ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-05-25 Sun 18:47
日本×コートジボワール
<日本代表:4-4-2>
FW:玉田-大久保
MF:遠藤-今野-長谷部-松井
DF:長友-トゥーリオ-中澤-駒野
GK:楢崎

オシムからの脱却を図ると宣言した前回のバーレーン戦後の岡田監督。ただし、バーレーン戦のやり方のどこがオシム的だったのかってのはみんなが思ったことだったはず。バーレーン戦の日本はとにかく蹴りまくった。意味が分からないほどに蹴りまくった。そして、いいところなく負けた。オシムのやり方とは対極に位置するようなやり方だろって話。まあ、相手の2トップに対して3バックを採用したのはオシム的だったって無理やり捉えることもできるけど、負け惜しみというか言い訳というか、そうとしか聞こえなかったのも事実。

大体において、岡田監督は普通に自分のやりたいサッカーをやってるだろって思ったりもする。オシムのやり方は外から外への展開で圧倒的にボールを保持するもの。SBを組み立ての軸として、その場所で数的優位を作る。その人数ベースの近さにランニングを組み合わせてサイドでボールを保持。そこで詰まったら逆サイドへ展開して作り直す。それこそ集中→展開→連続。そんなやり方の中で圧倒的なポゼッション率を誇っていたオシム時代の日本。弱点は相手のラストブロックに仕掛けられないこと。ボールを保持しまくっても、そこから入り込むスイッチが見当たらないってのが大きな問題だったと思う。

そんなオシム的な長所も短所も岡田監督になってからは見られなくなった。たまに片鱗が見えることはあるけど、まあ大きな変革が図られてたのは事実だと思う。だからこそ、バーレーン戦後の脱オシム宣言には違和感ありあり。とっくに脱オシムだろっていう突っ込みがいろんなところからわき上がったのかどうかは知らないけど。とりあえず、そんな岡田色についてちょっとおさらいしてみたい。

攻撃における岡田色は下手にボールを保持しないってこと。最初の試合で使った言葉を使うならば、縦型。左右の幅を利用しながら徐々に押し上げていく横型オシムとは全く違った内容。そういう縦型攻撃の中でFWの存在感が高まる。攻撃においてFWを経由させる意図が強くなったように思う。結果として中盤の場所にも変化が生まれる。中盤の中村&山瀬&遠藤のトライアングルはFWと関係性を築きながらボールを回すようになった。結果として前向きのプレーが増えたのも事実だと思う。山瀬の得点量産はその辺に理由があるはず。さらに、FWを中心にするパス回しは真ん中へと凝縮。サイドで数的優位を作ってたオシムとは違って真ん中に人数が厚くなってたと思う。

この変更の中で役割が顕著に変化したのがFWとSB。FWはここまでにも書いてきたように、攻撃の核的な役割へと変化した。オシムのときには左右の幅を使ったボール回しからの仕上げ担当が多かったFW。ある意味では純粋にFW的に振舞ってればよかった。それが岡田監督に代わってからは組み立てへの参加も求められたと思う。中盤といかにいい関係性を築くかがポイントになった。

もう1つのSB。こちらは組み立てにおける役割が軽減。組み立てにおける重要度が高いのは2トップ+遠藤&中村&山瀬っていう真ん中のメンバーたちなんだから当たり前。その代わりにラストの部分の役割が増えたと思う。真ん中で作って、相手を真ん中に寄せておいて、最終的には外っていう。中盤が真ん中に凝縮してる状況の中で、蓋がなくなったSBには最前線まで出てくる動きが求められた。だからこその内田重用だったと思う。

さて、そんな岡田ジャパンの弱点はビルドアップの問題。サイドに徹底的に起点を作っていたオシム時代とは違って、今は真ん中を重視してる。当り前のようにサイドよりは真ん中に重点を置く相手の守備ブロック。それだけ今の方が前にボールを運ぶのが難しい状況になってるって言える。にもかかわらず工夫があまり見られないのが日本代表。低い位置のパス回しで幅を利用することで真ん中を空けるぐらいのことはするわけだけど、相手がSBを抑えてきたりすると一気に停滞感が生まれる。前線にボールが入らずに何もできないっていう状況に陥ると思う。結果として低い位置の保持時間が延びて行ったりする。

