ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-07-08 Tue 15:19
スペイン×アメリカ
<スペイン:4-1-4-1>
FW:トーレス
MF:シルバ-シャビ-セスク-カソルラ、Xアロンソ
DF:カプテビジャ-マルチェナ-プジョール-セルヒオ・ラモス
GK:カシージャス

<アメリカ:4-4-2>
FW:アドゥ-ジョンソン
MF:ルイス-エドゥ-マイケル・ブラットリー-デンプシー
DF:ピアーズ-ボカネグラ-オニェウ-チェルンドロ
GK:ハワード

アメリカの守備。この試合のアメリカの守備は超がつく積極的な形。守備のスタートは2トップ。1枚が相手の最終ラインにプレッシャーをかけ、もう1枚が相手の中盤の底を押さえる。流れの中で受け渡しながら、うまく与えられた役割をこなしていたように思う。そして、ここで特徴的なのが相手の最終ラインを少しも自由にさせないっていうこと。組織を作ってある程度のところから守備を開始するっていうやり方ではなくて、敵陣ゴール前の相手に対してもプレッシャーをかけて行った。最前線からのリミッターのない守備。

少しも余裕を与えてもらえないスペインの最終ラインはどうなるか。EUROのイタリア戦を思い出せばそれが分かる。ちなみに、このアメリカ戦はEURO前の試合だったけど。とにかく、イタリアはスペインの最終ラインを深い位置に釘づけにするようにトニを当ててきた。トニがこの大会で唯一守備面で貢献した試合。これによってスペインの最終ラインは持ちあがれなくなり、中盤が助けるために低い位置まで降りてくる時間が長くなった。結果として後ろにばかり人数が溜まって前線にボールを送り込めない状況。

今回のアメリカ戦でも基本的には同じことが起こった。しかも、イタリアよりもアメリカの方が前線の守備の本気度が高い。イタリアの守備はあくまでも後ろに重心が置かれてるものだったし、トニの守備だって、あくまでも持ち上がらせない質のもので、前線から奪いに行く質のものではなかった。だから、最終ラインが持ちあがれない問題は結構あっさりと解決した(その次でとっても手こずったわけだけど)。それに対して、今回のアメリカは本気で前線から奪いに来てる。2トップは追いかけ回してたし、後ろもついてきてた。スペインにとっては攻撃のスタートの場所がかなり窮屈になってた気がする。

そんなわけで当然のように前線の選手が降りてきて助けるスペイン。シャビは低い位置でのプレー時間の方が長かったぐらいのレベル。前半は。セスクも降りてきまくり。そして、シャビ&セスクの真ん中の2人が低い位置に降りて行くと、それに引っ張られる形で両サイドのカソルラとシルバも低い位置に降りて行く。みんなが自陣に戻ってしまったスペイン。相手ゴールまでの遠い遠い道のり。かなり絶望的な低い位置の飽和状態だったように思う。

アメリカの方としては、これによって、さらに守備の勢いが増す結果になった。そもそも上にも書いたように、前線から奪いに行く意識が見られたアメリカ。2トップの守備に対して中盤もしっかりとついて行く。中盤の4枚は余裕で敵陣内で守備をするレベル。だから、スペインのSBは相手のSMFに押さえられて自由度が低くなった。最終ラインが深い位置に横並びで釘づけにされたイメージ。シャビとかセスクが降りて行っても、そう簡単に自由にはさせてもらえなかった印象。

要するに、そもそものブロック作りの時点で4‐4‐2の4‐2は敵陣内に入るのがアメリカの守備。それに加えてスペインのSMFが下がっていったことで、それについて両SBも敵陣内に入るレベル。自陣は高いなんてもんじゃないレベルの2バックが完成。立ち上がりの時間帯はアメリカ陣内にアメリカの2バックとスペインのトーレスだけが残るなんてシーンも珍しいものではなかったと思う。

これでスペインは全く敵陣内に入れなくなった。味方が自陣にみんな溜まっちゃってるんだから当たり前。延々と自陣でのパス回しが続く。もっと言えば自陣の深い場所でのパス回しが続く。攻撃のスタートが切れない。そんな流れの中で何とか糸口となる縦パスを狙おうとしても、敵陣内に入っているのはトーレスのみ。いくらなんでも選択肢が少なすぎるって話。敵陣内に入り込む縦パスはあっさりと相手に引っ掛けられてしまった。

