ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-05-18 Sun 18:21
エバートン×チェルシー
<エバートン:4-4-2>
FW:ヤクブ-Aジョンソン
MF:マヌエル・フェルナンデス-Pネビル-カーズリー-ピーナール
DF:レスコット-ジャギエルカ-ヨボ-ヒバート
GK:ハワード

<チェルシー:4-3-3>
FW:カルー-アネルカ-Jコール
MF:エッシェン-SWフィリップス、ミケル
DF:Aコール-テリー-カルバーリョ-フェレイラ
GK:チェフ

リバプール戦でのエバートンは精彩を欠いていた。その要因はシステム変更。ケガ人続出のチーム事情を反映していつもの4‐4‐2を採用できず、4‐1‐4‐1での試合に臨んだ。特に大きかったのが2トップ→1トップへの変更。攻撃ではトップを狙うのが目標の1つであるエバートン。その目標が2枚から1枚になってしまったわけで。その影響は多大。さらに、2列目が1トップのヤクブに効果的に絡めず、ヤクブは1人でいつもの2人分の仕事量を要求されてたと思う。結果、トップ不在のイレギュラーな状況が多く見られた。

守備ではトップが追いかけることをスタートとしているエバートン。そのトップが1枚になってしまったことによって、守備のスタートが切れなくなった。それに伴って人をしっかりと押さえる後ろの守備の良さも消え気味だったように思う。エバートンらしくないエバートンが見られたリバプール戦だった。後々のことを考えると、このリバプール戦での敗戦は痛かったし。

そう考えると今回の2トップの採用はリバプール戦から比べれば明らかな好材料。立ち上がりは2トップに戻ったことによって、いつものエバートンらしい内容が見られたように思う。攻撃では単純にトップを狙うボールが増えた。リバプール戦でもそういうボール自体は多かったけど、その実効性が全く異なってた印象。何よりも単純にターゲットが2枚になったこと、結局ヤクブに入れるとしてもすぐ近くに相棒がいたことが大きかったと思う。1トップになったことで、ヤクブが真ん中に重点を置けたのも好材料。

さらにチェルシーとリバプールの守備の違いも影響を及ぼしたような気がする。リバプールの真ん中の場所はCB-CMFの2-2が距離を近づけて一体となって押さえてる。対してチェルシーの真ん中は枚数的にも2-1だし、加えて最終ラインと中盤の関係性がリバプールほどよくない。だから、エバートンの1発のボールが収まりやすかったって言える。

そうやってトップに単純に入れたボールをサイドに展開するのがエバートンのやり方。これはリバプール戦でも見られた形。立ち上がりはしっかりと機能してたチェルシーの中盤での守備。エバートンがパスをつなぎながら組み立てを行おうとすると、ことごとくチェルシーの中盤で引っ掛けられてしまった。だから、その中盤を飛び越すボールを蹴っておいて、その後に展開をするってのは理にかなった考え方。トップに当ててピーナールへ(今回は右サイドに入った)っていうエバートンの攻撃の1つのパターンが目立った印象。2トップにしたことでこの一連の展開がスムーズに運んだと思う。

ただし、2トップにしたことによるエバートンの良さが見られたのは本当に立ち上がりの数プレーのみだった。なぜならば、その後はチェルシーに攻め込まれる時間帯が続くことになったから。それについて、ここから詳しく見ていくことになるけど、簡単にいえば本来やりたい4-4-2を維持できなくなったってこと。チェルシーに押し込まれたエバートンの守備ブロックは4-4-1-1になる。この4-4-1-1がいろいろな弊害を生み出した。マンUほどとは言わないけど、エバートンが安定してるのは4-4-2というよりは4-2-4みたいな形のとき。というか、本来は4-1-3-2で戦ってるわけだし。そういう、攻守に渡って前がかり気味のシステムが維持的なくなった時点で、エバートンは悪循環の波に飲み込まれて行ってしまった。

最終的には押し込まれてしまうことになるエバートンだけど、本当にやりたかった守備のやり方はいつもどおりのものだったと思う。つまり、上でも触れたようなトップが前線から追いかけて後ろが人をしっかりと捕まえるってこと。最前線を2トップの形で維持できてた時間はリバプール戦のように守備のスタートがうまく機能しないなんてこともなく。相手のCBの持ち上がりを防ぎながら後ろとの関係で制限を加えるような守備のスタートが機能してたと思う。

ただし、チェルシーはなんだか知らないけどビルドアップが抜群にうまい。昨日見たマンU戦もそうだったし。チェルシーのビルドアップの特徴はゆっくりと確実にってこと。低い位置のボールに対しても近づくランニングを組み合わせながら、近くに逃げ場を常に置いておく。低い位置のボールに対して近づくランニングをするってのは、つまり上から選手が助けに降りてくるってこと。これじゃあ、前線が薄くなってしまう。それを防ぐために、1人が下がってくれば別の選手が入れ替わりで出て行くっていう動きがチェルシーのビルドアップの特徴の1つ。前の人数を減らさずにボールを徐々に高い位置に持って行く。その中で全体が押し上げていくみたいな。

前が降りてきて代わりに別の選手が出て行く。これはアーセナルのビルドアップでも見られる形。でも両チームではゴールに向かう意識に雲泥の差があるかなって気がする。アーセナルは今までにも書いてきたように、ゴールに向かうためにパスをつないでいく。だから、少ないタッチでスピーディーに次々と局面を変えていく。対して、チェルシーはある意味ではパスをつなぐためのパスが多い。ゆったりとしたリズムで広いとこ広いところをつないでいく。ゴールに向かうために狭い所にでも強引に入り込んでくなんて考え方はチェルシーにはないと思う。

そう考えると、どちらかというとミランに似てるかなっていう。後で書くようにパスがつながりまくっても相手ブロックに仕掛けられないあたりはそっくり。でも、ミランと比べるとそれはそれで違いがある。ミランのパス回しには真ん中を空けるっていう目標があるけど、チェルシーの方にはそんな目標は感じられない。とにかくボールをつなぎまくろいっていうイメージ。去年の日本代表の近いのかも。なんていうことを言ってるときりがないので、比較はこれぐらいに。

前にチェルシーの↓↑の動きってのに触れたことがある。ここまで書いてきたような、1人が降りてきて別の選手が代わりに出て行くっていう。チェルシーのこの↓↑は質が高い。上の選手が降りてきて相手を引っ張り出したスペースを、後ろから出て行く選手が効果的に活用。マンUとかエバートンみたいに人への意識が強いチームに対してはさらに効果的に機能する。引っ張り出しておいて背後に入り込むっていう動きの中で的確に間に入り込んでくる。そこで浮いた選手が簡単にボールを受ける。そうやってスムーズに前線にボールを運ぶことができると思う。

