ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

-------- -- --:--
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
別窓 | スポンサー広告 |
2008-06-03 Tue 16:05
日本×オマーン
<日本:4-4-2>
FW:玉田-大久保
MF:松井-遠藤-長谷部-俊輔
DF:長友-トゥーリオ-中澤-駒野
GK:楢崎

岡田監督にとって、勝つためのサッカーとやりたいサッカーは別なのかもしれない。もしくは、未だ自分のやりたいサッカーに自信が持てないのかもしれない。タイ戦、バーレーン戦、そして今回のオマーン戦とW杯予選になった瞬間に直前まで試していたサッカーをあっさりと捨ててしまっている気がする。タイ戦では普通に戦って普通に勝ったイメージ。岡田色が見えず、だからと言ってオシム色でもない(そのときは海のものとも山のものともサッカーだって書いた)、あえて表現するなら個の足し算サッカー。まあ、個のプラスアルファが求められない相手だったから、それはそれで危なげなかったけど。で、バーレーン戦。ご存じのとおりの蹴りまくりサッカー。聞いてないよって話。

そして、今回。遠藤がボランチ。ボランチ遠藤のオプションなんて初めて見た。今まで遠藤を主力級で使ってきた岡田監督の初めての試み。このタイミングでかよって話。ただし、鈴木も今野も使わない攻撃的なボランチの組み合わせはありだと思った。相手はベタ引きが予想されるオマーンなわけで、しかも日本がホーム。守備にはあまり気を使わなくてもいいことは十分に予測されたわけで。でも、だったら普通に憲剛を使えばいいだけの話ではある。ここに岡田監督のちょっとした抵抗が見られた気がする。何に対する抵抗かって言えば、パラグアイ戦の前半の内容に対する抵抗。つまり、オシム色への抵抗。

そもそもパラグアイ戦の時にも書いたように、俊輔は岡田色に合ってない。少なくとも現状では。サイドチェンジをもっと増やすべきだっていうコメントは岡田監督の考えとのズレを感じたし。コートジボワール戦でも見られたとおり、たぶん岡田監督は攻め始めたらノンストップで同サイドの縦を侵攻したいと思ってるはずだから。ただ、だからと言って俊輔自身の動きが悪かったわけではないのも、また事実。というか、チームの中では中心的に振舞ってた。だから、岡田監督にも今回の試合で俊輔を外すだけの勇気はなかったんだと思う。

仕方がないので憲剛を外した。前回のパラグアイ戦で俊輔とともに横型サッカーをしてたのは憲剛だったから。それに、どちらもボールを保持して落ち着かせるようなタイプ。1タッチ2タッチでスピーディーに回したい岡田色とはリズムが異なる。だから、2人は入れられない。憲剛だけか、俊輔だけか。W中村併用はおそらく岡田色を停滞させると判断したはず。で、今回は俊輔が選ばれたと。ちなみに遠藤はその辺の柔軟性があると思う。キープしてボールを落ち着かせることもできるし、少ないタッチで局面を変えることもできる。結果としてボランチは憲剛ではなくて遠藤になった気がする。

ついでに俊輔と遠藤を横並びにしたくなかったっていう意図もあった模様。2人を横並びにするとその関係でのパス回しが増えて、縦にパスが出ないと。だから、縦関係にしたと。そして、縦に行ける松井を入れたかったと。ただし、遠藤と俊輔は相思相愛のようで、今回の試合では俊輔がボランチの位置に降りてきまくり。指示が出たのか何なのか、途中からはパタリと消えてしまったけど、少なくとも前半は横並びになる時間が多くなったと思う。ボランチの位置で遠藤と俊輔が横並びになるぐらいなら、いつもの高い場所で横並びになった方がマシなんじゃないかなって思ったりもした。

何にしてもパラグアイ戦の前半の流れを払拭するために工夫を見せてきた岡田監督。横幅を使って徐々にビルドアップするようなオシム的な攻撃を捨てたい。自分が目指す縦へ一気に侵攻する攻撃をやりたい。そんな意図が見え隠れ。でも、実際には横型になってしまうから面白い。俊輔の存在は偉大だってことか。そして、その背後にいるオシムの存在も偉大だってことか。結果として長谷部は完全に消えてしまった。長友は長友らしい縦への動きよりも組み立てで目立った。それでもメンツ的には岡田色が強いわけで(長友、長谷部、松井、ちびっこ2トップ、上がらない駒野)、よって断片的に岡田色が見え隠れ。

