ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-06-25 Wed 21:01
スペイン×イタリア
<スペイン:4-4-2>
FW:ビジャ-トーレス
MF:シルバ-シャビ-セナ-イニエスタ
DF:カプデビジャ-プジョール-マルチェナ-セルヒオ・ラモス
GK:カシージャス

<イタリア:4-3-1-2>
FW:カッサーノ-トニ
MF:ペロッタ、アンブロジーニ-デ・ロッシ-アクイラーニ
DF:グロッソ-キエッリーニ-パヌッチ-ザンブロッタ
GK:ブッフォン

何の因果か、これで4試合目のイタリアの試合。正直に言うと、イタリアのサッカーはそれほど見るべきものもないんだけど。とりあえず、初戦のオランダ戦は守備的なメンバーで戦うものの、消極的な姿勢が災いして、結果として守備も攻撃もできなくなったイタリア。何のためにガットゥーゾとアンブロジーニを高い位置に置いたんだよっていう試合内容だった。詳しくは、これまで何度も書いてきたとおりなので省略。

2戦目のルーマニア戦は一挙に攻撃的なメンバーに転換。攻撃ではサイドを起点にチャンス量産。ただし、守備がかなり危険な状況に陥った。初戦に併用したアンブロジーニとガットゥーゾをどちらも外したこの試合。結果として守備のスタートが切れなくなった。中盤の場所では、みんながなんとなくボールサイドに寄る。そんな中盤の守備を、ルーマニアの局面でのパス回しと、そこからの展開力によって、あっさりと外されてしまったイタリア。DFとMFの関係性も酷いもので、何度も何度もDFが晒されまくった試合だった。PKを含めて守備で耐えきったのは、ブッフォンのおかげ。

そんな1戦目と2戦目を経て、やっとこさ3戦目で攻守のバランスが取れたメンバーを起用。中盤はピルロ&デ・ロッシ&ガットゥーゾ。そして、ここで同時に守備のやり方を思い出したイタリア。4‐3で確固たるラストブロックを作り、相手の攻撃を跳ね返し続けた。1つ前のルーマニア戦では大変なことになってた、DFとMFの関係性が嘘みたいに改善。一体感を持ってバイタルエリアを潰すブロックを作り出せてた印象。

そんな守備をベースに攻撃はトニ任せ。トニに入れとくから、周囲のペロッタ&カッサーノと3人で何とかしてねっていうやり方。ただし、トニが絶不調の今大会。収まらないのなんのって。だから、全体としてよかったかって言われると微妙。それでも、そんなトニがもらったPKをきっちりと生かし、完全に守備だけに専念できる体制を作り出した。守備をベースとするイタリアらしい戦い方を思い出した試合になったと思う。

というわけで、やっと光が見えてきたような気がしたイタリアのGL最終戦。でも、残念ながらスペイン戦ではバランスが回復した、光が見えたメンバーで戦えないことが決定した。ピルロとガットゥーゾが出場停止。攻撃の中心ピルロと守備の中心ガットゥーゾが使えない。せっかく方向性が見えてきたのに、その方向性があやふやになってしまう可能性も少なからず存在する。結局、実際にどうなったのかってのは後のお楽しみ。

さて、ピルロとガットゥーゾが出場停止のイタリアは代わりにアクイラーニとアンブロジーニを起用。ミラン優位からローマ優位の形へ。アクイラーニとデ・ロッシ、ペロッタっていうローマの中盤ができあがった。ただし、残念ながらトッティがいないこのチーム。ローマからトッティを引いたら、かなり痛い。仕方がないので、トッティの後継者になりそこなったカッサーノにトッティの役割を担ってもらうか。ないな。でも、後で書くようにカッサーノが中心にいたのは確かだったと思う。トッティ的な意味ではなかったけど。

