ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-05-28 Wed 20:54
日本×パラグアイ
<日本代表:4-5-1>
FW:巻
MF:遠藤-山瀬-俊輔、鈴木-憲剛
DF:長友-トゥーリオ-寺田-阿部
GK:楢崎

バーレーン戦後に脱オシム宣言をした岡田監督。突っ込みどころ満載のこの宣言なんだろうけど、とりあえずコートジボワール戦では確かに宣言通りにオシム色は消えていた。それがいいことなのか、悪いことなのかは現状では判断できないけど。逆に言えば、それを判断するための材料を与えてくれるはずだったのが今回のパラグアイ戦だったって言える。

と、思ってメンバーを見るとなんだかよく分からないことになってる。岡田監督の進む方向が見えかけた前回の試合から7人を交代。メンバーを固定して岡田色の定着を図らなくてもいいのかよって話。オシムがアジア杯でやったように、オリベイラが昨シーズン初めにやったように。メンバーをこれだけ入れ替えたら、また0からのスタートなわけで。そんなことをしてたら、いつまで経っても岡田色は定着しないだろうと思う。まさか、本番のW杯予選で定着を図るなんていうテストじみたことをやるつもりなんだろうか。

さらに、そのメンバーの内実がびっくりな状況。遠藤と鈴木とW中村の中盤にトップの巻。どこかで聞いたことがある、このメンバー。誰がどう見たってオシムの遺産じゃないかっていう。仲間はずれは山瀬だけ。しかも、よりにもよってアジア杯で徹底的にオシム色を叩き込まれたメンバーたちの組み合わせ。何を考えてるのかよく分からないメンバーだった。

1つ考えられるとしたら、オシム色を完全に消滅させてやろうっていう試み。この組み合わせからオシム色を消すことができれば、オシムが作ったものを気にする必要もないっていうことになるから。ちなみに、このメンバーの中には憲剛&遠藤&山瀬っていう岡田トライアングルも含まれているわけで。鈴木も入れればいつもの岡田監督の中盤だし。この4人の影響で俊輔を岡田色に引っ張り込み、結果としてオシムの遺産をなくしてやろう作戦だった可能性もなくはない。まさか、オシムに戻るためにこのメンバーを採用したわけでもないだろうし。

そんな思惑があったのか、なかったのかは分からないけど、本当にそんな意図があったんだとしたら岡田監督の狙いは大失敗。前半終了時点でオシムの偉大さを実感してたんじゃないかと想像する。なぜなら、前半は完全にオシムに引っ張られてたから。それはある意味では当たり前の話。オシムはアジア杯期間中を使って意地のメンバー固定で型を作り上げた。対する岡田監督は気まぐれもいいところ。試合をやるたびに新しい特徴が表れてきて、確固たるものが全然見えてこない。選手に染み付いてるのは、未だにオシムの型だって言える。

というわけで前半の日本代表の戦い方から見て行くわけだけど、前半は上にも書いたようにオシムに引っ張られた戦い方。でも、それが完全にオシムのサッカーかっていえばそんなわけでもなかった。そこかしこに岡田色が見え隠れ。そして、整理がされていないと、それらは圧倒的に相性が悪い。縦への意識が強い岡田色⇔横の幅を使いたいオシム色、中→外→中の岡田色⇔外→外→中のオシム色…。

正反対のやり方。チーム全体の意思統一のもとで併用が行われるなら、それはそれで面白い。休む時のオシム色と仕掛けるときの岡田色の併用の可能性は今までにも書いてきたとおり。でも、個々でやりたいことが違っていたら、どちらも中途半端に終わるわけで。何しろどちらも連動性重視っていうことでは同じ。ただ、連動性の方向に違いがある。選手が別の方向を目指していたら連動は図れない。よって、どちらのやり方も完成しない。相性の悪い2つのやり方のモザイク模様。それが見られたのが、今回の試合だったと思う。そして、前半はそれが特に顕著に表れた。

前半の攻撃陣を見てみると、純粋オシムの俊輔+純粋岡田の山瀬+両方を経験した鈴木、遠藤、憲剛、巻。どちらに傾くのかはある意味で興味深かったわけだけど、ここでチームがオシムに傾いた。上にも書いたように、オシムの型がチームに染み付いていたことと、俊輔の影響力がすさまじかったことがその要因だと思う。前半の俊輔は完全にチームの中心。岡田ジャパン初招集の選手が最も目立ってる時点でなんだかなって感じ。純粋オシム中村の活躍によって、脱オシム宣言はどこへやら状態に陥った。