攻撃についてはこれぐらいにして(そういえば集中→展開→連続はどこへ行ったんだろうか?)、次に守備について。このチームの守備は気まぐれ。大まかに言えばリミッターなしで前線から追いかけ回すか、1度ブロックを形成して受ける形を形成するか。いい守備が見られた中国戦は前者。前線から追いかけ追いかけ、中盤がそれに連動していった。結果として高い位置でボールを奪えるシーンが多くなった。よって、トップと中盤の連動性で崩し切る攻撃がショートカウンターとしてさらに威力を発揮したと思う。

ただし、他の多くの試合では受ける意図が強くなってた。守備だけを考えれば大きな問題は感じなかったけど、攻撃へのつながり、特に上に書いたようなビルドアップの問題を考えると、ちょっと相性が悪いかなっていう気がしたのも事実。縦に急ぐ、FWの役割が大きくなるサッカーをするならば中国戦のように高い位置で奪ってショートカウンターの方がいいだろうなって気がする。それができるんだからなおさら。その辺に気まぐれ具合を感じずにはいられないこのチーム。

さて、こんな前提が全て崩れ去ったのが前回のバーレーン戦。上でもちょっと書いたように、とにかくこの試合は蹴りまくった。蹴って蹴って蹴りまくった。オシムだとか岡田だとかは関係ない典型的な百姓一揆サッカー。結果至上主義をもとにしてこのやり方を採ったのに、結果も出なかったっていう最悪の状況に。ちなみにバーレーンの方も蹴りまくったから、ボールが行ったり来たりばかりを繰り返した試合になった。というわけで、日本代表にとって、というか岡田監督にとって今回のコートジボワール戦が本当に重要なものになったのは間違いない。

脱オシム宣言をした岡田監督がどんなやり方を採ってくるのか。メンバーは前回から8人入れ替え。松井、長谷部の海外組を使ったのも変革の1つか。まあ、あとの中盤は鈴木じゃなくて今野が使われたわけだけど、これは鈴木の怪我によるものと考えていいと思う。バーレーン戦でスタメン落ちの遠藤が復帰し、逆に中村と山瀬が外れた。確かに変化が見えると言えば見える部分。最終ラインもとGKもメンバーを入れ替えてきたけど、ここは妥当だったかなって思う。

そんな中で一番の大きな変化は2トップの組み合わせ。今回は大久保&玉田っていうシャドー的な2枚を並べてきた。これまでの岡田監督は絶対に軸的な選手を使っている。巻、田代、高原。実はこれはオシムの時からずっと継続されてたこと。オシムは1トップ1シャドーの組み合わせを好んでたから。それを崩した時にもシャドー的選手を2枚使うんじゃなくて、ツインタワー的な組み合わせだった。よって、今回みたいな組み合わせは最近の日本代表では全く見られなかった形だったって言ってもいい。これまで岡田監督がそういうやり方を採りたかったのに、採れなかったとしたら、それは確かにオシムの呪縛かもしれない。

ただし、やっぱり岡田監督も好んで軸的な選手を起用してただろうなって思う。下手をするとオシムの時よりもその意図は強かったとも言えるかもしれない。何しろFWに当てることが1つの目標だった、これまでの岡田ジャパン。トップに当てて、そこに遠藤&中村&山瀬を効果的に絡ませることで、真ん中に起点を作ったってのは上にも書いたとおり。だから、1人は真ん中で軸になれる選手を入れたかったはず。しっかりとトップで収めて、次の展開につなげられる選手が必要なやり方を採っていたわけだから。

だから、このFWの組み合わせは隠れた大変革だったと言っていいと思う。スタメンを見た時点でここは注目しなきゃなって思わされる部分だった。そして、実際にこのFWの組み合わせが変化した結果が試合の中で見えたと思う。オシムと比べて縦に急ぐ岡田色。その色はそのままに、縦への急ぎ方に大きな変化が生まれたと言っていい。そして、岡田監督が目標に定めたのはアーセナルの縦急ぎサッカーだったんじゃないかって気がする。

先制点までの時間帯の日本代表は恐ろしく素晴らしい内容のサッカーが見られた。こんなことができたのかっていうレベル。もちろん、付け焼刃でアーセナルの完全コピーは不可能なわけだけど、そのエッセンスはしっかりと取り入れていたような気がする。本当は実際に岡田監督がアーセナルを目標にしてるのか、どうかは分からないわけだけど、少なくともそんな雰囲気は見え隠れしてた。

