最初の仕掛けが恐ろしい程に簡単にできる状況がトッテナムには生まれてたと思う。

当たり前のことだけどマンUとしては相手の左サイドで受けた選手をそのままフリーの状態で放っておくわけには行かない。完全に対応が遅れてでも、行かなければならないってことになった。そして、そのときには中盤の3枚を単純に右サイドにスライドして守ろうっていう意図が多く見られた。

それに対してトッテナムはどうするか。ここで3つめのステップ、つまり“逆サイド”っていうやり方を取ることとなった。明らかにマンUの対応は遅れてるわけだから、トッテナムの選手が主導権を握ってるような状況。ある程度相手の3をスライドさせておいて、簡単に真ん中に戻すシーンが目立ったと思う。

この時点でも、まだトッテナムのハドルストーンは浮いていた。しかも、サイドで1つ起点を作ったことで相手のブロックが下がってるから、相対的にハドルストーンは高い位置でフリーでボールを受けることが多くなったと思う。その1つ前の場所で逆サイドへの展開の経由点として効果的に機能してた印象。

トッテナムにとっては左→中を経由→右へのサイドチェンジがかなり目立った。そして、そのサイドチェンジの先の右サイドではまたしても選手が浮いている状況を作り出せてたと思う。理由は簡単な話。マンUは相手の左サイドのボールに向かって、中盤をスライドした後だったから。相手の逆サイドへの展開に対して慌てて戻っても間に合うわけもないって話だった。

トッテナムは右サイドを中心にどうやってフィニッシュまで行くかを考えればよかった。レノンを中心とした右サイドをそのまま侵攻してってもいいし(SBハットンに流れたFWも絡めて数的優位を作りながら)、真ん中を使う選択肢もある。後手後手の相手を完全に振り回した後だから、マンUの中盤は完全にフィルターとしての機能性を失ってたわけで、真ん中から行くのもそれほど難しくなかった印象。

こういう左右のサイドを効果的に利用した攻撃によってトッテナムが完全に主導権を握ったと思う。出し手も受け手も捕まえることができないマンUは守備の狙いどころを定められない状況。その上、左右をワイドに使われたことで選手が分散してる。その内にトッテナムはサイドに意識を向けておいての真ん中への単純なボールみたいな形でも簡単に深い位置にボールを入れられる状況が生まれた。未だマンUが捕まえきれない出し手のハドルストーンは好きなように組み立てを行ってた。

確かにトッテナムが前線に簡単に起点を作れたのは、トップの場所にこだわらないトップの引き出しの動きのよさがあったのも事実。でも、それ以上に狙いどころが全く定められず次々にボールを回されてしまうマンUの守備が完全に混乱を如実に表していたように感じる。

ただ、マンUとしても何の対抗策も見せなかったわけではなかった。例えばCロナウド⇔ルーニーのポジションチェンジによって何とか抵抗を試みたと思う。やっぱり明らかにCロナウドのウラのスペースを狙われてるってのが分かってたんだと思う。ルーニーを右サイドに置いてからは、とりあえずそれまでのように中→サイド→逆サイド→フィニッシュっていうトッテナムのやり方が面白いように決まるってことはなくなったと思う。

ただ、だからと言ってトッテナムの勢いが衰えるってことはなかった。確かにここまで書いてきたようなトッテナムの攻撃のよさが目立ったのも事実だけど、今回の試合でトッテナムのよさの本来的なベースにあったのは守備のよさだった気がする。マンUはそれが攻略できないために、守備のバランスを何とかしたとしてもペースを取り戻すところまではつながらなかった気がする。

そのトッテナムの守備について。立ち上がりは自陣に全員を引かせて相手の攻撃を受ける形のように見えた。ただ、実際のところはもっと積極的な意図を持った守備だったと思う。確かに1度組織をセットしてから守備をスタートするやり方だったけど、相手の縦パスが入ってきたら守備を始めるっていうような受身的なもどではなかった。時間とともにその狙いがはっきりしてきたと思う。

トッテナムの守備の意図を簡単に言い表すならば、相手に攻撃のスタートをさせない守備のやり方って言える。守備のスタートは上にも書いたように1度セットした後の自陣近く。トップの最初のチェックをスタートとして、全ての場所で相手に攻撃のスタートを切らせないような、具体的には縦パスを切るような質のチェックが繰り返された印象。相手にプレッシャーに行くときに、意図的に当たる方向を定めたチェックが見られた。

そういうわけでマンUは横パスとかバックパスがかなり多くなった。低い位置の選手はボール自体は持たせてもらえてた。これはスコールズのタッチ数がそれなりに多かったことからも分かると思う。ただ、そこから前線に効果的なボールを入れさせてもらえなかったと思う。つまり縦パスが入らないわけで、低い位置でのパス回しが繰り返されることとなったと思う。

この状況は、トッテナムの方としては相手に仕掛けのパスは入れさせないけど、自分たちもボールを奪えないって形なのも確かだった。これに対してトッテナムは、守備のスイッチが入った時点で一気に相手の選択肢を絞って積極的な守備へと転換するやり方が見られたと思う。本来はそれぞれの場所で縦パスを切ることを目標としながら、奪いに行くときには横パスとかも狙いながらチームとして詰んでいく形の守備へと転換した印象。

そのスイッチになることが多かったのがロビー・キーンだった。ロビー・キーンに関しては前線で相手のボールに対して積極的にアプローチをする意図が見られたから、その中で相手に焦りを生み出したと思う。その中で相手が少しでももたついたときに、一気にチームとしての連動性を高めて行った印象。

そういう詰んでいくイメージの守備で分かりやすい例を1つ。マンUのCBの1枚がボール保持者になったときにトッテナムのトップの1枚が、同サイドのSBへのコースを切りながらプレッシャーをかける。そのときにもう1枚のFWがマンUの残りのCBへのコースを切りに入ってくる。この時点でマンUのボール保持者はGKへのバックパスっていう選択肢しかなくなった。これはトップの2枚だけで追い込む一番基本的な考え方。

マンU方向から見てみる。低い位置でボールを持つこと自体はできた。でも、そのボールを効果的に前線に遅れない。そうやって出しどころがなく横パスをつなげているうちに相手の守備のスイッチが入る。選択肢が一気に絞られてやることがない。仕方がないので意図の薄いロングボールを蹴りだすこととなる。2トップの体格、しかも意図の薄いロングボールじゃつながるわけもなく。結果として相手のボールになるってことが続いた。完全にウェストハム戦と同じ状況。

こういう形でトッテナムが質の高い守備を見せ、マンUはなす術がなかったって言える。でも、トッテナムはこの守備のやり方を途中で微妙に変更したと思う。必ずしも改悪ってわけではなかったけど、必ずしもよかったとも言えない。とりあえず、その変更は得点後の時間帯に見られた。実際に変更する意図があったのかどうかは微妙なところだけど。

なぜなら、それまでの守備のやり方に勢いが増したっていうような形だったから。それまでの時間はあくまでも1度セットしてからの守備だったし、それも自陣に近いところをスタートとする守備だった。それが得点後の時間はもっと高い位置から守備をするようになったと思う。トップの追いかけの意識が明らかに増してた。加えて、後ろもそれについてきてたからチームとして前への守備意識が高まったって言えると思う。

これが明らかだったのはマンUの低い位置でのボール保持。上にも書いたように、それまでの時間は低い位置のボール保持自体は制限がかけられてなかった。横パスならいいよってイメージだった。それが途中からの変更によって、そういう低い位置でのボール保持にも積極的にプレッシャーがかかったように思う。目立ってたスコールズのタッチ数も明らかに減少した。

トッテナムにとってのメリットは当たり前のように高い位置でボールを奪えるようになったこと。それまでのいい質の守備の強度を上げ、前線に押し出したようなイメージだったから。得点後の勢いに、自分たちがやれるっていう自信も加わったと思う。前線での効果的な守備から高い位置でボールを奪うシーンが増えた。そして、そこからのショートカウンターで効果的にチャンスを演出してた印象。

逆にデメリットは逆説的にマンUにも攻撃の機会を与えてしまったってこと。得点前のように低い位置で1度セットしてからだったら、相手が入り込むスペースをあまり与えない。でも、高い位置から積極的に出て行くとなると高い位置で取れる可能性がある反面、後ろにギャップを残してきてしまう問題がある。積極的になったことでマンUが突くべき場所を与えてしまったようなイメージ。結果として切り替えのスピードが一気に高まった。

これが本当にデメリットかどうかは分からない。それまでの時間よりもマンUの攻撃が深い位置まで行けるようになったとは言っても、決定的なチャンスは作らせてないわけで。だったら、高い位置での守備で効果的に奪うっていうメリットの方だけを見ればいいっていう気がしないでもない。

ただ、今回の試合に限っては得点後に守備の勢いを増す理由がなかったのも確かだった気がする。それまでの時間のやり方ですでにマンUはなす術がなかった。それに奪う位置が低くなったとしても、最初の方で書いたようにトッテナムにはいい形の攻撃のやり方もあった。何よりリードしていることを考慮すれば、高い位置から奪いに行ってショートカウンターを狙う必要はなかった気がする。結果だけを見れば、どちらでも一緒だった気もするけど、明らかに試合のペースを自分たちが上げてしまった気がする。もっとゆったりと構えて、マンUを焦らしたほうが効果的だったような。

ちなみに後半も立ち上がりは高い位置からの積極的な守備を継続した。ただし、相手の攻撃への意識への高まりによって、徐々にそういう前への意識が弱まっていった気がする。もちろん自分たちの疲れ、それからリードしてる状況で守りに行く気持ちが働いたのも事実だったとは思うけど。

マンUの方としてはアンデルソンとキャリックの存在が流れを変える可能性をもたらした。この2人の存在が大きかったのは、ボールをさばく位置にある。上に書いたように前半のスコールズは低い位置のパス回しに参加してボールを受けることが多かった。つまり、それは相手のFWのプレッシャーに晒されてる場所。対して、後半に入った2人は相手のFWのウラでボールを受けようとする意識が高かったと思う。

つまり、相手にとってはトップ下の場所。マンUの守備の弱点と同じようにトップが横並びになっているトッテナムにも同じ問題があった。ただし、前半のトッテナムはしっかりとそこを抑えてたけど。その場所に入られた場合にはCMFがしっかりと対応してた。対して、後半はCMFが対応にこれなくなってた。上に書いたように前への守備意識の減退がその理由の1つだったと思う。それに、アンデルソンとキャリックが入ったことでスコールズ1枚を見てればよかった前半とは状況が変わったってのもあったと思う。

そういうわけで、トップのウラに入り込んだマンUのCMFは浮いていることが多くなった。そして、ある程度自由な状況の中で左右とか縦にボールをうまく供給したと思う。相手のハドルストーンと同じような役割。1枚がそういう役割を担って、もう1枚は前線の厚みを加えるのに参加するっていう役割分担もできてた。これがさらに相手を低い位置に押し込むことに貢献したと思う。

ただし、これはあくまでもトップのウラに入り込めたらっていう場合。確かに入り込めれば、いい形につながったけど、実際にはあまり入り込むことができなかった。その理由はトッテナムのトップの守備意識が未だ健在だったってこと。そもそも、前半もトップの2人が真ん中をしっかりと切ることでトップ下の場所を使わせてなかった。その2トップの献身的なプレッシャーが後半にも継続的に効いてたと思う。

そういうわけでマンUがトッテナムのトップ下の場所を効果的に使うことよりも、マンUがそこに通そうとするボールをトッテナムが効果的に奪うシーンの方が多くなった。そして、その場所からの一気のカウンターっていう形がかなり目立った印象。それを呼び込んだのは、何度も書いてるようにトップの守備意識の高さだった。基本的に今回の試合の両チームの違いはここに帰結されたような気がする。

そういうわけで攻守の内容に渡ってトッテナムが完全にマンUの上に行った試合でもあった。実際に終了間際まで1-0そスコア。内容も結果もトッテナムが得るっていう試合になるはずだった。にも関わらず、ラストプレーでマンUがCKから同点ゴール。内容を考えればマンUにとっては最高の勝ち点1になった気がする。このあたりに勝負強さを感じた。
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2008-02-24 Sun 00:31
東アジア選手権:日本×韓国
<日本代表:4-5-1>
FW:田代
MF:遠藤-山瀬-橋本、鈴木-中村
DF:加地-今野-中澤-内田
GK川口

(○:日本、●:韓国)

 ●  ●   ●   
     ○
○   ○ ●   ○
●          ●
↑  ●  ●  ↑
↑  ○  ○  ↑ 
○  ●  ●  ○
   ○  ○

昨日セルティック×バルサで使った図を今日も活用。もちろん、両チームのシステムはこの試合のものに変更してあるけど。とりあえず、最初は昨日書いたセルティックの守備の問題点との比較が多くなりそうな気がしますので、ご了承ください。

この図が適用されるのは韓国の攻撃時=日本の守備時。韓国は3-3-2-2みたいな形だった。5番のキム・ナミルが攻撃的か守備的かイマイチ分からないところもあったけど、立ち上がりの攻守を見る限り攻撃的な考え方が見られたと思う。組み立ての最初は3バック+1つ前の3番チョ・ウォンヒが低い位置でボールを回してたし。

ただ、真ん中のラインはちょっと曖昧だったのも確か。役割的には3-5-20が縦関係に並ぶイメージ。3番がDF前でボールをさばき、5番がつなぎ役というか色んなところに顔を出して組み立てる。で、20番がFW寄りに前線に出てくみたいな。この辺がつかみづらかったのは確かだったかもしれない。

それから、前提として日本が相手の人をしっかりとつかまえる意図の強い守備のやり方を取ってたってことも合わせて考えるべき点。前回の試合でも高い位置からの積極的な追いかけから、中盤以降は人にしっかりと寄せる守備が見られた。そのときには前線での守備をベースとして距離が詰められてると思ってたけど、前線の追いかけがなかった(後述)今回も人につく意識は強かったと思う。

これで材料が揃ったので本格的に図についての説明をしていきたい。本当に偶然なんだけど、上にも書いたとおり今回の日本の守備には昨日書いたセルティックの守備と似たような問題が見え隠れしてたと思う。それは構造上生まれる数的不利(数的同数)っていうこと。

その最初もセルティックと同じ。トップに入った田代が自分の役割をつかめてなかった気がする。ただし、本来的に問題児っぽいセルティックのFWとは違って守備の役割を与えればしっかりとやる選手。現に前回の中国戦では前線からの追いかけが見られたわけだし。その田代が今回はそういう追いかけを見せなかった。これは後で書くように、根本的なチームとしての守備のやり方が変更されたからだと思う。とにかく、これによって1枚が守備で計算できない存在となった。

そして、次に取り上げるのが中盤の両サイド。実質的な守備のスタートはこの両サイドが担うこととなったと思う。相手の3バックの両脇がボールを持ったときに、この両サイドがブロックから飛び出してプレッシャーをかけに行くことが多かった。こうやって両SMFが守備で前に引っ張り出されるのも昨日書いたセルティックのやり方と同じ。

この時点で実質的に最前線が3×3になってる。ボランチ(韓)×トップ下(日)を含めると、前線が4×4.これじゃ後ろが余らないのは当たり前の話。SB(日)×WB(韓)、ボランチ(日)×OMF(韓)、CB(日)×FW(韓)の対応関係を組んでいくと(実際にそういう対応関係の意識が強い守備をしてた)、構造上数的同数が生まれる結果となったと思う。

もちろん本当に数的同数になったわけではない。後ろが数的同数じゃ、あまりにも危険すぎるから。実際には攻められてない方のサイドのSMFとSBがそれぞれ中盤とDFを助けるような役割を担ってたと思う。それからトップ下の山瀬が戻ってくるシーンも多かった。だから、致命的にバランスが崩れたとは言えなかったのも確かだったと思う。

でも、それぞれが求められる役割的には数的同数だった。真ん中を助けに行くのは、あくまでも自分の役割をする必要がないとき。要するに最優先的に余る選手がいなかったことを意味する。そして、このことが問題を生み出したと思う。

その問題は相手のトップに対するくさびのボール。韓国はトップに1度預ける意図がかなり強かったわけだけど、それがことごとく収まった。そして、収まった後に次の展開につなげられることがかなり多くなったと思う。そして、ここまで書いてきたような構造上の問題による部分が大きかった気がする。

相手のトップに対しては対応関係をはっきりさせてるCBがしっかりと対応した。だから、直接的に相手のトップに入ったボールがピンチにつながることはなかった。でも、最初にCBが抑えたところに対する助けが遅れてしまったと思う。周囲に余ってる選手がいないから、すぐに囲い込んだり挟み込んだりっていう状況を作り出せなかった。結果として相手に落ち着いてキープする時間を作らせ、展開の余裕も与えてしまったと思う。ちなみに最終的にはCB(特に中澤)のがんばりで、相手に入る前に対応することでなんとかなったわけだけど。

それに、そもそもトップに入りまくるっていう状況が問題だったわけで。これは中盤でのフィルターがかかってないことを意味してたと思う。そして、それは中盤がフィルターとしての役割を担える状況じゃなかったのを意味する。ボランチが2枚いたわけだけど、どちらも相手の人を見るのに引っ張られてしまった。人を見る守備自体が悪いわけじゃないんだけど、周囲に余る選手がいなかったことでうまく受け渡しができなかったんじゃないかと思う。

そういうわけで構造上の問題を感じさせられた日本だけど、セルティックとは違って相手が守備的に来たことで致命的なものにつながらなかったのは助かったと思う。ギャップも多かったし、例えば相手の3バックの余った1枚(日本は1トップなので必然的に余る)とか中盤の底に入った選手がもっと積極的に飛び出してきたら、さらに混乱した状態になってたような気がする。

こういう構造上の問題はある意味では数合わせてきな部分が強いので、例えば上に書いたような逆サイドが助けるみたいなやり方で十分対処できるのも事実。だから、実際には致命的な問題ではなかったとも言えるかもしれない。実際に問題に感じたのも、上に書いたようにトップに収めさせすぎってことぐらいだったし。攻撃とのつながりを考えると、2列目が助けに来ると前が少なくなるっていう問題もあったけど。

これに対して、守備に関してはもっと問題となる、というか気になる部分が見られた。それは守備の根本的な考え方。中国戦のときに見られたようないい内容の守備が完全に鳴りを潜めてしまったっていうこと。前回は中盤で効果的に奪うシーンが目立ったのに対して、今回目立ったのは中澤のがんばり。それだけ最終ラインの場所に仕掛けられてるってことを意味する。試行錯誤の段階なのかなんなのかは分からないけど、守備の質が全く変わってしまったのは事実だったと思う。

そもそも岡田監督になってからの守備はやり方がころころ変わる。大雑把に分類すれば、積極的か消極的かの2つ。キリン杯の2戦は消極的、それがタイ戦では積極的に変わり、北朝鮮戦はボールだけを保持する展開(タイ戦は保持するだけではなく仕掛けられた)だからイマイチ分からず、中国戦では引き続き積極的、そして今回は消極的。

これを見分ける1つの指標になってるのがトップの追いかけ具合。消極的な守備の試合ではトップの追いかけにリミッターがついてる。1度組織作りに戻って、それから相手がある一定の場所までボールを持ってきたら守備をはじめるって考え方。積極的に追いかけるのは相手がもたついたときのみ。対して積極的な守備の試合はトップの追いかけに制限がない。深い位置の相手の最終ラインに対しても追いかけまくる。それにつられて後ろも引っ張り出されていくイメージ。前へ前への守備が可能になる。

前回の試合後のコメントを見る限りでは相手の攻撃のやり方によって変えてるっぽい。中国がつないでくると思った立ち上がりは前線から追いかけて前線で奪うことを目標にした。でも、相手がロングボールを蹴ってきたから追いかけるのをやめたっていうようなニュアンスのコメントが書いてあった。

ロングボールを蹴ってくるなら前線で追いかけても本来守備の勝負をしたい中盤を飛ばされてしまうから意味がないってことか。前線が前を向き、ロングボールに晒されるDFが後ろに意識が向いて全体が間延びするのを防ぎたいってのもあるかもしれない。だから、相手が蹴ってくると分かれば全体を後ろに引き付けるっていうやり方を取るのかもしれない。

個人的にはロングボールを蹴らせないレベルの追いかけをすればとも思うわけだけど、それは現実的じゃないんだと思う。特にポゼッションよりも縦を進むこのチームにとっては。1トップだってことも難しい要因になるかもしれない。1人を追いかけても、横にズラされて蹴られたら何の意味もないわけで。だから、ロングボールに対して全体を後ろに引き付けるって考えも分からないではない。

ただし、この考え方は蹴らせてもいいから受けさせないっていうことを念頭に置いてるわけで。これはロングボールに限らず。前線の守備をやらない以上は、受け手をしっかりと見るような対応が必要となる。そして、その受け手を見る対応として取り入れられたのが人を捕まえるっていう考え方だったんじゃないかって気がする。

でも、上にも書いたように韓国は好きなようにトップに収めまくってる。人を捕まえる守備は受けさせないための守備じゃなくて、受けた後に何もやらせないための守備だった。そして、何もやらせない状態で抑えておいて、その後に勝負に行けるかって言えば行けない。これは上にも書いたようにすぐに周囲の助けが期待できない状態だったから。

そういうわけで、出し手は捨てて受け手を見ようとする守備だったけど結局受け手のところも押さえられなかった。だから、守備の勝負どころが定まらない。当然のように前線で追いかけるならば、その追いかけ始めが守備のスタート。受け手を見るなら相手が仕掛けのスタートのパスを入れてきたところがスタート。そのどちらでも守備のスタートが切られなかったと思う。

結果として守備の勝負どころが定まらない状況に陥る。スタートが切れないのに、前回のようないい質の連動性が発揮されるわけもなく。そうなれば最後の場所まで持ち込まれるシーンが増えるのは当たり前のことだった。中澤の奮闘はこういう状況から生まれてたっていえると思う。

特に失点後はどうやって守備をしていいのか益々分からなくなってしまった気がする。引き分けでもいい(のか?)韓国は無理に攻めようとしない。だから、プレッシャーのあまりかからない3バック+1でゆっくりとボールを回す時間が長くなった。それに対して日本が焦れる。中盤からそのパス回しにプレッシャーをかけに行く。その瞬間に相手はロングボールを蹴りこむ。完全にいいようにやられてしまった。

高い位置での効果的な守備ができなくなった、というかやらなかった)日本。ここで思い出さなければいけないのは、中国戦でチャンスにつながった(相手の守備が機能してる時間に)シーンのほぼ全てが中盤で効果的に奪ってからの速攻の形だったっていうこと。それができずにどうしてもボールを奪う場所が深い位置になってしまった今回、攻撃をどうするんだってのも大きなテーマになったと思う。

その攻撃面を見てみると、ここに来て一気に日本化したなって思う。もちろん皮肉の意味で。岡田監督になってからの数試合の攻撃のやり方が非常に五輪代表に似てると思う。しっかりと組織を作った相手に対して何もできない。実は後半に内容が好転するのも、その辺に要因があるんじゃないかって気がする。相手の組織が疲れによって秩序を乱し始めるっていうこと。今回の韓国と初戦のチリみたいに後半になっても相手が崩れない場合は、全然内容が好転してないわけだから。

とりあえず五輪代表に近づいた攻撃の日本化について見て行きたい。ここで問題になるのは、ビルドアップが非常に下手ってこと。岡田監督は最後の1/3をどうするか?ってことをよく言う。確かにオシムのときにはその前の2/3まではスムーズに行ってたから、その考え方は間違ってない。でも、現状は最初の1/3がスムーズに行ってない。途中の1/3は流動性を持たせながらいいリズムでパスが回るんだけど、それを機能させるためにはそもそもボールがなきゃ意味がない。最初の1/3がうまく行かないから、そういうよさも見せられない状況に陥ってると思う。

問題は五輪代表と同じ。ビルドアップで幅を全く使えてない。その理由も全く同じでSBに相手がちょっとでもプレッシャーをかけてくるとそうなる。相手がべた引きだったボスニア戦とタイ戦はSBが浮いてたからそこを利用して幅を使ったビルドアップができてた。でも、それ以外のチリ戦、北朝鮮戦、中国戦は相手がボールを受けたSBをそれなりに見てきた。結果として幅を使えず、前線にボールを出せない状況に陥る。

今回の韓国もSBを見てくるタイプの相手。日本のSBがボールを受けると相手のWBが中盤から出てきて対応するシーンが目立った。絶対に奪うっていうような超厳しいものではなかったけど、日本のSBを完全に浮かすことは避けようっていう意図がはっきりと見られたと思う。

SBが使えないと日本は困ったことになる。参考までの五輪代表だったらどうするか?ってことを書いてみる。五輪代表のやり方の1つめは最終ラインからトップへの一番長いパスを狙ってみるってこと。もちろん可能性は薄い。2つめは別の意味でのサイド利用。下がってきた水野に個人で突破させたり、下がってきた本田から一発のボールを蹴りこんだり。どちらにしても組織としてのよさは見られない。最終的には柏木の献身的な運動量でなんとかするってことに落ち着いた。

現状のA代表も対して変わらない。何の工夫もなく普通の縦パスを入れるってだけ。左右に振ったりせずに、真ん中→真ん中のパスを通そうとする。もちろん、相手も真ん中を固めてるんだから難しいわけで。なかなかコースが生まれないから低い位置でボールを保持する時間が長くなる。北朝鮮戦と今回の韓国戦で見られた現象。

それでも何とかしかきゃならないから、やっぱり縦パスを入れる。今回の韓国は日本と同じように人への意識が強いやり方。当然のように縦パスが入ったところで、すぐに最初のチェックが効く。そして、今回の韓国は多くの人数を自陣に入れてる。当然に距離は近いから、最初のチェックに対してすぐに周囲の助けが来る。日本の中盤の選手が2、3人に囲まれて孤立するシーンがどれだけ目立ったかっていう話。

そういうわけで日本は効果的にボールを前線に供給できない。なかなかボールが来ない前線の動きは停滞する。余計ボールを出せなくなる。出したとしても入った瞬間につぶされる。どうしようもないから、最終ラインの保持時間が伸びる。この状況は前にも書いたとおり、去年のアジア杯の初戦と同じ。厳しいことを言えば、そこまで逆戻りした状況に陥ってると言っても過言ではないと思う。

ここまで書いたように悪い意味での日本化によって幅を使ったビルドアップができない現状の日本代表。前線に効果的にボールを運ぶために、どうするかってことを真剣に考えなければならないと思う。今の状況ではラスト1/3をどうするかなんて言ってる場合じゃない。

現実的な考え方は2つ。オシムに戻るか、岡田を進めるか。要するに横の幅を使ったしっかりとしたポゼッションをするか、とにかく縦に進んでいくか。はっきりととどちらかに向かっていけば、ビルドアップの問題はいつの間にか解消されてたなんてことになると思うわけだけど。

オシムに戻るならもっとビルドアップにおけるSBの重要度を認識する必要がある。五輪代表でもそうなんだけど、相手のSBに対するプレッシャーがめちゃめちゃ厳しいかって言われればそうでもない(チリとかは別だったけど)。相手だって守るべきは真ん中だって分かってるはずだし。だから、SBを重要視して、そこにチームとしての助けを向かわせれば何の問題もなく相手のプレッシャーは回避できると思う。

