ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2007-06-01 Fri 23:33
日本×モンテネグロ
<日本:4-4-2>
FW:高原-矢野
MF:山岸-遠藤、憲剛-鈴木
DF:阿部-中澤-坪井-駒野
GK:楢崎

この試合の日本代表は攻守に渡って選手間の距離の遠さが目立ってた。というよりも、攻撃面での距離の遠さがそのまま守備に影響を及ぼしたっていう見方が適切だと思うけど。

その原因として気になったのが走りの質。序盤から走りの量に関しては申し分なくて、基本的なパス&ゴーを含めて多くの選手が動き回るシーンが目立ってた。ただし、そのランニングが文字通りの“無駄走り”になってしまっているシーンが多かった気がする。

具体的には走りの質がゴールに向かいすぎてたような印象を受けた。例えば2点目のシーン。得点を決めた高原の動きを含めてゴール前での動きの質とそこにいる人数は申し分なかった。ただしクロスを上げた駒野は1人。このシーンは中村からの効果的なサイドチェンジで完全にフリーになれたシーンだったけど、通常の場面を考えると個に頼る部分が大きくなるのは確率が低い。オシムとしても連携の中での崩しを狙ってたようだし。

こういうシーンがサイドの駒野だけじゃなくて全体に見られた。結局何がいいたいかというと、ゴールのためのランニングに比べて組み立てのためのランニングが圧倒的に少ないっていうこと。特に深刻だったのがボールを受けた選手に対するフォロー。ボールが誰かに入った瞬間にあまりにもゴールに向かう動きを狙う選手が多すぎて、ボール保持者の周りにフォローの選手が少ないっていうシーンが目立った。

今までの書き方でいうなら、ボールから遠ざかる選手が多くてボールに近づく選手が少なかったってこと。だから自然と選手間の距離が開いていってしまう結果になった。結果として基本的なトライアングルの形成もままならなかったから、いいリズムでのパス回しができなかった。その中で1人1人のボール保持時間が延びてしまって相手に狙いどころを定められやすくなってしまった印象。

こういう状況がオシムの試合後のコメントに現れてたと思う。それは「個人プレーに走る選手が居て、1タッチ2タッチでのパス回しができなくなってしまった」っていうニュアンス。個人的には「個人プレー⇒パス回し不可能」じゃなくて「選手間の距離が遠くなったことで関係性を築いた1タッチ2タッチのパス回しが不可能⇒個人の力に頼らざるを得ない」っていうイメージを持った内容だった。

このフリーランニングの質の問題は高原がベンチに下がったことでさらに浮き彫りになった。それまでの時間帯で唯一ボールに近づく動きをしてたのが高原だった。多くの選手がゴールに向かっての動きをするなかで、1人だけゴールから遠ざかってボールを引き出すような動きを繰り返してた。その中で1つボールの経由点として機能してたと思う。

その高原が下がったことで攻撃の形が全く生まれなくなってしまったと思う。ボールを受けて起点になろうとする動きをする選手がいなくなったから、攻撃の中での前線の経由点がなくなった。結果として攻撃の際に最初に見るべきところがなくなって、攻撃への移行がスムーズに進まなくなってしまった。

こういう選手間の距離の問題はチームとしての選手の配置にも原因があったような気がする。スタートのシステムは上に書いた4-4-2の形でよかったと思う。守備に入ったところを見る限りでは基本は4-4-2の形だった。ただ、それが攻撃に移ったところで大きく(意図的に)崩れてくる。そこに少し違和感を感じた。流動的にポジションが動くというよりも、そのポジション変更がパターン化してたイメージだったから。本当は図に表すようなものでもないけど、無理矢理当てはめてみる。

    矢
山   遠  駒  
   高 
   中
    鈴
 阿 中 坪

    楢

あくまでもイメージだけど、図にフォーメーションで書き出すとこんな形。中盤の真ん中のところは中村、遠藤、鈴木がローテーションで入れ替わる。基本的には低い位置に中村と鈴木、高い位置に遠藤が入ることが多かった。

