ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-06-10 Tue 20:54
スイス×チェコ
<スイス:4-2-3-1>
FW:シュトレーラー
MF:バルネッタ-フレイ-べーラミ、インラー-フェルナンデス
DF:マニン-センデロス-ミュラー-リヒトシュタイナー
GK:べナグリオ

<チェコ:4-1-4-1>
FW:コラー
MF:プラシル-ポラク-ヤロリム-シオンコ、ガラセク
DF:ヤンクロフスキ-ロゼナル-ウイファルシ-グリゲラ
GK:チェフ

EUROの開幕戦。W杯以来ずっと注目してきたスイスの登場。前線から追いかけて→高い位置で引っ掛けて→トップに当てて→一気に後ろの選手が飛び出して→少ない手数で相手ゴールまで→攻撃が終わったら守備への切り替えを素早くして→再び守備へ・・・・。そんな攻守の連続性が見られるスイスのやり方。ただし、どちらがスタートになってるかと言えば、やっぱりそれは守備だと思う。06年のW杯での無失点は伊達じゃない。裏面には無失点でも敗退してしまった攻撃力の問題が隠れてるわけだけど。

対するチェコもW杯以来の注目。本当はもっと前からだけど。とにかくW杯初戦のアメリカ戦の内容は素晴らしすぎた。4‐1‐4‐1システムの長所をいかんなく発揮。守備では4‐4の間につなぎのガラセクを置くことで、中盤の4をより高い位置において前線から組織的な守備。攻撃では4‐1‐4‐1における選手間の近さを使いながら、さらにサイドをワイドに使える長所を使いながら、次々と基本的なトライアングルを作って行く。そこをシンプルに1タッチ2タッチでつなぎながら、相手のプレッシャーを否して、局面を変えて行くやり方。シンプルシンプルの組み合わせだけに、余計に素晴らしさを感じさせられた。

そんな両チームの戦い。こちらとして見れば、何でこの2チームが同じグループなんだって話。しかも、よりにもよってポルトガルも同じグループAに。個人的には完全に死のグループになってしまっているわけで。まあ、そんな余談はいいとして、本格的に今回の試合の内容について見ていきたいと思う。そこでポイントになったのは、スイスがホームの開幕戦っていう場面設定だった印象。

スイスのサッカーのベースは上にも書いたように、高い位置で奪ってからのショートカウンター。ファーストシュートがまさにそれを象徴してた。中盤でのかなり厳しいプレッシャーで相手のミスを誘い、それをかっさらって一気に相手ゴールまで。トップのシュトレーラーに入った瞬間に後ろからの一気の飛び出しが見られたし、押し上げ途中でバランスが崩れている相手の不安定な守備ブロックの穴に簡単にフレイが入り込んでフリーでシュートを打つことができた。

つまり、スイスは攻守のつながりの中では守備が先に来る。これも上に書いた通りなわけだけど。例えば、マンUなんかは攻守のつながりの中で攻撃が先に来るチーム。攻撃で押し込んでおいて、その切り替えの場所で質の高い守備をするっていうチーム。シーズン終盤にはちょっと変わってきたけど、基本的には攻撃がうまくいかないと守備もうまく行かないのがマンU。守備が先に来る流れになると悪循環に陥ることも多々。そんなマンUみたいなチームとはスイスは真逆っていうイメージでいいと思う。

何が言いたいかっていうと、スイスは攻撃が先に来るといい流れにつながらない。自分たちが主導権を握って攻撃を仕掛ける流れは苦手。普通に考えれば、主導権を握るってのは歓迎すべき状況のように思えるかもしれないけど、それがスイスには当てはまらない。W杯で無失点でも敗退したスイスの問題は攻撃力。その攻撃力にウエイトが置かれる試合展開になると、スイスは並み以下のチームになると言っても過言ではない。そして、スイスがそういう苦手な土俵で戦わなければならなくなったのが今回の試合だった。上に書いたような、スイスらしいショートカウンターはほとんど見られなかったと思う。

もちろんその要因はチェコのやり方にある。スイスの攻撃面の弱点を考慮してなのか、開幕戦だからあまりリスクを負いたくなかったからなのか、それともアウェーの戦い方に徹したのか、とにかく今回のチェコは消極的な姿勢が見られたように思う。守備では完全な受身、しかも時間が経つにつれてどんどんと受身になって行くやり方。攻撃はコラーを狙えっていうとってもシンプルな考え方。どちらもスイスにとってはかなり相性の悪いものだったって言える。