そんなこんなで今まで見たこともないようなサッカーが再び展開されることになった気がする。というか、もしかしたら攻撃については岡田監督が折れたんじゃないかっていう気さえする。要するに俊輔を使うなら自分のやり方は強制できないと諦めたってこと。俊輔を中心に自分たちのやりたいサッカーをやればいいよ、その代わりメンバーはオシムのときと同じってわけにはいかないよ。そんな感じか。だから、今回の試合では後半の修正も見られなかった。メンバー交代の制限がきついこともあったんだろうけど。というか、むしろオシムが強まったのは後半の方だった気さえする。

まず、試合開始数分で判明したのが遠藤の役割。今回の試合の遠藤の役割はとっても分かりやすかった。それはDFライン前でのボールの散らし役。それを端的に言っちゃえば、右から来たボールを左に受け流す、左から受けたボールを右に受け流すってこと。今回の試合の遠藤は基本的にはこれだけしかやってない。そして、これだけのことが大きな効果をもたらすことになったと思う。遠藤のこの受け流しが目立たなくなった前半の30分以降は明らかにチームとしての攻撃も停滞してたと思うし。

この時点で思ったのは今回は珍しく幅を使うんだなってこと。攻め始めたサイドでそのまま縦を侵攻するのが岡田監督がやりたいサッカーだってのは上にも書いたとおり。そこにはサイドチェンジも作り直しも見られない。同サイドの最短距離を崩したいのに、サイドを変えるだの後ろに戻すだのってのは遠回り以外の何物でもないから。なのに今回は作り直しまくり。右に展開して縦に行けなかったら遠藤経由で左にみたいな(逆もだけど)。

まあ普通と言えば普通。縦へ縦へと攻め急ぐ流れの中で早々に疲れてしまったコートジボワール戦の内容を考えれば、よっぽど大人のサッカー。ここぞのチャンスがあるまではゆったりと低い位置でボールを保持する。もちろん、そこで左右に散らすことで自分たちから相手の守備ブロックにギャップを作り出すアプローチもしながら。そんな中で相手ブロックに入り込む隙が見つかったら、一気にスピードアップを図る。岡田的な縦急ぎ最短距離侵攻サッカーで一気に攻めきる。そんなやり方ができるんじゃないかと想像された。そして、それこそが素晴らしい岡田&オシムの融合なんじゃないかと。

縦へ縦へと最短距離を急ぐコートジボワール戦で見られた岡田色と左右の展開を織り交ぜながら回り道をして回り道をして徐々にビルドアップをして行くオシム色。両極端のこの形だけど、実は同じ問題を内包してる。それは緩急のところ。岡田色は急すぎる。縦へ縦へと急ぐ中で休憩時間がなくて疲れてしまう。対するオシム色は緩すぎる。ポゼッション率を高めて陣地を増やすのはいいけど、そこからスピードアップが図れずに相手ゴールに向かっていけない問題が見られた。

で、遠藤を中心とした低い位置でのパス回しを見た時点で、この岡田色とオシム色を融合したサッカーが見られるんじゃないかっていう期待感が高まりまくり。上でも触れたとおり、低い位置のオシム的左右展開でポゼッション率を高めながら相手ブロックに穴を作り、探っていく。穴ができた瞬間に岡田的縦急ぎサッカー。ボールを入れたところにすぐに関係性を作って複数の選択肢を創出。ボールが動くたびにそれを繰り返して連続的に相手ゴールに向かっていく。そんなサッカーが見られれば、両者の弱点も克服されるだろうななんて考えたりもしたわけ。

でも、結局そんなやり方が体現されることはなかった。いや、本当は1つだけあった。それは先制点のCKにつながったプレー。このシーンは低い位置でのパス回しから左サイドに超密集地帯を作って縦を侵攻していったシーン。遠藤→長友→玉田→松井→長友。連続的に複数のパスコースを作る岡田色の真髄。ボールには触れてないけど、長谷部も左寄りのポジショニングで選択肢創出に貢献。このときに俊輔は遠藤と横並び関係の位置にいたんだけど、同じ真ん中に流れるでもトップの場所に出ていたら理想的だっただろうなって思ったりもした。