これに対するスペインの解決策。普通に考えれば蹴りまくり作戦が有効。相手は尋常じゃないレベルに浅い最終ライン。こちらの1トップはウラのスペースが大好きなトーレス。相手にリミッターなく追いかけ回されてる時点でロングボールの出し手がどうかって話だけど、低い位置で横横にパスを回しているうちに誰かしらが浮いてくる状況は当然のようにできた。そこからトーレスへ蹴っとけばチャンス量産の臭いがプンプン。そして、頭の上を越えられまくる相手はそのうちにブロックを下げるだろう。結果として組み立てをスムーズに行えるようになるはず。

でも、スペインは全くそういう攻撃をしなかった。やっぱりスペインの攻撃は意地でもパスパスパスで崩し切るようなものなんだろうと思う。EURO決勝のドイツ戦でも最初はつないで行こうとしてた。ただし、こちらの試合では途中で柔軟にやり方を変更。トーレストーレス攻撃、カウンターが主体となっていった。ここで思い出さなければならないのは、ドイツとの試合はEUROの決勝戦だったってこと。結果が絶対的に問われる決勝戦。それに対してアメリカ戦は親善試合。しかも、ホーム。蹴りまくり作戦は国民が許してくれないのか。結果よりも内容重視の戦い方だったかもしれない。

というわけで、アメリカの前線からの守備に対しても意地でもつなぐ方を目指したスペイン。これがうまく行ってしまうあたりはさすがスペインというところか。本当に自陣の一番深い位置から丹念にパスをつなぎながら相手ゴールまで向かっていくシーンが多くなっていった。ただし、それをどうやって行うのかが1つのポイントになってくる。そして、そんなパスパスでの崩しを可能にしたのはスペインの中盤の一種のあきらめだったように思う。

つなげどもつなげども相手ゴールは遠い。立ち上がりはまさにそんな状況だった。パスをいくらつないでも敵陣内に入れなかったってのは上にも書いたとおり。そこで焦れて縦パスを送り込もうとしたところを引っ掛けられる。だから、スペインは縦パスをあきらめた。自陣でパスが回るならばそれでもいいんじゃね?っていう話。下手にボールを失っても仕方がないから、とりあえず無謀なことはせずにパスを回そうっていうイメージ。敵陣内に入ろうっていう欲が徐々に減っていった。

もったいないことに自陣でのパス回しのクワトロ・フゴーネスを使ったスペイン。本当はイニエスタがいないからクワトロ・フゴーネスではないけど。それでも底に入ったXアロンソを含めて技術の高さには疑いがない。やろうと思えば相手ゴール前の超密集地帯を崩し切る力のある選手たちの組み合わせなんだから、自陣でパスを回すなんてのは朝飯前。相手がいくら前線からプレッシャーをかけてきてるとは言っても、何の問題もなく落ち着いてパスを回していた印象。

これに困ったのがアメリカ。アメリカの前線からの守備は上にも書いたように高い位置でボールを奪うために行われている。でも、今や相手の中盤の構成力の前にその野望は打ち消されてしまった。確かに相手が自陣に入ってくるのは押さえることができる。相手の縦パスの選択肢はトーレスしかないんだから、そこを押さえればいい。でも、そのトーレスに相手が入れてこなくなった時点でアメリカの守備の狙いどころは定まらなかったって言える。

前線から追いかけて行っても、相手のパス回しによって次々に逃げられてしまう。自陣に入らせないっていう成果だけを考えるとあまりにも無駄な体力を使い過ぎ。結果として後半は明らかに運動量が落ちてしまったと思う。とにかく、あれだけ前線から頑張って守備をしているなら、やっぱり高い位置で奪うっていう成果が欲しい。でも、その頑張りは報われない。スペインの中盤をなめるなよって話。ボールの動きに対して常に適切な場所に入ろうとするアメリカの選手。対するスペインはボールを動かしまくる。そんな繰り返しの中で、当然というかなんというかアメリカの守備ブロックに穴が開いていたと思う。

