ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-04-29 Tue 17:58
アーセナル×リバプール
<アーセナル:4-1-4-1>
FW:ベントナー
MF:ウォルコット-フラミニ-セスク-エブエ、Gシウバ
DF:トラオレ-ギャラス-コロ・トゥーレ-ジャスティン・ホイト
GK:アルムニア

<リバプール:4-2-3-1>
FW:クラウチ
MF:リーセ-べナユン-ペナント、プレシス-ルーカス
DF:アルベロア-スクルテル-キャラガー-フィナン
GK:レイナ

CL、リーグ戦、CLの3連戦。その真ん中のリーグ戦がこの試合。両チームともメンバーを大量入れ替え。特にリバプールは完全にCL集中モード。ここまでやるかってぐらいに。何しろ中盤以前は全とっかえ。トーレス、バベル、ジェラード、カイト、マスケラーノ、Xアロンソがファーストチョイスだってことを考えれば、全くの別チームだってことは明らか。リーグの優勝は絶望、4位以内は濃厚になってるリバプールだからこその大胆なやり方。なんだか、毎年そんなことをやってる気もするけど。

対するアーセナルはセスク、フラミニの真ん中はそのまま残さざるを得ず。それに、この時点ではリーグの優勝も十分に狙えたアーセナルだから、この試合も中途半端にできない。そもそもからして疲れるサッカーのアーセナルなわけで、この辺の差が次のCLに及ぼした影響は予想以上に大きかったかも。まあ、その後の結果を知ってるからこその考えではあるけど。

とにかく、完全に別チームであったリバプール。でも、逆説的にその別チームリバプールがきわめてリバプールらしい内容を見せてくれたのが、この試合の立ち上がり。4‐5‐1システムを採用してから消えてしまったリバプールらしさが帰ってきた気がする。4‐5‐1システムのやり方はあくまでも、上に書いたファーストチョイスのメンバーでの4‐5‐1のときのやり方ってことなのかもしれない。

特に守備面ではそれを強く感じさせられた。そもそも、上に書いたファーストチョイスの4‐5‐1を組むようになってから、それまでの前線からの守備のやり方を放棄したリバプール。自陣にブロックを作って待ち構える完全受身の守備で、相手がブロックに入ってきたところでつぶすってやり方に転換してた。挟み込み、囲い込みがうまいリバプールだから、入ってきたところをつぶすっていう守備でも十分に機能してたのは事実。ただし、0‐3で敗れたマンU戦みたいに受身だからこそ相手のやり方によっては圧倒的に劣勢になってしまうっていう状況も背後に隠し持っていたと思う。

じゃあ、なんでシステム変更とともに守備を変更したのかって話。それはリバプール暗黒の1月の影響が大きい。まだ4‐4‐2で戦ってたリバプール。守備もそれまでの通りに前から行く意識が見られた。ただ、いくら前から行こうとしても次々と逃げられてしまう場面が多発してたのが暗黒の1月。トップが守備のスタートとして機能せず、仕方がないので中盤が守備のスタートとなったためにいろんな所にギャップができてる状況。だから、いくら前から頑張ってもボールが奪えないっていう最悪のパターンに。ちなみに、この月は攻撃も真ん中真ん中に入り込んで停滞してしまう流れだった。

というわけで、システムを変更したのがチェルシー戦。この試合ではまだ、前から守備をする意識が残ってけど、その後は完全なる受身へ。前から行って頑張っても無駄なんだから、待ってればいいじゃんっていう開き直りがあったかどうかは知らない。でも、システム変更とともに守備に対する積極性が明らかに薄れたのは事実。それに、中盤が5枚になったことで、ブロックを作って網を張って待ってた方が守備が安定するっていう意識があったかも。

確かに完全受身守備を採用すると、それまでよりは高い位置で奪えるチャンスは減ってしまう。でも、攻撃には前線に破壊力抜群の4人がいる。何も相手のブロックができる前に急いで攻めなければならない理由はなくなった。だったら、安定感を重視しようってことで。実際に守備に安定感が生まれたのは事実であったし。そんな意図があった気がする。

