ただのサッカー好きが、思ったことをただ書くだけ。 (06年終了)

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2008-06-28 Sat 21:37
ロシア×スペイン
<ロシア:4-4-2>
FW:アルシャビン-パブリュチェンコ
MF:ジリヤノフ-セムショフ-サエンコ、セマク
DF:ジルコフ-Vベレズツキー-イグナシェビッチ-アニュコフ
GK:アキンフェエフ

<スペイン:4-4-2>
FW:ビジャ-トーレス
MF:シルバ-シャビ-セナ-イニエスタ
DF:カプデビジャ-マルチェナ-プジョール-セルヒオ・ラモス
GK:カシージャス

前回と同じようにロシアの4‐4‐2は便宜上のシステム。じゃあ、実際のところはどうなってたのかって話だけど、そのバランスの崩れ方も前回と同じだった。左に入ったジリヤノフはセマクと横並びになってボランチの一角的に振舞う。前線はアルシャビンが1つ下がって、セムショフとトップ下が2枚みたいな関係を作る。結果として4‐2‐3‐1の2列目の3が右に寄ったような守備ブロックが完成。中盤真ん中は2‐2で固める一方で、左サイドはスカスカって形。

オランダ戦ではこんな守備ブロックがうまく機能した。ロシアのスカスカ左サイドは相手の右SBブラールズの場所。セムショフよりは守備意識が低いトップ下のアルシャビンが対応してたのは、相手のデ・ヨング。逆にエンゲラールにはセムショフが、ファン・ブロンクホルストにはサエンコがしっかりと対応してた。結果としてオランダの右サイドはゲームの流れから排除されることになり、オランダは左サイドから攻めるしかなくなった。そうやって出し手を限定しておきつつ、最終的には相手が縦パスを入れてきたところをつぶすってのがロシアのやり方だったし、それが機能しまくったのも事実だった。

ただし、これが機能するためには前提条件がある。しかも、これがかなり重要な前提条件。それは何かって言うと、スカスカ左サイドに対応する相手の右サイドの選手が攻撃が苦手であるってこと。何しろ、そのサイドでは相手をかなり自由にさせてしまうから。特に完全にフリーになる、相手の右SBの攻撃力は気にしなければならない。その点、オランダは格好の相手だった。右SBのブラールズもボランチのデ・ヨングも守備の人だったから。というか、だからこそわざと左サイドを空けてきたものだとばっかり思っていたわけで。まさか、今回も同じような左右のバランス崩しブロックを作ってくるとは夢にも思わなかった。

確かにスペインの右側の選手が組み立てであまり絡めなかったのは事実。でも、右が絡めないことの意味するところがオランダとは全く違う。オランダは右から攻めたかったけど、無理だった。スペインは別に右から攻めなければならない理由はない。シャビが組み立てで目立たなかったのは、セナが自由になってるもんだから、自分の助けはいらないねってことで前に出ていったからってだけの話。エンゲラールが消えたのとはわけが違う。それに、オランダみたいに縦パスを入れるために低い位置で左右の幅を使って相手のブロックを横に広げる必要もない。そんなことをしなくても、もともと空いている右サイドから入り込めばいいだけの話。ファン・ブロンクホルストが消えたのともわけが違う。

そして、そのスペインの右寄りの選手が誰なんだって話。それは残念ながらブラールズとデ・ヨングじゃなく、セルヒオ・ラモスとセナ。イタリア戦ではカッサーノに完全に押さえつけられて鬱憤が溜まっていたであろうセルヒオ・ラモス。そんな状況でも前回は頑張ってたから、そのご褒美ってわけではないけど、今回は全く誰もいないスペースへと攻撃に出て行くことができた。セナだってシャビと比べたら守備的ってことになるんだろうけど、攻撃における組み立ての能力も高いわけで。スペインは右から強制的に攻めさせられる流れになっても特に困ることはなかった。

じゃあ、なんでロシアは左サイドを空けてきたのかって話になってくる。勝手に想像するならば、相手をおびき寄せる作戦かって話。前回のオランダ戦の先制点のシーンがそれ。相手が右から出てきているところで、その右サイドからカウンターを食らわせるっていう。前回はパブリュチェンコもアルシャビンも左サイドに流れてボールを引き出していたし。今回も同じことをやろうとしたんじゃないかなっていう気がする。でも、結果的には失敗だったとしか言えない流れに陥ったけど。その理由は、また後で。