自陣での少ないタッチでのパス回しで局面を変えまくって相手のブロックを動かしまくるスペイン。そんな流れの中から本格的に敵陣内に入るスイッチは何だったか。それはシャビが空いたところだった。最初に降りてきた時点では前を向かせてもらえないシャビもスペインが自陣で前後左右にボールを動かしてる間に自由にボールを扱えるタイミングが出てくる。シャビ自信がそんな場所に入るのもうまいわけだし。そして、シャビがエアポケットでボールを受けた時点で、シャビが前向きにボールを扱った時点でスペインの攻撃のリズムに変化が生まれた。

最も多かったパターンが右サイドに展開してその右サイドから敵陣内に侵攻するっていうやり方。このパターンに限らず、5分を過ぎたあたりからのスペインは中→外、サイド→逆サイドっていう大きな横への展開を織り交ぜることで敵陣内に入る機会が増えて行ったわけだけど。中でもシャビ→右の展開が多くなったのには理由がある。

1つは当然のようにシャビが攻撃の中心にいたこと。上にも書いたように、シャビが前向きでボールを持ったところが攻撃のスタート。2つめはシャビは中盤の左寄りに入っていたこと。ゾーンで守るアメリカはシャビがボールを持った時点で、そのサイドに寄せられている。逆サイドが空く。本当はしっかりと寄せることで逆サイドへの大きな展開は許さないってのが理想。でも、スペインの低い位置でのパス回しで揺さぶられまくったアメリカのブロックは何となくボールサイドに寄ってるっていうイメージが強い。それに、何度も書くようにそもそもシャビが浮いたところで攻撃をスタートしてたのがスペインだった。

こんな展開の中で右SBのセルヒオ・ラモスから敵陣への侵攻が行われる形が増えて行った。アメリカが狙っているトーレスは攻撃の組み立ての場所での重要度は薄れていった。残念、アメリカ。前線から頑張って守備をしていたのに、ついに相手の自陣への侵入を許すシーンが増えて行ってしまったと思う。結果として深い位置に4‐4ブロックを作ってバイタルをつぶすような守備が多くなった。前線から追いかけ回し、相手の低い位置のパス回しに合わせて左右のブロックを動かし、最終的には自陣のゴール前へ。お疲れ様です。

そんなわけでちらほらとスペインの中盤のパス回しが本来的な場所で見られるようになって行った。幅は両SBに任せて、中盤の選手を真ん中へ押し込む。個々の選手がパスを受けるためにギャップに入り込み、パスを出した選手は次のギャップへ入る。このときの距離感が素晴らしい。ボールも動き人も動く。ただし、ロシア戦で見られたようにスムーズにとはいかなかった。その要因はスペイン自身の問題。パスが微妙にずれるシーンが目立って、せっかくの1タッチ2タッチのリズムが分断されることが多くなったと思う。はまると美しいっていうようなレベルでコンスタントにいいリズムを続けられなかったのが、この試合のスペインの問題だったかもしれない。

そんなわけでいつの間にかスペインに流れが傾いていた。アメリカとしてはやってられないって話。前線からの頑張りが報われないわけだから。だから、アメリカも前半の30分前後を境として守備のやり方に変更を加えてきたと思う。前線から→揺さぶられる→引いて受けるっていう3段階に分けるとすれば、2段階目にメスを入れた。1つ目の前線からの追いかけも時間とともに勢いが弱まっていったってのは確かだけど。

さて、揺さぶられるっていうところにどうやってメスを入れたか。スペインが揺さぶるようになったのは、縦パスをあきらめたから。とりあえず、自陣で回しとく時間を増やしたから。これは上にも書いた通り。対して、アメリカが揺さぶられないようにと修正を行ったのも一種のあきらめ。相手が人数をかけて中盤で回し始めた時点で、もう奪うのは無理だろうっていうあきらめ。それまではボールを奪ってやろうと、相手のパス回しに対してチームとしてボールへのアプローチを行っていた。そして、それに振り回されていた。つまり、アメリカの守備の修正は前線で奪おうっていう意識をなくすこと。

今回の試合では特に安定感がなかったマルチェナを中心にスペインの最終ラインはつなぎの場所が不安定。だから、守備のスタートの時点では引かずに積極的な守備を継続した。でも、その最終ラインにシャビを中心としたスペインの中盤が助けに来たら、その追いかけは終了。勝手にボールを前わしてて下さいなってことで、自分たちは自陣へと引きこもった。ほとんど全員が敵陣内で守備をしてる時間さえあったアメリカが今や自陣で4‐4‐2を作る時間が長くなっていたと思う。