さて、そんなイタリアの戦い方はどうだったか。そんなイタリアの戦い方は完全に守備に重点を置いたものだった。メンバー変更の不安はどこへやら、メンバーが代わっても、方向性はブレなかったってことか。やっぱりイタリアと言えば守備だろってことをフランス戦で完全に思い出したんじゃないかって気がする。守ると決めたイタリアは本当に守るぞって話。試合の見所はイタリアの守備ブロックをスペインがどのように崩すかっていう一点に絞られたといってもいい。

そんなイタリアの守備意識は本当に高まってた。それをよく表してたのがトニの守備意識。今までの試合では完全に守備を免除されてたトニ。初戦のオランダ戦なんかは、そのせいで圧倒的にオランダに主導権を握られたと思ってるわけだけど。とにかく、トニは全く守備に関心がなさそうだったし、ブロックにすら参加しないことも多かったと思う。そんな過去3戦のトニに比べると、守備に関しては優等生と言ってもよかった。あくまでも過去3戦と比べるとだけど。

まず、立ち上がりの時間は深い位置の相手の最終ラインに対して積極的にプレッシャーをかけに行く姿勢が見られたと思う。結果としてスペインの最終ラインは低い位置に釘づけにされた。スペインとしては最終ラインがスムーズにボールを持ちあがることができないから、中盤が助けに行くしかなくなる。4‐4が自陣に入った状態で攻撃の組み立てを開始しなければならない状況に陥ったスペイン。相手ゴールまでは、まだまだ距離が遠かった。

そうやってトニが相手の最終ラインに対してプレッシャーをかけているときに相方のカッサーノは何をしてたか。これがなかなか特徴的だったように思う。このときカッサーノは左サイドのケアをしてた。要するにスペインの右SBのセルヒオ・ラモスを見ていた。守備ブロックの左右のバランスを崩すのはブームなのか。とにかく、カッサーノに押さえられたセルヒオ・ラモスは使えないスペイン。結果として、攻撃の組み立ては左寄りで行われることになったと思う。

そんなスペインの立ち上がりの典型的な攻撃。プジョール→カプデビジャ→シャビ→シルバ→オーバーラップのカプデビジャ。相手のトニが最終ラインにプレッシャーをかけてくるとは言っても、ボールを奪おうっていうほど厳しい質のものではなかった。それに後ろもトニの守備についてきてなかった。よって、中盤が助けに来るならば、スペインは何の問題もなく攻撃へと移ることができたと思う。上に書いたように、ただ、相手ゴールまで遠いってだけ。それでもめげずに空いている左サイドを起点にして、なんとか深い位置まで入り込もうっていう意図が見られた立ち上がりの時間帯だった。イニエスタが左に出てくるシーンも見られたし。

ただし、ここで問題なのは本当に左サイドが空いてたのかってこと。カッサーノがセルヒオ・ラモスをしっかりと見ている時点で、相手は右からは作ってこないと踏んだイタリアの中盤。後で書くように、この時点ではイタリアから見て完全に右寄りのポジショニングはしてなかったけど、気持は右サイドにあったって言える。だから、スペインがそのサイドに起点を作ったら、すぐにブロックを寄せる準備はできてた。ただし、その割には相手にそのサイドを侵攻されるシーンが目立ったのも事実。ただし、イタリアにとっては想定の範囲内だったと思う。

今回のイタリアの守備の勝負どころはあくまでもラストの4‐3ベタ引きブロックだった気がする。フランス戦で自信を深めた、まさにその形。だから、中盤の場所で行うのは、一応の守備。一応、ゴールまでの最短距離は切っておこうっていう守備。だから、相手がサイドに起点を作ったときに、そのままサイドを侵攻していくようなやり方を採るならば、イタリアにとっては大成功。ボールサイドにダイヤモンドを寄せることによって、とにかくサイドから中へと入られる部分だけを切れればいいっていう中盤の守備の考え方だったと思う。

要するにイタリアの守備に原則は、下手にボールを奪いに行こうとするなってことだったと思う。中盤の守備での目標は、相手の攻撃を遠回り遠回りをさせること。最短距離だけを抑えつつ、ゆっくりと攻めさせて、自分たちは(わざと)ズルズルとブロックを引いて、勝負の4‐3ブロックを作るっていう考え方。極端なことを言えば、その勝負の4‐3ブロック以外の場所では守備の勝負に行くことは許されなかった。