ブラールズ&デ・ヨングとセルヒオ・ラモス&セナの違い。これが完璧に押さえたオランダ戦との違い1つめ。1つめというからには2つめがある。その2つめの違いは守備の勝負どころがあいまいだったこと。前回の試合では、後半に入って変化が見られたものの、守備の勝負どころは、相手の受け手だった。最終ラインを下げ過ぎずに中盤とコンパクトな関係でバイタルエリアをつぶす。同時に相手の人を捕まえて入りどころに対して0距離で対応できる状況を作る。そんな0距離守備で足止めしておいて囲い込む。このやり方でオランダの前線の選手にボールを入れさせなかった。出し手、つまりブラールズ&デ・ヨングはある程度放っておくぐらいのつもりだったと思う。

それに対して今回の相手はセルヒオ・ラモスとセナ。これは放っておけないだろうって話になってくる。確かに立ち上がりは放っておいたわけだけど、結果としてあまりにも簡単にスペインが攻撃の組み立てをしてきた。ここで意思が揺らぐ。セルヒオ・ラモスとセナにも当たらなければいけないんじゃないかっていう話になってくる。よって、2人に対して引っ張り出される選手が生まれてきたと思う。オランダ戦には見られなかった意思の揺らぎ。これによって受け手を見る目標がはっきりとしなくなった。

加えてスペインの攻撃の組み立て方との相性の問題もあったように思う。前回のイタリア戦でも見られたように、スペインは深い位置から攻撃の組み立てを行ってくる。DFラインがDFラインだけでボールを持ちあがるんじゃなくて、そこに中盤が助けに来ることが多い。そして、これに対しても、ロシアの選手が引っ張りだされることが多くなった。なぜならば、人を目標とするロシアの守備だから、相手が下がっていったら、ある程度まではついて行くことになる。中盤の選手が受動的に前へ前へと出てきてしまう状況が生まれた。

こういう状況はある意味では仕方なかったとも言える。オランダは出し手が後ろの6人で、受け手が前の4人ってことがはっきりしてた。だから、受け手を目標にしたら、そこから動かされることは多くはならない。しかも、ロシア戦のオランダは特に出し手と受け手の関係が固着化したたし。スナイデルとかファン・デル・ファールトがあまり低い位置に降りて行かなかったってのは、そのときにも書いたとおり。それに対して、スペインは中盤の選手が受け手にも出し手にもなる。見るべき相手を定めると、上下に動かされるのは想定できたことだったように思う。

そんなわけで中盤が前線に引っ張り出されることが多くなったロシア。でも、それにDFラインがついて行けない。理由は簡単。スペインの2トップはビジャ&トーレス。あまりラインを上げすぎると、ウラを狙われてしまう。そもそも、どこが目標かって言われればやっぱり受け手が目標のロシア。中盤の選手が相手に引っ張り出されるときも、相手の出し手に対して十分にプレッシャーがかかってないのが事実。なんとなく引っ張り出されてるというか。そんな状況で下手にウラにスペースを与えたら、トーレスとビジャが好き放題に暴れまわる。よって、ロシアは前回のように高いラインを保つことができなかった印象。要所要所で単純にウラに入れてくるボールも効いてたと思う。GLのスペイン戦のトラウマもあったのかもしれない。

よって、ロシアの守備ブロックは間延び状態。相手の出し手に対してなんとなく出て行ってしまう中盤とウラが怖くてついて行けないDFライン。前回のオランダ戦の完全バイタルつぶしはどこへやら。DFラインと中盤の間に広大なスペースができあがる。スペインは縦パスを通し放題。そうやってスペインが前線に起点を作ってきたところに対しても、ロシアがすぐに囲い込みに行けない。振り向かれてシュートを打たれたり、起点を起点として機能させてしまうシーンが多くなったと思う。

そんなわけでスペインはイタリア戦とは全く違った内容を見せてくれたと思う。何よりも敵陣に入るのが恐ろしくスムーズになった印象。そして、そのどちらもロシアの守備の問題点をついたものだった。最も楽なのはガラガラの右サイドを利用するやり方。ビジャとかトーレスが流れて引き出したり、単純にシルバが受けたり。そもそも、セルヒオ・ラモスにボールを渡して、ドリブルで持ちあがらせればあっさり敵陣。イタリア戦ではあんなに苦労したのが嘘ように簡単に敵陣内に入り込んだ。