これでスペインの攻撃に勢いがなくなる。自陣でコンパクトブロックを作ったドイツを本質的には崩せなかったスペイン。それと同じ問題。相手が前線から来てくれれば、それを外して外してボールを回す中で、必ず相手のブロックに穴を作り出すことができる。そこから敵陣内に入り込めばいい。でも、相手が最初から穴を作らないっていう守備をしたらどうなるか。スペインは敵陣内に入れない。イタリア戦でもドイツ戦でも見られた問題。

なんとなく縦パスを入れようもんなら、受け手への守備を徹底して目標としているアメリカの守備の餌食。入りどころに対して厳しいプレッシャーをかけられてボールを失ってしまう。少なくとも前を向かずにボールを下げるだけになってしまう。基本的にスペインの中盤のパス回しの良さはみんなが前を向いて前へ前への勢いを保ったままにパスを交換していくこと。誰かに当てて飛び出すっていうよりは、全体で前へ向かっていくってやり方。その良さが消えてしまったと思う。

スペインの攻撃×アメリカの守備っていう側面ではこんな感じの流れで前半が終了。ここでちょっと小休止。アメリカには五輪代表世代の選手が多かった。そして、アメリカは日本の初戦の相手。アメリカの守備と日本の相性はどうなのかって部分を考えてみたいと思う。ただし、このチームと五輪代表が同じようなやり方を採るものと考えてではあるけど。まあ、アメリカの監督はAも五輪も兼任のようなので、異なる質のサッカーをしてる日本とは違ってそれなりに共通点は多いと思う。

さて、アメリカの守備がスペイン戦のように前線から追いかけ回して来たらどうなるか。カメルーン戦の前までなら絶望的だった。ビルドアップが超下手な日本代表にリミッターなしの超プレッシャーがかけられるなんて悲劇以外の何物でもない。でも、トゥーロンで一皮むけた日本代表はビルドアップの問題を解決。ドイツ、オランダ方式(あとはマンU方式とも言える)のビルドアップを獲得した。要するに出し手と受け手の役割を分担しておいて、受け手が相手の間で受ける。そこに収まった瞬間に出し手だった選手が飛び出して絡んでいくってやり方。

前線から来るアメリカの守備にちょっとでも一体感がなければ機能し放題のこの形。中盤とDFの間のスペースでボールを受けまくることが可能になる。そして、中盤とDFの関係をはがすために有効なのはやっぱりロングボール。ここはスペインじゃないんだから誰も起こらない。最初は李を走りまくらせればいい。そして、相手のDFを下げさせておいて本来の組み立てをすればいい。

そして、もう1つの懸念材料が相手の前線からのプレッシャーに耐えられるかってこと。これは大きな懸念材料。何しろ日本はスペインじゃない。中盤があれだけ落ち着いてボールを回すのは難しいと思う。となると、遠藤の離脱は痛すぎるのかもしれない。なんだか知らないけどフラフラと前線に出て行ってしまうことが多い梶山がどれだけDFライン前でのタッチ数を増やすかがポイントか。本田拓じゃちょっと心もとないし。本当は遠藤&梶山で中盤の底を組ませたら面白いと思ってたんだけど。

さて、そろそろ本題にスペイン×アメリカに戻りたいと思う。前半の最後の方では再び攻撃が停滞気味になったスペイン。考えてみれば実は前半にスペインがいい形を作ってた時間はかなり短かった気がする。そんなスペインが後半の開始時に選手交代。トーレス→グイサ、Xアロンソ→セナ。親善試合だから、どれだけ戦術的なものかはわからない。それでもいい方向に出たのは間違いない。トーレスよりもグイサの方が明らかに1トップにフィットして目立ちまくってたってのが1つ。ただ、それ以上にセナが入ったことが大きな意味を持っていたように思う。

漠然とした印象だけど、Xアロンソよりもセナの方が勇敢だってイメージを受けた。Xアロンソは相手のブロックの外でボールを受けて、相手のブロックの外から攻撃を組み立てることが多い。それに対してセナは相手ブロックに積極的に入っていく。ドイツ戦の得点シーンも起点はブロック内でボールを受けたセナだったし。自陣で引いて穴を作らないようにする相手。その相手ブロックにセナが入り込んでいくと、相手はそれに対応せざるを得ない。どうしてもブロックから引っ張り出される。結果として穴ができる。そこに受け手が入る。Xアロンソがプレーする場所だと相手は勝手に持ってていいよってなることが多いけど、セナの場合は相手を引きつけることが多い気がする。