そして、今回の試合でもシステムは4‐5‐1のリバプール。メンバーはガラッと入れ替わっても形は全く変化なし。だったら、これまで通りの受身の守備をやる可能性も十分にあったはず。にもかかわらず、今回の試合の立ち上がりは守備に対する積極性が見られたと思う。4‐5‐1は4‐5‐1でも最近の4‐5‐1とは趣が違ってた。どっちかって言うと、4‐4‐2の守備時に2トップを縦関係にするっていうもともとのリバプールの守備ブロックに近かったと思う。マンU戦で言うならば、4‐5‐1で戦ったちょっと前のアウェーでの試合よりも、4‐4‐2で戦ってた去年末のホームでの試合の守備の内容に近かったと思う。

なんで、こんな変化が生まれたのか。理由の1つとして考えられるのは、上にも書いたように完全受身守備はファーストチョイスのメンバー専用って考え方。相手がしっかりと守備を固めても、それを崩し切るだけの前線が揃ってるからこそ、守備は安定性を求めてればいいってこと。逆に1枚落ちの今回のメンバー(それでもとんでもない人たちの集まりだけど)だったら、相手がブロックを作る前に攻めきるのが得策って考えたかもしれない。より高い位置で奪ってからのショートカウンターっていう狙い。

同じことを単純なる守備面から見ることもできる。要するにトーレスは守備をしてくれないけど、クラウチは守備をしてくれるってこと。そういえば、ほとんどファーストチョイスに近いメンバーでも4‐5‐1でも前からの守備意識が残ってたチェルシー戦。そのときに前線で異なってたのは、1トップがトーレスじゃなくてクラウチってことだった。

もう1つは、もっと切実なもの。それは相手がアーセナルってことを考慮に入れたもの。これまでにも書いてきた(後でも何度も触れることになる)通り、アーセナルの攻撃は縦パスが前線に入るってことがポイントになる。縦パスが入ったころをスイッチとして、そのボールに複数の選択肢を作るようなポジションに周囲が移動する。そうやって周囲が動いた場所に、その次が入ってくる。こういう動きをボールが動くたびに繰り返すのがアーセナル。文字どおりに人もボールも動くってのは今までにも触れてきたとおり。

そして、そのアーセナルタイムが始まっちゃったらもう相手は狙いどころが定まらない。何しろ1タッチ2タッチで次々にボールを回してくるアーセナル。だから、ボールを抑えるのは至難の業。じゃあっていうんで人を捕まえようとしても、それはそれで無理な話。何しろ 神出鬼没で次々にいろんなところから選手が出てくるアーセナルだから。

そういうわけで、アーセナルと対戦する相手はなんとしてもそのアーセナルタイムを始めさせないアプローチが必要となってくる。そして、その1つの方策として縦パスを機能させないってものがあるわけ。上にも書いたように、縦パスが全ての始まりとなるアーセナルだから、逆にいえばそれを抑えちゃえば何も始まらないってことになる。

例えばバーミンガムのやり方が1つ。ベタ引きで縦パスの入りどころを窒息させるってやり方。これは成功した。でも、良くも悪くも格下の戦い方。だったらってことで、今回のリバプールのやり方が出てくる。つまり、縦パスの出し手の方にしっかりとプレッシャーをかけてくってもの。そうやって自由にボールの配給をさせない。同時に次を狙うのが大得意のリバプールだから、そうやって前線で制限をかけておけば相手の縦パスを引っ掛けるのも簡単だった。

というわけで具体的なやり方について。守備の最初は4‐5‐1ブロックの形成。これはリバプールの恒例行事。受身だろうが、前からの守備だろうがまずは守備ブロックをセットする。もちろん、システムが変わっても変わらない部分。そこから、どうするかに違いが出てくる。受身のときにはどうもしない。相手がブロック内に入ってくるのを待ち構えてる。ただ、ここまで書いてきてとおり今回は受身の守備ではなかった。自分たちから動きを始めるような守備のやり方が見られたと思う。