もう1つはもうちょっとスペインらしい。相手のDFと中盤の間にできたギャップに入り込んだ選手がボールを受けるってもの。ここでイニエスタが目立ちまくった。相手のDFと中盤の間のスペースを横切る動きを繰り返して相手のマークを外し、間間に顔を出しまくり。そうやってうまく中盤で起点になったと思う。同時にイタリア戦ではSMFらしいSMFとして振舞ってたシルバも真ん中に流れてくる動きを増やす。シルバって選手は今大会で初めて見たから、そんな動きもできたんだなって話。これが後の4‐1‐4‐1の布石になったわけだけど。

要するに間があればスペインらしさが発揮されるってことが判明。前回のイタリア戦では間がなかった。スペインの出し手がいくらボールを自由に扱っていてもイタリアの選手は知らん顔。4‐1‐4‐1のバランス維持と最低限の縦パスをいれさせないことを徹底していた。当然のように縦パスを入れるギャップができあがらない。縦パスが入らないから、前線の選手が後ろに向かってくる。でも、相手のブロックは引っ張り出されない。スペインは中盤に受け手がいなくなる。ますます縦パスが入れられない。完全な悪循環に陥ってた。スペースをつぶしてくる、確固たるベタ引きに弱いスペイン。スペインはスペインの守備のやり方に一番弱かったりするかも。そのスペインの守備については後々。

それが今や縦パスを入れ放題のスペイン。ビジャもスペースのある中盤の場所での引き出しの動きを繰り返してた。前回は完全に消えてしまったイニエスタも、相手ブロックの中にギャップがある今回の試合では水を得た魚。そうやって受け手を浮かせていった。受け手が浮けば出し手は優秀。前線に簡単に起点を作れたと思う。しかも、そういう前線の起点に対して間延び状態のロシアの守備がすぐには効いてこない。前線で時間を作れたことでスペインは後ろからの攻撃参加も活発になった。

そんなこんなでロシアの守備ブロックの弱点を突いて攻撃を繰り返したスペイン。でも、試合開始当初の流れは、攻めるロシアと守るスペインっていう情勢だった。ただし、これはスペインが攻めさせていたっていう意味が強かったかなっていうように思う。スペインはおびき寄せておびき寄せてカウンターっていうつもりだったかもしれない。攻めてロシアにカウンターを食らうよりは、攻めさせておいてロシアにカウンターを食らわせた方が安全っていうイメージか。それが途中で相手のカウンターは怖くないぞっていうことに気づいたのかもしれない。その理由は後で書くけど。

とにかく、立ち上がりのスペインは受身の形となった。ただ、守備ブロックの作り方に関して言えば前回のイタリア戦よりは積極的なものだったかなっていう気がする。前回は守備ブロックを作った時点で2トップがハーフェイラインぐらいの位置。その後ろの4‐4はかなり深い位置に設定されてた。それに対して今回の試合では2トップが縦っぽい関係になりつつ、深い位置の相手のボール保持者にプレッシャーを与えて行ってたと思う。そして、その後ろの中盤は1‐3みたいな形にして、3をハーフェイライン上ぐらいにおいていた。

ロシアの最終ラインは相手のトップがいるからスムーズに持ちあがれない。オランダ戦では最終ラインがかなり高い位置まで出ていけてたのと比べると、かなり大きな違いがあったと思う。よって、最終ラインからいきなり前線へっていうボールは入れにくくなった印象。これに関しては相手の中盤の3のフィルターの存在感も大きかったように思う。結果としてロシアは攻撃でも前後に間延び。後ろからの追い抜きがポイントになるロシアの攻撃を考えると痛すぎた。前線との関係性を作るにはかなり長い距離を走らなければならない。いくら走ってもいい関係性が作れない。そんなロシアだった気がする。

ただし、ブロックが1つ前に置かれたからといってスペインの守備の意識自体が大きく変化したかって言われれば、そんなことはなかった。やっぱりベースは後ろで受ける形。だから、前線からの追いかけ回しなんてものは全く見られなかったと思う。ロシアの最終ラインが中盤の助けを借りつつ、SBを使ってスペインのFWを外しつつ、押し上げて行けば、スペインの守備ブロックはそれにつれて下がっていく。最終的にはイタリア戦で見られたような4‐4‐2の守備ブロックで受ける形になって行った。そして、そんなスペインの4‐4‐2守備ブロック形成に困ったのがロシア。どう困ったかって言うとイタリア戦のときのスペインと同じ悩み。どうやって相手のブロックに入り込めばいいのか分からなくなってしまった。