そんなわけで後半のスペインは前半よりも楽にボールを前線に入れることができるようになった。そして、これがシルバ→デ・ラ・レッドの交代でさらに加速される。この交代によってスペインのシステムは4‐2‐3‐1っぽい形に。何よりも大きかったのがシャビが前線でのプレーに専念できるようになったこと。それまでは低い位置の助けに来るシャビの仕事をセナが引き受けることとなった(デ・ラ・レッドがセナの役割)。セナは低い位置の組み立てを助けつつ前線に飛び出すプレーを増やした。何にしてもシャビのゴールに直結する場所でのプレー時間が長くなった。それが得点にもつながってる。

今回の試合のシャビはとにかく素晴らしかった。EUROでも素晴らしかったけど、それよりも素晴らしかった。ピークを1つ前に持ってきてしまったんじゃないかってレベル。出し手としての役割でチームの中心となり、間間に入り込み受け手になり、常にボールの近くて逃げ場として機能し、機を見てFWになるような飛び出し、そして得点につながった個人技での突破。相手のど真ん中をドリブルで抜け出すっていう素晴らしいプレーを見せてくれた。さすが、後のEUROのMVP。

そんなわけで後半のスペインは前半の終りの流れが嘘のように攻撃をスムーズに進めた。リズムよくパスを回すシーンも増えて行った。出し手の意図と受け手のランニング、動きが合致するようになってた気がする。的確なタイミングでの飛び出しが多くなったと思うし。ただし、このスペインの攻撃の改善を反対の側面から見ることもできる。つまり、アメリカの方に問題が表れたっていうこと。

その問題はスタミナ。ここまでにも書いてきたように、アメリカは前半の守備でかなり消耗していたと思う。だから、後半は完全に運動量が落ちていた。前線からの守備の面影はなくなり、受けるにしても入りどころに素早くプレッシャーをかけられなくなった。アメリカ陣内でボールを受けるスペインの選手がルーズになり、簡単に前を向けるようになり、スペインのみんなが前を向いたパス回しが可能になった。実はこちらの要因の方が大きかったかもしれない。

疲れたアメリカは後半のほとんどを自陣で過ごした。立ち上がりのチャンス以外に攻撃をした事実自体が後半はほとんどなかったように思う。相手に攻められて、なんとか最後で跳ね返して、その跳ね返したボールが相手に渡って、また攻められる。この無限ループ。ここから分かることは、アメリカは深い位置からの組み立てが下手だってこと。これは前半からも見られた事実。高い位置で奪ってショートカウンターの芽がなくなった時点でアメリカの攻撃に怖さはなかった。とりあえず見るだけ見てみたいと思うけど。

4‐4‐2のアメリカ。攻撃時はSBが高めに出て行き、最終ラインは2バック。その代わりCMFの2枚がそのCBの前に常駐状態。スペインは敵陣で守備をする気があまりなかったから中盤の2枚を下に張りつかせる意味はあまりなかった気がするけど。とにかく、結果として攻撃時は2‐4‐2‐2みたいな形になることが多かったように思う。

前線では右サイドのデンプシーが真ん中に流れてくることが多い。入れ替わりにジョンソンが右に流れることシーンも目立ったと思う。逆に左サイドのルイスは左サイドに居座ることが多かった。ただし、上下の動きを増やして1つ下のピアーズと前後の入れ替えをすることも多かったと思う。残ったアドゥは中盤に降りて行く動きが目立ってた。右では左右の動き、左では前後の動きが多くなってた印象。

このうち活性化したのは左サイド。というか、左サイドしか機能してなかったのが今回のアメリカ。右サイドから真ん中に流れてきたデンプシーは消えた。アメリカの出し手は基本的にCBとCMFの2‐2。CBの2枚は距離を空けて幅を作ろうともしてたけど、限界がある。結果としてスタートが真ん中に偏ることとなった。だから、デンプシーにボールを入れるには中→中の縦パスを通さなければならない。相手の4‐1‐4‐1システムではその真ん中のコースには完全にフィルターが掛けられてた。じゃあ、入れ替わりに外に出ていったジョンソンはどうか。これも無理。なぜならばジョンソンは右サイドの超高い位置で待ってたから。中盤には降りてこないで、サイドのウラを狙うイメージ。パスを通すには距離が遠すぎた。

