ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-06-20 Fri 18:48
フランス×イタリア
<イタリア:4-3-3>
FW:トニ、ペロッタ-カッサーノ
MF:ピルロ-デ・ロッシ-ガットゥーゾ
DF:グロッソ-キエッリーニ-パヌッチ-ザンブロッタ
GK:ブッフォン

<フランス:4-2-3-1>
FW:アンリ
MF:リベリ-ベンゼマ-ゴブ、マケレレ-トゥララン
DF:エブラ-アビダル-ギャラス-クレルク
GK:クペ

知っての通り、W杯決勝と同じ組み合わせだった今回の試合。ただし、今回は立場が大きく違う両チーム。前回は青いイタリアと白いフランス、今回は青いフランスと白いイタリア。前回は世界一を賭けて戦った両チーム、今回はGL突破を賭けて戦う両チーム。どちらが切羽詰まってるかって言われれば明らかに今回なわけで、そういう意味では面白い試合展開になる可能性は十分にあった。

ただし、試合が面白くなるためには両チームが復活してくれなければならない。今大会では苦しみまくりの両チーム。その要因の1つが世代交代の失敗にあるってのは、色々なところで言われてるとおり。特にフランスは。この世代交代の失敗ってのは、ベテランがいつまでも居座るみたいな意味で言われてると思う。逆に言えば若い選手が主力に入り込めないっていう。でも、それとはちょっと違うニュアンスからも捉えられる。ベテランが抜けたからこその失敗。フランスはジダンが抜け、イタリアはトッティが抜けた。そして、その穴を埋めきれてない。結果として攻撃のやり方を忘れてしまった両チームだったように思う。

フランスは前回のオランダ戦でリベリを王様にしようという試みを見せた。ジダンの代わりとしてリベリを置く。リベリ中心サッカーを展開しようっていう考え方。リベリにはジダンほどの絶対性はないけど、ジダンにはない運動量がある。前回の試合でも、それを生かしていろいろなところに顔を出しながらボールを引き出してたと思う。そして、リベリ経由の攻撃がチャンスにつながったのも事実だった。

ただ、リベリ経由の攻撃からしかチャンスを作れなかったのも、また事実。チームとしての連動性が感じられない、攻撃の連続性が感じられない、そんなフランス。個別の動きでは工夫が見られたのは事実なんだけど、それがチームに還元されてない。結局はリベリになんとかしてもらうしかない。王様リベリの絶対王政。リベリ以外からはチャンスが作れない、誰もリベリを助けに行かない。そんなイメージ。

対して、メンバーを見る限りでは4‐4‐2が予想された今回のフランス。リベリを絶対的なトップ下の位置から、左サイドへと格下げ。要するにリベリを王位から引きづり下ろしたらしい今回のフランス。妥当絶対王政、要するに、フランス革命は成功するのか。フランス革命が成功するならば、人権宣言による自由平等が達成されるはず。要するに、チーム全体の運動量が増し、いろいろな選手が“自由”に動き回って、ボールに対する選択肢が格段に増えるはず。同時に特異点がなくなって、王様リベリを経由しなくても、どこからでも攻められる(“平等”)フランスになるだろうと思う。

ただし、フランス革命が成功するとは限らない。というか、失敗する可能性が高いと思ってた。何しろここ数年のフランスの問題は打倒絶対王政から脱却できなかったこと。W杯ではジダンを王様に置くことで、再び絶対王政を作り上げて、勝ち上がっていったフランス。それを急に自由平等だと言われてもってのがW杯後のフランスだったと思う。

そして、今大会でも1戦目はおそらく自由平等で戦ってたと思うフランス。見ていないから分からないけど、ともかく低調な内容だったらしい。で、それに対してやっぱり絶対王政に戻したのが前回。チームとしての攻撃の連動性には疑問があったとしても、王様リベリが王様の役割をしっかりと果たしてた。そして、王様リベリを左サイドに追いやった後半はチャンスが作れなくなったのが本当のところだった。

というわけで、フランス革命は失敗に終わるだろうと予想された試合前。でも、試合が始まってみると何のことはなかった。フランス革命なんて行われず、ただ、王位の継承が行われただけだったっていう話。そして、リベリから王位を継承したのがベンゼマ。上に書いたような、4‐2‐3‐1システムのトップ下にベンゼマが入っていたと思う。リベリの三日天下の終了。