これには2つの意味があった気がする。1つは積極的な要因。要するにラストの4‐3ブロックに絶対的な自信があったってこと。別に苦手な場所で勝負する必要はない、相手をこちらの土俵に引き入れようっていう考え方。フランス戦を念頭に置いた要因。もう1つは消極的な要因。こちらはルーマニア戦から。下手に中盤で勝負に行って、ギャップを残すのは危険だってこと。そんな危険を冒すぐらいなら、中盤で守備の勝負に出る必要なんかないよってもの。どちらにしても、結果として生まれたのは、超消極的な守備のやり方だった印象。

こんなイタリアの守備のベースは時間とともに守備のやり方が変化しても変わらなかった。その変化ってのがどういうものかっていえば、より受ける意識が強くなったってことだったと思う。前半の10分過ぎになって、トニが相手の深い位置の最終ラインへのプレッシャーをやめた。ただし、今回の試合ではあくまでも守備の優等生のトニ。プレッシャーをやめた後には、しっかりと後ろと一体化して守備ブロックの一員になってた。今までの3戦ではトニと中盤の間に相手のボランチが入り込むってことが多々あったから、それから比べればかなりの改善。

18――9―――    ―――9―――
――20―22――   18―13―20―22
―13―10―――   ―――10―――

そして、立ち上がりは左の図みたいな形だったイタリアの守備ブロックが、受ける意図を強くしてからは、右の図みたいな形へ変化した印象。そういう意味では左右のバランスが回復したかのように見える守備ブロック。確かに見た目的には4‐1‐4‐1の守備ブロックが作られたかのように見えたけど、その内実はやっぱり左右のバランスが崩れてた。カッサーノはあくまでもFWだったし、守備でも特別な役割を与えられてた。

カッサーノの守備での役割はあくまでも、セルヒオ・ラモスを押さえるっていうもの。セルヒオ・ラモスが上がってくれば、それについてしっかりと低い位置まで戻ってくる。でも、セルヒオ・ラモスが上がってこなければ、いくら自分の背後に入られたとしても、下がってきて守備はしない。早い話が、マンツーマンでセルヒオ・ラモスについていたって言える。そして、この2人の関係性がなかなか面白かった。後で書くように、カッサーノは攻撃でも左サイドでのプレー時間が長かった。セルヒオ・ラモスとしては上がりたいところだけど、スペースを残してくるのは危険っていう。この2人の心理的な戦いはすさまじかったんじゃないかと思う。

とにかく、セルヒオ・ラモス×カッサーノの関係性を踏まえた上で、イタリアから見て左サイドに入られたらどうするのか。その場合は原則に立ち戻って、アンブロジーニが対応することになってた印象。あくまでもイタリアの守備は4‐3‐1‐2であり、その左サイドに入ってたのはアンブロジーニ。ただ単に相手が自分たちの左からは攻めてこないだろうっていう予測の下アンブロジーニは中寄りで守備をしてただけの話。ただ、その予測にはカッサーノがセルヒオ・ラモスを押さえてるっていう根拠があったけど。

だから、スペインがイタリアの左サイドに起点を作ったりすると、イタリアの守備の本性が現れた。ビジャが左サイドに流れたときに対応したのはアンブロジーニ。カッサーノはやっぱりセルヒオ・ラモスが上がってこない限りは戻ってきて守備はしない。ラストブロックはやっぱり4‐3で作られる。セルヒオ・ラモスが上がってくれば(ほとんど上がってこなかったけど)、4‐3+1って形になってたはず。そんなイタリアのやり方に対して、スペインが工夫を見てたわけだけど、それは後々の話。

