ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-07-02 Wed 19:34
ドイツ×スペイン
<ドイツ:4-2-3-1>
FW:クローゼ
MF:ポドルスキー-バラック-シュバインシュタイガー、ヒツルスベルガー-フリンクス
DF:ラーム-メッツェルダー-メルテザッカー-フリードリヒ
GK:レーマン

<スペイン:4-1-4-1>
FW:トーレス
MF:イニエスタ-シャビ-セスク-シルバ、セナ
DF:カプテビジャ-プジョール-マルチェナ-セルヒオ・ラモス
GK:カシージャス

スペインはロシア戦で素晴らしい内容を見せつけた4‐1‐4‐1でスタート。魅惑のクワトロ・フゴーネスのポイントはなんと言っても1人1人の技術。個々のキープ力がとんでもないから簡単には奪われない。だから、後ろからの上がりも促進される。ロシア戦では両SBがどちらも高い位置に入ってくるシーンが多くなった。結果として中盤が中に押し込まれ、選手間の距離の近さが生まれ、チームとしてのキープ力も上がる。要するにパス回しのスムーズさへとつながる。

そんなボールを持った仕事に加えて、この4人が違いを見せつけるのはボールを受ける動き。敵のブロック内にギャップを見つけ出し、そこに入り込む能力が高い4人。相手だってそう簡単には自由にさせないはずなのに、面白いように自由にボールを受けることができる。局面局面を見ると、そんな4人が好き勝手に自分が見つけたギャップに入り込んで行くように見えるスペインの中盤。でも、全体として見ると選手間の距離が一定に保たれてるから素晴らしい。変なバランスの崩れ方がなくて、ボールが入った時に、それぞれがパスでも個の仕掛けでもどちらも選べるような状況になっている。

そんな4人を中心に中盤を圧倒的に制圧するスペイン。ギャップギャップをつなぐパス回しの中では、上に書いたように受け手が浮いた状態であることが多い。結果として前に向かって次のプレーができる。ボールを出した選手は次のギャップを見つけて入り込む。選手の距離感のバランスがいいアーセナルってとこか。人もボールも動くサッカー。とにかく、結果として前へ前へっていうゴールに向かったパス回しが可能になる。もっと言えば、相手の守備の急所急所を入り込むパス回し。中盤で圧倒的にパスを回しているのに、中盤の場所の滞在時間が短いみたいなイメージ。スピード感ありありのパス回しで一気に相手ゴールまで迫っていく。

相手としては狙いどころが定まらない。少ないタッチで次々に局面を変えられてしまえばどこで当たるべきかが分からない。だから、相手のボール保持者がキープしたところで、ここぞとばかりに守備をしたい。でも、最初の前提条件が現れる。4人とも技術が半端じゃない。奪いに行っても奪えない。むしろ、その選手に当たりに行った選手のウラ側にギャップができてしまう。ギャップ探しが上手なスペインの中盤の選手に入り込まれる。結局、次の局面へとボールを動かされてしまう。ロシアは完全お手上げ状態だった。

さて、そんなスペインの4‐1‐4‐1に対して今回のドイツはどう出てきたか。それは単純な話だった。相手の中盤を自由にさせないようにしようっていう作戦。そのためにスペインのパス回しが始まる前に芽を摘み取ってしまえ作戦。考えてみれば、誰にでも思いつくやり方。ただし、それができるかどうかは別問題。その点において今回のドイツの守備は成功したと思う。スペインの中盤のパス回しはなりを潜めた。スペインはクワトロ・フゴーネスを有効活用できず。その意味での成功。

ドイツの守備のベースは組織を作ってからの守備。立ち上がりこそ、前線から追いかけるシーンが目立ってたけど、時間とともに4‐4‐2ブロックを作るやり方へと移行していた。受けるというと語弊があるかもしれないけど、まあ受ける形って言っても間違いではないような守備。ちなみに、形が4‐4‐2ってのはバラックを1つ押し出したから。そして、トップの2を自陣寄りに引きつけ、最終ラインの4を高い位置に設定することで超コンパクトブロックを作り出したと思う。

そんなブロックを作った上での守備。まず、出し手に対するもの。真ん中は2トップが対応。セナを見る。降りてくるシャビ等を見る。スペインの両SBへはそのままドイツのSMF。真ん中もサイドも縦パスを入れさせないような守備をしてきたと思う。降りて行って受ける選手に関しては、入りどころにしっかりと対応をして前を向かせないようにしてた。だから、スペインの中盤の選手は助けに行ったとしても結局は後ろに戻すしかなくなった。出し手が浮かずにいつまでたっても攻撃のスタートが切れなくなったスペイン。低い位置での保持時間が延び、その中のミスから決定的なチャンスにもつなげられてしまった。

