ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-01-02 Wed 02:43
天皇杯決勝:サンフレッチェ×アントラーズ
<サンフレッチェ:3-5-2>
FW:佐藤-平繁
MF:高萩、服部-森崎浩-森崎和-駒野
DF:盛田-ストヤノフ-槙野
GK:下田

<アントラーズ:4-4-2>
FW:田代-マルキーニョス
MF:野沢-青木-小笠原-本山
DF:新井場-大岩-岩政-内田
GK:曽ヶ端

今回の試合でサンフレッチェの守備の問題の一端が見えた気がする。もちろん、気がするだけなのかもしれないけど、ちょっと気になったところがあった。それはガンバ戦の立ち上がりの時間に見られたような、前後の分断状況にも関係してくる。

そもそも基本的な組織は全員を自陣に戻して作られる。その中でFWの守備意識の高さが見られるし、当然のように自陣に守備の厚みを築ける。さらに当初の組織作りでは最終ラインを下げずにコンパクトなブロックを作ることができてる。

局面を見ると中盤では相手ボール保持者に対して最低1枚が対応しに行こうとする。ガンバ戦のようにある程度見るところをはっきりさせようとする形は確認できなかったけど、相手の中盤のボール保持者を完全にフリーにするのは避けようとする対応が見られた。そういう中盤の守備に対して後ろはしっかりと人につく。特にトップに入る縦パスに対しては、しっかりと体をぶつけての対応が見られたと思う。

こういうサンフレッチェの守備を見てみると、大きな問題は感じないのが正直なところ。全体の組織の作り方も、局面局面の守備に関しても。これは前回のガンバ戦を見ても感じた部分であって、実際に最多失点の原因をつかみきれずにいた。

ただ、最初にも書いたように今回の試合を見る中でちょっと気になった部分が露呈してたのも事実。それが実際に最多失点につながったかどうかはともかくとして(実況、解説の話を聞く限りでは、サンフレッチェの天皇杯での守備はリーグとは切り離して考えた方がいいようなニュアンスだった)、少なくとも今回の試合では危険な状況を生む要因の1つになってた部分があったように思う。

それは全体の守備が無難すぎるってこと。上にも書いたように、1つ1つの守備の要素には大きな問題を感じない。ただ、全体として見てみるとその1つ1つの要素が全て無難にこなされてるのが感じられた。要するに守備のストロングポイントがないってこと。全ての守備が平均的にこなされてて、大きな問題は感じられないけど絶対的な強さも感じられないイメージだった。

単純に、前線か?後ろか?っていうことで考えてみる。例えばレッズは前:後1:9ぐらい。前の守備が破綻しても後ろで守りきれる強さがある。逆に後ろが破綻したら大変なことになるけど、そこは守備のストロングポイントであって、そう簡単には破綻しない。

この単純化をサンフレッチェに当てはめてみると、前:後=5:5ってイメージ。平均的に守備ができている分バランスがいいように見えるけど、実際にはそうとも言えない。前か後ろかのどちらかが崩されれば、一気に守備力は5になる。そして、前も後ろも同じように破綻の可能性を秘めてる。

実際にはこれほど単純ではないけど、サンフレッチェの守備には悪い意味での平均化が見られたのは事実。中盤ではボールに対して寄せる意識はあるものの、厳しく行って奪う意図は少ない。ガンバ戦のときにも書いたように、あくまでもボール保持者をフリーにさせないイメージ。逆に後ろの守備に関しても1つ1つのところで相手選手に対応してるものの、絶対的に跳ね返すほどの厚みは感じられない。

ただ、ガンバ戦のときには後ろに絶対的な堅さを感じたのも事実だった。ただ、今回の試合を見てみるとサンフレッチェの守備らしさってことになるのかは微妙な気がする。上の単純化を使うならば、ガンバに押し込まれて前+後=10っていうブロックができたのかなって気がした。ただ単に、中盤がガンバに押し込まれたことによって勝手に生まれたってことなんじゃないかと。

これにはガンバの前線詰まりも関係してた。ガンバの選手が次々に前線に入ることで、サンフレッチェは自動的に後ろの堅いブロックが形成。そして、ガンバは前線の選手が動かなかったことで勝手にスペースをつぶして行った。サンフレッチェの守備ブロックは最後のところで待っていれば相手が勝手に引っかかってきてくれるイメージだったってのは前にも書いたとおり。