とはいえ、先代のリベリは未だ顕在。結果として院政が敷かれる。王様ベンゼマを補助する役割として、先代リベリが存在するってこと。ベンゼマが動いてボールを引き出したときに、ベンゼマの近くにリベリが位置してフォローするってのが1つのパターンになってたと思う。あとはベンゼマが抜けたスペースにリベリが入ってくるみたいな。とにかく、先代リベリは王様ベンゼマを意識しながらプレーしてたと思う。

結果として、リベリは中寄りでベンゼマと関係性を作ることが多くなっていた。リベリ自身としても、自分が王様になるよりも、王様をフォローする今回の役割の方が合っていたんじゃないかと思う。それは先々代のジダンに教えてもらったこと。今回の短い出場機会の中でもベンゼマとの関係性をうまく築きあげるシーンが目立ってた。これによって王様ベンゼマの孤立もなくなり、ベンゼマは少なくとも前回のリベリよりは周囲の助けがある中でのプレーができた。院政を敷いたことで王様の孤立感がなくなった今回の立ち上がり。

ただし、そのリベリが早々と負傷退場。皮肉なことだけど、王位継承を行っていたことで、今回のフランスにとってのリベリ退場は思ったよりも痛手とはならなかったと思う。いや、痛手には変わりないんだけど、前回の試合でリベリが退場するよりは、まだ状況はマシだったかなって印象。前回の試合でリベリがいなくなってたらフランスには何も残らなかったといっても言い過ぎではない状況だったから。

それに対して、今回の王様はあくまでもベンゼマ。先代がいなくなったとしても、王様がしっかりしてれば十分に立て直しが図れる。そして、実際に立て直しが図られた。事実、リベリ退場後も攻撃面において大きな問題が起きるっていうことはなかった。というか、むしろ、リベリがいた時間帯よりも攻撃がスムーズに進んだとさえ言える。まあ、これに関しては様子見の時間が終わったことで、フランスの攻撃にかける人数が増えたっていう面も多分にあったと思うから、リベリがいない方がフランスはよかったとは必ずしも言えないわけだけど。

そもそも、立ち上がりの時間帯は王様ベンゼマは先代リベリを気にしながらプレーしてたように思う。リベリがベンゼマを見ながらプレーしてたのは事実だけど、逆にベンゼマもリベリを見ながらプレーしてた。リベリと関係性を作ることを重要視するような動きが目立ったと思う。結果として関係性が生まれてたんだから、成功と言えば成功。

そんな流れの中でリベリの負傷退場。先代の補佐が期待できなくなった王様ベンゼマが孤立してしまう可能性も十分にあった。でも、ここまで書いてきたようにそうはならなかった。その理由はベンゼマ一派がチーム内に存在してたから。先代の影響力が強かった時間には目立たなかったベンゼマ一派が、リベリの退場によって一気に目立った存在になった。ベンゼマ自身も彼らに助けを求めた。結果として王様を抱え込んだ、ベンゼマ一派の力は強くなる。チームとして、そのベンゼマ一派を中心とする攻撃のやり方へと傾いていったと思う。

じゃあ、肝心なベンゼマ一派ってのは誰のことか。それは右サイドの面々だった。ゴブ&トゥララン&クレルク。早い話がリヨンのチームメイトたち。ベンゼマを含めたチームリヨンの4枚が攻撃の中心として動くようになったのが、リベリ退場後のフランスのやり方となった。チームとしてもその右サイドを使うようになったってのは上にも書いた通り。例えばリベリに変わって左サイドに入ったナスリは低い位置に降りてきてのボールタッチを増やした。そうやって1度左に起点を作りつつも、最終的には右へ展開っていうやり方が目立って行った気がする。

そして、このリヨンのチームメイトを中心とした攻撃がうまく機能した印象。前回のオランダ戦を見ても、フランスの攻撃には連動性が少なかったってのは上に書いたとおり。ボールに対する動きが足りずに、結果として攻撃の選択肢を増やせない状況。その連動性の問題が右サイドでは嘘みたいに解消されてた。フランスとしては解決できなかった問題をリヨンに解決してもらおうっていう考え方。それだったら、最初からリヨンの選手を中心にチームを作ればよかったのにって思う。