逆に言えば現状ではビルドアップにおけるSBの役割が重要視されてない。誰も助けに行かないから、SBのパスの選択肢は1つ前のSMFに出すか真ん中に戻すか。相手がプレッシャーに来るときは縦を切ってくるわけだから、結局真ん中に簡単に戻すっていう選択肢が選ばれることになる。これじゃ何も生み出されない。

大体において、日本のSBの1つ前のポジションは実質的にはトップ下の3枚のうちの1枚名わけで、サイド専業じゃない。逆に言えば、サイドの専業はSBのみってことになる。そして、そのSBの役割を軽視することはつまり、サイド利用を捨てたとも言えると思う。しっかりとブロックを作った相手に真ん中真ん中真ん中の強引なやり方が通じるはずもなく。その点でもSBをもう少し重要視すべき。

ちょっとズレるけどこれは五輪代表にも言えること。アメリカで合宿中(終った?)の五輪代表の両SBはA代表に呼ばれてる。もっと言えば、その1つ前の本田と水野は海外移籍の関係で招集されてない。今年の五輪代表のテーマはサイドの有効活用だと個人的には思ってただけに、そう考えると合宿で何をやってるのかとさえ思わされる。

ちなみに前線から厳しく来る相手に対してはどうポゼッションに入るかって問題もある。その点については、とりあえず蹴りまくればいい。少なくともスイス戦でオシムはそうしてた。そうやって相手を押し上げて、SBを浮かせる。そして、本来的なポゼッションに入る。しっかりと作った相手に対して、意図のあるロングボールは現状の日本代表にはほとんど見られない(意図のない=苦し紛れのロングボールは多い)。

ただし、上にも書いたように何もオシムに戻る必要はない。今の問題は岡田化を推し進めてく中でも解決されてけば、それはそれで解決されてくと思う。そもそも、うまく前線にボールが運べてないのは、相手がバランスのいいブロックを築いてるから。だったら、相手がブロックを築く前に攻めきってしまえばいい。中国戦はこのパターンだったわけだし。

そういう側面から見ると今回は最悪。上にも書いたように、守備の狙いどころが定まらずにボールを奪うのは常に深い位置になった。そのときに助けるために2列目も下がってくる。必然的に前線では田代が孤立。岡田色である縦への意識を高めても、縦の距離が遠い。田代に預けても相手につぶされる。2列目が押し下げられてるから助けるのも難しい。

だから、岡田色を推し進めるならば中国戦のように前線から積極的に行く守備が必須条件。本気でやるなら相手にロングボールを蹴らせないぐらいに積極的に。ロングボールを蹴られたら、ボールを奪う位置は結局深い場所になってしまうから意味がない。

そういう高い位置からの守備で効果的に奪って、一気にショートカウンターにつなげる。要するに日本化によって下手になってしまった最初の1/3を飛ばして、いきなり真ん中の1/3から入ればいい。そして、その真ん中の1/3は日本の得意分野。しかも苦手なラスト1/3も、相手がしっかりとブロックを築いていないうちならなんとかなるから一石二鳥。

もちろん、上にも書いたように相手にロングボールも蹴らせないレベルの守備は相当の強度を必要とする。だから、ベストはオシム色との融合。前線からの厳しい守備で高い位置で奪ってショートカウンターがベース。奪う位置が深くなったり、ショートカウンターが無理ならゆっくりとポゼッション。ボールを持った休憩で守備の時間を短くする。

でも、現状ではそんなことは言ってられない。岡田色でもオシム色でもいいから、どちらかの形をはっきりと目指す必要がある。これに失敗すると前線に効果的にボールを入れられない五輪代表の状況に本当に陥ってしまう。結局は個に頼ることとなり、当然のように個の力では勝てないパターンに陥る。

ちなみに、今回の試合では岡田監督は必ずしもサイドを軽視してたわけでもなかった。特に後半は4-1-4-1の形でサイドを攻める意識を強く持ってたと思う。これは日本の守備に構造上の問題があるとの同じように、韓国の守備にも構造上の問題があったから。それは単純に3バック脇っていうところ。

後半は立ち上がりからサイド→サイドを狙うボールが多くなった。前半に真ん中→真ん中が多用されたのとは打って変わって。サイド→サイドのボールによって相手のWBが仕事を迷い始めた。日本のSBに行かなきゃいけない、でも背後が危ない。結果として日本のSBへのプレッシャーが弱まったと思う。後半に内田の積極的な攻撃参加が繰り返されたのは、前に蓋がなくなったからだったと思う。

ただ、韓国のが1枚上手だった。選手交代によってシステム変更。前線を3トップ(というか、1トップ2シャドー)に変更。そして、その片割れに日本のSBへ対応させるようにした。で、WBは問題なく3バック脇のスペースに気を配ることができたってわけ。結果として内田が明らかに目立たなくなった。

その韓国は完全に守備をベースとした戦い方だった。守備時にはトップの2枚を残して、完全に自陣に引く。そこで人を捕まえながら入ってきた相手をつぶしていったってのは上にも書いたとおり。それでも日本が韓国陣内に起点を作ると、5-3の人数ベースブロックでラストをつぶすやり方と取ってきた。

ここからの攻撃もいたって単純。とにかく最初はトップを狙う。このトップに収まりまくりだったのはしっかりと組み立ててるときだけじゃなくて、守備からの切り替えでも同じだった。この2トップは1人が受けたら、もう1人が広いところに抜けるような動きをして2人でなんとかできるならやってしまおうっていう考え方が見られたと思う。

とはいっても、それは難しい。だから、後ろからの押し上げを使うことになる。このときに攻撃に出てくるのは両サイドと真ん中の2人。日本が1トップだったにも関わらず、上にも書いたように後ろには3+1を残す徹底振りだった。この押し上げに対して、サイドにワイドに展開するシーンが目立った。そうやってサイドを攻めきるうちに中の人数を揃えてくっていうパターンが目立ったと思う。

今回の東アジア選手権で得られたもの。1つは1トップの可能性。田代の1トップとしての適性と1つ下に入る山瀬の得点力の再確認。ただし、1トップも何も前にボールが入らなければ意味がないのも事実。中国戦ではあれだけ目立った田代が、今回の試合では完全に消えた。2つめは中国戦で見られたような前線からの積極的な守備。実効性が高く、次の攻撃を考えても効果的だった。問題はその守備をするかどうかが気まぐれなこと。

逆に問題点として見られたのは、タイ戦のときにも書いたように、サッカーが海のものだか山のものだか分からなくなったってこと。接近→展開→連続なんてのは遠い過去の話。縦へのスピードも守備に左右される気まぐれなやり方(北朝鮮戦と今回で縦への意識は見られない)。オシム色でもなく岡田色でもないある意味での日本化は上でも触れたとおり。
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2008-02-22 Fri 20:34
セルティック×バルサ
<セルティック:4-4-2>
FW:マクドナルド-ヘッセリンク
MF:マクギーディー-ロブソン-ハートリー-中村
DF:ネイラー-マクマナス-コールドウェル-カディス
GK:ボルツ

<バルサ:4-3-3>
FW:ロナウジーニョ-アンリ-メッシ
MF:デコ-イニエスタ、ヤヤ・トゥーレ
DF:アビダル-マルケス-ミリート-プジョール
GK:バルデス

2-3っていう結果には現れないほどにバルサが圧倒した。圧倒したなんてレベルじゃないほどに圧倒した。その要因は当然にバルサ側のよさとセルティック側の悪さに帰結されるわけで。とりあえず、まずはセルティック側に見られた問題から見て行きたいと思う。
  
(○:セルティック、●バルサ)

   ●  ●   
●  ○  ○  ●
○   ●    ○
   ●  ●
●  ○  ○  ●
○   ●    ○
   ○  ○

基本的な対応関係はこんな感じ。この図を見ても分かるとおり、この対応関係だとバルサのアンカーのトゥーレが浮いてしまう。そういうわけでFWの1枚がトゥーレを見る役割を担うことでバランスを取ることとなる。実際にGLのミラン戦では1枚が最終ラインにプレッシャーをかけ、もう1枚が縦関係になってピルロに対応するっていうやり方が見られた。

そのイメージで今回も縦関係での守備が見られるはずだった。それが実際に試合が始まってみると、FWはあくまでも横並び。上に書いた図のままにトゥーレが完全に浮いてしまう存在になってた。これが大きな問題につながっていったと思う。

さらに痛かったのが、横並びのFWが守備のアクションを何も起こさないってこと。横並びだとしても、そもそもトゥーレへボールを入れさせないレベルの厳しいプレッシャーを相手の最終ラインにかけられれば、いくらトゥーレが浮いていたとしても問題にはつながらない。でも、セルティックの2トップはそうやって最終ラインに守備に行く意図のかけらも見せなかった。

かけらぐらいは見せてくれれば、後ろの守備はかなりやりやすかったと思う。中盤の両サイドは相手のSBへプレッシャーをかける気満々だった。フラット基本とは言いつつも、実際にはSMFが相手SBへの意識を持つことで深みが与えられるような形になってた。そういうわけで、相手がSBのところにボールが入ってくれば一気に距離を詰められる準備はできてた。

そうやってサイドにはたかせるような制限をFWが手伝ってくれれば、それなりに守備の形はできたはずだった。少なくとも前への守備の意識が生み出されるはずだった。でも、FWはそういうちょっとした守備すらしようとしない。それでも中盤の両サイドは前へ向かって守備をしたい。その気持ちが空回りしてギャップが生み出された。それは後で書くように。

実は今回の守備の状況はデジャヴ的だった。それはシーズンはじめのシャフタール戦。そのときもFWの守備意識があいまいで守備のスタートがうまく切れなかった。秩序なく守備をするから人は一杯いてもギャップも一杯。チームとしての守備の狙いどころも定まらなかった。結果として守備は崩壊し前半の早々に失点を繰り返した。

そして、そのときの2トップもマクドナルド&ヘッセリンク。はっきり言って守備だけを考えたら、この2人はかなりの問題児だと思う。今回の試合でも途中で修正しようとする意図が全く見られなかった。最後まで相手の最終ラインにはプレッシャーがかからなかったし、アンカーのトゥーレも浮き続けた。ちょっと組み合わせを考えた方がいいような。

とにかくメカニズムは同じ。守備のスタートが決まらない。秩序なく思い思いに守備をする。ギャップだけを残して引っ張り出される。それぞれの守備が単発でチームとしての守備の狙いどころが定まらない。メカニズムを大雑把に言うとこんな感じなんだけど、それをもうちょっと細かい部分で見てみたいと思う。

上の図から守備に参加しないセルティックのFWを削除して考えるとよく分かるけど、とりあえず、当面の問題は真ん中の場所で生まれてる2×3の数的不利。だからと言って、別の場所では1×1が確定してるわけだから、誰も助けに行くことができない。仕方がないので、真ん中は2×3で何とかしなければならなかった。

まず第1に考えるべきはイニエスタ&デコを抑えること。だから、トゥーレへの対応は必然的に後回しにされる。低い位置からトゥーレがドリブルで持ち上がるシーンが多かったこと多かったこと。しかも、そのときにセルティックの選手が誰1人として対応できずに、フリーズ状態が生まれることが多かったのが象徴的だった。

とはいってもそのまま放っておくわけにはいかないわけで。セルティックはCMFが引っ張り出されるシーンが目立つようになってくる。さらに、問題なのがイニエスタ&デコは下がってボールを裁こうとするシーンが多かったってこと。その2人への対応が第1であるセルティックのCMFはある程度の位置まではついていく。こっち方向からも引っ張り出される状況が生まれた。

そして、上でも触れたようにセルティックのSMFは相手のSBに向かった前への守備意識が高かった。途中からは引かされる状況になったけど、意識はあくまでも前にあったはず。そういうわけで、SMFも前に引っ張り出される状況が生まれたと思う。上で書いたこととあわせると、中盤がみんな前に引っ張り出されるような状況。

ただ、これはあくまでもそれぞれがそれぞれの役割を行った結果。だから、チームとしてブロックを高めようっていう意図は見られない。だから、最終ラインは中盤について上がっていこうっていう考えにはならなかったと思う。必然的に中盤とDFの間にスペースが生まれる結果となった。

要するに中盤とDFの関係性が築きにくくなる結果が生まれる。立ち上がりの時間に左サイドのロナウジーニョへの一発のパスが通りまくったと思う。これは中盤が全くフィルターとして機能しなかったからだった。ロナウジーニョに限らず、DFと中盤の間で受けるバルサの選手は基本的に浮いてた。

特に下がって受けるアンリとか中に入ってきたメッシ、ロナウジーニョの対応に誰もいけないっていうシーンが目立ったと思う。これはある意味では仕方のない部分。CMFの2枚はそれじゃなくても相手の3枚を見なきゃならない状況なのに、その上流れてくる選手も見ろっていうのはいくらなんでも無理な話だったから。

そういうわけでフィルターがかからないセルティックの守備に対してバルサは苦もなく最初の縦パスを入れることができた。出し手自身も基本的にフリーだったし。SMFは一生懸命に相手SBを抑えようとしてたけど、そんなところを経由せずに簡単に1つ前にボールを入れられる状況だったわけ。これが空回りだったっていう理由。

とにかくバルサの最初の仕掛けのパスは入りまくり。セルティックとしての次の問題は、そうやってボールを受けた選手に対してどういう対応をするかっていうこと。とりあえず、後ろの選手の見るべき選手はある程度は決まってたから、まずはそれを利用した。これもすぐに破綻するけど、それは後の話。問題は最初の対応ができたとして、その次のところ。

セルティックとしても1×1じゃ分が悪いのは分かってたはず。しかも、前線で制限がかかってないからその1×1もキッチリとしたものじゃなかった。だから、すぐに数的優位を作ることが念頭にあったと思う。例えばWGに入ったところにはSMF+SBで挟み込むみたいな意識がはっきりと見られた。

ただし、この関係が効果的に機能するためには選手間の距離が近いことが必要となる。特に挟み込みを念頭に置くなら、前後の距離感が重要なのは当たり前。そして、その距離感が悪かったのはここまでにも書いてきたとおり。中盤が前に引っ張り出されてたから、入った瞬間にすぐに前後の挟みこむなんて形は作り出せなかった。

そして、すぐにそういう形を作り出せなければもう意味はない。ちょっとでも時間を与えてしまえば、相手はバルサ。セルティックが数的優位を作る暇もなく、次の場所へのボールが動いていった。それでも上にも書いたように、最初の守備が少しでも効くだけ立ち上がりの時間はマシだったと思う。

それが崩れたのは前半の10分ぐらいだったと思う。この時間ぐらいになると、バルサは積極的にポジションを動かし始めた。それまでにもデコ、イニエスタが降りていくみたいなシーンは見られたんだけど、それに加えて前線の引き出す方でも動きをもたらすようになったと思う。

こうなるとセルティックは太刀打ちができない。なぜならば、それまでの守備の根拠は見るべき相手がはっきりしてるっていうことにあったわけだから。前線で全く制限ができてない状況の中で頼るべきものはシステム合致のみだった。

今やそのシステム合致が使えない。それが何を意味するかって言えば、守備において頼るべきものがなくなったってこと。前線の制限がないから、どこにボールが出てくるか分からない。相手が動き回ってるから、誰を見るべきか分からない。結果として入ってから対応するっていう後手後手の状況が深刻化したと思う。

バルサ相手に後手後手の対応はあまりにも致命的。寄せようとしたところで次にはたかれ、はたいたところに寄せようとしたところで次にはたかれ…の繰り返し。ギャップだけを後ろに残して引っ張り出される形の繰り返しだった。そして、そのギャップはバルサがご丁寧に使ってくれた。セルティックは守備の勝負どころを定められないどころか、ボールに触れることさえできなくなってしまった。そして、それが残りの80分間続くこととなる。

このスタートとしてとりあえずバルサは超猛攻を仕掛ける。前半の10分過ぎぐらいだったと思う。そうやって前線を動かし始めたバルサに対して、セルティックはそれまでと同じイメージで守備をしてたから、全く対処ができなくなってしまった。結果として猛攻~CKの連続っていう決定的なピンチを繰り返すことになってしまった。

ただ、知っての通りこれを防いだ後に先制点がセルティックにもたらされる。この得点後のセルティックは守備のやり方を微妙に変えたイメージ。バランスとかやり方とかを気にせずに、自陣に入り込まれたらとにかくゴール前を固めるってもの。とりあえず、これによって、その直後の1失点に収めることができた。この変更が相手に猛攻を仕掛けられたことによる修正なのか、得点を奪ったからなのかは微妙なところだけど。

この変更によってセルティックの守備にやり方が存在しなくなったのは確かだった。秩序がないというか、途中までいくら回されてもラストで跳ね返せればいいんだっていうか。でも、ラストで跳ね返せばいいってこと自体の意思統一も図れてなかったような気がする。ラストで跳ね返すならそれを徹底すればいいのに、全体が中途半端なやり方をするから、シャフタール戦と同じく人が足りてるのにギャップが多い状況が生まれた。このチームはべた引きが下手なのかもしれない。

セルティックのラストブロックの質については適当なときに織り交ぜてくこととして、この辺でバルサについても少し書いときたいと思う。今回のバルサは本当にやりたい放題に好き勝手やったイメージだった。ポゼッション率が70%に達する時間もあったわけだから、そのすさまじさが分かると思う。

そして、今回の試合で久々にバルサの組織としてのよさを見ることができた。昨シーズンからあまりバルサの試合を見る機会はなかったけど、個の分断が気になってたってのは今までにも書いたとおり。ダイジェストを見てもチャンスシーンは個人のドリブル突破とか出し手と受け手の関係だけでの一発スルーパスみたいな形が目立ってた。そして、久々に見たリヨン戦でもやっぱり個人の分断が見られて、スムーズに組み立てができない状況が目立ったと思う。

対して、今回の試合では組織としての組み立てが見られた。そもそもリヨン戦と比較しても前線にボールを入れるのが容易だったってのがその要因の1つにあったかもしれない。前線に起点が作れることで、それがスイッチとなって全体の連動をもたらした気がする。局面局面で数的優位をうまく作れてた印象。

その数的優位の形成についてちょっと見て行きたい。最初に書いた図に戻ると、そもそも構造上、数的優位ができてたってことが分かると思う。両SBを上げるバルサだから、真ん中の3×2の数的優位がダイレクトに全体に波及する。攻撃時に全体として、常に1枚余れるっていう状態だった(セルティックのCBを1枚余らせると数えなければ数的同数)。

もちろん、どちらかと言うとセルティックの方に原因がある構造上の数的優位だけを使ったわけではない。自分たちからも積極的に数的優位を作り出すアプローチは行ってた。その1つは逆説的に数的不利を利用するっていうものだったと思う。

バルサの選手が数的に不利な状況は逆に言えばセルティックの側が数的優位で守ってるって言える。構造上、全体を見ると数的不利に陥っているセルティックの守備。バルサの側からすれば、局面での数的不利を抜け出せば他の場所では絶対的な数的優位が生み出されてたってことになる。

局面での視点では例えばWGとSBの状況。WGがボールを持った時点でセルティックのサイドに2枚は挟み込みに行こうとする。その時にセルティックはそれまで見ていた相手SBを話すこととなった。そうやってフリーになったSBがボール保持者のWGを追い抜いて出て行くシーンがかなり目立ったと思う。そこでボールをもらえれば基本的にはフリーの状態だった。

これはセルティックの守備の問題を突いてた形。上にも書いたようにセルティックの挟み込みは万全な形ではなかった。だから、バルサの選手は挟み込まれそうだけどまだ挟み込まれてない状況でボールを裁くことができた。当然、次への展開も簡単。そもそも1×2ぐらいの数的不利だったら、バルサの個は十分に対応可能だったかもしれないけど。

こういう局面での形が多く見られたのは、セルティックの守備がまだ秩序を保ってた時間帯。ただし、多くの時間でセルティックの守備が秩序を保っていられなかったのは上でも書いたとおり。そういうわけで多くの時間で見られたのは、もっと全体を見通したやり方だったように思う。

段々とバランスが崩れていったセルティックの守備はとりあえず・なんとなくで守備をする傾向が強まった気がする。相手がボールを受ければそれを放っておくわけに行かないから、とりあえず・なんとなく寄せる。でも、それはあくまでもとりあえず・なんとなく。守備の勝負どころにならないのはもちろん、次との関係を考えたものでもなかった。

こういうとりあえず・なんとなくの守備傾向が全体に広がるとどうなるか。とりあえず・なんとなくボールサイドに人が寄ってしまう状況が生まれた。だからと言って、そのサイドで絶対的にボールを奪おうって言う意図は見られない。人だけはいても、その中で見られるのは中途半端な寄せばかりだった。

これはつまり1つのサイドに数的優位ができてることを意味する。そして、逆サイドは圧倒的に数的不利。というか、単純に広大なスペースがあるって言った方が妥当だとは思うけど。バルサはその逆サイドを効果的に活用した。左サイドで組み立てて、右サイドのメッシへっていうボールがかなり多くなったと思う。

こういう数的優位、要するに空いてるところを使うっていう考え方に加えて、1人が複数の選手のように攻撃に絡むことで数的優位を作り出す形も見られた。その一番単純な形はシンプルなワン・ツーの活用。ワン・ツーでの抜け出しは1人でトライアングルの2つの側面を担うわけだから、1人手複数の選手のように絡むことにつながる。1点目のシーンもシンプルなワン・ツーだったし、全体としても多く見られたと思う。

そして、本当の意味で複数の選手がいるように振舞ったのがデコ。デコは常に動き回りながら適切なポジションに入り込んだ。デコにとっての適切なポジションってのはボールを受けられる場所のこと。低い位置でボールを回してれば、低い位置に降りてくるし、中盤での組み立てでは常にトライアングルの頂点に入る。そして、1点目につながったような最前線でのプレー。神出鬼没でボールを受けて、経由点として機能してたと思う。

ここまで書いてきたのはちょっと普通の意味とは違った数的優位だったわけだけど、もちろん局面での普通の意味での数的優位が見られたのも事実。デコに限らず多くの選手がボールをもらえる場所に入ることで少ないタッチでのリズムのいいパス回しが可能になったと思う。もちろん、ここではボールだけではなくて人が適切な場所に入ることが必要となった。

人が適切な場所に入るってのには1人1人の動きの意識がベースにあるのは確かだけど、ある程度の役割分担も見られたと思う。例えば中盤の3人。デコは上に書いたように常にボールを受けられるような場所に入る。対してトゥーレは逃げ場。1つ下に入って詰まったときに1度受けたり、相手が跳ね返したボールを拾って2次攻撃につなげるってことが多かった。

最後に残ったイニエスタは周囲との関係を見ながら、スペースを埋める役割を担ったと思う。例えばメッシが中に入ったときに、代わりにそのスペースを埋めるみたいな。全体のバランスを考えた動きが目立った。そうやって、全員が何でもかんでもボールに行くわけじゃないから、適切な距離感を保つことができたし、それが結果としてパス回しの中に個のアクセントを加えた。

攻撃におけるポジショニングっていう意味だとSBが超高い位置を取ってたのも特徴的だったと思う。バルサらしいといえばバルサらしいけど、これが攻撃のバリエーションを増やす効果を生んだのは確か。ファン・ブロンクホルストが抜けたことでロナウジーニョが精細を欠いてたように思ったけど、今回はアビダルが超攻撃的に出たことで十分に助けてたと思う。この関係性がもっとスムーズに行くようになるとロナウジーニョ本来のキレが戻る気がする。

逆サイドではプジョールとメッシの関係性。そこにデコとかイニエスタが効果的に絡むことで、近い関係性のトライアングルを作って狭い局面を打開しようっていう試みが見て取れた。メッシが中に流れて、蓋がなくなった大外のスペースをプジョールが一気に上がってくやり方も興味深かった。メッシが中に入る回数が今までの印象よりも多かった気がする。ボールを持った状態で切れ込むってのは多かったけど、今回はボールなしで流れてくことも多かった。

とにかく、今回の試合でのバルサはかなりスムーズに攻撃ができてた。そして、そのベースにしっかりとしたパス回しがあったと思う。そのパス回しの中で色々な方向に色々な質のボールが供給されたと思う。ショートショートと続けばサイドを変えるような大きな展開。パス回しの中では横パスだけではなく、相手を釘付けにするような縦パスを機を見て打ち込む。そして、そこに絡む人を状況に合わせて変えていく。

こういうバルサのバリエーション豊かなパス回しに対してセルティックは全く狙いどころを定めることができなかった。セルティックのとりあえず・なんとなく守備もあったけど、バルサが全く守備の勝負に出るポイントを定めさせなかったってのも大きい。セルティックの選手は中途半端に寄せに出ることが多かった。そのときには後ろにバルサの選手のためにギャップを残してきたってのはここまでにも書いてきたとおり。

そして、そういうギャップをさらにバルサのパス回しが広げていく。そのときには左右に大きく揺さぶる質のボールも効果的だった。そして、バルサが十分にパスを回してここぞと決めたときには、セルティックは全員が引いてるはずなのに、DFが晒されてるっていうような意味不明な状況に陥ってたと思う。それだけバルサのパス回しに翻弄されてたってこと。

そういう意味でセルティックは圧倒的に攻められたときの守備が下手だってことに気づかされた。相手がどれだけ回しても微動だにしないような安定したラストブロックを築くことができない。いいように振り回されて、結局はボルツ頼みになってしまう。これはシャフタール戦にもいえたことだし、ミラン戦でもそうだった。攻められる体験が薄すぎるから仕方がないのか。

そういう流れでボールを奪ったとしても、攻撃の流れで前線から守備をしてくる相手に対する脆さを感じさせられた。今回の試合でも攻撃からの切り替えでのバルサの守備に対して、かなりあたふたとする印象が目立った。単純に前線にロングボールをいれることすらできないんだから相当のものだと思う。

バルサの方からしてみれば切り替えで忠実に守備をしてれば、その頑張りがダイレクトに結果に反映された。しっかりと切り替えの守備をすれば、相手がうまくつなげなくて敵陣で再びボールを奪えるシーンが多発。2点目もそういう流れだったし。結果としてずっと敵陣内にいるイメージが強かった。セルティックがつなぐことを捨てたとしても意図の薄いクリアをするしかなかったから、結局はバルサのボールになったわけだし。

ただ、ほんの数回そういう場所を抜け出されると結構危険なシーンにつながったと思う。結果としてそれが2失点にもつながってるわけだし。そして、失点シーンにそのまま現れてるように、その問題はサイドの守備のやり方にあったんじゃないかって気がする。

バルサの守備の考え方は基本的にマンUみたいなイメージ。前線の3枚が自分の前に対する守備はがんばるけど、そこを抜け出されたら守備に参加しないってこと(マンUは最近ちょっとマシになってる気がするけど)。超強力3トップを残すことで相手の後ろからの攻撃参加、特にSBの上がりを防ごうって考え方も同じだと思う。

ただ、それでもやっぱり攻撃に参加してくる選手はいるわけで。そうなったときの対応が特徴的だった。マンUの場合は4-2で守ったボランチがSMFウラのケアにも入る。実際には左のギグスはちゃんと戻って、右だけはハーグリーブスがCロナウドウラをカバーする、つまり4-3的に守るってことが多くなる。パク・チソンが入ったりするとなおさら。