逆に立ち上がりにサンフレッチェの守備分断が見られたときには、ガンバの攻撃もいい意味で分断(組み立てとフィニッシュの区別がついてた)時間帯。ガンバのFW(フィニッシュ)がFWとして、中盤(組み立て)は中盤として機能したことで、サンフレッチェはストロングポイントを作れなかった。要するに5:5の状況が生まれたわけで、それが前後の分断として表れてしまったんだと思う。

そして、こういう守備の問題が隠されているサンフレッチェにとってアントラーズの攻撃はかなり相性が悪かった気がする。サンフレッチェ自身の問題によって守備の勝負どころがはっきりしなかったのに、アントラーズの攻撃のアプローチによってさらに守備の勝負どころがうまく定まらない状況が作られてしまったように思う。

アントラーズの攻撃のアプローチについてはこれまでも書いてきた通り。キーワードは前後左右のアプローチってことになると思う。そして、その内実は人的な部分とボールの動きの部分っていう2つに分けて考えることができる。

人的な部分としては上下方向への動きの多さと左右方向への動きの多さ。要するにトップの場所の出入りの激しさと、サイドでの出入りの激しさっていうことが挙げられると思う。そして、そういう前後左右の流動性を利用した、前後左右へのボールの動きが生み出される。基本的には組み立て時の横の展開と、フィニッシュに向けての縦のくさびってことが多いと思う。もちろん、縦に1つ入れて攻撃のスタートとするっていうやり方も多いし、サイドからのクロスでフィニッシュにつなげるってこともあるわけだけど。

1点目はまさにこの前後左右のアプローチを利用した得点だったと思う。組み立ての段階でかなり左右に振る大きな展開を織り交ぜ、右サイドに上がってきた内田がフリーに。そして、その内田がくさびをマルキーニョスに入れることで横のアプローチから縦のアプローチへの転換しスピードアップを図ったシーンだった。

横の利用についてはSBの攻撃参加に加えて中盤(場合によってはトップ)が入れ替わりサイドに流れることで厚みを増す。今回の試合では横方向の大きな展開がかなり効果を発揮してたと思う。

対して縦の利用はトップの動き。マルキーニョスが下がって受けるプレーとか、チャンスにもつながった田代のウラを狙う動き。本来的にはここに中盤が絡んでくるのが理想なんだけど、今回の試合ではあまり見られなかったと思う(疲れのせい?)。

それでも人とボールによる前後左右のアプローチはサンフレッチェの守備を崩すのに効果的だったのは確かだった。上に書いたような左右への大きな展開によってサンフレッチェの中盤のチェックを無力化した。広いサイド広いサイドを利用することで、相手の中盤に寄せをさせずにフリーな選手を作り出した。同時に横の間延びも誘って真ん中を空けて言ったと思う。

そして縦のアプローチによって相手の最後の堅さを許さなかった。ガンバのように前線が詰まった状況だったら、サンフレッチェの最終ラインは大きくバランスを崩さずに対応できたはず。でも、中盤に降りて行って受けたり、ウラを狙うっていうやり方の中で相手の最終ラインのバランスを崩していった。人につく意図が強いサンフレッチェの守備陣はしっかりと動きにつくことで、ラインから引っ張り出されるわけだから。それから前線で動きを作り、何でもかんでも人数を入れなかったことで相手の最終ラインとDFラインの張り付きも防いでた印象。これは中盤のパス回しの中で相手の中盤を引っ張り出したのも大きかったと思うけど。

こういう流れの中でアントラーズの一方的な試合になる可能性もあったと思う。実際にアントラーズの先制点まで、サンフレッチェは守備の勝負どころを決められない不安定さが見られ、ボールも支配されてしまった。ただ、実際にはそういう流れにはならなかったと思う。

その要因としてはアントラーズが先制点後、明らかにペースダウンしたから。極端なことを言えば、前半8分の得点後はもう試合を閉めに行ったっていえるぐらいだったと思う(さすがに、言い過ぎか?)。

それがまず見られたのは守備面。立ち上がりは最前線から追い掛け回す守備のやり方が見られたと思う。そうやって相手の最終ラインのボール保持者に対しても余裕を持たせなかった。そして、そういうトップの追いかけに対して次のところも高い位置で連動して行った。そういう激しい守備によって相手に試合の主導権を握らせない意図があったと思う。

そういう意味では得点に関係なく、ある程度の時間帯になったら守備のペースダウンを図るつもりだった可能性もある。でも、今回の試合では事実として得点の前後での守備の質が変わった印象。