ここにおいて困ったのが純粋岡田の山瀬。1トップ下に入った山瀬だから、期待されてたのは前線に飛び出していくFWの動き。にもかかわらず、今回の試合の山瀬はFWの場所で目立つことができなかった。むしろ、遠藤とか俊輔と同じように低い位置に降りてきてボールに触れるシーンが多々。でも、オシム色に慣れていない山瀬はそんなパス回しにうまく絡むことができない。FWの場所にも出ていけないし、中盤のパス回しにも絡んで行けない。まるでカミカゼシステムの稲本みたいに、何をしていいのか分からない状況になってた気がする。

それでもオシム色の核となる中盤はそのまま残っているわけで、なんとかオシム色を体現できそうな雰囲気もなくはなかった。実際にポゼッション率を高めることには成功しているわけだし。ただし、そのポゼッションが圧倒的なポゼッションにつながらなかったのが、今回の日本代表。要するに上にも書いたように、完全なオシムにはなりきれずにいたと思う。

その要因はオシム色を体現する上では中盤の重要度が最も高いわけではないから。じゃあ、誰が重要なんだって言えば、それは両SB。オシムの戦い方における両SBの重要性は去年もここで散々書いてきたとおり。オシムのやり方を復習すると、サイドに起点を作る→そこで数的優位を作り、ランニングを組み合わせながらパス交換→そのサイドが詰まったら逆サイドへ展開→そこで数的優位を作る…。そんな集中→展開→連続の組み立てが見られた。そして、ここにおいて軸になってくるのが両SBの加地と駒野だったと思う。

便宜上SMFに置かれている遠藤&俊輔はWGタイプではない。サイドに張りつくことは少なく、フラフラと動き回ってボールをもらう。だから、サイドに起点を作ることを重視したとしても、そこにはSMFがいないってことも多い。だから、サイド専属としてのSBの重要度が上がることになるのがオシム色。そのSBを軸にして、ボランチなりSMFがサイドのパス回しに絡んでいく。同時にサイドをSBが担当することで、中盤を真ん中に押し込む効果も生まれる。ミランパターン。そうやって中盤に強制的に近さを生み出すってこと。

だから、オシムのやり方では組み立ての上ではSBの存在が絶対的に必要になってくる。でも、岡田監督のやり方ではSBに組み立ての役割は求められてない。上でもちょっと触れたように、真ん中で作ってサイドに展開するのが岡田監督のやり方。よって、SBが目立ってほしいのはラストの場所。中盤を真ん中に寄せてそこで組み立ててる間に蓋のないサイドでSBに最前線まで出てきてもらいたい。中で接近→外へ展開のパターン。オシムと岡田ではSBの役割も全然変わってる。

だからこそ、岡田監督は就任当初から内田を重用した。岡田監督がSBに求める能力は長い距離を一気に最前線まで飛び出していくスピードと運動量。最近の長友重用にも、それが見え隠れしてる印象。組み立てになんて参加しなくていいから、とにかく最前線まで飛び出してくれ。それが今のSBの役割。要するに攻撃ではWGになってもらいたいわけだ。

今回の長友も例外なくそんな動きをしてたと思う。組み立てに参加するよりもとにかく前へ前へ。低い位置のパス回しに長友が参加する機会は皆無だった。エブラとブラウンの関係みたいな。そう、右はブラウン阿部だったわけ。阿部は攻撃を自重。おそらく左の長友とのバランスを考えてのものだったはず。左肩上がりというか、変則3バックというか、そんな形が見られた今回の日本代表だった。

ちなみに、この左右のバランス崩しは失敗だったって言える。低い位置に降りてくることが多かった遠藤と俊輔の両サイド。遠藤が降りてきたときには、代わりに長友が高い位置に入っているから問題なかった。でも、俊輔が降りてきたときに代わりに出て行く選手がいない。そして、それを見た巻が気を使う。俊輔がいなくなった右サイドに流れるシーンが多発。そして、上にも書いたように今回は山瀬がFWの場所で目立てず。文字どおりの0トップはこうやって生まれた。

さて、話を戻して、ここにおいてイレギュラーな状況が生まれてたって言える。中盤はオシムのやり方でやりたい。でも、オシムのやり方を実行する上で重要なSBは組み立てに絡んでこない。組み立てに興味がない長友と攻撃に興味がない阿部。だから、中盤の選手がいつもどおりにサイドに数的優位を作ろうとしても、どうしても1枚足りないっていう現象が生まれてしまったと思う。