受け手の方への対応はスペースをつぶすことが念頭。4‐4の超コンパクトブロックを作って、スペインの中盤の選手が大好きな間を作らないこと。だからこそ、降りて行くスペインの中盤の選手はある程度まで行けば、FWに受け渡してたんだと思う。どこまででもついて行くと、背後にギャップを作ってしまう。受け渡しがスムーズだったのもブロックがコンパクトだったおかげ。そもそも、ある程度まではついて行ってもギャップができなかったのも、ブロックがコンパクトだったおかげ。上下の幅が限定されたことによって、スペインの選手の縦の動きはダイナミックなものにはつながらなかった。

繰り返す。ドイツの受け手への守備はスペースを潰して相手が入り込むギャップをなくす。それでも動く相手選手は放っておかずにしっかりとマークをする。ある程度まではついて行き、守備のバランスが崩れそうになってきたら、受け渡す。これがドイツの受け手に対する守備。スペースと人の二段構えでボールを入れさせない。逆に出し手に対する守備は上に書いたとおり。出し手は簡単には前を向かせない。自由にボールを扱わせない。最低でも縦のコースは切る。失点シーンはこの出し手への原則に綻びが生まれたシーンだった。

さて、困ったのはスペイン。蘇るのはイタリア戦での悪夢。相手が開き直って完全にベタ引きになったイタリアを相手にしたスペインはボールを前線に送り込めない大問題が発生した。最低限の役割として縦を切りつつ守備のバランスを絶対に崩さないイタリアに対して全く縦パスを入れられなかった。縦パスが入らないので前線の選手が降りてくる。2トップはFW的に振舞って中盤に顔を出してこない。中盤がスカスカ。どん底スペイン。

今回はシステムが4‐1‐4‐1になって中盤が厚くなったことで、そこまでの中盤スカスカ状態にはならなかった。でも、根本的な問題は変わらなかったと思う。スペースを潰すことを目標にした相手の守備に対して仕掛けることができないスペインの弱点は実は残されたままだったと思う。縦パスが入らないので、ある程度自由にされたDFラインでの保持時間が延びる。縦パスが入らないので前線の選手が降りてくる。ただし、上にも書いたようにドイツがしっかりと対応してたから、後ろに戻すことしかできない。だんだんと下の飽和状態の雰囲気が見られていったスペインだった。

魅力的なクワトロ・フゴーネスだってボールが供給されなければ何もできない。ボールをもらう動きをしようにも、相手が中盤のスペースを潰してる。窮屈すぎて動けない。窮屈じゃないのはどこかって言えば、低い位置に降りて行くこと。高い位置でクワトロ・フゴーネスが機能しない、つまり高い位置でボールを保持できなくなったスペイン。当然のようにSBの攻撃参加も停滞。SBが低い位置でのパス回しに参加する時間が長くなった印象。

というわけで、上にも書いたようにスペインの中盤を機能させないっていう意味ではドイツの守備は完璧だったと言ってもいい。シュバインシュタイガーの守備の担当エリアがかなり広かったのがちょっと謎ではあったけど、全体としての守備のバランスが完璧。4‐4‐2のコンパクト3ラインの形成によって、スペインの中盤を自由にさせなかった。ドイツの試合は初めて見たけど、いつもああいう守備のやり方を採ってるのか。少なくとも今回の試合ではスペインの中盤を潰すっていう意味ではお手本の守備になってたように思う。やっぱりパス回しをスタートさせないことがポイント。スペインは攻撃のスピードアップを図ることができなかった。

さて、困ったスペインはどうしたのか。立ち上がりの10~15分ぐらいまでは、自分たちのパス回しをしようと粘ってたように思う。前線の選手が降りてきてリズムを作ろうと試みたり、トーレスをサイドに張りつかせたり。なんとかして相手の守備ブロックにギャップを作ってやろうっていう考え方が見られた。そして、ギャップができるのを待つかのような低い位置でのパス回しの時間がかなり伸びた。でも、実際にはそういう攻撃からチャンスは作れず。縦パスを狙っては引っ掛けられるの繰り返し。仕方がないので、時間とともに中盤至上主義を改め始めた印象。この辺の柔軟性が今回のスペインの強さかもしれない。バルサだったら、それでもパスをつなごうとしてただろうなっていう。