まず、相手のCBはある程度フリーにしておく。ただし、そのCBがボールを持ちあがってある程度のゾーンに入ってきたらクラウチが対応。後ろとの関係を考えて、意図的に1つのサイドを切るようなプレッシャーをかけてた。相手SBに関してはボールが入ってから対応。ここが受身の守備とは大きな違い。受身のときには低い位置の相手SBは浮かせとく。でも、今回は相手SBにボールが入ったところでリバプールのSMFがブロックから出てきてプレッシャーをかけに行った。もっと厳しく行くのが相手のCMFのところに対する対応。入ってから対応する相手SBへの対応とは違って、入りどころを狙っていく。少なくとも前を向かせないような守備を行ってたと思う。

つまり、相手が1つ前にボールを入れてきたら守備を開始してたのが今回のリバプール。前への守備意識が高い2列目の3枚はフィルターとしての役割も担ってたと思う。受身のときの2列目の選手は後ろとの関係が主になってくるから、ここは大きな違い。それに、自分たちのブロックに相手ボールが入ってきたら守備を開始する受身守備と比べると、より高い位置から守備ができるのは明らか。

そして、守備のスタートが1つ高い場所になったことで勝負どころも高めの場所に移行してたと思う。そもそも前線でしっかりとプレッシャーがかかり制限がかかってるっていうことが、後ろのラインを押し上げることにもつながった。だから、いつもより高めの位置でコンパクトなブロックを形成したのが今回のリバプール。そして、上にも書いたとおり次のよさがあるのがリバプールの守備。前がしっかりと制限してるから、無理に相手が縦に通そうとしたところはことごとく引っ掛ける。いつもよりも高い位置でリバプール得意の挟み込み、囲い込みも多く見られる流れだった。

さて、これで困ってしまったのがアーセナルだった。ここまで書いてきたとおり、アーセナルの攻撃のポイントになるのは縦パスが前線に入ること。リバプールの守備によって、それが入らなくなってしまった。CMF、SBは満足に出し手として機能できない状況だったし、浮き気味のCBでは距離が遠すぎる。だからと言って、高い位置まで持ちあがろうとすればクラウチにしっかりと対応されてしまうし。そんな流れの中で無理やり前線に入れようとしたボールはことごとく引っ掛けられてしまった。攻撃のスタートが切れないアーセナルは低い位置で無為にパスを回す時間が長くなったと思う。

そうやって前線にボールが供給されない状況で痺れを切らしたのが2列目のフラミニとセスク。アンカーのGシウバの位置まで降りてきてボールを受けようっていう動きが多くなる。ただし、そうやって降りて受けようとする2人にも相手のルーカスとプレシスがしっかりと対応。だから、低い位置で受けたとしても、自由にはさせてもらえなかった。前を向けずに結局は後ろにただはたくだけっていうことが多くなった気がする。

しかも、これがさらなる悪循環を生むこととなった。相手SMFが蓋となって前線に出ていけないアーセナルのSB。Gシウバは相手のべナユンがしっかりと見てたし、そもそも本人の前線に出ていく意識が薄かった。そこにセスク、フラミニが降りてくるアーセナル。前線はベントナー、ウォルコット、エブエの3枚だけ。前線の人数が足りずに、ますますボールが供給できない状況に陥ったと思う。悪いときのバルサの流れ。

リバプールとしては非常に守りやすい。相手の受け手の選択肢はウォルコット、ベントナー、エブエの3枚だけ。しかも、ウォルコットとエブエはサイドからあまり離れない。ベントナーは収まりが悪い。押さえるとはとっても簡単だった。よって、守備の意識は益々前へと向けられることとなる。背後への心配がなくなった2列目の選手は、心おきなく相手の出し手へプレッシャーをかけていける状況が生まれたと思う。アーセナルを完全なる悪循環に陥れた。