まず、チェコの守備について。立ち上がりからチェコの守備に受ける意識は見て取れた。相手がボールを保持したら、4‐1‐4‐1のバランスのいいブロックを作る。ただし、この立ち上がりの時点ではまだチェコのブロックはそれなりに高い位置に設定された。中盤の4をハーフェイライン上ぐらいに置く形。トップのコラーは自分から積極的に追いかけることはしないものの相手の押し上げを防ぐ役割。2列目の4が実質的な守備のスタートとして、スイスが1つ上に入れてきたボールにプレッシャーをかける。役割としては受け手に前を向かせないような形。

この時点でスイスの攻撃とチェコの守備の間にはシステム合致状態が生まれてた。意識的なものではないかもしれないし、意識的なものかもしれない。分からない。チェコが意図的にシステム合致を作るようなチームには思えないけど、後で書くように攻撃を見ると4‐2‐3‐1が基本形のように見えた今回のチェコ。まあ、意図的にしろ意図的ではないにしろ、4‐2‐3‐1×4‐1‐4‐1との関係で基本的な1×1が明確になる状況が生まれたのは事実だった。

これがスイスに予想以上の影響を及ぼした。今回の試合、少なくとも前半のスイスは攻撃において前後が分断気味。後ろの6(4‐2)と前の4(3‐1)の間で出し手と受け手っていう関係が固着化してた。その理由はそれこそたぶん開幕戦の性質上、リスクを負うのを避けたかったからっていうこと。だからこそ、後半には変化が生まれたんだと思うし。とにかく、前半はSBとかボランチの前線への積極的な飛び出しは見られなかったと思う。

スイスにとって相手とのシステム合致、局面局面での1×1の関係性を外すことへの近道はポジションチェンジを行うこと。もっと言えば相手が4‐1‐4‐1を形成している以上は、1ボランチのところにアプローチするのが吉。例えばボランチがその場所に飛び出していくみたいな。でも、そういう飛び出しが期待できなかったのが前半のスイス。でも、まだ可能性はある。縦がだめなら横。マンUとは言わないけど、前線の4人がグルグルとポジションチェンジを繰り返すことで、相手の1ボランチの隙間に入り込めばいい。単純にサイドの選手が中に流れてくるだけでも効果は大だったはず。

でも、そんな横のポジションチェンジも見られなかったスイス。よって、4‐1‐4‐1の弱点である1ボランチの場所は常にフレイとガラセクの1×1が維持されることとなった。そこで思ったのが、スイスは平行移動的なチームなんじゃないかってこと。前線からの積極的な守備→高い位置で奪ってからのショートカウンター。どこかで聞いたことがあるこの形。それはちょっと前までのリバプール。そして、ちょっと前までのリバプールも平行移動的に戦ってた。前線の守備も1度守備ブロックを作った上で行うってのも同じ。

守備がベースのチームにあって、次の守備を考えた攻撃をすれば平行移動的になる。その方が自分のポジションに素早く戻れるから。マンUとかアーセナルみたいにぐちゃぐちゃでやってたら不可能。だから、マンUは4‐2でとりあえずはしのごうとするし、アーセナルはその時々のポジションによって守備ブロックの内実が変わったりする。

要するに今回のスイスもリバプール的な意識が強かったんじゃないかと思う。4‐2‐3‐1の秩序を保ったままに攻撃を仕掛けるっていう意識。横のポジションチェンジもしないし、縦のポジションチェンジもない。後ろからの飛び出しが少ないのは、リスクを負わないためっていうことで理解できるけど、そういえば低い位置での保持時間が無為に伸びていく中で、前線の選手が降りて来るシーンもほとんどなかった。前線の選手が降りてくれば、誰かが代わりにそのスペースを埋めなければならない。そこで秩序が崩れるのを嫌った気がする。そして、ある意味では秩序崩れを嫌いすぎてたのが今回のチェコ。

というわけで、完全にポジションが固着化したスイス。相手のシステム合致を外せない。1×1が1×1のまま固定化される。よって、前線に全くボールを入れられない状況に陥った。最終ラインの4枚でパスを回し、たまにボランチに縦パスを入れる。ただ、そのボランチのところには相手がしっかりと対応するから、ボランチが後ろからのボールを前に回せない。仕方がないので、また後ろに戻す。結局は後ろの6人でのパス回しが長く続くことになってしまったと思う。そのパス回しの間に、前線にボールを入れるためのアプローチは皆無だった。