得点後の時間は受けるイメージが強くなった。切り替えでの守備のよさをベースとして、まず組織を作るっていう意識が強く表れてた気がする。トップの2枚も自陣近くまで戻って3ラインの一角になった。だから、相手の最終ラインは立ち上がりと比べるとかなりフリーでボールを持てるようになってたのが象徴的だった。ただ、同時にサンフレッチェはその最終ラインから相手ブロックに仕掛けるボールがほとんど入れられなくなったと思う。横パスばかりが続いて、攻撃のスタートが切れなかった。

この要因はアントラーズの守備の組織作りのうまさにあった印象。4-4-2の3ラインをコンパクトなブロックを基本として相手の縦へのコースをしっかりと締めた。さらに、この後ろの4-4のボールサイドを上げることで斜めのブロックにして同時にボール保持者に対しても間接的なプレッシャーをかけてたと思う。この斜めブロックによってアントラーズの最前線が3トップみたいな形に見えることが多かった。サンフレッチェとしては、こういうアントラーズの組織作りに対して仕掛ける活路を見出せなかったと思う。

こういう守備ブロックを基本として、スイッチが入ったところで一気に守備のスピードアップが図られるっていうやり方が見られた気がする。ブロックに仕掛けられたところでは当然のようにしっかりとチェックがかかる。そして、それに周囲が連動することで素早い囲い込みが見られたと思う。これは1度組織を作ったことによって生まれた近さがベースとなる部分もあるけど、前線からの守備に見られるような個々の守備意識の高さが本質的なところにあるのは事実だと思う。

さらに前半に関しては1度組織を作ってから、前に対する守備をしていくことも多かった。相手が前線への入れどころに迷ってもたついたところで一気に守備が開始されることが多かったと思う。多くの場合では斜めに配置された中盤の1枚(単純に最前線のFWってこともある)が一気に距離を詰めるのが守備のスイッチ。そして、そのスイッチが入った時点で周囲の選手が一気に活動的になる。1度作ったブロックから次々に飛び出して相手の選択肢を削って行く。勝負どころと決めたら、守備ブロックを押し上げて一気に畳み掛ける守備が見られたと思う。その中でほとんどが高い位置でのカットにつながってたのが素晴らしかったと思う。

そして、遅ればせながら感じたのはアントラーズの守備のよさはこの緩急にあるってこと。シーズン当初のアントラーズはこの試合の立ち上がりでも見られた最前線からの追い掛け回しをベースとした守備をしてた。そして、前線から個々の守備意識が高いからそういう守備がしっかりと機能して、高い位置でのカットが目立ってた。

個人的には最近までこのイメージを引きずったままアントラーズの守備を見てきてた。実際に前線からの守備は素晴らしく機能してたわけだから、それがある意味ではベストのやり方だと信じてた。結果としてシーズン終盤のガンバ戦、レッズ戦、フロンターレ戦は、力関係とか戦術的名意図からあえてそういう前線での守備を捨てて、受けるイメージを強くしてるんだと思い込んでた。

ただ、実際にはいつの間にかアントラーズの守備のベースは組織作りの受ける方に変わってたんだと思う。シーズン当初のエスパルス戦から長期間アントラーズの試合を見る機会がなかったから、はっきりとどこで転換したかは分からない。でも、今になって考えてみるとこの守備の転換がチーム状態を上げた要因だったのかもしれない。実際にいい守備をしてた(と個人的に思ってる)シーズン当初には苦しんでるわけだから。

この転換によってもたらされる一番の恩恵は、省エネ。高い位置からの追い掛け回しによる守備は効果的であるのと同時に現実的ではない。90分間ハイプレッシャーを続けるのは、さすがに難しいから。対して、1度組織を作ることをベースにすると無駄が省かれたやり方だっていえる。

基本的な組織を作ることで激しいプレッシャーなしでも相手に攻撃の糸口を与えない。そうやってもたつかせたところで、1つのスイッチとともに一気に守備をスピードアップさせる。それが自陣に入ったところなら、選手間の距離が近づいてることで効率的に連携を図ることができる。それに最初のチェックにも長い距離を走る必要性が減る。それに、上に書いたようなブロックの外に対する守備に関しても効率性が生まれると思う。1度組織を作ることで、選手の配置が整理される。結果として最小限の手数で相手を追い込むことができると思う。