そして、その工夫を見せる前のスペインはかなり辛い状況に陥ったと思う。それは何かっていうと、敵陣内にボールを運べないっていう状況。立ち上がりの時点では左サイド起点の攻撃で難なく敵陣深くまで入り込んでいたスペイン。あとは相手の4‐3ベタ引きブロックをいかに攻略するかがポイントになるかとも思われた。もちろん、そのイタリアの4‐3ベタ引きブロックを攻略するのはそう簡単ではないんだけど。

でも、相手が4‐1‐4‐1に見えるブロックを作ってからは、そんなラストブロック崩しに重点を置けなくなった。その前にどうやって相手を4‐3ブロックに押し込むかってところが大変な作業になった。問題はなぜかっていうこと。これはちょっと難しいけど、ポイントは立ち上がりの敵陣入りはことごとく左サイドから行われてたってことになると思う。その要因の1つは、ここまで書いてきたように右サイドが押さえられてたから仕方なく。ただ、それだけでは不十分。なぜならば、スペインの左もイタリアがしっかりと押さえてれば、深い位置まで入り込むのは難しいわけだから。逆にいえば、立ち上がりのイタリアはスペインの左サイドを押さえ切れてなかったって言える。

立ち上がりのイタリアは区切るとすれば、やっぱり4‐4‐2だった。トニが高い位置から行き、イレギュラーな形とは言っても、相方のカッサーノはトニと同じ高さにいた。そして、中盤の4はあくまでもFWよりも後ろに配置されてた。だから、カッサーノがセルヒオ・ラモスを見ているとは言っても、後ろの中盤は完全に右寄りに配置するわけにはいかなかった。スペインは自分たちの右サイドに来るだろうなとは思いつつも、完全にそちらのサイドに寄るわけにはいかなかたってこと。完全に右に寄ったとしたら、カッサーノのウラにスペースができてしまうわけだから。

というわけで、スペインが左サイドに作った場合は、イタリアはそこに入ってから本格的に守備をすることになった。気持ちはそのサイドにあったとしても、完全にボールサイドに寄せるのは、あくまでもスペインが左に起点を作ってから。よって、対応が1つ遅れることとなる。スペインはその間隙を縫って、深い位置まで入り込んだ印象。ただし、イタリアとしてもこれは失敗ではない。上で触れたように、イタリアは別に中盤で奪うつもりは全くないから、相手が中に入ってこなければ十分に成功だったって言える。

でも、イタリアが受ける意図を強くしたことで、スペインの左サイド狙いは停滞することとなった。その理由は簡単。見た目上とは言っても、カッサーノが中盤に入ったことによって、上の図で示したとおりに、イタリアの中盤のダイヤモンドは完全に右寄りに移動することができた。見た目は4‐1‐4‐1になったことからも分かるとおり、右サイドにも選手が常駐することになった。スペインが立ち上がりに左サイドを侵攻したのは、相手の対応が1つ遅れたから。そういう状況がなくなったこととなる。

さて、困ったスペイン。というか、見てるこっちが困った。スペインが全然縦パスを入れられなくなってしまったことで、試合に動きがなくなってしまったから。というか、なんでこんなにスペインは前線にボールが入れるのが下手なのかっていう話。今大会では初めて見たわけだけど、今回の試合を見る限りでは、はっきり言って3連勝で抜けてきた意味が分からなかったりする。次で本領を発揮してくれるのか。とにかく、今回のスペインは組み立てが恐ろしく下手だった。スペイン=中盤はどうしたのか。

じゃあ、なんでそんなに縦パスが入らなかったのかって問題。これに関しては、受け手がいなかったってことに尽きると思う。まず、そもそもが4‐4‐2の形であるスペインには専属的なトップ下が存在しない。だから、誰かしらがその場所で受け手にならなければいけない。じゃあ、誰が入るのかってのが今回のスペインの大問題だったと思う。