でも、連続的に複数のパスコースを作る岡田色はこの場面でしか見られなかったと思う。その理由は何だったのか?それは簡単な話だった。要するに個々の運動量が足りなかったと思う。それぞれの運動量がチームに還元されなかったって言った方がいいか。とにかく、ボールに対して複数の選択肢を作るなんてのは夢のまた夢。複数どころか1つのパスコースも満足に作れない状況が生まれてた印象。とにかく、選手間の距離が遠い遠い。ボールに対する動きが少ない少ない。結果として1人1人の保持時間が明らかに伸びた。酷い時間帯には岡田監督になってからは一番長かったんじゃないかってぐらいに。

そもそも、オマーンの守備ブロックは穴だらけだった。オマーンの守備は3‐4‐3を自陣で作るもの。トップは前に対する守備をあまりせず、あくまでも守備の勝負どころは自陣みたいな割り切った形。日本陣内の日本のボール保持者は完全に自由にボールを扱えた。今回の試合では攻撃の中心になってた遠藤でさえも。その割にはオマーンの最終ラインが高い位置に設定されてたから、日本は効果的にロングボールを織り交ぜていったと思う。

そんなオマーンは自陣で守備をしようと思ってたはずなのに、自陣にボールが入ってきても一向に守備が始まらない。特に本来のポジションから動いて受ける選手は浮きまくり。中盤に降りてくる玉田は完全に浮いた状態だった。で、日本の選手にボールが入った時点で遅ればせながらプレッシャーをかけるような動きを始めるオマーンの選手。文字どおりに後手に回ってるわけで。いつもの通りに、というか狙いどおりに、1タッチ2タッチで日本が回すならばもっと圧倒的に攻め込む流れになったはず。遅れて出てきた相手の背後にはギャップが残されてたわけで、ギャップギャップをつなぎながらの縦急ぎサッカーにはもってこい。

にもかかわらず、上にも書いたように1人1人の保持時間が延びることになった今回の日本。後手に回ったはずの相手選手が寄せきれるぐらいに保持時間が長かった。もっと言えば、その最初のチェックに対して周囲が連動して囲い込みに行けるぐらい保持時間が長かった。それでも個の力で上回る日本選手がボールを失うことは少なかったけど、この時点で完全にスピーディーな展開は不可能に。というか、前にボールを出すのも不可能に。結果的に後ろに戻すパスが多くなった。

だから、穴だらけの相手守備ブロックを圧倒的に押し込む流れにはならず。相手守備陣がゴール前に引かされるなんていうシーンは前半は皆無。それは日本の攻撃がことごとく途中で分断されてたから。連続性が重要な岡田サッカーなのに。上に書いたような流れで後ろに戻して作り直せれば、まだいい方だったって言える。

なぜならば、途中で引っ掛けられて相手ボールになることもかなり多かったから。守備の根拠がない相手なのにもかかわらず。その理由は簡単で、いくら守備の根拠がないオマーンでも日本の攻撃の選択肢が圧倒的に少なければ狙いどころを定めることができる。狙いどころが定められれば身体的に上回るオマーンの選手。先にボールを触るのは簡単だった。というか、自陣に引いたオマーンの守備ブロックの密度は高いわけで。そこを1人とか2人で崩しきろうとした日本が無謀。オマーンにしてみれば勝手に引っ掛かってきてくれるっていう側面の方が大きかったかもしれない。

要するに今回の日本代表が抱えていた問題は根本的なものだった。ボールに対する動きが少ない。だから人と人の距離が遠い。結果としてパスがスムーズに回らない。狭い場所を突き進むために少ないタッチで次々に局面を変えていかなければならない岡田色には致命的な欠陥。でも、同時にそれはオシム色にも悪い影響を及ぼすことになる。なぜならばオシムのやり方でも人の近さは要求されるから。サイドで数的優位を作って、詰まったらサイドを変えるってのがオシムのやり方。そもそも、オシムは走れって言ってたわけで。というわけで、オシム&岡田の融合どころか、その両方が不可能な状況に陥ってたって言える。