しかも、こういう一連の流れをボールを動かしながら行うのが今のチェルシー。逃げ場を常に維持しながら、相手がプレッシャーに来たところでシンプルに次の場所へと逃げて行く。よってエバートンの方は守備の狙いどころが定まらない。ボールを回されて、狙いに行ったところで簡単に否される。守備が後手後手に回って、むしろ背後にギャップだけを残してきてしまう困った状況。そのうちにズルズルとブロックが押し下げられて行ってしまった。これが4-4-1-1悪循環の始まり。

ところで、前線で頑張ってたはずのエバートンの2トップの守備はどうなったのかって話。上にも書いたように、2トップが2トップのまま維持されていた時間には2人が守備のスタートとして効果的に機能してたと思う。でも、これに対してのチェルシーの対応もしたたかだった。相手のトップの守備が効果的に機能してるとき、つまりCBがボールを持ちあがれないし、前線に出そうとしても狙われてるとき、チェルシーのCBは単純に前線に蹴ってしまった。

今回の試合ではトップがドログバではなくアネルカだったチェルシー。よってロングボールを蹴っても全くチャンスに直結せず。というか、普通に相手ボールになることが多かった。でも、相手ブロックを押し込むことには成功したって言える。ロングボールで相手ブロック全体の後ろへの意識を高めておいて、改めて組み立てなおすっていうアプローチが目立った印象。

こういう部分を見ても。チェルシーの組み立ての中にあるのは自分たちの陣地をいかに増やすかっていう考え方。とにかくボールをつなぎたいチェルシーだから、相手のプレッシャーがない安全地帯を増やすことが何よりも目標になってたと思う。相手が全体として前に守備意識を向けてくれば、迷わずに蹴ることで後ろへの意識を高めるし、中盤のところで守備意識を高めてくれば、DFとの間のギャップに入り込んで、中盤の前への意識を削いでしまう。さらに、常に安全な場所安全な場所へとつないでいくポゼッションで相手に狙いどころを定めさせない。ブロックをズルズルと引かせるとともに、引いてしまったブロックを深い位置に釘づけにする。そんなチェルシーの攻撃だった。

ただ、そういうビルドアップまではスムーズだったチェルシーの攻撃の勢いがラスト1/3のところで一気に陰ってくる。ビルドアップのうまさをベースとしながら、相手を押し込んで自分たちの陣地を増やすことには成功したチェルシー。でも、そこからゴールに向かうにあたってどうすればいいのかってことが全く見えず。昨日のマンU戦の時に書いた懸念がダイレクトに表れてたと思う。

ドログバがいたマンU戦では、そのドログバを目標とすることで思ったよりも相手のラストブロックに仕掛けていく回数が多くなった。ドログバの存在が強引な入り込みにつながったって言える。でも、今回のエバートン戦のトップはアネルカなわけで。アネルカはドログバほど確固たる存在じゃない。結果としてどうしようもないとしか言えない展開が生まれた。

昨日も書いたとおりアネルカはトップの場所を不在にすることが多い。ただ、今回の試合を見て改めて思わされたのは、そのトップを留守にする動機が不純だってこと。全体のバランスを見てとかパス回しを助けるためっていうよりは、ただ単純に狭い場所が嫌いってだけのような気がした。アネルカが相手が作った4-4のブロックから簡単に出てきてしまって、ブロックに仕掛ける上での目標がいなくなってしまった。ただ、そのブロック内で待ってたとしてもアネルカにドログバほどの信頼感があるかどうかは微妙なところだけど。

ボールが大切なチェルシー。ドログバにならばたとえボールを失う可能性があったとしても無理やりに狭い場所にボールを送り込む価値があると考えられる。でも、アネルカはそのブロック内にはいないし、いたとしてもボールを失うリスクの方が高いと判断される。よってチェルシーの攻撃の中ではゴールに向かうことよりもボールを失わないことが優先されてしまっていた。パス回しはすべて相手のブロックの外外をつなぐもの。ボールはよく動いてるし、その中でパス&ゴーを織り交ぜながらリズムを変える場面も見られる。でも、例外なくボールは相手のブロックの外外でつながっていった。

だから、ポゼッション率を高めてもゴールに向かうシーンが恐ろしく少なかったのが今回のチェルシー。しかも、相手のラストブロックへの仕掛けの選択肢も恐ろしく少ない。目立ったのは外外でボールをつないだ上で、結局ラストも外からって形。サイドでWG-SBが関係性を作って深い位置までえぐり、そこからクロスっていうやり方。でも、左のカルーは中に流れ気味で縦をえぐることが少なかったし、右は右でJコールが乗り切れてなかった今回の試合。セットプレーを含めてキックの精度がかなり低かった。よって効果的なクロスを送り込むことは結局できなかったと思う。

それにクロスに対して反応する中の選手が少ない。ボールを支配して前線に人数をかけてるのにも関わらず。ボールは友達のチェルシー。ボールを失いたくないから相手のラストブロックに仕掛けないってのはここまでにも書いたとおり。同時にボールが欲しい選手が次々にボールに近づいてきてしまう。ブロックの外でボールが動いてるわけだから、選手はみんなブロックの外に出てきてしまう。結果として相手のブロックを取り囲むようにチェルシーの選手が配置される状況が目立った。攻撃に人数をかけてるのにゴール前が薄いっていう謎な場面が多々見られた。

そんな中、相手のブロック内で孤軍奮闘してたのがSWフィリップス。アネルカがしばしばトップの場所を留守にすることによってできたスペース(と言っても敵は密集)の中で爆発的なランニングを繰り返してスイッチとして機能したと思う。チェルシーがエバートンのラストブロックに仕掛けたり、強引にエリア内に入り込んだりっていうプレーのほとんどは実質的にSWフィリップスの動きによって引きだされてた。ただし、やっぱり1人だけの動きじゃ辛いわけで。なんとかブロック内に入り込んだとしても、ことごとくエバートンの密集守備ブロックに跳ね返されてしまっていた。

だからこそ、得点シーンには意味があったと思う。このシーンは今回の試合で唯一エッシェンが相手ブロック内に入ってきたところから生み出された。それ以外の時間のエッシェンはとにかく相手のブロックの外でのプレーが目立ったと思う。ブロック外でのタッチ数を増やしながら、よく言えばうまくボールを散らして組み立てを行ってた。ただし、あれだけ押し込んでいたことを考えれば、その仕事はミケルに任せてもよかったんじゃないかって気がする。むしろ、エッシェンがブロック外で目立ちまくってる状況は前線が薄くなることを意味してたわけで。得点につながったことからも分かるとおり、もっと積極的にゴール前に出て行くプレーをすればよかったのにって思う。