というわけで、少なくとも中→中のパスは不可能。フィルターがしっかりとかかってる4‐1‐4‐1で工夫なく中→中はそうそう通らない。もともと組織的な守備が得意なチェコだけになおさら。だから、なんとか相手ブロックに入り込むとすればサイドに起点を作るやり方。でも、これだってかなり難しい。まず、味方のSMFと相手SBの1×1は確定。この時点でサイドにボールを入れるのはすでに困難。そして、入ったとしても味方SBの攻撃参加は自重気味。よって、スイスのサイドは1枚。で、スイスのSBが攻撃参加を自重したことでチェコのSMFは後ろとの挟み込みに問題なく参加できる状況が生まれる。あっさりとスイスにとっては1×2の数的不利が生み出された。

よって、前線にボールを運ぶ方法は皆無だったって言ってもいいのが前半のスイス。これはスイスにとっては二重に痛い。おそらくスイスの攻撃のベースは、収まる→飛び出す→人数をかけるっていうやり方。ショートカウンターでは完全にこの流れが見られるけど、たぶん遅攻でも同じ考え方を適用できるんじゃないかと思う。ここで卵と鶏の問題が発生。前線への飛び出しが少ない→前線にボールがおさまらない→前線への飛び出しが抑制される→…。もう、悪循環としかいいようがない展開に陥ってた印象。

でも、その悪循環が予想外の要因から解消される。前半の20分過ぎからそれまでは全く敵陣に入れなかったスイスがあっさりとチェコ陣内に入り込むシーンが目立つようになった。そして、その要因はチェコが守備ブロックを押し下げたからだったと思う。理由はよく分からないけど、今回のチェコは時間とともに守備ブロックが後ろへと移動していった。よって、スイスにとっては何の工夫もなく陣地が増えて行くような状況につながったって言える。

立ち上がりのチェコは上にも書いたように、中盤の4がハーフェイライン上にいるぐらい。受ける意識が強い守備組織だとは言っても、結構積極的。でも、前半の10分を過ぎたあたりから中盤の4が自陣内に引くようになったと思う。それまでチェコの2列目の押さえられていた、スイスのボランチが浮くシーンがちらほら。さらに時間が進んで、前半の15分過ぎりなるとコラーがハーフェイライン上まで下がるぐらいの守備ブロックへ。この時点ではまだ4‐1‐4‐1のブロックが形成されたけど、最終的にはコラーを前線に残す4‐1‐4‐‐1に落ち着いたと思う。4‐‐1の場所の関係はコラーが再び前線へ帰ったからじゃなくて、中盤の4がかなり深い位置まで戻ったことによって生まれた。

上でも触れたように、その理由がちょっと分からない。最初のブロックの位置でもスイスには何もさせてなかった。というか、むしろ最初のブロックの方が、よりゴールから遠い位置で相手に何もさせてなかった。でも、それをズルズルと下げていったのが今回のチェコ。何もできてなかったスイスの攻撃にプレッシャーを感じたとは思わないから、やっぱり自分たちの判断のはず。1つ考えられるとすれば、相手をおびき寄せるってことか。チェコの方だってチャンスは作れてなかったから、相手をおびき出してカウンターを仕掛けようと思ったかもしれない。でも、やっぱり違うなって思う。あまりにも中盤が引きすぎて、コラーが孤立していたから、カウンターは難しかったし。

ヒントはチームが一体となって下がったというよりは、DFラインが下がってそれに引っ張られて中盤が下がったような形になったってことか。そう考えるとやっぱりスイスの方がチェコの最終ラインに対して、何かしらのプレッシャーを与えていたってことなのか。チェコの攻撃とスイスの守備の関係を考えたときにスイスの前線からのプレッシャーに対してチェコの最終ラインが持ちあがれない状況に陥ってたから、押し上げのタイミングを失ってしまったのかもしれない。実際にはよく分からないってのが本当のところ。