まずはサイド攻撃。ここまで書いてきたとおり、スペインは最初の時点では高めの守備ブロックを採ってきた。そして、FWがロシアの最終ラインにプレッシャーをかけてきた。そんな相手のプレッシャーから逃げるためにロシアのSBは組み立てに参加しなければならなくなったと思う。オランダ戦のように2バックでパスを回すのは無理だったから。よって、ロシアは最初の時点でサイドに枚数をかけておくことが不可能になった。右は1つ前のサエンコに入った時点で、左は中盤で保持してから、SBが1つ遅れて絡んでいくっていう形になったと思う。だから、ボールがサイドに出た瞬間に数的優位を作るような攻撃は不可能になった。

しかも、スペインの方はロシアのサイド攻撃に対してしっかりとした対応をしてきた印象。これはロシアがスターダードにSMF&SBの関係性を作れるロシアの右サイドの局面でよく見られた。そもそもフラットな4‐4を並べている時点で左右の幅をしっかりとケアできてるスペイン。しかも、その4‐4が待ち構えてるってのがポイント。ロシアのSBの上がりが遅れると、サイドでは単純に1×2でスペインの数的優位ができあがる。ただし、当然のようにサイドに数的優位を作ろうと試みるロシア。そのときにはスペインは中盤をスライドさせて対応。ロシアの右サイドの攻撃ならば、シルバ&カプテビジャ&セナがサイドを固めることで、数的不利の状況を作らなかった。

だから、本当はロシアは右で作っておいて左みたいな展開をすればよかったはず。接近→展開→連続ってやつか。でも、逆サイドは慢性的に人数が足りてないのが左右のバランスを崩しているロシア。スペインの中盤がスライドしているところで逆サイドに送ったとしても、そこは1×1の普通の形。スペインにとっては大きな問題につながることはなかったと思う。そして、この部分についてはロシアの攻撃のやり方にも問題があった気がしてならない。

オランダ戦のロシアは右サイドではアニュコフ&サエンコ&セムショフの関係を固定的に作り、左サイドはジルコフを軸として出入りを激しくするっていうやり方を採ってきた。でも、今回はその左サイドの出入りがないない。アルシャビンもパブリュチェンコもなぜか狭い真ん中に居座る時間がかなり長くなってた印象。結果として左サイドはジルコフ1人に任された。なぜなのか。今回も守備のバランス崩しを行ってきたっていうこと以上に、この部分は謎だった。確かにたまに流れるシーンはプジョールなりセナなりにきっちりと対応されてしまっていたのも事実ではあるけど。

相手のサイドの守備のやり方と自分たちのサイド軽視のやり方によって、サイド攻撃の選択肢が消えてしまったロシア。仕方がないので真ん中から攻めざるを得なくなる。でも、どうやってって話。確かにオランダ戦では低い位置でのポゼッションから真ん中に縦パスを送り込むっていうやり方も選択肢の1つとしてはあった。その入りどころでファールをもらってFKの数も増やした。でも、それはやっぱりオランダの守備との相性の問題があったように思う。

そもそもロシアはどうやって真ん中に起点を作ろうとしていたのか。それは引っ張り出して隙間を空けるっていうやり方だった。低い位置でボールを保持している時に、前線の選手が低い位置に降りてくる。人を見るオランダの選手はそれによって、引っ張り出される。結果として空いた相手のDFと中盤の間のスペースに縦パスを送り込む。つまり、人ベースのオランダの守備、もっといえば守備における個が強いオランダと相性のいい縦パスの送り方だったと思う。

それに対して今回のスペインは4‐4でバイタルを潰してきた。だから、ロシアの中盤の選手が降りて行っても知らん顔。FWに受け渡すのがせいぜいだった。そう簡単には縦パスの入りどころが見つからなかった。たまに縦パスを入れると、セナに潰されてしまうし。イタリア戦での苦戦が嘘のような今回のスペインの攻撃。オランダ戦のよさが嘘のような今回のロシアの攻撃。根本的な部分は共通していたといってもいいと思う。

そして、この4‐4がロシアにとってはさらに厄介な意味を持つ。4‐4コンパクトブロックでスペースを完全に押さえたスペイン。後ろからの飛び出し、というかランニングが攻撃のポイントとなるロシアの攻撃。問題はロシアの選手がどこへ走ればいいんだってこと。前線にボールが入れば、それをスイッチとして追い抜くランニングなんかもできる。でも、今回は前線にボールが入らなかった。じゃあ、ボールを引き出すランニングをすればいい。でも、飛びだすスペースは相手に潰されている。これによってロシアのよさは消えてしまった。