こういうところから見ると、チェルシーは自分たちから相手のブロックに入り込むのがとっても下手だってことが分かる。自分たちからアクションを起こして相手のブロックに穴を作るのが下手だってこと。昨日見たマンU戦ではブロック内に入ることが多くなったけど、それだって工夫は皆無。ドログバの個人の力に任せた結果。それに対して、今回みたいな試合が今シーズンどれだけ多いかって話。つまり、ブロックの外でボールをつなぎまくるってこと。そして、全然ゴールに向かって仕掛けられないってこと。

じゃあ、なんでビルドアップがスムーズかっていうと、なぜかチェルシーはなぜか相手のギャップに入り込むのが抜群にうまいから。ギャップを作ることはできないけど、現に存在するギャップに入るのはうまい。ビルドアップがうまいのは、その時点では相手がまだ中途半端に引っ張り出される余地があるから。中途半端に出てきた背後をついていくってのは上にも書いたとおり。でも、ラストブロックを完全に固めに来た相手に対してはそうは行かない。ただ、ボールを回してるだけじゃおびき寄せることはできない。相手はラストで跳ね返すことを心に決めてるわけだから。そのときにチェルシーには工夫がない。そして、ボールばかりが相手のブロックの外で回って行く。

ただし、それでも主導権を握ってたのは圧倒的にチェルシー。チェルシーはラストの崩しが全く機能してなかったけど、それ以上にエバートンは攻撃が全くできなかった。それはチェルシーによって4‐4‐1‐1にされてしまった影響が多大だったから。ビルドアップがうまいチェルシーに対していつものような前線で追いかけ、後ろは人を捕まえる守備ができなかったエバートン。狙いどころが定まらずに全体が押し下げられてしまったのはここまでにも書いてきたとおり。そして、その結果として深い位置に4‐4‐1‐1のブロックを形成してラストで跳ね返すしかなくなってしまった。

この時点で2トップは幻と消えた。それでもボールを得たエバートンはトップのヤクブを目指す。でも、4‐4‐1‐1になっているエバートン。4‐4‐1‐1は知っての通りの先細りシステム。マンU相手のリバプールが陥った悪循環へ。トップを目指しても相手としては押さえるところははっきりしてる。しかも、相手はテリー&カルバーリョ。その前にミケル。そう簡単に切り替えでヤクブに収まるわけもなく。ヤクブへのボールが奪われて再びチェルシーの攻撃が続くっていう形が目立つことになった。

運よくヤクブに収まったとしても、その後はどうするんだって話。上にも書いたように、トップに当てて→サイドへ展開ってのがエバートンの攻撃の1つのやり方。じゃあ、そのサイドの選手はどこにいるかってこと。それは超低い場所。チェルシーのSBの超攻撃参加に対応してたエバートンのSMFはかなり深い位置まで押し込まれてた。だから、切り替えでヤクブに収まったとしてもすぐにそこに絡めるはずもなく。出し所のないヤクブは頑張りむなしく結局はボールを失ってしまうこととなった。

切り替えでヤクブに収まらない。収まってもつぶされてしまうエバートン。そんな状況では後ろが押し上げられるはずもなく。4‐4‐1‐1のままに相手の攻撃を再び受ける状況に。しかも、1度相手にボールを持たれたらなかなか奪い返すことはできない。チェルシーはボールを失うリスクを最小限にして攻めてきてるんだから当たり前。押し込まれる→奪ったら先細りのトップへ→奪われる→押し上げられない→押し込まれる、の完全なる悪循環に陥ってしまったと思う。

これは本来のエバートンとは全く違った戦い方。本来のエバートンは上にも書いたように高い位置から守備を始める。両サイドも自分の前に対して積極的に守備をして行くことが多い。そうやって、守備時から攻撃のポイントとなるトップとサイドの関係を良好なものに保っていると言える。攻撃に人数をかけられるから高い位置での守備も効き、高い位置での守備が効くから攻撃にも人数がかけられる流れ。今回は真逆。攻撃に人数をかけられず高い位置での守備が効かず、高い位置での守備が効かないから攻撃にも人数をかけられない。本当に苦しい状況だったと思う。

この時点で0‐0引き分けの匂いがプンプンのこの試合。エバートンは活路が見出せず。ただ、結果として逆にラストの踏ん張りで失点を防ぐことだけに集中することができた。対するチェルシーは圧倒的なポゼッション。でも、相手のラストブロックには効果的に仕掛けられず。ボールを持ってるだけでチャンスは少ない状況。日本とアジアの格下の試合を見てるようだなと。ただし、チェルシーが先制点を奪ったことによって0‐0の予感は外れたわけだけど。

ここまでは恐ろしいほどにマンU戦とそっくりなチェルシー。ボールは好きなように持てる。ポイントはラストをどうやって崩すか。相手の引いたブロックに対して、そのラストの崩しで苦戦。そんな流れの中で前半の終了間際に先制点(しかも、中盤からの飛び出しで)。さらに似なくてもいいところまで似てくる。それは攻撃に出てきた後半の相手に対して、守備が機能性を失うっていう状況。ちなみに、このエバートン戦は実際にはマンU戦の1つ前の試合。あんまり関係ないことだけど。

後半は攻撃に出てきたエバートン。ピーナール→アンチェベとAジョンソン→グラべセンの同時交代で勝負をかけてきた。システムも本来の4‐1‐3‐2へと変更して。これによって縦関係っぽかった2トップが普通の2トップになり、加えてトップ下に選手を置いたことでヤクブの孤立を解消する狙いがあったと思う。そして、その思惑が功を奏して流れはエバートンに傾いていった。ように見えた。確かに流れはエバートンに傾いていったけど、その要因はエバートンのメンバーとかシステムの変更にはなかったと思う。じゃあ、何かっていえばチェルシーの守備のまずさ。

そもそもマンUとは違って引き分けでもよかったわけでもないエバートン。というか、絶対に勝ちが欲しかった試合。しかもホームでの戦い。マンUのように最初から攻撃を捨てて、守備に重点を置いてくる意図はなかったと言ってもいい。それでも前半は圧倒的にチェルシーがボールを支配。その要因は単純にチェルシーのサッカーの内容がエバートンのサッカーの内容が上回ったからだって言える。

1つはここまで書いてきたような攻撃面での圧倒的なポゼッション。加えて、守備の良さもチェルシーが主導権を握ることができた要因だったと思う。立ち上がりのチェルシーの守備は本当に質が高かった。相変わらず1度ブロックをセットしてからのスタートだったけど、相手が1つ入ってきたところで一気に厳しいプレッシャーをかけていったと思う。それに対する連動性もいいものだった。そうやってエバートンのパス回しはことごとく中盤の場所で引っ掛けていったと思う。だからこそエバートンは蹴る攻撃が増えたってのは上にも書いたとおり。ただし、ここまでは昨日見たマンU戦と同じ流れ。