対してバルサは同じやり方を取ることができない。まずバルサのWGはどちらも後ろに戻ってこない。それから、カバーすべきボランチがバルサの場合は1枚しかいない。だから、マンUと同じようなやり方では守ることができないわけで、代わりに2つの考え方を併用してるように見えた。

1つはSBの守備範囲を超広くすること。WGウラの全てのサイドをSBが担うようなイメージ。だから、必然的にセットしたときのSBのポジションは高い場所になる。今回の試合の中でもかなり高い位置で相手のサイドの選手に対応するようなやり方が見られたと思う。

ただ、これだと相手SBが上がってきたときの問題の解決にはなっていない。その解決のために、バルサはOMFのデコ&イニエスタにサイドの助けに行かせてた。ただ、これだと安定感がないのも事実だと思う。マンUでいうハーグリーブスみたいにSMF(WG)後ろでカバーする形ならいい体勢で受けることができる。対してバルサのOMF利用は常に戻りながらの守備になってしまう弱点がある。要するに応急処置的というか、苦肉の策というか。

セルティックとしてはこのサイドをもっと効果的に突きたかった。とはいっても、ほとんど守ってたから仕方なかったんだけど。それでもマクドナルドがサイドのスペースに流れようっていう動きを繰り返してたのを見ると、意識自体はあったのかもしれない。FWが流れて、SMF、SBが絡めたらバルサのサイドの守備は崩壊してた可能性がある。残念ながらその有機的な関係性を築くことはできなかったけど。

結果としてセルティックのホーム不敗神話が崩れたことになった今回の試合。その一番の要因は相手がバルサだったから。バルサっていうチームのスタイルに大きな要因があったと思う。例えば昨シーズンのミランはセルティックホームの試合ではアウェー用の戦い方をしてた。でも、バルサはアウェー用の戦い方をしなかった。

セルティックは攻められまくるのが非常に嫌いだし非常に苦手ってのが今回の試合でよく分かった。逆に攻められまくらない展開ならば、それなりの結果が残せる。これがホーム不敗神話の背景にあった気がする。これまでの相手はみんなアウェーの戦い方をしてくれたから、セルティックもそれなりの内容で試合ができたって琴田と思う。

でも、バルサは違った。バルサはバルサだった。そうなるとホームも何も関係ない。攻められたときのセルティックの脆さだけが浮き彫りになった。ただ、その中でも最終的なスコアが2-3ってのを見ると、やっぱりホームには何かあるのかなって思ったりもするわけだけど。
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2008-02-20 Wed 23:47
東アジア選手権:中国×日本
<日本代表:4-5-1>
FW:田代
MF:安田-山瀬-遠藤、中村-鈴木
DF:駒野-今野-中澤-内田
GK:楢崎

前回の北朝鮮戦は相手が守備から入ったこともあって、ゆっくりと落ち着いた入り。攻撃についてはそれでもよかったけど、そういう攻撃の流れに守備も引っ張られてしまった。結果として守備があいまいでズルズルと下がってしまうような形。さらに攻守に渡って、そういうまったりペースから抜け出せなくなったのも問題だった(後半はマシになったけど)。

対して、今回の中国戦は全く逆の展開になった。まず意識的に入ったのは守備から。高い位置からの超積極的な守備が攻撃にもいい影響を及ぼした印象。全体としての動きが活発になって、スピーディーな展開が可能になった。

ただし、変わったのは日本側だけではない。前回の北朝鮮は自陣に引きこもって守備をし、日本はなかなか攻撃の糸口を見つけられなかった。要するに受身の守備×消極的な攻撃の図式だったと思う。対して、今回の中国は日本と同じように前線から積極的に守備をしてきた。結果として超積極的な守備同士のぶつかりあいっていう全く違った試合内容になったと思う。

攻撃をする方から見れば、相手の高い位置からの守備をどう否すかってのを考える必要がある。結果として両チームとも長いボールを蹴りまくるシーンが目立った。守備面から見れば、前線からのいい守備をいかに攻撃につなげるかってのがポイントになる。よって、高い位置で奪ってから一気に縦を攻めるっていう攻撃も多くなったと思う。

結果としてショートカウンターの掛け合い、ロングボールの蹴りあいっていう試合展開が生まれたと思う。高い位置で奪えた方がショートカウンターを仕掛ける。逆に奪う位置が深い場所になると、それだけ相手の守備がバランスを整える時間ができ前線からのいい形の守備が機能しやすくなる。または攻撃の流れのままに高い位置で人数をかけた守備ができる。結果、ロングボールでその守備を回避する選択肢が生まれた。

要するに非常にボールの行き来が激しい試合になったと思う。どちらのチームもボールを保持するっていう選択肢はほとんどなかった。というか、与えられなかった。奪ったら一気に縦に進むか、蹴りだすかのどちらかだったと思う。ただ、その中で両チームの特徴が見られたのも事実だった。

日本の守備はここまで書いてきてるように前線から積極的に追いかける形。タイ戦のときのように前線のリミッターが外れて、相手の最終ラインに対しても積極的にプレッシャーに行く姿勢が見られた。最終ラインに対しては、途中からは何でもかんでも追いかけるんじゃなくて、ちょっと自由にやらせてもたついたらってイメージになったけど。とにかく、そのスタートとなるのは当然のように1トップに入った田代だった。

この田代の追いかけに対して2列目がうまく連動を図る。田代と1つ下の山瀬(入れ替わることも多々)の存在によって相手は真ん中に入れるってい選択肢がない。結果としてサイドに出すボールが増えることとなった。これを両サイドの遠藤、安田が積極的に狙って行く姿勢が見て取れたと思う。

サイドではこの遠藤、安田が守備のスイッチとして積極的にプレッシャーをかけていく。そもそもこの遠藤と安田の守備も田代の追いかけがスタートとなってるわけだけど、このサイドでの最初のプレッシャーに対して次がしっかりと狙えてるのも効果的だった。

次の狙いとしてはまずSBが高い位置まで出てきてサイド→サイドの選択肢を消す。さらに中盤を全体としてボールサイドに寄せる。右の遠藤が最初のプレッシャーに行ったときに、安田が真ん中のあたりまで絞ってるシーンも見られた。最初の守備に対して、SBが縦を切り、中盤が中を切り、さらに田代が後ろを切るような効果的な追い込みがいくつも見られたと思う。

しかも、最初の守備で迷いのない厳しいプレッシャーがかけられてた。結果として後ろの選手にとってはかなり次を狙いやすい状況ができてたと思う。効果的なインターセプト、入り際を狙った守備、少なくとも距離を完全に詰めて仕事をさせないような対応ができてた印象。しっかりと次の人を抑えられてた。

ここにはやっぱりシステムの変更が大きく出てたと思う。中盤の枚数が1枚増えたことが大きかった。中盤の枚数が足りてるだけに、ボールに対しての積極的なアプローチが可能になる。自分が引っ張り出されても後ろは足りてるわけだから。さらに、個々の距離が縮まって相手に対する寄せも素早くできる(短い距離を対応すればいいから)状況が生み出されたと思う。

さらに中盤が1枚増えたことがボランチの増加につながったのが大きかった気がする。鈴木はWボランチの方が生きるっていうのは、今までも書いてきたとおり。後ろを気にせずに積極的にボールにアプローチができるし、効果的なインターセプトも増えた。これは逆の中村にも言えること。相互の関係を築くことで(後ろに助けがいるから)、積極的な守備が可能になってたと思う。

こういう効果的な守備の中で中盤での効果的なカットがかなり多くなったと思う。そして、そういういい場所でのカットがそのまま攻撃へのいい流れを生み出すこととなった。守備の積極性、勢いをそのまま攻撃の勢いにつなげることができてたと思う。得点シーンがまさにそういう場面だった。

中盤でボールを奪ってから全体が前に進む中で後ろからの飛び出しが活性化した。そして、前へ前への勢いの中でゴールまで一気に行ってしまったのが得点シーンだった。このシーンみたいに奪って縦へ縦へっていう意識の中に岡田色の復活が見られた気がする。

今回の試合ではそういう岡田色の復活、つまり縦への意識が強くなったと思う。守備の内容のよさもあいまって、中盤でカットしてからのショートカウンターの質が高くなった印象。奪った後にボールを保持するんじゃなくて、狙えれば一気に縦パスを狙う、前にスペースがあればドリブルで積極的に仕掛けていくっていう姿勢が見られた。

さらに、これがチームとしての決まりごとになってたのもよかったと思う。奪った瞬間に切り替えを素早くして、一気に後ろの選手が飛び出すみたいなシーンを多く作り出した。これも守備で前への意識を持ってるからこそのプレーだったと思う。

この後ろからの飛び出しっていう面を見てもシステム変更が功を奏した気がする。今までは4-1-3-2が基本。2列目が飛び出すのには2トップの蓋があった。対して今回は4-2-3-1。2列目の飛び出しに蓋がない。さらに、3列目からの飛び出しも活性化させることとなる。今回の試合では中村はもちろん、鈴木が積極的に攻撃に出て行くシーンが目立ったと思う。

これはある意味では当たり前。ボランチが1枚なら自分が飛び出していった後のスペースに対して不安が残る。それが2枚になったことで、その不安が減ることになると思う。確かに1枚が後ろに残るなら枚数的には今までの2トップ+2列目3枚と変わらない。ただし、段階的なよさがある。上に挙げた5枚よりも1トップ+2列目3枚+3列目1枚の5枚の方が圧倒的に相手によっては嫌だと思う。

さらにボランチが2枚になったことで間接的な攻撃参加の促進も生み出した気がする。それは最終ラインからの飛び出し。SB、特に駒野の攻撃への積極性は明らかに増進したように見える。さらに立ち上がりの数プレーの中では今野が最終ラインから出て行くシーンも見られた(相手が最初は1トップ気味にやってたからかもしれないけど)。

この次から次への押し寄せるような飛び出しによって攻撃の停滞感が生まれなかった。前線の2+3の関係性だけだと、みんなが前に入り込んでしまうっていう前詰まりが生まれてしまう。これはタイ戦でも見られた形。それが今回みたいに3列目、最終ラインから段階的に飛び出しが生まれると、そういう詰まりが生まれにくい。

前線の動きが停滞したところで後ろから爆発的なランニングが出てくる。それによって前線の動きが再活性化するってことが見られたと思う。それが停滞すれば、さらに後ろからってのも見られた。4-2-3-1にして、後ろに人数が増えたことで逆に前線に勢いが生まれたっていう側面も見られたと思う。

こういう後ろからの飛び出しの多さは前への勢いを増す。攻撃において、常に動きながら、前に向かいながら仕掛けていく姿勢がかなり目立った。そういうわけで今回の試合では停滞感がほとんど見られなかった。守備においても自分たちからアクションを起こす積極性が見られたし。

この攻撃における動きを象徴してるのがトライアングルの質。例えば圧倒的にボールを支配したタイ戦でも、接近によってショートパスはつなげてた。ただし、このショートパスの中ではトライアングルの固定が見られたのも事実だったと思う。結果として足元足元のパスばかりになり、リズムの変化をもたらせなかった。

対して、今回の試合ではそのトライアングルが動き回るようなイメージが強く見られた。同時に動きがある中でタイ戦とは逆の状況が生まれて。スペースを狙うパスも多くなったと思う。これは後半にある程度ボールを支配できるようになってからも見られたから、そういう意味ではいい内容だったと思う。

例えば出し手の変化。今回の試合ではドリブルでスペースをつなぐ意識が強まってたと思う。スタートが単純なトライアングルだとしても、ボールを保持する頂点がドリブルで動けば他の2頂点がそのまま待ってるわけにはいかない。そこに動きなおしの必然が生まれて、動きが生まれたと思う。出し手の側で言えば、出した後の動きも活発化した。シンプルなパス&ゴーの数が明らかに増えたと思う。これはトライアングルの側面から見れば、強制的に頂点を回転させることにつながる。

さらに受け手にも変化が生まれた。1つは上でもちょっと触れたようにスペースでもらおうとすり意図が強くなった。要するにそれは遠ざかるランニングの増加を意味するし、自分たちで接近を崩すことも意味する。遠ざかるランニングの中で基の三角形の各辺の長さが長くなるようなイメージになるわけだから。それから上で書いたボールを追い抜く動きの多さ。ボールに対して、新たな頂点となれる選手が次々と飛び出していった。

当たり前のことだけど、このトライアングルの例はただ単純化した話。何でもかんでもトライアングルを形成するわけではもちろんない。要するに何がいいたいかって言うと、ボールに対する動きのバリエーションが増えたってこと(ボール保持者自身も含めて)。

これまでは、接近を意識してなのか近づくランニングが圧倒的に多かった。結果として自分たちのプレーエリアを制限することとなったと思う。それは次の展開を意識してのもの、つまり相手を同サイドに寄せるためのものだと考えれば絶対的に悪いわけではなかったけど。でも、パス回しの中でリズムの変化がつけられなかったのは事実だったと思う。

そういう意味で今回のボールに対する動きの多さは、そういう接近の殻を打ち破ったことに意味がある。接近を崩すようなスペースでもらうランニングが増えたことをはじめとして、ボールに対する動きによってリズムの変化をもたらすことができてた。そして、何よりも攻撃にスピード感が出た。これは岡田監督が常々言うようなラスト1/3崩しのヒントになるんじゃないかと思う。

こういう部分を見てみると、今回の日本が素晴らしかったように感じる。ただし、実際はそれほど圧倒的に試合を支配したわけではなかった。特に前半は中国にペースを握られてたといってもいいような内容。その理由はベースとなる守備にあったと思う。

最初にも書いたように日本の守備が悪かったってことでは決してない。むしろ、かなりいい内容だったって言える。ただ、この日本の守備のやり方の中には構造上の弱点があるのも事実。それは全体をボールサイドに寄せてボールの選択肢をつぶしてくっていうやり方。

ボールサイドに全体が寄ってるんだから、当然のように逆サイドは空く。真ん中にボールがあるときには両サイドがややルーズになる。立ち上がりの中国は単純な縦へのボールを繰り返した。そういう縦へのボールじゃないしっかりとした組み立ては日本の守備ブロックにことごとく引っかかっていった。それが途中からサイドを有効活用するようになったと思う。

まずその変化が見られたのはそれまでと同様の縦への1発のロングボールだった。ただ、このボールの質を微妙に変えてきたと思う。ロングボールを斜めに、逆サイドウラを狙って蹴りこむことが目立ち始めた。そのときにはトップの7番が流れて受けようとすることが多かったと思う。この辺りでちょっとヤバイなってのはあった。逆サイドを狙われてるんじゃないかと。ただ、その時点では斜めの質とは言ってもまだトップへの単純なボールに変わりはなかった。

それが時間とともに意図的にサイドを利用する組み立てに変化してきた。ただし、そのサイド利用にも効果的に中長距離のパスを活用してきたと思う。同じようにサイドを利用してもショートパスをつなぐやり方ならば日本の守備網に引っかかってくれたと思うんだけど、その守備網を跳び越すようなボールでのサイド利用が多くなったと思う。

そうやってサイドチェンジを織り交ぜながら、日本の守備が薄い逆サイド逆サイドへとボールを動かしていった。日本としては逆サイドへの守備は1つ遅れることとなる。これはある意味では仕方のない部分。ただ、仕方がないと言っても中国の効果的なサイドチェンジの繰り返しの中で徐々に深い場所まで入り込まれるシーンが増えていったと思う。

この時点で日本は絶対的な劣勢にたったことになる。それまでの時間に日本が効果的な攻撃を繰り出したのは、ほとんどが高い場所で奪ってからのショートカウンターだった。サイドを使われ深い場所まで持ち込まれる中では当然のようにそういうショートカウンターは不可能だった。

さらに最初にも書いたように、中国は前線からかなり厳しいプレッシャーをかけてきた。立ち上がりはややあいまいなところもあったけど、途中からはダイヤの中盤の頂点を1つ押し出して最前線を2トップ+1の状態にしながら、日本の最終ラインも積極的にプレッシャーをかけてきた。

この時点で日本は効果的な組み立てが不可能になった。せっかくボランチの位置に入ってる中村も、こういう状況の中では全く浮いてこなかった。そういうわけで最終ラインからの1発のロングボールが圧倒的に増えることとなった。

しかも、このロングボールも効果的とはいえなかった。なぜなら1トップにしたことでターゲットは田代のみ。それでも立ち上がりは競り勝って次につなげることができてたけど、段々と次がいなくなった。深い位置まで攻め込まれる流れの中で田代が孤立気味になってた。

次、次を狙ってく守備の中では守備の流れの中でそれぞれが適切なポジションを取ることが求められる。深い位置まで入られた時点で例えば安田がSB的に振舞ったり(サイドの深い位置に持ち込まれたときに、4バックを凝縮させて中を固める意図が見られた)、山瀬がボランチの位置に戻ったりってことが目立ったから。中盤以降が守備に追われる流れになってたと思う。

こういう流れはまさにチリ戦のそれと同じ。相手の高い位置からのプレッシャーに負けて、効果的に組み立てができない。前線が孤立する。守備のループに入り込む。ただし、今回はチリ戦のときとは違って確固たる守備の形があった。だから、守備から何とか押し返すことができてたと思う。それでもいい流れとは言えないことに変わりはなかった。

ただ、ここでもう1つ根本的にチリ戦と違うことがあった。それは中国はチリではないって言うこと。後半に入ると中国はチリではないっていうことがはっきりしたと思う。前半が嘘のようにペースが落ちた。守備の厳しさが完全に失われたと思う。それに伴って、別の意味での守備の厳しさが見られるようになったわけだけど。ある意味ではまともに守備ができなくなったことの象徴。

そして、この前兆は前半から見られたってのも事実だった。中国の守備は個々の分断が見られたと思う。1つめのチェックに対して次が連動しない。だから、全ての場所で本気の守備をしなければならなかった。それは疲れるのも当たり前。

だから、前半でもたまに日本が最初の3枚のブロックを抜け出して組み立てをするとエアポケットみたいなのができた。トップでは激しいのに、ボランチのところに入るとそれが一気に弱まる。そして、予想以上にフリーでボールを扱う時間が長くなった。そして、日本が敵陣に入ると改めて守備がスタートしたんだけど。ただ、その自陣での守備にはそれほどの厳しさは感じなかった。

ただ、日本がそういうエアポケットに入りこむシーンはほとんどなかった。連動ができてない中国の守備に対してもロングボールが多くなってしまった。それだけ前線の選手ががんばりまくって守備をしてたってこと。そりゃ、後半になれば疲れるでしょって話。前半は攻撃でもウラを狙ったりってがんばってたわけだから。

そして中国の前線の守備を支えてたのは文字通り前線の3枚だけだった。その次のところからはそれほど厳しい守備が来なかったってのは上にも書いたとおり。そういうわけで中国の前線がへばった後半は日本がいいように攻撃ができたと思う。

逆に日本の守備は最後まで効果的に効き続けた印象。ここは効率性の違いだったと思う。同じ前線からの追いかけでも日本は次を考えた組織としての守備ができてた。だから、積極的な守備の中でも個々は必要最小限のがんばりを見せればよかった。対する中国は全てが100%近いわけだから、効率が悪いのは当たり前だった。

後半の日本はやっと中村が浮いてきた。前半はボランチの位置でもほとんどボールを触れなかった(それでもショートカウンター時は効果的なパスを前線に供給してたけど)中村が後半は組み立ての中心になることができてたと思う。そうなれば前半のようにカウンター、ロングボールだけではない効果的な攻撃が可能になったと思う。

このときに前線の引き出しもいいものになった。上でも書いたようにボールに対する動きが活発になったことは確かなんだけど、組み立てでの引き出しも多くなったと思う。これは前回の北朝鮮戦の課題の克服。北朝鮮戦、特にその前半はボールを前線に供給できなかったから。

ここには前線の組み合わせの変化が関係する。前回の試合で経由点になりえたのは(遠藤が下がった時点で)羽生と山岸。どちらもタイプとしては遠ざかりタイプ。羽生に関しては後半に近づきタイプになって、それが組み立てのスムーズさを呼び込む要因になったわけだけど。

とにかく、どちらも組み立てに参加して何かをするってタイプではなかった。結果としてボールの経由点が生まれない結果になったと思う。いくら動きが献身的な選手がいても、そこにボールが出てこないんじゃ意味がない。山岸も羽生も経由されたボールを何とかするってタイプだから。

対して今回は中村がスタートとして機能し、山瀬と遠藤が経由点として存在した。どちらかというと山瀬は前に向かう意図が強かったから、特に経由点としては遠藤の役割が大きかったと思う。そして、その遠藤の存在が羽生のよさを生かすことにつながった気がする。組み立てに関係なく(っていうのはおかしいかもしれないけど)、動き回りながら前でボールを引き出したり味方にスペースを作るっていう羽生らしさが見られた。

そういう意味では今回の4-2-3-1のシステムの可能性は大きい。これは途中で交代した安田が入った場合も含めて。最初の時点では安田を本来的な左サイドで使って意図的な左右のバランス崩しってのも面白いかと思ったけど、積極的に左を捨てて色んなところに顔を出した。そうやって安田がサイドにこだわらなかったことが駒野の上がりも促進させたと思う。

そして山瀬。山瀬はゴールに向かうプレーを繰り返した。これも遠藤と中村の存在が大きいと思う。大雑把に言えばスタートとしての中村、経由点としての遠藤がいることで山瀬がゴールに向かう意図を強く持てる気がする。そして、当然のように1トップ下の2列目からの飛び出しは必要だし効果的。

そして、今回の試合での収穫は何よりも1トップ田代の存在だったと思う。まず田代の持ち味(だと思う)競り合いの強さを見せてくれた。加えて得点シーンにつながったようなつぶれ役としての役割も。まず大前提として、こういう1トップの最前線での仕事をきっちりとこなしてたと思う。

加えて、中盤的なプレーもいい内容だった。ショートカウンターでも田代が降りてきて1度受けるっていう攻撃への切り替えのスイッチとしての役割を担ってたと思う。得点シーンもそこからのつながり。それにサイドに出たり中盤に降りたりっていう中で効果的にボールを引き出して、組み立てに参加できてた印象。これは変則4トップの一角に入るアントラーズのプレーが生きてるかもしれない。

そして何よりもよかったのがトップの場所を空けるプレー。サイドとか中盤でボールを受けるためにってのもあるけど、それ以外でも効果的にトップの場所を空けてたと思う。結果として2列目の飛び出しがかなり促進された。特に山瀬がFWの選手みたいな場所でチャンスに絡みまくったのも、この田代の隠れた動きが生み出したものだったと思う。

以上から、この4-2-3-1は1つのオプションとしては面白い。守備の質の高さが生まれたのはこのシステムによる部分が大きかったし、何よりも安定感が増した。加えて、攻撃でもいい流れを生み出すとなると主要システムになっていく可能性もある。

それにこの形は色々な変化形につながる。両サイドにWGを置けば4-2-1-3みたいになるし、守備を考えれば両サイドを下げた4-4-1-1もありうる。相手とのシステム合致を考えても4-2-3-1の変形は対処がしやすい(システム合致的守備をするかどうかは分からないけど)。次の韓国戦では同じ形で中身を変えたようなやり方を試してもらいたい。

ちなみに今回の試合でも相手が前線から来た場合の課題がそのまま残された。後半は相手が勝手に落ちただけであって。もちろん相手が最前線から激しく来てる状況で本来的な組み立てをするのは難しいかもしれない。だから、相手のラインを下げる意味でロングボールを蹴ることは間違ってない。

ただ、そろロングボールが馬鹿正直すぎる。今回の試合で言えば意図のあるロングボールは基本的に田代の頭狙い。さすがにそれをずっと繰り返してれば相手も慣れてくる。結果としてプレッシャーとしての意味が薄くなり、相手としては蹴ってくれてラッキーになってしまう。

だから、ウラのスペースを狙って、そこに2列目を走りこませるとか、中国がやったアプローチみたいに斜めの質のロングボールを逆サイドウラに蹴りこむとかっていう工夫が必要だと思う。そういう本当の意味でのプレッシャーをしてこそ、相手のラインを効果的に下げることが可能になるように感じた。

それでも縦を狙えるときに狙う岡田色の復活は好感を覚えた。接近→展開→連続なんかよりもよっぽど縦への意識の高さの方が岡田監督のやり方な気がする。加えて、そうやって保持する時間が少ないこと+守備の積極性にも関わらず運動量がガクっと落ちなかったのもよかった点だったと思う。全体としてコンディションが上がってきてることを感じさせた。
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2008-02-18 Mon 23:18
マンC×アーセナル
<アーセナル:4-4-2>
FW:エドゥアルド-アデバヨール
MF:ディアビ-フラミニ-セスク-フレブ
DF:クリシー-センデロス-ギャラス-サーニャ
GK:レーマン

まずは全ての前提となるマンCの守備のやり方から見て行きたい。アーセナルのパス回しをどのように防ぐかってのは1つのポイントになると思うから。例えば見た文字通りにアーセナルを抑えきったバーミンガムは引いてバイタルをつぶす形。前回見たフルハムは前線から積極的に行く形で、それが機能してる時間は自分たちのペースになった。マンCはどういうやり方を取ってくるかってのは1つの注目点だった。

そのマンCの守備のポイントは非常に簡単。まずは4-5-1で中盤を厚くする(基本は4-2-3-1だけど4-1-4-1とか中盤が5枚横並びに見えることも)し、さらに最終ラインを高めに設定することでコンパクトなブロックを作りスペースをつぶす。その中でトップは守備を免除され実質的な守備は中盤がスタートする。ただし自分たちから行動を起こす意図は薄い。でも、アーセナルのCMFにだけはしっかりとチェックに行こうとする意図は強かった。

マンCの守備はこれだけだった。簡単にまとめてしまえば、基本は自陣で受ける形。その自陣では数的な部分とコンパクトなブロックによって近さを生み出しスペースをつぶすことを意図する。これによって相手の中盤とその場所でのパス回しを機能させないっていうことを意図する形だったように思う。

ただ、ここで大きな問題があった。守備のポイントがこれだけだったってこと。普通はこういうやり方をベースとして、何かの守備の形を生み出すっていう感じなんだけど、この試合のマンCの守備のポイントは本当にこれだけだった。そういうわけで、形的にはやりたいことははっきりしてるけど、内容を見ると守備のあいまい性が目立つような試合になったと思う。

要するにどこで何をすべきかがはっきりしなかった。チーム全体としての形は安定してるんだけど、局面局面を見るとどうしてもあいまい。形によるスペースつぶしを過信してると言うか。確かにマンCの守備のやり方は人を見るよりも場所を見る意識の方が強いように見えたから、そういう点は仕方のない部分なのかもしれないけど。

こういうあいまいな守備の中で最も致命的になったのがアーセナルは意図も簡単に縦パスに対する対応。縦パスが入ったときに誰も寄せようとしない。入り際を狙うなんてのは全くありえなかった。1つ遅れての中途半端な寄せが多くなったと思う。