それでもまだ、ロシアにはカウンターがあるじゃないか。ここで再び間延びの登場。思い出さなければならないのは、今回のロシアは守備において前後の分断が起こっていたってこと。この守備における間延びがカウンターの流れにも影響を及ぼす。奪って、飛び出すってなったときに前後の関係が作れない。大体において、守備の勝負どころが定まらなかった今回のロシアはカウンターのスイッチが入りにくかった。前回のように守備の勝負どころが定まってればチームとしてのスイッチが入りやすい。奪った勢いのまま前線にも出て行ける。でも、守備がうまくいかない今回のロシアには守備の勢いのまま攻撃っていうやり方は難しかったように思う。

それにカウンターの流れでもFWの引き出しの動きが少なかったように思う。前回の試合では前線で動きまくり、引き出しまくり、目立ちまくったパブリュチェンコはどこへ行ったのか。アルシャビンはどこへ行ったのか。せっかく相手のSBが前線に出てきているのに、そのウラのスペースを有効活用できていなかったようなイメージ。今回はなぜかFWが真ん中にこだわっていたロシアだった。

そんなロシアの様子を見てスペインが攻勢に出てきたんじゃないかと思う。上に書いたように、ロシアのカウンターに怖さを感じなかったってこと。だったら、自分たちが攻めてやろうっていう。あとは立ち上がりだけはリスクを冒さずに守備をベースにした戦い方をしてたっていう可能性もなくはないけど。どちらにしても、いつの間にかスペインが攻勢に出る状況が生まれてた。ロシアの守備ブロックの間にうまく入り込みながら、相手ゴールに迫っていった。でも、何かが足りないスペイン。崩しきるシーンまではつなげられなかった。

その何かってのは何か。たぶん、相手の最後の最後の守備ブロックに決定的な混乱をもたらすっていうことだったと思う。確かにこの時点で中盤は使えるようになってた。だけど、役割分担気味。セナは配給役、シャビは低い位置を助けつつ機を見て上がっていく、イニエスタは間に入って受ける、シルバはサイドを基本としてプレー。そして、この中盤の選手がFWを抜かさない。FWはトーレスとビジャ。もっと言えばビジャは中盤的に振舞って、トーレスが生粋のFWみたいな。こんな感じの役割分担の中で、スペースには入り込めたとしても、人ベースのロシアの守備に最後は阻まれるっていう状況に陥ったと思う。

それでも結構攻めてたのは確か。そのままの流れでもロシアの守備ブロックに綻びを作り出すことは可能だったかもしれない。でも、皮肉にもビジャが負傷したことで、一気に流れがスペインに傾く。正確に言えばビジャの負傷交代によって行われたシステム変更によって試合の流れが決定づけられた。それぐらいに4‐1‐4‐1のインパクトはすさまじかったと思う。

この4‐1‐4‐1は2列目に配置されたイニエスタ&シャビ&セスク&シルバのすさまじい流動性。どの選手もボールを失わない。相手のプレッシャーの中でもタメを作れる。かと思えば、1タッチ2タッチであっさりと局面を変えたり、チャンスにつなげたりすることもできる。2点目のセスクのアシストがまさにそれ。ただ、そんなボール扱いよりも、それ以前のボールの受け方がそれぞれすさまじくうまい。間を見つけるのがすさまじくうまい。イニエスタとシルバは4‐4‐2の時間からそういう動きを繰り返してたし、シャビとセスクだってクラブでのプレーを見ればそんなのは分かり切ったこと。

そして、局面局面を見るとそれぞれが自分でギャップを見つけて好きなようにその場所に出てきまくってるように見える。それぐらい、どの選手も神出鬼没に動き回ってボールを受けてた。でも、全体としてみるとバランスが全く崩れてないから恐ろしい。それぞれが利己的に好き勝手にギャップに顔を出してきてるかのようなのに、それがチームとして最適な飛び出しになってる。バランスが全く崩れない。それぞれが動き回ってる中でも選手間の距離が一定程度に常に維持されてるイメージ。近すぎず遠すぎず。ダイレクトでも回せるし、自分でも仕掛けられるし、みたいな。

そして、この距離感の形成におけるSBの役割は大きい。おそらく中盤の選手がボールを失わないっていう自信があるからだと思うけど、セルヒオ・ラモスもカプテビジャも超積極的に攻撃に飛び出してくる。今回は立ち上がりから積極的だなって思ってたけど、4‐1‐4‐1になってからは、それに輪をかけて。そして、SBが上がってくることでサイドはSBに任せられる。中盤の4は中に押し込まれる。結果として、さらに近い関係性が生まれたと思う。