よって右が死亡。左はルイスとピアーズの前後の入れ替えなんかを利用しながらなんとかボールを運べる体制は作り出してた。ただし、深い位置に行くとなると話は違う。この関係性はあくまでも2人だけ。そして、相手の右SBはセルヒオ・ラモス。ロシアの左サイドを無効化したセルヒオ・ラモス。残念ながらアメリカの左サイドの攻撃はあっさりと止められてしまう結果となった。そんなアメリカに唯一残された選択肢は降りてきたアドゥに預けて個人でゴールに向かってもらうこと。いくらなんでも可能性が薄いって話。

全体としてアメリカの攻撃の問題は関係性が作れてないってこと。相手がスペインだから余計に目立ってた。アメリカは選手間の距離がとにかく遠い。その上ボールを引き出す動き出しがほとんどない。だから、個人が孤立する。潰される。パスを出せたとしてもパスの距離が遠い。引っ掛けられる。引っ掛からなくても足元足元だから狙われる。五輪代表もこんな感じなら、日本の守備は全く心配はいらないだろうなって気がする。遅攻をさせればこっちのもの。個分断のアジアのチームと戦うのとあまり変わりはないかもしれない。

そんなわけでアメリカの攻撃の質は高くなかったって言える。結果としてスペインの守備の問題があまり表に表れてこなかった。でも、スペインの守備には確かに問題が存在してたと思う。あいまい性の問題が。まず、はっきりしてたのは自陣で守備をしようってこと。切り替えの流れはともかく、相手がボールを保持したら全員を下げて4‐1‐4ブロックを自陣に作り出した。やっぱりトーレスは何もしない。そこまではよし。でも、4‐1‐4ブロックを作った上でどこから守備をするのかがはっきりしなかったと思う。

基本的には相手が自陣に入ってきたところが守備のスタート。確かに入ってきたところで中盤の選手がチェックに行ってはいた。でも、それが単発。その上、強度がまちまち。チームとしての奪いどころを定められてなかったと思う。アメリカの攻撃がスペインの守備に負けず劣らず個が分断していたからいいものの、普通に4‐1‐4の1の場所に入られるリスクは高かったように思う。

もしかしたら、スペインの守備は過渡期だったのかもしれない。この後のEUROでのベタ引き守備に向けて。EUROでは自陣に相手が入ってきても、それほど気にしたそぶりを見せなかった。勝負はあくまでも最後のところ。そのためになんとしてもバイタルエリアをつぶしにかかってた。アメリカ戦でも守備が一番機能してたのはバイタルエリアだった。相手の攻撃がお粗末だったっていう要因は多分にあるものの、縦パスが入った選手はすぐに囲い込んで潰していった。ただし、そこを押さえるってことが徹底されてなかったのも事実。前から行ってみたり、後ろで守ってみたり。上にも書いたようにあいまいな様子が見て取れた。

そう考えると面白い。攻撃も含めて、これが機能したらEUROのロシア戦みたいな形になるんだろうなっていうやり方が多く見られた。なんでロシア戦ばかり取り上げるかっていうと、スペインが主導権とポゼッションを握って戦ってたのはロシア戦しか見てないから。イタリア戦ではボールを支配してても主導権はイタリア。ドイツ戦は主導権は握っててもポゼッションはドイツだった。そして、アメリカ戦では主導権もポゼッションも握った。やっぱりプチ・ロシア戦だったと思う。相手は全然違うけど。

そして、今回の試合ではシャビが目立ちまくってたけど、たぶんシャビが目立たないレベルに周りのレベルが上がったんだろうなって思う。チーム全体としては攻撃と守備に微妙な、そして的確な修正が行われたんだと思う。そして何よりもチームに柔軟性が生まれたのが大きかった。決勝のドイツ戦のときにも書いた気がするけど。アメリカ戦だって、蹴りまくってればもっと簡単に勝てたはず。でも、それをせずにあくまでもつないだスペイン。国民に怒られないように。そういう意味では大きな大会でも国民に怒られないように戦ってたのが今までのスペインだったのかなって気がする。結果が出なかった要因か。
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