同時にこの緩急をつける守備はそう簡単にできるものではないことも事実だと思う。緩に関しては、組織の作り方のバランスが求められる。激しいプレッシャーなしで相手の縦パスを防ぐには、3ラインの配置をはじめとしたかなりのバランス感覚がが必要とされるし、相手のボールに対して決め細やかな修正も必要とされる。急については、個々の守備意識の高さとスイッチが入った瞬間の意思統一、運動量。このやり方はシーズン当初の高い位置での守備をベースにしながら作られた部分が大きいと思う。

そういう意味ではアントラーズの守備のやり方は一朝一夕にできるものではない。組織としての絶対的な連携と個々の戦術理解度の高さが求められる。流動性をベースとした攻撃を含めて、アントラーズの組織としての成熟度の高さを再認識させられた。

アントラーズの前半の守備はここまで出てきた2パターン。立ち上がりの最前線からの追いかけと、得点後の自陣にバランスのいい守備ブロックを形成する形。どちらの守備についても、相手の攻撃をほぼ完璧に許したっていえる。ほとんど自陣内にはいい形で入られてない。これに対して、後半は3つめのパターンが見られたと思う。それは自陣深くのブロックで跳ね返す形だった。前半と比べると自陣内に入られる回数が明らかに増えた。

後半のアントラーズは立ち上がりこそ積極的に守備をしたものの、多くの時間では基本的なブロックの形成を前半よりも深い位置で行うやり方が見られた。前半は敵陣に入ってた2トップも自陣に入る時間が長くなった。後ろの4-4も前半のように斜めにならずにシンプルな横並びになることが多かったと思う。要するに相手ボール保持者に対する意図が弱まったことを意味する。

結果として後半はサンフレッチェのボールも人もアントラーズ陣内に入ってくる時間が増えたと思う。もちろん、1点を追う展開でサンフレッチェ自身が前への意識を高めたこともあるだろうけど。ただ、前半とのあまりの差を見るとサンフレッチェの攻撃意識だけでは片付けられない。おそらく意図的にアントラーズが下がって、相手をおびき出そうとした気がする。

このときにアントラーズの守備のベースになったのは絶対的な最後の跳ね返し力だった。真ん中は4-4(4-2)のブロックでバイタルエリアをつぶした。残りの選択肢である、サイドまたはブロックの外からのアプローチはことごとく跳ね返し続けた。結果としてポゼッションを相手に渡す中でも、ほとんどチャンスを作られてない。実質的な主導権はアントラーズが握ってたって言ってもいいと思う。

これでアントラーズの守備のやり方は大雑把に分けて3パターンに。そのどれもが高レベルで安定してるから、得点差とか時間を考えてチョイスできる。これはかなりの強みだと思う。上でサンフレッチェは守備のストロングポイントがないって書いたけど、そういう考え方だとアントラーズはそのときの意図によってどこにでもストロングポイントを作れるってことになるんだと思う。

ちなみにアントラーズは攻撃面も時間とともに(守備のやり方とともに)変えていったと思う。立ち上がりは上にも書いたように、左右上下のアプローチによって相手ゴールに向かっていくやり方。それが得点後は横のアプローチを増やしたと思う。左右の大きな展開を使いながら、中盤を制圧していった。もちろん流動性ベースの近い関係でのパス回しも織り交ぜつつ。縦パスに関しても強引に入れずに、ポゼッションの方に力を入れてたと思う。これが前半の8分時点で試合を閉めにかかったって書いた要因。逆に言えば、ゴールに対する積極性が失われたわけで、それがサンフレッチェの守備のギャップを隠したと思う。

これに対して後半はベタ引きの守備に引きずられてカウンター主体に。マルキーニョスに当てて、後ろの押し上げを待つっていう展開になった。ただ、このやり方が思ったよりも機能しなかった気がする。運動量(疲れ)の問題か、リスク管理の問題か、時間ともにフォローが少なくなって可能性のあるカウンターが少なくなっていった。いつものアントラーズの飛び出しの量があればもっと効果的な攻撃につなげられた気がする。それでも、マルキーニョスは助けが少ない状況でファールをもらってたのはさすがだったと思う。

ちなみにサンフレッチェはマルキーニョスをはじめとして、キーとなるところには厳しく対応することが徹底されてた(ある意味ではストロングポイント?)。結果としてアントラーズにFKのチャンスが増えることになった。そのときにアントラーズは合わせる選手がGKの前にスペースを空けて待つやり方が多かったと思う。キッカー(多くの場合は小笠原)はそのスペースに対して速いボールを蹴り込む。そこにスペースに対して勢いよく走りこんできた味方が合わせる形。この走り込みに対しては相手もしっかりとついて守らなければならないわけで、ゴールに向かって敵味方入り乱れて向かっていくことになる。そして、そこに速い質のボール。いつ交通事故的なゴールが生まれてもおかしくなかった。