そして、そんな中を基本としつつ、そこから外に逃げて行く動きが効果的に決まった。先制点をアシストしたイニエスタの動きがそれ。外→中の流れは相手としても警戒する。ゴールに近づいてくるわけだから。逆に中→外の動きは見失ってしまうシーンが多いと思う。この得点シーンでも外に流れたイニエスタへの対応が遅れ、さらにその外側をカプテビジャに回られ、完全にロシアの守備陣の意識がサイドに振られた。結果として真ん中にできたギャップにシャビが入ってきたシーンだったと思う。

こんな感じのスペインの攻撃に対してロシアが致命的な混乱に陥った。何しろ相手の中盤の誰を見ていいのか分からない。この時点である程度、相手を見るっていうやり方は崩壊したといってもいい。何しろ超流動的にやってくるスペインの中盤だから。そして、何よりも得点シーンのシャビみたいにラストブロックに直接仕掛けられる動きが一番嫌だった。4‐4‐2のスペインに足りなかった中盤がFWになる動き。トーレスも外目にポジショニングをすることで中盤の飛び出しを促進してたと思う。何よりも嫌なのが、中盤の誰が飛び出してくるのかが全く分からないっていうこと。シャビもセスクもイニエスタもシルバも誰でもFWになり得たと思う。

そして、スペインの攻撃は次々にロシアの守備ブロックの急所急所を突いてきたと思う。間間をつなぐパス回し。これを言い換えると、ロシアブロックの中でのパス回しって言える。しかも、スペインの選手はことごとく前向きでボールを扱ってくる。引き出すためにギャップに飛び出し、その前のギャップへ別の選手が飛び出し、再び最初にパスを出した選手が追い抜いてギャップへ…みたいな。前へ前へのパス回し。ゴールに向かうパス回し。スペインの攻撃の圧力はすごかったと思う。

この時点でロシアの方は守備の勝負どころが定まらない。相手の超流動に対して誰を捕まえればいいのか分からない。相手がギャップギャップに入ってくるから対応が遅れる。遅れて対応すると背後に新しいギャップを残してきてしまう。さらに上に書いたように、前向きでプレーするスペインの選手たち。後ろ向きで受けてくれたりすれば、ちょっと遅れても対応できるんだろうけど、その望みの打ち砕かれてしまった。

だからこそ、後半のロシアは前線からの守備へと切り替えたんだと思う。要するに受け手を捕まえる守備に限界を感じたってこと。そもそも受け手に対しても完璧に対応できてたのは言えない今回のロシア。それでも個々の対応で何とかなっていた部分は大きかった。それは上に書いたように、スペインが役割分担的だったから。だから、トーレスに対してベレスツキーみたいにつくべき相手を定めればなんとかなった。ボールを奪えなくても最低限仕事をさせないことは可能だった。でも、今や見るべき相手の数が多すぎる。しかも、その選手たちが自由に動き回る。しかも、ギャップを見つけるのが抜群にうまい。こちらを止めるのは無理だっていう判断。

というわけで、後半は前線からの守備を行ったロシア。でも、相手の出し手にはこれまた安定感抜群のセナ。それを助けに来るセスクなりシャビなり。前線からのプレッシャーをいなされて、狙いどおりに出し手を押さえ切れないシーンが多くなった。そして、そうなると背後のスペースが致命的になる。先制点のシーンもセナをつぶしきれずに間に入ったシャビに出されたシーンが最初だったし。ただ、ロシアとしてはああするしかなかった苦渋の選択だった気がする。

でも、ロシアにとってピンチはチャンスである可能性だって十分にあった。前半にロシアがなぜに苦戦してたか。攻撃においては相手の4‐4に入れないのがその原因の1つだったってのは上にも書いたとおり。でも、今のスペインは4‐1‐4‐1。4‐4から4‐1‐4へ。しかも、中盤の4は前に対して守備をする意識を見せた。1の脇のスペースになんとか入り込めばチャンスは生まれるはず。

でも、後半のロシアはそんな部分を生かしきれない。低い位置でのボール回しが停滞して、相手の中盤の4を外せなかった。そうなると4‐4よりも4‐1‐4を崩す方がより難しくなるって話。どちらにしても前半と同じように縦パスを入れられなかった。しかも、間に入り込んだり、SBが上がっていったりした時に、スペインの中盤の4は後ろに向かっての守備をきっちりとやってた。4‐4の守備ブロックを見ても分かるけど、スペインの中盤は前よりも後ろとの関係性を重視してるように思った。