じゃあ、どう変化させたのかっていう話。その変化はとっても分かりやすいものだった。ひとことで言っちゃえば、トーレス、トーレス。中盤なんてどうでもいいから、とにかくトーレスを狙えっていう考え方。低い位置でのパス回しの時間が減り、その代わりに1発の縦パスの数が増えて行ったスペイン。クワトロ・フゴーネスを使った中盤の超パス回しと比べると、恐ろしいほどに単純な攻撃の繰り返しによってペースを自分たちに引き寄せて行くから面白い。

ただし、この考え方はとっても合理的。なぜならば上にも書いたように、ドイツの最終ラインはかなり高い位置を採ってきてたわけだから。そして、スペインの1トップに入ったのはトーレス。そういえばドイツのCBはウラへの対応はどうなんだろうか。W杯前の日本戦で高原にめちゃめちゃにやられてたのは過去の話か。どちらにしても、最初からウラ狙い1発があまり多くなかったのが不思議なぐらいの条件が揃ってた。

そんなわけで単純トーレス狙いの組み立てが多くなったスペイン。中盤の選手たちが組み立てで目立たなくなて行く流れ。トーレスに入った時にそのフォローに行くみたいな仕事が増えて行った。ただ、それでもよかったんだと思う。トーレスにウラを徹底的に狙わせて、相手にウラの意識を持たせるっていう狙いもあったはず。相手のコンパクトブロックが間延びして、中盤が使えるようになれば、俺たちの出番だぜっていう。残念ながら最後まで中盤を圧倒する流れにはならなかったけど。

そんなトーレス狙いの攻撃でスペインが流れを引き寄せたってのは上にも書いたとおり。でも、それは実は嘘。本当は流れを引き寄せたのはカウンターが効果的に決まるようになったから。攻撃の主体はカウンター、相手が守備ブロックを作ってしまったらトーレス狙いっていうのが本当のところだったと思う。どちらにしても中盤重視の4‐1‐4‐1の攻撃は消えてしまったってことになるわけだけど。それでもカウンターは今大会のスペインの1つの特徴って言えるかもしれない。

逆に言えばそれまでの時間帯のスペインはカウンターが効果的に機能してなかった。それは何よりも守備が機能してなかったから。立ち上がりのスペインは守備の様子が明らかにおかしかった。そして、そのスペインの守備の問題を突くようにドイツがいい攻撃を仕掛けてきた。カウンターが機能したスペインってのは要するに守備が機能したスペイン。結果としてドイツの攻撃が機能しなくなる。だから、スペインに流れが行ったように見えたわけ。

じゃあ、まず立ち上がりのスペインの守備の問題から。今回のスペインの守備は4‐1‐4‐1。今までのスペインの守備陣は4‐4‐2。最終ラインを低い位置に設定して中盤の4をその低い位置の最終ラインに引きつける。開き直りバイタルつぶしのベタ引き4‐4‐2。相手の出し手は浮かせておくけど、ゴール前には入らせないぞっていうやり方。4‐1‐4‐1システムに変更したことによって、これがどういう方向に出るかってのがポイント。そして、それが悪い方向に出たのが立ち上がりの流れ。

まず、中盤の役割が明確ではなくなったと思う。ロシア戦でも4‐1‐4‐1に途中で変更が行われたわけだけど、中盤の気持ちは低い位置にあった。セットの時点では4‐4よりも4‐1‐4の中盤の方が高い位置に置かれたし、ロシアの方の攻撃が真ん中に偏ったことで中盤でうまく引っ掛けるシーンも多かった。でも、入り込まれれば中盤はすぐに下に向かっての守備を開始。DFがMFのラインについて行くんじゃなくて、MFがDFラインに合わせて下がるってのがベースの形だった印象。考え方は4‐4守備ブロックと同じだったとも言える。ただし、リードしてた流れってのも大きな意味を持ってたと思うけど。

それに対して今回は中盤が前に行こうか後ろに行こうか迷ってたイメージ。それが一番明らかだったのが相手のフリンクスに対する対応。ドイツの攻撃の組み立ての中で大きな役割を担うのがフリンクス。立ち上がりは、そのフリンクスが浮いていて、うまくボールの散らしを行っていた。スペインとしては確かに好ましくないことではあるけど、これまでの守備の原則を考えれば、別に致命的なことでもない。出し手は浮かせても最後はやらせないってのが、これまでのスペインだったから。