こういうアーセナル×リバプールの流れを逆から見ると興味深い。つまり、アーセナルの守備×リバプールの攻撃っていう方向で見るってこと。なぜなら、アーセナルの守備の考え方もリバプールのそれと大きくは違わなかったから。ただし、リバプールの攻撃がアーセナルの攻撃とは大きく異なってたことで、その様相は全く違うものになっていた。その辺を見ていきたいと思う。

アーセナルの守備の根本にあるのは、最短距離を切りながら守備をしてくって言うもの。これは今までにも書いてきたとおり。その守備をどこから始めるかっていう部分についてはリバプールと似てたと思う。相手のCBにはある程度自由にボールを扱わせるけど、そこから1つ前に入ってきたところでプレッシャーをかけるってもの。今回はシステムが4‐1‐4‐1になったアーセナルだから、いつもよりも中盤の4が1つ前にいることになる。そういう意味では、より高めでの守備が効きやすい状況にはあったし、意識としてもいつもよりはスタートを前目に持って行ってる印象も受けた。

ただし、それが実効性を持ったかって言えば微妙。守備の質としてはリバプールのそれと大きくは変わらないのに、機能性は全く違うものになった。アーセナルの攻撃を完全に押さえてたリバプールの守備に対して、アーセナルの守備はリバプールの攻撃を押さえられてたとはお世辞にも言えなかったと思う。そして、その違いはどこから来たのかってことだけど、それは上にも書いたとおり両者の攻撃のやり方によるものが大きかったと思う。

アーセナルはとにかくパスを回す。久々に見たアーセナル、前に見たときは1発で蹴るようなボールを織り交ぜる柔軟性を見られ始めてたんだけど、今回は本当につなぐ意識が高かった。1発で前線に蹴るボールは皆無だったって言ってもいいかも。トップがアデバヨールじゃなかったことと関係があるのかもしれない(足元でも収まりが悪いベントナーに1発のボールは荷が重いとか)。とにかく、相手のブロックは自分の前で回るボールを注意してればよかったってことになる。結果として、大きなギャップが生まれなかった。

対して、リバプールの攻撃。リバプールらしいロングボール1発を多用。こちらはいつもよりも多いぐらい。後で詳しく書くけど、メンバー大幅入れ替えの影響があった気がする。そして、このロングボールの多用とアーセナルの守備との相性が抜群によかった。リバプールにとって。

リバプールが1発のボールを蹴るのは相手の2列目が守備をしようと意気込んできたとき。つまり、1度ブロックを作った相手の中盤の選手がブロックから飛び出して相手がプレッシャーをかけてきたとき。そのプレッシャーをあざ笑うかのように、頭の上を越えるボールを前線に蹴りこんでいった。この時点でアーセナルの中盤は引っ張り出され気味。常ににDFと中盤が近い関係を保つのも難しいわけで、リバプールがロングボールを蹴るタイミングではその間にギャップができてたって言える。

ここで4‐1‐4の1がケアすべきスペースが広がることとなったアーセナル。そもそもGシウバは相手の1.5列目に位置するべナユンを見る役割が大きいわけで、他の選手がその間に1の場所に入ってくると浮いてくるシーンが多発。そして、そこに入ってきたのは単純にクラウチ。リバプールのロングボールはやや下がって相手のDFから離れ、相手の1の場所で浮いたクラウチに入りまくりだった。

その後の展開。一番シンプルなのは、クラウチが競って近くのべナユンが拾って、そのままゴールへ向かうってパターン。得点シーンがまさにその形。ただし、もう1つのパターンもあったと思う。それはクラウチの頭を経由しておいて、再び作り直すってもの。アーセナルの守備にとっては本当に厄介な攻撃につながったのがこのパータンだった。