とにかく、右サイドは本当に活性化した。ゴブとベンゼマがいい関係性を作る。中と外を入れ替わってみたり、サイドで2人の関係性を作ったり。そこに後ろからクレルクがオーバーラップを繰り返す。さらに、機を見てトゥラランが前線の隙間に飛び出してくる。前回の試合の前半は攻撃参加をあまり見せなかったトゥラランだけど、今回は積極的に飛び出していくシーンが目立った。もともと右サイドのゴブ&クレルクにベンゼマとトゥラランが絡む。右サイドではボールに対して常に複数の選択肢を用意できるような体制が作られた印象。

おそらくドメネクも、このリヨンの選手を中心にした攻撃を容認。というか、手ごたえを感じてたんじゃないかと思う。だからこそ、アビダル退場後のブームソン投入時に後退させたのはナスリってことになった。緊急投入のナスリはかわいそうにやっと体が温まったぐらいになって、ベンチに下がらざるを得なくなってしまったわけだけど。とにかく、それだけ右サイドの関係性には重点を置いていたってことが表れてた交代だったように思う。

でも、1人少なくなった影響は大きかった。ナスリを下げたことで左サイドが空いてしまったわけで、そこに誰かを入れなければならない。そして、その役割を任せられたのがベンゼマだった。これでベンゼマの絶対王政は終了。その後もベンゼマが攻撃の中心になってたのは確かだけど、それは左サイド限定のものだった。もちろん、その左サイドからの展開が増えたわけだけど。

とにかく、ベンゼマの自由度は完全に限定されたものになった。それまでは色々なところに顔を出してボールを収めまくってたベンゼマ。受けた後は自分で仕掛けることもできるし、周囲を使うのもうまい。低めで受けてからの展開力も見せつけたと思う。前回のリベリと同様、王様の役割は十分に発揮してたような印象。だからこそ、ベンゼマを左サイドに釘づけにしたことで、攻撃の幅を狭めてしまったような気がする。

そう考えると左サイドにアンリを入れればよかったんじゃないかっていう気がしてならない。たぶん、守備の安定を考えてベンゼマを中盤に降ろしたんだろうけど(ベンゼマは守備も頑張ってた)、せめて後半になったら、それぐらいのリスクを負うべきだったと思う。イタリアは完全に守る気になってたわけだし。ベンゼマをトップに残すことで、ベンゼマの自由度は残す。同時に、左サイドにアンリってのはアンリ自身もしっくりくるはず。自由に動くベンゼマはトップを不在にすることが多くなるはずだから、そうやってできたスペースに左サイドからアンリが入っていく。すごくスムーズに回るはずなんだけど。

なんでこんなことを言うかっていうと、ベンゼマが左サイドに釘づけになってしまった影響はかなり大きかったから。その一番の理由はは右サイドのベンゼマ一派と左サイドのベンゼマ自身が分断されてしまったってこと。右に起点が作られたのは、王様ベンゼマが右に流れることが多かったから。その右サイドではリヨンのメンバーで関係性を作り上げたってのは上に書いたとおり。でも、王様ベンゼマが左サイドに入ったことによって、起点は左に作られることが多くなった。この時点でリヨン中心のいい関係性は使えない。ベンゼマ自身も孤立気味。後半はベンゼマの個の仕掛けが明らかに多くなったように思う。

ここまでフランスの攻撃について書いてきたわけだけど、ここで一気に立ち上がりの流れにまで話を戻してみる。この立ち上がりの入り方は両チームの考え方を象徴しているようで面白かったから。イタリアは守備に重点。どっしりとブロックを形成して受けて立つってイメージ。奪ったボールはさっさと前線に蹴ってしまうことが多かった。対するフランスは攻撃から入った。守備も前線から積極的に行った。両チームの考え方が正反対で、それがぴったりと合致してた立ち上がりの流れだった。とりあえず、その辺の流れについて詳しく見てみたいと思う。

イタリアの基本システムは上に書いたように4‐3‐3。4‐3‐2‐1のクリスマスツリーとも見える形だったけど、攻守の役割を見る限りでは中盤前目の2はFW的な考え方が強かったと思う。要するに1トップ2シャドーの4‐3‐3だったってこと。そんなイタリアの立ち上がりの考え方は、4‐3で守って攻撃は前線の3に任せるっていう至極単純なものだった気がする。