コンパクト4-5-1でスペースをつぶしていても、人に当たる意識が低いからどうしようもなかった。せっかく近さを作ってるんだから、トップで全く制限がかかってないとは言ってもすぐに距離を詰めるのは可能だったと思う。そして、そういう最初の守備が効けば周囲の近さを生かした囲い込みにつなげられる。そうやって相手の起点をつぶしていけばいい。

そうしてこそ、コンパクトブロックと中盤の枚数が実効的に生きてくるはずだった。だけど、どこで何をすべきかがはっきりしないマンCの守備。せっかくいい形のブロックを作っても最初の守備のスイッチが入らないから宝の持ち腐れ状態に陥ってたと思う。ほとんど中盤の厚みを生かせてなかった。

今までも何度も書いてきたように、この縦パスはアーセナルの攻撃のスイッチとして機能する。そして、このスイッチを抑えなければ実質的にアーセナルの攻撃を抑えるのは不可能だって断言してもいいぐらい。縦パスが1つ収まってしまえば、後は殺人的にパスをつなぎまくるアーセナル劇場の開演。最初の縦パスを抑えるのも無理なのに、その後の少ないタッチでのパス回しを止めるなんてのは現実的ではない。

だから、アーセナルと戦うチームはスイッチとなる縦パスを抑えることを考える。上に挙げた例で言えば、フルハムは前線からの積極的な守備で縦パスの出しどころをつぶしにかかった。対してバーミンガムは受け手への対応。スペースをつぶした上で入りどころを狙うことで縦パスを機能させなかった。結果としてフルハム船でのアーセナルは左右の展開、バーミンガム戦では単純なロングボールを使わざるを得ない状況になってる。

この試合のマンCを見る限りフルハム方式は現実的ではなかった。トップのストゥーリッジは完全に守備の役割を免除されてる。その後ろはCMFに対して以外は全くプレッシャーに行く気配すらなく自陣に入り込む。アーセナルの最終ラインは何のプレッシャーもなくボールを回せてる状態で、この中で相手の出し手を抑えるなんてのは夢のまた夢だった。

それはそれでいい。後ろにはコンパクトなブロックが控えてるんだから、そこでバーミンガム式の守備をすればよかった。スペースをつぶした上で、縦パスが入ってきたところで一気に距離を詰めて仕事をさせないような対応。ただし、この最初の距離を詰めるところ自体が機能してなかったってのは上にも書いたとおり。

そういう縦パスへの意識の低さはかなり深刻だったと思う。何しろアデバヨールが何の弊害もなく起点になれてた。普段は真ん中の最短距離を崩すのが難しくてサイドでパスを回そうとすることが多くなるアーセナルだけど、今回は簡単に真ん中に起点を作れた。しかも、案外深い位置で起点になれるシーンも多くなったと思う。

ここで何度か書いてきたように縦パスが1つ収まるごとに前線に1人入るようなイメージのアーセナル。縦パスが入ったところで、周囲がそれに反応していくつも選択肢を創出する。そうやって選択肢を創出した選手が出て行ったスペースを次が埋める。ボールが動けば、またその繰り返し。

この中で本当にアーセナルがやりたいサッカーが久々にスムーズにできるっていう展開が生まれたと思う。人もボールも動くサッカーが体現された。ボールと人を動かしながら少ないタッチでギャップギャップをつないでいく。縦パスっていう一番の狙いどころでもプレッシャーに行けないマンCが、このパス回しの中で狙いどころを見つけられるはずもなく。結果としてズルズルと下げられてるっていう状況が生まれた。

流動性の中で前線の厚みを増していくってのが一番実感できたのがセスクがボールに触れる場所。ここ最近の試合では本来的なCMFの位置でボールをさばくことが多かったセスクが、今回の試合ではかなり高い位置まで入り込んでた。そういう高い場所で相手の不意を突くような、準備ができる前に仕掛けるような、タイミングをズラすパスを出しまくってたと思う。

とにかく、以上のような事情もあって今回の試合は立ち上がりからアーセナル劇場の幕開けだった。15分の時点でポゼッション率が80%近くまで高まるっていうのが端的に表してる。ただし、いつものように時間とともに後半に向けて失速するアーセナルだから最終的には50/50にまでなったけど。これは運動量ベースのサッカーだけにある意味では仕方がない部分。

そういうわけである程度はアーセナルがやりたいことをできたこの試合。ここで見たかったのはアーセナルのやり方の変化だった。前に見たフルハム戦でベンゲル自身も言うようにイメチェンが見られ始めたアーセナル。それが今回の試合ではどうなってるかってのが注目点だった。

そのアーセナルのイメチェンをちょっとおさらいすると、今までのように近いところ近いところばかりではなく、遠いところが見えるようになったってのが一番分かりやすいと思う。その中でサイドを思い切って変えるようなボールも多くなった。そうやってサイドを使う意図が強くなったから、両SMFはSMF的に振舞う。結果としてアーセナル的なバランスの悪さ(人が近い、近すぎる)が解消されると同時に個々の距離感が広がる。結果、パスの距離が長くなったし、1人1人のタッチ数も多くなった。

今回のマンC戦ではこのイメチェンがいい具合にアーセナル的になってたと思う。フルハム戦のやり方はアーセナル的でなかったといえばアーセナル的ではなかったから。そのフルハム戦の内容から、ちょっとしたファクターだけを切り取ってアーセナル色に内包したイメージ。

そのちょっとしたファクターってのは横の幅の使い方。フルハム戦ではまず横への大きな展開で相手の前線からの守備を否して行った。右サイドの低い位置で作って相手のブロックを寄せておいての逆サイドのロシツキーへの一発のパスがかなり効果的に機能したと思う。

今回の試合では組み立て段階でのそういう横へのアプローチは見られなかった。苦労せずに縦パスを入れられたから当然と言えば当然だけど。ただ、フルハム戦の横のアプローチには続きがある。それは、相手の高い位置での守備を否して、完全に押し込んでしまった後のやり方。そして、今回取り入れられたのはそういう部分のやり方だった。

相手を押し込んだ後に無理をして強引に攻めきるのではなく、詰まったら逆サイドに展開するっていうやり方。相手のブロック前を横切る形とか1度下げて逆サイドに振って作り直したりとか。ここで重要なのは、フルハム戦での組み立てのアプローチとは違って1発で大きくサイドを変えるようなやり方ではないってこと。あくまでもショートパスをつなぐ流れのままに逆サイドまで移行していくやり方が見られる。

この辺は明らかにちょっと前のアーセナルとは違った部分じゃないかと思う。ちょっと前のアーセナルは1つのサイドを攻め始めたらそのサイドを攻めきる意識が強かった。もちろん相手は密集する。それでも近い関係のトライアングルを作りながらなんとか抜け出すシーンも作り出せた。この何が何でも最短距離のやり方がアーセナルらしいと言えばアーセナルらしかったと思う。

ただ、相手の密集地帯を通るのは最短距離であるのと同時に確率は低い。同サイドに相手を集めてしまうわけだし、相手のブロックを思い切り揺さぶることもできない。そういう考えたときに、DFライン前を横切るようなサイドチェンジが効果的に機能する。相手のブロックが左右にずらされるわけだし。1度下げての作り直しも同じこと。特に今回のマンCは最終ラインを高めに設定する意識が強かった。ちょっと下げることで相手のべた引きブロックを引っ張り出す効果も期待できたと思う。

こういう部分から考えてもアーセナルのやり方に柔軟性が生まれ始めてる気がする。こういう両サイドの展開に限らず、今までは何が何でも蹴ろうとしなかったロングボールも機を見て入れるし。狭い場所を打開してやるっていう意識がいい意味で薄れてるのは確かだと思う。

そして、その要因の1つがエブエの不在にある気がする。どこからでも点が取れると言える状況のアーセナル。これはボールも人も動く中でグルグルとポジションが入れ替わり、誰もがチャンスメイカーにもゲッターにもなり得るっていうアーセナルの状況を表してる。

ただし厳密な意味ではどこからでもではなかった。エブエがいるときには“右サイドから”っていう限定がついてた。中盤以前では唯一の専業プレイヤーであったエブエ。そのエブエの専業性をあるものとして認識した上で、意図的に右サイドに作ることが多かったと思う。

エブエ&サーニャにアデバヨール、フレブあたりも右に流れて組み立てに参加し、空いた真ん中に1つ下のセスクとフラミニ、さらに逆サイドのロシツキーが入るってのが1つのパターン。ただし、右サイドに重点を置きながらも、その右サイドの組み立てではグルグルとポジションチェンジが行われてた。だから、どこからでも得点が取れるっていう形になったと思う。

こういう状況の中ではサイドを変えるっていうような選択肢は生まれ得ない。なぜならほとんどの選手が右サイド~真ん中に入り込んでるわけだから。大きくサイドを変えようとしても変えられない状況だった。結果として、右の狭い場所で近い関係に動きを織り交ぜながら最短距離を突破していくっていうやり方を取らざるを得なかった気がする。

ただし、このエブエがアフリカネイションズカップで抜けたのは結構前の話。確かにこれによって右サイドに超密集地帯ができるような状況は見られなくなった。でも、それまでのようにスムーズにパスが回らなくなったのも事実だったと思う。その中では左右の展開どころの話ではなかったと思う。

その要因はエブエが抜けたことでスタメンに入ったエドゥアルド(エブエのところにフレブ、フレブのところにエドゥアルド)が原因。エブエが抜けたことで中盤に専業型がいなくなったアーセナルだったけど、次はエドゥアルドがFW専業になった。そして、こちらの問題の方が深刻だったと思う。

なぜならばアーセナルの攻撃のスイッチはやっぱり縦パスだから。アーセナルらしい人もボールも動くやり方もボールが入らなければ始まらない。上にも書いたように、ボールが入ったところに対して選択肢を増やすように人が動き(その人が抜けたところを次が埋め)、ボールを次に動かして人も動き直すっていう繰り返しだから。

そういうわけでFWがFW専業だと痛い。アデバヨールは場合によってはCMFの高さまで降りてくるシーンが見られるように中盤に降りてきて縦パスを受ける意識が強い。アーセナルの縦パスはあくまでもスイッチであるから、深さはあまり関係ないから。そういう意味ではサイドでもいいんだけど。

とにかく専業エドゥアルドはそういう縦パスを受ける仕事をあまりしなかった。ゴール前では目立つけど、それ以外のところでは消えていた。そういうわけで組み立てにおけるアデバヨールの負担が一気に増大。それまでは相棒のフレブがかなり組み立てにも参加してたことを考えると、一気に2倍の負担が生まれたといってもよかったと思う。これはアデバヨールがいなかったエバートン戦(ベントナー&エドゥアルド)は酷い内容になったことからも分かる部分。

そういうわけで相手としてもアデバヨールに重点を置いて見てればよかった。エドゥアルドは確かにゴール前では怖い選手だったけど、そもそもの組み立てを許さなければゴール前までボールが供給されない。そして、組み立てに寄与するのはアデバヨール。エドゥアルドは当面の問題ではなかった。

例えば上でも取り上げたバーミンガム戦。相手がバイタルをつぶして縦パスを狙ってきたのは書いたとおり。ただ、その縦パス狙いは=アデバヨールだけを見ることを意味した。だからこそ、前線で特別な制限をかけなかったけど、ことごとく縦パスを狙うことができた。

そういうわけでエブエが抜けた後のアーセナルは組み立てがうまく機能しなかったから左右の展開も何もなかったってのが本当のところだった。それがここに来てエドゥアルドが急に覚醒を始める。組み立てにも積極的に絡もうっていう姿勢を見せはじめた。もともと縦パスの意識が薄かったフルハム戦でもそういう姿勢が見て取れたと思う。

そして、今回のマンC戦。組み立てにおいてエドゥアルドが絡むシーンが圧倒的に増えた。引いてきて受けるシーンが増えたし、サイドに流れてパス回しに参加する動きも多くなったと思う。難しいアーセナルのやり方に、ここに来てやっとフィットしたってことなんだと思う。

これで全ての要素が出揃った。今や中盤以前に専業プレイヤーはいなくなり、よって選手配置のバランスが圧倒的に崩れるっていうことがなくなる。結果として横の幅が使えるようになった。さらに覚醒したエドゥアルド。そして今回の試合に限っては縦パスが入り放題の状況。ここに来てついに文字通りどこからでも点が取れる下地が生まれたと思う。

で、その結果。ここまでにも書いてきたとおりピッチ全体をバランスよく使った組み立てが見られるようになった。ショートパスをベースとしながらも相手ブロックに前後左右の揺さぶりをかけられるようになったと思う。その中で人もボールも動くよさは失われず、次々に選択肢を創出しながらパスをつないで行った。

でも、超密集地帯を超近い関係でのショートパスの組み合わせで崩すシーンは見られなくなった。ピッチ全体の選手配置のバランスがよくなったから当たり前と言えば当たり前。ただ、個人的には超密集地帯を意地になって崩そうとするアーセナルのやり方も好きなんだけど。

でも、一般的に考えたら今回のアーセナルの方がいいと思う。確かに超密集ではないだけにパスの距離は伸びる。でも、その分選択肢は増える。今までは近い関係のトライアングルの2つの頂点しかなかったと言ってもいい。詰まっちゃってるから。

それが今回みたいな関係になることで、遠近のコースが増えることとなる。結果として間の距離がこれまでより伸びたとしても、少ないタッチでのパス回しに変わりはなかった。前回は保持が長くなったけど、それは相手の守備もあって。今回は今までのような超近い関係はなかったけど、スムーズにいいリズムでパスが回ってた。

さて、そのアーセナルの守備について。基本的な考え方は今までと変わらないけど、その基本的な考え方はマンCの基本的な考え方も大きくは変わらない。でも両者の守備の質には大きな差が生まれる。確かに攻撃力の違いはあるものの、守備のやり方自体の違いがあるのも事実であると思う。

まず両者の共通点。1つは最終ラインを高く保ってコンパクトな状態を維持すること。トップの選手は前に対する守備はあまりしない(アーセナルはそれなりに守備意識はあるけど)。だから、必然的に守備のスタートは中盤が担うこととなる。これはどちらにも言えること。

で、絶対的に違うのは両者の守備の積極性。マンCは引きこもって受ける形。アーセナルは中盤の選手が積極的に敵陣に入っていってプレッシャーをかけていく。この違いが守備の質に直接的に影響を与えたわけではない。ただ、マンCは受ける形を取ったときにやるべきことをやらなかった(上に書いたとおり)。対してアーセナルは積極的に出て行ってやるべきことはやった。

アーセナルの守備はいつもどおりに攻撃からの流れでスタートする。ボールを奪われてもすぐにはブロック形成には行かずに、できるだけ高い位置で守備をしようとする(マンCは奪われたらすぐに帰る)。先制点もそういう攻撃の流れからの守備で高い位置で奪ったところからだった。

相手に保持されたとしてもすぐにはラインを下げない。基本は高い位置を保とうとする。例えば、相手が少しでももたつけばラインを上げる。そして、中盤を前に押し出すこととなる。敵陣の相手ボール保持者に対して2列目の選手が最短距離を切りながらの守備。そして、これに後ろがついてくる。例えばSBが高い位置まで出てきたりってこと。

そして、この最短距離を切るチェックを繰り返しながら相手を遠回りさせ、徐々に狭いほうにお追い込んでいく。最短距離ってのは要するに真ん中を切っていくわけだから、必然的にサイドで追い込むことが多くなるわけだけど。

このときに中盤が前に向かって守備ができるようにするのがフラミニの役割。バランサーとして1つ下にしっかりと入ることで、守備に安定感を与えてる。これは前にも書いたとおり。だから、守備の形は色々に見える。フラットな4-4-2がベースだけど4-1-3-2に見えることが多いし、エドゥアルドが1つ下がって4-1-4-1に見えることも。

その中で一貫してるのはとにかく高い位置で奪いたいってこと。上にも書いたように、ちょっとでも相手がもたつけば最終ラインが押し上げるってとこにもその意識が見て取れると思う。

ただ、その最終ラインの高さに根拠が弱い。前線でロングボールを防ぐような守備をしないから。失点シーンにもつながったように、単純にDFラインウラに蹴られてDFが味方ゴールに向かいながら守備をするシーンが多くなる。最初はつなごうとしていたマンCがウラへ蹴るボールを増やし始めた前半の後半からは、それまでの時間のように圧倒的に試合を支配できなかったのも事実。

で、後半はいつものアーセナルの疲れが生まれる。運動量ベースの前半を経て、後半の内容が悪くなるのがいつものアーセナル。それに対して、フルハム戦と今回のマンC戦ではちょっとした変更を加えて工夫をしてきたように思う。

それはエドゥアルドを左サイドに出すってこと。今回の試合ではディアビが中に押し込まれ、セスクが1つ前に押し出された。結果としてアデバヨールの1トップの意味合いが強くなった。そして、そのアデバヨール頼みの意識も強まったと思う。

問題はエドゥアルドの意味。1つは守備の安定にあるのは確かだと思う。単純に中盤の枚数が1枚増えることで、攻撃での距離感が空いてしまっても守備ではそれを許さないって言うこと。セスクを1枚押し出したから本当のところは分からないけど。

だから実は攻撃の意味も大きいかもしれない。つまりエドゥアルドの突破力に期待するってこと。チームとしてボールを運ぶのが難しい状況でドリブルで運んでくれる選手がいると楽。今回の試合でそういうシーンが少なかったのは確かだけど、それは前半と同様1トップになってもアデバヨールに簡単にボールが収まったからだった気がする。

というわけでこの試合ではアーセナルの完成形が見られたのかもしれない。本当にこれが完成形かどうかは、エブエが帰ってきてスタメンに復帰するかどうかで分かる。上にも書いたように、専業エブエを入れることで右サイドに超密集地帯を作って、そこを打開するやり方も見ている方としては面白い。

とりあえず、変わらなかったのは縦へのスピードだった。2点目と3点目は完全なカウンター。2点目はレーマンからの蹴りだし(パスかどうかも分からないような)に対してハーフェイライン付近でアデバヨールとエドゥアルドが反応したところから。最終的にはクロスを上げたクリシーに加えて、中にはアデバヨール+エドゥアルド+ディアビ+セスクの4枚が入ってきた。驚異的な押し上げ。3点目も時間を考えれば、素晴らしい押し上げだったと思う。
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2008-02-17 Sun 23:49
東アジア選手権:日本×北朝鮮
<日本代表:4-4-2>
FW:播戸-田代
MF:山岸-羽生-遠藤、鈴木
DF:加地-水本-中澤-内田
GK:川島

前半の45分は完全に無駄にしてしまったと言っても過言ではない。前半の内に何かを生み出せなかったことはもちろん、後半に向けた布石も打てなかった。後半は後半で最初からやったイメージ。はっきり言って前半は何もできなかったし、何もしなかったって言ってもよかった気がする。加えて失点も喫する最悪の状況だったと言っても過言ではない。

その要因の1つは北朝鮮の内容がよかったってこと。もう1つは日本の内容がよくなかったってこと。当たり前と言えば当たり前のこの2つの要因によって日本は何もすることができなかった。とりあえず、まずは北朝鮮のやり方から見て行きたい。

北朝鮮の考え方は守備的なヒディンク的やり方ってのが一番端的に表せる内容だと思う。もしかしたら、韓国からの輸入か?とりあえずそもそものヒディンク的やり方ってのを↓の図で簡単に表してみる。

<攻撃時:3-4-3>   
  ○  ●  ○

★  ●  ●   ★
 
  ●  ●  ●

<守備時:5-4-1>  
     ●
        
○  ●  ●  ○

★ ● ● ● ★

攻撃時は3-4-3だから超攻撃的な形に見える(攻撃時の中盤はダイヤの場合も)。対して守備時にはその攻撃時の両翼が1つずつ下のポジションに入ることによって4-5-1の超守備的な形に見える。要するに攻撃にも守備にも効果的に人数をかけられるやり方。その代わりに両サイドの運動量はかなり求められるけど。

北朝鮮はこの形の内で守備的な5-4-1の方をベースとして戦ったと思う。まずは守備に絶対的な重点を置き、その守備からの攻撃を念頭に置いてた。ただ、後で詳しく書くように最初から5-4ブロックのべた引きブロックの形にしなかったことが日本を苦しめたと思う。

攻撃時には○が3トップの一角として機能することで前線の起点を作り出す。後で書くように日本の守備の機能性が低かったこともあって、この3枚が効果的に起点になれてたと思う。そこに中盤の真ん中の2枚が押し上げてくるような形が多かった。ここぞっていうときにはWB(SB)が飛び出して3-4-3になる場面も見られたけど、そもそもの攻撃のチャンスが少なかったから何度も見られたわけではなかった。

なぜ攻撃のチャンスが少なかったかって言えば、上にも書いたように単純に守備に重点が置かれてたから。しかも、早い時間の理想的な得点によって、その意識が高くなったってこともあったと思う。ただし、最初からべた引きを念頭に置いてなかったってのは上にも書いたとおりだった。

じゃあ、どういう守備をしたのかって話。それは中盤の意識を前に向けるって形だったと思う。4-5のコンパクトなブロックを形成のために中盤を下げるんじゃなくて、4-5の間はある程度空いてもいいから、中盤を前に押し出した。ただ、だからと言って前線から追いかけまくる形ではなかった。

要するに中盤の4枚が高い位置に置かれたフィルターの役割をまずは担うこととなってたと思う。それでも前線から積極的にやる形ではないから、その場所で効果的に引っ掛けられるからは相手次第。その相手次第の状況の中で簡単に入り込まれてしまったら、今度こそべた引きに移行する形だった。そういう割りきりがあった気がする。

ただ、前半の北朝鮮はべた引きに移行する必要があまりなかったと思う。高い位置の中盤ができすぎなぐらいにうまくフィルターとして機能できてた。日本は出しどころが見つけられずに無為にパス回しをするばかりだったのが、この北朝鮮のフィルターの機能性をよく表してたと思う。

このフィルターが機能した一番の要因は上に書いた図で言えば○に当たる両サイドの2枚。この○の選手は日本のSBとマッチアップする形となる。最初からべた引きにならず、中盤を高い位置に置いたことで○の選手が日本のSBとうまく合致関係を作ることができてた。守備のブロック作りの最初は3トップにも見えるような北朝鮮の形だった。

結果として日本はSBに起点を作るのが難しくなったと思う。立ち上がりは北朝鮮の左○の11番が内田への対応をおろそかにしたことで日本もサイドに起点を作ることができた。内田がドリブルで持ち上がって敵陣深くまで入り込めるシーンが目立ったと思う。でも、北朝鮮がそれをしっかりと修正してからは両SBは攻撃で完全にその機能を失った。

これが日本にとっては相当の痛手になることは今までの日本のやり方を考えれば分かると思う。初戦のチリ戦こそトップへの縦パスをとにかく狙う形の中でSBの役割はそれほど大きくなかったものの、それ以外の2試合、もっと言えばオシムのときから組み立てにおけるSBの役割はかなり大きい。

岡田ジャパンでは左SB(駒野)を軸としながらサイドで接近を作り、逆サイドに残った右SB(内田)を利用して展開を生み出すのが1つの形になってたわけだし。接近→展開のやり方は両SBが軸となって生み出してたとも言える。今回はSBが使えない、ついでに言えば中心になる中村もいないってことで接近→展開どころではない状況に陥ったと思う。

とにかくSBが使えない日本はサイドに起点を作るっていう可能性を消されてしまった。確かに、SBを使えなくても、サイドに起点を作れないではない。例えばFWがサイドのスペースに流れて受けるみたいな形。SBより1つ前のところでサイドに起点を作る考え方はありうる。

でも、今回の試合ではそれも不可能だった。なぜならば相手は5バック。3バック+WBの実質的5バックなら付け入る隙もあったかもしれないけど、今回の北朝鮮は本当に5バックだった。そうなれば十分すぎるほどに横幅のケアはできあがってる。田代と播戸っていう比較的動き回る2トップにも関わらず、動き回るスペースがなければボールを受けることもできなかった。

ちょっと話は飛ぶけど、後半はこの状況に対するアプローチが行われたと思う。それは山岸→安田の交代。安田は左サイドに入る。後で書くように2+1に後ろを任せた加地は積極的に攻撃に参加する。これによって少なくとも左サイドでは2×2の数的同数ができあがった。

この状況下で得点シーンみたいに(これはセットプレーからの流れだったけど)安田が仕掛けて相手を外せは、そのカバーはいない。さらにこの2×2の状況で相手のWB(SB)を引っ張り出し、5バックの秩序を乱したところで田代がそのサイドのスペースに流れるシーンも見られ始めた。前半にはありえなかったシーンだったと思う。

とはいえ、これはあくまでも後半のアプローチ。前半の時点でSBに加えてその1つ前までをつぶされた日本にサイド攻撃の選択肢はなくなっていた。そういうわけで、残された選択肢はただ1つ。馬鹿正直に真ん中を侵攻してく形。ただ、真ん中こそ相手はしっかりと押さえてるわけで、そんなもんがうまく行くわけもなかった。

真ん中はフィルターとして中盤の2枚が存在する。そもそも左右の展開が使えない中で、1枚ならまだしも2枚をずらすこと自体が不可能に近かった。さらに、そこから運よく縦パスが入ったとしても、そこからどうすんだって話。5バックの相手は文字通りCB3枚で真ん中を固めてる。入ったとしてもその後の展開は不可能だった。

そういうわけで真ん中の選択肢もつぶされた。と言うか北朝鮮にしてみれば真ん中の選択肢こそつぶしてたのかもしれないけど。とにかくサイドも真ん中もつぶされた日本の選択肢はことごとくつぶされてしまったと言ってもいいと思う。

残るとすればロングボール攻撃ってとこか。田代なら競り勝てた可能性がなくはないけど、次のつながりは期待できなかった。相手のべた引き最終ラインのウラにはスペースもなかったわけだし。本当に人にぴったりと合わせるピンポイントのボールが要求された気がする。そもそも前回の試合でも見られたように、つなぐ意識が高い中ではそういう選択肢はなかったかもしれない。

そういうわけで、日本は手詰まり状態になってしまった。低い位置で無意味なパス回しを続けるシーンが増えた。前半は時間とともに保持率が上がってったけど、典型的に持たされてる状態。その安全なパス回しからちょっと様子見に縦パスを入れたところでことごとく引っ掛けられた。

ちょうど去年のアジア杯の初戦のカタール戦と同じのんびりとした内容になった。低い位置でのゆっくりとしたパス回しが続き、縦パスを入れてさあここからってとこで引っ掛けられる。引っ掛けられるもんだから、その縦パスがどんどんと減って行く。それとともに全体の停滞感が漂ってのんびりサッカーから抜け出せなくなっていく。そういう状態だった。

それだけ北朝鮮のやり方が見事にはまった前半だった。やっと敵陣に入ったと思えばトップまで戻した完全べた引き守備に戻るわけで。それによって一縷の望みもつぶされてしまった印象。ただし、最初にも書いたとおり、全てが北朝鮮のやり方が生み出したものではなかったのも確かだった気がする。

試合開始当初の日本は落ち着いていた。その時点で北朝鮮の守備は完璧。ただ、高い位置から特別強いプレッシャーがこなかったのも事実。だったら無理をして敵が待ち構えるところに引っかかりに行くのも馬鹿らしい。よって自陣でのゆっくりとしたパス回しが続いた。