1発のロングボールでクラウチを狙うリバプール。クラウチは相手の4‐1-4の1の場所でうまく浮いて、そのボールを受ける。べナントが近くにいて、そのクラウチをフォローする。ここまではおさらい。さて、この時点で前への守備をしようとしてたアーセナルの中盤の4は後ろの引きずり降ろされる。間にうまく入り込まれて起点を作られてるんだから当たり前。

そうやってアーセナルの中盤の4を後ろに向けたリバプールは作り直す。相手のブロックの真っただ中の4-1-4の1の場所から、相手のブロックの外へ1度逃げるってこと。ここでポイントが2つ。1つはリバプールの方のプレシスが浮いてたってこと。アーセナルが安定したブロックを作ってた時には、ボールを持つとプレッシャーに晒されてたプレシス。でも、相手の中盤を押し下げてことで自由にボールを扱える状況になってた。

さらに、後ろから前線へ送り再び戻すっていう一連の流れの中でリバプールの前線には厚みが増してる。プレシスの相方ルーカスはいつものように、前線への飛び出しを活性化させ、さらにSB(特に左のアルベロア)も積極的に攻撃に参加していた。最初の時点ではクラウチ&べナントの関係しかなかった前線だったけど、作り直しを入れることによって前線に厚みを加えることが可能になった。

さて、出し手としてのプレシスが浮いたリバプール。アーセナルの方もそこを浮かせたままじゃまずいって意識が働く。前へ後ろへと動かされたアーセナルの中盤は、今度は前に向かって引っ張り出されることとなった。本当に行ったり来たり揺さぶられまくり。もちろん、後手後手の対応なわけで、プレシスは相手が寄せてくる前に前線にボールを供給。ギャップだけを残してきてる相手の中盤のウラに入り込むのは簡単だったと思う。結果として、再び相手の4-1-4の1の場所に入り込むことに成功。しかも、今度はしっかりと人数をかけた状態で。

この2列目の場所にリバプールとアーセナルの守備の大きな違いがある。リバプールの2列目は上にも書いたとおり、自分の前に対する守備だけをしてればよかった。これはアーセナルが、絶対にその中盤の2列目の場所を通るようなビルドアップをしてたから。そこを抑えることを目標にしてればよかった。だから、相手のCMF(または降りて行った選手)に対しては先手先手で入りどころを狙うことができた。

対してアーセナルの2列目は前へ後ろへと揺さぶられる展開。これはリバプールの攻撃が必ずしもアーセナルの2列目の場所を通るようなやり方ではなく、その2列目をロングボールによって飛び越すっていうやり方を採ってきたから。結果としてアーセナルの2列目は前に向けてだけ守備をできない状況。しかも、常に後手後手に回るっていう形。同じような守備のやり方なのに、その機能性に大きな違いが生まれたのはこの部分からだった。

ちなみに、ここまで見てきて分かるようにリバプールの攻撃はクラウチを常に目標としたものだったと思う。メンバーが大幅に入れ替わってる以上、このやり方はかなり合理的だった。チームとしてクラウチに当てることが最初の選択肢だったし、クラウチに入ったところで全体の動きが活性化してた。後ろからの攻撃参加(ルーカス、アルベロア)を多くしたり、下がって受けたクラウチを2列目が抜いて行ったり。べナユンを中心としてクラウチの近くで関係性を作ろうっていう動きも多くなった気がする。

クラウチ自身も軸としての役割を十分にこなしてた。真ん中にこだわらずにボールを引き出す動きをしてたし、何よりも真ん中での収まりの良さが圧倒的。受けるときに相手のマークから浮いてるシーンも多々。足元でも高いボールでもそこで収まることによるチームの安心感はかなりのものだったと思う。そして、その収まったボールのその後の展開での周囲の活かし方も素晴らしかったと思う。クラウチの高さっていう武器と足元のうまさを存分に発揮した今回の試合だった。