今のチェルシーの問題はそういういい形の守備を維持できないってこと。今回も前半の途中からだんだんと守備がルーズになって行った。問題は守備のスタートが機能しなくなっていくこと。最初の場所で忠実に守備ができると、モウリーニョが残した遺産のおかげかその後も芋づる式に連動性が高まって行く。でも、スタートのところでしっかりとしたプレッシャーがかからないと、その後もズルズルとルーズな対応が続いて行ってしまう気がする。相手がパス回しを始めてしまったら、もう対応できないよみたいな。しかも、悪いことに中途半端に対応しに行って最終的にはDFが晒されるってシーンが多くなる。これは昨日も書いたとおり。

そして、後半になってエバートンが攻撃に出てきたところでこの守備の問題が露呈した。完全にマンU戦と同じ流れ。前半はことごとく分断されていたエバートンのパス回しがつながりまくり。しかも、そのパス回しの中で1つ1つの場所がことごとく浮いていた。チェルシーの中盤での守備がルーズになり、実効性のある守備ができなくなったと思う。そんな中で狙いどころが定められなくなったチェルシーのブロックはズルズルと引いてく。一時はアネルカも含めて全員が自陣に戻る形だった。

じゃあ、こういう前後半の守備の違いがなぜ現れるのかって話。要因はいくつか考えられる。1つは攻め疲れのアーセナルパターン。ショートショートのパス回しで疲れてしまい、後半は運動量がガクっと落ちるってこと。ただ、チェルシーの定型的パス回しではアーセナルほどスタミナを消費するとは思えないけど。それに常にハイペースで試合を進めるアーセナルと違って、チェルシーは多くの時間をゆっくりと過ごしてるし。

というわけで他に考えられるのは気まぐれっていう要因か。でも、気まぐれであれだけ守備の質が変わってしまうとマンU以上だぞっていう。マンUの場合は前線の選手の気まぐれで、守備のやり方にいろいろと影響が出るけど、チェルシーの場合はチーム全体にムラがあるわけだから。ということは、これも現実的な考え方ではないか。

最後に現実的なものを1つ。それはチームとして守備を弱めるって考え方。というか、守備の勝負どころを変えるってこと。1点リードした時点で中盤での守備は捨ててラストの場所へと守備を移行しようとしてるのかもしれない。アネルカまでを自陣に戻した今回のやり方を見ると、あながち間違ってないような気がする。それに攻撃でも急に人数をかけないやり方に変更してくるし。前半にあれだけ人数をかけてポゼッション率を上げてきたのが嘘のように、後半は人数をかけずに一気に縦を侵攻してくやり方が目立った。

ただし、この変更がいいのか悪いのかよく分からない。守備は明らかに安定感がなくなっている。中盤での守備を捨ててラストに絶対的なブロックを作るっていうならば、それはそれで分からなくはない。でも、中盤の場所で中途半端な単発守備が繰り返される結果、最終的にはDFラインが晒されるシーンが多くなる。結局は最後の守備は個人の力で達成されることが多いと思う。

守備を消極的にして、攻撃も人数をかけないことで相手が攻撃の勢いを増す手伝いをしてるとしか思えない。しっかりとつなげるようになったエバートンは攻撃に人数をかけるようになった。そもそもエバートンの攻撃には近い関係性でのパス回しのよさもあるから、パスがつながるようになればいいリズムで深い位置まで入り込むことが可能になったと思う。そうやって前線に人数が来れば、高い位置での守備が効果的に効くようになる。しかも、相手は攻撃に人数をかけてこない。よって、前線の選択肢は少ない。だからエバートンは高い位置で本来的な守備ができる時間が長くなった。前半とは真逆の展開。チェルシーが自ら後ろに向かったことで、自らの首を絞めてたようなイメージの後半の流れだったって言える。

さらに分からないのがマケレレの投入。守備固めのためにSWフィリップスに代えてマケレレを入れる交代自体の意味は分かる。要するに守りたいってことだろっていう。そして、この交代によって中盤はミケル&エッシェン&マケレレっていう鉄壁の組み合わせに。ここまではいい。問題はこの交代によって中盤の守備が復活したったこと。チェルシーにとっては問題ではなかったけど。とにかく、前半のいい時間帯のように中盤での積極的なプレスが目立つようになった。これによって何とか糸口を見出しかけていたエバートンの希望は打ち砕かれることとなったと思う。

ということは、中盤での守備のルーズさはベンチからの指示ではないのかって話。後半の流れを見て、こりゃやばいってなったベンチがマケレレを入れるとともに中盤の守備を復活させろと指示したんじゃないかと思う。こうなってくると前後半の守備の質の変化の根拠が全く分からない。もしかしたら、本当に気まぐれなのかもしれない。だとしたら、ここは大きな穴になりうるだろうなっていう。というか、守備が気まぐれだとしても攻撃ではポゼッションを続ければいいのに。それも同時に捨てるから、なんだかよくわからないことになるチェルシーだった。

というわけでチェルシーの弱点が見え隠れする今回の試合だった。ラスト1/3を仕掛けられない攻撃の問題と、よく分からない守備の問題。マンUが付け入るとすればここのところ。昨日も書いたことだけど。ちなみに、明日から1週間は忙しいのでCLはリアルタイムで観戦できそうもありません。また、日本代表のコートジボワール戦もおそらく無理かと。数日後に追って更新することになると思います。
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2008-05-18 Sun 01:06
チェルシー×マンU
<チェルシー:4-3-3>
FW:カルー-ドログバ-Jコール
MF:バラック-エッシェン、ミケル
DF:Aコール-テリー-カルバーリョ-フェレイラ
GK:チェフ

<マンU:4-2-3-1>
FW:ルーニー
MF:ギグス-アンデルソン-ナニ、キャリック-フレッチャー
DF:シルベストル-ビディッチ-ファーディナンド-ブラウン
GK:ファン・デル・サール

CL決勝に前にプレミアの同カードを。プレミアの結果は知っての通り。でも、この試合でチェルシーが頑張ったことがCL決勝につながる可能性は大きい。何しろここでマンUが勝っていたらマンUはCLに照準を当ててたはずだから。いや、チェルシーも諦めてCLに照準を定めたかもしれないけど。ってか、おそらくそうだろうと思う。ただし、この試合はマンUとチェルシーのそれぞれの立場が色濃く出てたから、CL決勝も同じような内容になることは100%あり得ない。マンUなんて、どんだけ選手温存してるかって話だし。