結果として何が起こったかというと、パス交換の場所が1つ低い場所になってしまったと思う。パスに絡む人数が少ないから、相手のプレッシャーをダイレクトに受ける場所でのパス回しは危険極まりない。本当はより高い位置でパス交換をするのがいいに決まってる。そういう近い位置のパス交換にサイドチェンジを織り交ぜながら、相手に狙いどころを定めさせない。そうやって徐々に陣地を増やしていくっていうのがオシムのやり方。それに対して、パス交換が低い位置で行われた今回は相手の守備ブロックを押し下げることに失敗したって言える。ポゼッション率が上がったとしても、その実効性がどうだったのかっていう問題がこの辺に見える。

しかも、今回の試合では遠藤がイマイチ。実は遠藤は前回の試合でもイマイチだった。この辺が後半の松井との交代が山瀬じゃなくて遠藤だった要因だった気がする。そんなイマイチの遠藤は、とりあえずポジションにこだわらずパス交換に参加してタッチ数はそれなりに増やしてはいた。でも、オシムの時にはもっと俊輔と対等だっただろうなって思ったりもする。今回はあまりにも俊輔が目立ち過ぎ。

で、その俊輔を助ける役割を担ったのが憲剛。常にボールを受けられる場所に入ってタッチ数を増やした。鈴木はもともと攻撃に目立ちまくるタイプではないから(散らしなんかは結構頑張ってたけど)、結果として前半はW中村目立ちまくり。ポゼッション率が高まったとは言っても、それはチームとしてのポゼッションだったのかなっていうのは強く思うわけで。実質的には中村と中村のポゼッションだった。そんな2人の関係で相手を崩し切るわけもなく。本当は憲剛が俊輔に近づいてプレーしたいところなのに、俊輔が憲剛に近づいて(降りてきて)プレーする時間が長くなったと思う。

どちらにしてもSBが攻撃に絡めない時点でパス交換が低い位置で行われたってのは上にも書いたとおり。遠藤も俊輔も、ときには山瀬まで低い位置に降りてきてのプレーが目立ったと思う。しかも、誰かが降りてきたら誰かが代わりに出て行くっていう形ができてた前回のよさはどこへやら。憲剛、鈴木はあくまでも遠藤とか俊輔の後ろでプレーすることを選び、一向に飛び出していかない。上にも書いたように阿部だって飛び出していかない。唯一、飛びだしていったのは右の長友のみ。そういう役割を与えられてたんだろうけど。よって、敵陣深くに入り込む手段は低い位置で作って置いてからの走れ長友ばかりになってしまった印象。

とはいっても、いくらなんでも前線に人数が足りなすぎる。前回は左サイドに6人が入るなんていう異常事態が見られたのが嘘のように、今回は長友が1人で左サイドを飛び出していった。長友としては聞いてないよって話だったと思う。何しろ岡田監督のやり方では真ん中で作ってるからSBはラストだけをお願いねってはずだから。前回はサイドから一気に縦を侵攻するやり方が目立ってたけど。とにかく、今回は1人で出て行かなければならない状況。しかも、頑張っても真ん中には人がいなかった。

確かにときには真ん中に起点を作れるんじゃないかっていう雰囲気があったのも事実。何かの拍子に巻だったり、高い位置の山瀬だったりに縦パスが収まるシーンも見られた。でも、過疎化が激しい前線。そこに収めたとしても、その後にどうすることもできなかったと思う。結果として相手につぶされたり、もう少しマシな状況としてはせっかく入った縦パスをボランチまで下げて作り直したりっていう結果に終わってしまったと思う。

この辺に岡田色が浸透してないなっていう状況が見え隠れしてる。東アジア杯を見る限りでは、岡田色ではトップに当てることが目標になってた。そうやってトップに当てておいて、中盤とのパス交換をする形が多い。つまり、中盤2列目のの選手は前との関係を重視することが求められてたってこと。結果として前を向いてのプレーも可能になるし。東アジア杯では、じゃあどうやってトップに当てるのか?っていう大いなる疑問が生まれたのは事実だったけど、ひとたびパス回しが始まれば中盤が前を向いた状態で1タッチ2タッチのいいリズムでのパス回しが目立ったと思う。そもそも、そんな形をやりたいからこそ4‐1‐3‐2システムを採用した可能性だってある。