理由は何にしろ、陣地が増えたスイス。それに伴ってチャンスが増えたかと言えば、そんなことは一切なかった。そもそも4‐1‐4‐1の1の場所にできたスペースすらも有効に活用できずに、敵陣に入れなかったのが前半のスイス。同じチームが相手がベタベタに引いた超密集ラストブロックに入り込めるかって言えば絶望的。陣地は増えたとしても平行移動的な形に変化が生まれなかったから、結局はチャンスにつなげることができなかった印象。パス回しの場所がやや高めに移っただけだった。

というわけで、前半のスイスの攻撃×チェコの守備の勝負はチェコに軍配。今度は逆にチェコの攻撃×スイスの守備っていう部分について見てみたい。上にも書いたように、チェコの攻撃はかなりシンプル。コラーコラーコラー。そして、それはスイスにとってはかなり相性の悪いやり方だったってのも上に書いたとおり。その点について以下では見て行きたいと思う。

本来のチェコの攻撃は最初に書いたように基本的なトライアングル形成をベースにしてショートパスをつなぐもの。とはいっても、チェコのサッカーを見るのはその印象を刷り込まれたW杯以来だから、実は大幅な変革が行われたっていう可能性もなくはない。それでも、やっぱり監督が変わってないわけだから、とりあえずはチェコの本来的なやり方はショートパスのつなぎから崩すものだってことにしとく。でも、今回のチェコはショートパスつなぎのチェコではなかった。ここまでにも書いてきたように、攻撃はコラー狙い。下手につながずに単純にコラーを狙う1発のボールが明らかに増えていたと思う。

なぜそんなやり方を採ったのかって言えば、その答えは明明白白。スイスの守備が嫌だから。スイスの守備の勝負どころは中盤。4‐4‐1‐1的な守備ブロック。前線の1-1の献身的な追いかけで制限をかけ、高めに配置されたコンパクト4-4で引っ掛ける。チームとしての狙いどころが定まっている質の高い守備。そうやって中盤で引っ掛けて、一気に攻撃につなげるのがスイスのやり方ってのはここまで書いたとおり。

そういうスイスのよさを出させないためにズルズルとブロックを下げたと思われるチェコ。とりあえず、あえて相手に攻撃をさせるっていう逆説的なやり方でスイスの苦手な遅攻をさせた。ある意味では冒険的な、そんなやり方を採ったのにも関わらず、自分たちの攻撃で相手の土俵で勝負するとしたら詰めが甘い。もちろん、詰めが甘くなかったのがチェコ。自分たちのパスワークを捨ててでも相手の土俵では勝負しないよっていう攻撃をしてきた印象。

そして、それがコラー1発狙いのロングボールの多用。このロングボールの多用は対スイスのセオリー。日本代表もドイツもオランダもそうやってスイスの質の高い守備ブロックにアプローチをしていった。要するに相手が得意とする中盤の場所は飛び越してしまおう作戦。今回のチェコも相手の前線のプレッシャーが効く前段階の深い位置から、さっさとコラーめがけてロングボールを蹴っていった。下手に持ちあがると、相手に寄せられてロングボールの選択肢も消されてしまうから、妥当な判断だったように思う。

そんなチェコの攻撃も前後が分断気味。後ろの6(4-2)と前の4(3-1)が分断。後ろは出し手、蹴り手って言った方が妥当かもしれない。ここでポイントなのが後ろが4-2だってこと。上にも書いたとおり、守備時に4-1-4-1を採ってるように見えたチェコは攻撃時には4-2-3-1になってた。最初は相手の前線からのプレッシャーに対処するためだろうなって思った。後ろにできるだけ人数を残して、逃げ場を確保する。結果として相手が前線から来ても、パスコースは残る。空いた選手が前線に蹴ればいい。

でも、あとで書くようにスイスは途中で前線からの追いかけ回しをやめたのにも関わらず、チェコは依然後ろの4-2を維持した。そう考えると、たぶんカウンター対策の面の方が大きかったと思う。何かの拍子に相手のカウンターを食らった場合、後ろが4-1よりは4-2の方が安定感が増すに決まってる。スイスの切り替えを考えたときにFWに入れさせたくないってことを考えるとなおさら。中盤1枚残しでトップへのフィルターが1枚で、さらにトップに入った瞬間にスイスの後ろの選手が一気にその1の場所に飛び出してくることを考えると悪夢。スイスの縦の攻撃の質が高いからなおさら。