これ自体は悪くない。タイ戦ではそういう低い位置での保持時間が短かったのにっていう違和感はあったものの、試合の入りの時間の考え方として、まずはボールをしっかりと保持して流れをつかむっていうのはいいものだったと思う。ただし、これが攻撃における限りは。

今回の日本の大きな問題点は落ち着いた入りが攻撃だけではなく守備にも波及してしまったこと。攻撃ではゆっくりと保持しながらっていうのんびりなやり方もある程度は許されるだろうけど、守備でそれをやるのはあまりにも危険すぎる。それは、実際に失点にもつながってる通り。

試合の入りの時点で日本は守備ものんびりとしてた。タイ戦では高い位置での切り替えの速さから一気に距離を詰めるやり方ができてたのに、今回の試合の前半はそのよさが完全に消えてしまった。攻める時間が長かったことを考えると切り替えの守備のまずさは痛かったし、全体として切り替えの流れに限らず全ての場所で中途半端な守備が見られたと思う。ちなみに、こののんびり感から前半は抜け出せなかった。

まず、ボールに対する最初のプレッシャーが甘い。いるだけ守備が目立って、相手にとっては実質的にプレッシャーにはなってなかったと思う。よって、局面でボールを奪えないのはもちろんのこと、次に対する制限としても全く機能してなかった。いるだけ守備の連続の中で北朝鮮にいい形での展開を許してしまったと思う。

そして、制限がかからないってのは1ボランチの日本にとっては致命的。横幅を1人でケアしなければならない鈴木の前段階での助けがなければ、文字通りに横幅を1人でケアしなければならない。そして、相手の攻撃の起点になれる選手は前線に3人いた。それを本当の意味で1人でケアするのは不可能だって言える。

結果として北朝鮮の前線の選手にはボールが収まり放題。しかも、その場所でも守備は中途半端。縦パスが入ったところに厳しく行くやり方が見えずに、相手に十分に時間を作らせてしまう。そうなれば北朝鮮の後ろの選手の飛び出しが活性化するのは当たり前のことだったし、そういう意味では起点となった選手に十分に仕事をさせてしまったと思う。

前線に収める→その選手が保持して時間を作る→後ろが飛び出す→あっさり展開っていう流れを意図も簡単に作られてしまった。そして、その流れの中でどこでも守備の勝負どころを作れなかった。どの場所でも強度の強い守備ができなかったから、守備のスタートが生まれなかった。その流れの中で勝負に行けない守備ブロックがズルズルと押し下げられるシーンが目立った。失点シーンも圧倒的に数的優位の状況で決められている。守備の勝負ができなかったから。

こういう状況だから深い場所まで入り込まれることも多かった。そして、それは切り替えで相手の守備の組織を作る時間を与えることとなった。前半の時点では難攻不落の北朝鮮の守備ブロック。守備にものんびりとした流れが波及した結果、そのブロックができあがる前に攻撃に移るっていう選択肢さえも葬り去られることとなった。

ちなみに前半の途中から日本に危険な状況が生まれなかったのは(後半に繰り返されたカウンターは除いて)、守備に修正を加えたからだったと思う。途中からシンプルな4-4の守備ブロックが見られるようになってた。真ん中を遠藤&鈴木のWボランチにして、両サイドに羽生と山岸が入るフラットな形で。これによって1ボランチの不安定性がなくなってたと思う。

こういう守備面の問題に加えて、攻撃においても日本には問題が感じられた。そもそものところはここまで書いてきたような北朝鮮の守備のよさにあるんだけど、日本が自らその泥沼にはまっていった側面も大きかったように感じる。

一番の問題は攻撃における前後の間延びにあったと思う。立ち上がりから縦パスが入れられなかった、入れようとしてもことごとく引っ掛けられたのは、この前後の間延びによるところが大きかった。要するに距離が空きすぎることでその途中で引っ掛けられる可能性が高まったってこと。

日本の低い位置でのパス回しは自陣で行われることが多かった。SBが抑えられている以上。出し手となり得るこの低い位置の選手が出し手になるわけだけど、その選手は低い位置にいたってことになる。同時に受け手の方もそれほど活発に動かなかった。だから、出しどころもない。出しどころもないし、距離も長い。仕掛けるパスは本当に針の穴を通すような精度が要求された。

もちろん間延びは出し手だけのせいで起こったわけでもなかったと思う。そもそも北朝鮮の守備ブロックもべた引きの5とフィルターの4の間に間延びが起こってるとも言える状況。だから日本の前線の選手は最終ラインの位置にあわせてゴールの近くにまで行ける状況。北朝鮮の意図的な(?)守備の間延びが日本の前線を前にはがしてしまった気がする。

こういう状況の中で縦パスが入らない。結果としてじれた前線の選手が助けに来るシーンが増え始める。本当はもっと活発に助けに来てもよかったと思うけど。ここで問題だったのは、助けに来るときに思いっきり低い位置まで助けに来ることが多かった。鈴木と横並び関係みたいな形で自陣でボールに触るシーンが目立ったと思う。

遠藤、羽生、山岸が降りてくることでボールに触れる選手は変わった。特に遠藤は途中から低い位置でのタッチがかなり多くなる。でも、実質的に出し手がボールに触る位置は変わらなかった。前線との遠さは変わらない。間延びの状況になんら代わりはない。むしろ、前線から1人が降りてきてるだけに受け手の枚数が減ってしまう結果をもたらした。

そもそも自慢の接近もボールの近くで生み出すものなわけで、ボールが入らない状況では接近を作り出せなかった。その上、ここまで書いてきたような攻撃の間延びがボールが入ったところにすぐに接近を作り出せないっていう弊害を生み出した。個々の孤立が目立ってた気がする。

そういう個に対しては北朝鮮も十分に対応できた。それがたとえ5-4の間のスペースの場所でも。トップの選手に対してはセオリー通りの2×3ができてるんだから何の問題もなく対応。中盤の選手は北朝鮮の中盤の真ん中の2がしっかりと対応してた。この辺は人よりの守備をすることで場所が空いているっていうことをケアしてたと思う。

こんな感じで日本は何もできずに前半が終る。途中からは保持率は上げることができたけど、何もできないのには代わりがない。後半に向けても、それほど劇的な変化が見られるとは思えない内容だったのも事実だったように思う。

その日本の後半のアプローチは前半に見られた攻撃における前後の間延びの解消。これに尽きると思う。前後の間延びの解消によって縦パスが収まるようになり、さらに選手間の距離が縮まってパス回しのスピードが上がる。この辺の修正はうまく行ってたように感じる。

この考え方は後半の最初の内田が右サイドをえぐったシーンからも見られたこと。鈴木がドリブルで敵陣に持ち上がったことが起点になってた。このシーンに限っては工夫が見られて、鈴木が相手の11番(=内田に対応してた選手)に向かってドリブルをしたことで、内田のケアがおろそかになったところからだった。その工夫はいいとしても、後半は鈴木が敵陣でボールを持つシーンが圧倒的に多くなったのが象徴的だった。

そもそも後半は2+1の守備が本格的に採用されたと言っていい。と言うか攻撃時は普通に鈴木を最終ラインに加えた3バックになってた。そして、この最終ラインが敵陣に入るぐらいまで押し上げることで前後のコンパクトさを生んだと思う。しかもSBを上げたことによって受け手の数も増えることとなった。

出し手が押し上げたのと同様に、受け手の方も動きを活性化させた。前半は羽生、遠藤辺りが積極的にボールを受けに行くシーンが増えたと思う。しかも前半のように、それによって出し手には変貌せず、あくまでも受け手として。経由点として縦パスを受けるシーンが多くなった。

というか、後半は羽生と遠藤が交互にボランチを担当するようなイメージにも見えた。鈴木を最終ラインに戻して、その1つ前の2人が交互に入ってくるような形。特に遠藤がこの場所に入ったときにはさすがにボールの散らしがうまく機能するようになってた。

とにかく、このアプローチの効果は絶大だった。出し手を押し上げることで前線との距離を縮める。受け手は数が増えたことに加えて、その出入りも激しくなった。後半には播戸が降りてきてボールに触るシーンも増えたと思う。その役割に適任な前田への交代もいいものだった。

そして、自陣にちょっとでも仕掛けられればべた引きになる北朝鮮。前線からの守備っていう根拠がない以上、中盤のフィルターを高い位置に保っておくのは難しかった。日本の受け手の出入りの激しさ、数の多さに対して制限なしでの引っ掛けは難しいわけだから。しかも、全体がコンパクトになり選手間の距離が短くなった日本はいいリズムでパスを回せるようになって、北朝鮮に狙いどころを定めさせなかったし。

というわけで明らかに内容が好転した日本。タイ戦でもそうだったけど、後半に向けての週勢力が高いチームになってると思う。ただし、ここで忘れてはいけない大きな問題がある。内容が好転したのは確かだけど、北朝鮮の守備を実質的に崩したわけでは決してないってこと。日本はあくまでも敵陣に入れるようになっただけだった。そして、その後には北朝鮮のべた引きラストブロックが待ってた。

要するに後半になってやっといつもの状況になったって言える。引いた相手をどう崩すか?っていうテーマへ問題が移ったってこと。これは本来は(アジアの隠したに対しては)90分かけて解決に導く問題。それが前半に有効な手立てを打てなかったことで、後半45分の問題になった。早い話が絶望的だったって言える。

これに対する安田&加地の併用は面白いアプローチだった。ガンバの両サイドが縦関係っていう意味でも。この実効性は上でもちょっと触れたとおり。これによって左サイドの崩しは明らかに活性化した。ただ、やっぱりラストの崩しの問題は解決されない。相手は1点リードしてるわけで(1点を失っても引き分けで十分)、本当にべた引きできた。結果として1点を奪って引き分けの持ち込んだものの、このシーン以外にはチャンスは作れてない。やっぱり残ったのは引いた相手をどう崩すか?って問題だった。

その視点で見たときに中村の不在は痛かった。これまでの試合で接近にも展開にも重要な役割を担った中村がいなかった今回の試合では、攻撃のバリエーションが明らかに少なくなってた。それは、引いた相手を崩さなければならないっていう本来的なテーマに立ち向かった後半を見れば明らかだったと思う。それに前半の停滞状況も中村がいればって思う。実際のところはどうなったかは分からないけど、それぐらいここまでの3戦の内容がよかったってこと。

少なくとも今回の試合でリズムを変える選手がいなかったのは確か。中村ならドリブルでの持ち上がり(後半を見るとこれはかなり効果的だった)、長短のパスのバランス、近さの形成によるパス回しのスムーズさを生み出すってことぐらいならできたかなって思う。

おそらく中村の代打であろう山岸が今回の試合ではフィットできてなかっただけになおさら。上にも書いたようにボランチの位置まで降りてきて山岸がタッチするようなシーンは好ましくないに決まってる。スタイルとは違うプレーの繰り返しの中でよさを発揮することができなかった。

組み合わせ的にも羽生、山岸、播戸とスペースがあってこその選手が前線に並んだのは、引いて守る北朝鮮に対しては効果的ではなかった気がする。そして、基本的に遠ざかる動きがスタイルの選手が前線に並んだことが攻撃における前後の間延びを助長させた。

そもそも今回のメンバー発表の時点では面白い試みとも思ったこの組み合わせ。左の山岸、右の遠藤の配置で左右のバランス崩しを行うと思ってたから。結果として組み立ては左に偏る。それでいいと思う。内田の前にスペースを空けてやり、左においた逆足の加地が展開力を生かす。

左利き左SBがいない中でこの左右のバランス崩しを、今後の形の1つにしてもいいとさえ思う。そうなると山岸を使っても本来の左WG的な動きをすればいい。結果として、北朝鮮の守備のよさもあってそれはつぶされたわけだけど。思ったとおりにできてたら、どういうやり方をとったのかは気になるところ。

最後に岡田色の側面からまとめとく。
①トップへ当てる意図は?→当てられなかった
②縦への意識は?→カウンターを見ても、今までよりは弱まった。
③低い位置での保持時間は?→長かった(長くなってしまった)。
④守備の開始位置は
→守備の時間がほとんどなかったから分からず。でも、切り替えはまずかった(後半はそれなりに回復)。前半の守備の強度の弱さを見ると、やろうとしても前線からの守備は無理だったかも。

対する北朝鮮は強かった。というか、うまかった。考え方が興味深かったし、それがうまく機能したことによって、見事に日本はそのどつぼにはまったと思う。運動量には自信がある(だろう)チームだろうし、5-4-1と3-4-3をうまく併用できるようになったら強くなりそう。ラストブロックの堅さ、攻撃における鄭の収まりもいいだけに。


■北朝鮮戦 リンク集
【溜息】拙速な岡田色への塗替えでオシムの遺産は霧散した・・・VS北朝鮮戦<08.02.17>(lifeisfootball)
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2008-02-13 Wed 22:40
レディング×マンU
<マンU:4-4-2>
FW:テベス-ルーニー
MF:パク・チソン-キャリック-ハーグリーブス-Cロナウド
DF:エブラ-ビディッチ-ファーディナンド-ブラウン
GK:ファン・デル・サール

立ち上がりはマンUは例によって相手にペースを握られた。マンUはスロースタート気味というか、立ち上がりは様子見で入ることが多い。相手の立ち上がりの勢いに任せて逆らわないイメージ。それで相手がその立ち上がりの勢いを弱めた時間帯からやっとマンUがやる気を出すって感じ。

具体的には前線がポジションを動かし始めること。前線の4枚がグルグルとポジションを変えて相手に捕まらない状況を作り出す。テベス&ルーニーは場合によってはCMFぐらいの位置まで下がってきたりして。その中でうまく縦パスをいれながら、関係性を築き、個を生かし攻撃を組み立ててく。そういうわけで10分前後の流動性の開始がマンUの攻撃のスイッチになると思う。

今回の試合もそういうイメージで見てた。立ち上がりのレディングは前線からプレッシャーに来てたし、攻撃にも人数をかけてた。その中で深い位置までレディングが攻め込むシーンも多くなったと思う。ただ、それも10分ぐらいまでだろうって考えてた。

それが今回の試合に限っては、その流れが長く続いた。基本的に前半はいつまで経ってもマンUのペースにはならなかったと思う。確かに決定的なチャンスを多く作ってたのはマンUだったけど、思惑通りに進めてたのはむしろレディングだったかもしれない。レディングは相手に主導権を握らせずに自分たちも深い位置まで攻め込むことができてた。

こういう流れの要因になったのはマンUのボールポゼッションの意図の薄さ。少なくとも前半の長い時間ではそういう部分が見られた。最終ラインでボールを回すようなシーンは少なかったし、ファン・デル・サールのプレーの選択を見てもつなぐパスよりも前線に蹴りだすボールが多くなってた。

ただ、その理由がイマイチよく分からない。レディングが攻撃の厚みによる前線の人数と玉際の意識の高さをベースとして、高い位置の切り替えでいい内容の守備を見せたのは確か。ただ、マンUにとってどうしてもボールをつなげない程に厳しい守備だったかって言われたら微妙だった。

そもそも、こういうレディングの高い位置での守備は組織作りの時間稼ぎの面も大きかった。レディングは高い位置で奪えるならしっかりと狙ってくけど、抜け出されたらすぐにブロックの形成に入ったと思う。そして、そのブロックを作った守備もそれほどマンUのポゼッションを妨げるような内容ではなかった気がする。

レディングのブロックはスタンダードな4-4-2。マンUのCMFにあわせて中盤が3-1みたいな形になることもあったけど、基本はフラットな4-4-2ってことでよかったと思う。ただし、このときにトップの2は基本的には守備に参加しない。特別追いかけようともしないし、下がってきて中盤との関係性を築こうともしなかった。攻撃からの切り替え後の守備はそれなりに頑張ってたけど。

というわけでレディングは実質的には4-4--2。実質的には4-4での守備ってことになる。4-4の間でボールを受けようとするマンUのトップに対してはレディングのCBがしっかりと距離を詰めて仕事をさせないことで、バイタルの秩序を守った。特に他の場面でもがんばったシセは何が何でもマンUのトップにはいい形でボールを収めさせないって姿勢が目立ったと思う。

ただ、FWが手伝ってくれないレディングが高い位置でボールを奪うのは実質的に不可能。マンUがいつものように安定したビルドアップを行えば、ズルズルと下がらざるを得ない状況だった。実際にマンUが保持型に移行した後半は前線の4-2の間に意図も簡単に入り込みながら組み立てをし、守備の勝負に出られないレディングのブロックはエリア前まで押し下げられることとなった。

そういうわけでマンUは保持しようと思えば保持できたはず。相手のトップの2は守備要因として機能しないわけだから、最終ラインからCMFまでは基本的に自由にボールを扱うことができた。実際に後半はそういう点を生かしながら左右の展開を織り交ぜた組み立てが目立った。でも、前半はそういう形がほとんど見られなかったと思う。

その要因の1つは、あまりにも相手が攻撃に積極的になってくれたことにあったと思う。次々に飛び出してくる相手の背後はスペースががら空き。そこには破壊力抜群のルーニー&テベス&Cロナウド。わざわざ保持しないで、単純にそこに預けた方がチャンスになるように思えたんじゃないかって気がする。結果として一気に縦を貫くボール、ドリブルが多くなった。

この辺の相手との駆け引きは興味深い点だった。ある意味ではニワトリと卵の関係みたいな感じ。つまり、どっちが先に仕掛けたかは分からない、でも同じ流れが繰り返されるっていう展開が生まれた。そして、どちらの攻守も相手の守攻のやり方の基に成り立ってる。そういう関係性についてみて生きたい。

どこから始まったかってのは上にも書いたように分からない。とりあえずここではレディングの攻撃の積極性をスタートとして説明して行こうと思う。実際にレディングの攻撃の積極性は試合の立ち上がりから見られた形だったわけだし。

今回の試合ではレディングは攻撃の起点を深い位置に作ることができてた。これは後でマンUのやり方のところで説明するけど、フィルターがかかってない状況だったから。そこにトップのリタのボールを引き出すための動き回りも加わって、前線に起点を作ることが容易になった。まず狙ったのは最短距離の真ん中、無理ならサイド(特に右サイド)って形だった。

とにかく深い位置に起点が作れたレディング。結果として後ろからの飛び出しが活性化する。SB、CMFがかなり高い位置まで入り込むシーンが多かったと思う。そうやって攻撃に厚みを加え、マンUの守備陣をかなり深い位置まで押し込むことに成功した。ただ、最後の最後を崩すところまではいかなかったわけだけど。

そういうわけでレディングが深い位置まで入り込んだとしても、マンUがボールを奪うってシーンが多くなる。ボールを奪ったマンUは相手の切り替えの守備をかいくぐり、前線のスペースを利用するために縦へのシンプルな攻撃を開始する。これは上にも書いたとおり。

この時点でマンUの前線はルーニー&テベスの2枚のみ。相手の積極的な飛び出しに対して、パク・チソンはもちろんCロナウドも深い位置の守備に戻されるシーンが目立ってたから、これは仕方のない部分だった。そして、このときに前線の2人はスペースがあるので後ろを待たずに一気にゴールに向かったのが特徴的。

この時点でマンUのトップははがれた状態。これにパク・チソン&Cロナウドの両翼が一気の飛び出しで絡んでくる。この時点で攻撃の人数は4人。カウンターの形としてはドリブルで前のスペースを埋め、後ろが飛び出してきたら簡単に横にはたくって形が多かった。縦に侵攻すると同時に、相手のブロックに対して横へのアプローチをかけるやり方だったと思う。縦(ドリブル)→横(パス)→縦(ドリブル)…の流れで深い位置まで攻め込んでいった。

そして、基本的には1次攻撃はこのやり方でやってしまう。ルーニー&テベスの2人で一気に行くか、そこにサイドの2枚(またはCロナウドのみ)を絡ませて行くか。相手が前がかってたことにマンUの前線のスピード感も相まって、この形で深い位置まで攻めきることは案外簡単だった。

ただ、攻撃を全てこの前線だけに任せるわけではない。前へ前への勢いがある前線から少し遅れて、後ろも押し上げをしてることが多かった。この選手たちが2次、3次攻撃要因。1次攻撃での攻めで相手に跳ね返された場合、または自らスピードダウンしてつなぐ場合にはこれらの選手たちが絡んできた。

相手もカウンターを食らってるわけだから戻る意識が強い。結果としてバランス云々よりもゴール前に人数が集中することとなった。だから、1個下のところにマンUの使えるスペースは広大にできてた。うまく後発押し上げ組を利用して、高い位置でポゼッションに入るっていうシーンがいくつか見られたと思う。

でも、いつもうまく行くとは限らない。このパターンだと相手の跳ね返しを味方が拾うことまたは味方がスピードダウンして保持に切り替えることが想定されている。つまり、逆に言えば相手に奪われるってことが想定されてない。そして、実際にはこの相手に奪われるってパターンが一番多くなった。前線に人数がそれほどいないんだから仕方のない部分。

そして、このパターンはピンチにつながる。実はマンUの守備のベースになっている切り替え後の守備は機能しない。なぜならば前線に人が足りてないわけだから。そして、問題はそうやって高い位置での守備が機能しないときに後ろの状態がどうなってるかってことだった。

まず、相手のレディングは前線に最低でも2枚は残ってる。上に書いたように守備を免除されてる相手のFWは守備において深い位置まで戻る必要がないわけだから。そして、そのうちの一枚リタはスペースに動き回る厄介な動きを繰り返し、相方のキットソンには絶対的な体格があった。

対するマンUは後発押し上げ組が中途半端に押し上げてる途中。要するに全体的に意識が前に向き、守備のブロックを考えたらバランスが悪い状態。前線での守備が効かないから、そのバランスの悪い状況を立て直すことができないままに相手の逆カウンターを食らうこととなった。

このときに穴になったのがエブラとキャリック。エブラはもともと攻撃への意識が高いわけだから、後発押し上げ組の中でも真っ先に前線に飛び出していく。逆に言えば途中で奪われたときにそのウラに広大なスペースができることとなった。対するキャリックもハーグリーブスとの関係か、今回の試合では攻撃への意識が強かったと思う。

そういうわけで後ろのバランスはめちゃめちゃ。左サイドがぽっかりと空き、CMFの場所にはハーグリーブスが1枚。これがこの流れの最初に書いたフィルターがなくなるってこと。ハーグリーブスはキャリックの穴埋め、相手のボールへのアプローチ、さらには最終ラインのカバー(エブラの穴を埋めるため)っていうように鬼のように仕事が増えた。それをこなすのは事実上不可能。

だから、どこかがおろそかになる。ボールへアプローチをしなければ相手はドリブルで簡単に持ち上がってくる。キャリックの穴埋めを怠ればトップへのフィルターがなくなり、キットソンに収め放題。最終ラインのカバーに入らなければ、左サイドは使われ放題。

結果ハーグリーブスがどれをとったかって言うと、1つめと2つめだったと思う。ボールに行きながらトップへのコースを切るって感じ。それでも真ん中のトップに意図も簡単に入れられるシーンは目立ってたわけだけど。ただ、それ以上に左サイドは基本的に好き放題にやられてた。

レディングも分かってたと思う。マンUの左サイド、つまりレディングの右サイドに起点を作る意図は強かった。リタは左サイドに流れることが多かったし、そこにはもともとの右SMFであるドイルがいる。さらにSBのマーティも攻撃に参加して、そのサイドに数的優位を作ろうとしてた。これはカウンター時に限ったことではなく。エブラを押し込む意図があったかもしれない。

ちなみにカウンター時に限らないっていう意味ではマンUがレディングの前線の起点を押さえきれてなかったのが気になった。普通に組織を作ったときにも浮いてる選手が目立った。この辺は時間とともに解消されてきたことを考えると、ハーグリーブスの久々の影響が出たかもしれない。

とにかく、ここでループ状態に突入。真ん中にしろ右サイドにしろ深い位置に1つの起点を作れたレディングは後ろからの飛び出しが可能になる。そして、攻撃に厚みをかけてマンUの選手を深い位置に押し込む。そういう場所でボールを奪ったマンUは前線にシンプルな攻撃を仕掛ける・・・・・。カウンターカウンターカウンターの試合展開になった。

この流れから一瞬抜け出しかかったのは実はレディングだった。というか、マンUの方が負けたっていう方が正しいかもしれない。カウンターでも前線に当ててからうまく厚みをかけられるレディングに対してマンUは少ない人数で攻める形が多かったわけだけど、それが時間とともにさらに少なくなってしまった気がする。

立ち上がりのマンUの守備ブロックはいつものように4-2-4(4-2-2-2)の形を基本としてた。だから、奪った後のカウンターにもコンスタントに4人をかけた実効的な攻撃を仕掛けることが可能だったし、実際に立ち上がりには前線の関係性だけでシュートまでつなげるシーンも多かった。

ただ、その前線の4人からまずパク・チソンが脱落。もともとギグスと比べると守備意識が高い(ギグスも他の3人と比べると守備意識=後ろのブロックに参加する意識が高いわけだけど)パク・チソン。しかも、今回は相手が狙ったサイドに置かれてたわけで、だんだんと守備への比重が大きくなったと思う。それでもギグスにはない運動量を生かして、低い位置で守備をしても必ず前線に絡んでいたわけだけど、やっぱり後発押し上げ組に分類されるようになったと思う。

この時点ではまだよかった。前に脅威の3人組がいたわけだから。でも何を思ったのか、Cロナウドが守備の意識を高め始める。上に書いたように前線に簡単に起点を作られてる状況の中で中盤の隣同士の距離を狭めようとしたのかも。とにかく、そういう流れの中である意味ではマンUらしくないフラットできれいな4-4-2が形成されることとなった。

この時点でマンUの縦へシンプルな攻撃の選択肢は前線の2枚のみ。何とかなりそうなシーンがなかったわけではないけど、やっぱり2枚だけじゃきつい。2人だけだったら相手のマークもきついわけだから。ついでに相手の後ろからの飛び出しに対する足かせがなくなったようなイメージも受けた。

これによってレディングの攻撃にそれまでよりも怖さが生まれたかって言われればそういうわけでもないけど、ただどちらが深い位置まで攻め込んでるかって言われれば明らかにレディングだった。マンUはいつもの4-2が4-4になったわけだから、安定感抜群で跳ね返したけど。でも、明らかに攻撃でマンUが深い位置まで攻め込むシーンは減ってしまったと思う。

これに対してマンUも手を打とうと試みた。まずはCロナウドとパク・チソンのサイドの入れ替え。Cロナウドを左サイドに置くことで相手が起点を作る右サイドをつぶしてしまおうっていう意図があったんだと思う。Cロナウドが攻撃によってプレッシャーを与えることで、相手の守備意識を高めてしまう狙いがあったと思う。

でも、これは失敗する。目に見えた効果が現れなかった。そこで2つ目のアプローチによってシステムを4-3-3みたいな形に変更したと思う。パク・チソンをCMFの一角みたいに置いて、攻撃的なポジションなのに守備に追われてるっていうあいまい性を廃した。同時に完全に後発押し上げ組に入れる。