そんなことをしている間にスペインは逃げ切り体制。シャビ→Xアロンソの交代で4‐1‐4‐1を4‐2‐3‐1へと変更。これで1の両脇に入り込むっていうロシアの最後の希望も断ち切られることとなった。しかも、スペインの守備ブロックは4‐2‐3‐1というよりも、4‐4‐1‐1みたいな形。再びスペインのおびき寄せ作戦が開始。そして、今度はおびき寄せ作戦成功。2点目と3点目はロシアが深い位置まで入り込んだ後の流れからだった。ちなみに、今回のスペインの決定力はGLのオランダ並みに高かったように思う。

イタリア戦の終りにスペインの本領発揮を期待するって書いたら、発揮し過ぎるほどに発揮してきた。4‐1‐4‐1ってなんなんだって話。クワトロ・フゴーネスってなんなんだって話。なんで今まで使わなかったんだって話。弱点があるとすれば1ボランチの場所なんだけど、攻守に渡って質の高いプレーを見せてくれてるから、実質的に弱点なし。中盤の4枚の守備の意識も高いし。前回のイタリア戦では中盤の高めが皆無になったスペインだったのに、今回はそれが一気に4枚へと増えた。そして、個人の能力はもとより、その4人の連動性が半端じゃない。ビジャが無理っぽいのでドイツ戦ではスタメンからこの形か。

対するロシア。最大の謎は上にも書いたように、FWが真ん中にこだわってたこと。どちらもボールに触ることさえ満足にできなかった。パブリュチェンコは高さで相手のCBと勝負させようとしたって可能性もないとは言えない。でも、アルシャビンまでそれにつき合わなくても。やっぱりアルシャビンの怖さはボールを持ってこそ発揮されるように思うので。オランダ戦のようにもっと自由度を高めてタッチ数を増やしてもよかったんじゃないかと思う。
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この記事のコメント
スペインは楽しかったでしょうね。
何やっても相手がとことん付き合ってくれて引っ掛かってくれたみたいで。

これで慢心しなければ最高の状態で決勝を迎えます。
監督が慎重で、
且つ大胆な起用をできるほどチームを分かっているので大丈夫だとは思いますが。
トーレスはジョーカーで使ってきた方が怖い気がします。


アルシャーヴィンはトップ下にいないで、左サイドにいてくれればと思ってみてました。マークしてたのかされてたのか。

以前のロシアならチェコのように全員守備になる展開でしたが、FWが残ってチェイスしているのはヒディンクになってからの能動的なマーキングとのミスマッチを感じました。
怖い者知らずの初戦は能動的なマーキングを頭からやっていてラインも上げていたので気持ちが切れるまでははロシアペースの試合でしたが、
そのときのカウンターの脅威が消極的な影響を与えたのかもしれません。
メンタルって大事ですね。

グループリーグではズリャノフ右、ビリャレッディノフ左の攻撃バランスがよかったのですが、
ヒディンクは唯一の海外でプレーするサエンコの経験(とくに守備能力とミスの少なさ)を買ったのでしょうね。
策としてはよかったのですがバランスは崩れた気がします。チームとしての球離れが悪くなりました。
なんとも繊細なチームです。

2008-06-29 Sun 00:46 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
今大会のロシアを見て思ったのは、オシムのチームもそうだったのですが、
マンマークってのはやっぱ高い位置からボールを奪いに行くためめの戦術であるということ。
浦和やギリシャが例外なのではということ。

この試合の前線は、アルシャーヴィン・パヴリューチェンコ・サエンコ(スィチョフ)・セムショフ(ビリャレッディーノフ)の4人
中盤がズィリャーノフ、セマックの二人そして4バックと分類できます。
これをパズルのように相手の布陣にあわせてマークを決めチェイシング。これが効果的なボール奪取になるわけです。

前線の四人のうちサイドを好むのはサエンコだけ。
でも4バックとセナをマークしないと効果がでない。
でもシャーヴァ10がセナをマークして、ロマン19がCBを追い掛け回し、セムショフ20が中央を助けているとラモスが空いてしまう。
ジルコフ18に「後ろ3人でいいんだから上がって来いお前本来ウィンガーだろ」といっているようなものです。
でもジルコフは4バックの一員として最終ラインのバランスを取った。
私はそう解釈します。
マンUファンならご理解いただけると存じます。