でも、今回のスペインはなぜかフリンクスにプレッシャーをかけようとしてた。しかも、それがイレギュラーな状況。フリンクスを自由にさせたくないなら、トーレスをぶつけるのが合理的だと思う。でも、今回の試合でフリンクスの相手になったのはセスク。さらに、今回のスペインの守備のベースはやっぱり低い位置にあっただろうってのが、さらに悪かった点。1度セットした後で、セスクが引っ張り出されるみたいなシーンが多くなる。遅れているので当然のように効果的な守備につながらない。せめてトーレスが前線で限定させてくれてれば、もっと素早く当たれたんだろうけど。

そんなシーンが多発したのが今回のスペインの中盤。降りて行くシュバインシュタイガーとかポドルスキーに対して選手が引っ張り出される。明らかにスペインらしくない。ロシア戦のスペインは降りて行く選手を完全に放っておいたはず。そうすることで絶対にバイタルは空けないぞっていう守備をしてた。それと比べると引っ張り出されるズルズルと引っ張り出されることが多くなったスペインの選手たち。しかも、上に書いたようにブロックの作り方は低い位置に置かれてるからたちが悪い。前線から行くならもっと高めにブロックを置かないとっていう。中盤だけが高め、最終ラインは低めみたいな前後の分断が生まれてたと思う。

この時点でかなりオランダ戦のイタリアみたいな流れになっていく。チームとしては受けることがベースになってる。でも、出し手も放っておけないなっていう気分。だったらFWが守備に参加すればいいのに、トーレス=トニは守備に無関心。中盤が出し手の対応に引っ張り出される。とはいえ、距離が長いから本当に出し手を押さえられるかって言われれば甚だ疑問。というわけで、背後にギャップだけを残してきてしまう結果に陥る。もともと低い位置に置かれてるDFラインとの間には広大なスペースができあがった。

そして、面白いことにドイツの攻撃はオランダのそれとそっくり。イタリア×オランダの完成。4‐2‐3‐1のオランダ=ドイツ。トップには絶対的なFW、ファン・ニステルローイ=クローゼ。中盤の3枚は間に入り込んで、縦パスを受ける役割。ただし、攻撃は左寄りに作られる。なぜならば、攻撃得意のファン・ブロンクホルスト=ラームが左にいるから。左で崩して右のカイト=シュバインシュタイガーがFWに入ってくる。ハイライトを見ても、ポドルスキー→シュバインシュタイガーだらけのドイツ。さて、そんな前線にボールを送り込むのがボランチの仕事。ここは微妙に違ってた。オランダはエンゲラールが組み立てから飛び出しを担当。それに対してドイツはフリンクスが組み立て、ヒツルスベルガーが飛び出しみたいな攻撃の役割分担ができてたと思う。

相手がイタリア状態だった立ち上がりはドイツの攻撃が機能しまくり。イタリア相手にオランダの攻撃が機能したのと理由は全く一緒。ドイツは低い位置でボールを回しつつ、シュバインシュタイガーとかポドルスキーが降りたりしながら、相手の中盤を引っ張り出す。そうやってDFとMFの間に隙間を作ったところで2列目の3枚に縦パスを入れる。ここの受け手の中心がバラック。左右(左が多いけど)に流れ、セナのマークを振り切って、ボールを受ける。その瞬間に左ならラーム&ポドルスキーが関係性を築けるポジションに入る。サイドでの基本的なトライアングル形成が多いドイツだった。ちなみに、そうやってバラックが流れたときにトップ下の場所に入るのが飛び出し担当のヒツルスベルガーだったと思う。

そんなオランダ攻撃が機能しまくりのドイツ。面白いように縦パスがおさまり、すぐにトライアングル形成を行ってショートパスを交換しながらフィルターのなくなった相手のDFに仕掛けて行く。スペインのDFがDFだけになるシーンは今回の試合で初めて見た気がする。とにかく、ドイツらしくない(って言ったら失礼か)美しいパス回しの連続で攻めきるシーンを増やしていったと思う。立ち上がりは深い位置まで簡単に入り込むドイツがペースを握ったのも当然の話。そして、ドイツが深い位置まで入り込めばスペインの攻撃は深いところからスタート。ドイツが難攻不落の4‐4‐2ブロックを作る時間は十分にあった。