まず、CMFの2枚はずっと低い位置にいる。セナもシャビも相手のブロックの外側でタッチ数を増やし、出し手となろうとする。受け手がいないのに。FWの2枚はトップ下の場所には降りてこない。サイドに流れるか、1発ボールを引き出すウラへの飛び出しか。横か前か。後ろっていう選択肢はなかった。さらに左のシルバはSMF的に振舞う。さらにさらに、頼みの綱のイニエスタが今回の試合ではほとんど目立てなかったってのが一番痛かったように思う。ちなみに、SBはセルヒオ・ラモスが押さえられ、カプデビジャも高い位置では受けるのが難しくなった。しかも、そんなこんなで前線がボールが入らない状況でどんどんと後ろに人数が飽和していったと思う。

というわけで、極端なことを言えば前線でボールを受けてくれる人が全くいなかったスペイン。仕方がないので出し手が無理やりにボールを送り込んでやるしかないかって話。一応、セナもシャビも出し手としては超一流。ただし、受け手の助けがない状況で出し手が無理やりに前線に入れるのも難しい状況だった。これに関しては、イタリアの守備のやり方も関係してくる部分。

ここにおいてイタリアの守備の原則がスペインの攻撃陣に重くのしかかったと思う。イタリアの守備はラストの4‐3が勝負どころ。その4‐3以外では守備の勝負をせずに、相手の攻撃の最短距離だけを切る。この原則により何が生まれるか。まず、スペインの選手が低い位置でボールを持ってるときに、イタリアの守備ブロックにギャップが生まれない。奪う意図がないんだから、4‐1‐4‐1のバランスを維持したまま待ってるだけ。でも、縦パスはケアしてる。例えばセナとかシャビはボールを持つことは認められるけど、縦に入れようとすると、アンブロジーニなりペロッタなりにコースを切られてしまう。

そして、そんな相手の守備ブロックをずらせなかったのが今回のスペイン。これもイタリアの守備のうまさによる部分が大きかった印象。カッサーノ×セルヒオ・ラモスの関係性は未だ有効だってことを思い出さなければならない。この関係によって、スペインは組み立ての最初のところで左右の幅を使うことができなくなってしまった。結果として相手の4‐1‐4‐1は本当に微動だにしない。バランスは崩さず、それぞれが最短距離を切る仕事だけをしっかりとやってくる。これでは受け手の協力なしで、縦に入れるのは相当難しい。

よって、前半の長い時間をスペインは無駄なパス回しで終わらせてしまった。横パス横パスの繰り返しで、しかもその横パスが無意図。相手のブロックを横に間延びさせて縦パスを入れやすくするだとか、相手に狙いどころを定めさせずに徐々に押し上げて行くだとかっていうアプローチには全くつながらなかった。縦パスが入らないから仕方なしの横パスっていうイメージ。スペインがボールを圧倒的に保持してるのに、そのほとんどがスペイン陣内っていうおかしな状況が生まれてたと思う。

ちなみに、イタリアの方も徹底していた。スペインの前線の選手がボールを引き出そうと中盤の背後に入ってきたら(ここまで書いてきたとおり稀だったけど)、迷わずにブロックを押し下げた。つまり、出し手は放っておいた。オランダ戦と比べるとえらい違い。オランダ戦では中盤の背後に入るオランダの受け手と、中盤の前にいるオランダの出し手の間で完全にどうしていいか分からなくなってたから。対する、今回は潔かった。やっぱり4‐3のラストブロックが勝負どころだったんだと思う。そういう守備の勝負どころの意思統一が図れただけでも、かなりの進歩だった印象。

そんなこんなで動きのない状態で続いた前半。それが前半の30分を境に徐々に変化していく。ここで登場するのが上に書いたスペインの工夫。具体的にはイニエスタとシルバのサイドを入れ替えた。相手の中盤が寄ってる左サイドよりも、セルヒオ・ラモスにしか興味がないカッサーノがいる右サイドの方が攻めやすい。ただし、このサイドは同時にセルヒオ・ラモスの助けが期待できない。イニエスタに入っても、孤立してつぶされるシーンが多かった。だったら、個人で勝負できるシルバを置いた方がいいっていう考え方。