立場が出ていたマンUの戦い方。この試合は引き分けでもOK、さらにアウェーでの試合だったこともあって、極力リスクを負わないやり方を採ってきた。それが一番現れたのが攻撃の流れ。0‐0のスコアで推移してた時間のマンUの攻撃のやり方はとっても極端。人数をかけないこと、手数をかけないことが絶対的なベースに置かれてたと思う。保持型4‐2‐3‐1システムを採用してたのにも関わらず、ボールを保持しようなんていう意識は全くなかった。

チェルシーの守備は1度組織を作ったところから行われる。しかも、その組織は自陣寄りに引きつけられて作られる。トップのドログバが敵陣、2列目がハーフェイライン上ぐらいっていう形で。その上で、相手が縦パスを1つ入れたところから守備の開始。この縦パスってのは相手の前線に入るものに限らない。相手がCMFにボールを入れたところでチェックをして行く。つまり、最終ラインから1つでも上にボールが来れば守備を開始するってこと。相手の実質的な攻撃のスタートの場所からしっかりと押さえて行こうって考え方。

逆にいえばマンUのCBはある程度自由にボールを保持できる状況だった。上に書いたようにチェルシーの守備ブロックは自陣寄り。その上で受ける態勢を整えてる。ドログバも追いかけない。そんな感じである程度の場所までは持ちあがることができたマンUのCB。でも、このCBにしっかりとボールをつなごうっていう意識が皆無。プレッシャーがかかっていないにも関わらず蹴りまくった。

そういえばマンC戦も同じだった。相手は前線から積極的に守備を行わず、とにかく安定したブロック(しかも4‐3‐3というか4‐1‐4‐1ってとこまで同じ)を作って受ける形を整える。だから、マンUのCBは浮いてた。でも、マンUのCBは蹴りまくった。ここで何度も取り上げてるようなマンUの様子がおかしい時期の象徴的な試合だったと思う。つながず、蹴りまくる。前線が足りずに効果的に攻められない。っていう悪循環に陥った試合だった。

でも、今回のチェルシー戦でのマンUには確固たる意志があった。それが上にも書いたようにリスクを負わないって考え方。上に書いたように、チェルシーはマンUが最終ラインから1つでも高い位置にボールを入れた時点で守備を開始してきた。とはいえ、めちゃめちゃ厳しくてどうしようもないってわけではなかったけど。でも、少なくとも相手がそこで守備をしてくるのは確実。そうなれば、引っ掛けられる可能性も少しは存在することとなる。今回はキャリック&スコールズの落ち着いて保持できる2人でもなかったし。

というわけで、引っ掛けられるちょっとの可能性を回避しに行ったのが今回のマンU。相手の2列目の場所でボールを引っ掛けられたら最悪。だったら、そこは飛び越してしまえと。よって蹴りまくり作戦へ。さらに、前線に人数をかけない縛りが発動。別に下手に危険な低い位置での保持時間を延ばす必要はない。とにかく、素早く前線へ蹴りまくる。これがマンUの合言葉だった。

そして、この蹴りまくり作戦のターゲットになるのはナニ。それから左サイドに流れたルーニー。何でルーニーが左に流れるかっていえば、ギグスの攻撃意識が弱かったから。守備の方に重点を置いて前線への飛び出しを自重したのか、守備で深い位置にまで押し込まれてから一気に最前線まで出て行くのが難しいのか、どちらにしてもギグスはあまり前線に出て行かない。よって、ルーニーが空いてる左へ流れていく。攻撃においてはナニ経由の攻撃がかなり多くなったと思う。

とにかく、左に流れたルーニーも含めてロングボールはサイドへ展開。ロングボールを蹴りまくってるのにも関わらず、ゴール前への単純なボールはほぼ皆無。1つはチェルシーのCBとルーニーを競らせても結果が見えてたってこと。もう1つはサイドの深い位置に蹴ることで、相手に単純な跳ね返しを許さず、結果として攻撃への切り替えを遅らせてしまおうっていう考え方があったような気がした。それぐらいに今回のマンUは徹底してリスクを嫌ってた印象。

さて、手数をかけずに人数もかけないマンUの攻撃。前線の少人数に可能性の薄い1発のボールを送り込むのみっていう単純なやり方。効果的な攻撃を繰り出せないのはマンUの方も承知してたはず。ただし、1つだけ誤算があったような気がする。それはアンデルソンが消えてしまったっていう事実。サイドに蹴りだすマンU。右のナニと左に流れるルーニー。この2人の間をつなぐアンデルソンが消えてしまった。よって前線は人数が少ないだけではなくて、とてつもなく距離が離れてしまった。ナニがボールを持っても、誰も近くにいない。ゴール前にも人がいない。仕方なくドリブルを仕掛けるナニ(近くにいてもドリブルで行きそうな気もするけど)。頼れるのは己だけのナニに対してチェルシーの容赦のない守備が決まりまくった。結果としてナニを経由しまくりの攻撃はほとんど全てナニのところで分断された。

じゃあ、なんでアンデルソンが消えたのかって問題。そもそも4‐2‐3‐1と言えば保持型になることが多いマンU。特にアンデルソンがトップ下に入った場合は例外なく保持型になると言ってもいい。アンデルソンがトップ下の場所でうまくボールの経由点になりながら、中盤での保持率を上げていく形。もう1度確認すると、4‐2‐3‐1は保持型。逆にいえば保持型でなければ4‐2‐3‐1は機能しない。どちらかと言えば、というか確実に縦急ぎ型は4‐4‐2(4‐2‐4)の方が相性がいい。

今回の試合のマンUは4‐2‐3‐1なのに縦急ぎ型っていうイレギュラーな状況だったって言える。中盤でのボールポゼッションでその真価を発揮するアンデルソンの頭の上をボールが越えていく。何しろ今回の試合のマンUには中盤なんてものは存在しなかったわけだから。全てが最終ライン→トップ(WG)への1発のボール。で、そういう攻撃はアンデルソンの土俵ではないわけで。消えてしまうのも仕方がない状況だったと思う。なんだか自分の居場所を見つけられない様子が見て取れた。

だから、トップ下がテベスだったらもっと違った形が見られた可能性もある。トップ下の場所に入れてやれば守備も頑張るテベス。前線にボールが入った時にポジションにこだわらずに味方を助けるプレー、またはトップのスペースに出て行くプレーはテベスの方が得意のような。4‐2‐4で縦急ぎにも慣れてるし。CLとの兼ね合いでそれは無理だったのかなって思う反面、テベス自身ははそんなに過密日程でもなかった気がする。後で書くように、アンデルソンは守備の方でもちょっとした穴になってただけに、その部分を強く感じた。要するに守備強化のためにアンデルソン起用でもなかったってこと。