スペインはこんな危険な状況を放っておけない。なんとしても修正を図らなければならない。さて、そのためにどう出るかがポイント。まず考えられるのはいつものスペインに戻ること。低い位置に相手には勝手にボールを回させ、降りて行く中盤の選手も放っておく。中盤をDFラインに近づけて、完全に受ける形に入る。オランダに似たやり方を採ってくるドイツに対しては中盤の3に2列目の場所でボールを収めさせないことが重要。そのために、スペインがいつものベタ引きブロックを使うのは間違ったことではなかったと思う。

でも、今回のスペインはそういうやり方を採らなかった。むしろ逆。前から行きたがってる中盤にDFラインがついて行くような守備へと修正を行っていったと思う。今まで個々の気分で行っていた相手の出し手へのプレッシャーをチームとして機能させるようになった。例えばフリンクスへの対応。それまではフリンクスに入った後の対応だったのを、最初からしっかりとセスクをぶつけるようにしたと思う。つまり、そもそもボールを入れさせないってもの。結果としてドイツはフリンクス経由の攻撃ができなくなった。最終ラインから直接前線に入れる形が増えたと思う。

そして、出し手に対応する中盤に後ろを引きつける。前が引っ張られたことで後ろのギャップができないようにするためには、DFが前線についてくればいい。それを実践。ドイツの受け手がDFラインと中盤の間で浮くっていうシーンが明らかに減っていった印象。縦パスを入れたとしても、スペインの守備陣がその入りどころにしっかりと対応できる場面が増えて行った。入れては潰されるの逆スペインパターンがドイツに見られるようになっていったとも言える。とにかく、美しい中盤でのパス回しは全く機能しなくなったと思う。

ただ、スペインが守備のやり方を変えたといっても、前線から追いかけ回すようになったってのとは違ったのも事実。トーレスは相変わらず守備をしてなかったし、出し手を見るようになったとは言っても、相手のSBは基本的に浮いていた。中盤の設定位置もハーフェイラインぐらい。だから、出し手への対応と言っても本当はフリンクスへの対応だったと思う。だから、実質的には受け手への対応を修正したってのが本当のところ。今までのように中盤をDFに近づけることで受け手を潰すんじゃなくて、DFを中盤に近づけることで受け手をつぶしにかかった。

とにかく、そんな修正によって相手の攻撃を途中で分断することに成功したスペイン。これがスペインのカウンターの布石になる。立ち上がりのように攻めきられる流れじゃカウンターなって言ってられないわけだけど、守備の修正によって途中で引っ掛けられるシーンが増えれば、その切り替えからカウンターを繰り出すことが可能になる。というわけで、どちらにしてもトーレスのスピードを最大限に活用した今回のスペインの攻撃のやり方だったように思う。シルバ、イニエスタの両サイドもカウンターの流れの中で目立っていたと思う。

得点もそんなトーレスのスピード。ただし、このシーンはカウンターの流れではなかった。というか、普通に相手が難攻不落の4‐4‐2ブロックを作って構えていたシーン。スペインは低い位置でボールを保持して、なんとかギャップを見つけようとしてた。そして、上でもちょっと触れたようにここでドイツの守備に綻びが生まれる。それまで前を向いてプレーできてなかったセナがMFとFWの間で完全に浮いた。ついに前を向いてボールを持てたセナはDFとMFと狭い狭い場所にうまく入り込んだシャビへ。そのシャビからウラに抜けるトーレスへ。FWとMFの間→MFとDFの間→DFとGKの間。間間間をシンプルに縦へとつないだ結果のゴールだった。

先制点を奪ったスペインは後半に入ってやり方を変更。いつものやり方へと戻してきたと思う。DFを中盤に近づけていた前半のやり方から、中盤をDFへと近づけるいつものやり方へ。前半の途中から消えてしまったフリンクスが自由にボールを扱った後半だったと思う。ただ、そうやって出し手が浮いたとしても攻撃がスムーズに行くとは限らない。引いたときのスペインの守備の安定性をなめるなよっていう。結局、前半のようなスムーズなパス回しが復活することはなかったと思う。

それでも、強引な縦パスをスペインの守備ブロックの中に通してくるドイツ。4‐4‐2への変更で前のターゲットを増やし、バラックを1つ下げることでバラックとマッチアップするセナを引っ張り出して、無理やりにトップに縦パスを通していくシーンが目立ったと思う。それでチャンスを作る。力づくというかなんというか。それでも、なんとなく前半の美しいパス回しよりはこっちの方がドイツっぽいなって感じた後半のドイツの攻撃だった。