それでも前半の途中までは前線にボールを入れることができたのも事実だった。その中でもいくつかのやり方の変更が見られたわけだけど。まず、立ち上がりは単純なロングボールを増やした。それは上にも書いたように、相手が根拠のない高い最終ラインを設定してたから。出し手の方は浮きまくり、受け手の方にも前線にスペースがあった。もちろん、立ち上がりのリスク回避の意味もあったはず。相手のFWも立ち上がりは前線からくる意識を見せてたから、それを否す意味もあったと思う。陣地を増やすために相手の後ろへの意識を高めさせるっていう。

その狙いはずばり。立ち上がりのロングボールのいくつか(その1つが開始早々の決定的なシーンにもつながってる)によって相手のFWは日本陣内にまでプレッシャーに来なくなった。そこからは上に書いたような遠藤中心の低い位置のパス回し。左右の幅を有効活用しながら、相手のブロックに隙間を空けていったと思う。その狙いは初期岡田色だった。つまり、トップを目指そうってやり方。低い位置の左右のパス回しも相手ブロックを横に間延びさせて縦パスを入れやすくするため。サイドから斜めにトップに入れるボールも目立った。

ただし、このやり方は失敗する。ちびっこ2トップでは前線でキープするのは難しかった。何よりも2人に入った時点で絡める中盤の選手がいない。初期の岡田監督が持ち行ってたのは4‐1‐3‐2。FWと関係を作れる2列目が3枚存在した。だから、トップに当てておいて中盤は前を向いた状態で次を受けるっていう形も可能に。それに対して、今回はフラット4‐4‐2。長谷部が前への意識を持ってたのは確かだけど、トップとの関係を築くほど近くまでは行けず。俊輔は前回と同じく後ろとの関係重視。さらに、この時間の松井はサイドに張ってる時間が長かった。よって2トップ孤立。トップに収めても次の展開が期待できない。よって、このやり方は捨てることにした。

次に現れたのがサイドに起点を作ろうっていうやり方。左肩上がりの日本代表だから、その起点も当然のように左に作られることが多かった。ただし、やり始めの時間帯には未だ遠藤が顕在。左右の展開を織り交ぜておいてから左サイドに起点を作るっていうやり方が目立ってた。結果として起点となる長友は完全に浮いた状態でボールを受けることが多かったと思う。よって、多くの人数をかけなくても縦に入り込むことがなんとかできた。玉田が降りてきたり、松井と縦の関係性を作ったり。ただし、本来やりたいであろう超密集地帯作りはできなかったから、決定的なチャンスまでつなげることができなかった印象。

そんなこんなのうちにCKから得点。結果としてこの1点目と次の2点目が大きかった。低い位置の保持時間は長くても相手ブロックには全く仕掛けられてなかった日本。相手のブロックを完全に押し込むシーンが皆無だったのは上にも書いたとおり。ポゼッションは日本でもペースが日本かって言われれば疑問。そんな流れの中でセットプレーから先制点。相手の切り替え守備のまずさをついて(今回のオマーンは攻撃にそれなりの人数をかけてきたけど、それが相手に渡った後の切り替えが恐ろしく緩慢だった)1発パスから追加点。トゥーリオの絶妙な攻撃参加と俊輔の視野の広さが光ったシーンだったと思う。

ただし、この1点目と2点目の間の時間帯ぐらいから日本は本当に何もできなくなっていった。相手ブロックの仕掛けで唯一の機能性を見せていた左サイド、というか長友が完全に消えて行く流れ。ここにおいて日本のビルドアップの問題が再発。ラスト1/3にばかり気を取られてるけど、実は最初の1/3が問題なのが岡田監督に代わってからの日本代表。アジア杯の時にも指摘したはず。攻撃のスタートをいかに切るかっていう大問題がのしかかって行くことになった印象。

その原因は何か。1つはオマーンの前線の守備の質が変化したこと。まず、前線の守備の意識が高まったと思う。日本のCBとか遠藤の場所にもプレッシャーが効くようになって行った。至って気まぐれなこのプレッシャーだったけど、日本としてはそれまでのように完全に自由にっていうわけには行かなくなったのも事実だったと思う。それ以上に痛かったのが相手の前線3枚の並び方。それまでは1‐2的な意図が強かったのにも関わらず、この時間ぐらいからフラットな3みたいな形になってた。加えて前への守備意識。日本のSBのところが浮かなくなっていった。