こんな感じで攻撃ではリスクを負わないやり方を採ってきたマンU。立ち上がりこそブラウンの攻撃参加が1つ2つ見られたけど、ハーグリーブスがそのポジションに入ってからはSBの攻撃参加は皆無に。CMFも前線に出て行く意識は見せなかった。あくまでも守備の方が絶対的に重要だっていう考え方。でも、その守備の方のやり方にはあまり工夫は見られなかったと思う。別にそれが悪いとは言わないけど、試合の入りはいつものマンUの普通の守備のやり方が見られたと思う。

要するにシステム合致を作るやり方。4‐2‐3‐1の相手に対しては4‐1‐4‐1みたいな形にして守備を行う4‐5‐1(4‐3‐3)のマンU。相手が4‐3‐3(4‐1‐5‐1)を作る今回は合致関係になる4‐2‐3‐1の守備ブロックができてたと思う。その上で自分の対応する相手にボールが入った時点でしっかりとチェックに行くっていう原則が見られた。そして、立ち上がりはこの原則が基本的に全体に適用。例えば敵陣でボールを持ってる相手SBに対してはマンUのSMFがしっかりとプレッシャーに行ってたし、降りて行くエッシェンとかバラックに対してもマンUのCMFがついて行く対応が見られたと思う。

でも、このやり方のマンUに対してチェルシーが簡単にゴール前のシーンまで行くことが多くなったと思う。その1つの要因がマンUのアンデルソン。アンデルソンが対応する相手であるミケルを浮かせまくり。ボールを持ったミケルがフリーでボールを扱えるシーンが多くなった印象。1×1の原則をピッチ全体で作っている時に、1か所でもそれが崩れるとその影響は多大。しかも、よりにもよって相手の攻撃の起点であるアンカーを浮かせてしまったのがマンUにとっては痛かったところ。

出し手が浮いたチェルシーとしては受け手の方がちょっと工夫して動けば簡単に前線にボールが入れられる状況だった。その工夫。バラックがボールを受けに降りて行く→マンUのフレッチャーが引っ張り出される→空いたスペースにカルーが流れてくる→その外にAコールが飛び出す、ってパターン。浮いてるミケルからカルーに簡単にボールが収まり、そのあとはカルーが仕掛けていくのか、Aコールを使うのか、バラックの舞い戻りを待つのか、ドログバに託すのか。選べる選択肢は多かった。似たような形をもう1つ。Jコールが降りて行ってボールを受ける→シルベストルが引っ張り出される→そのスペースへエッシェン→エッシェンにボールが出る→舞い戻ったJコールとフェレイラの飛び出しで右サイドに厚みを。こんな感じでマンUの選手が引っ張り出されてできたスペースを有効に活用していくチェルシーのやり方が目立ったと思う。

ただし、さすがはマンU。すぐに自分たちの守備がまずいんじゃないかってことに気づいた。前半5分の話。あまりにも早すぎるから、もしかして、最初の守備が勢いに任せていっただけで、その勢いを弱めた時間になって本来やろうとしてたやり方に戻ったって可能性もなくはない。アンデルソンだけは最初っからそれを守ってたから、全体として穴みたいに見えたっていう。真相は分からないけど。とにかく、なんでもかんでも自分の対応する選手について行くっていう守備のやり方はやめた。

この考え方はビディッチの負傷退場によって顕著になる。ビディッチという存在がいなくなったこと自体がそのスイッチになったわけではなくて、ビディッチが出てハーグリーブスが入るまでのその時間がスイッチだった。一時的に10人になったマンUは当然のようにベタ引きになる。4‐4‐1で受ける形。この受ける意識が11人に戻ってからも継続したイメージ。それまでとは違って敵陣まで出て行くシーンはなくなった。あくまでも守備の勝負は自陣に、敵陣の相手ボールは放っておくっていう考え方で守備が整理されたと思う。

とはいえ、ときたま見られる完全に開き直ったマンUの守備のやり方でもなかった。ときたまってのはローマとバルサとのアウェーでの試合。完全に開き直ったマンUは守備は自陣から始めるなんてもんじゃない。もっと背水の陣的。守備の場所はゴール前のみ。自陣でも中盤の場所では一応のチェックだけで実効性の高い守備は行われない。それから比べれば、今回の守備のやり方はバランスが取れてたように思う。敵陣では自由にさせてるとは言っても、自陣ではしっかりとチェックをすることになってた。少なくともラストの跳ね返しだけでなんとかするっていう意識は積極的には持ってなかったと思う。

とはいえ、4‐4で守備ブロックを作るマンU。もっと言えばアンデルソンも戻って4‐5で守備をするマンU。チェルシーがこれを崩すのは至難の業だった。チェルシーとしてみれば、立ち上がりのように中途半端に前から来てくれた方がどれだけ楽だったか。立ち上がりはそれによってできたギャップを突いて、縦縦へと進んでいく攻撃。マンUが守備のやり方を整理してからはポゼッション率は圧倒的に高まったものの、相手ブロックに入り込むことができなくなって行った。

こういう傾向はボールを大切にしたがるチェルシーではよく見られるようになった形。今シーズンはチェルシーの試合をそれなりに多く見てるけど、ここで記事にしてる試合が少ないのはそのため。最初のダービー戦とこないだのマンC戦がその典型。引いてブロックを作る相手に対して、なかなか縦パスを入れようとしないチェルシー。相手も前から来るわけではないから、チェルシーの保持時間は延びる。でも、パスはことごとく安全な場所安全な場所を動いて行く。要するに相手のブロックの外を。そんな時間が長く続いて、別に書くこともないなって試合が多くなったわけ。

今回の試合はそれほど極端ではなかったわけだけど。その理由はマンUが深い位置にブロックを作ったこと。マンCにしろダービーにしろ最初のブロック形成の時点ではそれほどラインを下げない。だから、縦パスを入れようとしないチェルシーは敵陣に入り込めない。相手のブロックを押し下げられない。陣地を増やせない。相手ゴールまでの距離も遠いから、積極的にゴールに向かう仕掛けもできない。そんな悪循環。それに対して、今回の試合ではマンUが深い位置にブロックを作ったことで必然的にチェルシーの陣地は増える。ゴールにも近くなる。だったら、ゴールに向かうかっていう意識も強くなるってもの。

それでもブロックの外外をつなぐパス回しが多かったのは確か。だからこそ。ポゼッション率が恐ろしいほどに高まったわけでもあり。ショートパスを重要視するチェルシーだけど、いい形のサイドチェンジも多かった。いい形でカルーが受けた左を起点に右に上がってきたフェレイラへっていう効果的なサイドチェンジが目立ったと思う。ただし、マンUのラストブロックに対して致命的な混乱を来すまでには至らなかったと思う。引いたマンUを崩すのはそう簡単ではない。