そんな東アジア杯のメンバーのうち、中核となる山瀬&憲剛&遠藤の岡田トライアングルがしっかりと残ってた今回の試合。それは上にも書いたとおり。でも、俊輔の動きに引っ張られたのか何なのか、みんながみんな後ろとの関係を重視する動きをしてた印象。ボランチに入った憲剛はちょっと違うから。後ろからボールを受けて、それを前にどうやって供給するかがポイントになってた。でも、前にはひとがいなかったんだけど。どちらにしても中盤の2列目には前との関係を作ってもらいたいて言う岡田監督の狙いは全く浸透してないことだけが分かった今回の試合だったと思う。

そんなわけでよく分からない内容が見られた前半の日本だったけど、立ち上がりの時間帯には案外チャンスを作ることができてたと思う。パラグアイの監督の言葉から言えば、前半の25分まで。じゃあ、この前後に何があったのか。前回のように日本が前半早々に疲れたのか。そんなことではなかった。日本がどうこうっていう問題じゃなくて、単純にパラグアイの守備のやり方が変わったってだけだったと思う。

立ち上がりのパラグアイの守備は前線から積極的に行くもの。ある程度、目標を定めながら敵陣深くの相手ボールに対しても積極的にプレッシャーをかけて行ったと思う。その守備の出足がそれなりに早かったし、よって寄せも素早かったから、試合開始直後の日本代表の選手にはちょっとした戸惑いが見られた。パスミスも目立って、組み立ての最初のところで相手に引っ掛けられるシーンもいくつか見られたと思う。

ただし、パラグアイの守備は、確かに1つ1つの寄せの質は高かったけど、それを否してしまえば、次の場所では再び0から寄せを開始するような状況だった。早い話が連動性がない、単発の守備が繰り返されたって言える。そして、そういう実効性の薄いパラグアイの守備の背後には広大なスペースが残されていた。何しろ日本陣内の深くまで追いかけてきているパラグアイの選手たち。それだけ守備ブロックのバランスは崩れていることになるから。そして、もともとからしてカミカゼがベースになっているように技術力に秀でた日本の選手たちは、落ち着いてパス交換を繰り返しながら、そういうギャップに入り込んでいった。

そうやってギャップに入られたパラグアイの選手はどうするか。この時点で前線からボールにプレッシャーをかけて行くっていう守備の根拠がなくなっているわけだから、とにかくゴール前を固めるしかなくなっていた。全体の押し下げてベタ引きブロックを作ることが多くなったと思う。というか、パラグアイはその後のいい時間帯の守備も含めて、1度入り込まれたら諦めてゴール前にブロックを作るような守備のやり方を採ってたと思う。ただし、そういう後の時間帯は相手をベタ引きにさせるのに苦労することになるわけだけど。

とにかく、立ち上がりの時間帯はあっさりと相手ブロックに入り込むことができた日本代表。そして、あっさりと相手を押し込むことができ、あっさりと陣地を増やすことができた。陣地を増やすことができれば、全体が押し上げられるわけだから、強制的に前線に人数が多くなる。よって、この時間は前線の人数の少なさはあまり問題にならなかったと思う。課題の1/3の崩しについても、相手の守備が混乱気味だったからか、短い時間にしては決定的なチャンスをいくつか作ることができたと思う。この時間が今回の試合の日本が最も輝いてた時間だった。

それが上に書いたような前半の25分過ぎから変化する。これも上に書いたように、それはパラグアイの守備に変化によるものだった。この時間より後のパラグアイは前線の選手が無駄に引っ張り出されなくなったと思う。それまでの時間のパラグアイは面白い形。日本にブロックに入られれば全員がベタ引き→日本が作り直しのバックパスをしたところで再び前線から追いかける→でも、それによってギャップができるからブロック内に入られる…っていう繰り返し。そんな無秩序なやり方はやめようと思ったパラグアイ。1度4‐1‐4‐1の組織を作り、ひとまず敵陣内の相手ボールは自由にさせようっていう意思統一を作り出した。

これに困ってしまったのが日本。それまでは相手が勝手にギャップを作り出してくれ、そこを突いて簡単に相手ブロックに仕掛けることができたのに、これからは自分で相手のブロック内に入らなければならなくなった。ここで上の方で書いてきた攻撃の問題が浮き彫りに。まず、組み立てにおいて高い位置でボールを保持できない。よって、相手の4‐1‐4‐1はバランスよく維持されたまま。さらに、低い位置にどんどんと人数が溜まっていった日本。過疎化した前線の選手は相手だって捕まえやすかった。