そして、この考え方が見事にはまる。イタリアの中盤の守備は最短距離を切るっていうのはここまで書いてきたとおり。だから、セナなりシャビなりから右サイドへ展開する斜めのボールは押さえられてない。シルバは右サイドで待ってただけだけど、そこに出し手からボールが供給されることが多くなった。そして、ボールを受けたシルバは仕掛けに入る。焦ってアンブロジーニが戻ってくるシーンが多くなったと思う。

イタリアとしては、危険が明らかに増えた。というわけで、全体のブロックを押し下げる。4‐1‐4‐1のバランスのいいブロックで相手の攻撃を停滞させる時間は終わり。4‐3でラストを固める本来の守備の勝負へと移行した。その後のスペインは深い位置に入り込むシーンが増えていったと思う。相手を押し込んだことで左右の幅を利用する展開も目立つようになっていった。

ただし、それでも相手のゴールまではまだまだ遠い。4‐3で守りに入ったイタリアのブロックをどう崩すのかって部分。で、結局のところそのイタリアのラストブロックを崩すことは最後までできなくなったと思う。スペインの攻撃はまるでミランだった。引いた相手に対してFWが消えてしまう。しかも、さらに悪いことにトップ下のセードルフとカカがいないミラン。だから、中盤での圧倒的な保持にもつながらない。相手のブロックを崩し切る前にミドルシュートで攻撃が終わるっていう形の繰り返しだったように思う。

スペインとしては敵陣に入れず、敵陣に入ってもラストを崩せずっていう散々な前半の流れだったと思う。そして、そんな流れを変えるヒントも見いだせてなかった印象。でも、後半になるとそんな流れに変化が生まれた。それはイタリアが守備のやり方を変えてきてくれたから。前半の4‐1‐4‐1が厄介な存在だったのに、後半のイタリアはペロッタを1つ上げた4‐3‐3へと変更。イタリアはトップの3も特別厳しく守備をしてくるわけじゃないから、その後ろの入るのは楽。そして、トップのウラに入ることはイタリアの4‐3に仕掛けられることを意味する。前半に相手の4‐3に仕掛けるのにあれだけ苦労したのが嘘のよう。

それにイタリアは後半になって攻撃の時間を延ばしてきた。前半よりも攻撃の回数が増え、攻撃に関わる人数も増えた。そして、今回のイタリア、というか今大会のイタリアは攻撃後の切り替えのまずさがある。奪われたあとに、なんだこれ?っていうエアポケットが空いてしまうシーンを頻繁に見かける。何が言いたいかっていうと、後半はスペインのカウンターの流れが増えたと思う。前半は無為に横横につないでいたスペインが縦縦で相手ゴールに向かうシーンを増やした印象。

ちなみに、後半のスペインが縦への意識が強まった要因にセスクの投入があった。セスクの前への飛び出しによって、全然足りてなかった前線の枚数が増えることになったと思う。後ろの出し手はセナで十分だと思うから、相手はセスクの方がいいかなっていう気がする。ちなみに、セスク投入後は守備でもセナを底においたダイヤっぽい形になってた。結果としてより前でボールを奪うチャンスが増えたと思う。

対するイタリアの交代はどうだったか。ペロッタ→カモラネージの交代は正解だったように思う。GLの戦いが嘘のようにカモラネージは運動量が増してた。本来の姿に近かったように思う。攻撃でも守備でもいろいろな場所に顔を出す献身的な動きが光ってた。このカモラネージの交代で、完全に3枚になりかけてた中盤の場所に再び厚みが取り戻された印象。

問題はカッサーノとディ・ナターレの交代。まず、この交代でセルヒオ・ラモスへのマークがあいまいになった。意図的にあいまいにしたのかもしれないけど。要するに普通のバランスで守備をしようとしたってこと。確かに4‐3‐3というか、4‐3‐2‐1というか、とにかく見た目のイレギュラーさはなくなってた。でも、結果的にセルヒオ・ラモスの攻撃参加が前半よりも圧倒的に多くなったわけだけど。