それが最初の決定的なチャンスに表れてる。トゥーリオの攻撃参加から左サイドを崩し、最終的にゴール前でフリーの大久保へっていうシーン。このシーンをおさらい。最初は遠藤が降りてきてボールを受けたシーンから。この時点で遠藤と入れ替わりに今野と長友が前線に出て行っている。そして、遠藤とのパス交換からトゥーリオが攻撃参加。遠藤も前線に舞い戻って行く。そして、この左サイドの組み立てにはFWの玉田と大久保も助けに入った。大久保は1度パスをはたいてゴール前へ行ったシーン。

この一連の流れでの左サイドの人数が異常。トゥーリオ、遠藤、今野、長友、玉田、大久保。全部で6人が絡んでる。こんだけ人が揃ってる上にそれぞれの選手がボールに対してしっかりと動いた。ボールを離した選手も次の場所に出ていった。結果として少ないタッチでパスが回る回る。超密集地帯を人数とランニングで崩し切ったシーンだったと思う。ね、アーセナルでしょって話。しかも、エブエの背後でこの崩しをやってやったってのがなんだか面白い。アーセナルの超密集地帯が生まれたのはエブエの存在があったからこそだから。

まあ、このシーンは極端な例。いくらなんでも同サイドに6人なんてシーンはそうそう見られなかった。でも、その根本に流れるものは一致してたと思う。それは以下に書くとおりだった。そして、そういうベースとなった部分について見てみると、やっぱりアーセナル的な攻撃じゃんかっていう気がする。上にも書いたとおり、実際のところはどうなのかはわからないけど。

一.サイドに数的優位を作る
岡田ジャパンでは上にも書いたように中に凝縮気味の中盤。でも、今回の試合では松井も遠藤もサイドでのプレーが目立ってた印象。そこにSBが絡んでいくのはもちろんのこと、長谷部とか今野も1つ下からサイドの助けに行くシーンが目立ってた。FWも真ん中に居座る時間は短く、サイドに顔を出すシーンが目立ってた印象。そのための2トップの組み合わせだったのかと。

一.ボールの近くに複数の選択肢を用意する
サイドで数的優位を作ったところに、ボールへのランニングを組み合わせることで常に基本的なトライアングルを維持してた印象。そして、そういう関係性のために選手が動いて抜けたスペースに別の選手が入って行くっていうような関係性もできてた。当然のようにボールが動けば人も動いて、再び複数の選択肢を用意する。そこで新たな関係性が築かれたと思う。

一.その中で1タッチ2タッチでリズムよくパスを回していく
ランニングと近さがあるだけにパスはリズムよく回って行く。いい時間帯にはダイレクトのパスが次々につながっていった印象。相手の守備陣も狙いどころを定めることができなかった。逆にアーセナルと同じように、密集地帯を崩していくわけだから少ないタッチで回していかないと相手の守備にすぐに窒息させられるっていう見方もできるわけだけど。とにかく、ドリブルでの突破はほとんど見られずダイレクト至上主義が目立ってた印象。

一.1度攻め始めたらノンストップで攻めきる
ここまでの項目では、どちらかというとオシム色が見え隠れしている。サイドで数的優位を作り、ランニングを組み合わせることでボールを回すっていう部分とか。これで詰まったら逆サイドへ展開するなんていう横のアプローチが組み合わされれば完全にオシム色だったと思う。ただし、今回の試合ではそんな横へのアプローチはほとんど見られなかった。1度攻め始めたら、一気に縦を侵攻する。下手にボールを保持しないで少ない手数でスピーディーに相手ゴールに迫って行く。そんなやり方が見られた印象。

ただし、ここで問題がある。アーセナル的なやり方が機能するのは前線にボールが入ったところからってこと。それはアーセナル自身も抱える問題だったりするし。そして、上にも書いたようにビルドアップのところに弱点が見え隠れする日本代表。いくら攻撃のベースの質が高かったとしても、そのスイッチが入らなければ何の意味もないっていう話。だから、どうやって前線にボールを供給するのかっていうのが1つのポイントになったと思う。