結果として日本は相手ブロック内に入れなくなってしまったと思う。無理やりに縦パスを送ったとしても、そこではそれまでの比じゃないパラグアイの守備が待ってた。自陣に守備エリアを絞ってるから、ボールが入ってきたときに寄せる距離が短い。よって、それまで以上に素早いチェックが効くことになった。さらに、4‐1‐4‐1で選手間の距離も近くなっていたから、1つのプレッシャーに対して周囲がすぐに協力できる体制が出来上がってた印象。

そんなパラグアイに対して日本代表はどうしたかって言うと、一番簡単な方法に出たと思う。それは1発で相手のウラを狙うボールを蹴りこむってこと。前回のコートジボワール戦で全く見られなかった1発のボールを多用。まあ、普通に組み立てても無理だったろうから仕方がなかったと言えば仕方がなかった。オシム色と岡田色が混ざり合って意味不明な状況に陥って無秩序状態の地上からの組み立てよりも、今まで嫌ってたけど単純さでは一番の攻撃を選んだって言うことか。しかも、巻の頭じゃなくてウラへってあたりに苦しさを感じる。巻の頭に入れてたとしても、近くでそのこぼれ球に反応する選手はいなかっただろうから。どうせウラへのボールもチャンスにはつながらなかったわけだけど。

さて、こんな前半の内容に対して後半の開始とともに早速岡田監督が修正を加えてきた。遠藤に代えて松井の投入。上では遠藤の調子がイマイチだったからじゃないかって書いたけど、勘ぐるならもっと大きな意味があったと思う。それは、本気でオシム色を消しに行ったってこと。オシムジャパンでのプレー経験が長かった遠藤から、オシムジャパンでは1度しか試合に出ていない松井への交代。しかも、松井は前回の試合での岡田色の立役者。後半の交代のコンセプトは基本的にこの流れだったと思う。

そして、ある意味ではその考え方は成功したと思う。後半のやり方はパラグアイの監督が言ったとおりに別チームのそれだった。そして、その別チームってのは前回のチームに近くなってた印象。サイドで超密集地帯を作ってショートショートで打開しようっていう試みが明らかに増えてた印象。後半の立ち上がり早々に、松井&長友&山瀬&鈴木で左サイドを打開していくシーンが見られたし。

前半とは真逆なこのやり方。前半は低い位置からパスを回しながらチーム全体として徐々にビルドアップしようとする狙いが見られた日本代表。結果としてそれは失敗に終わり単純なロングボールが増えたわけだけど。それに対して後半は最短距離で一気に縦を目指す岡田色の復活。1度攻撃を始めたら、そのまま攻めきってやろうっていう攻撃。同じショートパス重視のやり方でもミランからアーセナルへの転換。

これにはやっぱり松井の投入が大きかった。縦を一気に侵攻するためには縦への意識が高い選手がいなければならない。前半はそれが長友だけだった。中盤の選手たちは後ろからの関係を重視して、ズルズルと後ろに下がって行ってしまったし、その中で作り直しのバックパスが多いこと多いこと。岡田監督がやりたいやり方では作り直しなんてのは極力少ない方がいいんじゃないかと思う。このやり方の変更によって、山瀬が前半とは打って変わって目立つ存在になり始めたと思う。代わりにあれだけ前半は目立ちまくってた俊輔が消え気味。純粋岡田が目立ち、純粋オシムが消えた流れ。それが前半と後半の違いを如実に表してた。

ちなみに、この前後半の違いについていろんな人の反応を見てみると面白い。まず、岡田監督は後半の方が前半よりもよかったって評価してる。当たり前と言えば当たり前。コートジボワール戦を見ても、本当にやりたかったのは後半のサッカー。最低限できたっていうのは前回ほどはできなかったっていう意味だと思う。

対してパラグアイの監督は前半の方がよかったっていう評価。これも当たり前。前半は完全にボールを持たれてしまい、サイドチェンジを織り交ぜた日本の組み立てに結構動かされてた。確かに危険なシーンは作らせなかったし、守備を改善して以降はほぼ完璧に押さえられてたわけだけど、やっぱり受動的な守備の辛さはあったんだと思う。それに対して後半は日本がある意味では急いで攻めてきてくれる。そして、勝手に狭い場所に入り込んで勝手にプレーエリアを限定してくれる。守りやすいのなんのって。岡田監督にしてみれば、アーセナル的に狭かろうがなんだろうが崩し始めたサイドを崩し切るのが狙いなんだろうけど、やっぱり相手にとっては守りやすかったってのが本当のところだったってこと。