アントラーズの攻撃の内容に戻ると、守備と同じくバリエーションが豊かなことが分かる。大きく分けるとポゼッションとカウンターだけど、その両方が計算できるやり方。今回の試合はどちらのやり方でも縦の動きが少なかったけど、本来のアントラーズの攻撃では流動性(飛び出しの多さ)をベースにして攻撃を組み立てる。それがどちらにも応用できてる要因だと思った。

攻守に渡ってこれまで見えてなかった部分を含めて、アントラーズの組織としての成熟度の高さを改めて感じさせられた試合だった。そして、そのチームを作り上げた監督の手腕は素晴らしいと思った。

対するサンフレッチェの攻撃は柏木の不在を感じさせられた。柏木の不在は守備よりも攻撃に響いてた気がする。それがよく表れてたのが前半の流れ。ほとんど前線にボールを入れられなかった要因になったと思う。

サンフレッチェの攻撃は概ねガンバ戦と同じような内容でできてたと思う。それがサイドに起点を作るやり方と流動性。ただし、そういうやり方がうまくリンクしなかったことで相手ゴールまで迫ることができなかったと思う。つまり本来は柏木がリンクの役割を担うんだと思う。例えば今回の試合ではサンフレッチェの2トップがはがれてしまう状態が生まれた。局面を見ても、個々の分断が見られた気がする。

これは柏木の不在によって選手間の距離が広がったことを意味する。全体としての動きが少なかったわけではないけど、色々なところに顔を出す柏木の不在によって関係性が築きにくくなった。それが個の分断を生んで、相手の囲い込みにあうシーンも目立ったと思う。

さらに細かいことをいくつか取り上げる。まずは、相手のブロックへのアプローチ。流動性はあるけど爆発的なランニングがなかったことで、相手の組織にギャップが作れなかった。それが前半に縦パスを入れられない状況を生んだのは上にも書いたとおり。そういう縦パスの質から言えば、低い位置の組み立てを助けに来る選手がいなかったのも問題だった気がする。攻撃のスタートは常に最終ラインが担って、後はみんな前へ意識を向けていた印象。それに伴って、前回は見られた大きな展開も減ってしまった。後半にポゼッション率を上げたときには、前線で動きがない詰まり状態が生まれた。動きのスイッチを入れる柏木の不在が見られた。

もちろん、ここまで書いたこと全てが柏木の不在っていう要因だけで生まれたわけではない。アントラーズの守備のよさがあったことも事実なわけだから。でも、前回のガンバ戦を見るとこういう部分に少なからず柏木が絡んでたのは事実だった。このチームでの柏木の存在の大きさを感じた。

最後に勝手な意見を言わせてもらうと、柏木はフロンターレに行くと面白い気がする。マギヌンがいなくなるフロンターレはマギヌン的なトップと絡めるトップ下を欲しいはず。そう考えると2列目から飛び出す動きがある柏木の存在は穴を埋めるのには十分だし、守備を考えても前線の3枚のフィルターの強化が期待できる。さらに大きいのは後ろとの関係。谷口と中村の組み合わせを想定すると、柏木を含めた面白いトライアングルが作られると思う。どの選手も守備も頑張るし組み立てもできる。そして何よりも攻撃参加が魅力。ここでグルグルとポジションを変える状況が生まれると相手としてもかなり厄介な中盤になるはず。実現可能性は低いかもしれないけど、柏木を一番生かせるんじゃないかと思った。
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この記事のコメント
今年もひまじんさんの文章やcska352さんのコメントも含めてサッカーブログを楽しく勉強しながら読ませていただきます。今年もよろしくお願いします。
アントラーズは、前半の守備の仕方は好きでした。DFは、フラットにならずにあくまで人についていく感じに見えました。サンフレッチェの2列目3列目の選手がフォワードが下がった時に飛び出して行くような攻撃を仕掛けていたらどう対応していたのだろうと思います。

サンフレッチェは、ポストプレイヤーの必要性を感じました。
2008-01-03 Thu 12:54 | URL | ロッド #aAuxo48E[ 内容変更]
[]
こちらこそ、よろしくお願いします。

アントラーズは真ん中の強さがあるので、ラインに深みを持たせる守り方をしますね。ラインをフラットに高く設定するよりも、相手をゴール近くに来させることになりますが、それを上回る自信があるというか。