対してCロナウドを攻撃に専念。完全な4-3-3ではなかったけど、パク・チソンを守備、Cロナウドを攻撃にと明確に役割分担したイメージ。どちらもそれまでの時間は守備も攻撃も中途半端になってしまってたわけだからいい変更だった気がする。単純化するなら守50攻50(パク)+守50攻50(ロナ)=守100(パク)攻100(ロナ)みたいなイメージ。

このやり方でマンUが息を吹き返した。脅威の3人組が前線に戻ったことで、シンプルな攻撃でも再び深い位置まで攻め込めるシーンが多くなり始めた。さらに、そこに後発押し上げ組が絡んで高い位置でポゼッションをするような時間も再び多くなったと思う。

さらにこの時間からはチーム全体としても保持型への移行が見られ始めた。指標としてのファン・デル・サールからのボールは最終ラインに出されることが多くなった。そして、その最終ラインである程度保持してから前線に供給されるってやり方も見られ始めたと思う。

それまでの時間はボールを出してから厚みを加えるってやり方だったけど、この時間から後は、厚みを加えてからボールを出す、または厚みを加えながらボールを回すっていう時間が増え始めた。これはつまり前線の選択肢が増えることを意味する。それまでは縦パスに対して厳しく行われてたレディングの守備の強度も1つ1つが弱まり始めた。そして、そうやって効果的に起点を作られると全体が押し下げられてしまうレディングだった。

この保持型の流れが顕著になったのは後半に入ってから。交代としてはパク・チソン→ギグスだったけど、この交代そのものが変化を与えたとは思えない。実際にパク・チソンのプレーがそれほど悪かったのは思えないし。ギグスにはない運動量を生かした前後の行き来、それからボールに対する動きも豊富だった(効果的にボールは出てこなかったけど)。ただ、そういうボールの近くでの動きがマンU的でないと言えばマンU的ではないかもしれないけど。

とにかくギグスの投入が直接のスイッチになったとは思えない。無理やりこじつけるなら落ち着きを増すってイメージか。精神的にもそうだし、他の3人が前への突進の意識が強いのに対してギグスは落ち着いてキープできるってのもある。ただ、やっぱり前半からの流れと見た方がいいと思う。

そうやって保持型に移行することでやっとマンUのペースになった。落ち着いて保持しながらジワジワと相手のブロックを押し下げていった。そこには相手の疲れも大きく影響したと思うけど。中3日で前半から上下動の激しいサッカーをしたことを考えれば仕方のない部分だったかもしれない。

この試合の運動量が激しかったのは最後の10分ぐらいを見れば一目瞭然。明らか過ぎるほどに中盤がなくなった。両チームとも中盤がスカスカでボールを運ぶのが超簡単だったと思う。前半のカウンターの繰り返しで両チームとも運動量の消費が激しかった証拠。

ただ、立場的にはレディングのが辛かった。上に書いたように中3日。負けてることで攻めなければならない状況も。対するマンUは人数をかけて引きこもってればよかった。攻撃はCロナウドとルーニーが何とかしてくれた。スペースはいくらでもあるんだから2人とも水を得た魚。2人だけでどれだけの決定的なチャンスを作ったかって話。

とにかく、後半は落ち着いた組み立ての中で例えばキャリックが前線に追いつけるシーンも多くなった。前半は攻撃に出ようとしたところで相手に奪われ、守備の場所にいられないっていうどっちつかずの状況だったキャリック。それが後半は攻撃での効果的なボールタッチがかなり増やせてたんじゃないかと思う。

キャリックに限らず前線に人数をかけた厚みのある攻撃ができれば、攻撃だけじゃなくて守備にもいい影響を与える。守備のベースとなる切り替え後の最初の守備が効果的に効くようになった。そうやって高い位置で奪ったところから生まれたのが先制点だったし。

攻撃と守備がリンクしてるのは当たり前のことだけどマンUの場合は特にそれが言える。攻撃でいい感じで人数が前線に入れなければ、それをベースとした守備もできない。こういうことはアーセナルにも言えるわけだけど。ただ、どっちかっていうとマンUのがマシかなって思う。攻撃だけを数人で打開できるし、守備だけを考えれば圧倒的な跳ね返し力がある分。

それにしても今回のマンUはなんであんなにカウンターにこだわったのか謎。何度も書いてるとおり、相手との関係性ではなかった気がする。最初からいつものように保持型にしてれば、もっと楽な試合運びになったと思うけど。前節6得点の影響か?ピッチが悪くてパスをつなぐことを捨てたか?確かに嘘みたいなシュートミスが多かったのは事実。
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2008-02-11 Mon 22:23
フルハム×アーセナル
<アーセナル:4-4-2>
FW:エドゥアルド-アデバヨール
MF:ロシツキー-フラミニ-セスク-フレブ
DF:クリシー-センデロス-ギャラス-サーニャ
GK:アルムニア

この1つ前のバーミンガム戦で引き分けたアーセナル。このときのバーミンガムのやり方にアーセナルに対する守備のヒントが見られた。1つはボールに対して強く意識を持ちすぎないこと。本来はいい守備になるはずのボールへの積極性だけど、アーセナルのパス回しに対してはギャップだけをさらす結果が生まれてしまう。

そういうわけで変な話だけど、守備の積極性をなくすこと。受ける形でバイタルをつぶし、そこを勝負どころとしてはっきりさせる。その上で、バイタルに入ってきた縦パスを狙うこと。近さを生かして強く当たり、すぐに囲い込む。これで起点を作らせない。こういうバーミンガムのやり方によってアーセナルは精細を欠くこととなった。

そういうイメージを抱きながら見た今回の試合。フルハムはこの時点で19位。今シーズンの試合を見てないから分からないけど、力差的にはアーセナルが圧倒的に試合を支配することが予想された。だったら、バーミンガム方式の引いて受ける形をやるのがいいんじゃないかと思った。というか、そういう守備に対する攻撃をアーセナルがどのように修正してきたか見たかったところ。

でも、実際に試合が始まってみると完全に期待(というか、予想というか)を裏切られた。フルハムは予想以上に前線からの積極性を見せてきたと思う。しかも、その積極的な守備の形が立ち上がりにはうまく決まってた。前回のバーミンガム戦での印象を180°覆されたわけで、どうなるか見ものだった。とりあえず、そのフルハムの超積極的なやり方についてまとめてみる。

フルハムのシステムは4-1-4-1。超積極的なフルハムはトップの選手がかなり深い位置まで追いかけていく。それにあわせて中盤の4は敵陣内まで入っての守備。下がったとしてもハーフェイライン付近までだった。これに後ろもしっかりとついてきて、かなり高い位置にコンパクトな守備組織が形成さえた。この時点で完全に引いて守る意識は毛頭なかったことになる。

そして、守備の意図は相手に攻撃のスタートを切らせないこと。アーセナルの最終ライン(CB)がボールを持っている段階ではそれほど厳しいプレスに行かなかったけど、そこから少しでも前にボールが出たところで守備をスタート。距離云々は関係なく、CBの近くにいるCMFとかSBに対しても、とにかくちょっとでも縦パスが入ったら守備をスタートさせた。

これまでに何度も書いてきたように、アーセナルの攻撃の上で重要なのが縦パスが出るってこと。縦パスをスイッチとして、前の厚みが生まれる。さらに大体の場合は動いた選手に縦パスが入るから、それをスイッチとして流動性が生まれ、これらの厚みと流動性をベースに選手間の近さが生まれる。そして、アーセナル劇場の始まりってわけ。

ちなみに、この縦パスは別に真ん中に張ったトップへのくさびには限定されない。下がってきたアデバヨールとかでもいいし、何ならロシツキーがサイドに受けに戻ってくるのでもいい。そういう動きの中で上下の入れ替わりとかが生まれて、全体としてのスイッチが入るわけだから。そういう意味では、真ん中に張ったトップへのくさびじゃダメってことも言えるかもしれない。

そういう意味では、その縦パスを一切許さないことで、アーセナルらしさをつぶしてしまおうって言うフルハムのアプローチは理にかなってた。しかも、縦パスという縦パスを全てつぶしにかかるのならば、本当にアーセナルの攻撃のスイッチを入れさせないことが可能かもしれなかった。

そして、立ち上がりはこの考え方が機能したといっていい。縦パスを狙いまくる、特に自陣に入ってくる縦パスへの意識をかなり高く持った。入ってきた縦パスには1つ目が厳しく当たる。そうやって当たられる前に次に展開ってのがアーセナル的ではあるんだけど、その時点では未だアーセナル的な近さが生まれてない状態。簡単に相手のギャップにはたくっていう選択肢がない状況だった。

そういうわけで1つ目のプレッシャーが効果的に効く。そして、1つ目のプレッシャーに対してすぐに複数が対応して孤立させてしまうシーンが多かった。どちらも基本となってたのは、高い位置に置かれたコンパクトブロックだったと思う。

そして、そうやって奪った後は極めて4-1-4-1的な攻撃に移る。まずはトップに当てて、それに対して2列目が一気に飛び出す。特に相手の高いラインのウラを突く、2列目からの飛び出しに関しては可能性を感じるものが多くなった。

そして、そういう攻撃後の切り替えも素晴らしかった。前線にある程度の人数が入ったことをベースとして、攻撃の流れのままに守備に入る。切り替えの中で超高い位置からの守備が効果的に機能し、アーセナル陣地で再びボールを奪えるシーンも多くなった。

こういう一連の流れの中で立ち上がりは本当にフルハムペースだった。アデバヨールは消え、アーセナルの中盤の選手は守備に追われ、敵陣に入っていくことができなかった。バーミンガム戦でアーセナルに対しては引いて守ることがヒントになると思ったのに、フルハムは逆に積極的に行くことでアーセナルのよさを消した。

ただし、本当に立ち上がりの時間帯だけだった。10分も経たないうちに、フルハムのやり方は通用しなくなったと思う。そして、結局はフルハムもゴール前に人数をかけて守るていう守備に重点を置くことになった。で、3失点って結果にはなったものの、その3点以外には決定的なチャンスは作られてない。

問題はなぜ、フルハムのやり方が通用しなくなったかってこと。それは単純にフルハムの弱点がバレたことが大きい。縦パスをつぶすことに成功したフルハムだったけど、逆にその縦パス以外のアプローチには全く対応できてなかったと思う。そういうわけで、アーセナルは縦パスをしないことで難なくペースを握り返した。

ただ、この縦パスに頼らないってことはこれまでのアーセナルらしさからやや離れることになったと思う。ショートショートショートにこだわり続けたアーセナルのサッカーの変化を感じさせられた。もしかしたら、この試合はちょっとしたターニングポイントになるかもしれない。実際にベンゲルも以下のように言ってる。最新号のWorld Soccer Kingより。

『中盤のパス回しからだけでなく、先日の3-0のスコアで勝利したフルハム戦のように、両サイドを切り崩して相手ゴールに迫るなど、新たな攻撃パターンも確立しつつある。』


前回のバーミンガム戦でアーセナルが苦労したのも縦パスが入らなかったこと。相手がバイタルをつぶして、その縦パスを狙ってきたから。これに対してアーセナルはロングボールを蹴りこむことで、そのバイタルにスペースを空けようと試みた。これも要するに縦パスを通すため。このロングボールを蹴りこむ時点で、ややアーセナル過ぎる形からの脱却が見られたわけ。

で、今回の試合。前回のロングボール攻勢は基本的には本来の自分たちのやり方をやるため。その準備のためっていう意図が強かった。対して、今回は自分たちの本来のやり方を貫こうっていう意図が消えた。だから、ロングボール攻勢もなかった。

むしろ、相手との関係を考えること、相手との弱いところを純粋に突こうっていうアーセナルらしくない考え方が見られたように思う。逆に言えば、本来の自分たちのやり方である縦パスは相手の強いところなわけだから、あっさりと捨てたと思う。

そういうわけで今回の試合で目立ったのが、ベンゲルもいうようにサイドの使い方。本来的にアーセナルがサイドを使うのは事実ではあるけど、それとは性格の異なったサイドの使い方がなされてた気がする。変な言い方ではあるけど、普通のサイドアタックって感じ。

いつものアーセナルのサイド利用はパス回しの一環。だから、サイドでも近い関係で基本的なトライアングルを形成して少ないタッチでパスを回す。そこに参加する選手も固定的ではなくて、状況に応じて色々と入れ替わる。そして何よりも1度攻めにかかったら、同サイドを崩してやろうっていう意図が強い。

今回の試合ではこれらの点がくつがえされた。サイドの関係はSMF+SBの2枚で固定化。近い関係でのトライアングル形成と言うよりも、SMFがボールを保持して、その外側をSBが抜いていく形が多かった。こういうやり方の中で本来は色々なところに動き回ることが多いフレブ&ロシツキーの両SMFが左右のワイドなポジションに居座ることが多かったと思う。その上で、左右のサイドチェンジも効果的に活用してたように思う。

こういうやり方は相手のサイドのところに問題があったからだと思う。と言うか、相手の意識は真ん中のところに偏ってた。普通に考えて真ん中を崩されるのが嫌なのは当たり前だけど。そういうわけで、真ん中ほどはサイドでのプレッシャーは厳しくなかった。立ち上がりはSBがボールを持ったときにもプレッシャーをかけてきてたけど、時間とともに弱まってたし。

でも、こういう状況なら本来のやり方でサイドを崩す方法も考えられるはず。でも、今回のアーセナルはそれをしなかった。それはなぜかってことなんだけど、ここにおいてフルハムとの関係を考えたやり方ってのが見えてた気がする。

真ん中の意識が高いフルハムが両サイドをおろそかにすることは上にも書いたとおり。さらに言えば、1つのサイドに寄せてしまうと逆サイドが完全に空くシーンが見られた。これはアーセナルのショートパスを警戒した結果だったと思う。とにかく近いところのコースを切らないと、次々のパスを回されてしまう。だから、自然とボールサイドへの意識が強くなってた。

アーセナルはこの逆サイドを簡単に使うことが多かった。先制点のシーンもそういうところから、右サイドでパスを回してからの大きな展開。左にワイドに張ってたロシツキーはフリーで受け、その後そのロシツキーを追い抜いてパスを受けたクリシーはフリーでクロスを上げることができた。

このシーンに代表されるようにアーセナルは左右の展開を繰り返すことが多くなった気がする。そして、多くの場合である程度フリーな状態でボールを扱うことができる状況を作り出せてた。特に左サイドのロシツキーの役割が大きかった。こういうサイドでのプレーに限らず、この試合はロシツキーの重要度が高かったように思う。ゴールまで含めて。

こういう部分については左右の振りに対するフルハムの弱さも見られたわけだけど。上に書いた“縦パス以外”っていう部分。縦パスを狙うことの意思統一はできてたけど、横パスを回されるとどこで勝負に行くべきかってことがはっきりしなくなった。

そういうわけでアーセナルはちょっと斜め前方向への横パスを繰り返しながら敵陣に侵攻してくシーンが多くなったと思う。攻撃も最終ラインでの左右のパス回しがスタートとなることが多くなった。そして、守備のスイッチとなるような明確な縦パスなしで攻撃してくるアーセナルに対してフルハムは守備の勝負どころを作れず、ズルズルとラインを押し下げられていくこととなった。

ただ、アーセナル側から見た場合、この左右への展開の繰り返しは本来のやり方を捨てる要因にもなる。なぜならば左右への展開を繰り返すってことはピッチ上にある程度満遍なく選手が散ってる必要がある。逆にいつものアーセナルみたいにボールサイドにめちゃめちゃ人数がいるっていう状況では左右の展開を繰り返すのは難しい。

結果としてアーセナルの選手間の距離が遠くなった。遠くなったと言ってもアーセナルにしてみればって感じだけど。そもそも両SMFがSMFとしてプレーしてる時点で、本来的な流動性を基にした近さってのが生まれない状況になってるわけで。ポジションに関してはアデバヨールもいつものように積極的に組み立てに参加してくるシーンが見られなくなってたと思う。

結果、アーセナルにしてみればポジションが固定された状況。とにかく、いつもみたいな味方の超密集地帯は作られなくなった。必然的にパスの距離も遠くなった。さらに言えば、近い関係性での1タッチ2タッチでのパス回しも減り、1人1人の保持時間も伸びることとなった気がする。

だから、個々がドリブルでボールを運ぶシーンが目立った。そして、このドリブルによるボールの運びもフルハムの弱点だったと思う。何度も言うようだけど、フルハムが狙ってたのは縦パス。縦パスで距離を稼ぐやり方には対応できても、ドリブルで運んでくるなんて聞いてないよって話。アーセナルの選手のドリブルを止められず、むやみに飛び込んで抜かれるシーンが多くなった。

そう考えるとタッチ数の増加は距離感の問題だけじゃなくて、相手との力差の要因もあったかもしれない。1タッチ2タッチで次々に局面を変えチームとしてボールを保持しなくても、1人の力でボールを保持できるってこと。確かに相手の1つ1つのプレッシャーに対して異様に落ち着いた用紙が見て取れた。

こんな感じでアーセナルの攻撃にイメチェンが図れた。パスに関して言えば、近くから遠くへの変化が見られたと思う。これまでは狭い場所で近くのギャップギャップをつないで行くパス回しが見られた。このやり方だとゴールへの最短距離を進めるメリットがある。

対して、今回は遠くのギャップギャップをつなぐ意図が見られたように思う。逆サイドへの展開が目立ったのがその一番の表れ。本来のアーセナルのやり方からしてみれば、遠回りの考え方になるのかもしれない。でも、広々としたスペースを使えるメリットが生まれた。1、2点目とも相手がケアしてないサイドを使ってフリーでクロスを上げたシーンだった。

というか、今回の試合のアーセナルは嘘のように狭いところを崩す意図が見られなくなった。いいように取れば広いところ広いところをつなぐ中で相手を揺さぶってから崩そうっていう意図が生まれたって言えるし、悪いように取れば積極性が減退して逃げ逃げのパス回しになった。日本代表的というか。

立ち上がりは最初に書いたようにフルハムペース。アーセナルが最終ラインでのパス回しで左右へ揺さぶりをかけ始めた10分ぐらいから段々とペースがアーセナルに傾く。その中でアーセナルが先制点。この先制点でアーセナルタイムのはじまりはじまり。

フルハムは見かけ上はそれまでと同じように高い位置で守備をしようとしてるように見えた。でも、ちょっとでもアーセナルに仕掛けられるとすぐに引きこもる流れ。立ち上がりの積極性が嘘のように、すぐに自陣深くまで戻っていってしまった。

そうなってからのアーセナルは自由にボールを持てるようになる。相手ブロックの前を横切るサイドチェンジとかちょっとでも詰まったら1度下げて作り直すとかって形で左右上下に相手のラストブロックに対してアプローチを仕掛けていった。

でも、そこからなかなか本格的な仕掛けにつながらない。10分頃から先制点までの時間帯には相手のラストブロックをショートパスの連続で崩そうとするようなアーセナル的なやり方が見られたのに、1点を取ってからはそれが消えた。相手の引きこもりブロックを崩す手立てが見つからなかったように思う。結果的にそれがあれだけ圧倒的に支配しながらシュートが6本っていう結果につながった。

もちろん1点取ったことで無理に攻める必要がなかったってこともあったと思う。その中で前半終了間際に隙を見て追加点を決められたのは完璧。後半は保持に重点を置いたリスクをかけないサッカーへと確実に移行していた。そして、その中でカウンターから3点目を取るってのもある意味では完璧。

アーセナルにしてはあまりにも効率がよすぎる。シュート6本で3点。時間帯とか展開も完璧。普段のアーセナルは攻めても攻めても点が取れず、結果的に攻めづかれるパターンだから。そう考えると明らかに改善した点ではあるんだけど。

1つ1つの組み立てからフィニッシュでも普段のアーセナルは効率が悪い。狭いところ狭いところに入り込んでいくわけだから。逆に効率が悪いけどゴールには最短距離。逆に今回は効率よく広いところ広いところを使う展開。結果としてゴールに対してプレッシャーは与えられてない。色々な部分でよくも悪くもアーセナル的じゃなかった試合だったって言える。

フルハムにとってはよく分からない展開になった。圧倒的に支配されたのは確か。でも、最後の守備でほとんど決定的なチャンスを作らせなかったのも確か。でも結果は0-3の完敗。どこを切り取ってくるかで試合の評価がガラッと変わるようなイメージだった。

ちなみにフルハムに特徴的だったのはつなぐ意識の高さ。プレミア下位となると蹴りまくるチームが多くなるはずなんだけど、ほとんど放り込むシーンはなかった。というか、頑なに蹴らなかった。FW登録がいなかったこともあるんだろうけど、もう少し蹴った方が相手にプレッシャーを与えられたのにって思う。

そうやってつなぐ意識が高いフルハムはアーセナルの守備にとっては格好の餌食。まず、高い位置での切り替えで奪われる可能性が高まる。この場所はアーセナルの守備のストロングポイントなわけで、そういう場所でことごとくプレッシャーにさらされることとなった。2失点目もそういう流れからだったし。

それから、アーセナルの組織作りの守備に対しても。そもそも奪った後につなぐ意識が強いことで、逆にアーセナルが組織を整える時間を与えてしまったと思う。その上でアーセナルの守備網にはまっていった。まあフルハムのおかげでやっとアーセナルの守備のメカニズムがちょっと分かったんだけど。これまでの相手は蹴りまくるか、アーセナルがほとんどボールを持ってるかだった。

アーセナルの守備は最終ラインを高い位置に置いたコンパクトな4-4-2で守る。そして、FWは自分の前に対しての守備意識があまり高くない。と思ったけど、今回の試合ではこれまで見たよりはFWが自分の前に対して守備をする意図を持ってたように見えた。

これは相手が最終ラインで保持したことも関係するかも。本来はそんな保持の時間なく思い切り蹴りだしてくるチームが多いから、プレッシャーに行くひまがないんだと思う。今回の試合でも特別厳しく行くわけじゃないから、相手がロングボールを蹴ろうと思えば蹴れた。

そういうFWの守備のイメージの変化はあったものの、基本的に守備のスタートを切るのは中盤のところ。この中盤は守備のスタートであって中核でもある。

基本は相手のボールに対して最短距離を切りながらプレッシャーをかけていくこと。そうやって相手に遠回りを余儀なくさせる。そして、その繰り返しの中で徐々に相手の選択の範囲を狭めていってサイドに追い込む。そのサイドで相手を孤立させて奪い取るところが守備の完了。

このサイドの局面の手伝いにエドゥアルドが来ることが多かった。相手が右に作ることが覆ったこともあるかもしれない(左だったらアデバヨールが助けに行くことになってるのかは分からない)。その左ではエドゥアルド+ロシツキー+クリシーで相手を囲い込むパターンが多かった。そして、その外堀をセスクとかフラミニが埋めるイメージ。

このエドゥアルドの助けを見ても、アーセナルのFWは後ろへの守備の意識が高いように思われる。だから、前への守備はある程度免除されてるってことか。3ラインを意識して、それぞれのライン間の関係を重視してる(挟み込み、囲い込みの形で)気がした。

このアーセナルのやり方の場合、ちょっと危険があるのも確か。中盤がプレッシャーに行ったときに自分の背後にスペースを残してくるっていうこと。それをしっかりとカバーしきれないと4-4の間に危険なスペースを作り出してしまう可能性が出てくる。

でも、その点はフラミニがしっかりとケアしてた。フレブ、ロシツキー、セスクはボールに対して結構積極的にアプローチに行き、その下でフラミニがバランスを取るっていう形が目立ったように思う。だから、形的には4-1-3-2みたいに見える時間も長くなった。中盤がさらに引っ張り出されればエドゥアルドが中盤に戻ってきてそのスペースを埋める。そういう意味では4-1-4-1的な形も併用。基本的なフラットの4-4-2から、状況に応じてバランスを取るやり方が見られたと思う。

このアーセナルの守備に対してフルハムは何もできなくなった。なぜならば、フルハムの攻撃はトップに当てることを念頭に置いてるやり方だから。アーセナルの中盤の最短距離を切るプレッシャーの中ではトップへのコースなんてのは最も最初に切られてしまう。

立ち上がりはなぜそれができたかって言えば、高い位置で奪って相手の組織ができる前にトップに入れることができたから。守備で深い位置に押し込まれ、しかもそこでもたもたしてる状況ではそういうチャンスは全く訪れなかったって言っていい。

というわけで攻守に渡ってアーセナルが圧倒した試合になった。そのアーセナルは余裕もあってか、後半のアーセナルはポジションを変更してきた。2トップをアデバヨール&フレブ、中盤をエドゥアルド-セスク-フラミニ-ロシツキーの形にしてきた。

この変更にどういう意図があるのかはちょっと分からない。でも、後半はアデバヨール、ロシツキー、フレブが縦パスを受ける機会が増えて、本来のアーセナル的な形に戻っていこうとしてた気がする。前半のように左右に展開して揺さぶるような意図も少なくなった。それから、左に入ったエドゥアルドのドリブルの仕掛けは得点にもつながったようになかなか興味深かった。
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2008-02-09 Sat 18:24
ミドルスブラ×リバプール
<リバプール:4-4-2>
FW:トーレス-ボロニン
MF:リーセ-マスケラーノ-ジェラード-ベナユン
DF:アルベロア-ヒーピア-キャラガー-フィナン
GK:レイナ

立ち上がりのリバプールはとにかく蹴りまくった。最終ラインから2トップを狙う単純なロングボールを放り込むっていうやり方を繰り返したと思う。高い位置からの相手の守備を否すためだっただろうこのロングボール攻撃。後々にしっかりと地上から攻めるやり方に移行した(しようとした)わけだけど、大雑把なロングボール攻勢を繰り返した立ち上がりの時間が最も相手を押し込んだのも事実だったと思う。

この時間のリバプールは本当にロングボール一辺倒。出し手としての最終ライン、受け手としての2トップに挟まれた中盤の役割が特徴的だった。そもそも中盤を飛び越えるような攻撃を繰り返す中で、組み立ての中での中盤の役割は大きくない。要するに、後ろからのボールをさばくような役割はほとんど中盤には与えられてなかったって言える。

その代わりにリバプールの中盤は前からのボールの処理を任されてた。要するにトップに当てたセカンドボールを拾うこと。トップとの距離を短く保つことによって、セカンドボールを効果的に拾おうっていう意図が強く見られたと思う。特に右サイドのベナユンはトップの落としを直接的に拾うシーンが多くなった。

そうやって中盤がトップとの関係を近くすることで、たとえセカンドボールが拾えなかったとしても次の対応がやりやすいっていう状況も生み出した。それは切り替え後の守備の部分。リバプールの持ち味である前線からの厳しい守備が、この時間に関してはうまく機能してたと思う。

結果として、ミドルスブラの選手はボールを持ったとしても、少しも余裕が与えられずに蹴りだすことが多くなってしまった。それを拾うことで再びリバプールが攻めなおすっていう展開が続いたと思う。だから、リバプールはロングボールが単純でもペースを握ることができたと思う。

このペースはミドルスブラとしてはある意味では理不尽だった。その後の時間を見ても分かるように、前線からのミドルスブラの守備の質は高かった。最前線のトップの場所から後ろとの関係を考えながら追いかける。でも、この時間はその全てを無効化するロングボールを浴びせられまくった。