イタリアの守備ブロックは4‐3‐2‐1で作られる。トップのトニはこれまで通りに、あまり守備をしない。2列目の2枚は相手のボランチとSBを押さえる役割を任せられてたと思う。低めのボール保持で相手が真ん中でボールを保持している時には、2人とも中で相手ボランチを見る。どちらかのサイドに展開された時には、2列目の1枚がサイドに流れて対応し、もう1枚は真ん中に残るって形。そこから逆サイドに展開されたら、中盤のサイドの選手が引っ張り出されて見に行く。前の3‐3は互い違いなイメージだったかもしれない。

そんな感じで2列目の2枚はそれなりに守備に貢献するんだけど、それは自分の前に対するものだけだった。あくまでも前線の3枚の役割は攻撃、だから守備をそんなに頑張らなくてもいいよってもの。同じ形のミランが似たような考え方でやってたなって気がする。確かに、立ち上がりは前線からの守備をそれなりに厳しくやったことで、相手の選択肢が制限され、中盤でのボール奪取も目立ってた。でも、守備のペースを落としていく中で、中盤で相手の攻撃を止めるっていうシーンは少なくなったように思う。

それは当たり前。イタリアの前線の守備のペースが落ちるってことは、フランスの方はあまり苦労せずに前線にボールを運べるってことになる。そんな流れの中で、イタリアとしては3‐3の間に入り込まれたりすると、かなり厄介。中盤の3は前に行けない。なぜならば、3が引っ張り出されるとバイタルを空けてしまう結果になるから。だからと言って、完全にフリーにしておくのもどうかっていうジレンマ。初戦のオランダ戦と同じような状況に陥ったといってもいい。

ただし、オランダ戦とは全く違ったことがあった。それはイタリアの方の守備の考え方がはっきりしてたってこと。オランダ戦は中盤の高めにアンブロジーニ&ガットゥーゾを配置する一方でブロックは引くっていう形だったから、どうしたらいいもんだかチームとしての意思統一が図られてなかったと思う。それに対して、今回はしっかりと意思の統一が図られてた。3‐3の間に入られたらもういいと。中盤は捨てて、ラストで跳ね返そうと。

要するにかなりイタリア的な守備ブロックが形成されたと思う。最終ラインの4は真ん中に凝縮させ、中盤の3との関係とともに真ん中を固める。このとき最終ラインはある程度の位置を確保しつつ、4‐3の隙間を完全になくす。だから、ラインコントロールをミスると危ないシーンにつながる。何しろ3‐3の間の相手を完全にフリーにしてるわけだから。その間ではフランスの選手はかなり自由にボールを扱うことができてた。敵陣内であるにも関わらず。前半にアンリが抜け出したシーンは、3‐3の間でフランスの選手がフリーになり、同時にイタリアの選手がラインコントロールを失敗したシーンだった。

それでも4‐3の関係性を重視したってのは前回のルーマニア戦と比べるとかなりの改善。前回は中盤の選手が中途半端にボールに集まり、そこで奪えず、DFラインと中盤の関係が遠くなり、ミドルシュートを打たれまくりっていう展開だったから。4‐3といったら4‐3っていうことをはっきりとさせた今回の試合では、SBの選手ばかりで成り立っている不安定な最終ラインを晒すシーンはほとんど見られなかったと思う。4‐3の間に入ってきた相手(入るのすらもかなり困難だったけど)を挟み込むのも、超素早かった。

とはいえ、結局は重心が後ろに向いてるイタリアのやり方だったから、見た目のペースはフランスに傾いた。イタリアの中盤は3枚しかいないわけで、ついでにその3枚が中盤での守備よりも後ろとの関係を重視してる。だから、まだまだ不満な点が多いフランスの攻撃でも、十分に深い位置まで入り込むことができた。でも、最後の最後のイタリアの4‐3を崩し切ることはできない。個の分断が目立つ今大会のフランスでは守りに入ったイタリアを崩すのは絶望的だったとも言っていい。よって、深い位置に入っては最後の最後で跳ね返されるっていう展開が続くこととなった。

そして、深い位置で奪ったイタリアの目標はトップのトニ。いよいよ前線の2‐1の出番ってわけ。4‐3の守備ブロックで跳ね返し、トニに収めて、すぐ近くにいる2枚がそれをフォローする。それがイタリアの考え方だった。でも、残念ながらトニに全然収まらないイタリア。後で書くようにフランスの守備の質が高かったってのが1つ。もう1つはトニ自身の不調。今回も決定的なチャンスを外しまくったし、起点としての仕事もできてなかった。