サンフレッチェは本来的には後ろからの飛び出しがもっと多いチームなんでしょうかね。天皇杯の2試合とも主導権を握った試合ではないので、ちょっと確認できませんでしたが、柏木がいれば変わったのかもしれませんね。
2008-01-03 Thu 13:58 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
サンフレッチェは、リーグ戦では、高い位置でボールを支配するチームだったのだと思います。天皇杯では、タイミングもあったと思いますが低い位置で守備をして丁寧に繋ぐカウンターサッカーにスタイルを変えてきました。好結果を生んだのはこれも要因の一つではないかと思います。

天皇杯決勝ではアントラーズに先制されるとリーグ戦同様に相手が引いてサンフレッチェがボールを支配する構図になりました。
しかし、逆に自分達を苦しめる事になってしまっていたと思います。そこから打開するために必要なパーソナリティやイメージが不足していたのだろうと思います。
2008-01-06 Sun 09:51 | URL | ロッド #aAuxo48E[ 内容変更]
人に付く守備とかゾーンでラインの上げ下げで駆け引きをする守備とかいろいろあると思いますが、それを相手の攻め方や自分達の位置によって使い分けが上手くできて押さえ込めたらいいなぁと思います。

2008-01-06 Sun 10:03 | URL | ロッド #aAuxo48E[ 内容変更]
サンフレッチェは守備をベースにするやり方に変更したとするとJ2では磐石かもしれませんね。どれだけ選手が抜けてしまうかは分かりませんが、J2にしてはタレントは豊富でしょうし、ここのところJ2では守備ベースの戦い方のチームが結果を残してますね。

天皇杯決勝に関してはオリベイラ監督も似たような話をしていたと思います。自分たちが引けば、相手が出てきて勝手に自分たちのプレースペースをつぶしてしまうだろうっていうニュアンスだったと思いますが。ブロックを打開するための工夫が出せなかったかもしれませんね。
2008-01-06 Sun 16:42 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
人とゾーンと大きく分けたとして、両方を完璧なレベルまで高めるのは現実的には難しいと思います。でも、どちらかだけを極めても守りきれないのも事実だと思います。ゾーンディフェンスでも最後のところは人につくやり方は多くのチームが採用していますし、マンマークでも相手のカウンター時にはゾーンに移行して遅らせますし。そういう場面による使い分けは必要だと思います。
2008-01-06 Sun 16:45 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
皆さん久しぶりです。
ボールプレスのラインDFをするチームでもオフサイドトラップを多用するチームは少なくなりましたね。
一人余らせるとか、早めにペナルティーエリア前までラインを下げてマークに付くなりボールを拾うなりするチームが多いです。 ゾーンだとラインもマークもできるのが利点ですね。

マンマークは古来よりの戦術で、受け手を押さえればいいという分かりやすさがありセットプレイではほとんどのチームがやるとおもいます。
相手が攻めているときは守って、守っているときに攻めるという実力どおりの自然な感じになります。
でもマンマークでも前線の守備が効いていればマークを一斉に捨てることでオフサイドは取れますし、ボールを支配している間はマークにつかなくていいわけです。
相手に攻守ともあわせることになるので鹿島が終盤前線の4人が敵陣に残っていたのは広島が攻撃に人数を掛ける妨げになったかもしれませんね。

攻撃から守備に切り替えるときの対応にチームカラーが出るとおもいます。
すぐに人につくチームもありますが、引いてからマークに移るチームが多いとおもいます。
戻るときにラインをそろえるかギャップを作るか、ラインを組んでチェック(マーク)に行くのか遅らせるだけなのかといったところも見所です。
2008-01-08 Tue 14:27 | URL | cska352 #JRF.i9mo[ 内容変更]
ブラジルスタイルの(スウェーデンも?)4-2-2-2ゾーンDFはリスクが少ないけど4-1-4-1より攻め手があります。

攻めてるときもプレス時もコンパクトに押上ながらラインはそろえず、ラインをそろえてオフサイドを取るのはGKが手を使えるペナルティーエリア付近からと分かりやすいです。
2CBはボールサイドに近い方(競り合いに強い方か)がアプローチ(マーク?)にいって他方は余るのがジーコJでも見られた形。
SBが上がっているときはCBがサイドをケアしてポリヴァレントな方のボランチがゾーンを埋めるのがブラジル流。