ただ、これ自体は大きな問題ではなかったように思う。なぜならば、相手の前線の守備は気まぐれだったから。それに相手の前線の3枚が横並びになったとは言っても、フィルターとなるためにその3枚が一体となってボールサイドに寄るようなやり方を採ってきてたから、それまでのように左右の展開を織り交ぜることで逆サイドを空けることは可能だった印象。ただし、その低い位置での左右の展開がこの時間には消えていた。理由は分からない。それでも確かに右に展開→中に戻す→左へ展開→縦へっていう流れの最初のステップが消え気味だったのは事実。予想以上に長友が浮いてたから、1度揺さぶる必要はないって判断したのかもしれない。相手の気まぐれプレッシャーの影響が予想以上に大きかったのかもしれない。本当のところは分からない。どちらにしても相手の最前線のフィルターを揺さぶれなかったのは事実だった。

そして、この時間にもう1つの変化が生まれる。それは俊輔と松井の動き。それまでの時間は長谷部が前線に出て行ったことで空いていた遠藤の横の場所でプレーすることが多かった俊輔。そこでパスの出し手として機能してたと思う。でも、このあたりの時間帯になって急に低い位置に顔を見せなくなっていった。その代わりに前線で受け手となるシーンが目立ったと思う。基本の右サイドにこだわらず。相手の最前線が守備において前への意識を高めたってのは上にも書いたとおり。結果としてライン間の距離が空いてたはず。2点目も明らかにDFと中盤の間にスペースができてたし。俊輔はその間にギャップを見つけたんだと思う。そういう間の場所で引き出す動きを繰り返した。DFと中盤の間で受けてミドルっていうシーンも見られたと思う。ただし、俊輔が受けてもフォローが少なかったのは、繰り返しになるけど今回の日本の致命的な問題だったわけだけど。

この俊輔の動きはよかったと思う。少なくとも今回の試合で遠藤と横並びになる必要性は感じなかったから。後ろは助けはいらなかった。ただし、同じように動きを始めた松井はどうか。俊輔に引っ張られたのかどうかは分からないけど、それまでの時間は左サイドに張りつく時間の長かった松井が流動的にポジションを変え始めた。実はこれが攻撃の停滞の要因の1つになっていたんじゃないかと思ったりもする。

基本的にはポジションを動かすことで相手の守備陣を混乱させるのはいい試み。でも、今回の松井に関しては左サイドに張りつくことの意味の方が大きかった。なぜならば相手のシステムは3‐4‐3。純粋なサイドの選手はWB1枚。松井がサイドに張りつくことで、このWBは松井に引っ張られることになる。よって、1つ下の長友が浮くことになる。この長友を利用して攻撃の組み立てをしてたってのは上にも書いたとおり。つまり、松井がサイドに張っていたことで4‐4‐2×3‐4‐3のシステム的なメリットを十分に生かすことができてたって言える。

でも、松井は動き始めた。代わりに長谷部でも飛び出してくれば別だったんだろうけど、今回の試合の前半は長谷部が消え気味。よって、左サイドの高めの位置が留守になる。WBは長友に対応できる。加えて相手のWG的な選手も長友に対応するようになっていた。2×1の数的優位が一転して、1×2の数的不利に。そりゃ、長友も目立たなくなるわっていう話。

というわけでビルドアップの方法を失った日本代表。長友が抑えられたことに加えて、SMFが中寄りに入ってきたことで、攻撃において一気に幅が使えなくなった。それまでは遠藤経由であれだけボールが左右に動いてたのに。この後の日本の攻撃は簡単に表すことができる。とりあえず、真ん中→真ん中のパス。相手の守備が後手だから収まることは収まる。でも、距離が遠くて次の展開がないから、結局囲まれる。個の力に優れてるから何とかキープしてバックパスに逃げる。ずっとそんなことを繰り返してた前半の残りの時間。バランスが崩されないオマーンは攻撃に移った時に、それなりに人数をかけることができる。前半の終りに盛り返されたのは明らか。東アジア杯の北朝鮮戦みたいな流れか。

さて、こんなことを踏まえての後半。後半になって明らかに変化したのはボランチの動き。基本的には自陣でボールを裁いていた遠藤が敵陣に入ってくるようになった。長谷部が前線に出て行く中で自分は後ろでバランスを取らなければならないっていう躊躇が前半にはあったんじゃないかと思う。必要以上に後ろに居座ってたと思うから。後半はそのあたりに指示が出たのかもしれない。そして、長谷部が目立つようになった。これが大きかった印象。