だから、知らない間に(たぶん得点の前後?)、イタリアの前線の起点はカッサーのになってたし。カッサーノが前線で左右に動きながらボールを引き出して、それをトニへっていうパターンが目立つようになった。起点としてもゲッターとしても働けてないトニから起点としての役割を免除。あんたはゴール前で待ってればいいからって考え方。でも、結局は今回の試合でも得点を奪うことはできなかったトニだった。

さて、そんなイタリアに対してフランスは立ち上がりから攻撃的な入り。特に上でもちょっと触れたように守備の質の高さが目立ったように思う。前線から積極的に守備をして、相手が前線に蹴らざるを得ない状況を作り出したって言える。そういう前線の選手たちの守備意識の高さがかなり目立った、今回のフランスだったように思う。切り替えの守備の質の高さはもちろん、守備ブロックをセットした時の中盤の個々の守備の質の高さも目立ってた。しかも、前へ前へっていう守備をしてから、後ろとの関係を重視するイタリアの中盤と比べると面白かった。

とにかく、フランスの中盤の選手の出足が抜群に速かった。本当に1つ1つの場所を勝負どころと定めてるような、忠実かつ厳しいチェックが繰り返されたと思う。そして、そんな最初の守備に対する周囲の連動性の高さも目立ってた。11人×11人の戦いの中で、イタリアが地上から攻めてくるときには、ほとんどを中盤以前で引っ掛けてたんじゃないかと思うぐらい。結局は、この中盤の守備意識がリベリの負傷退場を生み、失点&退場の遠因にもなってる。敵陣内でナスリが相手をつぶしたことでイタリアが得たFKからピルロの1発→トニ抜け出しが生まれたわけで。ただし、もちろんこれは結果論。フランスの守備の質が高かったことには変わりない。

そして、そんな中盤の守備のよさは今大会のフランスの攻撃のやり方とも相性がよかったと思う。今大会というか、前回のオランダ戦を見た印象だけど、フランスの攻撃は縦に急ぐ印象が強い。前線でボールを受けた選手が、その場所で保持しようとせず(チームとして)、前へ前へと突進していってしまうシーンが目立った。オランダ相手には中盤で回した方が効果的だったと思うのに。そんな前への意識がフランスの中盤をなくし、フランスらしいパス回しをなくし、圧倒的に主導権を握る流れをなくしている気がする。今回だってイタリアの中盤はスカスカだったのに、フランスが圧倒的にポゼッションする流れにはならなかった。

ただ、中盤の高めでの守備が機能したことで、そんな縦への意識がいい方向に出る可能性はあった。フランスっぽくないけど、高めで奪ってショートカウンターみたいな流れ。実際にそういうシーンも見られた。ただし、相手はイタリア。攻撃を前線の2‐1に任せているイタリアは下手に後ろの選手を前線に上げてはいなかった。だから、フランスが高い位置で奪ってそのまま相手ゴールに向かったとしても、イタリアの選手は十分に足りてるって場面が目立ったと思う。

さて、そんな感じで高めの位置での守備の質の高さが目立ってたフランスだけど、さすがに最前線からの追いかけ回しは辛いだろうってことになった。オランダ戦と同じように立ち上がりは最前線から追いかけ回して、途中で引いてブロックを作るっていうやり方へと変更したと思う。よって、蹴りまくってたイタリアの選手にもやや余裕ができ始める。イタリアの方としてもいつまでも蹴ってたらだめだろうってことで、攻撃の組み立てを考えるぐらいの時間帯になってた。

そんなイタリアはいつものように両SBを高めに上げるアプローチ。そうやって幅を維持しつつ、中盤を中に押し込んで、真ん中の人数を増やそうっていうもの。そんな流れの中で徐々に地上からの攻撃も増やしていった印象。そこで面白かったのが、ガットゥーゾが案外目立ったってこと。他の選手に相手の目が行く中で、スルスルとギャップに出てきてボールに触れるシーンが多かった。初戦では攻撃で目立てなかったガットゥーゾだったはずなのに。