とにかく、今回の試合でのチェコはスイスの縦のスピードに対してかなり気を使っていたように思う。コラー1発がその1つ。とりあえず、蹴っておけば相手がボールを奪う場所はゴールから遠くなる。そして、後ろに中盤を2枚残す形の攻撃。さらに、切り替えの守備の厳しさがかなり目立ってた印象。上で書いたようにベタ引きがベースだった今回のチェコだけど、攻撃からの切り替えの時だけはブロックをすぐには下げずに高い位置でかなり厳しい守備を行った。そうやって相手の縦への勢いを弱めておいてから、やっとベタ引きブロック形成に入ったと思う。

さて、コラー1発蹴りに戻る。後ろの6枚が蹴り手で、前の4人が受け手。実際にはコラーが競って2列目の3が拾う形。2列目の選手がコラーの近くにいようとする意識が見て取れた。もちろん、かなり深い位置から蹴ってるから可能性は薄い。それでもたまに前線でキープできれば、そこに来たら初めて後ろの4-2が飛び出してくる。そうやって厚みを増してた。でも、繰り返しにはなるけど、1発コラーの可能性は薄かった。今回のチェコはそれでもよかったんだと思う。とにかく、相手がボールを奪う場所が深ければそれでよかったと思う。

そして、その目標は達成。スイスが狙いどおりに中盤で引っ掛けるシーンは皆無。ことごとく中盤の選手の頭を越えられた。スイスがボールを奪うのは自陣深く。ショートカウンターは無理。ロングカウンターも相手が後ろに人数を残してるから無理。よって、苦手な遅攻を仕掛けざるを得ない状況の陥った。スイスの遅攻の質は前半部分でさんざん取り上げてきたとおり。チェコの攻撃の攻撃が功を奏したって言える。

というわけで、スイスは守備のやり方を変更。前線から頑張ったとしてもどうせ頭の上を越えられる。前に追いかけようとした瞬間にロングボールを蹴られる。疲れるだけで、何の得もない。むしろ、引っ張り出されて後ろにスペースが空いた方が怖い。というわけで、前線からの守備の勢いを弱めたと思う。後ろの4-4の関係を重視して(もともと重視してるけど)、超コンパクトなブロックを形成。相手のロングボールのこぼれ球は自分たちが拾える体制を作り出した。プレッシャーの弱まった相手が地上から攻めてきたとしても、バイタルに入れさせない作戦。

というわけで、前線からのプレッシャーが弱まったチェコは攻撃のやり方を変更。なんでもかんでも蹴るのをやめて、しっかりとつないで行くようになる。相手の4-4の前で左右の幅を使った展開を見せるようになった。プレッシャーが弱まってたから、SBを敵陣に入れることで幅を維持してたと思う。ボランチを経由したり、1発だったり、とにかくサイドチェンジを繰り返して、相手の中盤の4を低めの位置に釘づけにするようなつなぎをしてきたと思う。

ロングボールで相手を押し込んでおいて、左右の展開を使ってアプローチをする。これはスイスと大したときのオランダと同じやり方。左右の展開は相手に狙いどころを定めさせないと同時に、相手の中盤の4を横に間延びさせる効果もある。結果としてバイタルへの隙間を空ける狙い。そして、相手の選手間の距離を遠くすることで守備の連動性をはがしてやろうっていう意図もあると思う。実際に今回の試合のスイスは途中から明らかに中盤での守備意識が減退した。チェックも単発で実効性が薄かったし、そもそもあまりにも自由に相手にボールを回させるシーンが目立ってたと思う。飛び越えられまくって、左右に振られまくって守備をする気が失せたってのが本当のところだと思う。

ただし、チェコはそのスイスの守備意識の減退を有効に活用できなかった。相手の守備ブロックの外では左右を使いながら効果的な組み立てをしていたものの、ブロック内に入るアプローチは未だコラー狙いだった。一番多かったのは、左右に振って、ある程度の場所まで入って、クロスってパターン。結局は丁寧さに欠けてたから、結局は跳ね返されまくりのやり方だった。

というわけで、チェコの攻撃×スイスの守備っていう側面ではどちらが勝ってたかは定かではない。純粋に攻撃×守備の側面で見れば、勝ってたのは明らかにスイス。チェコは全くチャンスを作り出すことができなかったから。ただし、上にも書いたようにチェコの攻撃の目的は達成された。スイスは守備だけを見れば何の問題もなかったけど、本来的なスイスの攻撃へのつながりを考えたら完敗。チェコが自分たちのよさを犠牲にしてでも、相手のよさを消しに行った前半の内容だった。