それ以上の問題は攻撃。今回のイタリアの攻撃はそのほとんどがカッサーノを経由して行われていた。この傾向はフランス戦の途中から見られたわけだけど。チームとして不調のトニをあきらめた可能性が高い。トニさん、あんた攻撃で特別な存在じゃなくなったんだから、守備に参加しなよってのが今回のトニの守備の頑張り。か、どうかは知らないけど。

とにかく、カッサーノが攻撃の中心になったイタリア。よって、トニが中心にいたころのような1発ロングボールの回数が明らかに減ったと思う。ピルロ不在の影響もあるかもしれないけど、やっぱりトニを見なくなったからってのが本当のところだと思う。ルーマニア戦でトニに1発ボールを供給しまくってたデ・ロッシは今回もいたわけだから。ちなみに、回数が減ったとはいえ1発のパスが皆無だったわけではない。でも、そのターゲットもトニだけじゃなくてカッサーノってことが多かった。どんだけの手のひら返しだっていう。

で、その中心となるカッサーノが今回いたのが左サイド。攻守の両面において左サイドでプレーしてたカッサーノ。チームの中心が左サイドにいるわけだから、イタリアの攻撃は必然的に左サイドに寄ることとなった。結果としてグロッソの役割が変化する。今までのグロッソは前に空いたスペースを駆け上がる役割。でも、今回は組み立てをする役割。内田から加地へみたいな。ビルドアップのパス回しに参加し、カッサーノに縦パスを入れる。で、そのカッサーノと関係性を築くように前線に出て行く。とにかく、前へ前への今までのグロッソとはちょっと異質。

ついでに、中盤の左寄りに位置するアンブロジーニの攻撃面での役割も大きくなった。フランス戦でのガットゥーゾもそうだったけど、2人だと攻撃では消えてしまうけど、1人なら目立つっていう面白い状況。アンブロジーニは、グロッソと入れ替わりで低い位置に降りて行ってボールを受け、グロッソ&カッサーノの関係性を作ったところでボールを供給するみたいな役割を担ったり、自身がそのサイドの関係性に参加したりと、大忙し。

結局、左サイドはカッサーノ&アンブロジーニ&グロッソの関係性がいい形で作られることとなった。本当はトニが絡んでくるシーンもあったけど、ここには相手のプジョールがしっかりと対応していて、有機的な関係性の形成にはならなかったと思う。トニはやっぱりクロスを中で待つっていう方が似合ってたし、効果的だった。そもそもトニをゴールのゴールへの役割を重視するために、組み立てでの役割を免除したんだと思うし。

というわけで、今回のイタリアの攻撃で目立ったのが左からのクロスにペロッタとトニが中で待つってもの。幅を使う右サイドへの展開もあったけど、右はザンブロッタが1枚。どうしても深い位置には入り込めないから、アーリークロスを入れるっていうパターンが増えた印象。とにかく、カッサーノ中心の攻撃で少ない人数でもそれなりに形を作り出したのが今回のイタリアだったと思う。

そのカッサーノを交代させた後のイタリアの攻撃には怖さがなくなってしまった。後半に入ってから、明らかにカッサーノは目立たなくなってたから、それを考えての交代だったと思うけど。そういう意味では妥当だった。とにかく、カッサーノがいなくなったことで、攻撃の中心は再びトニへ。でも、知ってのとおりに収まりが悪いトニ。さらに、真ん中寄りになった攻撃。前半のようにサイドで起点を作っておけば奪われたとしても相手のカウンターはそれほど怖くない。でも、真ん中寄りの後半は奪われると危険。スペインのカウンターが増えた要因はここら辺にもあったと思う。

ただ、スペインのカウンターが増えたとは言っても、怖さがあまりなかったように思う。それはスペインの守備のやり方が本質的にカウンターに向いていないから。スペインの守備は4‐4‐2。なんとなく4‐4‐2の3ライン形成と言うと、最終ラインを高めに置いてコンパクトなブロックを作るっていうイメージがある。攻撃的なスペインだし。でも、今回の試合のスペインを見る限りでは真逆。最終ラインを低めの位置において、そこに中盤の4を引きつける。だから、コンパクトと言えばコンパクト。