良く言えばシンプル、悪く言えば馬鹿正直とも言えるリバプールのやり方。でも、ここまで書いてきたとおりの大幅メンバー入れ替えの中では一番の選択だったと思う。何しろ分かりやすい。クラウチを目標にするっていう意思統一が行われれば、コンビネーションの不安をある程度は軽減できる。メンバー大幅入れ替えでも難しいことをやろうとし続けたアーセナルとは対照的だった。どちらがいいかってことは別にして。アーセナルとしても新しい選手にアーセナルのやり方を植え付けるっていう意味はあったと思うし。

攻守に渡ってアーセナルの良さを消したリバプール。これでこの試合は決まりだろうなっていう雰囲気があった。何しろリバプールの前にアーセナルは何1つできることがなかったわけだから。でも、突如としてこの流れに変化が生まれる。それは、意外に早い前半の15分前後の時間帯に訪れた。

この時間になってリバプールは急に守備のやり方を変更。なぜなのかは全く分からないけど、それまでの時間で完全にアーセナルの攻撃を封じてた守備を放棄。その代わりとして、受身守備が見られるようになった。この受身守備も微妙にいつもの4-5-1とは違って、べナントとクラウチがトップで横並びになる文字どおりの4-4-2。そして、この4-4-2ブロックは完全に自陣に作られた。それまでは中盤の2列目の3がハーフェイライン付近で守備をしてたわけだけど、4-4-2に変更してからは2トップがその位置に。全体としてどれだけ下がったかがよく分かると思う。

アーセナルにとってはありがたいことずくめのこの変更。まず、出し手が完全に浮いてきた。SBがボールを持った時のプレッシャーは今やほとんどなくなったし、CMFもブロックの外で浮いてきた状況。そして、CBも含めて出し手の選手がそれまでよりも高い位置までボールを持ちあがれるようになったと思う。そうやって出し手が浮いたことによって、前線の選手が助けに来る必要もなくなった。つまり、それまで3枚しかいなかった受け手の枚数が増えたことになる。さらにさらに、ハーフェイライン上の相手の3がいなくなったことで縦パスのフィルターも取り払われることとなった。

これによってアーセナルに光が見えてくる。何しろついに待ちに待った縦パスが入るようになったわけだから。今や縦パスを入れることに何の障壁もなくなった。ただし、相手はリバプール。そもそも受ける形であっても、十分に守備が安定するリバプールだから、入りどころに対する対応はしっかりとやってきたのは事実。それでも、アーセナルにしてみれば、それまで全く前線にボールを供給できなかった状況から比べれば、かなり相手ゴールに近づいたと思う。

縦パスが前線に入らないと動きが生まれないアーセナル。逆に縦パスが入れば、自然と前線の動きが活性化してくる。上にも書いたように、相手の守備によって縦パスを狙われることもあったけど、それがだんだんと減って行った。ボールが前線に供給されるようになったアーセナルは水を得た魚。全体の動きが徐々に良くなっていき、結果として前線で制限がかかっていないリバプールの守備陣が捕まえられない状況が生まれてきたと思う。

こうなればアーセナルタイムの始まり、始まり。近い関係で少ないタッチでパスが回って行くシーンが見られるようになっていった。ただし、いつもほどのアーセナルタイムにはならなかった。まず、1番はアデバヨールではなくてベントナーだったこと。ここまで書いてきたとおり、ベントナーへの収まりが悪い悪い。さらに、収まった後にももたつくことが多かった。結果としてベントナーのところでパス回しの分断が起こった。さらに、Gシウバがあまり攻撃に参加してこないこと、SBが攻撃参加のタイミングをつかめないこと、両サイドのウォルコットとエブエがサイドに居座ったことがあったから、いつものようなアーセナルタイムにはならず。ポジションも固定気味で常識にかなったレベルの流動性しか見られなかった。

要するに、メンバーが変わった影響がダイレクトに表れて、パス回しにギクシャク感がありまくりだったのが今回のアーセナル。それでもパスが回ってくのがアーセナルの恐ろしさ。いつもと比べるとスムーズさに欠けたとしても、リバプールの守備の狙いどころが定まらない状況が徐々に増えていく。それとともにアーセナルが深い位置まで攻め込むシーンも多くなったと思う。