相手がトップにロングボールを入れてくれば、それにあわせてミドルスブラの最終ラインも押し下げられる。さらに、セカンドボールを狙う相手の中盤に対してミドルスブラの中盤も下がって対応する必要がある。結果として本来的にはもっと高い位置に配置したい4-4ブロックが低い位置に押し込まれることになった。

結果としてミドルスブラはFWとの距離が空くこととなる。そして、そのFWを狙う意図が強いのがミドルスブラの攻撃。逆に言えば、FWとの距離が空いたことで効果的に攻撃に移れない。しかも、相手は切り替え後の守備を厳しくしてくる。結果として意図の薄い蹴り出しが多くなる。このままこういう悪循環から抜け出せない可能性もあったと思う。

でも、そうはならなかった。ミドルスブラは相手のロングボール攻勢には屈しなかった。確かに相手がロングボールを蹴りまくってる時間帯には押し込まれたけど、そこから地上戦に移行するにつれて段々と、ただし明らかに、ミドルスブラのペースに傾いていったと思う。

これはリバプールとしては誤算だったんじゃないかって気がする。立ち上がりのロングボール攻勢で相手の守備を後ろ向きにさせたかったはず。少なくともロングボールを蹴ってるときには、それが成功したと思ったはず。だからこそ地上戦に切り替えてきたんだろうし。

でも、十分な準備の後に移行したはずの地上戦では、ミドルスブラの前への守備意識が全く削がれてないことが分かった。そうやって地上戦への移行に失敗したリバプールは、結果としてその後ペースを握ることはできなかったと思う。

ただ、当たり前のことだけど、その移行がうまくできなかったからっていう理由だけでミドルスブラにペースを握られたわけではない。この試合のリバプールは攻守に渡ってイマイチ噛み合わないような印象を受けた。逆にミドルスブラは攻守の狙いがはっきりとして、それを実行できてた。その部分の差がダイレクトに出たように思う。

まず、違和感を覚えたのがリバプールの守備。個人的にはリバプールと言えば守備の内容のよさってぐらいなんだけど、その守備のよさが鳴りを潜めてた。いや正確には、その片鱗は見られた。やろうとしてることは普段とあまり変わらなかったと思う。でも、その実効性に疑問が残った。

ボールに対しての厳しいアプローチはいつもと比べて大きく見劣りはしなかった。ただ、その次が続かずに、1つ1つのアプローチが単発で終ってしまう印象が強かった。結果としてチームとして追い込んでいくような状況が作り出せなかった気がする。

だから、効果的に数的優位を作ってボールを奪うことができなかったと思う。いつもは多く見られる、挟み込んだり、囲い込んだりっていうシーンが異常なほどに少なかった。それは要するにチームとしての狙いどころが定まってなかったからだったように感じる。

1人1人のボールに対する意図はいつもと同じぐらいある。でも、連動ができない。相手にとっては逃げ場が多い状況なわけで、プレッシャーに出てきた場所がギャップになってしまう状況が生まれる。本来はきっちりとつぶれてるはずの4-4の間に入り込まれることが多くなったし、そうなったときに中盤が焦って後ろ向きに守備をする場面も多く見られた。明らかにバランスが崩れてた証拠だと思う。

で、その原因。最近はリバプールの試合をあまり見てなかったからはっきりとしたことは分からない。でも、気になったのは守備におけるFWの役割。今回の試合ではリバプールの2トップが守備にほとんど関与してなかったように見えた。これが全体のバランスが崩れてしまった原因になってたような気がする。

本来のリバプールはFWが守備のスタートとして機能する。2トップを縦関係に置きながら1枚がトップ下のスペースを埋める。で、もう1枚が前線から厳しく追いかけていくことが守備のスイッチとなる。その最初のプレッシャーに対して中盤以降が連動することで、高い位置から有機的に次から次へと絶え間のないプレッシャーをかけ続ける。そのうちに相手の選択肢をつぶして、最終的には数的優位で囲い込むって寸法。

今回の試合ではそもそも、2トップの縦関係がはっきりしなかった。縦になる意図自体はあったかもしれないけど、埋めるべきトップ下のスペースが埋まっていない。それじゃあ縦関係でも意味がないって話。結果として中盤の選手が見るべきスペースが増えたこととなる。マスケラーノ、ジェラードあたりが長い距離のプレッシャーをかけるシーンが多かった。そして、それは非常に効率が悪かった。

これはつまりトップと中盤の間の距離が空いてしまっていることを意味する。だから、トップが守備のスタートとなって中盤が狙うっていう関係性の構築も難しかった。そして、何よりもトップがスタートとして機能しない。トップの守備の意識が薄い(守備をがんばるカイトの不在)っていう要因もあっただろうし、後で書くように物理的に難しいって側面もあった。

だから、前線で最初の制限が効かないままに中盤が守備をしなければならない状況が生まれてたように思う。要するに中盤が守備のスタートとして機能しなければならないってこと。本来のリバプールの中盤はある程度前線が制限した次を狙ってるのから考えれば、全然違う役割を担わなければならなかったってことが言える。

これでは厳しいプレッシャーは難しい。どの場所に重点を置くべきかが定まらないわけだから。ボールを持った選手に対して1つ遅れて、中途半端な守備に行くっていう状況がどうしても生まれてしまう。しかも、上にも書いたようにトップとの距離が遠くてケアするべきエリアが広いから、素早くプレッシャーに行くのは難しかった。

当然のように本来のリバプールよりも1つ1つの守備の強度は弱まる。これによって中盤で効果的に奪うのが難しいのはもちろん、次との関係を考えて相手の選択肢を制限するのも難しい。中途半端に距離が空いてるわけだから。結果として単発の守備の繰り返しって状況が生まれた。

つまり、何度も書くように守備の勝負どころを定められない状況。それでもボールに対する守備の意図はある。だから後ろにギャップだけが残る。特に中盤がズルズルと前線に引っ張り出される状況が生まれて、これが4-4の間のスペースにつながった。4-4-2のそれぞれのライン間の距離が気になる今回の試合だったように思う。

こういう感じでリバプール自身にも問題があったわけだけど、リバプールが本来的な守備ができなかったのはミドルスブラの攻守のやり方に影響された側面も大きかったと思う。逆に言えば、リバプールのよさを消すぐらいにミドルスブラの内容がよかったとも言える。実際に、この試合を見る限りでは下位に低迷するチームのサッカーではなかったと思う。

まず、その守備面。守備面に関してはリバプールがやりたいような守備の内容をミドルスブラがやっていたようなものだった。上にちょっと書いたように、守備のスタートはFWの2枚。相手の最終ラインのボール保持者に対しても積極的にプレッシャーをかけていく姿勢が見られたと思う。

しかも、そのときに次との関係をしっかりと考えた守備のやり方が見られた。意図的にコースを切った追い込みが見られたと思う。逆に言えば単純に強度が強いだけのプレッシャーではなかったことが、立ち上がりのロングボール攻勢を許してしまった側面もあったかもしれないけど、それ以上に長い時間の相手の地上戦を止める役割が大きかった。

こういうトップの守備をスイッチとして、中盤以降もしっかりと連動する。相手が最終ラインから縦パスを入れてきたところで、素早く距離をつめる対応が目立ったと思う。そうやって相手を1つ止めといて周囲との連携で数的優位を作ったり、その次に対する制限の役割を担ったり。

ただし、今回の試合に関してはさらにその上を行っていたようなイメージだったと思う。相手が最終ラインから入れる攻撃のスタートとなる縦パスを相手の前でインターセプトするシーンがかなり多かった。場合によっては敵陣で引っ掛けることもかなり目立ったと思う。前線の制限があったのは確かだけど、それ以上に全体としての意識の高さとそれに基づく出足の速さを感じた。

そして、その個々の意識がチームに還元されたってのがこの試合でのリバプールとの大きな相違点だったと思う。リバプールと違って守備における連動性の高さが生まれ、それによって1人1人の守備意識の実効性が高まる。つまり、狙いどころが定まることで効率的により強度の高い守備ができるってこと。

とにかく、個々の守備意識とチームとしてのよさを生かした守備の中で、かなり高い位置で相手のボールを奪うシーンが多くなった。このことをリバプールの側から見るとビルドアップの途中で引っ掛けられることが多くなったってこと。同時にトップまでボールが行く前に引っ掛けられるシーンが多くなったことを意味する。

これが物理的にトップが守備のスタートととして機能できなかった要因になったと思う。いくら守備意識が高くても、自分の背後のボールに対して最初の守備をするってのは難しい。トップが守備のスタートとして機能するためには、自分の前にボールがあり、それを追いかけるって形にする必要がある。トップまでボールが渡らない展開の中で、そういう状況を作り出せなかった。

さらにボールを奪った後のミドルスブラのやり方もリバプールの守備に影響を与えることになった気がする。ミドルスブラの攻撃はとにかく縦に速い。ボールを奪ったら即縦に行く。どの場所でもボールを保持せずに、一気にゴールに向かう姿勢が見られた。最近使ってる言葉から言えば、中盤を一気にボールが通り過ぎていくイメージだった。

このことはリバプールとしては守備の組織作りの時間がないってことを意味する。しかも、ビルドアップの途中で中途半端に全体が前がかってるっていうバランスの悪い状況。そのバランスを取り戻す前に相手の攻撃を食らうこととなった。

リバプールの守備は組織のバランスのよさ、特にDFと中盤の4-4の関係性のよさをベースにしてることを考えるとこれは痛かったと思う。上では守備の問題から4-4の間にスペースができてしまった要因を書いたけど、実際にはこういう切り替えのシーンでその場所が問題になることが多かった。

これはある意味では仕方のない部分。後で詳しく書くように、リバプールの攻撃はトップに当てる意図が強い。そして、そこに対して中盤を絡めることで厚みを加えようとする。だから、攻撃で縦パスが出た瞬間に中盤は一気に前線に出て行かなければならない。その途中で引っ掛けられてしまったら、後ろとの関係が密接ではないのは当たり前。

そして、ミドルスブラはそのギャップを突いてきた。得点シーンがその典型的な形で、縦パスをインターセプトした後すぐにリバプールの4-4の間に入り込んだ場面だった。そこからサイドへ展開してゴールまで。リバプールの中盤が急いで戻るシーンが目立ったのも、こういうところに原因があったと思う。

このミドルスブラの縦への意識を実効的にするためには前線の選手の意識の高さが絶対だった。特にトップの選手は味方がボールを奪ら常に動き出すってことを繰り返した。真ん中にこだわらずに前線で動き回ることで、うまくボールを引き出した。チームとしてもトップを狙う意図が強かったと思う。

そうやって前線で受けたトップの選手はチャンスがあればそのまま一気にゴールまで向かう。ただ、多くの場合では周囲の上がりを待つこととなった。そして、そのときに重要な役割を担うのが両SMFのダウニングとオニール。トップにボールが出るのと同じタイミングで一気に前線に飛び出していった。

そして、トップに一度預けてからこの両サイドを使うやり方が効果的だったと思う。この切り替えの時点で組織のバランスが取れてない状態だったリバプールの守備陣は相手のトップが受ければ、最優先的に真ん中を押さえることとなる。結果として両サイドにスペースが生まれることが多くなった。

得点シーンもそうだったけど、ミドルスブラはトップに当てて相手を真ん中に凝縮させてからSMFへ展開することでかなり広いスペースが使えた。それを有効に活用できてたと思う。そういう展開の中で両SMFがフリーの状態で受けるシーンも多くなった。

ちなみにミドルスブラの前線への飛び出しは両SMFに限らない。出足の速さを生かした守備をする中で、奪ってそのままの勢いで前線に飛び出す選手が多くなった。得点シーンのボアテングがそうだったし、後半には最終ラインからフートが出てくるシーンも見られた。全体としての切り替えの早さが目立ったと思う。この飛び出しを生かしながらギャップギャップをつなぐパス回しも見られた。

こういう形のミドルスブラの守備から攻撃の流れを見ると、いかに立ち上がりのリバプールのロングボール攻勢が相性が悪かったかが分かると思う。守備の狙いどころは飛び越えられ、全体が押し込まれたことでトップとの距離が空くって状態になってしまったわけだから。

そして、地上戦になったとたんにペースを握ったのも分かる部分。ペースを握るどころか、立ち上がりとは全く反対の展開にまで持ち込んだ気がする。

トップに単純に当ててくるミドルスブラの攻撃のスタートのプレッシャーに負けてリバプールの最終ラインが下がる。そこに飛び出してくる相手の2列目以降のプレッシャーに負けてリバプールの中盤も下がる。結果としてトップとの距離が空く。さらにミドルスブラは切り替え抜群で高い位置から守備をしてくる。リバプールは蹴りだすしかない。またミドルスブラのボールになる。

本当に間逆の流れだった。リバプールの中盤以下が自陣のかなり深い位置まで押し込まれて、バランスどころではなかったと思う。そういう状況の中でも冷静にオフサイドを奪うリバプールの守備陣は素晴らしかったけど、好ましくない流れ出なかったのは確か。しかも、そこから抜け出す術も見つからなかった。

ただ、後半になるとミドルスブラの勢いもさすがに弱まった。前線からのハイプレッシャーに奪ってから息もつかせぬ速攻。保持時間が短いだけに休む時間もなくて、さすがに前半のやり方を90分やりとおすのは難しかったってとこか。

でも、これによって完全なリバプールペースにならなかったのがこの試合のリバプールのおかしさだったと思う。ミドルスブラは疲れて効果的に攻撃に人数をかけられないし、対するリバプールも相手ゴールに迫るようなシーンまでつなげられない。後半になって中盤がなくなり気味だったのに、ゴール前も熱くないっていうよく分からない展開になった。

この要因はリバプールの単純すぎる攻撃のやり方にあったんじゃないかって気がする。上でもちょっと書いたとおり、リバプールの攻撃はとにかくトップにくさびを当てようとする。この意識の高さが本当に目立った。立ち上がりのロングボール攻勢に限らず、地上戦でもくさびの意識はかなり高かった。

だからと言って、トップの選手はミドルスブラの2トップのように動き回らない。出す方も最終ラインの選手または低い位置のCMF。要するにトップまで距離が遠い選手が出し手となることが多い。そして、その間に経由点がいない。後半の途中にシャビ・アロンソが入ってからのいくつかのプレーではジェラードがトップ下の場所に流れて経由点になったけど、そのいくつかのシーン限定だった。

まるで日本の五輪代表を見てるようだった。一番遠く、しかも一番相手が重点的に抑えてるところを、何の工夫もなく使おうとする。当然のように相手に引っ掛けられる可能性はかなり高い。もっとトップへのくさびの意識を捨ててもいいんじゃないかって気がした。シャビ・アロンソが入ったことで散らし役ができたと思ったけど、大きくは改善しなかったってのが正直な印象。

というわけで疲れたミドルスブラも容易に守れる展開が生まれる。前線からの守備をするのは難しくなってリバプールの出し手は見きれなくなったけど、ラストブロックで真ん中を押さえておけばなんの問題もなかった。相手は必ずそこに出してくる。前半から通してくさびに対する意識は高かったから、それを持続すればよかったし、その前のフィルターとしてのボアテングの存在も心強かった。

逆に失点シーンはそのどちらもが外されたシーン。ボアテングはサイドに引っ張り出され、トーレスがかなり下がって受けたことでCBもついてなかった。この試合唯一と言ってもいいほどの致命的なギャップが生まれ、結果として決められてしまったシーン。リバプールとしてはこのシーンも真ん中を侵攻したものだった(起点はサイドだったけど)。

この試合を見る限りリバプールが攻守に渡って精細を欠いてたのは事実。守備はリバプールっていうイメージを持たなければ、決定的なシーンもあまり作られてないし、深刻な状況にはつながらないだろうけど、攻撃はもう少し柔軟性が欲しいところ。

とりあえず荒行として昨季のCL決勝みたいな4-4-1-1を使ってみたらどうかと思う。攻撃において、トップ下の場所に経由点を作りたい。あまりにもトップへの意識が強すぎる気がするから。マスケラーノもシャビ・アロンソもジェラードも使いたいとなると、現実味はあるかもしれない。この形なら守備の大きな変更も必要ないし。
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2008-02-07 Thu 01:08
日本×タイ
<日本代表:4-4-2>
FW:高原-大久保
MF:遠藤-山瀬-中村、鈴木
DF:駒野-阿部-中澤-内田
GK:川口

よく言えば、個々の日本の選手が実力をしっかりと発揮して、それが内容と結果の両面にしっかりと反映した試合。悪く言えば、個々の実力差に頼る部分が多くて組織としてプラスアルファを加えられたとは言えなかった試合。

W杯予選っていう背景を考えると優先すべきは前者なんだと思う。組織としての試行錯誤は後回しにして、とにかく(現状では)格下相手からはその実力差に応じた結果をしっかりともぎ取る。その積み重ねが勝ち上がっていくための絶対条件になるんだと思う。

ただ、そうは言っても今回の試合は残念だった。前の2試合で岡田色の片鱗が見られたはずなのに、その色が消える方向に向かってしまっていた気がする。だからと言って、オシム色に回帰したわけでもない。海のものとも山のものともつかないような内容のサッカーが展開されたイメージ。

前の2戦で見られた岡田監督の色として見えてきたのは、「接近→展開→連続」っていうキーワードと「縦への意識」。軽くおさらいしてみる。

1戦目はとにかくトップに当てることを徹底(縦への意識)して、そうやってトップに当てた真ん中で「接近」を作り出した。その流れの中でトップへのくさび→サイドへっていう「展開」も織り交ぜられてたと思う。ただ、このやり方では中盤でのボールの滞在時間が短すぎて、攻撃に時間をかけられず、守備のバランスを保つことができなくなってしまった。

対して、2戦目は中盤の滞在時間を伸ばした。トップに当てる意図を弱めてオシム的なSBを組み立てに絡ませるやり方を融合。そういうSB(特に左の駒野)のところに全体を集めて(接近)、近い関係でのパス回しが多くなった。そして、そこから逆サイドへの大きなサイドチェンジ(展開)も目立ったと思う。

こういう2戦目のやり方は上にも書いたようにオシム的な色を融合したもの。ただ、オシムのときよりもウラ、くさびを狙う意図が強かった(縦への意識)のが特徴的。それにサイドチェンジも組み立て直しの意図よりも最後の仕掛けのために行われる意図が強かったと思う。

基本的にこういう2点の岡田色に関しては、今回の試合で使ったとしてもなんら問題はない。というか、後で詳しく書くように、むしろこういう形を使った方がもっとスムーズな展開が可能だった気さえする。でも、実際には上にも書いたように消える方向にあった。それはなぜかってことも後々考えて行きたい。

とりあえず、日本のやり方を考える上で前提となるタイのやり方について。タイのシステムは4-4-2。基本は中盤がダイヤの形になってたと思うけど、守備の流れの中でフラットな4-4のブロックを作るように見えることも多々あった(前半はフラット、後半はダイヤだったかもしれない)。

このタイは前線から守備をする意図が強かったと思う。引いて受けるような消極的な守備ではなくて、敵(日本)陣から積極的に守備を開始する姿勢が見られた。後ろのブロックもラインを高めに保って、コンパクトな組織を作ることを心がけてたように感じる。

その上で守備のスタートはトップの追いかけ。そのトップの守備をスイッチとして、もう1人のFWとか2列目以降が次を狙えるような体勢を作り上げてたと思う。その連鎖の中で、徐々に相手の攻撃を追い込んで行こうっていう意図が感じられた。要するに切って、切って、追い込むパターンの守備の狙いがあったと思う。

さらに全体のブロックが一体となって動く意図が強いのも特徴的だったと思う。ボールが真ん中にあるときは全体を真ん中に凝縮させ、サイドにあるときにはそのサイドに全体を動かしてボールサイドに人数をかけた守備が見られた。

このときに空いてしまうスペースを埋めるためにトップが助けに来ることが多かったように思う。場合によっては全員が中盤以降に入ってしまうような場面も見られた。そういう流れの中で、途中から2トップの1枚をほぼ中盤的な役割として使うように変更した気がする。セット時にはあくまでも2トップに見えたけど、役割的には4-3-2-1のトップ下の2の一角みたいな形に見えた。

厳密な形はいいとして、ボールサイドにブロックを移すこと、コンパクトなブロックで前線からの守備の連動性を図ることがタイの守備の特徴だった気がする。そう考えると上に書いた岡田色の2点は有効なはずってのが分かると思う。コンパクトなブロックに対しては縦への意識を持ってウラを狙ってけばいいし、ボールサイドに寄るブロックに対しては接近→展開で広いサイドを使ってやればいい。

立ち上がりの時間にはそういう意図が見られたのは事実だったと思う。この時間はボスニア戦と同じように左サイドに接近を作っての組み立てが多くなった。その中でウラを狙う大久保とか2列目から飛び出す山瀬を狙った縦の意図が見られた。左→右への展開っていうボスニア戦のときに多く見られたやり方もいくつか見られた。

でも、こういう形は徐々に減っていく。そして、段々と海のものとも山のものとも・・・な内容につながって行ったと思う。その要因は良くも悪くも相手との実力差にあったように感じた。最初にも書いたように、個々の実力差だけでなんとかなるから、組織としてのアプローチが徐々に減っていったってことだと思う。

例えば上に書いたような前線からのタイの守備。やろうとする形、狙いは悪くなかった。でも、その中で日本の選手はほとんどプレッシャーを感じずにプレーしてたと思う。チリ戦と比べれば明白。意に介さずにパスを回してた。だから、せっかくいい意図を持ってたタイの守備も結局は最後のところにブロックを作って跳ね返す形が多くなった。

要するにタイの守備の内容がよかったとしても、それを上回る個々の技術力が日本にはあったってこと。これが海のもの・・・な内容につながる要因。下手に遠回りをしなくても、実力差だけで自分たちのサッカーができる状況の中で、だんだんと意図的なアプローチが減って行ったように感じた。

相手がコンパクトなブロックを形成した中でも、それなりの攻撃はできる。だから、ロングボールでそのブロックを崩す必要はない。むしろ、ロングボールでボールを失う可能性の方が高いかもしれない。サイドチェンジも同じ。狭い局面で崩せるから、わざわざ大きく展開して広い場所を使う必要もなかったんだと思う。

実際に岡田監督がよく言うような残り1/3の前までは簡単にボールを運べた。真ん中(CBかボランチ)の位置でボールを持って(そこから降りてきた高原に当てるなりして)相手を真ん中に凝縮させ、サイドに展開するだけで簡単に深みを与えられた。相手がボールサイドに寄ってきても、得意の接近によるトライアングル形成で深い位置まで入り込むことは可能だった。

ちなみにこのぐらいの時間帯になると左右のサイドをバランスよく使うようになっていた。ただ、1つのサイドに入り込んだら、そのままそのサイドを進行して行く形が多かったのも事実。その中で左サイドでは前回のように人数をかけて有機的に攻撃できたけど、右サイドは相対的に人数をかけられずに有機的な攻撃につながることが少なかった。どちらかというと、内田の個の力+1ぐらいに任せて一気に縦へ行ってしまおうって意図が強かった。

とにかく、難しいことをしなくてもある程度ボールを保持できる状況が生まれたと思う。その中でゴール前に多くの人数が入る現象が生まれた。ボールに対する接近、基本的なトライアングルの形成に数人をかけ、残りはゴール前に入るといっても過言ではない状況が生まれたと思う。

そうなれば当然のように前線が詰まる状況が生まれる。と思ったけど、案外そういう状況にはならなかった。前線に人数が入ってしまった状況でも、誰かしらがスイッチとなる動きを開始し、それをスタートとして相手の最後のブロックに対する仕掛けができてたと思う。これはちょっと驚きでもあり、今回の試合の収穫でもあった。

とはいえ、前線に人数が入りすぎてしまう弊害も生まれたのも事実。

1つは単純に前線のスペースがなくなってしまうこと。敵も多い、味方も多い中で使えるスペースが明らかに減ってしまった。前半の途中から、山瀬とか大久保辺りが目立たなくなったのは、動けるスペースがなくなったからだったように思う。高原もそれまでの時間よりもさらに低い位置まで降りてくることが多くなった。

2つめはボールの後ろに選手がいないってこと。これが案外痛かった。まず、これによって作り直しっていう選択肢が減ってしまった。これは、深い位置まで行って詰まったら1つ下に下げて作り直すっていうガンバなんかでよく見られる形。

これによって相手はラインを押し上げる必要があるわけで、縦への揺さぶりの1つとなり得ると言える。引ききった相手のブロックをゴール前からはがす意味では効果的だと思う。加えて、1つ下げてからサイドを変えるっていう場合もあるわけで。そういう選択肢も削ってしまったことになる。

さらに逆説的ではあるけど、前への動きが停滞してしまったのも痛かった。ボールの後ろに選手がいなかったことで、ボールを抜いて飛び出すような動きが減ってしまった。結果、前への勢いがなくなってしまったと思う。そして、キーワードの1つである接近を考える上ではこの後ろからの追い抜きが1つのキーになってるような気がする。

ボールに対して後ろから追い抜きながら近さを作るパターンでは前への意識が強くなる。しかも、接近の中に動きが生まれる。そして、1つの追い抜きが2つめ3つめと連鎖的につながることで、動きの中で前への意識を高めた状態でのつなぎが可能になると思う。実際に立ち上がりの時間は、そういう形の接近が見られたのも事実だった。

ただ、前線に人数が入ってからの接近は停滞感丸出し。動きがあったとしても前線から降りてきて受けるような形になってしまうわけで、結果として足元足元へのつなぎが多くなったように思う。パスは回っても、何かを生み出す可能性はあまり高くなかったように感じる。

こういう流れの中で前半はこぢんまりとした内容になっていった気がする。接近には動きが生まれず、展開は少ない。狭い場所で動きの少ないパス回しが行われてるばかりだった。そして、これはゴールへの最後のアプローチでもほとんど変わらなかったと思う。足元足元へのつなぎが多くなった。

そういうわけで、日本は接近→接近→接近の展開をしていた前半だったと思う。しかも、何度も書くようにこの接近には動きがない。日本が接近→接近→接近をすれば、当然のようにタイの守備陣も接近→接近→接近。ゴール前にはかなり人数が多い状況ができあがった。

こういう接近の連鎖の中でスペースがどんどんとなくなっていく。自ら近づいていくから、自らスペースをつぶしていった。接近だけの流れでも、ある程度の場所までは個の能力差で持ち込めた日本だったけど、さすがにそういう最後の局面を崩すのは無理だった。敵味方入り乱れてスペースをつぶしあってる中で、活路を見出すのは難しかったと思う。可能性が全くなかったわけではなかったけど、やっぱり薄かったのが本当のところだと思う。

これに対して後半の日本はいい意味で接近が解消していた。選手間の距離が遠くなったってことじゃなくて、選手の配置のバランスがよくなったってこと。前半は過剰に接近が起きている場所がある一方、ボールを持ってもフォローが少ない選手がいたのも事実。これは要するに全体のバランスの悪さに起因してた。これが解消されてたと思う。

ボール保持者に対して、必要なフォローがバランスよくなされるようになった気がする。遠藤、中村あたりのギャップに入り込むうまさが前半よりも目立った。闇雲に近くに行くんじゃなくて、逃げ場となれる場所、経由点となれる場所に適切に選手が入り込めてたように感じる。