そして、もう1人のコメント。それは俊輔。俊輔は言った、なんでサイドチェンジをしないんだと。その答えは簡単。岡田監督のサッカーはサイドチェンジをしないから。ここまで書いてきたように、最短距離を目指すのが岡田監督のやり方。作り直しのサイドチェンジで遠回りをするのは馬鹿馬鹿しいと思ってるかどうかは知らないけど。大体、前半を思い出してもサイドチェンジのパスを繰り返してたのは俊輔のみ。それを見て思い出したかのように憲剛、鈴木もいくつかは見せたわけだけど。

俊輔の言いたいことも分かる。後半の立ち上がりは松井が左寄りでのプレーを増やしてたから、超密集地帯も左サイド寄りに作られた。長友の攻撃参加が活発だったこともあったし。右にいる俊輔はおそらく右サイドでどフリーの状況だったんじゃないかと思う。にもかかわらず、サイドチェンジのボールは一切出てこない。なんだか知らないけど左サイドの糞狭い場所でパスを回している味方たち。こっちに出せよって思ったとしてもおかしくない。

そのうち、そんな俊輔の気持ちをみんなが察したっぽい。でも、ちょっと違った形で察した。後半の途中からは超密集地帯が右サイドに作られることが多くなった印象。松井も右寄りでのプレーを増やしていった。でも、その超密集地帯でのプレーに俊輔はいい形では絡めなかったと思う。俊輔としてみれば、そういうことじゃねーよっていう気分だった気がする。

まあ、とにかく超密集パス回しから最短距離を崩しに行くっていう岡田監督の狙いは前半よりは体現されることになった後半。ただし、そこで大きな問題が立ちはだかる。上でも触れたとおり、ひとたび自分たちのブロックに入り込まれたパラグアイは後ろに重心をかけたベタ引きブロックを作り出した。ベタ引きブロックの中はどうなってるかっていうと超密集地帯。日本としては敵の守備の超密集地帯に超密集パス回しで入り込もうっていう試みが行われたことになる。アーセナルも悩みまくってるこの問題を日本が解決できるわけもなく。結局、いい形での崩しは見ることができなかった後半だった。

攻撃についてはこんな感じ。前半よりも後半の内容が悪くなったっていう意見が多いみたいだけど、岡田監督として見れば前半よりは後半の方がよかったと捉えてもおかしくはない。どちらがコートジボワール戦に近かったかって言えば、明らかに後半だった。それでもコートジボワール戦のようないい流れにつながらなかった理由は2つ。1つは運動量が必要な形なのに、後半から始めたこと。2つめはボランチの攻撃参加。憲剛も鈴木も上に書いたように、前の選手との前後関係をあまり崩そうとしなかった。それからサイドに超密集地帯を作ってる中でサイドの助けに出るシーンも少なかったと思う。やっぱり前への推進力が必要なこの形の中ではいかに後ろから飛び出してきた選手が絡めるかってのがポイントになるはず。そう考えると右SB阿部も合ってなかったかなって思ったりする。後半はそれなりに攻撃参加を増やしたけど。

じゃあ守備はどうだったのかっていう点について見てみたい。コートジボワール戦で見られた前線からの戦術的な追いかけ守備は岡田色の1つだって言ってもいいと思うから。で、その前線からの追いかけは今回の試合でもやろうとはしてたと思う。そのために巻を頭に使ったんだと思うし。FWの役割が重要な守備のやり方の中で、そのFWを1枚にするならば、やっぱり適任は巻ってことになると思う。

ただ、前回の試合のような守備の連動性を見ることはできなかった。前回見られた“次”のよさがことごとく消えてしまっていたと思う。前線で追いかける選手は次をあまり意識していなかったし(前回はプレッシャーをかける方向に統一された工夫が見られたのに)、よってブロックに入ってきた相手のパスを引っ掛けるのも難しかった。さらに、1人が当たった時の周囲の反応が遅い遅い。粘り強く相手のボールに守備をしている味方への助けが少なかったように思う。効果的に挟み込んだり、囲い込んだりができずに、結局相手を逃がしてしまうシーンが目立ったと思う。これについては攻撃における選手間の距離の遠さが守備にも影響を及ぼしていたのかなっていう気がした。