これを踏まえて後半。後半はスイスが攻撃の内容に変化をもたらしてきた。前半の停滞の要因は自分たちの積極性のなさにもあったわけで、その部分を変化させてきた印象。ついでに、フレイ→ハカン・ヤキンの交代もこっそりといい効果をもたらしてた。フレイには悪いけど。前半はフレイがトップ下の場所に居座ってて、それがポジション固着化の要因の1つになってたんだけど、ハカン・ヤキンはサイドに出て行ってボールを受けるような動きも見せたと思う。ハカン・ヤキンとフレイの違いなのか、前半と後半のやり方の違いなのかは微妙。

とにかく、前線の動きが多くなったのは事実。ハカン・ヤキンが動いてスペースを空けたことが1つ。ハカン・ヤキンが動いてボールを受けたことで前線に収まりどころができたのが1つ。とにかく、前線の出入りが激しくなった。トップ下の場所にボランチのフェルナンデス、インラーあたりが飛び出してくるシーンが明らかに増えたし、何よりも効果的だったのはバルネッタが頻繁に左サイドから中に流れてきた動き。これこそ前半に欲しかった動きだったよって話。

そうやってバルネッタが中に入ったことで空いたサイドのスペースにはマニンが積極的に攻撃参加。ところでいつの間にか、マニャンからマニンに表記方法が変わったのか。そんなことはいいとして、右のリヒトシュタイナーも含めてSBの攻撃参加も活発になったスイス。サイドから深い位置まで入り込むっシーンが増え、前線とは全く違う展開で前線でボールを保持できるシーンが目立つようになった印象。

とはいっても、それがチャンスに直結しないのが難しいところ。それじゃなくてもベタ引きでラストを固めてたチェコなのに、スイスが攻撃に積極性を増したことでさらにベタベタに。低い位置の密集度がさらに上がって、ラストを固める形。何度も書いているとおり、スイスは本来ベタ引きの相手に対することは少ない。むしろ、真逆。相手の押し上げ途中に引っ掛けて、スカスカブロックに仕掛けるのがスイス。ベタ引きに対するノウハウを持ち合わせてなかったって言ってもいい気がする。残念ながらシュトレーラーが流れがよくなった後半になっても目立たなかったのが痛かった。

対するチェコも後半はやり方を微妙に変更してきた。それはコラー→スヴェルコシュの交代ではっきりした。基本的な組み立ての場所はこれまで通り。相手の4-4の前で幅を使った攻撃。でも、そこからラストに向けて前半のような適当クロスってのはあり得なくなった。コラーがいなくなった時点で、中でなんとかしてくれが不可能になったから。というわけで、途中まで組み立ててきたノリのままにパスで相手の4-4へと入り込もうとする試みが増えて行ったと思う。やっとチェコらしいトライアングル形成をベースにしたリズムのいいパス回しも散見されるようになった。ちらほらだけど。何しろチームの重心は後ろにあるから、いろんなところで近い関係性を作るのは難しい。

そんなことをしてる間にチェコが先制点。采配ずばりのスヴェルコシュのゴール。CKからの流れだった。で、この後のチェコはますますベタ引きに。何ならスヴェルコシュも守備ブロックに参加しろっていう形。場面によっては前線0枚の4-6-0ブロックが形成されてた。スイスは益々困ったもんだ。ベタ引きを崩す方策が見つからない。そんな中で転がり込んだ千載一遇のチャンスも逃して、ジ・エンドだった。

結局はスイスのよさを消すことに終始したチェコの勝ち。守備はベタ引き、攻撃は蹴りまくりのチェコのやり方によってスイスは自分たちの形を全く見せられず。それでも、チェフの落ち着き払ったセーブのおかげで目立たなかったけど、数回だけあった高い位置から→ショートカウンターの流れではさすがにいい形を作り出してた印象。そう考えるとスイスにとっての自国開催は実は足かせなのかもしれない疑惑が出てくる。相手が積極的に出てくるときこそスイスの真価発揮。相手にアウェーの戦い方をされるとつらい。今回のチェコは極端な例なんだろうけど。
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この記事のコメント
magninはフランス語読みだとマニャンですね。ドイツ語は知りませんが。