受けるならゾーン、勝負に行くならマンと使い分けられるのが理想だとわたしは思っています。
でも相手がスペインみたいにコロコロ布陣を変えてくると応用問題を次々と解かないといけないので大変ですね。
阿部や山岸がはずせなかったのも分かる気がします。
「考えて走れ!」とはこういうことなのでしょうか。
2008-06-29 Sun 07:18 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
トーレスは1トップでは合ってないかもしれませんね。中盤の飛び出しを促進するための動きはしてましたが、それだとトーレスの怖さが半減してしまいますし。オランダの六弁とかファン・ペルシーみたいに相手が出てきたウラ要因の方がいいかもしれませんね。そう考えるとロシア戦は逆の交代でしたが。

アルシャビンはなんでサイドに出なかったんでしょうね。守備に関してはオランダ戦の方が頑張ってたと思いますし、相手もマンマークではつけてきてませんでしたし。たぶん、指示があったんでしょうけど、意図がちょっとわかりませんでした。

今回は守備があいまいになってしまったのは確かだと思います。カウンターが全く仕掛けられない状況の中でチーム全体が引きこもるっていう可能性もなくはなかったんでしょうけど、逆に前線からの守備にしましたね。そちらの方が自分たちの色だったからでしょうけど。

左右のバランス崩しでオランダ戦は成功しましたが、今回もというわけにはいきませんでしたね。組織的に戦うチームですから微妙な変化がチーム全体に及ぼす影響も大きいのかもしれません。相手の影響も受けやすいんですかね。
2008-06-29 Sun 18:35 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
前線から行かないと、レッズとかギリシャみたいになってしまうんでしょうね。逆にそこで開き直ってラストブロック作りに引きこもれないと、間間に入られて収拾がつかなくなってしまうんでしょうか。オランダもそういう状況でしたね。バランスを維持して受けるのは難しいんでしょうか。

ジルコフは確かにWB的にサイドのスペースを埋めていましたね。少なくとも前半には高めの位置をスタートにおいていたように思います。それが相手に攻められる流れになって、完全に4バックの一角へと入っていきました。

スペイン相手ではどのチームも難しいでしょうね。何しろ昨日の変化はビジャの怪我っていう不可抗力によって生まれてるわけで。ビジャが残ってたら、普通に4‐4‐2のまま戦ってたはずですもんね。いくらヒディンクでもビジャの怪我までは予測できなかったってとこでしょうか。
2008-06-29 Sun 18:47 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
スペインンのシステムは面白かったです。

トーレスがDFラインを牽制することと1ボランチにすることで、動きのある中盤にとって自由なスペースができます。
これで動きながらギャップに入り込みボールを動かし続け、
相手を引きつけて裏(トーレス)やサイド(シルヴァ・イニエスタ)のスペースへ展開し、
そこでキープしラインを上げてオーバーラップ。<接近→展開→連続?まさか

ボールを動かすには、ピッチをワイドに使わないといけない。
コンパクトなブロックで守るチームには難しいのではないか。
と思っていた私には新鮮でした。
アーセナルはどうでしょうか。
トーレスというスピードスター、セナという優秀なボランチがいたからできたことだと思いますが。

ドイツはDFラインを上げコンパクトにすることで中盤を潰しましたが、トーレスの走るスペースができましたね。

1ボランチ脇が狙い目なのですが、マルチェナ・プジョルが飛び出してきてそこは潰してました。
カシージャス、セナ、トーレスといった突出した選手がいたことで中盤が生きたといえそうですね。

ユーロの期間中はせかすようにコメントしてしまいました。
失礼しました。
2008-07-02 Wed 14:59 | URL | CSKA352 #vYGCFAd.[ 内容変更]
トーレスのウラウラの効果は大きかったですね。相手を引きづり下ろしますから。同じ1トップでもファン・ニステルローイとは真逆のベクトルで中盤の組み立てを助けました。

セナは1ボランチには最適な選手だと思います。守備でつぶしまくり、攻撃の組み立て能力もある。相手としてはセナを放っておけないので、前に引っ張り出されますね。4‐4‐2でも攻撃時はセナを底においてシャビを前に出してもよかったと思います。それぐらいの信頼度がありました。

でも、やっぱりドイツには苦戦しましたね。中盤のスペースを完全に潰してきましたから、ロシア戦のようなスムーズな組み立てはできませんでした。カウンター主体で手数をかけないシーンが増えたと思います。結果としてトーレスのスピードが生きることになりましたが、あれはああするしかなかったと思います。

1ボランチ脇にCBが出てきてカバーしてたのは面白かったです。前回のロシア戦では前が戻って対応してましたから(勝ってたってのもあるんでしょうが)。立ち上がりは、そこがうまく機能せずにドイツに攻撃されましたね。
2008-07-02 Wed 19:41 | URL | ひまじん #-[ 内容変更]
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