さらにパラグアイの攻撃の仕方も日本の守備とは相性が悪いものだったと思う。前回のコートジボワールはショートショートで地上から崩すチームだった。つまり、日本の前線からの守備の網に引っ掛かってくれるタイプ。逆に今回のパラグアイは単純なボールで距離を稼ぐチームだったと思う。しかも、最終ラインは上げずに深めのところから1発のボールを蹴ってくる。よって、SMFがどこまでSBを追いかけるのかみたいな迷いが見られてた気がする。とにかく、自分たちの守備のまずさに加えて、相手の攻撃が守備ブロックの上を越えるってことでどうしようもなかった面も今回はあった。

それを考慮してかパラグアイの守備の改善が見られたのと同じぐらいの時間になって日本の方も守備のやり方を微妙に変えた。追いかけても頭の上を越えられるならば、追いかけない方がいいっていう守備のやり方。無駄にスタミナを浪費しない省エネ守備に転換したと思う。巻が山瀬と横並びになるぐらいの位置にまで下がって、基本的には自陣にブロックを作ることになった。結果として前線から積極的に守備をするっていう岡田色も消えたことになる。ちなみに、後半は攻撃において超密集地帯を作ったことで切り替えでの守備はそれなりに機能するようになった印象。

というわけで、ここ2戦で何がなんだかよく分からなくなってしまった印象の岡田ジャパン。脱オシム宣言をしたのはいいけど、1戦目と2戦目で違った内容のサッカーをしてるんだから。岡田監督が目指してるのは1戦目の前半と2戦目の後半の戦い方なんだろうけど。そのために俊輔の処遇をどうするかがポイントか。岡田監督のサッカーには現状ではあってない。でも、今回の試合の前半を見ても分かるとおり、やっぱり特別な選手。どちらを取るのか岡田監督はかなり迷ってるだろうなって思う。ちなみにボランチは長谷部と今野の方が岡田監督の色を出せる印象。
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この記事のコメント
両極端なニチーム持っている感じですね。
さすが代表監督。贅沢です。
どちらが日本の代表なのでしょう。

前半のメンバーでも後ろは岡田色を感じます。
長友(安田)が攻めて阿部(駒野)が守る。
内田が攻めて駒野(加地)が守る。
3バック+1の左右非対称でサイドの攻守を明確化しているやり方はトルシェに近いです。
駒野が守っても長谷部が右サイドを上がっていくことでバランスを取っている気もします。

マンマーク・ムーヴィング・ポゼッションと
ボールプレッシング・高速ドリブル・カウンター
私の中ではある程度究極的に二分されていたサッカースタイルであったのですが。
短期間でえらい事になりました。日本人は器用なのですね。

2008-05-29 Thu 00:43 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
攻撃で岡田氏になって呼ばれた選手は、田代、玉田、松井、長谷部、香川、安田、内田。活躍しているのは山瀬や大久保なのでドリブラーが好きなんでしょうね。
脱オシムを宣言して向かえたコートジボアール戦が岡田オリジナルといえそうです。
日本化とオシム後という条件が厄介なのでしょうが。


クロスカウンターを決めるには人数の必要なパスワークを重んじるよりも
セヴィージャやヴァレンシアのように最短距離を手数かけずドリブルでつめた方が渋滞しないし、
ラインを上げて人数を掛けるなら、リヴァプールのように早めにクロスを入れて二列目が詰めるというトルシェ的なシャドーアタックのほうが効率がよいとおもいます。

パスサッカーをするなら、
バルサやマンUのようにフィールドを広く使って左右(時に前後)にDFを振る大きな展開でスペースを作って入り込むほうが効率的。
広がった状態から守備をするにはマンマークから入るオシムのやり方が利にかなっているというのが私の持論です。
ちなみにヒディングは、このやり方でサイドを攻撃的にしてゆくことでFWを増やし攻めの厚みを加え、サイドをDFに変えることで逃げ切るみたいな采配があるみたいです。5-3-2⇔4-3-3⇔3-3-4

もちろんどっちがいいというのはないですね。
私はどちらかというと後者が好みですし、ひまじんさんは前者だとお見受けいたします。

ということで脱オシムを覚悟しつつ・・・
お邪魔しました
2008-05-29 Thu 08:22 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
[]
SBのところは就任当初から色を出していますよね。内田が戻ってきたときに内田&長友っていう超攻撃的な形をとるのも面白い気がしますが、まあ普通に左右でバランスを崩すやり方を続けるでしょうか。

別チームをうまく使い分けられれば面白いと思います。しかも、ここで指摘しているとおりに試合内で使い分けられれば。さすがに守備でマンマークとプレッシングを使い分けるのは難しいでしょうけど、スコアによってはプレスの開始位置を1つ下げて守り、ボールを持って休憩するなんていう時間があってもいいように思いますね。