この辺のチームとしてのバランスの回復が見られたと思う。完全守備メンバーと初戦、完全攻撃メンバーの2戦目と比べると、今回がメンバーのバランスが一番よかった。結果として攻守のバランスも回復した。でも、残念ながら次の試合でピルロとガットゥーゾは不在。せっかくいい感じのバランスが見え始めたのに、同じメンバーを使えない苦しみ。なんだかうまく行かない今大会のイタリア。

話は戻って、イタリアが地上から攻めるようになったとは言っても、フランスの前線の守備の勢いが弱まったって言っても、フランスの中盤の守備の質は高いままだった。よって、イタリアの地上からの攻撃はなかなかうまく行かない。というか、スタートの縦パスを引っ掛けられる場面も目立ってたぐらい。そんな中で空からの一発でイタリアがPKを奪取。フランスの方としてみれば、立ち上がりにも1回あったけど、なぜかテュラム不在(たぶんケガだろうけど)の最終ラインの危うさが露呈したシーンだった。

このイタリアの得点で全てが変わった。得点を奪ったイタリアはここぞとばかりに畳みかけに行く。1‐2に配置されていた前線の形を3の横並びみたいな形にして、より高い位置からプレッシャーに行く意識を見えた。もちろん形だけじゃなくて、その3人の守備意識も高まった。今大会初めてじゃないかっていうぐらいのトニの追いかけ回しも見られたし。そうやって前線での守備が機能するならば、中盤の3枚も前に対して守備ができる。立ち上がりの数プレー以来消えていた中盤での激しい守備が戻ったイタリア。入ってきた相手のボールに対して、素早く距離を詰め、素早く囲い込むなんていうシーンが増えたと思う。

当然のように、ここぞとばかりに攻撃にも人数をかけてきたと思う。ちょっと前の時間から高い位置に上げているSBをさらに高めに入れ、さらに後ろの中盤の選手も積極的に前線に飛び出させる。そうやって幅を使いつつ、真ん中に人数をかけつつ、中盤がスカスカ状態に陥っている敵陣内でパス交換を繰り返すイタリア。回して回してピルロからトニっていうパターンが多くなった。

相手のショックに乗じて追加的を取りに行こうっていう露骨なペースアップには、イタリアらしいしたたかさが感じられた。さらに、その後のイタリアの対応がさらにイタリアらしさを見せつけた印象。得点後の数分はペースを上げて、前へ前へと出てきたイタリア。でも、その勝負どころで追加点を奪えない。相手は10人、勢いは自分たちにある。普通に考えれば行け行けで攻めまくる流れ。でも、イタリアはそれをしなかった。相手が立ち直ったことが分かると、さっと引いて守りに入ったと思う。前からの守備はやめたし、攻撃は再び前線の3枚が中心に戻った。

後半になるとそれが顕著になる。意味が分からないほどに消極的なイタリア。これが1‐0(ウノ-ゼロ)の精神かっていう感じ。後ろの4-3は完全に引きこもってラストで跳ね返すことに集中してたし、攻撃では全く攻撃に出ない。自分たちがボールを持っていればそのままボールを持ち続けようとする。相手が前から激しく来れないことを知っていて。それでも焦れて相手が取りにくれば、完全にスペースが空いてる中盤に縦パスを入れてやればいい。そんなイメージのイタリアの後半の流れだった。

ちなみに、相手が1人少なくなった後のイタリアの守備ブロックは4-3-1-2っぽい4-3-3へと変更された。これは相手の4-1-3-1と関係してるのかなって思う。1人少なくても攻撃に出なければならないフランスはマケレレを底に置いてトゥラランは前線に出て行ってた。だから、相手のボランチ対策は1枚でいい。その代わり2トップにすることで、相手の低い位置のボールにプレッシャーを与える意図があったと思う。

さて、退場後のフランスはどうしたか。システムは上で触れたとおりの4-1-3-1。攻撃については上に書いたとおり。王様ベンゼマとベンゼマ一派のリヨン勢が分断されたことで、結局は個の力が重視された攻撃のやり方になった。後半になると、アンリとベンゼマを近づけるみたいなアプローチをしてたけど。イタリアが引いて守ったことで10人でも、個が強い攻撃でも、結構深い位置まで入り込めたけど、それは完全に攻めさせられてる流れだった気がする。