結果としてみんながボールの前に入ってしまうって状況も改善した。後ろから抜いていく動きも多くなったし、作り直しも見られるようになった。何よりもゴール前の場所に動きを作り出せるだけのスペースが生まれたことが大きかったような気がする。

さらに後半は思い出したかのように展開も多くなった。前回の試合と同様に中村が中心となった大きなサイドチェンジの数が明らかに増えたと思う。そうやってワイドな攻撃が増えれば、相手のブロックに隙間が空いてくる。一体感のある相手のブロックを分散させる意味は大きかった。

結果として相手が1人退場したことで強制的にスペースが生まれることとなったわけだけど、あのまま相手が11人で戦ってても使えるスペースは多くなっていったと思う。後半は明らかに幅のある攻撃が生まれて、能力差だけをベースとしないサッカーに転換していったように思う。

さて、ここまでは多くを攻撃面に絞って書いてきたわけだけど、今回の試合で実際に見るべき部分だったのは実は守備面にあったと思う。守備の時間が短かったのも事実だけど、失点シーンと得点シーンの両面にこれまでとは違った守備のやり方をした効果が見られた気がする。

その変化を単純にいいあらわせば、リミッターが外れたって感じ。これまでの2戦の感想で、守備についてはもっと前線からガツガツやるかと思ったって書いた。逆に言えば、そういう守備ではなかったことを意味する。具体的には、まずは組織を作って受ける形。トップは相手がある程度の場所までボールを持ち上がってきたら守備を開始し、それをスイッチの後ろが連動するイメージ。結果としてロングボールを放り込まれまくったのは、前の2戦で書いたとおり。

対して、今回の試合ではまさに前線からの守備が見られた。特に攻撃後の切り替えの速さは抜群。守備ブロックを作ることよりもまずは相手のボールにプレッシャーに行くことを優先してた。全体としてもすぐにブロックを下げるんじゃなくて、攻撃の流れのままに守備をするっていうようなアーセナル的なやり方が見られたと思う。

今回の試合では攻撃に人数をかけられたこともあって、切り替え後の守備もかなり効果的に決まってた。実際に2点目は奪われた後にすぐに2人で対応しに行った場面から。この場面に限らず、切り替え後の守備をしっかりと行うことで高い位置で効果的にボールを奪うことが多くなったし、少なくとも相手はボールを蹴り出してしまうことが多くなったと思う。

ただ、この点については確かに攻め込んだ流れだったからこそっていう見方もできなくはない。コンスタントに深い位置まで攻め込んでおいて、それでも奪われたらブロックを作ることを優先するのでは効率が悪いわけだから。でも、同じように攻め込む流れになっていたボスニア戦よりも切り替え後の高い位置での守備に奪う意図が強かったのは事実だった気がする。

それに数少ないブロックを作った流れの中でも守備の開始地点の制限がなくなっていたように感じた。トップはかなり深い位置まで追いかけていってたし、前の2戦では基本は自陣に位置してた中村とか遠藤が敵陣までプレッシャーをかけに行く姿勢も見られた。いかんせん、数が少なかったから正確性には書くけど、守備の意識をより高い位置に持っていってたのは確かだった気がする。

そして、前半はこのやり方にギャップが見られた。高い位置に守備の意識をシフトしたのはいいけど、全体としての意思統一が図れてなかった気がする。積極的なプレスが1つ1つ分断されて、単発になっていた。当然、ギャップができるし、そういうギャップができたときにはダイヤモンド型の問題から中盤がスカスカの状況になった。

前半はそういう中盤がスカスカの状況がかなり多く見られた気がする。タイの1つめのチャンスは左右の展開を織り交ぜたいいものだったけど、内容を見てみると日本のチェックを1つ1つ否されてギャップに入り込まれた形だった。前半10分ぐらい(?)にハーフェイラインで鈴木がファールをしたシーンも、あのファールで止めていなければ後ろには広大なスペースが空いていた。

失点シーンに関してはそこに至るまでの流れがイマイチ分からないけど、1つ1つのチェックに連動性がない中で、最終的に弱点となり得る1ボランチの隙間に入り込まれたんじゃないかって気がする。高度なバランス感覚が求められるダイヤモンド型、前線からの守備の意識っていう2つの危ない橋を渡る中で、微妙なズレが致命的なギャップにつながる可能性があったのは事実だったと思う。

ただし、後半はそれなりにそういうバランスが改善されてきた気がする。前半よりもさらに見ることは少なかったけど、ブロックを作ってから1つのサイドに追い込んで数的優位を作って囲い込むってシーンが見られた。そういうやり方ができるのならば、前線からの守備はかなりの武器になる(実際、切り替えからの流れで武器になってる)。

加えて、そういう積極的な守備を維持するだけの休憩も取れてた。実際には試合を閉める意図が強かったとは思うけど。低い位置でボールを回しながら、しっかりとボールを保持する時間が後半の後半はかなり長くなったと思う。

問題は本格的にこういう守備にシフトしたのか、格下のタイだからだったのかってこと。岡田監督の言葉を聞く限りでは、今回の試合みたいな積極的な守備を突き詰めた形を目指してると思う。ただ、今回の積極的な守備は相手がタイだからできた面が多かったのも事実だった。

本格的にシフトを始めたなら、この後の東アジア選手権で1つのテーマとして取り組んでみても面白いんじゃないかと思う。対戦順から見ても、北朝鮮と中国を相手に成熟をはかり、勧告相手に試してみるってこともできる。ある程度の真剣勝負の場、でも実際に結果はそれほど重視されないっていう環境もいい。やるとしたらここだと思う。見る方としても、そういう点に注目したいと思う。

最後に攻撃陣の組み合わせに関して。

大久保は1つ下で使った方がしっくり来る。今回、ウラへの飛び出しが前回と比べて少なかったのは山瀬がトップ下に入ったからだと思う。山瀬のプレーが悪いってことじゃなくて、やっぱり山瀬は中盤の選手。大久保よりもゴールに抜け出す動きが少ない分、組み立てに参加する意図は強かった。

そうなると中盤的な選手が多くなりすぎる。両翼の遠藤、中村に加えて高原もかなり中盤に降りてきて縦パスを受ける。そういう高原と入れ替わりに2列目が飛び出す前後の入れ替えが見られたのは確かだけど、そこに大久保がいることでそういう上下の入れ替わりが有機的になるように感じた。

そういうわけで、大久保トップ下論はあくまでも高原を軸と置いた場合ってことになるわけだけど。でも、くさびの意図が強いサッカーをしてることを考えると必然的に高原が軸になると思う。そして、その相方は巻か。これは高原が降りてくるときに1人前線で張ってる選手が欲しいってことから。今回の試合の立ち上がりは高原が降り、大久保が流れて、前線が薄くなることがちょっと気になった(その内に前線には多くの人数が入ったけど)。それに、上に書いた前線からの守備を考えても巻がいいかなって思う。

トップ下に大久保を置いたとして、両翼の2枚をどうするか。まだ先の話になるけど、欧州組(特に俊輔)が合流したとき。これまでの流れなら憲剛が抜けて、俊輔が入るのが妥当。でも、このチームでは完全に憲剛が中心になっている。

じゃあ遠藤かってなると、それはそれで難しい。意外な部分ではあるんだけど、遠藤の2列目からの飛び出しは結構面白い効果をもたらしてる。それからシンプルな展開力も魅力的。どちらかって言うとタメタイプのW中村の併用だとリズムの変化が生まれないような気がする。

という感じで後半部分は妄想的な内容になってしまったけど、今回の試合についてはこんな感じ。正直なところもっとシンプルな展開を目指してもよかったんじゃないかってのが本音。それが岡田監督の色だったはずだし。展開については後半に改善されたけど、結局、単純なウラへのボールはほとんどなかった(後半はウラがなくなったのも事実だけど)。

前回の試合で岡田監督が言ってた“きれいに崩す意図”ってのが強く出てしまったかもしれない。特に前半は。要するにきれいに崩せるだけボールが持てたってことだったわけで、結局は最初に書いたように能力差がそのまま出たってことにつながっていく。



■タイ戦 リンク集
【日本×タイ】 あぶなげないスタート(サッカーコラムJ3)
サイドの組み立てを再度考えよう(l.a.t. Project)
勝てたので良いのである。きっと。【2010ワールドカップ3次予選vsタイ】(迷い人)
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2008-02-02 Sat 20:12
マンU×ニューカッスル
<マンU:4-4-2>
FW:テベス-ルーニー
MF:ギグス-Cロナウド、アンデルソン-キャリック
DF:エブラ-ビディッチ-ファーディナンド-オシェイ
GK:ファン・デル・サール

ニューカッスルがやろうとしてたやり方自体は悪くなかった。そういうやり方がある程度はできていた立ち上がりの時間帯は、それなりに可能性のあるチャンスも作れてたと思う。マンUとどちらが主導権を握っていたかって考えても、その後の時間帯のように完全なマンUペースってわけではなかった。

その立ち上がりには4-1-4-1の形をベースとしたやり方が機能してた。守備は敵陣内にはオーウェンだけを残して、自陣で4-1-4の安定したブロックを作り、その組織で受ける形。全体としては、その守備を最初に考えて、そこから攻撃につなげるっていうイメージだった気がする。

その守備で勝負どころとなるのが中盤高めの4の場所。高い位置から積極的にやる形ではなかったから、4のところに相手が入ってきたらっていう受身的な形だったのがちょっと気になった部分だったけど、この時間帯には大きな問題にはならなかった。

そういう4のところに相手のボールが入ってきたら、全体をボールサイドに寄せる。その上で人数をベースとして相手をサイドの狭いところに孤立させるようなやり方が見られたと思う。加えて、4のフィルターによって相手の単純な縦パスを引っ掛けることも多くなった。結果として、中盤の高い位置で効果的にボールを奪えるシーンが増えたように思う。

そうやって奪ったら、それまでの守備のやり方を生かして攻撃に移る。中盤に人数が多いこと、つまり選手間の距離が近いことを利用して、まずはショートパスをつなぐシーンが多かった。そうやってボールサイドで時間を作っている間に遠い場所ではゴールに向かった動きが開始される。そこに単純にボールを送り込むことで一気に相手ゴールまでの距離を稼ぐやり方が見られたと思う。

そういう意味では近さと遠さのバランスがいい攻撃ができてた。近い関係を生み出すための中盤での流動性(ダフは積極的に基本の左サイドを捨ててた)のよさに加えて、遠さを生み出す2列目からの飛び出しのよさも見られた。こうやって守備で引っ掛けてからの攻撃への切り替えとその攻撃の内容見ると、4-1-4-1のよさが利用できてたと思う。

前への守備意識が高いマンUの前線のに守備をさせないような場所で引っ掛けられたのも効果的だったような気がする。強制的に相手の4-2を相手にすることができたし、しっかりと組織ができてない状態で攻めることができた。

とはいえ普段から4-2で守備をすることに慣れてるマンU。慌てず騒がず落ち着いた対応をしてた。結果としてニューカッスルが決定的なチャンスにつなげるところまでは行かなかったけど、こういう攻撃の中で深い位置まで攻め込むシーンを作り出せてたのは事実だった。

そういう意味で立ち上がりのニューカッスルの内容はそれほど悪いものではなかった印象。ただし、こういう流れの中でも所々にその後の圧倒的なマンUペースを生み出すようなギャップが見られたのは事実だったわけだけど。

この時間帯に決定的なチャンスを多く作り出してたのはやっぱりマンUだった。そして、そのほとんどがニューカッスルからボールを奪った後のカウンターの流れから生まれたものだったと思う。ここにニューカッスルのやり方の問題点がいくつか見られた。

1つは攻撃の内容についてのもの。上にも書いたようにニューカッスルは2列目からの積極的な飛び出しが多く見られたと思う。奪った後に前へ前への意識が強かったのも特徴的。だから、ボールの前に多くの人数が入る状況が生まれた。このことは攻撃面だけを見れば悪い状況ではない。相手のゴールにより近い場所に人数が多くなってるわけだし、攻撃の選択肢も多い。

ただし、前に入った選手が待っているっていう状況は好ましくなかった。結果的に前に人数が多いのに、実質的な選択肢は多くないっていう状況が生まれる。その中でマンUの守備陣が途中で引っ掛けるっていう場面が多くなったと思う。

ここにおいて前線に多くの人数が入った弊害が生まれる。要するに奪われた後の最初の守備が効果的に効かないってこと。奪われたときに、最初の守備をすべき選手がさらに前にいるっていう状況が多くなった。そういう選手が守備をするためには戻ってこなければならないわけで、効率が悪い。そもそもの切り替えの守備意識自体にも疑問が残ったわけだけど、とにかく最初の守備が効かずに相手に簡単に前線にボールを送られてしまった。

ただ、この点についてはもう1つの問題が隠されてる。前線に人数が入られたとしたら、普通に考えればその1つ下が最初の守備に入ればいい。それが全く効かなかったのは、その1つ下が最初の守備をするような場所にいなかったからだった。

相手のカウンターを簡単に食らった1つの要因はここまで書いてきたとおり、攻撃時の前への意識が強すぎること。ただし、前への意識が強かったのは前線だけ。この前線の守備の意識に後ろが全くついてきてなかった。SBの攻撃参加はそれなりに見られたけど、攻撃時にも最終ラインがかなり深い位置に置かれたままだったと思う。

結果として前へ前への前線と後ろに残ったままのDFラインとの間には致命的なスペースができあがる。マンUはカウンター時にテベス&ルーニー&Cロナウド&ギグスがそのスペースを使いたい放題の状況になる。完全にDF+バットだけがはがれた相手守備組織に対して、マンUの4人が仕掛けるシーンが多くなった。決定的なチャンスが生まれるのも当たり前。

こういう前後のギャップは致命的。マンUが圧倒的に流れを握った要因はニューカッスルにこの前後の分断があったからだと思う。立ち上がりの時間帯は、それがカウンターの流れからだったから、まだマシな方だったって言っていいと思う。

時間とともにニューカッスルがしっかりと組織を作っている状況でも、この前後の分断のギャップがマンUに使われるようになってきた。というか、そもそも前後の関係性はもともとよくなかったんだと思う。ただ、それまでの時間帯は前だけの関係で奪うことができてたっていうだけだった気がする。そして、その前の関係でうまくボールを奪え勝ったことで前後の分断がダイレクトに現れてしまった印象。

ニューカッスルの守備は上にも書いたように受身的。だから、マンUの最終ラインはある程度自由にボールを持つことができた。その中でセオリーどおりに左右を大きく使ってボールを動かし始めたと思う。結果として4のフィルターの関係が横に間延びすることとなり、それぞれの距離が遠くなる。立ち上がりのように複数での対応ができなくなったし、縦パスに対するフィルターの効果も薄まってしまった。

それからニューカッスルの中盤の4の真ん中(特にエンゾグビア)の選手が途中から別の役割を担い始めたのも原因の1つだったと思う。それはマンUのCMFへの対応。なぜか途中からマンUのCMFを抑える意図が見られ始めた。スタートの段階のように完全に浮かせておくのはまずいと思ったのかもしれないけど、それまで効果的に機能していた中盤の4のバランスを崩す結果になってしまった気がする。

とはいえ、これらは付随的な要因。実際に止めを刺したのはマンUの方のやり方の変更だったように思う。変更と言っても何か目新しいことをしたわけではないけど。普段の試合と同じようにある程度時間が経ったところで前線に流動性を持たせ始めたってだけ。ただ、これがニューカッスルに大きな影響を与えたと思う。

ニューカッスルの守備はここまで書いてきたように積極的に守備をする形ではない。だから、中盤の4のところで勝負すると言ってもそれはあくまでも相手次第。どこに追い込むかっていう意志統一ができてないわけだから。

立ち上がりは相手がポジションをあまり動かしてこなかったから、なんとか狙いをつけることができた。組み立ての中ではSBに入ったところを押さえばよかった。相手の縦パスを受けるのもトップのルーニーかテベスのどちらかだったから、引っ掛けやすかったと思う。相手の大きなポジションチェンジが少ないだけに、誰がどこを見るかってこともはっきりしやすくて、チームとしてのバランスが悪かったとしても個々の守備でなんとかできた。

そういう意味ではマンUが積極的に動かなかったことで、立ち上がりはニューカッスルもいい内容のサッカーができたってことだったかもしれない。逆にマンUが本来的に前線の動きを活性化させてからは、それを維持するのは不可能だった。受身の形だけに相手のやり方に左右されるのは仕方ないかもしれないけど。

ニューカッスルにとって致命的だったのはマンUの前線の選手が容赦なく1ボランチのギャップに入り込んできたこと。あまりポジションを変えない時間帯のマンUはトップ下を置かない構造上、その1ボランチのギャップに入り込む選手はあまりいないこととなる。少なくとも一斉にその場所に入り込むような状況ではなかったから、バットが十分に対応できてた。

対して前線を動かし始めてからは、次から次へのそのギャップに入り込んできた。テベスとかルーニーが降りてきたり、Cロナウドとかギグスが真ん中に流れてきたり。そして、そういう状況の中ではバット1人では対応できなくなって、入り込んだ選手はことごとく浮いていたと思う。

こういう状況の中でも中盤の4の場所を守備の勝負どころにしようっていう試みは続いていた。それまでの時間と同じようなイメージのままにその場所に入ってきたボールにプレッシャーをかけていってた。ただし、その時点でその4の場所自体の関係性も立ち上がりほどはいいものではなかったけど。

そうやって4のところで勝負をしようとするニューカッスルの守備網をマンUが簡単に抜け出すことが多くなった。それは、立ち上がりの時間と比べてマンUの選手には明らかに逃げどころが多くなったから。立ち上がりは選択肢が少なかったために囲まれてしまうことが多かったけど、今や相手の1ボランチの場所には浮いてる選手が選り取り見取り。あえて相手を引き付けてからパスを出すような余裕さえ見られた。

つまり、ニューカッスルの前線の4の守備意識の実効性は消えてしまったと言っていい。それでもその場所で守備をする意図は持ち続けた。中盤の4は守備においても前への意識が高かった(積極的に前へ前へ追いかけるイメージではないけど)と言っていい。でも、後ろは後ろに居残るまま。結果として前後の間にできてしまったスペースはそのまま残されることとなった。

ただ、実際にはそこを埋める意識があったのも事実。マンUがポジションを動かし始めた最初の時間帯は前線に相手CMFに対応する2人(オーウェン+1)だけを残して、中盤が後ろの引き付けられるブロックを作った時間もあった。ただ、結果として相手に陣地を与えてしまったこととか完全に押し込まれて攻撃に行けなくなったことを嫌がったのか、すぐにもとの4-1-4-1に戻された。

そういうわけで1ボランチのスペースはそのまま残されたこととなる。しかも、前後の関係性がよくないから誰がそこを埋めるのかがはっきりしなかったと思う。そのスペースに入ってくる選手に対する対応もかなりあいまいだった印象。

要するに前後の関係での受け渡しができてない状況だった。この1ボランチのスペースに限らず、マンUの前線が降りたり、後ろが飛び出したりっていうことに全く対応できてなかったと思う。完全に浮いてしまっているシーンが目立った。

とはいえ、その浮いた選手がボールを持ったら、そのまま置いておくわけには行かない。仕方なく遅れて対応することとなる。ただ、その時点ではすでにマンUの選手がいい体勢でボールを保持してる状況。個の力があるだけに、遅れての対応では全く効果がなかったと言っていい。しかも、それが単発だっただけになおさら。

そういうわけで、遅れて対応した選手が出てきたスペースがそのままギャップとして残った。このギャップが尋常じゃない。最初の時点でできてしまっているスペースが後手後手の対応の中でどんどんと移動してくようなイメージだった。最終的には同じだけのギャップがゴール前にできてしまっているといっても過言ではなかったと思う。

とにかくマンUは縦パスを入れ放題の展開になった。前線に動きを加えてからはテベスが積極的に降りてきてボールを受けたけど、それがあまりにも簡単に収まった。前線ではそれなりに制限がかかってたはずだけど、前後が完全に分断されたニューカッスルには関係のない話だったから。

そうやって簡単に前線に起点を作ることができたマンUは後ろからの飛び出しも活発化した。後半は特にファーディナンドの積極的な攻撃参加も多く見られたと思う。そうやって人数を増やしておきつつ、前線は動きをやめない。ニューカッスルとしては見るべき選手、見るべき場所が多すぎてもう何がなんだか分からない状態。

しかも、そうやって縦パスが簡単に入るってだけでもマンUにとってはありがたいことなのに、その縦パスが入った時点で完全に相手DFラインのみ(せいぜい+バット)を相手にすればいい状況ができあがってた。しかも、相手のラストブロックは広大なスペースを埋めるためにバランスを崩してる状況。

逆に前線が戻ってきても、埋めるべき場所が多すぎて手が回らない状況だった。多くの選手が低い位置にいるのにギャップだらけって状況が出来上がってたと思う。何でもはや実効性が消えてしまった4-1-4-1を維持しようとしたのか疑問だった。せめてみんなが戻って受ける形にした方がマシだった気がする。

ちなみにこういう状況は後半のビドゥカ投入後に4-4-2に変更した後も見られた状況。だから、完全にシステムが悪いってわけでもなかったかもしれない。やっぱり前後の分断、連動性のなさが根本的に弱点になってたように思う。

そういうわけでマンUの攻撃についてはあまり書くことがない。6得点の要因は相手の守備のまずさに起因するもの。マンUとしては特別な工夫なしに決定的なチャンスを量産できた。はっきり言って6得点でも不満なぐらいに決定的なチャンスは多かったと思う。それを防いでたのはニューカッスルの最後の最後のがんばりだったわけだけど。

その攻撃面であまり目立たなかったのがアンデルソン。チームが前がかってる中で、あまり攻撃に出てくるシーンが見られなかった。個人的には、それは全体のバランスを考えてのものだった気がする。買いかぶりすぎなのかもしれないけど。

チームとしては前線の4枚だけでも十分に攻めきれる状況だったと言っていい。ただ、うまく前線に起点が作れたことでSBも積極的に飛び出していく状況(果てはファーディナンドまで)が生まれた。その中でアンデルソンまでが出て行くと味方のスペースを消してしまう危険性があった気がする。

そういうわけで攻撃に行こうと思えば、いくらでも行けたような流れの中でもあまり積極性は見せなかった気がする。その代わり、相手のカウンター時の守備では十分に機能してたと思う。DFラインとの関係を保ちながら、うまく相手の攻撃の勢いを止めるシーンが見られた。

組み立ての仕事に関してもアンデルソンを経由させなくても簡単にできる状況だった。そもそも、ニューカッスルはボランチのスペースを犠牲にしてでもアンデルソンにはしっかりとマークについてたし。そういうわけで、あまり目立たない展開になったんだと思う。

この点以外はマンUの攻撃はいつも通りだったと言っていいと思う。細かいことを挙げていけば、SBがあまり目立たなかったってこともあるけど。攻撃のスタートになることが多いオシェイはあまりそういう仕事をしなかったし、エブラもいつもほどは積極的に攻撃の上でのタッチが多くはなかった。それだけ真ん中から行ける流れだったとも言えるわけだけど。

後は基本的に1人1人の距離を近づけすぎずに個を生かすっていう本来的なやり方だったと思う。そうやって個で突破するもよし、相手を引き付けておいて味方を使うもよし。個の突破にうまく少ないタッチでのパス回しを織り交ぜながら、相手を混乱に陥れた。

久々に見たルーニーに関しては後者の役割が大きかったと思う。つまり、引き付けておいて味方を使うってこと。無得点だったけど、チームへの貢献度はさすがに大きかった。立ち上がりから決められそうなのを決め切れなかったからか、後半は特にアシスト役に回ることが多かった気がする。

FWに関してはやっぱりルーニー&テベスの組み合わせが一番しっくり来る。前半にうまく1ボランチのスペースに入り込めたのも、この2人の組み合わせだったからだと思う。どちらもポスト的⇔シャドー的、チャンスメイカー(サイド流れ)⇔ゲッター(ゴール前)、ウラ抜け⇔引いて受けるっていうような役割を頻繁に入れ替えながらいい関係性を築いた。

こうやって役割を入れ替えられることが大きいと思う。固定が行われないことで、その場その場での柔軟な対応が可能になる。それにギグス、Cロナウドを絡ませることを考えても、その柔軟性はいい効果をもたらしている気がした。もちろん2人の関係性でのよさも見られたし。

それにルーニーが帰ってきたことで、再び前線の守備が機能した。特に切り替え後の追い掛け回しによって、相手の焦りを生んだと思う。味方の守備(特に前線の残りの3人)のスイッチ役としてとしての役割も大きかった。結果として全体としての前への意識が高まり、相手にプレッシャーを与えることができた。

ニューカッスルの選手のバックパスの数が多くなったし、意図の薄い蹴りだしも多くなった。2点目は間接的には前線からのプレッシャーによって、相手が混乱を来たしたところから生まれた得点だったと言っていいと思う。

その中でルーニーが入ったことで前線の守備の形が整理されたことが大きかったと思う。2トップは1人(多くの場合はルーニー)が追い掛け回し、もう1人(テベス)が1つ下をケアする形ができあがった。その中でテベスの中盤まで戻っての守備も見られた。

ここ最近で見たテベス&Xの形ではテベスの守備意識が十分に生かされてなかったと思う。テベスが守備をするとしたら、前に向けて追いかけることと1つ下の位置のケアの両方が求められる。当然のようにそれは不可能。でも、どちらの役割ももう片方の役割があってこと効果的にできる形。もう片方が期待できない中ではテベスの守備意識も体現されなかった。

ちなみに低い位置での守備は自陣に入ってきたところをしっかりと1つ1つチェックする形。キャリック&アンデルソンのやや攻撃に偏った組み合わせでどうでるかと思ったけど、思った以上に相手の攻撃の芽を摘んでた印象。アンデルソンは本来からそういう仕事もしっかりこなすけど、今回はキャリックが相手のボール保持者の近くで目立つことが多かった。とはいっても、自陣で守備って形はほとんど見られなかったわけだけど。

この試合のマンUは最高に嬉しい内容だったんじゃないかと思う。6-0って結果もそうだけど、エブラ、アンデルソンっていう比較的出場時間の長い2人とベテラン・ギグスを早い段階で休ませることができた。そう考えると、もっと早く試合を決めちゃえばっていう考え方もできるわけだけど。

逆に6-0で負けたニューカッスルは最後の最後の粘りは素晴らしかったけど、早急にバランスの改善を行う必要があると思った。監督の交代、アフリカ系主力の離脱っていう要因があったにしても、ちょっと全体のバランスの悪さが酷かった。

攻撃ではボールの前に人数が入りすぎる気がする。ズルズルと前線に出て行ってしまう形。3失点目はボール保持者が相手のプレッシャーをかけている中で受けるべき選手がズルズルと前線に出て行ってしまった。その中で横パスを引っ掛けられて一気にゴールまで行かれたシーンだった。

守備面ではこれまで書いてきたように前後の分断。縦パスをあれだけ簡単に入れさせてしまうと致命的な展開。近道は中盤を下げるか、DFラインを上げるかして、近さをもたらすことか。近さによって強制的に連動性を持たせるのが一番の近道かなって思った。
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