最初の頃はオシム色が残ったメンバーを使って別のサッカーをしようとした結果、かなり苦労してたと思いますね。海外組を入れて、FWの組み合わせも変えて、全く0のメンバーでやったコートジボワール戦でダイレクトに岡田色が出たっていうことでしょうか。逆にパラグアイ戦は逆戻り傾向でしたけどね。

おっしゃる通り、個人的には前者の方が好みです。日本代表に限っては特にそうですね。奪って一気にショートカウンターで攻めきる方法がラスト1/3に不安のある日本にとっては、もっとも効率的にゴールに向かえるかなと思いますので。

もちろん、ポゼッション率を圧倒的に高めるサッカーはそれはそれで面白いです。というか、こちらも好きです。でも、やっぱりこれは強者のサッカーなんですよね。だからそれを日本に植え付け、スイス相手にも同じように戦わせたオシムはすごいと思うわけです。同時にオシムのサッカーを追求し続けて、最終的にどんなチーム相手にもポゼッション率で勝る状況を作れたかどうかっていうのはとても興味がある部分でしたね。
2008-05-29 Thu 10:33 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
[]
フォワードの受けた中村選手の決定的なピンポイントパスは処理が難しいものだったのでもう一人入ってきてほしかったというのもありますし、あそこはフォワードの見せ所だと思うので残念でした。
ボルヘッティのヘディングシュートやらリバウドのオーバーヘッドを思い出しました。
とりあえずボールを落ち着かせてからのプレーや泥臭いプレーも含めて真剣勝負の中でとっさの判断で色んなものが出てきてほしいです。


攻撃は、岡田監督や選手はオシムの哲学や岡田監督の哲学、または各選手の哲学を相手に戦っているのではないので、予選突破のために必要と思う部分をうまく取り入れてまとまって周りが対応していく方に力を入れていってほしいです。
一試合に出た攻撃の二面性はどちらも良かったので、うまく融合できたらなと思いました。
トップ以外の選手が前線に絡む動きやボールがもっと欲しいです。
ディフェンダーのロングフィードをもっと試しても良かったような気がします。
守備は今のところ安心してみれています。

予選は勝ってほしい。

失礼しました。





2008-05-30 Fri 03:37 | URL | ロッド #-[ 内容変更]
[]
まあ、あのシュートは自分もびっくりしたみたいなことがあったんじゃないですかね。俗にいうフリーすぎる状況というか。1度止めてたら寄せられるっていう意識もあったかもしれません。

攻撃は、岡田監督や選手はオシムの哲学や岡田監督の哲学、または各選手の哲学を相手に戦っているのではないので、予選突破のために必要と思う部分をうまく取り入れてまとまって周りが対応していく方に力を入れていってほしいです。
一試合に出た攻撃の二面性はどちらも良かったので、うまく融合できたらなと思いました。
トップ以外の選手が前線に絡む動きやボールがもっと欲しいです。

今の代表の攻撃は見ていて楽しいです。色んな意味でですが(苦笑)こちらとすれば、やってみなければ分からない部分が大きいですからね。もしかしたら岡田監督もそんな風に思ってるかもしれません。ただ、岡田監督が言ってた通り、メンバーを代えても最低限できることが分かったのはよかったんじゃないでしょうか。

DFからの1発は確かにもっと見てみたいですね。特に1戦目はそう思いました。2戦目に関しては蹴っても効果は薄かったかなって思いますが。あまりにも前線に人数が少なかったので、おそらく簡単に相手ボールになってたでしょう。その辺も含めて中盤がFWになるシーンをもっと増やしてもらいたいってのはありますね。まあ、妥当なのは山瀬の飛び出しってことになるんでしょうが、サイドから斜めにっていう動きも見てみたいです。俊輔&遠藤だとタイプが違うかもしれないので、松井が入った時に期待でしょうかね。

守備の方は確かに安心感がありますが、あとはそれをどこまで維持できるかの問題だと思います。何しろ疲れるやり方を採ってるので。攻撃もトップスピードだとコートジボワール戦のパターンになりかねませんよね。それも考えて、パラグアイ戦では相手が蹴ってくると分かった瞬間に前線からの守備を弱めたのかもしれませんが。ただ、守備だけを考えれば引いたら引いたで強いので予選は楽観視してます。
2008-05-30 Fri 12:27 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
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