守備では相変わらず中盤の選手の意識の高さ自体は残ってた。ベタベタに引いてしまうんじゃなくて、あくまでも高い位置からプレッシャーをかけて行くっていう考え方が見られたと思う。ただし、ケアすべきスペースが広いからさすがにきつかったのも事実。中盤で守備をする意識自体はあっても、それを外され外されっていう場面が多くなってしまった印象。1人少ないんだから仕方がない。よって、4-4ブロックで守る時間も長くなってしまった印象。

今回のフランスはついてなかった。運がなかった。立ち上がりに流れを掴んでいたのはフランスだっただけになおさら。いや、イタリアの方としても自分たちの思惑通りに進んでいたのかもしれないけど。それでもフランスはリベリが負傷退場、PKを与えたアビダルが退場、さらに2失点目はアンリの足に当たってコースが変わる。踏んだり蹴ったりってのはこのことを言うんだろうなっていう。2点目を奪われたあとのフランスは明らかに意気消沈。もちろん10人で頑張り続けてたわけだから、スタミナ切れも大きかったと思う。でも、やっぱり勢いは半減したと思う。

結果としてしたたかに戦ったイタリアがGLを突破。本当は歴史は繰り返すみたいなオチをちょっと期待してた。フランスは中心選手がいなくなり、1人少なくなった。あまりにも早すぎたけど、要するにジダンの退場と同じなわけだ。ついでにPKで先制点が決まったりする。あのときはジダンがループPKみたいなのを決めんたんだっけか。まあ、そう考えると歴史が繰り返すしたといえなくはない。でも、最終的にはルーマニアが勝って、1勝2分の無敗のイタリアが2大会連続で敗退みたいなシナリオまで考えてたわけだけど。さすがにそれはなかった。

ただし、イタリアは辛いだろうなって思う。1発勝負ならイタリアは強いって言われてるんだけど、今大会のイタリアにはそんな勝負強さも感じられない。大体においてチームが未だ迷走状態。守備はとりあえず4-3の確固たるブロックを作るイタリアイタリアした堅守で行けばいいってことに決まった。じゃあ、攻撃はってのが見えてこないイタリア。トニが大爆発しない限り、辛いだろうなって思う。でも、今までのチャンスの数を見る限り、トニが大爆発したらとんでもないことになる可能性もなくはない。

最後にベンゼマについて。完全にベンゼマのイメージが変わった。実は初めて見たんだけど、もっとFW的な選手、典型的なポストプレイヤーだと思ってたから、中盤でのプレーもそつなくこなすのはかなり意外。そつなくっていうか、普通に高レベルでこなしてたけど。アーセナルに移籍したらすごくフィットしそうだなって気がする。プレーだけじゃなくて、年齢的にも、それにフランス人だし。実現しなくもないかな。にしても、なぜに2戦目ではベンゼマはベンチに使われなかったのか?それが気になって気になって仕方がない。
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この記事のコメント
フランスの未来は暗くない気がします。
黄金時代のメンバーが抜け、リヨン派のメンバーが残るので4-3-3で守って個の突破力とアイディアで崩す堅実な組織サッカーができると思います。
フラミニとか選ばれていない選手にも王になろうとはしないいい選手がいます。

イタリアはどうなんでしょう。この両チームは注目していなかったので分かりません。
ピルロはいない間に中盤でローマ帝国でも築きましょうか。

チームとして相手を崩しまくる社会主義革命にいち早く成功したロシアが世界に衝撃を与えてくれるといいのですが。


2008-06-20 Fri 22:31 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
[]
W杯で1度成功してしまったことが民主化を遅らせてしまったのでしょうか。確かに右サイド起点のリヨンの崩しには、前回のオランダ戦では見られなかった連動性を感じました。にしても、フラミニは今回選ばれてなかったんですね。シーズン終わりのケガの影響が残ってたんでしょうか。

ローマ帝国は面白いですね。アクイラーニが入るんでしょうかね。ただ、ローマ皇帝トッティがいませんが。ガットゥーゾとアンブロジーニを外して、ペロッタとデ・ロッシを入れたプチ・ローマ帝国でルーマニア(Romania)に苦しんだってのは皮肉です。

ロシアは、全員攻撃全員守備の選手たちに、絶対的指導者ヒディンクですか。これも興味深いですね。
2008-06-21 Sat 00:00 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
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