こうなるとアーセナルの守備に機能性が生まれていく。アーセナルの守備の一番の勝負どころは、攻撃後の切り替え。そこですぐにラインを下げずに、攻撃の勢いそのままの守備をするってこと。立ち上がりの流れは前線にボールが出ず、人数もかけられず、深い位置まで攻め込むことができず、よって切り替え後の守備っていうものは全く機能しなかった。これに対して、攻撃の形ができてきてからのアーセナルは高い位置での守備が機能するようになったと思う。後半に限って言えば特に、そういう流れの中でリバプールの攻撃にはカウンターっていう選択肢しかなかった印象。

だからこそ、リバプールが守備のやり方を変えたのがなんでか分からない。後半になれば前半の最初の機能性の高いやり方に変えてくるかなって思ったけど、それもなく。前線から守備をしたら疲れるからなのか(次のCLに向けて体力温存しろってことか)とも思えなくもないけど、アーセナルにパスを回されまくった方が自分たちから守備をしてアーセナルに何もやらせないよりも、よっぽど疲れると思う。

とにかく狙いどころが定められなくなったリバプールは全体を押し下げられてしまう時間帯が長くなった。4-4ブロックで最後を固めるような展開が目立って行ったと思う。つまり、4-4-1-1で戦うことが多くなったってこと。カウンターを仕掛けようにも先細りで相手に守られてしまうわけで、これがジェラードが交代後の長い時間消えてしまった要因になったと思う。

そういう流れがトーレスの投入で変化したのはさすがと言うべきか。もちろん、運動量の落ちる時間帯、さらにアーセナルが前に人数をかけてきたってのはあったとは言っても。さすがにマンU相手の超劣勢の流れで前線で孤軍奮闘してたトーレス。4-4に守備は任せて、前線で引き出す動きを繰り返しまくり。そうやってうまくボールを引き出して、ジェラードとの関係で相手ゴールに迫るシーンが多くなった印象。

久々に見たアーセナルの試合だけど、やっぱりメンバーが違うと期待どおりのものは見れないなってのが素直な印象。立ち上がりなんかは特に相手ブロックに入り込む糸口が全く見えなかった。リバプールが守備のやり方を変えてくれなければ、何にもできずに終わっただろうなって思う。リバプールが守備のやり方を変えて、さあアーセナルタイムの幕開けって思っても、いつものアーセナルタイムにならなかったってのは上にも書いたとおり。前に見たときには、柔軟性が出てきたように見えたアーセナルだったけど、やっぱり根本のところは変えられないんだろうなって思った。で、その根本のところは恐ろしく成熟が必要だってことを再認識。エドゥアルドがいなくなって一気に調子を落としたのも、そういう部分に影響があると思う。

対してリバプールはあれだけメンバーを変えても形になってた。何よりもシンプルにやったっていうのが大きいんだろうけど。クラウチを中心に据えたってのもそうだし、平行移動的(つまり流動性が少ない)攻撃も舞い戻ってきてた。下手にポジションを変えない方がいろいろと整理しやすいってことか。もちろんメンバー個々の特徴もあってのものなんだろうけど。しつこいようだけど、守備を変更しなかったらもっと楽に主導権を握れたはずだったと思う。

それから、今回の試合ではクラウチが本当に素晴らしかった。上にも書いたとおりだけど。アーセナルのトップがベントナーじゃなくてクラウチだったら、もっとアーセナルのパス回しの流れもよくなってたかなって思うレベルで。逆にリバプールのトップがクラウチじゃなくてベントナーだったら、リバプールの単純攻撃も機能しなかったかなっていう。なんかベントナーをボロクソ言ってるみたいになっちゃったけど、それだけクラウチのプレーの質が今回の試合では高かったってこと。とりあえず、今の処遇はもったいないなって思う。リバプールにとってはありがたいんだろうけど。
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