前半は確かに前線に飛び出していった長谷部。攻撃時は4‐1‐3‐2って言ってもいい形だった。でも、前線に飛び出していった長谷部が攻撃に絡めなかったのが前半の流れ。トップ下の場所が空いていたから、そこに入っていったんだろうけど、前半の日本の流れではそんな場所にいても意味がなかった。攻撃の起点はサイドだったし、そもそも深い位置までボールを運べなかったから。そんな長谷部が後半はサイドに顔を出すシーンを増やしたと思う。

これによって前半の途中から生まれたサイドの数的不利が解消されることになった。松井がいなくなれば、長谷部がサイドに出ることによって、長友をサイドで孤立させないようにしたと思う。松井自身も前半のようにふらふらと中に流れて行かずに長友との関係を意識したようなポジショニングが目立つようになってた印象。松井と長友が前後を入れ替えるような時間も多々あった。

結果として再び左サイドが攻撃の起点となった日本代表。岡田色を出すならば、ここまで書いてきたとおり、左サイドに人数をかけて縦を侵攻してくやり方が正解。でも、後半の流れはそうはならなかった。後半は岡田色ではなくてオシム色が出たってのは最初の方でも書いたとおり。岡田色を体現するには、ボールに対する動きを圧倒的に増やさなければならないわけで、それは今回の日本には望めない部分だった。だから、同サイドを崩し切るのは難しかったんだと思う。そうやって同サイド崩しが詰まったら逆サイドへ。オシム色というか、至って普通の選択だったとも言えると思う。

ところでオシム色にもボールに対する動きは必要だってのは上にも書いたとおり。それはどうしたのか。簡単に言えば、遠藤がそれを解消したって言える。遠藤のポジションはアンカー。そのアンカーが敵陣内まで押し上げてくる。よって、前線も強制的に前に押し出される。結果として前線に強制的な近さが生まれた。そうやって近さが生まれれば、ボールに対する動きも回復するわけで。結果として基本的なトライアングル形成ぐらいはできるようになってたと思う。前半と比べると高い位置での選手間の距離が縮まったのは確かだったと思う。

それからもう1つの後半の変化としては駒野の積極的な攻撃参加が挙げられる。左肩上がりの攻撃の中で前半は明らかに攻撃参加を自重してた駒野だけど、後半は前線に飛び出してくる駒野本来の良さが見られた。この駒野の攻撃参加によって後半はオシムが可能になったって言える。本来の岡田監督のやり方では同サイドの最短距離を崩したいっていう積極的な側面に加えて、逆サイドは攻撃の自重してるから使えないっていう消極的側面もあるはずだから。

とにかく、後半は前半と比べると明らかにスムーズな展開が生まれた。サイドに起点を作る→そこで数的優位を作ってパス交換→詰まったら遠藤を経由して逆サイドへ。接近→展開→連続。ここにおいてやっと力どおりにオマーンの守備ブロックを押し込むことに成功した。サイドでのリズムのいいパス交換と左右の幅を効果的に使った組み立てによって、相手に狙いどころを定めさせなかった。というか、そもそもオマーンの守備に狙いどころがあったのかどうかも疑問なわけだけど。とにかく、ズルズルと押し下げられるオマーンの守備ブロック。俊輔の3点目みたいにベタ引きブロックの前にはスペースが空くシーンが目立ったと思う。

そんなスムーズな攻撃の組み立ては時間とともにいい流れを生んでいく。思い出したかのようにボールに対するランニングが増えて、近い場所での関係性が生まれた印象。大久保と香川の交代もよかった。病み上がりの影響か、大久保は全体として運動量が少なかったと思う。玉田がいろんなところに顔を出してボールタッチを増やしてたのに比べると、明らかに大久保は目立ってなかった。そんな大久保に代わって中盤の選手を入れることで、ますます近い関係性の改善が図られた印象。ただし、玉田1トップだと本当の意味での0トップが生まれてしまう。よって巻を入れたんだと思う。