じゃあ、マンUのブロックに仕掛けていく根拠はなんだったのか。大好きなショートパスはそのまま放っておけば相手のブロックの外外をつながって行くだけ。効果的に見える展開も外から外へのボールだし、上にも書いたように相手ブロックにアプローチする効果もほとんどなかった。そんな中でチェルシーの仕掛けの根拠はドログバの存在だったと思う。確固たる存在であるドログバが相手マーカーから離れる。その瞬間にチェルシーは相手ブロックへの仕掛け、つまりドログバへの縦パスを入れた。マンUはドログバに入れさせすぎだろって思ったけど、ドログバが常に受ける動きを繰り返し、チェルシーの選手たちがボールを回しながら入れられるタイミングを今か今かと待ち構えてたんだろうなって思う。

結局はドログバに入れないと攻撃にならないって意味では本質的には何も変わってないチェルシー。でも、今のドログバには仲間がいた。バラックとは喧嘩してたけど。何がいいたいかっていうと、ドログバの近くに選手がいるってこと。悪いときのチェルシーもドログバ経由の攻撃には違いなかったわけだけど、実はそこには大きな違いが。その時には前後の分断が起こってドログバが完全に孤立してたってこと。ドログバに預けるからあとはなんとかしてねっていう攻撃だったわけ。

でも、今は違う。ショートパスをつなぎながらゆっくりとビルドアップするチェルシー。前線の選手が降りていて、代わりに低い位置の選手が上がってくみたいな形で徐々に前線に人数を増やしていく。徐々にボールを前線に運んで行く。そんな状況の中では前後の分断は起こりえない。チーム全体としてボールをつなぎながら押し上げてるわけだから。それがショートパスのつなぎを可能にしてるって言えるし、ショートパス至上主義がボールの近くに選手を配置する意識を生んでるとも言える。

ドログバにボールが入った時にも同様。ドログバに入った瞬間に次々に選手がそこに凝縮してくる。もしくはドログバを抜いて出て行く。ドログバはそういう選手にシンプルにボールをはたく。これがチェルシーのマンUブロック崩しの方法の中で一番多く見られたパターンだった。だから、先制点がそれまでとは全く違うドログバの長時間キープから生まれたのは皮肉な限り。それまでの時間のドログバだったら1タッチですぐに次にはたいてた場面だった。どんな心境の変化があったのか。

もちろん、チェルシーがボールに対して複数を絡ませようとするのはドログバの周囲だけではない。どの場面においても複数の選択肢を作る意識を持ってる。ボールの近くで。ただし、今回の試合ではその関係性が固着化してた印象。それはドログバが入ってからなんだけど、詳しくは後で。とりあえずは、どんな固着化が起こったかってことを見てみたい。以下の図から。

―――⑨―――
⑪―⑬―⑤―⑩
③――⑫――⑳

攻撃時の形。今回の試合では相手が引いたこともあってSBの攻撃参加が活発だったチェルシー。よって、こんな形になる。そして、それぞれの場所でトライアングルが固着化されてた印象。具体的には、△⑪⑬③、△⑩⑤⑳、△⑨⑬⑤、△⑨⑪⑬、△⑨⑩⑤。そして、この三角形の組み合わせは基本的に変わらなかった。頂点が入れ替わるだけ。たとえばドログバを抜いてエッシェン、バラックが出て行くみたいな。

確かにボールに対しては近い場所に複数の選択肢を作ることが多かったチェルシー。基本的なパス&ゴーを組み合わせながらシンプルにパスが回って行くシーンが多発。ワンツーも多かった。これならさぞ相手に狙いどころを定めさせないような攻撃ができるだろうと思いきや、そういういわけにも行かず。ドログバの個の力にやられたと言ってもいい先制点のシーン以外はマンUの守備に致命的な混乱は起きなかった。相手の関係性が固着化されてるから、マンUは見た目以上に簡単に守れたんじゃないかと思う。

そして、上でも触れたようにその原因はドログバにある。ドログバが真ん中から動かないから全体としてのダイナミックな動きがなくなってしまった。WGが中に流れるシーンはほとんどなかったことから見ても有機的なポジションチェンジの少なさがよく分かると思う。ここにアネルカが入るともっと大きく動きが生まれるんだけど。何しろアネルカはアデバヨールもびっくりな程にトップの場所を留守にする。だから、アネルカが流れた場所で新たな関係性が生まれる。同時にトップの場所の出入りが激しくなって、全体としての動きも活性化する。

ただし、だからアネルカをスタメン起用すべきだっていう単純な話ではない。なぜならアネルカが流れる理由は基本的には真ん中が窮屈で嫌だからだと思う。つまり、ブロックの外に出てくるってことになる。結果としてドログバが果たしている、相手のラストブロックへの仕掛けのスイッチっていう役割を担う選手がいなくなる。よってブロック内に入り込めない。外外とつながるパス回しの始まり。

ドログバを使えばラストブロックに仕掛けられるけど動きが足りないから絶対的には崩しきれない。アネルカを使えば動きが多くて相手の守備ブロックに混乱を与えられるけど、そこにどうやってボールを入れていいのかが分からない。ドログバを使えばショートパスだけではなくてロングボールで距離を稼ぐってやり方も選択できるけど、攻撃はドログバを経由させる。逆にアネルカを使うとショートショートに固執してしまう反面、ラストの崩しではいろんな方向性が見られる。難しい問題。

ちなみにバラックを生かすならドログバよりもアネルカかなって思う。喧嘩したとかしないとかは関係なく。今回の得点シーンもそうだったけど、バラックの良さはゴール前に入ってくるプレー。このシーンはドログバがトップの位置から外れ気味だった。要するにドログバが真ん中に居座るとバラックの良さが消えてしまうっていう気がする。いつもはランパードが好きに動いて補助的に動くのがバラックっていう関係性。対して今回はバラックが好きに動いてエッシェンが補助的に動く形だった。攻めきれる時間が長かった立ち上がりの時間帯には1つ遅れてのエッシェンの飛び出しが効果的に機能してたし。だからこそ、ドログバの存在によって中盤のよさが消えてしまった気がする。そんな気がするのもドログバの存在によって相手ブロックに仕掛けられる可能性が生まれてからなんだろうけど。どちらにしてもドログバは出て行くんだろうけど。