この形になった1つの要因が攻撃的な中盤の2人の役割の違い。遠藤は低い位置に下がってきてのボールタッチを含めて中目のポジションでのプレーが多くなる。逆に山岸はWG的な役割。基本のポジションは左サイドで、中に入ってくるプレーに関してもサイドを基本にして斜めに入ってくるような動きが多かった。

この2人の役割の違いがそのままSBの役割の違いに現れてくる。左サイドの駒野は自分の前に広大なスペースがあるから、そこを埋めるために積極的な攻撃参加が求められた。右サイドとのバランスを考えても駒野の攻撃参加は重要だったと思う。

逆の左サイドの阿部はあまり攻撃に出ていく場面が見られなかった。山岸が前を詰めてるってこともあるし、かなり積極的に駒野が上がることを考慮してバランスを考えたっていう側面もあったと思う。だから、攻撃時の最終ラインは変則的な3バックの形になってた。結果として上みたいなイメージの攻撃時の選手の配置が生まれた。

このポジションに見られる中でよかった部分があったのも確か。それは前後のポジションチェンジの豊富さ。一番分かりやすいのは駒野のところ。最終ラインの選手がFWよりも高いポジションまで出てくるような大きな飛び出しが見られた。

そして、そういう場面でボールを奪われたときにはしっかりと駒野の出たスペースを埋めることも徹底されてた。基本的にはいつものように鈴木がケア(CBがケアしてそこに鈴木が戻ることも含めて)するってことが多くなるわけだけど、流れの中でFWの高原がそのケアに回るシーンがいくつか見られた。

こういう展開の中では最終ラインの駒野が最前線、最前線の高原が最終ラインっていうダイナミックなポジションチェンジが行われることになる。これは湯浅健二さんがよく言っているような最終ラインとFWがそのまま逆転するようなサッカーが近づけてるっていうことでいいかもしれない。要するに全ての選手が全てのポジションをケアしえるっていう理想の形に近づいてるってこと。そういうダイナミックな飛び出しっていう部分だと中澤が最終ラインから最前線まで出てくようなプレーもその1つだった。

こういうダイナミックな縦のポジションチェンジに加えて、要所要所でも積極的な縦のポジションチェンジが行われてた。特に上に書いた高原が下がってくるプレーを利用したポジションチェンジが目立った。

高原は上にも書いたとおり最前線のポジションを捨てて、かなり下がってきてボールを受ける場面が目立った。そのときに前線にできたスペースに積極的に中盤の選手が飛び出して行った。特にいい動きが目立ったのが遠藤と山岸。遠藤はやや低い位置から長い距離を走って最前線まで出てくことで、山岸はサイドから斜めに切れ込んでくることで相手のマークを外しながらゴール前に入り込めた。

こういうプレーを誘発する意味での矢野のスペースを作る動きはいいものだったと思う。高原との関係も得点シーンを含めてうまく回ってるシーンが目立った。

攻撃面でのダイナミックさはポジションチェンジだけじゃなくてパスの質にも見られた。その1つが2点目につながった中村のサイドチェンジ。この試合は1度左に起点を作りながら大きな展開でフリーの駒野へっていう意図のボールが多く見られたと思う。

さらに縦のロングボールもバランスよく組み合わせてたと思う。遠藤、中村、鈴木の一発のパスで相手のウラに放り込む攻撃が有効だった。特に前半に山岸が抜け出したプレーによって相手の最終ラインを押し下げる効果が生まれたと思う。その後はある程度高い位置まで自由にボールを持ってプレーすることができた。

ただし、選手間の距離の問題のところにもこの選手の配置が影響を及ぼしてたのは事実。具体的にはライン間の距離が遠くなってしまったってこと。というよりも前後でチームが分断されてしまったような印象を受けた。

前線の選手は上にも書いたようにゴールに向かおうとする動きをする。選手の配置的にもSBの駒野に押し出されるわけだし、中盤の選手がFWの位置まで飛び出そうとする。逆に守備陣は積極的にラインを上げられないような状況。相手がスピードを持ってたし、攻撃時は上に書いたように自分たちのバランスが崩れてるっていう意識が働いてたと思う。

だから極端なことを言えば、最終ライン(阿部-中澤-坪井+鈴木)と最前線(山岸-高原-遠藤-矢野-駒野)の2本のラインとそれをつなげる中村っていう配置になってしまう。中村はつなぎ役としてやや低い位置でタッチ数を増やしながらゲームの組み立ての方に重点を置いたプレーが目立った。