でも、スペインがこれにしっかりと対応してくる。セスクに代えてXアロンソ。4‐1‐4‐1から4‐4‐1‐1へと変更して、強引な縦パスを押さえにかかる。4‐1‐4‐1ブロックに最後に残された1ボランチの場所をなくし、本気の4‐4ベタ引き守備へと移行した。結果としてドイツが入り込む余地はなくなったと思う。スペインがベタ引きだからボールは持てる。でも、縦パスが入らない。どんどんと前線に人数が溜まって行く悪い流れ。だったら蹴ればよかったのに、なぜか蹴らないドイツ。高さでは圧倒的に勝ってたはずなのに。前半の美しい攻撃が念頭にあり、なんとしてもそれを作ろうとしてたのか。

守るスペインと攻めるドイツ。流れは明らかにスペイン。ドイツは巷で言うところのボールを持たされてる状態に陥った。実は主導権を握ってたのはスペイン。カウンターからチャンスを量産したのもスペイン。このスペインのカウンターの質の高さが目立ってたと思う。まず、奪った後のボールを中盤で1つキープできる。タメられる。そこに一気に後ろが飛び出してくる。そんな飛び出しを利用してトライアングルを作り、ショートショートで敵陣へ進攻。戻りながらの守備をせざるを得ない相手は全くパスを分断できない。そういうパス回しでスペインが片方のサイドに意識を集中させておいて、中または逆サイドでフィニッシュって形からのチャンスが多くなったと思う。前半からそうだったけど、カウンターの流れの中でもスペインはスペインらしいショートパスを忘れなかった。

これで優勝はスペイン。決勝Tに入ってからの3試合を見たけど、スペインのいろいろな姿を見ることができたと思う。イタリア戦ではその脆さが見られた。引いたイタリア相手に攻め手が全く見つからない形。それがロシア戦では一転。特に後半からの4‐1‐4‐1の質の高さは尋常じゃなかった。ロシア戦の記事参照。そして、今回のドイツ戦。イタリア戦の流れに陥りそうだったところで柔軟性を見せつけた。カウンター主体のやり方へ。

そう考えるとイタリア戦がやっぱり一番苦しかったんだろうなって思う。攻撃がうまくいかないスペイン。だったら、引いておびき寄せてカウンターを仕掛けるってやり方が考えられる。でも、イタリアは意地でも出てこない。攻撃に人数をかけてこない。何としてもスペインが攻めなければならない流れ。あの試合は特殊。イタリアは負けない戦い方だったけど勝てる戦い方でもなかったから。その辺がイタリアらしかったわけだけど。

とにかく、攻撃ではいろんな面を見せてくれたスペイン。でも、守備は首尾一貫してたと思う(シャレではなく)。今回のドイツ戦ではちょっとした変更が見られたけど、基本は相手の受け手を見るやり方。4‐4バイタルつぶしの超消極的な守備。だからこそ、組み立てが大変だった部分もある。攻撃のスタートが深い位置になってしまったから。でも、この4‐4バイタルつぶしの守備の安定がスペインをここまで押し上げた要因になったのも事実だと思う。実は今回のスペインは守備のチームだった。

ドイツの方も守備の良さが目立ったと思う。上にも書いたようにスペインの中盤をつぶす上でのお手本のような守備。そのたった1つ(セナがあそこで浮いたシーンは他になかった)の綻びをついたスペインが素晴らしかったってこと。大体、あれだってトーレスの能力が尋常じゃなかっただけで、綻びが綻びにならない可能性だって十分にあるわけで。というわけで、やっぱり守備は大事だなっていう。ドイツの攻撃は上でも触れたようにオランダと似てた。でも、守備の質が全く違った。それが勝ちあがれたかどうかの違いか。まあ、ドイツもスコアだけを見てみると守備が堅い雰囲気はないけど。

そうやって守備を考えてみると前線から追いかけ回す守備が機能したチームはなかったなって思う。実際に見た試合からだけど。期待されたスイスは前線からの守備をチェコのロングボール攻勢にいなされてしまった。オランダ、イタリア、ルーマニア、フランスの死のグループの面々は引いて受けるチームたち。ロシアもオランダ戦は引いて受け手を見る形、スペイン戦の前線からの守備は機能しなかった。スペインとドイツもここまで書いてきたように受ける形。ただ、スペインはゴール近くにブロックを作り、ドイツは高めにブロックを作ったって違いはあるけど。CLのマンUとチェルシーも受ける守備をしてたし、前線からの守備が得意なリバプールもシーズン途中に引く形へ。そういうトレンドか。
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