W杯の日本戦でリードを許してから見せたブラジルのシステムチェンジは印象的。両SBが上がってボランチのジウベルト・シウヴァがCBにはいる。
これで守備のリスクも抑えながらうまい方のボランチがボールを散らすワイドなサイド攻撃が展開されるわけです。(3-1-4-2)鹿島もこれをやるのかは知りませんが。
このメカニズムを考えるとオシムの鈴木や阿部を中盤の底に置くも分かる気がします。
代表の場合ゾーンより人を意識してるとおもいますがSBやボランチがCBを助ける形だと思います。それでSBとDHは守備も攻撃もカパーサポートできるポリヴァレントでなければならないのでしょう。

広島のポリヴァレントの使い方は勿体無く思いました。
ポリヴァレントでないCBをFWに並べてオフサイドに掛かっていました。
ヒディンクならCBをキープ力のある攻撃の選手に代えて人数を掛けらえるようにしたでしょう。
柏木・ウェズレイがいなかったので分かりませんが広島に柳沢がいたらどうなっただろうと思ったのは私だけでしょうか。
鹿島の選手起用にはこのチームがうまく行っている余裕を感じました。
2008-01-08 Tue 15:25 | URL | cska352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
[]
ゾーンとマンの詳しい説明ありがとうございます。

>3-1-4-2
アントラーズはボランチにCBもできる青木を置いているので、やれないことはないですね。実際にはテレビの画面に映らない範囲であることが多いので何とも言えませんが。ただ、シーズン当初に中盤をダイヤモンド型にしていたときには、底に青木(もしくは中後)を入れることでSBの上がりを促進してる印象は受けました。

>代表の場合ゾーンより人を意識してるとおもいますがSBやボランチがCBを助ける形だと思います。
SBでは阿部や今野を使う形ですよね。06アルゼンチンは攻撃時にSBがCBを助ける意味で同じメカニズムでしょうか。

>ポリヴァレントでないCBをFWに並べて
というのは、どういうことでしょうか?
2008-01-08 Tue 19:16 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
ポリヴァレントな選手とは複数の役割がこなせる選手だと思います。多分
鈴木や阿部のようにCBもボランチもできるとか、加地や今野のようにCBにもウィングにもなれるとか。山岸のようにもFWにもWBにもなるとか。
青木がそういう選手ならチームとしても戦術の幅が広がりますね。

ジーコジャパンでは駒野・加地がDFになったりウィングになることで枚数を確調整していたような気がします。
田中を大黒に変えるみたいな交代も劇的な効果(とかなりのリスク)がありました。
広島は最後森田・槙野のポリヴァレントでない(マーク専門の)選手を前線に並べてパワープレーをしようとしてうまく行かず守備がほころびました。リスクを冒すにしてはストヤノフや駒野の攻撃力を犠牲にしてしまったようで悔いが残った次第です。

ポリヴァレントな選手は便利ですが、便利屋として使われると哀しい。柔軟性や流動性を持たせるために使って欲しいですから。
この辺のポリヴァレントな選手の使い方が広島の問題だったのかなあと感じました。
2008-01-09 Wed 00:05 | URL | cska352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
サッカーとは―1ゴールを守る→2ボールを奪う→3ボールを守って運ぶ→4ゴールに入れる、という単純なスポーツでして。
ボールキープがうまければ3の時間が増やせ他が楽になる。

1と2の切り替えのところをどうやるかが守備でのチームカラーになると思います。私なりに大雑把に分類すると。
)ボールの出し手のところからマークして、後ろはオフサイドルールに頼って切るのが一番積極的。<トルシェ?
)受け手をまずマークして摘み取るのが一般的。<オシム?
)とにかくゴール前に壁を作って跳ね返すのが一番守備的。<ジーコ?

オシムジャパンではCBがFWをマークしてSBの一方と鈴木がリベロ的にカヴァーする感じだったんだと思います。アルゼンチンがブラジルのように効率的な受け渡しをしていたのかこのように早めにマークしていたのかは知りません。

守備力(ボールを奪う技術)を鍛えるには、無難で体格が物を言うやルール頼みで怪我人も出そうなよりきついけどをやるのがいいんじゃないかというのが私の勝手な持論です。
2008-01-09 Wed 00:56 | URL | cska352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
>広島は最後森田・槙野のポリヴァレントでない(マーク専門の)選手を前線に並べてパワープレーをしようとしてうまく行かず守備がほころびました。

なるほど、パワープレーに関してでしたか。攻撃的なセンスのない(と言ったら失礼かもしれませんが)からのフィードが効果的ではないっていう意味かな?とも思ってしまいました。確かに高さだけを前線に並べればいいというものでもありませんね。特にアントラーズは跳ね返し力に優れてましたし。