この点についてもいい時間帯の日本代表はあっさりと解決してきた。一番多い形は松井と遠藤が交互に降りてきて助けるっていうもの。上に書いた左サイドの超密集地帯完成も遠藤が降りてきたところがスタートだったし、得点シーンの起点も降りてきた松井。もちろん、この2人が降りてきただけでは大きな効果は生まれない。今回の日本代表のよさは人が動いてできたスペースを別の人が埋めるっていう動き。松井、遠藤が降りてきたところで代わりにSBとかボランチが外を回りこんで飛び出していく。得点シーンは松井が下がり、代わりに長谷部が飛び出した行ったところでフリーになったシーンだった。またはFWがサイドに流れてスペースを埋める。縦パスが1つ入れば前線に1人増えるイメージ。そうやってうまく攻撃をスタートさせたと思う。

というわけで攻撃面では大いなる可能性を感じた日本代表。まさかこんなに質の高いサッカーができるとは思わなかった。中盤を重視しつつ、縦を急ぐ。スピーディーな展開で次々にボールを回して相手ゴールに迫る。そんなやり方の中で攻撃がスタートさえしてしまえば、相手は守備の狙いどころを定められなかった。4‐1‐4‐1のバランスのいいブロックを形成しようとしてたコートジボワールも結局は4‐5(2列目の4が押し下げられてしまう形)でラストを固めることが多くなったと思う。

そんな攻撃面のよさに加えて今回の日本代表は守備面のよさも光っていたように思う。そもそも攻撃後の切り替えのところが守備の最初のポイントになってた。奪われた瞬間の個々の切り替えの早さは当たり前として、それに対して高い位置で連動が図れる下地が整ってた。その論理はアーセナルと同じ。攻撃において近い関係性を作ってるから、切り替えの守備でいきなり人数をかけられるってこと。結果として高い位置での効果的なプレッシャーが効きまくってたと思う。

さらに、組織を作った時の守備のよさも目立った。というか、素晴らしすぎた。守備のスタートとなったのは玉田。玉田が相手のCBにプレッシャーをかけつつ、1つ下の相手アンカーを大久保が見る。これによって相手は中→中へのパスをつなげなくなった。仕方がないので相手のCBはSBにボールを預ける。ここに対して日本のSMFが積極的にプレッシャー。しかも、中から向かっていくような形で守備。結果として相手はSB→WGのコースしか残されていなかった。そして、そのWGに対してはSBが完全密着で自由なプレーをさせなかったと思う。

そもそもコートジボワールは日本と同じようにサイドで数的優位を作ってショートパスをつなぎながら攻撃をするチームだと思う。後半に日本の守備の勢いが弱まってからは、そんなシーンが多くなった。ただ、日本の守備が機能してる時間帯にはそれを完全にシャットアウト。SB&WG&OMFのトライアングルを分断して近い関係性を作らせなかった。これに困ったコートジボワールは適当なトップへのボールが増えていく。当然のようにそこは日本のCBとボランチが潰していった。

こんなところからも分かるように今回の日本の守備には“次”のよさが見られたと思う。トップをスタートとする追いかけは、それぞれの場所でしっかりと次の場所を意識したものになってたし、次を狙う選手も前の制限をしっかりと意識してた。さらに、相手を足止めしたところでの囲い込みとか挟み込みも目立ちまくり。高い位置に設定された最終ラインから、それぞれのライン距離の近さを作ったことが功を奏してた印象。コートジボワールは全くスムーズに攻撃ができない状況の陥ったと思う。

そんなこんなで日本代表って強いんじゃね?っていう気持ちを抱かされた得点までの流れ。何しろ攻守にわたって素晴らしい内容が見られたわけだから。ただし、その代償は大きすぎた。アーセナルも悩まされる後半の運動量の落ち。運動量ベースのパス回しであり、パス回しベースの攻撃を繰り出すアーセナルが後半に何もできなくなるっていう試合展開をこれまで何度見てきた事か。今回の日本代表は慣れないことをやっただけに、その後遺症が表れるのも早かった。前半の途中の段階で立ち上がりのいい流れは完全に消え去ってしまったと思う。