そんなわけで試合終了に向けて運動量が増えていった日本代表。まさか疲れないように省エネで入ったんじゃあるまいか。無駄にスタミナを使わないように低い位置での保持時間を延ばしてる間にチーム全体がまったりした流れになったというか。結果として動きが停滞して、スピードアップを図れなくなったっていう。東アジア杯の北朝鮮戦はそんな流れだったし。ただ、このことが次のアウェーでのオマーン戦に向けてはヒントになるかもしれない。気候面を考えたら岡田監督がやりたいであろうコートジボワール戦のようなサッカーは不可能。だったら、今回の試合のようにゆっくりと保持する時間が長くなるはず。ただ、だからと言って今回ようにボールに対するフォローが少ないのはどうかと思うけど。

ちなみに今回の試合の守備面。カウンターを許さなかったっていう点はかなり評価できる気がする。切り替えの守備の良さは明らかだった。ボールが相手に渡った瞬間に複数枚が一気にプレッシャーをかけに行くシーンが目立ってた印象。ただし、時間としては短かったものの、ブロックを作って守備をする時間の守備は微妙だった。まず、FWがスタートとして機能できてなかった印象。でも、中盤はやる気満々で前線に引っ張り出される。でも、連動が図れずに単発。結果として中盤とDFの間が気になる流れ。前回と同じく奪いに行こうとして逃げられるシーンも多かった。前半の終りの盛り返される流れの中では予想以上につながれた印象。でも、相手は最終的にトップへの選択肢しかないわけで。そこのところを中澤&トゥーリオが完全に跳ね返してたから何の問題も起きなかったわけだけど。

さて、次のアウェーでのオマーン戦はどうするのか。アウェーってことを考えると鈴木か今野のどちらかは使ってくるはず。ただし、長友の怪我がどうかってこと。阿部が離脱したことを考えると今野がSBに回る可能性もあるかもしれない。どちらにしても鈴木よりは今野をベンチに置いておいた方が安全か。じゃあ、鈴木の相棒は誰か。俊輔がやりたいサッカーをやるなら憲剛。岡田監督がやりたいサッカーをやるなら長谷部。もっと極端に言えば、前にも書いたように山瀬っていう選択肢もあると思う。ただし、アウェーの本番でいきなり試すのはどうかって話だけど。中盤高めは俊輔と誰か。これも俊輔を生かすなら遠藤、岡田監督がやりたいサッカーをやるなら松井ってことになるか。総合して考えると、アウェーでしかも気候を考えたときに岡田監督のやりたい超運動量を要求するサッカーが現実的かどうかって部分になってくる。ここは普通にポゼッション率を上げて行くことを念頭に置いたらどうか。オシムの中盤、遠藤-鈴木-憲剛-俊輔の組み合わせが現実的な気がする。完全に中心になってる俊輔を外すのは無理でしょう。FWは頑張る玉田ともう1人を誰にするか。

対するオマーンはどうやって戦ってくるか全く分からない。実は今回と対して変わらないんじゃないかなんていう雰囲気も醸し出してる。そもそも、今回の試合の狙いが分からなかったわけで。普通にベタ引きにすれば3点も取られることはなかっただろうに、下手にラインを上げるから。なのに前線から行くわけでもないし。むしろ、次にベタ引きで来たら、それはそれで日本にとっては厄介だったりするかもしれない。
スポンサーサイト
別窓 | 日本代表 | コメント:3 | トラックバック:0 |
<<マンU×ウェストハム | サッカー好きの日記帳(引越し中) | バーミンガム×リバプール>>
この記事のコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2008-06-04 Wed 17:38 | | #[ 内容変更]
このコメントは管理者の承認待ちです
2008-06-04 Wed 18:47 | | #[ 内容変更]
[]
個人的には賛成する部分が多いのでレスだけしますね。

気まぐれというと語弊があるかもしれませんが、個の判断がチームに還元されてない部分があるのは確かだと思いますよ。急に海外組が3枚も入り、しかも2トップも新しいメンバーとなると仕方がない部分もあるでしょう。それぞれの動きがチームに還元されるようになれば劇的な変化が生まれるかもしれません。バーレーン戦ではそれぞれは動いているのに、それが別個の動きで完結してしまったがために、全体としての遠さが生まれたと思ってます。
2008-06-04 Wed 20:57 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
コメントの投稿
 

管理者だけに閲覧
 

この記事のトラックバック
トラックバックURL

FC2ブログユーザー専用トラックバックURLはこちら
| サッカー好きの日記帳(引越し中) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。