今のチェコは攻撃にボールをキープするタレントが少ないので守備の時間が長くなるんでしょうね。
プレスを掛けてボールを奪うには人数と運動量がいるので、ボールを持てず運動量で勝てないと受身になりますね。後ろでコンパクトになるんですけど。

東欧のチームにはそういう割り切ったやり方をするチームが多いです。
ボールをキープできれば攻撃に人数を掛け、できなければ守備に人数を掛けるというのはある意味自然ですが。
こういうチームは相手に持たされてミスを狙われるといやだと思います。ロシアはスペインにこれをやられました。

もちろんスイスの守備が攻撃的だというのもあるとおもいます。フランスとルーマニアも似たような展開だったとおもいます。
意図的に攻めているのと持たされているのは特にメンタル面で違いますし、特に切り替えのところでのスピードに表れるとおもいます。

スイスのような若いチームに攻撃のアイディアは出しにくいけどアグレッシブな守り方はあっていると思いますし、チェコのような大型でメンタルの強い老獪なチームにはこの受身なやり方があっているかもしれません。

ポルトガルはこういうフィジカルとメンタルの強さで勝負してくる相手は苦手でしょうね。

2008-06-11 Wed 16:46 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
[]
外国人選手の名前は読み方が頻繁に変わるので難しいです(苦笑)だんだんと現地読みというか本来の読み方に近づけるんでしょうね。

ロシア×スペインは見てませんが、ロシアが持たされたんですか。スペインが相手に合わせるなんてのは、なんか似合いませんね。どちらかというと、ロシアというかヒディンクの方がスペインの苦手な方法を取る方が似合ってる気がします。

スイスは持たされている間に明らかにメンタル的な問題を感じましたね。切り替えの遅さが目立って、本来的な中盤の守備ができなくなっていきましたからね。

実はグループAは色々な個性のチームが集まってて面白いですよね。
2008-06-11 Wed 17:50 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
ヒディンクはCSKA3バックをやめてポリヴァレントCBの2バックを用意し、中盤での切り替えの守備に力をいれ、背の高い選手も入れてきました。
スペインの誇る中盤の起点にプレッシャーをかけ、その後ろからDFラインの裏を狙う作戦だったのかもしれません。
しかしDFがボールを持ちすぎて、組み立てのミスを狙われ、中盤のプレスも交わされ始めると消耗し、連動した早い攻撃が引っ掛けられたりしてなりを潜め、疲れと共に力の差が出始め、リードされると焦り個人プレーが目立ちそのうちあきらめが出ていました。
スペインの中盤はDFの間を転がすがうまい。それを感じるヴィジャがキレキレでした。

若いスイスでなくてもあそこまで開き直って引かれるとどうしていいか分かりませんね。
ポルトガルはどうするでしょう。
2008-06-11 Wed 19:08 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
[]
やっぱりヒディンクも対スペイン戦術を採ってきたわけですか。守備→攻撃のつながりを目指したものの、攻撃から崩れていったのが興味深いですね。ヒディンクの思惑が外れたったことでしょうか。

ポルトガルの場合はここにスペースが必要だと思うので、引きこもられると辛いかもしれませんね。しかも、ポルトガルも結構守備がベースのチームのように思えますし。マンU並みに前線でグルグルとポジションを変えたりして、なんとか隙間を作り、隙間に入り込もうとしますかね。
2008-06-11 Wed 22:05 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
[]
この試合を見て・・

前半、コラー狙いのロングボール多し

スイスの遅攻?ロングカウンター?が上手く行かない。

後半、バルネッタ・マニンが積極的に攻撃参加。

ディフェンスラインが高い位置までいくが、パスを回してもロングボールを入れようとしても、しっかり守られて崩せない。

ファンランテンがチャンスをハズす。

くらいです・・・


ひとつ質問なんですが、ひまじんさんは、本を読んだり、数多くの試合を見たりして、いろいろな知識を養ったんですか?


2008-06-17 Tue 00:49 | URL | ストライク男 #-[ 内容変更]
[]
名前の通り、ひまなので、試合数を稼いだってことだと思います。
大体、週3ぐらいは見てますし(←いいことなのかどうかw)。
本ならば、↓あたりがバイブルです。
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/19640217
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/07165430
2008-06-17 Tue 20:37 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
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