この後遺症はある意味では仕方がない部分。攻撃では縦へ縦へと急ぎまくり、さらにその過程でボールに対して何度もアクションを繰り返す。ポジションチェンジも豊富。その攻撃からの切り替えで本気の守備を行うから、さらにスタミナ消費。加えて組織を作ったところの守備でも前線から運動量を求められる。どこかに休みどころを作らないとやってられないと思う。これはいつも言うことだけど、とりあえず休憩のためにオシムを取り入れてみればって思ったりもするけど。

さらに、前半の途中から全くよさが見られなくなった要因がもう1つ。それはコートジボワールが失点によってちょっとは本気になったから。それまではおそらく省エネサッカーをしてたんだと思う。守備では完全に引きこもってたし、攻撃でも疲れることはやらずにとりあえずFWを狙って蹴ることの繰り返しだった。移動ありの中1日の試合ってことを考えれば、普通の考え方。最終的に見てみると、主力抜きで日程不利のコートジボワールが相手でちょうど適度だったかなって思うわけだけど。

ちょい本気のコートジボワールは守備ブロックを1つ上げてきた。それまでは自陣に完全に引きこもる守備のやり方を採ってきたコートジボワール。引きこもるとは言っても最終ラインをある程度の高さに設定して全体としてはコンパクトなブロックを作ってきたけど。それでも日本代表の攻撃の実質的なスタートとなるSB、ボランチ、降りてきた遠藤とか松井は完全に浮かせていた。あくまでも守備のスタートは相手が自陣に入ってきたところって置いてたと思う。ただし、スタートさえ切れれば質が高かった日本の攻撃。結果としてコートジボワールの守備ブロックが最終的には押し込まれてしまったのは上にも書いたとおり。

その守備ブロックを1つ上げてきた失点後のコートジボワール。日本陣内のSBとかボランチのところにも積極的なプレッシャーをかけてくるようになった。もちろん、降りていった松井とか遠藤にも。さらに、そういう2列目のプレッシャーの次を狙うような位置にトップの選手が入る。それまで完全にフリーだった自陣の日本選手は焦りが見られるようになってくる。少なくとも自由に前を向いて攻撃をスタートさせることはできなくなったし、もっと言えば相手のプレッシャーに負けてミスが多発。バックパスをかっさらわれてどれだけ危ないシーンにつながられたかっていう話。

そんな危なっかしさがある自陣のボール保持者たち。不安になった松井と遠藤はそれまでよりも低い位置に戻ってくる回数を増やした。同時に入れ替わりに前線に出て行くプレーが停滞。プレッシャーを食らってる状態で低い位置の選手が飛び出し、さらに相手に奪われたらどうすんだって話。思い切って飛び出して行けない状況が生まれた。ここで思い出さなければならないのは、それまでの時間に攻撃のスタートをスムーズに切らせてたのは上下の入れ替わりだったってこと。上にも書いたけど、松井とか遠藤が降りてきたこと自体が重要だったんじゃなくて、代わりに誰かが出ていったことが重要だった。それがなくなったことでうまく攻撃のスタートが切れなくなってしまったと思う。そもそも出し手の方も簡単には前を向かせてもらえなくなった。

ここにおいてビルドアップの問題が再発。しかも、悪いことに運よく前線にボールを供給できても、その後どうすればいいのかって問題も急浮上。スタートを切れさえすれば質の高い攻撃ができたいい時間帯。そこでポイントとなったのは上に書いたようなアーセナル的攻撃。早い話が、ボールに関係する人数をいかに増やせるかってこと。それが今やみんな低い位置に降りてしまっている。代わりに出てくる選手もいない。前線には2トップのみ。それでどうやってボールに関係する選手の数を増やせばいいのか。ボールを前線に供給できない、供給できたとしてもその後の術がない。結果として相手のポゼッション率が高まって行く結果になったと思う。

ここで謎だったのが、なぜに今回の日本はつなぐ意識がこんなに高かったのかってこと。前回の蹴りまくりの意識を少しでも見せればもっと違った展開が生まれたと思う。スムーズに組み立てができてた立ち上がりの時間はともかく、相手がブロックを1つ上げてきた時点で戦い方を変えるべきだった。攻撃のスタートがスムーズに切れず、選手間の距離も遠い状況の中で、いいイメージでの攻撃はすでに実現が無理な状況だったのに、それでもまだやりたいやり方にこだわりすぎたのがよくなかった。そんなところまでアーセナルと似る必要はない。