さて、前半のロスタイムっていう最高の時間帯に先制点を奪ったチェルシー。逆に最悪の時間帯に失点したロスタイム。これを反映して後半は流れが変化していった印象。でも、マンUの方は未だテベスとかCロナウドを投入してこなかったことからも分かるとおり、後半の立ち上がりの時間はまだ本気じゃなかった。攻撃にかける人数も特別多くなったわけではない。ただし、前半よりも明らかに丁寧な攻撃が目立つようになった。すぐに前線に蹴ってしまうんじゃなくて、前線の人数を増やさないとは言ってもしっかりとつないで行こうとする意識が高まったと思う。アンデルソンも後半は攻撃に絡むシーンが出てきた。いつもほどではないけど。

こんなマンUのちょっとした変化に対してチェルシーの方が予想以上のもろさを見せる。本当はそんな兆候が前半の途中から見られたわけだけど。立ち上がりは質の高い守備をしてたチェルシー。上に書いたような守備のスタート位置に相手が入ってくれば忠実なチェックが繰り返されたし、ブロック内に入ってくる相手のボールに対しては厳しいプレッシャーをかけていった。そして、そういう厳しいプレッシャーがスイッチとなって連動性を高めることにも成功した。絶対に勝たなければならない試合で、1つ1つの場所の意識が高まってたのがよかったと思う。前後の挟み込みなんかも効果的に機能してた。

でも、主導権を完全に握るようになってからは徐々に悪い癖が見え隠れするようになる。チェルシーの守備の悪い癖は1つ1つのチェックがルーズになってしまうこと。結果としてどこが守備の勝負どころかってことが定まらない。結果として守備の連動が図れない。1つ1つがあいまいに、しかも単発になる。簡単に外れてどんどんと深い位置にまで入り込まれてしまう。特に中盤では顕著に現れる、この状況。全体がズルズルと押し下げられて行ってしまう。

前半はそれが目立たなかった。マンUがしっかりとつなごうとしなかったから。そもそもマンUの攻撃の時間が圧倒的に短かったから。それでもマンUが中盤でパスをつなぐとギャップギャップに入り込まれるシーンが多かった。マンUの攻撃にかける人数が少なかったから助けられた部分も大きかったと思う。最終ラインが落ち着いて対応してたから目立たなかったってのも確か。

でも、少なからずマンUが攻撃に傾いてきた後半はこの問題が隠しきれなくなった印象。ルーズな中盤を簡単に抜け出され、最終ラインだけが晒されるシーンが多発。ズルズルと最終ラインが下がって行く。そうやって最終ラインが晒されるのはやっぱり怖いチェルシー。中盤も後ろへの意識が高まって行った。その中で悪いときのチェルシー再発。前線でドログバが孤立。前半のように少ないタッチで次にはたくっていうシーンは見られなくなった印象。

象徴的なのが失点シーン。このシーンは自陣でのFKからのミスをルーニーにかっさらわれたところからだったけど、このFKが何で得られたかって話。チーム全体が押し下げられたチェルシーが奪ったボールを前のドログバに預けたところから。そのボールをドログバが自陣で受けたっていう時点で前半から見ればかなりイレギュラー。さらに、そのドログバになかなかフォローが来なかった。そんな中でもドログバは頑張ってキープ。その流れでもらったFKだった。後半のドログバがイライラしてたのは、そんな孤立具合に原因があった気がする。バラックとの喧嘩以外にも守備に出てこない中盤にキレまくってたのが印象的だった。

そういうわけでする必要のない失点をしてしまったチェルシー。勝たなければならないわけだから、当然のように攻撃に出る。フェレイラ→アネルカの交代。エッシェンを右SBに下げて4‐4‐2に。この交代が実効性を持ってたかっていえば甚だ疑問。確かに攻撃のやり方にはちょっと変化が生まれたけど。それは前線の関係性。4‐4‐2にしたことでJコールが空いている真ん中に流れてくるシーンが多くなったと思う。これがますますその1つ下にいるバラックにとっては蓋として作用したわけだけど。とにかくJコールが中に行ったことで空いたサイドのスペースにはエッシェンが積極的に攻撃参加。そんな関係性が生まれた。ただし、だから何?て話ではあったけど。結局は相手のラストブロックに効果的な仕掛けをすることができなかったから。

基本的にシェフチェンコの投入でも何も変わらず。実は1点を防いだっていう大きな仕事をやってのけたシェフチェンコだけど。でも、攻撃面ではますます守りを固めていくマンUに対して何もできない時間が続いた。マンUの方もいつの間にか前線にギグスとCロナウドを残す4‐4‐2の形でラスト堅めに入ってたわけで。人数的には前半とは変わらないけど、中盤の構成がより守備的になったかなっていう。中盤からギグスが抜けてオシェイが入ったわけだから。そうやって守りに入ったマンUを崩すのはまずもって不可能。だから、PKはラッキーだった。

そんなわけでこの試合を制したのはチェルシー。でも、最初にも書いたようにこの試合がCL決勝に直結するとは思えない。1つの理由はスタメンの差。チェルシーにもランパードがいなかったけど、マンUの方はCロナウド、テベス、スコールズあたりが不在。あとはエブラもか。さらに、不運な交代ばかりだったマンU。ケガでビディッチとルーニーを失った上にアンデルソンと交代したのがオシェイ。あの時点でリードを許してたら、この交代はテベスだっただろうなっていう。最後の最後の追い込みに大きな影響を及ぼした。

じゃあ、CL決勝はどうなるか。これはやってみないと分からない。それを言ったら元も子もないけど。今シーズンに限っては両チームがどういうやり方を採ってくるかが全く分からないから。チェルシーの方は上にも書いたようにトップがドログバかアネルカかで大きく変わる。どちらが怖いかって言われれば普通にドログバ。結局は1人でできてしまう選手に勝るものはない。対するマンUは4‐4‐2か4‐3‐3(4‐5‐1)か。普通に4‐4‐2かなって思うけど。1発勝負の意識が強いならば、前線の組み合わせはルーニー&テベスにパク・チソン-キャリック-スコールズ-Cロナウドかなって思う。攻めまくるならパク・チソンじゃなくてギグスか。

守りはやっぱりドログバをどう抑えるかってことになってくる気がする。相手がドログバを使ってくるならば、今回の試合を見る限りでは動きはそう多くはならないはず。ドログバにボールを入れさせないように注意すれば、おそらくチェルシーは前線が渋滞するはず。チェルシーの方は中盤の守備をどこまできっちりと維持できるかにかかってる。1つ1つのチェックを忠実に行い、それに対する連動性を高める必要がある。ランパード&バラックが組み合わされたらなおさら。今回はエッシェンが入ったことで多少マシになった部分もあったと思うから。そう考えるとマンUは中盤で勝負する4‐5‐1でも面白いかなって気がしなくもない。
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