2008-01-09 Wed 03:53 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
2から3の切り替えを考えるとが最も効率的になりますかね。ボールの出し手に積極的に行くことでより高い位置での守備ができますし、相手に合わせてズルズルと押し下げられることも他の2つに対しては少ないですし。

が次の攻撃を考えると効率的ではないのは確かでしょうが、はどうでしょうかね。2から3への切り替えの中で自分がマークしていた選手にそのまま単純にマークされることで、自由になれないってことが起こりうる気がします。それに完全なマンマークの場合はそれを振り捨てて攻撃に出ることに勇気が必要となると思います。

守備を考えると、おっしゃるとおり、最も守備的なのはのベタ引きの形でしょうね。守備だけを考えれば、一番穴が少ないはずです。ただ、当然のように3から4もしなければならないわけで、それを考えると上に書いたようにが最も適してるかなと。

守備と攻撃のバランスを考えたときに最も適している(ベタ引きにならないが要所は押さえる)がスタンダードな形ってことになるんでしょうかね。
2008-01-09 Wed 04:13 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
2から4の切り替えを考えるとが最も効率的ですかね。最短距離ですから。

やは守りから攻めへの切り替えに工夫が必要ですね。走ってパスコースを作ったり、ボールキープ(個人だけでなくチームとしても)したりとか。
この2から3のところがサッカーの醍醐味かも知れません。

まあ、あえてわかりやくするため3つに分類しましたが、併用するチームがほとんどですよね。
で点取りに行ってで守って、べた引きにならないようにラインコントロールしたり引いてからに移行したりとか。
あえて言えばとの併用が一番組織的ですね。
結果より地力育成とか内容(柔軟性・流動性・人間性とか芸術性とか)に興味のある私はで通すのも悪くないと思ってます。

結論としてはロッドさんがコメントしてくださった
「相手の攻め方や自分達の位置によって使い分けが上手くできて押さえ込めたらいいなぁ」というところでしょうか。
2008-01-09 Wed 13:03 | URL | cska352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
については思い切ったランニングでよりもチャンスにつながる可能性を秘めていますよね。守備で1×1を基本としてるだけに、切り替えでその1×1を振り切ればフリーになれますし。そういう飛び出しが増えれば増えるだけ、切り替え後の攻撃に怖さが生まれると思います。

やはり守備については相手との関係もあることなので色々な要素が絡み合ってきますね。もちろん、相手だけではなく自分たちの状況も。レッズのようにベタ引きでベースで攻撃は少数でってのは、前線のタレントがいてこそでしょうし。自他の現状を鑑みながら色々なやり方をできると、一気に可能性が広がりますね。
2008-01-09 Wed 16:50 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
面白い所に気付かれましたね。
「オールコートマンツーマン」で考えると数の論理で(守備のリスクを覚悟で)振り切れば振り切るだけ優位になるのが分かりますね。

マンマークは「ボールを奪うため」の一つの技術なんだとおもいます。
・前線の選手が相手DFをマークすればと同じことができます。
・中盤の選手がマークして(いわゆるエース殺し)周りがフォローすれば、良い位置で奪いつつ攻撃の選択肢が広がります。
・DFがFWをマークして周りが助けるのが一般的ですね。前線はマークに縛られなくてもいいんです。<ちゃんと戻って守備して欲しいけど

ラインDFは「中途半端が許されない」のでハイプレスで裏に入れさせないか、低い位置にフィルターを並べるかしないといけないですね。
問題点ははっきりしていてラインを上げるとDFはスピード勝負、下げるとパワーや細かい動きの勝負になります。
利点はフィジカルが安定してよければ「相手に関係なくやれる」強さがあります。
特にハイプレスで前への人数を掛けた推進力を活かして先制できれば、引いて相手が出てきたところでカウンターを繰り出すパターンに持ち込めるので大量点が見込めますね。ガンバやフロンターレ、アーセナルやリヴァプールはこういうタイプだと思います。
2008-01-09 Wed 19:30 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
オールコートマンツーマンはジェフや代表初期にオシムがベースとしていたやり方ですね。だからこそ、走れば走るだけチャンスになるということですね。

高い位置から積極的に行くラインDFをやるにはやっぱり休みどころが必要でしょうね。先制点を取ったら、低い位置に移行するのも休みの方法の1つですし、攻撃の時間を長くして“ボールを持った休憩”をするのもその1つですね。
2008-01-09 Wed 23:26 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
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