もちろん何度も書くように高原がつなぎのところに下がってきたり遠藤が本来の中盤の位置でプレーすること、鈴木が前に出てくことを考えれば、そこまで極端な配置になるってことは少なかったけど。ただし、最終ラインと最前線の間の距離が遠くなってしまったのは事実だった。トップへのボールに関しても1つ下に下がってきた高原に入れるのが精一杯だった。

守備への移行を考えたときも選手間の距離の遠さとラインの間延びは問題につながってた印象。

まずボールを奪われてすぐのところの守備。上にも書いたように攻撃時にボール保持者の近くに選手がいないわけだから、そこで奪われても奪われた選手の近くには選手がいないことになる。だから、最初のところでの効果的な守備が効きにくい状況だった。

さらに次に攻撃時に崩したバランスが問題になってくる。最初で相手の攻撃を遅らせられないから、自分達がバランスを元に戻す時間がない。結果としてバランスが崩れたままの守備を余儀なくされてしまう。相手も駒野のウラのスペースを狙う意図ははっきりしてた。

さらに相手はトップの選手にシンプルにボールを入れてくる意図もはっきりしてた。そうなれば最終ラインはリスクを減らすためにラインを下げることになる。

それに中盤以前が連動できてなかったと思う。だからその間にギャップができて相手に一気にゴール近くまで持ち込まれてしまう場面が目立った。ただし、相手も前に人数をかけてこなかったから決定的なチャンスにはつなげられなかったわけだけど。

どちらにしても最終ラインが跳ね返したボールを味方が効果的に拾うのは難しい状況だった。結果として守備から攻撃への移行もスムーズに行えない状態だったと思う。

それに前後のラインの関係での守備も難しい状況だった。だから、高い位置で効果的に相手を囲い込むような守備ができなかったと思う。

ちなみに守備のラインに関してはしっかりと組織を作った中でも間延びしてるような印象を受けた。4-4-2のシステムでの守備だったけど、中盤の4をラインで配置せずにボックス型に置いてたと思う。結果として4-2-2-2のラインができあがっていた。

後半の10分になって日本はシステムの変更。4-4-2から3-5-2に変更した。理由としては相手の2トップの変更、さらに坪井を交代した相手のスピードのある選手に当てる意図があったんじゃないかと思う。それまで相手の1トップの選手についてた坪井のマークの相手が変わった。一応それまでは、駒野のウラのスペースを狙ってくる相手の交代選手に対して鈴木がしっかりとついてたけどスピードで上回れる場面がいくつか見られた。それを見てのシステム変更だったんじゃないかと思う。

このシステム変更で守備面に関しては安定性が増したと思う。攻撃時にバランスが崩れる4-4-2と違って、3-5-2では攻守に渡ってある程度の役割が決まった状態でプレーできる。それによってバランスが増したと思う。ただし、高原が下がったことで攻撃の方はうまく回らなくなってしまったけど。

最後にモンテネグロについて。まずは個々の部分で球際の激しさが目立ってた。組織としては自陣でしっかりとしたブロックを作る意図が強かった。ある程度までは日本にボールを持たせてもいいっていうやり方だったと思う。その代わり最後のところはしっかりと人数をかけて守る。

ただし、自陣での4-4のラインの形成に特別安定感があったってわけでもなかった。この2つのラインに一体感がなくなって間にギャップができてしまうシーンも多かったと思う。そういう意味ではオシムが本当にやりたかったパス回しでの崩しができれば、相手のギャップギャップにうまく入り込めたんじゃないかって気がする。

攻撃はカウンターを狙って1トップにシンプルに当てるものが多かった。その中で日本の駒野のウラを狙う工夫が見られたのはよかった部分だったと思う。そこを狙った選手を含めてスピードがある選手も多かった。後半、日本がシステム変更によって複数枚でボール保持者にアプローチするような状況を作り出したけど、そこを打開するだけの技術も持ってた印象。

結果は2-0で日本。PKにつながったCKで相手を完全にフリーにした場面は残念。あれは集中力の問題だった気がする。
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