結果としてイタリアの出し手は浮きまくり。しかも、イタリアの前線の選手が下がって受けに行った場合も深追いはしない。基準は最終ラインだから、中盤の選手が深追いをするとはがれてしまう。実際にはがれかけてるシーンもいくつか見られたし。とにかく、出し手をフリーにしてるんだから、目標は受け手。ただし、この受け手に対する対応がどうなのかってのは正直なところ分からない。今回のイタリア相手には堅く守れてた。でも、イタリアの受け手の選択肢が少ないことも事実。

相手が選択肢を増やしてきたらどうなるか。たぶん、バイタルを潰して4‐4で跳ね返すような守備のやり方を取るのかなって気がする。間に入ってきたところは前後で挟み込み、前に対しては2ラインを置くことでゴールへの隙間を空けないっていう形の守備か。とりあえず、イタリアに負けず劣らず消極的な守備のやり方を採ってきたってことだけは確か。

よって、相手のボールを奪う場所は必然的に自陣の深い位置になる。組み立てがうまく行ってない前半は、これが苦しさを生んだ。ボールを奪った場所から相手ゴールまでが遠いのなんのって。後半はカウンターの流れだけど、これまた相手ゴールまでが遠い。縦縦に行く間に味方がついてこれない形。カウンターは単発で、FWはがれで行われることとなった。

ただし、スペインにしてみればこれでいいのかもしれないとも思う。低い位置に守備ブロックを置くってことは、相手をそれだけおびき寄せるってこと。深い位置でスペインが奪った瞬間に相手の背後にはスペースが有り余ってる。そして、スペインの2トップはトーレスとビジャ。なるほどなっていう。今回は相手がイタリアだったから、おびき寄せてるはずなのに、相手の後ろにはしっかりと人数が残ってた。攻撃に人数をかけてくるチームならば、トーレス&ビジャの2トップが生きてくる可能性が高いかもしれない。

とりあえず、今回の内容ではスペインの強さが全く見えてこなかった。守備には確かに穴がないとはいえ、消極的なやり方で見るべきものもなかったし、攻撃には全くスムーズさを感じなかった。まさか、こんなサッカーでGLを勝ち上がってきたわけでもないだろうし、本当に謎。1発勝負の決勝T用の戦い方が今回のものだったのか、イタリアが恐ろしく守備的に戦ってきたことで、そのペースに巻き込まれてしまったのか。次の試合での本領発揮を期待したい。
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この記事のコメント
スペインの守備は堅いですね。
最終ラインは一対一で負けない。
そしてセナのポジショニングが効いている気がします。
ボールサイドでの守備とポゼッションでの逃げ場として。

攻撃は絶対ワントップにしたほうがいいですね。
初戦のロシア戦で見せたヴィジャのワントップがベストで彼がダメならグイサですね。
イニエスタ・シルヴァの両サイドがいいです。バルサはシルヴァを取れば復活するんじゃないかと。(アルシャーヴィンは獲らないで欲しい。ロシアの選手は連携の熟成したチームでしか活きないと思ってます。)
セスクがデコでシャヴィが飛び出してくる。
スペクタクルです。
2008-06-27 Fri 18:34 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
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セナは本当に効きまくりです。イタリア戦では消極的な受ける守備の中で、あまり中盤の選手がボール際で目立つことはなかったんですが、セナは目立ちまくってましたからね。攻撃でもタッチ数が一番多かったと思います。

確かに4‐1‐4‐1で中盤の枚数を増やした方が強みを出せると思いますね。イタリア戦では明らかに中盤が薄かったです。バルサはシルバを取ったとしても、メッシを外す勇気がありますかね。確かにメッシのチームになってから、個の組み合わせのイメージが強くなった気がしますけど。
2008-06-27 Fri 19:40 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
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