例えば相手が1つ前に守備ブロックを押し上げてきた時点で、蹴ってみたらどうだったのかっていう話。相手は守備ブロックを上げてるんだから、ウラには広大なスペースがあった。1つブロックを上げてきた相手もCBはそれなりにフリーにしてくれた。そこにはフィード力に優れるトゥーリオがいる。しかも、トップに入ってたのは玉田と大久保。コートジボワール相手ではこの2人でもスピード勝負は無理だと判断したのか。でも、たとえつながらないとしても蹴って蹴ってプレッシャーをかけるってのは1つの手だったと思う。つなぐ意識が高い上に低い位置に人数が溜まっていった日本代表に対して、コートジボワールはますます守備ブロックを前に押し出すことができた。

さらに失点後のコートジボワールは攻撃も丁寧に行うようになったと思う。それまでは、とりあえずつなごうとはしてたものの、日本の守備に防がれた時点で適当にトップを狙うボールを入れてったってのは上にも書いたとおり。そんなコートジボワールが適当さをなくした。コースを切られてるなら再びやり直すっていう形の攻撃が目立つようになっていった印象。そして、それに日本の後遺症がぴったりと合致した。

後遺症に悩まされる日本代表。時間とともに1つ1つの寄せの遅れが目立つようになっていく。それまではしっかりと距離を詰めて対応してた場所で、微妙に相手との距離が開いて行く。結果として制限しきれない。よって後ろの選手が狙うのが難しくなり、その場所でもしっかりと距離を詰めた対応ができない。1つ1つの場所で後手に回る場面が多くなっていったと思う。

そうなればコートジボワールは回し放題。2年前のW杯でも連動性の高さを感じたコートジボワールのパス回し。今回の試合でも上に書いたようにサイドを起点にして、そこで数的優位を作ってパスを回す意識が見られた。そして、その意識が具現化できるようになったと思う。アフリカのチームだから個人技っていうイメージが先に立つけど、いいリズムでショートパスをつなぎながらの組み立てが目立ったように思う。そこにいい形で個人技がアクセントを加えてた印象。

というわけで得点後は完全にコートジボワールのペースへと傾いた。前線からの守備が機能せずに相手に中盤を持って行かれた日本の守備ブロックはだんだんと下がって行き、ラストで跳ね返す形が多くなったと思う。さらに、攻撃への切り替えでしっかりとボールをつなげずに再び相手ボールにっていうシーンが時間を追うごとに多くなっていく。交代出場の香川と矢野も大きな変化をつけることができなかった。やっぱり立ち上がりの後遺症は大きかったんだろうなっていう。

ところで上の方でアーセナルと似てるって書いたわけだけど、当然のようにアーセナルほどの完成度はない。おそらく、アーセナルのサッカーをコピーできるチームは表れないだろうなって気がするし。特に代表では無理だと思う。とりあえず、パスをつなぎながらも縦を急ぐっていうベースになるやり方は似てたかなっていうレベル。やっぱりボールの動き方、人の動き方のスムーズさはアーセナルにはかなわなかったと思う。

それでもこの試合のいい時間帯のような攻撃のやり方を追求して行くのは面白いと思う。そこで1つの提案としてはボランチに山瀬を使ったらどうかってことを言っときたい。バランスを考えたら長谷部と変えて入れるのが妥当か。やっぱりこのやり方では中盤の場所にFWになれる選手を入れておきたいところ。2トップが組み立てを助けに行った時にゴール前が薄いのは好ましくないから。そういう意味では長谷部よりも山瀬の方がFW的なプレーには長けていると思うし。そういえば、今回の試合では長谷部がFWになるシーンがほとんど見られなかったのは残念。

で、このやり方を追求して行く上では上でも触れたとおりいかに後遺症を押さえるかがポイントになる。そして、そのための休憩時間は絶対に必要。今回の試合だって1点を奪った後にゆっくりと低い位置で保持する時間を作ってもよかったんじゃないかと思う。相手が1つブロックを上げてきたと言っても、それほど厳しいプレッシャーが来たわけではなかったし。休憩時間を作らずに最後まで急ぎまくった結果として、完全に流れが停滞する現象が生まれてしまった印象。
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